JP2531352Y2 - プリンタの駆動機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はプリンタの駆動機構に係り、特にプリンタの
印字ヘッドのプラテンへの接離駆動およびインクリボン
の印字時の巻取り駆動、インクリボンのマーカ検出時の
検出駆動を行なうためのプリンタの駆動機構に関する。

〔従来の技術〕

第９図は従来の一般的なプリンタを示したもので、プ
リンタのフレーム１のほぼ中央部には、平板状のプラテ
ン２がその印字面がほぼ垂直となるように配設されてお
り、前記フレーム１の前記プラテン２の前側下方には、
キャリッジシャフト３が前記プラテン２と平行に配設さ
れている。また、前記フレーム１の前端縁には、フラン
ジ状のガイド部４が形成されており、このガイド部４の
内側縁には、ラック５が形成されている。前記キャリッ
ジシャフト３および前記ガイド部４には、キャリッジ６
が取付けられており、このキャリッジ６は、前記ラック
５に噛合されるモータの駆動により、前記キャリッジシ
ャフト３およびガイド部４に沿って往復動自在とされて
いる。前記キャリッジ６の先端部には、前記プラテン２
に対向するように印字ヘッド７が取付けられており、前
記キャリッジ６の上面には、インクリボンを収納し、こ
のインクリボンを前記印字ヘッド７とプラテン２との間
に案内するリボンカセット（図示せず）が装着されるよ
うになされている。

また、前記プラテン２の後方には、用紙（図示せず）
をプラテン２の前方に送る用紙挿入口８が形成されてお
り、前記用紙挿入口８の部分には、所定速度で前記用紙
を搬送する紙送りローラ９が配設されている。この紙送
りローラ９の下方には、この紙送りローラ９に圧接され
る圧接ローラ10が回転自在に配設されており、前記紙送
りローラ９とこの圧接ローラ10との間に用紙挿入口８か
ら挿入される用紙を挟持して搬送するようになされてい
る。

第10図はこのようなプリンタにおける従来のキャリッ
ジの駆動機構および印字ヘッドの駆動機構を示したもの
で、前記キャリッジ６内には、キャリッジ駆動用モータ
11が設けられており、このキャリッジ駆動用モータ11の
出力ピニオン12は、ギア13を介して前記ラック５に噛合
されている。そして、前記キャリッジ駆動用モータ11の
正逆回転によりキャリッジ６が前記キャリッジシャフト
３に沿って往復動自在とされている。

また、前記キャリッジ６のプラテン２側には、印字ヘ
ッド７の固定部材14が支点15を介して枢着されており、
この固定部材14の先端部に印字ヘッド７が装着されて、
プラテン２に対して接離自在とされている。この印字ヘ
ッド７の固定部材14には、ベルクランク状に形成されて
いるとともに支点16を中心として回動自在とされた従動
節としてのカムフォロワ17の一端部17aが当接されてお
り、その他端部17bは、原動節としてのカム部材18の無
端状のカム溝19に摺動自在に係合されている。このカム
部材18の外周に一体的に形成されたギア20には、伝達ギ
ア21を介して前記キャリッジ６に搭載されている印字ヘ
ッドアップダウン用のモータ22の出力ピニオン23が噛合
されており、前記モータ22の回転によりカム部材18が回
転され、このカム部材18の回転に伴ってカムフォロワ17
が回動され、このカムフォロワ17の回動によりカムフォ
ロワ17の一端部17aに押圧されて固定部材14がプラテン
２に対して進退操作され、印字ヘッド７によるインクリ
ボンおよび記録紙のプラテン２への圧接およびその解除
操作がなされる。

また、インクリボン（図示せず）を巻取るためのイン
クリボン巻取りボビン24を駆動するモータ25も、前述し
た印字ヘッドアップダウン用のモータ22とは別にキャリ
ッジ６に設けられており、その出力ピニオン25aには、
伝達ギア26を介して前記インクリボン巻取りボビン24と
同軸に設けられている巻取りギア27が噛合されている。
また、印字ヘッド７のアップダウンを検知するためのセ
ンサ（図示せず）が設けられており、このセンサにより
印字ヘッド７のアップダウンに対応して前記インクリボ
ン巻取り用のモータ25の動作が制御されるようになって
いる。

