JPH0734293A - チタン装飾品及びその発色方法 - Google Patents

チタン装飾品及びその発色方法

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JPH0734293A
JPH0734293A JP19769093A JP19769093A JPH0734293A JP H0734293 A JPH0734293 A JP H0734293A JP 19769093 A JP19769093 A JP 19769093A JP 19769093 A JP19769093 A JP 19769093A JP H0734293 A JPH0734293 A JP H0734293A
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JP
Japan
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titanium
decorative article
base body
ornament
color
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JP19769093A
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English (en)
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Takuji Horie
拓尓 堀江
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Horie & Co Ltd
HORIE KK
Original Assignee
Horie & Co Ltd
HORIE KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 美感と興趣性に優れたチタン装飾品を提供す
る。また、そのようなチタン装飾品の発色方法を提供す
る。 【構成】 本発明のチタン装飾品1は、チタン又はチタ
ン合金の基体と、この基体の表面に形成された酸化皮膜
と、を有し;この酸化皮膜が、上記基体のある方向に沿
って徐々にその厚みが増大しており、その結果、上記酸
化皮膜における光の干渉により、上記方向に沿って色が
徐々に変化している(グラデーションカラー)。装飾品
には、抜き模様3や凹凸模様13を付けることもでき
る。このチタン装飾品の発色方法は、電解液を入れた、
方向性を有する電場を形成可能な陽極酸化処理槽中に上
記基体を陽極に接続して浸漬し、その後短時間、上記方
向性を有する電場を形成することにより、上記部材表面
をグラデーション発色させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、グラデーションカラー
を発するチタン装飾品及びその陽極酸化発色方法に関す
る。本明細書中で、グラデーションカラーとは、ある方
向に沿って明瞭な境界なく色が徐々に変化していること
を意味する。また、チタン装飾品とは、チタン又はチタ
ン合金(両者を合わせてTiと総称する)からなる物で
あって、装飾あるいは意匠的価値を発揮する物を意味す
る。例えば、壁掛け、置物、モニュメント、身体装飾
品、みやげ物等である。他に、機械・建築構造体等とし
ての目的がある物であっても、それを見る人の視覚に美
感を起こさせる目的をも有すると考えられる物も、ここ
にいう装飾品に含まれる。
【0002】
【従来の技術】一般に、チタン又はチタン合金の発色に
当って最も多く適用されているのは“陽極酸化法”と呼
ばれる技術である。この方法は、りん酸、硫酸等の水溶
液中でTiを陽極として電解処理し、表面に形成された
酸化皮膜による光の干渉作用を利用して発色効果を得る
方法である。
【0003】Ti材を陽極酸化処理するとTi材表面に
TiO2 層が生成する。このTiO2 層は光透過性を有
する。そのため、この層表面で反射する光と、この層
(TiO2 層)とTi層との境界面で反射する光とが干
渉してTi材が発色されて見える。そのためTiO2
の厚さによって発色の色彩が異なってくる。また、Ti
2 層の厚さは、陽極酸化処理の電圧によって基本的に
影響されるとされている。Ti材中の電圧と処理液中の
電圧との差がTiO2 層にかかる電圧となるが、この電
圧をTiO2 層の厚さで割った値(TiO2 層の電界強
度)がある値以下となると、もはやTiO2 層は成長し
ないとされている。以上の理由から、処理電圧とTiO
2 層膜圧、さらに発色の色合いとの間にはある関係が存
在するとされている。図11は、この関係を示すグラフ
である。
【0004】Ti材の表面を多色発色させる方法には以
下のような方法がある。 処理槽中にTi材をどっぷりと漬け、このTi材を
段階的に引き上げる方法:この方法では、Ti材の上部
は処理槽中にある時間が短く、Ti材の下部はその時間
が長い。そのため、Ti材の上部では、TiO2 皮膜が
薄く、下部ではTiO2 皮膜が厚くなる。その結果、T
i材の上部と下部とで色が変化する。さらに、Ti材の
引き上げに併用して、電圧を次第に上げていく操作を行
うこともある。
【0005】 特開平2−73996に提案されてい
る方法:この方法によれば、10%以上の硫酸と、0.
