JPH0736767Y2 - インクリボンカートリッジ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、タイプライターやコンピュータプリンタに使
用されるインクリボンカートリッジに関し、詳しくは、
インクリボンを屈曲姿勢で収納するリボン収納部が設け
られ、インクリボンが前記リボン収納部から繰り出して
走行させるべく巻回されているインクリボンカートリッ
ジに関する。

〔従来の技術〕

従来、冒記インクリボンカートリッジにおいては、リボ
ン収納部から繰り出されるインクリボンを繰り出し途中
位置で厚み方向に挾持してインクリボン走行力に対抗す
る抵抗力を与え、もって、挾持位置よりも繰り出し方向
下手側のインクリボンに対して所定の張力を付与して、
屈曲姿勢で収納されていたインクリボンを弛みのない姿
勢で所定の経路に沿って巻き回すように構成していた。

〔考案が解決しようとする課題〕

リボン収納部に屈曲姿勢で収納されているインクリボン
は、インク成分の有する粘着性或いはインクリボンに帯
電した静電気によって互いに密着し易いものであり、屈
曲姿勢で側面どうしが互いに密着している状態のインク
リボンが繰り出されると、インクリボン走行力に対抗す
る抵抗力を与える挾持位置よりも下手側では、インクリ
ボンに与えられる張力によってインクリボンどうしの密
着が解除されて弛みが生じ、印字不良や詰りが生じ易い
問題がある。

この問題を解決するには、例えばリボン収納部から挾持
位置に至るインクリボン繰り出し経路の途中に、インク
リボンの厚みよりも若干広い間隔が形成されているゲー
トを設けることも考えられる。このようにして、インク
リボンがこのゲート間隔の間を通過して繰り出されるよ
うに巻回して、側面が互いに密着している状態のインク
リボンが繰り出された場合には、このゲートで密着を強
制的に解除するようにしえるであろう。しかし、インク
リボンの厚みは通常数10μｍと極めて薄く、カートリッ
ジケースの加工組付けに高い精度が要求されるだけでな
く、インクリボンを狭いゲート間隔内に差し込んで装着
しなければならないので生産性が低下する問題が新たに
生じる。

本考案は上記実状に鑑みて為されたものであって、イン
クリボンどうしの密着を強制的に解除するゲート状の構
造を工夫することにより、インクリボンの弛みやそれに
起因する印字不良や詰りを防止できるインクリボンカー
トリッジを、簡単に組付けることができるようにするこ
とを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成する為の本考案の特徴構成は冒記インク
リボンカートリッジにおいて、前記リボン収納部よりも
リボン繰り出し側に、インクリボンを厚み方向に弾性的
に挾持する挾圧部材が設けられ、前記リボン収納部と前
記挾圧部材による挾持位置との間に、インクリボンを一
定又はほぼ一定経路に沿って繰り出す案内機構が設けら
れるとともに、前記一定又はほぼ一定経路に沿って繰り
出されるインクリボンの一側面側と他側面側に各別に作
用するスクレーパが、前記案内機構による案内開始位置
と案内終了位置との間に、インクリボンの繰り出し方向
に位相をずらせて設けられている点にあり、かかる構成
から次の作用並びに効果を奏する。

〔作用〕

インクリボンは案内機構の作用で一定又はほぼ一定径路
に沿って繰り出されるとともに、挾圧部材の作用でイン
クリボン走行力に対抗する抵抗力が付与されているの
で、インクリボンはその走行にともなって弛みのない姿
勢で所定の径路に沿って巻回される、側面が互いに密着
している状態のインクリボンが繰り出された場合には、
スクレーパ部のいずれか或いは双方がその密着部分のイ
ンクリボンに接触して、その密着が強制的に解除され、
インクリボンの弛みやそれに起因する印字不良や詰まり
が生じにくいのであるが、２個のスクレーパ部を狭い間
隔で配置固定するのではなく、インクリボンの一側面側
と他側面側に各別に作用するスクレーパを、案内機構に
よる案内開始位置と案内終了位置との間に、インクリボ
ンの繰り出し方向に位相をずらせて設けてあるから、ス
クレーパ部の各々をインクリボン側面に対して作用させ
得るものでありながら、スクレーパ部の組付けに高い精
度を要さず、しかも、スクレーパ部に対してインクリボ
ンを組付ける際には、そのインクリボンを狭いゲート間
隔内に差し込むことを要しない。