前記従来のプリンタにおいては、前記用紙挿入口８か
ら用紙を挿入し、この用紙を前記紙送りローラ９と圧接
ローラ10との間に挟み込んで、紙送りローラ９を回転駆
動させることにより、前記用紙をキャリッジ６の移動方
向と直交方向に所定速度で搬送する。一方、印字ヘッド
アップダウン用のモータ22を駆動して印字ヘッド７を前
記用紙に対して所定の圧接力で圧接させ、この状態で、
前記キャリッジ駆動用のモータ11を駆動してキャリッジ
６を移動させるとともに、前記リボン巻取りモータ25を
駆動して巻取りボビン24を回転させてリボンカセットの
インクリボンを巻取りながら、前記印字ヘッド７を所望
の印字信号に基づいて駆動することにより、前記用紙に
所望の印字を行なうものである。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、前記従来のプリンタの駆動機構においては、
印字ヘッド７をプラテン２に接離駆動させるための印字
ヘッドアップダウン用のモータ22と、インクリボンを巻
取り駆動させるためのインクリボン巻取り用のモータ25
とがそれぞれ別個に設けられているので、キャリッジ６
の大型化および重量の増大化を招くとともに、２種類の
駆動モータ用の電気回路が必要となってしまい、プリン
タの構造が複雑となり、装置の大型化を招いてしまうと
いう問題を有している。さらに、各駆動モータ22,25を
適正に関連動作させるためには、前述した印字ヘッド７
の接離位置を検知するセンサ等が必要となり、回路が複
雑となり、製造コストが高くなってしまうという問題を
有している。

本考案はこれらの点に鑑みてなされたものであり、安
価にかつ簡単な構造で印字ヘッドの接離駆動およびイン
クリボンの巻取り駆動を行なうことができ、装置の小型
化を図ることのできるプリンタの駆動機構を提供するこ
とを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

前記目的を達成するため請求項１に記載の考案に係る
プリンタの駆動機構は、 プリンタの印字ヘッドのプラテンへの接離駆動および
巻取りボビンの回転駆動をそれぞれ行なうプリンタの駆
動機構において、前記印字ヘッドを前記プラテンに圧接
するヘッドダウン位置および前記プラテンから離間した
ヘッドアップ位置にそれぞれ選択的に保持するカム溝が
形成されるとともに、１つの駆動モータの正逆回転駆動
により正逆回転され前記印字ヘッドのプラテンへの接離
駆動を行なうカムと、巻取りボビンを備えた巻取り軸を
スリップ機構を介して回転させるための第１の巻取りギ
アおよび前記巻取り軸を直接回転させるための第２の巻
取りギアと、前記駆動モータの回転により、前記ヘッド
ダウン時に前記第１の巻取りギアに噛合する第１の揺動
ギアと、前記ヘッドアップ時に前記第２の巻取りギアに
噛合する第２の揺動ギアとを備えた揺動アームとからな
るリボン巻取り機構とを設けたことを特徴とするもので
ある。

また、請求項２に記載の考案は、プリンタの印字ヘッ
ドのプラテンへの接離駆動および巻取りボビンの回転駆
動をそれぞれ行なうプリンタの駆動機構において、１つ
の駆動モータの正逆回転駆動により正逆回転され前記印
字ヘッドの接離駆動を行なうカムを配設し、このカムに
前記印字ヘッドをヘッドダウン位置、ヘッドアップ位置
およびこれら各位置の中間で弱い圧接力でのヘッドダウ
ン位置にそれぞれ選択的に保持するカム溝を設け、前記
駆動モータの回転により、前記ヘッドダウン時に前記巻
取りボビンをスリップ機構を介して巻取り駆動させると
ともに、前記ヘッドアップ時に前記巻取りボビンを直接
巻取り駆動させる巻取り伝達機構を設けたことを特徴と
するものである。