1〜30%の無機酸と、0.1〜30%の水溶性の有機
物質とを含む電解浴を調製し、この電解浴中において直
流で陽極酸化することにより班模様の着色皮膜が得られ
るとされている。
【0006】 特開平4−7151に提案されている
方法:プラスチックフィルムの表面に800Å以上の厚
さのTi膜を形成し、そのTi膜の表面に、通電可能な
程度に薄くしかも厚さに変化をつけて樹脂層を形成し、
その後陽極酸化で着色することにより、一度の陽極酸化
で多色着色Ti膜が得られるとされている。
【0007】 特開平4−128398に提案されて
いる方法:発色液中での陽極酸化処理によってチタン又
はチタン合金帯板を連続的に発色させるに際し、当該発
色液面を上下動させると共に、被処理帯板に印加する電
圧を変動させることにより、チタン帯板を縞状の多色模
様に発色させることができるとされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記〜の
技術によっても、グラデーションカラーを発するチタン
装飾品は得られていない。その理由は以下のとおりであ
る。 引き上げ法:上述のように、処理電圧が色に及ぼす
影響が大であるため、層内帯溜時間をコントロールする
ことによる発色コントロールには無理がある。また、ど
うしても槽の液面は揺れる(また表面張力の影響もあ
る)ので、Ti材の色がきれいなグラデーションになら
ず、境目や波模様が出てしまう。
【0009】 特開平2−73996の方法:班模様
は得られるがグラデーションは得られない。 厚さ変化導電樹脂膜成形法(特開平4−715
1):この樹脂膜の付け方は図柄印刷等による(公開明
細書3頁下から9〜7行目)とされている。また、実施
例では、樹脂膜厚を0.25μm 、0.15μm 、0.
05μm とし、それぞれ、褐色、濃青色、薄い青色、ピ
ンクに着色されたとの例が記載されている。これらの事
情から、境目の無いグラデーションカラーを得ることの
できる技術ではないと判断される。
【0010】 電圧・液面変動法(特開平4−128
398):この公開明細書中(4〜5頁)に次のような
説明が記載されている(図面番号は修正されている)。
すなわち「図12はチタン帯板の連続的陽極酸化法によ
る発色処理の概念図であり、チタン帯板91がコンダク
タロール92と接触し電解電流を印加されつつ電解槽9
3中の発色液に侵入して発色反応を起こし、浸漬ロール
95を経て連続的に引き上げられる様子を示している
(図中の符号96は電解用電源を、97は対極をそれぞ
れ示す)。この際、チタン帯板が発色液に侵入する瞬間
が最も発色反応が激しく、しかもこの時にその部分に印
加される電圧によって発色する色調の異なる現象が見ら
れる。これは、電解反応によってチタン帯板表面に生成
するTiO2 膜の厚さが印加電圧の高いほど厚くなるこ
とによるものと考えられる。」
【0011】「さらに、図13に示したように、チタン
の陽極酸化では、例え印加する電圧を一定に保ったとし
ても電圧を印加した瞬間に反応が最も激しく起って大き
な電解電流が流れるが、数秒間の間に急速に反応が進行
し電解電流が減少する経過をたどる。これを連続法によ
る陽極酸化に当て嵌めて考えると、チタン帯板が発色液
に侵入する場所において最も激しい発色反応が起こり、
チタン帯板が発色液から出る場所での反応は最も弱いと
言うことになる。しかも、チタンの電気抵抗はかなり大
きいので、コンダクターロールとチタン帯板との接触点
からの距離(図12で示す距離L)が離れるにつれて電
圧は低下するが、このためチタン帯板が発色液に侵入す
る場所で激しい反応が集中して起きる傾向はさらに強ま
る。」
【0012】しかし、この説明のような現象について記
述している文献は、この明細書以外では出願人の知る限
りにおいて無い。また、「チタン帯板が発色液に侵入す
る場所において最も激しい発色反応が起り」、この場所
