JPH0735150B2 - スク−タの収納装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はスクータの収納装置に関するものである。

〔従来の技術〕

近年、スクータにおいては、使用上の便利さから、比較
的大きな物を雨風にさらされることなく収納できる収納
装置を備えることが要請されるようになってきた。この
種の収納装置を備えたものとして実開昭59−26089号公
報に開示された自動車二輪車がある。これはシートの着
座位置下方に収納空間を設けたものである。

〔発明が解決しようとする課題〕

このように収納装置を構成すると荷物が雨風にさらされ
るのを防ぐことができるが、もう少し構造に考慮する点
があった。それは、荷物を出し入れし易くするために開
口を大きくすることである。しかしながら、上述した構
造では、単に開口を大きくするとシートの施錠装置の配
置が問題になる。すなわち、施錠装置の取付位置として
は開口部近傍が望ましいが、開口を大きくするためにそ
の部分を避けて施錠装置を低位置に位置づけると、施錠
するに当たって使い勝手が悪くなってしまう。

〔課題を解決するための手段〕

本発明に係るスクータの収納装置は、シートの下方に、
このシートによって閉塞される収納ボックスを設け、前
記シートを、その前部を中心に開閉自在に設けると共
に、前記収納ボックスの開口部を後上がりに傾斜させて
なり、この収納ボックスの後側上端部に前記シートの後
部を係止する施錠装置を設け、前記収納ボックスおよび
施錠装置の周囲を車体カバーで覆うと共に、この施錠装
置のシリンダ部を、車体カバーを貫通させて外部に臨ま
せたものである。

〔作用〕

収納ボックスの開口部を後上りに傾斜させると開口面積
が大きくなり、施錠装置は収納ボックスの開口部におけ
る最も高い部分に位置づけられる。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を図により詳細に説明する。第
１図は本発明に係るスクータの収納装置が設けられたス
クータの要部を示す縦断面図、第２図は同じく背面図、
第３図収納装置が設けられたスクータを示す側面図で、
これらの図において符号１で示すものはスクータを示
し、このスクータ１は操向ハンドル２とシート３との間
に低床な略版状の足載せ台４を備えている。５はスクー
タ１の前後方向に延在するフレームで、前記足載せ台４
の下側から上方に向かい、かつシート３前部の下方にお
いて再び後方に向かうように屈曲されており、ユニット
スイング式エンジン６で懸架された後輪７の上方に延在
されている。

前記フレーム５の後輪７上方に延在する部分は、平行に
配された左右一対の管体5aから形成されている。この管
体5a上には、円弧状の泥よけ８および管体5aの両側方に
突出する繊維強化樹脂製の収納ボックス９が取付けられ
ている。

この収納ボックス９は上方に開放された箱形状に形成さ
れており、後端部を後述するサイドカバー10の開口後端
近傍まで上方に延在させることにより、サイドカバー１
に沿った延在部15が一体に形成されている。そして、こ
の収納ボックス９の開口縁は後上がりに傾斜するように
形成されている。

10は本発明に係る車体カバーとしてのサイドカバーで、
このサイドカバー10はシート３の下方に配され、前記フ
レーム５やユニットスイング式エンジン６などを被覆し
ている。このサイドカバー10は樹脂材によって形成され
ており、左右に分割されフレーム５に図示しないブラケ
ット等を介して固定されると共に、後端部は平面視Ｕ字
状を呈する後部カバー11によって形成されている。

サイドカバー10は、前記収納ボックス９の周囲に延在す
る後部周壁10aが収納ボックス９の上方にまで延設され
ており、収納ボックス９に対向した上部に開口12を有し
ている。実施例においては、サイドカバー10は、着座位
置より後方においてその上縁が後上がりに傾斜するよう
に延設されている。

前記シート３は底板13と、この底板13上に設けられたス
ポンジ等の緩衝材14などからなり、前記サイドカバー10
の上部の開口12を閉塞し、サイドカバー10内後部に収納
ボックス９、サイドカバー10およびシート３の後部で囲
繞された周囲に斜線を施して示す収納空間Ｓを形成する
ように前後方向に長く形成されている。すなわち、シー
ト３は後部が開口12に対向できるように後方にまで延設
され、前端部3aが枢着されることによって開閉自在に取
付けられている。

また、シート３の後部は乗員が着座する前部よりも一段
高く形成され、しかも、緩衝材14が減らされており、底
板13の前記開口12に対向した部分に、上方に凹陥する凹
陥部13aが形成されている。この凹陥13aにより、前記収
納空間Ｓの容量の増大がはかられている。

