JPH073452Y2 - 回転ヘッドシリンダー装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本考案は、ビデオテープレコーダ（VTR）、デジタルオ
ーディオテープレコーダ（DAT）の如き磁気記録再生装
置に装備される回転ヘッドシリンダー装置に関するもの
である。 （従来の技術） 従来の回転ヘッドシリンダー装置は第５図に示す如く、
静止シリンダー（１）上へ、駆動シャフト（６）に一体
に取り付けられた回転シリンダー（２）を回転可能に配
備して、両シリンダーの外周面に磁気テープを巻回すべ
きガイド面を形成している。信号記録再生用の一対の磁
気ヘッド（３）（３）は、回転シリンダー（２）にネジ
止め（91）されたヘッドベース（９）の先端部に貼着固
定して、両シリンダーの間隙部から臨出させている。
又、回転シリンダー（２）にはヘッドベース（９）との
対向位置に、調整ネジ（92）を螺合貫通させて、ネジ先
端部をヘッドベース（９）に当てている。 上記回転ヘッドシリンダー装置の組立工程に於いては、
調整ネジ（92）をねじ込んで、ヘッドベース（９）を曲
げ方向に弾性変形せしめ、これによって磁気ヘッド
（３）の上下方向の位置調節が行なわれる（実開昭60-7
0916

【Ｇ１１Ｂ５／５３】）。即ち、調整ネジ（92）に
よる調節を行なう前には、両磁気ヘッド（３）（３）の
高さ位置は、回転シリンダー（２）、ヘッドベース
（９）等の機械加工精度及び組立精度に左右され、両ヘ
ッド間には略３μｍの段差が生じている。そこで、調整
ネジ（92）の調節によって、両ヘッド間の段差を略１μ
ｍ以下に設定するのである。 （解決しようとする課題） 近年、DATの如き小形の磁気記録再生装置に装備するべ
く、直径が略10mmの超小形の回転ヘッドシリンダー装置
の開発が進んでいる。 斯種回転ヘッドシリンダー装置に於いては、磁気ヘッド
（３）を直接に回転シリンダー（２）に貼着固定して、
装置の小形化を図る必要がある。 しかし、ヘッドベースを省略することによって従来の調
整ネジ（92）によるヘッド高さの調節は不可能となる。 本考案の目的は、ヘッドベースを具えない回転ヘッドシ
リンダー装置にも装備することが出来、然も簡易な構造
を有するヘッド高さ調節機構を提供し、これによって回
転ヘッドシリンダー装置の小形化を図ることである。 （課題を解決する為の手段） 本考案に係る回転ヘッドシリンダー装置に於いて、回転
シリンダー（２）は、回転駆動用のシャフト（６）に中
央部が固定された円板部（22）と、該円板部（22）の外
周から突出した円筒部（21）とから構成し、該円筒部
（21）の外周面にテープガイド面を形成する。又、シャ
フト（６）には回転シリンダー（２）に対向してディス
ク部材（４）を固定する。該ディスク部材（４）の複数
箇所には、調整ねじ（５）が螺合貫通し、ねじ先端部が
回転シリンダー（２）の円板部（22）に当接している。 （作用） 調整ねじ（５）をねじ込むと、円板部（22）は調整ねじ
（５）により押圧されて、ねじ込み量に応じて弾性変形
し、円板部（22）の撓み量は回転中心から外周へ近づく
につれて増大することになる。これに伴って、磁気ヘッ
ド（３）は回転軸の軸方向に移動する。従って、各調整
ねじ（５）のねじ込み量を適度に調整することにより、
各磁気ヘッド（３）を所定の高さ位置に設定出来る。 （考案の効果） 本考案に係る回転ヘッドシリンダー装置に於いては、ヘ
ッド高さ調節機構の弾性変形部が回転シリンダー（２）
の一部である円板部（22）によって形成され、調整ねじ
（５）が該円板部（22）を押圧して、磁気ヘッド（３）
の位置を調節する構成をとっているから、その構造は極
めて簡易である。然も、従来の弾性変形部であったヘッ
ドべースの装備は不要となり、磁気ヘッド（３）は直接
に回転シリンダー（２）に固定することが出来るから、
装置の小形化が可能となる。 （実施例） 第１図乃至第４図は本考案に係る回転ヘッドシリンダー
装置の一実施例を示している。 装置シャーシ（10）に取り付けられた静止シリンダー
（１）上に回転シリンダー（２）を配備し、回転シリン
ダー（２）の中心部に固定された駆動シャフト（６）
は、一対の軸受（７）（71）を介して静止シリンダー
（１）の胴部に軸支されている。尚、シャフト（６）の
基端部には、モータ回転力を伝えるためのプーリ（図示
省略）が固定される。 回転シリンダー（２）は円板部（22）と円筒部（21）か
ら構成され、該円板部（22）の中央部に前記シャフト
（６）が嵌合固定されている。 一対の磁気ヘッド（３）（３）は、回転シリンダー