・時における処理電圧がTiの発色に支配的な影響を持
つ、とは考えられない。発色液中にTi帯板がある間に
も陽極酸化は進行するのであって、発色液侵入時の電圧
のみに色が支配されることは考えにくい。さらに、上述
の従来技術同様に、液面揺れ(波)による問題もあ
る。したがって、この技術によってもグラデーションカ
ラーを発するTi材は得られていないと判断できる。
【0013】本発明は、美感と興趣性に優れたチタン装
飾品を提供することを目的とする。また、そのようなチ
タン装飾品の発色方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するた
め、本発明のチタン装飾品は、チタン又はチタン合金の
基体と、この基体の表面に形成された酸化皮膜と、を有
し;この酸化皮膜が、上記基体のある方向に沿って徐々
にその厚みが増大しており、その結果、上記酸化皮膜に
おける光の干渉により、上記方向に沿って色が徐々に変
化している(グラデーションカラー)ことを特徴とす
る。なお、グラデーションカラーの方向は、1方向(例
えば右から左)、あるいは2方向(中央から両側)とい
うような1次元の方向性でも、中央から周辺(あるいは
その逆)というような2次元、3次元の方向性であって
もよい。
【0015】
【作用】本発明のチタン装飾品の表面には、ある方向に
沿って徐々に厚みが増大する(反対方向には厚みが減少
する)酸化皮膜が形成されている。そのため、チタン装
飾品の上記表面に当る光の干渉作用により、酸化皮膜の
厚さに応じた色にグラデーションカラーを生じる。
【0016】本発明のチタン装飾品の上記基体表面に
は、さらに、凹凸模様が形成されていることとしてよ
い。凹凸模様によりチタン装飾品の美感・意匠性をさら
に豊富化・高度化できる。凹凸模様の形成方法として
は、エッチング、レーザー加工、放電加工、電解加工、
機械加工、プレス、メッキ、溶射等を利用できる。
【0017】本発明のチタン装飾品においては、上記基
体が薄板又は薄片であり、この基体の一部に抜き模様が
形成されていることとしてもよい。上記凹凸模様と同様
の効果が得られる。さらに、抜き模様を境に、薄板が弾
性変形により互いに別れるように曲げることもできる。
そのため、このチタン装飾品をしおり(本のページには
さむもの)とした場合において、しおりの一部を抜き模
様で舌状に形成し、この部分としおり本体との間に本の
ページをはさむような機能をも、チタン装飾品に付与す
ることができる。“抜き”加工の方法としては、エッチ
ング、レーザー加工、放電加工、電解加工、機械加工、
プレス加工(純Tiの細かいプレス抜きは困難ではある
が)等を利用できる。
【0018】本発明のチタン装飾品の発色方法は、チタ
ン又はチタン合金の装飾品を陽極酸化皮膜処理により発
色させる方法であって;電解液の入った、方向性を有す
る電場を形成可能な陽極酸化処理槽中に、上記装飾品を
陽極に接続して浸漬し、その後短時間、上記方向性を有
する電場を形成することにより、上記装飾品表面をグラ
デーション発色させることを特徴とする。
【0019】本発明の発色方法に用いる電解液として
は、無機酸、有機酸、無機塩基の溶液等を用いることが
できる。その一例として、硫酸、リン酸、シュウ酸、ホ
ウ酸、ポリリン酸、硝酸塩、亜硝酸塩、重クロム酸塩、
リン酸アンモニウム等やそれらの混合液があげられる。
さらにこれらと、過酸化水素水等との混合液も使用でき
る。
【0020】処理槽の電場を形成する電圧は、処理品に
求められる着色状態に対応して、通常は、10〜200
Vの間で調整する。電場を形成する時間は、処理品の長
さ(一方向電場方向の)にもよるが、1〜100秒であ
る。長い処理品(例えば150cm)に、ピンク、緑、
青、紫、藍色というグラデーションカラーを付ける場合
は、電圧120〜150V、通電時間60〜100秒で
ある。短い処理品(例えば5cm)に上記のグラデーショ
