JPH0739354A

JPH0739354A - 乳成分含有飲料

Info

Publication number: JPH0739354A
Application number: JP5204680A
Authority: JP
Inventors: Fumiko Yoshida; 文子吉田; Hitoshi Murakami; 斎村上
Original assignee: Riken Vitamin Co Ltd
Current assignee: Riken Vitamin Co Ltd
Priority date: 1993-07-27
Filing date: 1993-07-27
Publication date: 1995-02-10

Abstract

(57)【要約】【構成】乳成分を含む飲料に乳化剤として、ジグリセ
リン脂肪酸エステルを含有する。【効果】本発明によれば、モノエステル含量が50％以
上のジグリセリン脂肪酸エステルを飲料に配合すること
により、耐熱性芽胞菌の成育を抑制し、フラットサワー
変敗を防止するため、乳成分を含む飲料の長期保存が可
能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は耐熱性芽胞菌成育抑制効
果を有する乳成分含有飲料に関し、さらに詳しくは、モ
ノエステル含量が50％以上のジグリセリン脂肪酸エステ
ルを配合することを特徴とする、耐熱性芽胞菌成育抑制
効果を有する乳成分飲料に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】現在、市販されている飲料の多くは乳成
分を含んでおり、その代表的なものとしてはコーヒー飲
料があげられる。乳成分としては、牛乳，脱脂粉乳，全
脂粉乳などがあり、風味向上，まろやかさの付与効果を
持つ。これら乳成分含有飲料は、通常滅菌処理である商
業的滅菌が行われるが、この滅菌処理では耐熱性芽胞菌
が残存しうるため、加温式自動販売機で乳成分含有飲料
を長期保存すると、耐熱性芽胞菌胞子の発芽・増殖によ
る変敗が問題となる。

【０００３】これら耐熱性芽胞菌による変敗を防止する
方法として、ショ糖脂肪酸エステルを使用する方法（特
公昭62-33860号公報）や、デカグリセリン脂肪酸エステ
ル（特開昭62-163678 号公報）を使用する方法がある
が、乳成分の多い飲料では効果が不十分であり、また添
加量を多くすると飲料の風味が悪くなる問題が出てく
る。また、長期間の効果も充分でないことから、いずれ
の方法も満足できるとはいい難い。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このように乳成分を多
く含む飲料において、滅菌温度条件を上昇させることな
く耐熱性芽胞菌の成育抑制に効果を示し、さらに滅菌乳
成分含有飲料を高温にて保存した場合も、耐熱性芽胞菌
胞子の食品中での発芽増殖による変敗を防止する方法
は、得られていないのが現状である。

【０００５】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
耐熱性芽胞菌の成育抑制効果を有する乳成分含有飲料の
提供を目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上記実情に
鑑み鋭意検討した結果、ジグリセリン脂肪酸エステルを
乳成分飲料に添加することにより、耐熱性芽胞菌による
フラットサワー変敗を防止することを見出し、本発明に
到達した。すなわち、本発明は乳成分を多く含む飲料に
ジグリセリン脂肪酸エステルを配合することにより、耐
熱性芽胞菌成育抑制効果を有する乳成分含有飲料に存す
る。

【０００７】以下に本発明を詳細に説明する。本発明に
用いられるジグリセリン脂肪酸エステルは、ジグリセリ
ンと脂肪酸のエステル化反応あるいはジグリセリンとト
リグリセライドのエステル交換反応の後、通常分子蒸留
によって目的に合ったモノエステル含量まで高められ
る。

【０００８】本発明に用いられるジグリセリン脂肪酸エ
ステルの構成脂肪酸は炭素数が８〜22の飽和または不飽
和脂肪酸、あるいはこれらの１種又は２種以上の混合物
である。

【０００９】本発明のジグリセリン脂肪酸エステルは、
モノエステル含量が50％以上、さらに好ましくは70％以
上含有されていることが望ましい。50％未満の場合は、
耐熱性芽胞菌成育抑制効果が不十分となり好ましくな
い。