（２）の円板部（22）の下面に互いに180度の位相差で
貼着固定され、夫々のギャップ部（31）を両シリンダー
の間隙部から外方へ臨出させている。尚、第４図に示す
如く、回転シリンダー（２）の円板部（22）の下面外周
部には、磁気ヘッド（３）の頭部上面を露出させる為の
段差部（23）が凹設されると共に、ヘッド固定面には、
磁気ヘッド貼着固定時に余分な接着剤を逃がす為の凹部
（24）が設けられている。 回転シリンダー（２）の円筒部（21）の内部にはディス
ク部材（４）が配備され、該ディスク部材（４）の中央
部がシャフト（６）の上端部に嵌合固定されている。従
って、回転シリンダー（２）とディスク部材（４）とは
一体に回転することになる。尚、ディスク部材（４）
は、回転シリンダー（２）よりも弾性係数の大なる資材
を用いて形成され、回転シリンダー（２）よりも高い剛
性を具えている。 ディスク部材（４）には互いに180度の位相差で一対の
ねじ孔（41）が開設され、該ねじ孔（41）に調整ねじ
（５）が夫々螺合し、ねじ先端部を回転シリンダー
（２）の円板部（22）上面に当てている。尚、ディスク
部材（４）は、一対の調整ねじ（５）（５）の位置が磁
気ヘッド固定位置の上方に一致する位相角度にて、シャ
フト（６）に固定される。 又、静止シリンダー（１）と回転シリンダー（２）との
対向部には、ステータ（81）及びロータ（82）からなる
周知のロータリートランス（８）が配備されている。 第４図に示す如く、回転シリンダー（２）の外周面の半
径R₁は略5mm、円板部（22）の外周部における厚さＢは
略1mm、調整ねじ（５）の配設円の半径R₂は略3mm、シャ
フト（６）の半径R₃は略1mmに形成され、円筒部（21）
の上端から磁気ヘッド（３）のギャップ部（31）までの
垂直距離Ａは略4mmに設定されている。 磁気ヘッド（３）の高さ調節の際には、調整ねじ（５）
をねじ込んで、回転シリンダー（２）の円板部（22）を
鎖線の状態から実線の状態に変形させ、これによって磁
気ヘッド（３）を略３μｍの範囲内で下方に変位させ、
磁気ヘッド（３）を所定の高さ位置に設定するのであ
る。 尚、調整ねじ（５）のねじ込みによって、回転シリンダ
ー（２）の円筒部（21）も図示の如く変形することにな
るが、円筒部（21）の外周面が上に向かって僅かに拡大
するテーパ面を呈することは、回転シリンダー（２）に
巻き付いた磁気テープの走行を安定化する上で好まし
い。 上記回転ヘッドシリンダー装置に於いては、磁気ヘッド
（３）が直接に回転シリンダー（２）に貼着固定され、
然もヘッド高さ調節機構を構成する調整ねじ（５）及び
ディスク部材（４）は、回転シリンダー（２）内にコン
パクトに収容されているから、第５図の従来装置よりも
小形化が可能である。 尚、本考案の各部構成は上記実施例に限らず、実用新案
登録請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可
能であることは勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る回転ヘッドシリンダー装置の断面
図、第２図は斜面図、第３図は磁気ヘッドが固定された
回転シリンダーの正面図、第４図はヘッド調節機構の要
部を示す拡大断面図、第５図は従来装置の断面図であ
る。 （１）……静止シリンダー、（２）……回転シリンダー （３）……磁気ヘッド、（４）……ディスク部材 （５）……調整ねじ、（６）……シャフト

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】静止シリンダー（１）と同軸上に、回転駆
   動用のシャフト（６）を具えた回転シリンダー（２）を
   配備し、該回転シリンダーの外周部に磁気ヘッド（３）
   が突設されている回転ヘッドシリンダー装置に於いて、
   回転シリンダー（２）は、前記シャフト（６）に中央部
   が固定された円板部（22）と、該円板部（22）の外周か
   ら突出した円筒部（21）とから構成し、該円筒部（21）
   の外周面に磁気テープのガイド面が形成され、前記シャ
   フト（６）には回転シリンダー（２）に対向してディス
   ク部材（４）を固定し、該ディスク部材（４）の複数箇
   所に調整ねじ（５）を螺合貫通せしめて、ねじ先端部を
   回転シリンダー（２）の円板部（22）に当て、該調整ね
   じ（５）のねじ込みによって磁気ヘッド（３）の回転軸
   方向の位置が調節されていることを特徴とする回転ヘッ
   ドシリンダー装置。