そして、このときの側面どうしの密着の解除によってイ
ンクリボンに弛みが生じるが、前記スクレーパよりもイ
ンクリボンの繰り出し方向下手側に挾圧部材を設けてあ
るから、この弛みに起因して挾圧部材の下手側の巻回経
路で弛みが生じるおそれはない。

〔考案の効果〕

２個のスクレーパを狭い間隔で対抗する姿勢で設け、こ
の２個のスクレーパの間にインクリボンを通過させるの
ではなく、インクリボンを挾む両側に、インクリボンの
繰り出し方向に位相をずらして各別に形成したスクレー
パでインクリボン側面どうしの密着を解除するから、ス
クレーパ部の各々をインクリボン側面に対して作用させ
て、インクリボンの弛みやそれに起因する印字不良や詰
まりを防止できるものでありながら、スクレーパ部の組
付けに高い精度を要さず、しかも、インクリボンをスク
レーパ部に対して装着し易いから、簡単に組付けること
ができる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は液状或いはゲル状の油性インクを塗布してある
エンドレスインクリボン（Ｒ）のインクリボンカートリ
ッジを示し、これは、左右一対のリボンガイド用腕部
（1A），（1B）を一体形成してある合成樹脂製の本体ケ
ース（１）と、この本体ケース（１）の上方開口部を閉
止する合成樹脂製の蓋板（２）とから成るカートリッジ
ケース（Ａ）を主要構成として備え、前記一対の腕部
（1A），（1B）間に掛け渡されたインクリボン（Ｒ）を
インパクトドットヘッド（Ｈ）により印打可能に構成し
てある。

前記本体ケース（１）には、前記エンドレスインクリボ
ン（Ｒ）の主要部をファンホールド状に折畳み収納可能
な左右に細長い矩形状のリボン収納部（３）を形成して
ある。このリボン収納部（３）の入口側で、かつ、前記
インクリボン（Ｒ）の走行経路の両側脇には、プリンタ
ーから動力を受けて駆動される大径の駆動フィードロー
ル（４）と小径の従動フィードロール（５）とを付設し
て、このフィードロール（４），（５）の駆動により、
リボン収納部（３）の出口から繰り出されたインクリボ
ン（Ｒ）をリボン走行経路に沿って走行させるととも
に、このインクリボン（Ｒ）をファンホールド状に折畳
みながらリボン収納部（３）内に収納すべく構成してあ
る。

前記リボン収納部（３）の出口側には、インクリボン
（Ｒ）を通過させるリボン通路（６）を備えた固定壁
（７）を設け、このリボン通路（６）に向けてインクリ
ボン（Ｒ）を円滑に移動させるべく案内部材（3a）を設
けるとともに、固定壁（７）よりもインクリボン（Ｒ）
の繰り出し方向下手側に、インクリボン（Ｒ）を厚み方
向に挾持してインクリボン走行力に対抗する抵抗力を支
える挾圧部材としての板バネ（８）を設け、リボン通路
（６）を通過したインクリボン（Ｒ）が固定壁（７）に
形成した角部（7a）と板バネ（８）による挾持位置（1
C）とを結ぶほぼ一定の経路に沿って繰り出される案内
機構（Ｂ）を構成してある。