【００１０】本発明のジグリセリン脂肪酸エステルの添
加方法は、直接添加するか、60℃以上に加温された水又
は油脂中に溶解，分散後添加してもよい。また、添加量
は乳成分含有飲料に対し、 0.001〜1.0 重量％である。
好ましくは食品に対して0.01〜0.5 ％添加する。添加量
が 0.001重量％より少ない場合は本発明の効果が十分で
なく、また 1.0％より多い場合は風味に影響を及ぼすお
それがある。

【００１１】また、本発明のジグリセリン脂肪酸エステ
ルとともにグリセリン脂肪酸エステル，ショ糖脂肪酸エ
ステル，ソルビタン脂肪酸エステル，プロピレングリコ
ール脂肪酸エステル，ポリグリセリン脂肪酸エステル，
レシチン等乳化剤を併用してもよい。

【００１２】このようにして得られる乳成分含有飲料
は、ジグリセリン脂肪酸エステルの効果により、耐熱性
芽胞菌によるフラットサワー変敗を抑制し、さらに飲料
の風味にも影響を及ぼさないものである。

【００１３】

【実施例】以下に本発明を実施例および比較例により詳
細に説明する。

【００１４】（実施例１）コーヒー豆抽出液20kg，グラ
ニュー糖４kg，牛乳20kg，脱脂粉乳６kg，ジグリセリン
ステアリン酸エステル（モノエステル含量70％・ポエム
ＤＳ−１００Ａ理研ビタミン（株）製品）50ｇをよく混
合し、予備乳化後、ピストンホモゲナイザーにより 150
kg／cm²にて均質化を行う。得られたコーヒー乳飲料を
缶に入れ密封し、 121℃で20分間加熱滅菌を行う。さら
に55℃下に60日間保存後、変敗の有無を調べた結果、フ
ラットサワー変敗はまったく認められなかった。

【００１５】（実施例２）コーヒーエキス２kg，水25k
g，全脂粉乳５kg，牛乳13kg，グラニュー糖６kg，ジグ
リセリンオレイン酸エステル（モノエステル含量80％・
ポエムＤＯ−１００理研ビタミン（株）製品） 100ｇを
よく混合し、実施例１と同様に変敗の有無を調べた。そ
の結果、フラットサワー変敗はまったく認められなかっ
た。

【００１６】（比較例１）ジグリセリンステアリン酸エ
ステル（モノエステル含量70％）に代えて、ジグリセリ
ンステアリン酸エステル（モノエステル含量35％）を添
加した他は、実施例１と同様にして変敗の有無を調べ
た。その結果、フラットサワー変敗が認められた。

【００１７】（比較例２）ジグリセリンステアリン酸エ
ステルに代えて、グリセリンステアリン酸エステルを添
加した他は、実施例１と同様にして変敗の有無を調べ
た。その結果、フラットサワー変敗が認められた。

【００１８】（比較例３）ジグリセリンオレイン酸エス
テルに代えて、ソルビタントリステアレートを添加した
他は、実施例２と同様にして変敗の有無を調べた。その
結果、フラットサワー変敗が認められた。

【００１９】（比較例４）ジグリセリンステアリン酸エ
ステルに代えて、クエン酸モノグリセリドを添加した他
は、実施例２と同様にして変敗の有無を調べた。その結
果、フラットサワー変敗が認められた。

【００２０】

【発明の効果】以上のように、本発明のジグリセリン脂
肪酸エステルを添加した乳成分含有飲料は、耐熱性芽胞
菌の成育を抑制し、フラットサワー変敗を防止するた
め、乳成分を多く含む飲料の長期高温保存が可能となっ
た。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ａ２３Ｌ 2/38 Ｐ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ジグリセリン脂肪酸エステルを含むこと
を特徴とする乳成分含有飲料。
【請求項２】乳成分を含む飲料にジグリセリン脂肪酸
エステルを配合したことを特徴とする耐熱性芽胞菌成育
抑制効果を有する乳成分含有飲料。
【請求項３】モノエステル含量が50％以上のジグリセ
リン脂肪酸エステルを配合した請求項１又は２記載の乳
成分含有飲料。
【請求項４】ジグリセリン脂肪酸エステルを用いて耐
熱性芽胞菌による乳成分含有飲料の変敗を防止する方
法。
【請求項５】ジグリセリン脂肪酸エステルを有効成分
とする乳成分含有飲料用乳化剤。