ンカラーを付ける場合は、電圧110〜120V、通電
時間3〜10秒である。
【0021】本発明の発色方法においては、これに用い
る上記陽極酸化処理槽が長手方向を有し、この長手方向
に電場を形成し、この長手方向と直角に交わる少くとも
1方向は短手方向となっており、上記陽極酸化処理槽の
長手方向の寸法が同槽短手方向の寸法の3倍以上である
ことが好ましい。つまり、処理槽は細長い、あるいは、
平べったい形状をしており、その長手方向に電場を形成
することが好ましい。
【0022】処理品(Ti材)を細長く巾が狭い処理槽
中に置いて、その長手方向に電場をかけると、電解液や
Ti材自身の電気抵抗により、処理品と電解液間の電圧
を長手方向に徐々に変化するように調整できる。そのた
め、良好なグラデーションカラーを得やすい。なお、巾
が広い槽内に、処理品を間隔を密に並べてたくさん置く
ことによっても、同様の効果が得られる場合がある。ま
た、当然のことではあるが、槽体は電極部分を除いて、
電気絶縁製の材料(塩化ビニル、GFRP等)で構成さ
れている。さらに、電極を鋭い形状にして、電極から処
理品に至る電流線の広がりを狭くするようにしてもよ
い。
【0023】本発明の発色方法においては、これに用い
る上記陽極酸化処理槽が平たい桶状をしており、同槽の
陰極がリング状に形成されており、上記装飾品をリング
状陰極の中央部に置き、上記装飾品に、中央部から周辺
部に向かうグラデーションカラーを形成することもでき
る。この場合も、装飾品の周辺部から中央部に向かう方
向性を有する電場を形成することができ、その結果、そ
の方向に装飾品をグラデーション発色させることができ
る。
【0024】
【実施例】以下、図面や発色工程例を参照しつつ説明す
る。図1は、本発明の一実施例に係る“しおり”を示す
平面図である。この“しおり”1は、厚さ0.4mmの純
Ti薄板製である。“しおり”1は細長い長方形をして
おり、長さ9cm、幅2.5cmである。長さ方向には、陽
極酸化により、グラデーションカラーが付けられてお
り、図の右側から、ピンク、緑、青、紫、黄色と徐々に
色が変化している。右端のピンク部は、約1800Åの
酸化皮膜が形成されており、左端の黄色部は約700Å
の酸化皮膜が形成されている。
【0025】この“しおり”には抜き模様を形成するス
リット3、5が形成されている。スリットはエッチング
により形成されている。スリットのうちページはさみ用
スリット5は,しおり1の右半分部を全体としてコの字
状に囲っている。そのため、図1のしおりの富士山が描
かれている部分は舌片状となっており、図2に示すよう
に、本のページ21を、この舌片部と他の部分とではさ
むようにして、しおり1を差し込むことができる。舌片
部14の先端は、差し込みやすいように突出した舌片先
端部15となっている。ページはさみ用スリット5の基
端部はアール穴7、7’となっている。これは、舌片部
1を弾性曲げする際に、曲げやすくかつ折れ目やキレツ
が入らないようにするためである。しおり1の右端中央
には、糸通し穴9が開けられており、飾り糸等を通すこ
とができるようになっている。
【0026】しおり1の中央部には、富士山の姿が描か
れている。このうち、山頂部はTi地色部(銀白色)1
1となっていて、他の部分から識別できるようになって
いる。富士山の山麓の部分は、凹凸模様部13となって
いる。この凹凸模様部13も、エッチングで掘り込む方
法で形成されている。しおり1の左上部はスクリーン印
刷部17となっており、ここには“富士山”と文字が入
っている。
【0027】図3は、本発明の一実施例に係るイヤリン
グを示す斜視図である。このイヤリング31は、渦巻き
ラセン状の上ラセン体33と下ラセン体35、及び取付
部39とから構成されている。ラセン体33、35は、
純Tiの薄板に、エッチング等で渦巻き状の切れ込みを
入れた物を、上下に引き伸ばすようにして作られてい
