JPH0734401B2 - 電圧非直線抵抗体 - Google Patents

電圧非直線抵抗体

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JPH0734401B2
JPH0734401B2 JP3026673A JP2667391A JPH0734401B2 JP H0734401 B2 JPH0734401 B2 JP H0734401B2 JP 3026673 A JP3026673 A JP 3026673A JP 2667391 A JP2667391 A JP 2667391A JP H0734401 B2 JPH0734401 B2 JP H0734401B2
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oxide
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今井  修
邦夫 大平
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NGK Insulators Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は酸化亜鉛を主成分とする
電圧非直線抵抗体に関するものであり、課電寿命、放電
耐量、制限電圧、サージ印加後の制限電圧変化率、吸湿
特性の良好な電圧非直線抵抗体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から酸化亜鉛を主成分とし少量の添
加物を含有した抵抗体は、優れた電圧非直線性を示すこ
とが広く知られており、その性質を利用して避雷器等に
使用されている。
【0003】特に避雷器として使用した場合、落雷によ
り過大な電流が流れても、その電流を通常は絶縁体であ
り所定電圧よりも過大な電圧が印加されると導体となる
電圧非直線抵抗体により接地するため落雷による事故を
防止することができる。
【0004】従来から、例えば特公昭59-41285号公報、
特開昭62-237703 号公報、特開平1-228105号公報におい
て、使用する添加成分としてBi、Co、Mn、Sb、Cr、Si、
Ni、Al、B、Ag、Zrが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、電圧非直線抵抗
体の電気的諸特性として、課電寿命、放電耐量、制限電
圧、サージ印加後の制限電圧変化率、吸湿特性のすべて
が良好な電圧非直線抵抗体が求められているが、上述し
た各公報で開示された技術ではそれぞれ特性は良好であ
るものの、上記5項目のすべてを満足するものはいまだ
得られない問題があった。すなわち、課電寿命は印加電
圧に対して熱暴走せず、長期間にわたり安定であること
が必要である。放電耐量はサージに対して破壊しない大
きい耐量を有することが必要である。またサージに対し
て電圧−電流特性が変化しにくいこと、つまりサージ印
加後の制限電圧変化率が小さいことが必要である。一方
制限電圧は大電流領域では電圧非直線性が小さくなるた
め、高くなる。従って大電流領域でも電圧非直線性が大
きい、つまり制限電圧が低いことが必要である。また、
吸湿は抵抗体にマイクロクラック等により水分が侵入す
る現象である。吸湿性のある抵抗体は乾燥条件下では素
子特性の低下が認められないが、湿潤条件下では課電寿
命及び放電耐量特性が低下する。従って長期信頼性の点
で吸湿特性は重要である。特に屋外で使用される避雷器
等に用いられる素子では吸湿特性は重要である。
【0006】本発明の目的は上述した課題を解消して、
課電寿命、放電耐量、制限電圧、サージ印加後の制限電
圧変化率および吸湿特性の良好な電圧非直線抵抗体を提
供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の電圧非直線抵抗
体は、酸化亜鉛を主成分とし,酸化ビスマス等を添加成
分として含み、電流1Aにおける制限電圧( V1A)が 2
00〜350V/mm である電圧非直線抵抗体において、酸化ビ
スマスをBi2O3 に換算して0.4 〜1.5 モル%、酸化コバ
ルトをCo2O3 に換算して 0.3〜1.5 モル%、酸化マンガ
ンをMnO2に換算して 0.2〜1.0 モル%、酸化アンチモン
をSb2O3 に換算して0.5 〜1.5 モル%、酸化クロムをCr
2O3 に換算して 0.1〜1.5 モル%、酸化ケイ素をSiO2
換算して0.4〜3.0 モル%、酸化ニッケルをNiO に換算
して 0.5〜2.5 モル%、酸化アルミニウムを Al2O3に換
算して 0.001〜0.05モル%、酸化ホウ素をB2O3に換算し
て0.0001〜0.05モル%、酸化銀をAg2Oに換算して0.0001
〜0.05モル%、酸化ジルコニウムをZrO2に換算して0.00
