JPH0555008A - 電圧非直線抵抗体 - Google Patents

電圧非直線抵抗体

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JPH0555008A
JPH0555008A JP3238945A JP23894591A JPH0555008A JP H0555008 A JPH0555008 A JP H0555008A JP 3238945 A JP3238945 A JP 3238945A JP 23894591 A JP23894591 A JP 23894591A JP H0555008 A JPH0555008 A JP H0555008A
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Kunio Ohira
邦夫 大平
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 放電耐量、雷サージ変化率(ΔV1mA ) 等の
電気的特性が良好で高いバリスタ電圧を有する電圧非直
線抵抗体を得る。 【構成】 少なくともスピネル相とケイ酸亜鉛相を含む
酸化亜鉛を主成分とする電圧非直線抵抗体において、結
晶中のスピネル相とケイ酸亜鉛相との体積比を1:1〜
1:5とし、両者の合計を10〜30vol %とし、0.05mA/
cm2 の電流密度における単位厚さ当りの制限電圧が300V
/mm〜550V/mmの電圧非直線抵抗体を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化亜鉛を主成分とす
る電圧非直線抵抗体に関し、特にバリスタ電圧が高く送
電線用避雷器に用いる電圧非直線抵抗体に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来から酸化亜鉛を主成分とし酸化ケイ
素、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化
マンガン等の少量の添加物を含有した抵抗体は、優れた
電圧非直線性を示すことが広く知られており、その性質
を利用して避雷器等に使用されている。そのうち、例え
ば0.05mA/cm2 の電流密度における単位長さ当りの制限
電圧が300V/mm〜550V/mmと高いバリスタ電圧を有する
電圧非直線抵抗体が、送電線用避雷器として使用されて
いる。
【0003】一般的に上述したビスマス系酸化亜鉛電圧
非直線抵抗体中には、酸化亜鉛結晶相、酸化ビスマス結
晶相の外にケイ酸亜鉛結晶相(Zn2SiO4)およびスピネル
結晶相(Zn7Sb2O12) が存在する。ケイ酸亜鉛およびスピ
ネルは酸化亜鉛の粒成長を抑制する作用があるため、従
来高いバリスタ電圧を得るために意図的にケイ酸亜鉛を
添加したり(特開昭60−5062号公報) 、ケイ素化合物を
大量に添加してケイ酸亜鉛結晶を析出させていた(特公
平2−52409 号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来公知の技術のように、高いバリスタ電圧を得るた
めにただ単にケイ酸亜鉛だけを増加しただけでは、ケイ
酸亜鉛およびスピネルは酸化亜鉛や酸化ビスマスに比較
すると非常に高抵抗で絶縁体とみなせるため、放電耐
量、変化率等の電気的特性が悪化する問題があった。
【0005】本発明の目的は上述した課題を解消して、
放電耐量、雷サージ変化率(ΔV1mA ) 等の電気的特性
の良好な高いバリスタ電圧を有する電圧非直線抵抗体を
提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の電圧非直線抵抗
体は、少なくともスピネル相とケイ酸亜鉛相を含む酸化
亜鉛を主成分とする電圧非直線抵抗体において、結晶中
のスピネル相とケイ酸亜鉛相との体積比が1:1〜1:
5であり、両者の合計が10〜30vol %であり、0.05mA/
cm2 の電流密度における単位厚さ当りの制限電圧が300V
/mm〜550V/mmであることを特徴とするものである。
【0007】
【作用】上述した構成において、電圧非直線抵抗体中の
スピネル相とケイ酸亜鉛相との体積比および両者の合計