る。このようにして作ったラセン体33、35を、それ
らの大径部端同士を接続(溶接等の接続部37)してイ
ヤリング用装飾品としている。取付部39は、公知のね
じ等により、耳たぶにイヤリング31を取付けるもので
ある。
【0028】イヤリング31のラセン体33、35に
は、それぞれグラデーションカラーが付けられている。
グラデーションカラーの方向は、ラセン体33、35全
長にわたって一方向であってもよいし、ラセン体33、
35単体毎にある方向のグラデーションカラーが付けら
れていてもよい。また、接続部37近辺に陽電極を取付
け、槽の両端に負電極を有する陽極酸化処理槽中にイヤ
リング本体を入れ、イヤリング本体の中央部から両端部
方向に厚みの増す酸化皮膜を形成し、これにより、中央
部から両端部方向に2方向のグラデーションを付けても
よい。
【0029】図4は、本発明の一実施例に係る装飾品を
示す平面図である。このTi装飾品50は、Ti薄板の
基板にエッチングで切込みを入れた(切抜き部53)も
のである。切抜き部53は、装飾品50の中央部から周
辺部にわたって多数のコの字状の条として形成されてい
る。切残し部51、57は、長方形をしており、中央切
残し部57から外に向かって合計4列の切残し部が形成
されている。これらの切残し部51、57の形成する長
方形は、内部から周辺部12に向かって、徐々に大きく
なる相似形(おおむね、少々寸法比が異なってもよい)
をしている。切残し部は相互に、連結部55、56によ
って連結されている。連結部55、56もエッチングで
切残した部分である。なお、この装飾品は、中央部から
周辺部に向かって、黄色、紫、青、緑のグラデーション
カラーに発色されている。切残し部の条数は5以上(例
えば、10〜20)であってもよい。
【0030】図5は、図4のTi装飾品の連結部55、
57を変形させ(ねじり)、切残し部51、57を立体
的に構成した装飾品を示す斜視図である。この立体Ti
装飾品は、図4の装飾品の連結部55、56をある角度
(例えば30〜90℃)ねじることにより得られる。こ
のとき、連結部の位置が、振り分けられている(左右連
結部55と上下連結部56とに)ので、様々なバリエー
ションのある立体装飾品とすることができる。なお、こ
の実施例のTi装飾品は、図4の形態で販売し、後の立
体化は購入者が自分の趣向を凝らして行い、様々な立体
形態の装飾品とする楽しみを味わうこともできる。
【0031】この実施例(立体型Ti装飾品)の装飾品
の形状は、長方形の他、正方形、ひし形、円、だ円、三
角形あるいはそれらの組合せ等あらゆる形状であっても
よい。また、連結部の位置も、対角線上に配置したり、
30〜60℃ずつ振り分けて配置したりすることができ
る。また、連結部の変形態様も、“ねじる”以外に“曲
げる”こととしてもよい。
【0032】次に、図1のしおりの製造方法について説
明する。図6は、図1のしおりの製造方法のフローを示
す図である。なお、各工程間で適当な処理品洗浄や乾燥
を行う必要があることは言うまでもない。純Tiの薄板
(厚さ0.4mm)を適当な寸法に切断する(シャーリン
グ)。次に、このTi板をアルカリ液中で洗浄・脱脂す
る。次に、エッチングをしない部分をマスクで覆う一次
マスキングを行う。マスキング材はビニール系樹脂等を
使用する。マスキングの方法は、フォトリソグラフィー
やスクリーン印刷の技術を応用できる。次に、フッ酸水
溶液(5%)等でエッチングを行う。抜き模様は、表裏
両面からエッチングすることにより得られる。凹凸模様
は表面からのみエッチングする(裏面はマスクしてお
く)ことにより得られる。なお、2回に分けて、マスキ
ングとエッチングを行ってもよい。
【0033】次に、水酸化ナトリウム水溶液(3%、8
0℃)等により、一次マスキングをはがす。次に、酸洗
を行う。用いる酸の一例として、硫酸、硝酸、フッ酸、
及びそれらの混合液があげられる。さらにこれらと、過