05〜0.1 モル%を含有し、抵抗体中の酸化ビスマスの結
晶相が少なくともγ型の結晶相を含み、酸化ビスマスの
30wt%以上がγ型であることを特徴とするものである。
【0008】
【作用】上述した構成においては、酸化ビスマスをBi2O
3 に換算して0.4 〜1.5 モル%好ましくは 0.6〜1.2 モ
ル%、酸化コバルトをCo2O3 に換算して0.3 〜1.5 モル
%好ましくは 0.5〜1.2 モル%、酸化マンガンをMnO2
換算して0.2 〜1.0 モル%好ましくは 0.3〜0.7 モル
%、酸化アンチモンをSb2O3 に換算して 0.5〜1.5 モル
%好ましくは 0.8〜1.3 モル%、酸化クロムをCr2O3
換算して 0.1〜1.5 モル%好ましくは0.3 〜1.0 モル
%、酸化ケイ素をSiO2に換算して 0.4〜3.0 モル%好ま
しくは 0.6〜1.9 モル%、酸化ニッケルをNiO に換算し
て 0.5〜2.5 モル%好ましくは 1.0〜1.5 モル%、酸化
アルミニウムをAl2O3 に換算して0.001 〜0.05モル%好
ましくは 0.002〜0.03モル%、酸化ホウ素を B2O3 に換
算して0.0001〜0.05モル%好ましくは 0.001〜0.03モル
%、酸化銀を Ag2O に換算して0.0001〜0.05モル%好ま
しくは 0.001〜0.03モル%、酸化ジルコニウムをZrO2
換算して0.0005〜0.1 モル%好ましくは0.001 〜0.05モ
ル%を添加するとともに、抵抗体中の酸化ビスマスの結
晶相中γ相が30wt%以上好ましくは50wt%以上とするこ
との相乗効果により、課電寿命、放電耐量、制限電圧、
サージ印加後の制限電圧変化率及び吸湿特性のすべての
点において良好な電圧非直線抵抗体を初めて得ることが
できる。
【0009】上述した各添加剤のうち、酸化ケイ素は非
晶質のものを使用すると好ましい。各種添加物の中で酸
化ケイ素は抵抗体において、酸化亜鉛と反応してケイ酸
亜鉛(Zn2SiO4) を生成する。このケイ酸亜鉛は抵抗体で
は酸化亜鉛の粒成長制御等抵抗体本体の均一性に関与す
る。従って、この酸化ケイ素が結晶質の場合には酸化亜
鉛との反応性が悪くなるため、抵抗体中のケイ酸亜鉛の
粒径分布が不均一になり、抵抗体の均一性が低下する。
そのため、開閉サージ放電耐量のバラツキが大きくな
る。上述した添加剤組成で酸化ケイ素を非晶質とした場
合には、素子中に存在するケイ酸亜鉛の粒径分布は平均
粒径の1/2 〜2倍の範囲内に75%以上存在するシャープ
なものとなり好ましい。さらに、酸化ジルコニウムの添
加方法としては、(i) 硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニ
ル等の水溶液として添加するか、(ii)ジルコニア玉石
(Y,Ca, Mg等で安定化した部分安定化ジルコニア等)
よりの混入によるかのいずれかの方法が好ましい。さら
にまた、抵抗体中の酸化ビスマスの結晶相中のγ相を30
wt%以上好ましくは50wt%以上にするには、焼成体に対
し450 〜900 ℃好ましくは600 〜750 ℃の温度で熱処理
をすると好ましい。
【0010】各添加成分の添加量の限定理由は、後述す
る実施例から明らかなように以下の通りである。酸化ビ
スマスはBi2O3 に換算して、0.4 モル%未満であると課
電寿命と雷サージおよび開閉サージの両放電耐量がとも
に悪化するとともに、1.5 モル%を超えると両放電耐量
および制限電圧と吸湿特性が悪化するため、0.4 〜1.5
モル%と限定した。酸化コバルトはCo2O3 に換算して、
0.3 モル%未満であると制限電圧およびサージ印加後の
制限電圧変化率 (以下、変化率と記載) が悪化するとと
もに、1.5 モル%を超えると同様に制限電圧および変化
率が悪化するため、0.3 〜1.5 モル%と限定した。酸化
マンガンはMnO2に換算して、0.2 モル%未満であると課
電寿命が悪化するとともに、1.0 モル%を超えると同様
に課電寿命が悪化するため、0.2 〜1.0 モル%と限定し
た。
【0011】酸化アンチモンはSb2O3 に換算して、0.5
モル%未満であると雷サージ放電耐量および変化率が悪
化するとともに、1.5 モル%を超えると雷サージおよび
開閉サージの両放電耐量、制限電圧および変化率が悪化
するため、 0.5〜1.5 モル%と限定した。酸化クロムは
Cr2O3 に換算して、0.1 モル%未満であると課電寿命お
よび変化率が悪化するとともに、1.5 モル%を超えると
課電寿命および吸湿特性が悪化するため、 0.1〜1.5 モ
ル%と限定した。酸化ケイ素はSiO2に換算して、0.4 モ
ル%未満であると課電寿命、制限電圧および変化率が悪
化するとともに、3.0 モル%を超えると同様に課電寿
命、制限電圧、変化率及び吸湿特性が悪化するため、0.
