JPH07397B2 - 熱転写プリンタ用のインクリボンカセツト - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、キヤリツジの左右の往動と復動とが印字改行
毎に切換わり、かつ、前記キヤリツジの往動ならびに復
動の何れにおいても、インクリボンを前記キヤリツジと
は逆方向に同期移動させながら印字するようにした熱転
写プリンタ用のインクリボンカセツトに関する。

（従来の技術） 上記の熱転写プリンタによれば、インクリボンをキヤリ
ツジとは逆方向に同期移動させるので鮮明な印字を得ら
れ、かつ前記キヤリツジの復動時にも印字を行なわせる
ので、印字のスピードアツプを図ることができる。

ところで、前記キヤリツジの復動時に印字を行なわせる
ために従来は、その復動印字に先立つて復動印字に相当
する分のインクリボンを巻取つておいて、この巻取つた
インクリボンを巻戻しながら復動印字を行ない、そし
て、該復動印字した分のインクリボンを巻取つて後に往
動印字を行なうことを繰返しているが、印字開始のたび
に行なうインクリボンの巻取り時間分だけ印字スピード
が低下してしまい、折角の復動印字によるスピードアツ
プを生かしきれない欠点があつた。

また、印字開始のたびに行なうインクリボンの巻取り制
御が複雑になる欠点があつた。

（発明が解決しようとする問題点） 本発明は、上記欠点を解消し得るところの使用面で有用
なる熱転写プリンタ用のインクリボンカセツトを提供せ
んことを目的としている。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するための本発明による熱転写プリンタ
用のインクリボンカセツトは、インクリボン巻回リール
とインクリボン巻取リールの２組のリール対を、前記キ
ヤリツジに対して着脱自在のカセツトケースに回転自在
に且つ上下に併設する一方、前記キヤリツジの往復動に
連動して正逆転する伝動軸を前記カセツトケースに設
け、かつ、互いに異なる方向の回転動力を伝達する２個
の一方向クラツチを前記伝動軸に設けると共に、前記２
個の一方向クラッチにそれぞれ連設した駆動用のローラ
と別途設けた遊転用のローラおよびこれら各ローラに巻
回されて前記各リール対に巻かれたインクリボンの外周
面に接するエンドレスベルトにより各リール対のインク
リボンを各別に駆動させるように構成した点に特徴があ
る。

（作用） 上記の特徴構成によれば、前記キヤリッジの往復動に連
動して正逆転する伝動軸上に設けた上下２個の一方向ク
ラッチにそれぞれ連設した駆動用のローラと別途設けた
遊転用のローラおよびこれら各ローラに巻回されて前記
各リール対に巻かれたインクリボンの外周面に接するエ
ンドレスベルトにより各リール対のインクリボンを各別
に駆動させるように構成することにより、キヤリッジの
往動と復動とに同期して上下のリール対のインクリボン
が各別に移動されるので、キヤリッジの往復動の何れに
おいても鮮明な印字を得られると共に、印字毎のインク
リボンの巻取りが不要となり、インクリボンの巻取り制
御を簡単にできる。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、第
１図はインクリボンカセツト（Ａ）の一例を示し、第２
図は熱転写プリンタ（Ｂ）の要部を示す。そして第３図
は前記キヤリツジ（１）にインクリボンカセツト（Ａ）
をセツトした状態を示すもので、前記熱転写プリンタ
（Ｂ）は、印字信号の印加によつて印字作動するサーマ
ルヘツド（２）を備えたキヤリツジ（１）と、印字用紙
（３）を所定量ずつ巻上げ移動させるプラテン（４）
と、前記キヤリツジ（１）をプラテン（４）に沿わせて
左右に往復移動させる往復移動機構（５）と、前記キヤ
リツジ（１）に対して上下位置変更自在のカセツト装填
具（６）から成る。