そして、案内機構（Ｂ）による案内開始位置と案内終了
位置との間に、前記角部（7a）と挾持位置（1C）とを結
ぶ線分に対してほぼ交叉する位置まで延設されてインク
リボン（Ｒ）の一側面に対して接触するスクレーパ（9
a）と、前記板バネ（８）の受け止め部に形成されてイ
ンクリボン（Ｒ）の他側面に対して接触するスクレーパ
（9a）とをインクリボン（Ｒ）の繰り出し方向に位相を
ずらせて、カートリッジケース（Ａ）の上下内周面間に
亘って設け、もって、インクリボン（Ｒ）が互いに密着
している状態で繰り出された場合に、その密着部分或い
は密着部分を形成するインクリボンがその全巾に亘って
スクレーパ（9a），（9b）のいずれか又はその双方に順
次接触して、その密着が強制的に解除されるように構成
してある。

前記板バネ（８）の受け止め部に形成されるスクレーパ
（9b）は、インクリボン巾方向視でその断面形状が、第
２図に示すように、円弧状の面（9c）と、この円弧状の
面（9c）と交叉してその交叉部（9d）がスクレーパ作用
を行う扁平な面（9e）と、この扁平な面（9e）と滑らか
に連なる曲面（9f）とで囲まれる形状に形成され、前記
扁平な面（9e）のほぼ全体で板バネ（８）の先端部（8
a）を受け止めるように構成して、板バネ（８）の付勢
力がインクリボン（Ｒ）に対して分散して作用するよう
にしてある。

〔別実施例〕

第３図は上記実施例における案内機構（Ｂ）の変形例を
示し、固定壁（７）へ形成したリボン通路（６）に代え
て、２本のピン（10a），（10b）を左右方向に並設し
て、このピン（10a），（10b）の間にインクリボン
（Ｒ）を通過させることで、インクリボン（Ｒ）が繰り
出し方向下手側のピン（10b）と板バネ（８）による挾
持位置（1C）とを結ぶほぼ一定の経路に沿って繰り出さ
れる案内機構（Ｂ）を構成してある。

スクレーパは、インクリボンどうしが密着している状態
で繰り出されない場合でも常時インクリボンに接触する
ように設けても良いが、インクリボンどうしが密着して
いる状態で繰り出された場合にのみ、その密着部分或い
はその密着部分を形成するインクリボンに接触するよう
に位置設定しても良い。

スクレーパに付勢機構を設けて、スクレーパがインクリ
ボンを押圧する状態で常時インクリボンに接触するよう
に構成しても良い。

スクレーパとしては、案内機構による案内開始位置と案
内終了位置との間のインクリボンを挾む両側の位置に繰
り出し方向に位相をずらせて立設される柱状のものであ
っても良い。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便利
にする為に符号を記すが、該記入により本考案は添付図
面の構造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係るインクリボンカートリッジの実施例
を示し、第１図は一部破断全体平面図、第２図は要部断
面図、第３図は別実施例を示す一部破断全体平面図であ
る。 （３）……リボン収納部、（８）……挾圧部材、（9
a），（9b）……スクレーパ、（Ｂ）……案内機構、
（Ｒ）……インクリボン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】インクリボン（Ｒ）を屈曲姿勢で収納する
   リボン収納部（３）が設けられ、インクリボン（Ｒ）が
   前記リボン収納部（３）から繰り出して走行させるべく
   巻回されているインクリボンカートリッジにおいて、 前記リボン収納部（３）よりもリボン繰り出し側に、イ
   ンクリボン（Ｒ）を厚み方向に弾性的に挾持する挾圧部
   材（８）が設けられ、前記リボン収納部（３）と前記挾
   圧部材（８）による挾持位置（1C）との間に、インクリ
   ボン（Ｒ）を一定又はほぼ一定経路に沿って繰り出す案
   内機構（Ｂ）が設けられるとともに、前記一定又はほぼ
   一定経路に沿って繰り出されるインクリボン（Ｒ）の一
   側面側と他側面側に各別に作用するスクレーパ（9a），
   （9b）が、前記案内機構（Ｂ）による案内開始位置と案
   内終了位置との間に、インクリボン（Ｒ）の繰り出し方
   向に位相をずらせて設けられていることを特徴とするイ
   ンクリボンカートリッジ。