〔作用〕

本考案によれば、１つの駆動モータにより、印字ヘッ
ドのプラテンへの接離駆動および巻取りボビンを通常の
巻取り駆動とインクリボンのマーカを検出するための検
出駆動とを行なうようにしているので、安価でかつ構造
が簡単となり、装置の小型化を図ることができ、しか
も、製造コストを著しく低減させることができる。ま
た、強い圧接力と弱い圧接力との２種類の圧接力でのヘ
ッドダウン位置に保持することができるので、印字方
式、印字速度あるいは印字用紙に応じて適正に圧接力を
切換えて適正な印字を行なうことができるものである。

〔実施例〕 以下、本考案の実施例を第１図から第８図を参照して
説明する。

第１図から第８図は本考案に係るプリンタの駆動機構
の一実施例を示したもので、図示しないキャリッジに搭
載された１つの駆動モータ（図示せず）の出力軸には、
ピニオン28が固着されており、このピニオン28には、大
小２段に形成されたヘッド接離用揺動ギア29（第６図参
照）の大径側29aが噛合されている。このヘッド接離用
揺動ギア29は、キャリッジに垂設された中心軸29cを中
心として回転自在に装着されており、この中心軸29cの
上端部にほぼ台形状の揺動板30が揺動自在に取付けられ
ている。また、前記揺動板30には、前記ヘッド接離用揺
動ギア29の小径側29bに噛合されるヘッドダウン用ギア3
1およびヘッドアップ用ギア32が、それぞれ揺動板30よ
り垂下された中心軸31a,32aに回転自在に取付けられて
おり、前記ヘッド接離用揺動ギア29の近傍には、前記揺
動板30の揺動により、前記ヘッドダウン用ギア31および
ヘッドアップ用ギア32がそれぞれ選択的に噛合されるカ
ムギア33が回転自在に配設されている。

前記揺動板30の前記カムギア33の上面に対応する位置
には、係合ピン34が下向きに突設されており、前記カム
ギア33の上面には、第４図に示すように、前記ヘッドダ
ウン用ギア31がカムギア33に噛合した状態の時に、前記
係合ピン34が案内されるヘッドダウン用カム溝35aが中
心側に形成されており、またこのヘッドダウン用カム溝
35aの外周に位置するとともに、前記ヘッドアップ用ギ
ア32がカムギア33に噛合した状態の時に、前記係合ピン
34が案内されるヘッドアップ用カム溝35bが形成されて
いる。前記ヘッドダウン用カム溝35aおよびヘッドアッ
プ用カム溝35bは、揺動部35cを介して連通されており、
一方のヘッドアップ用カム溝35bの前記揺動部35cの直径
方向対称位置には、ヘッドダウン用カム溝35a側に凹入
された間欠凹部35dが形成されている。さらに、前記カ
ムギア33の外周面には、前記ヘッドダウン用ギア31が係
合されて回転伝達不可能とするダウン間欠部36および前
記ヘッドアップ用ギア32が係合されて回転伝達不可能と
するアップ間欠部37がそれぞれ形成されており、前記カ
ムギア33の下面には、ほぼ渦巻状の接離駆動用カム溝38
が形成されている。

また、前記ヘッド接離用揺動ギア29の小径側29bに
は、伝達ギア39を介して第１遊びギア40が噛合されてお
り、この第１遊びギア40には、小径の第２遊びギア41が
同軸状に、かつ、互いに所定間隔を有するように独立し
て回転自在に配設されている。前記各遊びギア40,41の
互いに対向する面には、第７図に示すように、それぞれ
相対的に約１回転すると互いに係合してそれ以上の回転
を伝達するための係合突起42,42が突設されている。