酸化水素水等との混合液も使用できる。次に、発色させ
ずにTi地色で残す部分をマスクで覆う二次マスキング
を行う。マスキング材は一次マスキング同様である。
【0034】次に、陽極酸化を行う。図7は、図1のし
おりの陽極酸化を行う処理槽の構成を示す側面図であ
る。図8は、図7の処理槽を上から見た平面図である。
陽極酸化処理槽41は塩化ビニール製であり、深さが浅
くなっている。ちなみに、電極間距離15cmに対して深
さ3cmである。この槽41中には、電解液43(硫酸3
%水溶液)が張られている。槽41内の一方の端(図の
左側)には、処理品ホルダーを兼ねる陽極45(Ti
製)が設けられている。槽41内の右端には板状の陰極
47(Ti又はステンレス製)が、陽極45方向に突出
するように設けられている。しおり1は、陽極45と接
続されて、電解液43内に浸されている。しおり1は、
しおり1の長手方向が、陽・陰両電極間をつなぐ線とほ
ぼ一致するように置かれている。この状態で、両極間
に、120ボルトの電圧を10秒間かけて陽極酸化処理
した。その結果、上述のようなグラデーションカラーを
有するしおりが得られた。
【0035】陽極酸化処理後、Ti装飾品から二次マス
キングをはがす。その方法は一次マスキングはがしと同
様である。最後に、しおり1の左上の文字(富士山)を
スクリーン印刷により印刷した。なお、しおり1の端部
(エッジ)は、エッチング時に丸められるので、使用者
の指等を傷つけるようなことはない。
【0036】図9は、図4のようなTi装飾品の変形例
(円形)を陽極酸化処理している状態を示す図である。
図10は、図9の状態を上から見た平面図である。この
陽極酸化処理槽41’は、円くて浅い桶状をしている。
この桶の中央部に、円板状のTi装飾品50’を、電解
液43に漬けて、陽極45’(Ti針金等)で吊るす。
陽極酸化処理槽41’の内側には、円リング状の陰極4
7’が置かれている。この状態で、両極管に電圧を短時
間かけ、Ti装飾品50’を、中央部から周辺部に向か
うようにグラデーションカラー発色させる。
【0037】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のチタン装飾品は、きれいなグラデーションカラー、さ
らには模様を有しているので、美感や意匠性・興趣性に
優れる。また、本発明のチタン装飾品の発色方法は、上
述のようなチタン装飾品を提供できる。特に、本方法に
おいては、チタン装飾品全体を電解液中に浸漬された状
態で陽極酸化処理することもできるので、明瞭な境目の
無いきれいなグラデーションカラーを発色できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る“しおり”を示す平面
図である。
【図2】図1のしおりを本のページにはさんだ状態を示
す図である。
【図3】本発明の一実施例に係るイヤリングを示す斜視
図である。
【図4】本発明の一実施例に係る装飾品を示す平面図で
ある。
【図5】図4のTi装飾品の連結部55、57を変形さ
せ(ねじり)、切残し部51、57を立体的に構成した
装飾品を示す斜視図である。
【図6】図1のしおりの製造方法のフローを示す図であ
る。
【図7】図1のしおりの陽極酸化を行う処理槽の構成を
示す側面図である。
【図8】図7の処理槽を上から見た平面図である。
【図9】図4のようなTi装飾品の変形例(円形)を陽
極酸化処理している状態を示す図である。
【図10】図9の状態を上から見た平面図である。
【図11】チタンの陽極酸化処理時における電圧と酸化
皮膜厚及び発色色彩との関係を示す図である。
【図12】特開平4−128398の模様皮膜形成方法
における発色処理の概念図である。
【図13】特開平4−128398に示されている陽極
酸化処理時における印加電圧、電解電流及び電解時間の
関係を示す図である。
【符号の説明】