4 〜3.0 モル%と限定した。
【0012】酸化ニッケルはNiO に換算して、0.5 モル
%未満であると変化率が悪化するとともに、2.5 モル%
を超えると開閉サージ耐量、制限電圧および変化率が悪
化するため、0.5 〜2.5 モル%と限定した。 酸化アル
ミニウムはAl2O3 に換算して、0.001 モル%未満である
と雷サージ耐量および制限電圧が悪化するとともに、0.
05モル%を超えると課電寿命および変化率が悪化するた
め、0.001 〜0.05モル%と限定した。酸化ホウ素はB2O3
に換算して、0.0001モル%未満であると課電寿命、変化
率および吸湿特性が悪化するとともに、0.05モル%を超
えると制限電圧および変化率が悪化するため、0.0001〜
0.05モル%と限定した。
【0013】酸化銀はAg2Oに換算して、0.0001モル%未
満であると課電寿命、雷サージ耐量および変化率が悪化
するとともに、0.05モル%を超えると課電寿命および変
化率が悪化するため、0.0001〜0.05モル%と限定した。
酸化ジルコニウムはZrO2に換算して、0.0005モル%未満
であると雷サージ耐量、制限電圧および吸湿特性が悪化
するとともに、0.1 モル%を超えると課電寿命、雷サー
ジ耐量、制限電圧および変化率が悪化するため、0.0005
〜0.1 モル%と限定した。なお、酸化ジルコニウムの添
加効果は、抵抗体中における酸化ビスマスのγ相量が30
wt%以上のとき顕著にあらわれる。また、酸化ビスマス
の結晶相中γ型の結晶相が30wt%以上が必須なのは、γ
相量が多くなるほど課電寿命、雷サージおよび開閉サー
ジの両耐量および変化率が良好になるためである。さら
に、上記以外の添加物として酸化ナトリウムをNa2Oに換
算して、0.001 〜0.05モル%、好ましくは0.005 〜0.02
モル%添加すると、変化率および吸湿特性が良好となる
ため、酸化ナトリウムの添加は好ましい。また、酸化鉄
は抵抗体中にFe2O3 に換算して0.05wt%以下が課電寿命
の点で好ましい。
【0014】
【実施例】酸化亜鉛を主成分とする電圧非直線抵抗体を
得るには、まず所定の粒度に調整した酸化亜鉛原料と所
定の粒度に調整した酸化ビスマス、酸化コバルト (好ま
しくはCo3O4 の形態) 、酸化マンガン、酸化アンチモ
ン、酸化クロム、酸化ケイ素(好ましくは非晶質) 、酸
化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化銀、
酸化ジルコニウムよりなる添加物の所定量を混合する。
なお、この場合酸化銀、酸化ホウ素の代わりに硝酸銀、
ホウ酸を用いてもよい。好ましくは銀を含むホウケイ酸
ビスマスガラスを用いるとよい。また、添加物を 600〜
1000℃で仮焼した後粉砕し、所定粒度に調整したものと
酸化亜鉛原料を混合してもよい。この際、これらの原料
粉末に対して所定量の結合剤 (好ましくはポリビニルア
ルコール水溶液) 及び分散剤等を加える。また、酸化ア
ルミニウム及び酸化ジルコニウムの添加は、好ましくは
硝酸アルミニウム溶液、硝酸ジルコニウム溶液の形態で
加える。なお、酸化ジルコニウムの添加はジルコニア玉
石の混入により行ってもよい。
【0015】次に好ましくは200mmHg 以下の真空度で減
圧脱気を行い、混合泥漿の水分量は30〜35wt%程度に、
またその混合泥漿の粘度は100 ±50cpとするのが好まし
い。次に得られた混合泥漿を噴霧乾燥装置に供給して平
均粒径50〜150 μm 、好ましくは80〜120 μm で、水分
量が 0.5〜2.0 wt%、より好ましくは 0.9〜1.5 wt%の
造粒粉を造粒する。次に得られた造粒粉を、成形工程に