さらに、前記第２遊びギア41には、ギア29と同様に大
小２段に形成された巻取り用揺動ギア44の大径側44aが
噛合されており、この巻取り用揺動ギア44の中心軸44c
の上端部には揺動アーム43が揺動自在に取付けられてい
る。また、前記揺動アーム43には、前記巻取り用揺動ギ
ア44の小径側44bに噛合される巻取り用ギア45および検
出用ギア46がそれぞれ回転自在に取付けられており、前
記巻取り用揺動ギア44の近傍には、図示しないリボンカ
セットのインクリボンを巻取る巻取り機構47が配設され
ている。

前記巻取り機構47は、第８図に示すように、上端部に
リボンカセットの巻取り孔（図示せず）に係合される巻
取りボビン48が固着された巻取り軸49を有しており、こ
の巻取り軸49の下端部には、外方に突出するリボンマー
カ検出用の検出駆動ギア50が一体に形成されている。ま
た、前記巻取り軸49には、巻取り駆動ギア51が前記巻取
り軸49と独立して回転自在に遊嵌されており、前記巻取
りボビン48と前記巻取り駆動ギア51との間には、前記巻
取り駆動ギア51を前記検出駆動ギア50にフェルト52を介
して圧接させる付勢ばね53が配設されている。そして、
前記揺動アーム43が揺動駆動されることにより、前記巻
取り用ギア45がアイドルギア54を介して巻取り駆動ギア
51に、前記検出用ギア46が検出駆動ギア50にそれぞれ選
択的に噛合されるようになっている。

また、前記キャリッジには、ヘッド接離用カムレバー
55がその中間部を支軸56を中心として揺動自在に配設さ
れており、このヘッド接離用カムレバー55の一端部に
は、第５図に示すように、前記カムギア33の接離駆動用
カム溝38に係合される接離駆動用ピン57が取付けられて
いる。また、前記ヘッド接離用カムレバー55の他端部に
は、筒状の軸受58が固着されており、この軸受58の内側
には、先端部が印字ヘッド７の裏面に当接する圧接軸59
が摺動自在に配設されている。この圧接軸59の基端部に
は、圧接軸59の抜落ちを防止するためのストッパ60が取
付けられており、前記軸受58の外周側には、前記圧接軸
59を前記印字ヘッド７に対して強い付勢力で付勢する圧
接ばね61が配設されている。さらに、前記印字ヘッド７
には、前記印字ヘッド７をヘッドアップ方向に微弱な付
勢力で付勢するヘッドアップばね62が取付けられてお
り、前記ヘッド接離用カムレバー55の他端部には、前記
ヘッド接離用カムレバー55を前記ヘッドアップばね62よ
り強い付勢力でヘッドダウン方向に付勢するレバーばね
63が取付けられている。

次に、本実施例の作用について説明する。

まず、第２図に示すヘッドアップの状態から、第１図
に示すように印字ヘッド７を図示しないプラテンに当接
させてヘッドダウンさせる場合について説明する。

この場合は、モータを駆動してピニオン28を第２図中
時計方向に回転駆動させると、ヘッド接離用揺動ギア29
が反時計方向に回転され、前記揺動板30も中心軸29c回
りに反時計方向に揺動され、前記ヘッドダウン用ギア31
がカムギア33に噛合されるとともに、前記揺動板30の係
合ピン34が揺動部35cを通ってカムギア33のダウン用カ
ム溝35aに係合される。これにより、前記カムギア33が
反時計方向に回転され、これに伴い、ヘッド接離用カム
レバー55が、その接離駆動用ピン57をカムギア33の接離
駆動用カム溝38の大径部から小径部に向けて次第に外側
から内側に案内されることにより、支軸56を中心として
時計方向に揺動される。そして、第１図に示すように、
前記カムギア33がほぼ１回転してヘッドダウン用ギア31
が前記カムギア33のダウン間欠部36に位置すると、前記
ピニオン28の回転力がカムギア33に伝達されなくなり、
前記カムギア33は停止される。この状態で、その接離駆
動用ピン57が接離駆動用カム溝38の最も小径側に位置す
ることになるので、前記ヘッド接離用カムレバー55が最
も印字ヘッド７に近接して位置に保持され、前記ヘッド
接離用カムレバー55の圧接軸59が、印字ヘッド７の裏面
に圧接ばね61の付勢力とともに強く圧接され、前記印字
ヘッド７を強い力でプラテンに圧接させるようになって
いる。

