JPH07404B2 - 熱転写プリンタ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、キヤリツジの左右の往動と復動とが印字改行
毎に切換わり、かつ、前記キヤリツジの往動ならびに復
動の何れにおいても、インクリボンを前記キヤリツジと
は逆方向に同期移動させながら印字するようにした熱転
写プリンタに関するものである。

（従来の技術） 上記の熱転写プリンタによれば、インクリボンをキヤリ
ツジとは逆方向に同期移動させるので鮮明な印字が得ら
れ、かつ前記キヤリツジの復動時にも印字を行なわせる
ので、印字のスピードアツプを図ることができる。

ところで、前記キヤリツジの復動時に印字を行なわせる
ために従来は、その復動印字に先立つて復動印字に相当
する分のインクリボンを巻取つておいて、この巻取つた
インクリボンを巻戻しながら復動印字を行ない、そし
て、該復動印字した分のインクリボンを巻取つて後に往
動印字を行なうことを繰返しているが、印字開始のたび
に行なうインクリボンの巻取り時間分だけ印字スピード
が低下してしまい、折角の復動印字によるスピードアツ
プを生かしきれない欠点があつた。

また、印字開始のたびに行なうインクリボンの巻取り制
御が複雑になる欠点があつた （発明が解決しようとする問題点） 本発明は、上記欠点を解消した熱転写プリンタを提供す
るものである。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために本発明は、冒頭に記載した熱
転写プリンタにおいて、前記キヤリツジに対して着脱自
在なインクリボン巻回リールとインクリボン巻取リール
の２組のリール対を、前記キヤリツジに回転自在に且つ
上下に併設する一方、前記キヤリツジの往復動に連動し
て正逆転する伝動軸を前記キヤリツジに設け、かつ、互
いに異なる方向の回転動力を伝達する２個の一方向クラ
ツチを前記伝動軸に設けると共に、前記２個の一方向ク
ラッチにそれぞれ連設した駆動用のローラと別途設けた
遊転用のローラおよびこれら各ローラに巻回されて前記
各リール対に巻かれたインクリボンの外周面に接するエ
ンドレスベルトにより各リール対のインクリボンを各別
に駆動させるようにし、更に、前記２組のリール対とサ
ーマルヘツドとを相対的に上下変位自在に構成した点に
特徴がある。

（作用） 上記の特徴構成によれば、前記キヤリッジの往復動に連
動して正逆転する伝動軸上に設けた上下２個の一方向ク
ラッチにそれぞれ連設した駆動用のローラと別途設けた
遊転用のローラおよびこれら各ローラに巻回されて前記
各リール対に巻かれたインクリボンの外周面に接するエ
ンドレスベルトにより各リール対に巻かれたインクリボ
ンを駆動させるように構成することにより、キヤリッジ
の往動と復動とに同期して上下のリール対のインクリボ
ンが各別に移動するので、キヤリッジの往復動の何れに
おいても鮮明な印字を得られると共に、印字毎のインク
リボンの巻取りが不要となり、インクリボンの巻取り制
御を簡単にできる。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、第
１図は熱転写プリンタの要部を示し、第２図はその一部
の平面を示す。この熱転写プリンタは、印字信号の印加
によつて印字作動するサーマルヘツド２を備えたキヤリ
ツジ１と、印字用紙３を所定量ずつ巻上げ移動させるプ
ラテン４と、前記キヤリツジ１をプラテン４に沿わせて
左右に往復移動させる往復移動機構５と、前記キヤリツ
ジ１に対して上下位置変更自在のインクリボン装填具６
から成る。

前記キヤリツジ往復移動機構５は次の如く構成されてい
る。即ち、右螺旋と左螺旋とが連続したエンドレスの螺
旋溝ａを有する駆動回転軸７と、ラツクｂが形成された
固定軸８とを、それらの軸芯を前記プラテン４の回転軸
芯に平行の状態で設けると共に、当該両軸7,8の夫々に
ボス9,10を軸支させ、かつ、該ボス9,10にわたつて前記
キヤリツジ１を架設すると共に、前記螺旋溝ａの溝巾よ
りも長い舟形の滑子ｃを、前記駆動回転軸７に直交する
軸11まわりで回動自在に一方のボス９に取付けて成り、
前記駆動回転軸７の一方向回転に伴つてキヤリツジ１を
往復移動させるようになつている。