前記キヤリツジ往復移動機構（５）は次の如く構成され
ている。即ち、右螺旋と左螺旋とが連続したエンドレス
の螺旋溝（ａ）を有する駆動回転軸（７）と、ラツク
（ｂ）が形成された固定軸（８）とを、それらの軸芯を
前記プラテン（４）の回転軸芯に平行の状態で設けると
共に、当該両軸（７），（８）の夫々にボス（９），
（10）を軸支させ、かつ、該ボス（９），（10）にわた
つて前記キヤリツジ（１）を架設すると共に、前記螺旋
溝（ａ）の溝巾よりも長い舟形の滑子（ｃ）を、前記駆
動回転軸（７）に直交する軸（11）まわりで回転自在に
一方のボス（９）に取付けて成り、前記駆動回転軸
（７）の一方向回転に伴つてキヤリツジ（１）を往復移
動させるようになつている。

前記カセツト装填具（６）は、カセツト位置決め具
（ｄ）…とインクリボン駆動機構（12）とを備え、か
つ、前記キヤリツジ（１）に立設のガイドピン（ｅ）…
を嵌入するピン孔（ｆ）…を有し、前記ガイドピン
（ｅ）…に外嵌保持させたスプリング（13）に抗して当
該カセツト装填具（６）を上昇させるカム機構（ｃ）が
前記キヤリツジ（１）に設けられている。

上記のカム機構（ｃ）は、第３図及び第４図に示すよう
に、キヤリッジ（１）の中間部をくり抜き、キヤリッジ
（１）の移動方向に直行する方向の水平軸（15），（1
5）を、プラケット（14）を介して前記キヤリッジの前
記くり抜き部分に回動自在に取付けると共に、該水平軸
（15），（15）にカム体（16）…とアーム（17），（1
7）とを固着し、かつ、前記アーム（17），（17）の遊
端にわたつてロツド（18）を枢支連結すると共に、前記
キヤリツジ（１）の往復移動に伴つて移動端近くで前記
ロツド（18）の端部が当接するストツパー（19），（2
0）を設けて成り、前記キヤリツジ（１）が往動（第４
図において右方向移動とする。）端に達したときの前記
ストツパー（19）によるロツド（18）の被動によつてア
ーム（17），（17）を揺動させると共に、これに伴う前
記カム体（16）…の回動によつて前記スプリング（13）
に抗してカセツト装填具（６）を上昇させ、かつ、前記
キヤリツジ（１）が復動端に達したときのストツパー
（20）によるロツド（18）の被動によつてアーム（1
7），（17）を逆方向に揺動させると共に、これに伴う
カム体（16）…の回動によつて前記カセツト装填具
（６）をスプリング（13）の付勢力で下降させるように
してある。

そして前記インクリボン駆動機構（12）は、前記カセツ
ト装填具（６）に対して回転のみ自在に回転軸（21）を
設けると共に、前記カセツト装填具（６）の上下変位に
拘わらず前記ラツク（ｂ）に噛合うピニオン（22）を前
記回転軸（21）に固着して成るもので、平面視におい
て、前記キヤリツジ（１）の往動に伴つて前記回転軸
（21）を時計廻り方向に回転させ、前記キヤリツジ
（１）の復動に伴つて回転軸（21）を反時計廻り方向に
回転させるようになつている。

次に、インクリボンカセツト（Ａ）の具体構造について
説明すると、このものは、第１図及び第３図に示すよう
に、前記キヤリツジ（１）側のカセツト装填具（６）に
対して着脱自在で且つ前記サーマルヘツド（２）の貫装
部（ｇ）を設けたカセツトケース（23）に、２本のリー
ル枢支軸（24），（25）を立設すると共に、インクリボ
ン（ｈ）を巻回したリール（26）とインクリボン（ｈ）
の巻取リール（27）との２組のリール対を、前記リール
枢支軸（24），（25）に対して回転自在にかつ上下に重
ね合わせる状態で設け、かつ、該上下のリール対の夫々
のインクリボン（ｈ），（ｈ）を前記サーマルヘツド貫
装部（ｇ）近くのローラ（28）に掛け渡すと共に、該イ
ンクリボン（ｈ），（ｈ）を各別に移送させる第１及び
第２伝動具（29），（30）を設けてある。