一方、前記ヘッド接離用揺動ギア29の回転力は、伝達
ギア39を介して第１遊びギア40に伝達され、この第１遊
びギア40が反時計方向に回転されるが、前記第１遊びギ
ア40の係合突起42と第２遊びギア41の係合突起42とが係
合するまでは、第２遊びギア41は回転されない。この間
に、前記印字ヘッド７のヘッドダウンが完了するもので
あり、前記ピニオン28をさらに回転させることにより、
前記第１遊びギア40がほぼ１回転して、前記第１遊びギ
ア40の係合突起42と第２遊びギア41の係合突起42とが係
合すると、前記第１遊びギア40の回転力が前記各係合突
起42を介して第２遊びギア41に伝達され、巻取り用揺動
ギア44が時計方向に回転される。これに伴い、前記揺動
アーム43が中心軸44c回りに時計方向に揺動して巻取り
用ギア45がアイドルギア54を介して巻取り駆動ギア51に
噛合される。これにより、前記巻取り駆動ギア51が回転
駆動されるとともにその回転力が前記フェルト52の摩擦
力により検出駆動ギア50を介して前記巻取り軸49に伝達
され、前記巻取りボビン48が回転されて、インクリボン
の巻取りが行なわれる。

そして、このインクリボンの巻取り開始と同時に、キ
ャリッジを桁上げ方向に駆動しながら、前記印字ヘッド
７の各発熱素子を所望の印字信号に基づいて通電するこ
とにより、所望の印字が行なわれる。

次に、第１図に示すヘッドダウン位置から、第２図に
示すように印字ヘッド７を図示しないプラテンから離間
させてヘッドアップさせる場合について説明する。

この場合は、モータをヘッドダウン時とは逆方向に駆
動してピニオン28を第１図中反時計方向に回転駆動させ
ることにより、ヘッド接離用揺動ギア29が時計方向に回
転され、前記揺動板30が中心軸29c回りに時計方向に揺
動され、前記ヘッドアップ用ギア32がカムギア33に噛合
されるとともに、前記揺動板30の係合ピン34が揺動部35
cを介してカムギア33のアップ用カム溝35bに係合され
る。これにより、前記カムギア33が時計方向に回転さ
れ、これに伴い、ヘッド接離用カムレバー55がその接離
駆動用ピン57がカムギア33の接離駆動用カム溝38により
次第に内側から外側に案内されることにより、支軸56を
中心として反時計方向に揺動される。そして、第２図に
示すように、前記カムギア33がほぼ１回転してヘッドア
ップ用ギア32が前記カムギア33のアップ間欠部37に位置
すると、前記ピニオン28の回転力がカムギア33に伝達さ
れなくなり、前記カムギア33は停止される。この状態
で、その接離駆動用ピン57が接離駆動用カム溝38の最も
外側に位置することになるので、ヘッド接離用カムレバ
ー55がレバーばね63の付勢力に抗して最も印字ヘッド７
から離間した位置に保持され、前記ヘッド接離用カムレ
バー55の圧接軸59が、印字ヘッド７の裏面に圧接されな
くなり、前記印字ヘッド７がヘッドアップばね62の付勢
力によりプラテンから離間されるようになっている。