おいて、成形圧力400 〜1000kg/cm2の下で所定の形状に
成形する。
【0016】次に、その成形体を昇降温速度10〜100 ℃
/hr温度400 〜700 ℃で有機成分を飛散除去し脱脂体を
得る。次に、脱脂体を昇降温度30〜70℃/hrで800 〜10
00℃、保持時間1〜5時間で焼成し、仮焼体を得る。次
に、仮焼体の側面に高抵抗層を形成する。本例では、酸
化ビスマス、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化ケイ素等
の所定量に有機結合剤としてエチルセルロース、ブチル
カルビトール、酢酸nブチル等を加えた絶縁被覆用混合
物ペーストを、30〜300 μm の厚さに仮焼体の側面に塗
布する。次に、これを昇降温速度20〜100 ℃/hr、最高
保持温度1000〜1300℃好ましくは1050〜1250℃、3〜7
時間という条件で本焼成する。次に、空気中で好ましく
は昇降温速度 200℃/hr以下で 450〜900 ℃ (好ましく
は 600〜750 ℃) で好ましくは1時間以上熱処理する。
【0017】なお、ガラス粉末に有機結合剤として、エ
チルセルロース、ブチルカルビトール、酢酸nブチル等
を加えたガラスペーストを前記側面の高抵抗層上に50〜
300 μm の厚さに塗布し、空気中で昇降温速度 200℃/
hr以下、 450〜900 ℃保持時間1時間以上という条件で
熱処理することによりガラス層の形成を同時に実施する
ことも可能である。上記した抵抗体組成を選択し、かつ
この熱処理を行うことにより、抵抗体中における酸化ビ
スマス相中のγ相の量を30wt%以上としている。
【0018】その後、得られた電圧非直線抵抗体の両端
面をダイヤモンド砥石等で研磨する。次に、研磨面を洗
浄後、研磨した両端面に例えばアルミニウム等によって
電極を例えば溶射により設けて電圧非直線抵抗体を得
る。ここで、抵抗体のバリスタ電圧 (電流1Aにおける
制限電圧:V1Aと記載) は、大電流領域でも電圧非直線
性を大きくし、制限電圧を低くするために、 200〜350V
/mm とする。以下、実際に本発明範囲内および範囲外の
電圧非直線抵抗体について各種特性を測定した結果につ
いて説明する。
【0019】実施例 表1に示す本発明範囲内および範囲外の添加元素を使用
して、上述した方法に従って、直径47mm、厚さ22.5mmの
電圧非直線抵抗体を準備し、それぞれの抵抗体中のγ-
Bi2O3 相の量及び、それぞれの課電寿命、雷サージ放電
耐量、開閉サージ放電耐量、制限電圧、サージ印加後の
制限電圧変化率および吸湿特性を測定した。なお、各抵
抗体のV1Aは 200〜350V/mm の範囲内であった。また、
酸化ケイ素はケイ酸ナトリウムの複分解反応を利用して
得た非晶質シリカを用い、酸化ジルコニウムは硝酸ジル
コニウムを用いた。また、酸化コバルトはCo3O4 の形態
のものを用い、酸化銀、酸化ホウ素は銀を含むホウケイ
酸ビスマスガラスを用いた。熱処理は 450〜900 ℃で行
い、同時に抵抗体側面にガラス層を形成した。結果を表
1に示す。
【0020】表1中、抵抗体中のγ−Bi2O3 相の量はX
線回折法によるγ−Bi2O3 相の量を抵抗体中の酸化ビス
マス量(化学分析による定量値)で除した値(wt%)で
示した。課電寿命はアレニウスプロットより換算し、40
℃課電率85%で50年以上良好なものを○印で示し、特に
40℃課電率85%で 100年以上良好なものを◎印で示し
た。雷サージ放電耐量は、4/10μs の電流波形の雷サ
ージ電流を5分間隔で2回印加した後の耐量をエネルギ
ー値(クリア値)に換算したものから求めた。開閉サー
ジ放電耐量は、2msの電流波形の開閉サージ電流を20回