16はこの延在部15に設けられシート３の後端部を係止す
る施錠装置であり、延在部15の上端に設けられたフラン
ジ17に一対の取付ボルト18によって取付けられている。
施錠装置16は端面が外部に露出しサイドカバー10外から
キー19が挿入されるシリンダ20と、シート３の後端部下
側に取付けられた係止部材21を係止するフック22などか
ら構成されている。23はフランジ17を補強するリブであ
る。すなわち、施錠装置16は収納ボックス９の後側上端
部に取付けられ、そのシリンダ20がサイドカバー10の後
部周壁10aを貫通して外部に延出されている。

24は収納ボックス９の前端部に一体に設けられた水平方
向に延在するシート支承部である。25はこのシート支承
部24に対向する支承部材であり、底板13の下側に一体に
立設され収納空間Ｓの前方を閉塞する仕切板26の途中に
設けられており、ダンパ27を介して前記支承部24に当接
している。

28はシート３の着座位置下方に配設されたバッテリ、29
は燃料タンク、30は尾灯である。なお、サイドカバー10
の後部周壁10aは肉厚を厚くしたりすることなどによ
り、所要な強度が得られている。

このように構成されたスクータの収納装置においては、
収納ボックス９の開口部を後上がりに傾斜させたため、
開口面積が大きくなって収納物の出し入れ性が高くな
る。

また、シート３を閉じると、シート３の後端部を施錠装
置16で係止することができる。ここで、施錠装置16は、
繊維強化樹脂からなり強度を有する収納ボックス９の延
在部15に設けられているので、前記シート３の後端部は
収納空間Ｓをを形成するための収納ボックス９を介して
フレーム５に係止される。このため、フレーム５の上方
に延設したり、ブラケットを設けることなく、シート３
の後端部をフレーム５に係止することができるから、シ
ート３を強固に係止し、開かれるのを防止することがで
きる。さらに、施錠位置が後端部なのでシート３後端部
の弾性変形が防止でき、第三者がシート後端を持ってこ
じっても、シート３とサイドカバー10との間に大きな間
隙が形成されることもない。

さらに、収納ボックス９の後側上端部に施錠装置16を設
け、この施錠装置16のシリンダ20を、サイドカバー10の
後部周壁10aに貫通させて外部に延出したため、施錠装
置16は収納ボックス９の開口部における最も高い部分に
位置づけられる。このため、比較的高い位置に施錠装置
16が位置づけられて操作性が高くなる。

加えて、スクータ１を構成する部材では大きい部材であ
るサイドカバー10自体を周壁として利用して収納空間Ｓ
を形成しているので、空間内をめいっぱい利用でき、比
較的大きな容量を得ることができる。

さらに、収納空間Ｓは、着座位置の後方に形成されてい
るので、運転位置を高くする必要がなく安定した姿勢を
維持することができ、安定した位置に物が収納できる。
その結果、スクータ１の走行性損なわれるようなことが
ない。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明に係るスクータの収納装置
は、シートの下方に、このシートによって閉塞される収
納ボックスを設け、前記シートを、その前部を中心に開
閉自在に設けると共に、前記収納ボックスの開口部を後
上がりに傾斜させてなり、この収納ボックスの後側上端
部に前記シートの後部を係止する施錠装置を設け、前記
収納ボックスおよび施錠装置の周囲を車体カバーで覆う
と共に、この施錠装置のシリンダ部を、車体カバーを貫
通させて外部に臨ませたため、収納ボックスの開口部に
後上がりに傾斜させることで開口面積が大きくなる。ま
た、施錠装置は収納ボックスの開口部における最も高い
部分に位置づけられる。

したがって、収納ボックスの開口寸法が大きくなると共
に、施錠装置が比較的高い位置に配置されるので、収納
物の出し入れを容易に行えるようになる。

また、シートをその前部を中心に開閉自在として収納ボ
ックスの開口部を後上がりに傾斜させたので、シートの
開閉中心となるヒンジ部分を比較的高位置となる開口部
の後部に設けてシート前部を持ち上げるようにして開け
る場合に較べ、開閉するときにシートの開閉端を上方へ
持ち上げる量が少なくなる。このため、シートの開閉を
楽に行なうことができるという効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るスクータの収納装置が設けられた
スクータの要部を示す縦断面図、第２図は同じく背面
図、第３図は収納装置が設けられたスクータを示す側面
図である。 ３……シート、５……フレーム、９……収納ボックス、
10……サイドカバー、10a……後部周壁、12……開口、1
5……延在部、16……施錠装置、17……フランジ、20…
…シリンダ、Ｓ……収納空間。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シートの下方に、このシートによって閉塞
   される収納ボックスを設け、前記シートを、その前部を
   中心に開閉自在に設けると共に、前記収納ボックスの開
   口部を後上がりに傾斜させてなり、この収納ボックスの
   後側上端部に前記シートの後部を係止する施錠装置を設
   け、前記収納ボックスおよび施錠装置の周囲の車体カバ
   ーで覆うと共に、この施錠装置のシリンダ部を、車体カ
   バーを貫通させて外部に臨ませたことを特徴とするスク
   ータの収納装置。