一方、前記ヘッド接離用揺動ギア29の回転力は、伝達
ギア39を介して第１遊びギア40に伝達され、この第１遊
びギア40が時計方向に回転されるが、前記第１遊びギア
40および第２遊びギア41の各係合突起42が反対側で係合
しているので、第１遊びギア40が逆方向にほぼ１回転す
るまでは、第２遊びギア41は回転されない。この間に、
前記印字ヘッド７のヘッドアップが完了するものであ
り、前記ピニオン28をさらに回転させることにより、前
記第１遊びギア40の係合突起42と第２遊びギア41の係合
突起42とが係合し、前記第１遊びギア40の回転力が前記
各係合突起42を介して第２遊びギア41に伝達され、巻取
り用揺動ギア44が反時計方向に回転され、これに伴い、
前記揺動アーム43が中心軸44c回りに反時計方向に揺動
して検出用ギア46が検出駆動ギア50に噛合される。これ
により、長手方向に複数色が配列された各色をマーカに
より検出するカラーリボンを使用する際には前記検出駆
動ギア50が回転して巻取り軸49が直接回転駆動され、巻
取りボビン48を回転させて所定のインクリボンのマーカ
を検出するようにしている。また、前記インクリボンの
マーカの検出を行なう必要のない単色リボンを使用する
際には、前記ピニオン28をわずかに回転させると、前記
ヘッドアップ動作により生じたインクリボンのたるみを
除去することができる。

さらに、第３図に示すように弱い圧接力でヘッドダウ
ンさせる場合について説明する。

この場合は、上述のように第１図に示すヘッドダウン
位置から第２図に示すヘッドアップ位置に動作させるよ
うに、ピニオン28を反時計方向に回転駆動させ、これに
より、前記ヘッドアップ用ギア32がカムギア33に噛合さ
れるとともに、前記揺動板30の係合ピン34が揺動部35c
を通ってカムギア33のアップ用カム溝35bに係合され
る。この状態でカムギア33を回転させ、揺動板30の係合
ピン34がアップ用カム溝35bの間欠凹部35d部分に位置し
た時に、前記モータを逆方向に回転駆動させて前記ピニ
オン28を時計方向に回転させることにより、前記揺動板
30が中心軸29a回りに時計方向に揺動して、第３図に示
すように係合ピン34が前記間欠凹部35dに入り込む。こ
れにより、前記前記揺動板30の揺動が阻止されるので、
前記ヘッドダウン用ギア31およびヘッドアップ用ギア32
のいずれもが前記カムギア33に噛合できなくなり、さら
に、前記ヘッド接離用カムレバー55は、前記強い圧接力
によるヘッドダウン時とヘッドアップ時とのほぼ中間の
揺動位置に保持されることになる。その結果、前記圧縮
ばね61は圧縮されず、前記ヘッド接離用カムレバー55の
レバーばね63の付勢力のみによって前記圧接軸59が印字
ヘッド７の裏面を押圧することになり、弱い力でのヘッ
ドダウン状態に保持することができる。

一方、前記ヘッド接離用揺動ギア29の反時計方向の回
転により、前記強い力でのヘッドアップ時と同様に、伝
達ギア39、第１遊びギア40および第２遊びギア41をそれ
ぞれ介して巻取り用揺動ギア44が時計方向に回転され
る。これに伴い、巻取り用ギア45がアイドルギア54を介
して巻取り駆動ギア51に噛合されることにより、前記巻
取り駆動ギア51の回転駆動力が前記フェルト52の摩擦力
により検出駆動ギア50を介して前記巻取り軸49に伝達さ
れ、前記巻取りボビン48が回転されて、インクリボンの
巻取りが行なわれる。

したがって、本実施例においては、１つの駆動モータ
により、印字ヘッド７をプラテンに接離駆動させるとと
もに、巻取りボビン48の通常の巻取り駆動とインクリボ
ンのマーカを検出するための検出駆動とを行なうように
しているので、安価でかつ構造が簡単となり、装置の小
型化を図ることができ、しかも、製造コストを著しく低
減させることができる。

また、前記印字ヘッド７を強い圧接力と弱い圧接力と
の２種類の圧接力でのヘッドダウン位置に保持すること
ができるので、例えば、強い圧接力ではインクリボンを
介した熱転写印字、弱い圧接力では感熱紙に直接印字す
るダイレクトサーマル印字をそれぞれ行ない、さらに、
駆動モータに負荷の掛かる高速印字時や、光透過性の問
題からインクをつぶさないようにすることが要求される
OHPシートへの印字時等には弱い圧接力で印字すること
ができ、印字方式、印字速度あるいは印字用紙に応じて
適正に圧接力を切換えて適正な印字を行なうことが可能
となる。