前記第１及び第２の伝動具（29），（30）は、各リール
対に巻かれているインクリボン（ｈ），（ｈ）の外周面
に各別に接するエンドレスのベルト（31），（31）と、
該ルト（31），（31）を各別に巻回する駆動用と遊転用
のローラ（32），（33），（33）、及び、一方向クラツ
チ（34），（35）を介して前記駆動用ローラ（32），
（32）を軸支する１本の伝動軸（36）から成り、かつ、
前記カセツト装填具（６）にインクリボンカセツト
（Ａ）を装填した状態において、前記伝動軸（36）がイ
ンクリボン駆動機構（12）の回転軸（21）に連動連結さ
れるように、当該両軸（36），（21）間に係合連結部
（ｉ），（ｊ）が設けられている。

そして、上方側リール対のインクリボン（ｈ）に対する
第１伝動具（29）の一方向クラツチ（34）は、前記キヤ
リツジ（１）の往動時における前記伝動軸（36）の回転
（平面視で時計廻り方向である。）を前記駆動用ローラ
（32）に伝達するように、かつ、第２伝動具（30）の一
方向クラツチ（35）は、キヤリツジ（１）の復動時にお
ける伝動軸（36）の平行視で反時計廻り方向の回転を駆
動用ローラ（32）に伝達するように、夫々伝動方向を設
定すると共に、更に、前記駆動用ローラ（32），（32）
の周速が前記キヤリツジ（１）の往復の移動速度に同期
するように設定してある。

尚、下方側のリール対において、それのインクリボン巻
回リール（26）をインクリボン巻取リール（27）の左側
に配置し、上方側のリール対においては逆の配置として
いる。

上記の構成によれば、前記キヤリツジ（１）の往動に伴
う第１伝動具（29）の作動によつて、上方側リール対の
インクリボン（ｈ）のみがキヤリツジ（１）の移動速度
に同期してキヤリツジ移動方向とは逆方向に移送される
ので、この間にサーマルヘツド（２）に印字信号が印加
されると、上方側インクリボン（ｈ）とインクが印字用
紙（３）に鮮明に熱転写されることになる。

そして、キヤリツジ（１）が往復移動端に達すると、前
記カセツト装填具（６）がカム機構（ｃ）によつて持上
げられ、下方側のインクリボン（ｈ）がサーマルヘツド
（２）に対応位置すると共に、改行相当分だけプラテン
（４）が回動し、かつ、キヤリツジ（１）が復動移動を
開始すると共に、この復動に伴う第２伝動具（30）の作
動によつて、今度は下方側リール対のインクリボン
（ｈ）のみがキヤリツジ（１）の移動速度に同期してキ
ヤリツジ移動方向とは逆方向に移送され、サーマルヘツ
ド（２）に対する印字信号と印加によつて下方側インク
リボン（ｈ）のインクが印字用紙（３）に鮮明に熱転写
されることになる。

次に、キヤリツジ（１）が復動移動端に達すると、上方
側インクリボン（ｈ）がサーマルヘツド（２）に対応す
る位置にまでカセツト装填具（６）が下降すると共に、
改行相当分だけプラテン（４）が回動し、かつ、キヤリ
ツジ（１）が往動移動を再開するもので、以後は上記の
動作が繰返し行なわれるのである。

上記の往動時における動作方向を実線の矢印で示し、復
動時における動作方向を仮想線の矢印で示しておく。

尚、前記カセツト装填具（６）を改行のたびに上下に位
置変更させる構成としたが、例えば、サーマルヘツド
（２）を往動端で下方に且つ復動端で上方に、夫々位置
変更自在に構成して実施するも良く、この場合、往復通
の印字を完了するたびにプラテン（４）を２行分だけ回
転させるものとする。

また、リール対において、インクリボン巻回リール（2
6）とインクリボン巻回リール（27）を上下に配置させ
る構成としたが、、上下のインクリボン巻回リール（2
6），（26）とインクリボン巻取リール（27），（27）
を夫々同じ位置に配置する構成とするも良く、この場合
のインクリボン（ｈ），（ｈ）の巻掛け例を第５図
（イ），（ロ）に示す。