量を特定することにより、後述する実施例からも明らか
なように、放電耐量、雷サージ変化率(ΔV1mA ) 等の
電気的特性が良好で、0.05mA/cm2 の電流密度における
単位厚さ当りの制限電圧が300V/mm〜550V/mmと高いバ
リスタ電圧を有する電圧比直線抵抗体を得ることができ
る。
【0008】ここで、スピネル相とケイ酸亜鉛相との体
積比を1:1〜1:5と限定したのは、体積比がこの範
囲外になると雷サージ変化率(ΔV1mA ) が悪化するた
めである。また、スピネル相とケイ酸亜鉛相との合計を
10〜30vol %と限定したのは、両者の合計が10vol %未
満であると異常粒成長が発生しやすく、また本焼温度を
下げなければならないため、焼結が不十分で雷サージ放
電耐量も低下するとともに、両者の合計が30vol %を超
えると雷サージ変化率(ΔV1mA ) が悪化するためであ
る。
【0009】さらに、得られた焼結体の0.05mA/cm2
電流密度における単位厚さ当りの制限電圧を300V/mm〜
550V/mmとしたのは、300V/mm未満では避雷器を小型化
できず、また上述の組成では本焼温度を上げなければな
らず、このため気孔率が増大し、雷サージ放電耐量が低
下するとともに、550V/mmを超えると本焼温度が低下
し、焼結が不十分となり、雷サージ放電耐量が低下する
ためである。この制限電圧は、375V/mm〜460V/mmであ
ると好ましい。
【0010】
【実施例】酸化亜鉛を主成分とする電圧非直線抵抗体を
得るには、まず所定の粒度に調整した酸化亜鉛原料に所
定の粒度・量に調整した酸化アンチモンおよび酸化ケイ
素(好ましくは非晶質)を混合後、60%以上の酸素分圧
中で800 〜1000℃、0.5 〜10時間仮焼する。次に所定の
粒度に調整した酸化ビスマス、酸化コバルト、酸化マン
ガン、酸化クロム、好ましくは非晶質の酸化ケイ素、酸
化ニッケル、酸化ホウ素、酸化銀よりなる添加物の所定
量を混合する。なお、この場合酸化銀、酸化ホウ素の代
わりに硝酸銀、ホウ酸を用いてもよい。好ましくは銀を
含むホウケイ酸ビスマスガラスを用いるとよい。この
際、これらの原料粉末に対して所定量のバインダー(例
えばポリビニルアルコール水溶液)等を加える。また好
ましくは硝酸アルミニウム水溶液を加える。
【0011】次に好ましくは200mmHg 以下の真空度で減
圧脱気を行い、混合泥漿の水分量は30〜35wt%程度に、
またその混合泥漿の粘度は100 ±50cpとするのが好まし
い。次に得られた混合泥漿を噴霧乾燥装置に供給して平
均粒径50〜150 μm 、好ましくは80〜120 μm で、水分
量が0.5 〜2.0 wt%、より好ましくは0.7 〜1.5 wt%の
造粒粉を造粒する。次に得られた造粒粉を、成形工程に
おいて、成形圧力800〜1000kg/cm2 の下で所定の形状
に成形する。
【0012】次に、その成形体を昇降温速度10〜100 ℃
/hr、温度400 〜700 ℃で有機成分を飛散除去し脱脂体
を得る。次に、脱脂体を昇温速度50〜70℃/hrで800 〜
1000℃、保持時間1〜5時間で焼成し、仮焼体を得る。
次に、仮焼体の側面に高抵抗層を形成する。本例では酸
化ビスマス、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化ケイ素等
の所定量に有機結合剤としてエチルセルロース、ブチル
カルビトール、酢酸nブチル等を加えた絶縁被覆用混合
物ペーストを、30〜300 μm の厚さに仮焼体の側面に塗
布する。
【0013】次に、これを昇温速度20〜100 ℃/hr、最
高保持温度1000〜1300℃、好ましくは1050〜1250℃、3
〜7時間という条件で本焼成する。この本焼成時の降温
速度を200℃/hr 以下とすると好ましい。
【0014】その後、ガラス粉末に有機結合剤としてエ
チルセルロース、ブチルカルビトール、酢酸nブチル等
を加えたガラスペーストを前記側面の高抵抗層上に50〜
300μm の厚さに塗布し、空気中で昇降温速度50〜200
℃/hr、400 〜800 ℃保持時間0.5 〜4時間という条件
で熱処理することによりガラス層を形成すると好まし
い。
【0015】その後、得られた電圧非直線抵抗体の両端
面をダイヤモンド砥石等で研磨する。次に、研磨面を洗