1 しおり 3 抜き模様スリ
ット 5 ページはさみ用スリット 7 アール穴 9 糸通し穴 11 Ti地色部 13 凹凸模様部 14 舌片部 15 舌片先端部 17 スクリーン
印刷部 21 本のページ 31 イヤリング 33 上ラセン体 35 下ラセン体 37 接続部 39 取付部 41 陽極酸化処理槽 43 電解液 45 陽極 47 陰極 50 Ti装飾品 51 最外周切残
し部 53 切り抜き部 55 左右連結部 56 上下連結部 57 中央切残し

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン又はチタン合金の基体と、 この基体の表面に形成された酸化皮膜と、を有し;この
    酸化皮膜が、上記基体のある方向に沿って徐々にその厚
    みが増大しており、 上記酸化皮膜における光の干渉により、上記基体のある
    方向に沿って色が徐々に変化している(グラデーション
    カラー)ことを特徴とするチタン装飾品。
  2. 【請求項2】 上記基体の中央部から周辺部に向かって
    グラデーションカラーが形成されている請求項1記載の
    チタン装飾品。
  3. 【請求項3】 上記基体表面に、さらに、凹凸模様が形
    成されている請求項1又は2記載のチタン装飾品。
  4. 【請求項4】 上記基体が薄板又は薄片であり、この基
    体の一部に抜き模様が形成されている請求項1、2又は
    3記載のチタン装飾品。
  5. 【請求項5】 上記装飾品がしおりである請求項1、
    2、3又は4記載のチタン装飾品。
  6. 【請求項6】 上記基体が、うず巻状に切込まれた薄板
    をスパイラル状に引き伸ばしたものである請求項1、
    2、3又は4記載のチタン装飾品。
  7. 【請求項7】 上記基体が、切り抜き部の入った薄板
    を、その切り抜き部を境に変形させ、立体的に構成した
    ものである請求項1、2、3又は4記載のチタン装飾
    品。
  8. 【請求項8】 上記基体の切り抜き部が、基体の内部か
    ら周辺部にわたって多数の条として形成されている請求
    項7記載のチタン装飾品。
  9. 【請求項9】 上記基体が、多数の条を形成する切り抜
    き部の入った薄板であり、切り抜き部以外の切残し部
    が、基体の内部から周辺部に向かって、徐々に大きくな
    る相似図形を描くように構成されており、切残し部が相
    互に連結されており、切残し部を変形させ、立体的に構
    成しうる請求項1、2、3又は4記載のチタン装飾品。
  10. 【請求項10】 チタン又はチタン合金の装飾品を陽極
    酸化皮膜処理により発色させる方法であって;電解液の
    入った、方向性を有する電場を形成可能な陽極酸化処理
    槽中に、上記装飾品を陽極に接続して浸漬し、その後短
    時間、上記方向性を有する電場を形成することにより、
    上記装飾品表面をグラデーション発色させることを特徴
    とするチタン装飾品の発色方法。
  11. 【請求項11】 上記陽極酸化処理槽が長手方向を有
    し、この長手方向に電場を形成し、この長手方向と直角
    に交わる少くとも1方向は短手方向となっており、上記
    陽極酸化処理槽の長手方向の寸法が同槽短手方向の寸法
    の3倍以上である請求項10記載のチタン装飾品の発色
    方法。
  12. 【請求項12】 上記陽極酸化処理槽が平たい桶状をし
    ており、同槽の陰極がリング状に形成されており、上記
    装飾品をリング状陰極の中央部に置き、上記装飾品に、
    中央部から周辺部に向かうグラデーションカラーを形成
    する請求項10又は11記載のチタン装飾品の発色方
    法。
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