印加した後の耐量をエネルギー値 (クリア値) に換算し
たものから求めた。制限電圧は、バリスタ電圧(V1A)
と40KAの電流を流したときの制限電圧 (V40KA) との比
として求めた。サージ印加後の制限電圧変化率は、4/10
μs の電流波形で40KAの電流を10回印加した前後のバリ
スタ電圧変化率(ΔV1A) より求めた。この値は初期値
に対する低下率を示す。吸湿特性は、抵抗体を蛍光探傷
液中に圧力200kg/cm2 の状態で24時間浸漬した後の吸湿
状態を検査し、滲みのないものを○、滲みのあるものを
×として示した。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】表の結果から、添加剤の量がすべて本発明
の範囲内でありγ- Bi2O3 量も本発明範囲内である試料
No.1〜49は、いずれかの点で本発明を満たさない比較
例試料 No.1〜25に比べて、すべての特性において満足
のいくものであった。表1の試料1〜5に示すように、
酸化ビスマスの添加量が0.4 〜1.5 モル%であると、す
べての特性が良好であった。表2の比較例1において
は、酸化ビスマスの添加量が0.1 mol%であるが、課
電寿命と雷サージおよび開閉サージの両放電耐量がとも
に悪化していた。比較例2においては、酸化ビスマスの
添加量が2.0 mol%であるが、両放電耐量および制限
電圧比と吸湿特性が悪化していた。表1の試料6〜9に
示すように、酸化コバルトの添加量が0.3 〜1.5 モル%
であると、すべての特性が良好であった。表2の比較例
3においては、酸化コバルトの添加量が0.1 mol%で
あるが、制限電圧比および制限電圧変化率が悪化してい
た。比較例4においては、酸化コバルトの添加量が2.0
mol%であるが、制限電圧比および変化率が悪化して
いた。表1の試料10〜13に示すように、酸化マンガンの
添加量が0.2 〜1.0 モル%であると、すべての特性が良
好であった。表2の比較例5においては、酸化マンガン
の添加量が0.1 mol%であるが、課電寿命が悪化して
いた。比較例6においては、酸化マンガンの添加量が1.
5 mol%であるが、課電寿命が悪化していた。表1の
試料14〜17に示すように、酸化アンチモンの添加量が0.
5 〜1.5 モル%であると、すべての特性が良好であっ
た。表2の比較例7においては、酸化アンチモンの添加
量が0.1 mol%であるが、雷サージ放電耐量および変
化率が悪化していた。比較例8においては、酸化アンチ
モンの添加量が2.0 mol%であるが、雷サージおよび
開閉サージの両放電耐量、制限電圧比および変化率が悪
化していた。表1の試料18〜21に示すように、酸化クロ
ムの添加量が0.1 〜1.5 モル%であると、すべての特性
が良好であった。表2の比較例9においては、酸化クロ
ムの添加量が0.0 mol%であるが、課電寿命及び変化
率が悪化していた。比較例10においては、酸化クロムの
添加量が2.0 mol%であるが、課電寿命および吸湿特
性が悪化していた。表1の試料22〜25に示すように、酸
化珪素の添加量が0.4 〜3.0 モル%であると、すべての
特性が良好であった。表2の比較例11においては、酸化
珪素の添加量が0.1 mol%であるが、課電寿命、雷サ
ージ放電耐量および制限電圧比が悪化していた。比較例
12においては、酸化珪素の添加量が3.5 mol%である
が、課電寿命、雷サージ及び開閉サージ放電耐量、制限
電圧比、変化率および吸湿特性が悪化していた。表1の
試料26〜29に示すように、酸化ニッケルの添加量が0.5
〜2.5 モル%であると、すべての特性が良好であった。
表2の比較例13においては、酸化ニッケルの添加量が0.