前記インクリボン装填具６は、２本のリール枢支軸12,1
3とインクリボン駆動機構14とを備え、かつ、第3,4図に
詳細を示す昇降機構15によつて印字改行のたびに上下に
位置変更されるもので、第２図に示すように、インクリ
ボン巻回リール16とインクリボン巻取リール17の２組の
リール対を、下方側のリール対においてそれのインクリ
ボン巻回リール16がインクリボン巻取リール17の左側
に、かつ、上方側のリール対においては逆になるよう
に、夫々前記リール枢支軸12,13に対して着脱ならびに
回転自在に設けると共に、前記サーマルヘツド２近くの
ローラ18…にインクリボンd,dを巻掛けた状態で、当該
インクリボンd,dを前記インクリボン駆動機構14によつ
て択一的に移送するようにしてある。

前記インクリボン駆動機構14は、前記インクリボン装填
具６に対して回転のみ自在に伝動軸19を設けると共に、
前記インクリボン装填具６の上下変位に拘わらず前記ラ
ツクｂに噛合うピニオン20を前記伝動軸19に固着して、
平面視において、前記キヤリツジ１の往動に伴つて前記
伝動軸19を時計廻り方向に回転させ、前記キヤリツジ１
の復動に伴つて伝動軸19を反時計廻り方向に回転させる
ようにしてある。

更に、前記伝動軸19に上下２個の一方向クラツチ21,22
を介して駆動用ローラ23,24を軸支させると共に、上下
一対の従動用ローラ25,25の２組を前記インクリボン装
填具６に設け、かつ、各リール対に巻かれているインク
リボンd,dの外周面に各別に押圧するエンドレスのベル
トA,Bを、上下の各ローラ23,24,25に巻回してある。

そして、上方側リール対のインクリボンｄに対する駆動
用ローラ23側の一方向クラツチ21は、前記キヤリツジ１
の往動時における前記伝動軸19の回転（平面視で時計廻
り方向）を該駆動用ローラ23に伝達するように、かつ、
他方の一方向クラツチ22は、キヤリツジ１の復動時にお
ける伝動軸19の平面視で反時計廻り方向の回転を下方の
駆動用ローラ24に伝達するように、夫々伝動方向を設定
すると共に、更に、前記駆動用ローラ23,24の周速が前
記キヤリツジ１の往復の移動速度に同期するように設定
してある。

前記昇降機構15は次の如く構成されている。即ち、第１
図及び第3,4図に示すように、前記キヤリツジ１にガイ
ドピン26…を立設すると共に、該ガイドピン26…の挿通
孔27…をインクリボン装填具６に形成し、かつ、前記イ
ンクリボン装填具６を降下付勢するスプリング28を設け
る一方、前記キヤリッジ１の中間部をくり抜き、キヤリ
ッジ１の移動方向に直交する方向の水平軸29,29を、ブ
ラケット30を介して前記キヤリッジ１の前記くり抜き部
分に回動自在に取付けると共に、該水平軸29,29にカム
体31…とアーム32,32とを固着し、かつ、前記アーム32,
32の遊端にわたつてロツド33を枢支連結すると共に、前
記キヤリツジ１の往復移動に伴つて移動端近くで前記ロ
ツド33の端部が当接するストツパー34,35を設けて成
り、前記キヤリツジ１が往動（第４図において右方向移
動とする。）端に達したときの前記ストツパー34による
ロツド33の被動によつてアーム32,32を揺動させると共
に、これに伴う前記カム体31…の回動によつて前記スプ
リング28に抗してインクリボン装填具６を上昇させ、か
つ、前記キヤリツジ１が復動端に達したときのストツパ
ー35によるロツド33の被動によつてアーム32,32を逆方
向に揺動させると共に、これに伴うカム体31…の回動に
よつて前記インクリボン装填具６をスプリング28の付勢
力で降下させるようにしてある。

上記の構成によれば、前記キヤリツジ１の往動に伴う上
部ベルトＡの作動によつて、上方側リール対のインクリ
ボンｄのみがキヤリツジ１の移動速度に同期してキヤリ
ツジ移動方向とは逆方向に移送されるので、この間にサ
ーマルヘツド２に印字信号が印加されると、上方側イン
クリボンｄのインクが印字用紙３に鮮明に転写されるこ
とになる。

そして、キヤリツジ１が往復移動端に達すると、前記イ
ンクリボン装填具６が昇降機構15によつて持上げられ、
下方側のインクリボンｄがサーマルヘツド２に対応位置
すると共に、改行相当分だけプラテン４が回動し、か
つ、キヤリツジ１が復動移動を開始すると共に、この復
動に伴う下部ベルトＢの作動によつて、今度は下方側リ
ール対のインクリボンｄのみがキヤリツジ１の移動速度
に同期してキヤリツジ移動方向とは逆方向に移送される
ので、サーマルヘツド２に対する印字信号の印加によつ
て下方側インクリボンｄのインクが印字用紙３に鮮明に
転写されることになる。