浄後、研磨した両端面に例えばアルミニウム等によって
電極を例えば溶射により設けて電圧非直線抵抗体を得
る。
【0016】以下、実際に本発明範囲内および範囲外の
電圧非直線抵抗体について各種特性を測定した結果につ
いて説明する。実施例1 上述した製造方法に従って、酸化アンチモン、酸化ケイ
素の添加量を変化させ、さらに酸化アンチモン、酸化ケ
イ素を完全に化合させるため、酸化亜鉛、酸化アンチモ
ン、酸化ケイ素を混合後、60%以上の酸素分圧中で800
〜1000℃で仮焼を行なった後残りの添加剤を混合した酸
化亜鉛原料粉末を、造粒、成形後、1070〜1200℃の温度
で焼成を行ない、それぞれ直径50mm、厚さ20mmの円板状
の本発明試料 No.1〜21と比較例試料 No.1〜22の電圧
非直線抵抗体を準備した。その後、準備した各試料に対
して、結晶相中のスピネル相およびケイ酸亜鉛相の体積
比および合計量を求めるとともに、電流1mAにおける単
位長さ当りの制限電圧(V1mA) 、雷サージ変化率および
雷サージ耐量を測定した。結果を表1に示す。
【0017】表1において、スピネル相およびケイ酸亜
鉛相の体積比の測定方法は、SEM の組成像を画像解析シ
ステムにより、酸化亜鉛、スピネル、ケイ酸亜鉛、その
他の部分について面積比、粒径分布、平均粒子間距離か
ら酸化亜鉛、スピネル、ケイ酸亜鉛を球に近似して各体
積%を計算して体積比を求めた。また、雷サージ変化率
は、4/10μs の電流波形で120KA の電流を2回印加した
のちの制限電圧(V1mA) の変化から求めた。雷サージ放
電耐量は、4/10μs の電流波形の雷サージ電流を5分間
隔で2回印加した後の耐量をエネルギー値(クリア値)
に換算したものから求めた。
【0018】
【表1】
【0019】表1の結果から、抵抗体中のスピネル相と
ケイ酸亜鉛相の体積比および両者の合計量のすべてが本
発明範囲内の本発明試料No. 1〜21は、いずれかの点で
本発明を満たさない比較例試料No. 1〜22に比べて、雷
サージ放電耐量が13KJ以上、雷サージ変化率10%以内と
いう良好な電気的特性、高いバリスタ電圧を得ることが
できる。また、本発明例のなかでも、スピネル相とケイ
酸亜鉛相の体積比が1:2〜1:3の本発明試料No.
3, 4, 9,10, 15, 16, 20 は、他の例に比べて雷サー
ジ変化率が6%以下であり、より好ましいことがわか
る。
【0020】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、抵抗体中のスピネル相とケイ酸亜鉛相の体積
比および両者の合計量を限定することにより、放電耐
量、雷サージ変化率(ΔV1mA ) 等の電気的特性が良好
で、0.05mA/cm2 の電流密度における単位厚さ当りの制
限電圧が 300 V/mm〜 550 V/mmと高いバリスタ電圧を
有する電圧非直線抵抗体を得ることができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともスピネル相とケイ酸亜鉛相を
    含む酸化亜鉛を主成分とする電圧非直線抵抗体におい
    て、結晶中のスピネル相とケイ酸亜鉛相との体積比が
    1:1〜1:5であり、両者の合計が10〜30vol %であ
    り、0.05mA/cm2 の電流密度における単位厚さ当りの制
    限電圧が300V/mm〜550V/mmであることを特徴とする電
    圧非直線抵抗体。
JP3238945A 1991-08-27 1991-08-27 電圧非直線抵抗体 Expired - Lifetime JPH0734405B2 (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010103440A (ja) * 2008-10-27 2010-05-06 Toshiba Corp 電流−電圧非直線抵抗体およびその製造方法
JP2014203873A (ja) * 2013-04-02 2014-10-27 三菱電機株式会社 電圧非直線抵抗体、その製造方法およびそれを含む過電圧保護装置

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