更に、第１及び第２伝動具（29），（30）として、各リ
ール対のインクリボン（ｈ），（ｈ）を各別に挾持する
２組のローラ対を設けると共に、各ローラ対の一方を一
方向クラツチ（34），（35）を介して伝動軸（36）によ
り定速駆動させるようにし、即ち、各ローラ対によつて
インクリボン（ｈ），（ｈ）を各別に定速移送させるよ
うにし、そして、各リール（26），（26）、（27），
（27）を軸（24），（25）に対して相対回転不能に設け
ると共に、該軸（24），（25）を択一的に摩擦板を介し
て駆動させるようにして、所謂カセツトテープレーコー
ダのテープ駆動形態をとることもでき、即ち、上記のイ
ンクリボン移送のための構成部材や前記エンドレスベル
ト等を、本発明においてはインクリボン各別移送用の搬
送部材と総称するものである。

（発明の効果） 以上説明したように本発明によるインクリボンカセツト
は、キヤリツジの往復時にのみ移動される往動印字専用
のインクリボンと、キヤリツジの復動時にのみ移動され
る復動印字専用のインクリボンとを備えるものであつ
て、従来のように、印字開始に先立つインクリボンの巻
取り動作が不要になり、延いては、その巻取り動作の時
間分だけ印字スピードをアツプできる。換言すれ、連続
的に往復印字を行なえるのである。

しかも、インクリボンの巻取りが不要であるから、イン
クリボン移動のための制御が極めて簡単になり、その
上、インクリボンが上下２段の配置故に、カセツトの配
置スペースをほとんど変更しないでインクリボンの交換
時期を倍加できるものである。

加えて、前記キヤリッジの往復動に連動して正逆転する
伝動軸上に設けた上下２個の一方向クラッチにそれぞれ
連設した駆動用のローラと別途設けた遊転用のローラお
よびこれら各ローラに巻回されて前記各リール対に巻か
れたインクリボンの外周面に接するエンドレスベルトに
より各リール対のインクリボンを各別に駆動させるよう
に構成しているので、インクリボンの移送速度をキヤリ
ッジの移動速度に同期でき、鮮明な印字を得ることがで
きる。

全体として、構成的に簡単な改良によつて、従来欠点を
伴わない使用面で有用なるインクリボンカセツトを提供
できるに至つた。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は下方側リール対
のインクリボンを仮想線で示したインクリボンカセツト
の平面図、第２図は熱転写プリンタの要部の斜視図、第
３図はインクリボンカセツトの断面図、第４図はカム機
構の詳細図、第５図（イ），（ロ）は別実施例のインク
リボンカセツトにおけるインクリボンの巻掛け説明図で
ある。 （１）……キヤリツジ、（２）……サーマルヘツド、
（23）……カセツトケース、（26）……インクリボン巻
回リール、（27）……インクリボン巻取リール、（31）
……搬送部材、（34），（35）……一方向クラツチ、
（36）……伝動軸、（ｈ）……インクリボン。

フロントページの続き (72)発明者 松本 秀輝 大阪府大阪市東区玉造１丁目２番28号 三 田工業株式会社内 (72)発明者 巴 哲郎 大阪府大阪市東区玉造１丁目２番28号 三 田工業株式会社内 (72)発明者 小林 和弘 大阪府大阪市東区玉造１丁目２番28号 三 田工業株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】キヤリッジの左右の往動と復動とが印字改
   行毎に切換わり、かつ、前記キヤリッジの往動ならびに
   復動の何れにおいても、インクリボンを前記キヤリッジ
   とは逆方向に同期移動させながら印字するようにした熱
   転写プリンタ用のインクリボンカセットであって、イン
   クリボン巻回リールとインクリボン巻取リールの２組の
   リール対を、前記キヤリッジに対して着脱自在のカセッ
   トケースに回転自在に且つ上下に併設する一方、前記キ
   ヤリッジの往復動に連動して正逆転する伝動軸を前記カ
   セットケースに設け、かつ、互いに異なる方向の回転動
   力を伝動する２個の一方向クラッチを前記伝動軸に設け
   ると共に、前記２個の一方向クラッチにそれぞれ連設し
   た駆動用のローラと別途設けた遊転用のローラおよびこ
   れら各ローラに巻回されて前記各リール対に巻かれたイ
   ンクリボンの外周面に接するエンドレスベルトにより各
   リール対のインクリボンを各別に駆動させるように構成
   してあることを特徴とする熱転写プリンタ用のインクリ
   ボンカセット。