なお、本考案は前記実施例に限定されるみまではな
く、必要に応じて種々変更することが可能である。

〔考案の効果〕

以上述べたように本考案に係るプリンタの駆動機構
は、１つの駆動モータにより、印字ヘッドのプラテンへ
の接離駆動および巻取りボビンを通常の巻取り駆動とイ
ンクリボンのマーカを検出するための検出駆動とを行な
うようにしているので、安価でかつ構造が簡単となり、
装置の小型化を図ることができ、製造コストを著しく低
減させることができる。また、強い圧接力と弱い圧接力
との２種類の圧接力でヘッドダウンさせることができる
ので、印字方式、印字速度あるいは印字用紙に応じて適
正に圧接力を切換えて適正な印字を行なうことが可能と
なる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図から第８図は本考案のプリンタの駆動装置の一実
施例を示したもので、第１図はヘッドダウン状態を示す
平面図、第２図はヘッドアップ状態を示す平面図、第３
図は弱い圧接力でのヘッドダウン状態を示す平面図、第
４図はカムギアの斜視図、第５図はカムギアの側面図、
第６図はヘッド接触用揺動ギアおよび揺動板部分の側面
図、第７図は遊びギアの正面図、第８図は巻取り機構の
縦断面図、第９図は従来の一般的なプリンタを示す斜視
図、第10図は従来の印字ヘッドの接離駆動およびインク
リボンの巻取り駆動装置を示す平面図である。 ７……印字ヘッド、28……ピニオン、29……ヘッド接離
用揺動ギア、30……揺動板、31……ヘッドダウン用ギ
ア、32……ヘッドアップ用ギア、33……カムギア、34…
…係合ピン、35……カム溝、38……接離駆動用カム溝、
43……揺動アーム、44……巻取り用揺動ギア、45……巻
取り用ギア、46……検出用ギア、47……巻取り機構、48
……巻取りボビン、55……ヘッド接離用カムレバー、59
……圧接軸。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】プリンタの印字ヘッドのプラテンへの接離
   駆動および巻取りボビンの回転駆動をそれぞれ行なうプ
   リンタの駆動機構において、 前記印字ヘッドを前記プラテンに圧接するヘッドダウン
   位置および前記プラテンから離間したヘッドアップ位置
   にそれぞれ選択的に保持するカム溝が形成されるととも
   に、１つの駆動モータの正逆回転駆動により正逆回転さ
   れ前記印字ヘッドのプラテンへの接離駆動を行なうカム
   と、 巻取りボビンを備えた巻取り軸をスリップ機構を介して
   回転させるための第１の巻取りギアおよび前記巻取り軸
   を直接回転させるための第２の巻取りギアと、 前記駆動モータの回転により、前記ヘッドダウン時に前
   記第１の巻取りギアに噛合する第１の揺動ギアと、前記
   ヘッドアップ時に前記第２の巻取りギアに噛合する第２
   の揺動ギアとを備えた揺動アームとからなるリボン巻取
   り機構と を設けたことを特徴とするプリンタの駆動機構。
2. 【請求項２】プリンタの印字ヘッドのプラテンへの接離
   駆動および巻取りボビンの回転駆動をそれぞれ行なうプ
   リンタの駆動機構において、１つの駆動モータの正逆回
   転駆動により正逆回転され前記印字ヘッドの接離駆動を
   行なうカムを配設し、このカムに前記印字ヘッドをヘッ
   ドダウン位置、ヘッドアップ位置およびこれら各位置の
   中間で弱い圧接力でのヘッドダウン位置にそれぞれ選択
   的に保持するカム溝を設け、前記駆動モータの回転によ
   り、前記ヘッドダウン時に前記巻取りボビンをスリップ
   機構を介して巻取り駆動させるとともに、前記ヘッドア
   ップ時に前記巻取りボビンを直接巻取り駆動させる巻取
   り伝達機構を設けたことを特徴とするプリンタの駆動機
   構。