1 mol%であるが、変化率が悪化していた。比較例14
においては、酸化ニッケルの添加量が3.0 mol%であ
るが、課電寿命、開閉サージ放電耐量、制限電圧比およ
び変化率が悪化していた。表1の試料30〜33に示すよう
に、酸化アルミニウムの添加量が0.001 〜0.05モル%で
あると、すべての特性が良好であった。表2の比較例15
においては、酸化アルミニウムの添加量が0.0 mol%
であるが、雷サージ耐量および制限電圧比が悪化してい
た。比較例16においては、酸化アルミニウムの添加量が
0.1 mol%であるが、課電寿命および変化率が悪化し
ていた。表1の試料34〜37に示すように、酸化ホウ素の
添加量が0.0001〜0.05モル%であると、すべての特性が
良好であった。表2の比較例17においては、酸化ホウ素
の添加量が0.0 mol%であるが、課電寿命、変化率お
よび吸湿特性が悪化していた。比較例18においては、酸
化ホウ素の添加量が0.1 mol%であるが、制限電圧比
および変化率が悪化していた。表1の試料38〜41に示す
ように、酸化銀の添加量が0.0001〜0.05モル%である
と、すべての特性が良好であった。表2の比較例19にお
いては、酸化銀の添加量が0.0 mol%であるが、課電
寿命、雷サージ放電耐量および変化率が悪化していた。
比較例20においては、酸化銀の添加量が0.1 mol%で
あるが、課電寿命および変化率が悪化していた。表1の
試料42〜45に示すように、酸化ジルコニウムの添加量が
0.0005〜0.01モル%であると、すべての特性が良好であ
った。表2の比較例21においては、酸化ジルコニウムの
添加量が0.0 mol%であるが、雷サージ放電耐量、制
限電圧比および吸湿特性が悪化していた。比較例22にお
いては、酸化ジルコニウムの添加量が0.5 mol%であ
るが、課電寿命、雷サージ放電耐量、制限電圧比および
変化率が悪化していた。また、比較例23、24、25におい
ては、抵抗体中における酸化ビスマスのγ相量が30wt%
より下であり、課電寿命、両放電耐量および変化率が悪
化している。なお、本実施例では原料として酸化物を用
いたが、炭酸塩、硝酸塩や水酸化物など焼成中に酸化物
になるものであれば同等の効果が得られることは言うま
でもない。また、添加剤としてクレーム記載以外に非直
線抵抗体の使用目的に応じて他の物質を加えてよいこと
は言うまでもないことである。
【0024】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の電圧比直線抵抗体によれば、添加成分の種類と量を限
定するとともにγ- Bi2O3 相の量を限定することによ
り、課電寿命、放電耐量、制限電圧、サージ印加後の制
限電圧変化率および吸湿特性のすべてが良好な電圧非直
線抵抗体を得ることができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化亜鉛を主成分とし,酸化ビスマス等
    を添加成分として含み、電流1Aにおける制限電圧( V
    1A)が 200〜350V/mm である電圧非直線抵抗体におい
    て、酸化ビスマスをBi2O3 に換算して 0.4〜1.5 モル
    %、酸化コバルトをCo2O3 に換算して 0.3〜1.5 モル
    %、酸化マンガンをMnO2に換算して 0.2〜1.0 モル%、
    酸化アンチモンをSb2O3 に換算して 0.5〜1.5 モル%、
    酸化クロムをCr2O3 に換算して 0.1〜1.5 モル%、酸化
    ケイ素をSiO2に換算して 0.4〜3.0 モル%、酸化ニッケ
    ルをNiO に換算して 0.5〜2.5 モル%、酸化アルミニウ
    ムを Al2O3に換算して 0.001〜0.05モル%、酸化ホウ素
    をB2O3に換算して0.0001〜0.05モル%、酸化銀をAg2Oに
    換算して0.0001〜0.05モル%、酸化ジルコニウムをZrO2
    に換算して0.0005〜0.1 モル%を含有し、抵抗体中の酸
    化ビスマスの結晶相が少なくともγ型の結晶相を含み、
    酸化ビスマスの30wt%以上がγ型であることを特徴とす
    る電圧非直線抵抗体。
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