次に、キヤリツジ１が復動移動端に達すると、上方側イ
ンクリボンｄがサーマルヘツド２に対応する位置にまで
インクリボン装填具６が下降すると共に、改行相当分だ
けプラテン４が回動し、かつ、キヤリツジ１が往動移動
を再開するもので、以後は上記の動作が繰返し行なわれ
るのである。

上記の往動時における動作方向を実線の矢印で示し、復
動時における動作方向を仮想線の矢印で示しておく。

尚、前記インクリボン装填具６を改行のたびに上下に位
置変更させる構成としたが、往復動の印字を完了するた
びにプラテン４を２行改行分だけ回転させるようにする
と共に、前記サーマルヘツド２を往動端で下方に且つ復
動端で上方に、夫々位置変更自在に構成して実施するも
良く、即ち、２組のリール対とサーマルヘツドとを相対
的に上下変更させるように構成すれば良いのである。

また、実施例では、インクリボン巻回リール16とインク
リボン巻取リール17の２組のリール対を、下方側のリー
ル対においてそれのインクリボン巻回リール16がインク
リボン巻取リール17の左側に、かつ、上方側のリール対
においては逆になるようにする配置構成としたが、上下
のインクリボン巻回リール16,16とインクリボン巻取リ
ール17,17を夫々同じ位置に配置する構成とするも良
く、この場合のインクリボンd,dの巻掛け例を第５図
（イ），（ロ）に示す。

（発明の効果） 以上説明したように本発明による熱転写プリンタは、上
下一対のインクリボンの一方をキヤリツジの往動時にの
み移送させ、他方のインクリボンをキヤリツジの復動時
にのみ移送させるようにして、上下一対のインクリボン
を往動印字用と復動印字用とに使い分けるものであつ
て、従来のように、印字開始に先立つインクリボンの巻
取り動作が不要になり、延いては、その巻取り動作の時
間分だけ印字スピードをアツプできる。換言すれば、連
続的に往復印字を行なえるのである。

しかも、インクリボンの巻取りが不要であるから、イン
クリボン移動のための制御が極めて簡単になり、その
上、インクリボンが上下２段の配置故に、インクリボン
の交換時期を倍加できるものである。

加えて、上下２個の一方向クラッチにそれぞれ連設した
駆動用のローラと別途設けた遊転用のローラおよびこれ
ら各ローラに巻回されて、前記各リール対に巻かれたイ
ンクリボンの外周面に接するエンドレスベルトにより各
リール対に巻かれたインクリボンを駆動させるように構
成しているので、インクリボンの移送速度をキヤリッジ
の移動速度に同期でき、鮮明な印字を得ることができ
る。

そして全体として、構成的に簡単な改良によつて、従来
欠点を伴わない使用面で有用なる熱転写プリンタを提供
できるに至つた。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は熱転写プリンタ
の要部の斜視図、第２図は下方側インクリボンを仮想線
で示すインクリボン駆動機構の平面図、第３図はその駆
動機構の断面図、第４図は昇降機構の詳細図、第５図
（イ），（ロ）は別実施例のインクリボン巻掛け説明図
である。 １……キヤリツジ、２……サーマルヘツド、16……イン
クリボン巻回リール、17……インクリボン巻取リール、
19……伝動軸、21,22……一方向クラツチ、A,B……搬送
部材、ｄ……インクリボン。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 秀輝 大阪府大阪市東区玉造１丁目２番28号 三 田工業株式会社内 (72)発明者 巴 哲郎 大阪府大阪市東区玉造１丁目２番28号 三 田工業株式会社内 (72)発明者 小林 和弘 大阪府大阪市東区玉造１丁目２番28号 三 田工業株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】キヤリッジの左右の往動と復動とが印字改
   行毎に切換わり、かつ、前記キヤリッジの往動ならびに
   復動の何れにおいても、インクリボンを前記キヤリッジ
   とは逆方向に同期移動させながら印字するようにした熱
   転写プリンタであって、前記キヤリッジに対して着脱自
   在なインクリボン巻回リールとインクリボン巻取リール
   の２組のリール対を、前記キヤリッジに回転自在に且つ
   上下に併設する一方、前記キヤリッジの往復動に連動し
   て正逆転する伝動軸を前記キヤリッジに設け、かつ、互
   いに異なる方向の回転動力を伝達する２個の一方向クラ
   ッチを前記伝動軸に設けると共に、前記２個の一方向ク
   ラッチにそれぞれ連設した駆動用のローラと別途設けた
   遊転用のローラおよびこれら各ローラに巻回されて前記
   各リール対に巻かれたインクリボンの外周面に接するエ
   ンドレスベルトにより各リール対のインクリボンを各別
   に駆動させるようにし、更に、前記２組のリール対とサ
   ーマルヘッドとを相対的に上下変位自在に構成して成る
   ことを特徴とする熱転写プリンタ。