JP2006138002A - 着色電解装置及び着色電解方法並びに着色チタンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】管理が簡単で、しかも安価な装置で安定的に着色被膜、特にレインボーカラーを有する着色被膜をチタンまたはチタン合金上に形成させる着色電解装置および着色電解方法を提供する。
【構成】電解液2を保持する電解槽1中に設けた小室4中で陽極酸化を行う。この小室4中に被電解物のチタンまたはチタン合金を投入することにより、負荷される電圧又は電流を段階的に増加又は減少させることが容易に可能となり、厚さの異なる酸化皮膜が形成される。その結果、酸化被膜の厚さに応じて干渉色が発生し、レインボーカラーを有する着色皮膜を形成させることが可能となる。
【選択図】図1
【構成】電解液2を保持する電解槽1中に設けた小室4中で陽極酸化を行う。この小室4中に被電解物のチタンまたはチタン合金を投入することにより、負荷される電圧又は電流を段階的に増加又は減少させることが容易に可能となり、厚さの異なる酸化皮膜が形成される。その結果、酸化被膜の厚さに応じて干渉色が発生し、レインボーカラーを有する着色皮膜を形成させることが可能となる。
【選択図】図1
Description
本発明は、チタン又はチタン合金への着色に好適な着色電解装置及び着色電解方法並びに着色チタンの製造方法に関する。
従来から、光が透過する薄い皮膜を金属表面に形成させると、光の屈折と反射の現象により光の干渉が起こることは知られている。この干渉色の発生度合いや色調は、その皮膜の屈折率や膜厚に大きく依存しているといわれている。干渉色は、一定の色調となる場合があるが、一見、虹の七色に類似した色調が現れる場合もある。この虹の七色が規則的に明瞭に認識できることが、美的外観上優れたレインボーカラーとしての価値が高いものと認識される。なお、本明細書中で述べるレインボーカラーとは、虹の七色のように、色と色との境界ははっきりとは認識されにくいが、明らかに色調が順繰りに徐々に、ほぼ規則的にグラデーション状に変化している状態を有している色彩模様を指す。
従来技術の一つである特許文献1(特開昭63−111198号公報)には、チタン又はチタン合金に陽極酸化により均一で美しい皮膜を形成させることが開示されている。また、特許文献2(特開平7−34293号公報)には、チタン又はチタン合金に虹色状のグラデーションカラーをつけることが開示されている。
また、チタン又はチタン合金への電解着色は、電圧をコントロールすることにより着色する方法が一般的であり、この原理を応用した種々な方法が提案されているが、チタン又はチタン合金の陽極酸化に使用する電解装置は、余り工夫されてはおらず特徴的なものは存在していないのが実情である。
例えば、特許文献3(特開平3―240998号公報)には、その一つの手段として引き上げ法の開示がある。この引き上げ法は、ロール状のチタン又はチタン合金材を電解液に浸漬しておいて、電解しながらその材料を徐々に引き上げる方法である。しかし、これはロールのチタン材が液中に浸漬されてから、チタン材に万遍なく導通させるために浸漬ロールに接するまでの時間を制御することに関するものである。また、着色被膜も単色の色調である。
特許文献1に開示されている内容は、バーニング現象を起こさず、表面が均一で美しく、しかも厚い皮膜を形成させるものであって、レインボーカラーを有する着色皮膜を形成させるものではなく、またレインボーカラーを有する着色皮膜に関する記載も一切なく、開示もされていない。また、この特許文献1では特殊な電解浴を使用しており、管理面やコスト面で不利となる危険性が高いものとなっている。
また、特許文献2に開示されている内容は、電解処理層としては、細長い、あるいは平べったい形状をしており、その長手方向に電場を形成させて、グラデーションカラーを形成させるものである。このような電解装置では、その装置の床面積が必然的に大きくならざるを得ず、また、横長の形状をした電解装置であるため、電解装置のどの場所においても電解液の組成を一定に保つことは難しい。したがって、電解液の組成を一定の組成に保つためには、電解液の分析・管理等が大変で、厳密な分析管理をこまめに行うか、または上述の電解液槽を大きくせざるを得ない。
さらに、特許文献3に開示されている内容は、チタン材に単色をムラなく電解着色するもので、レインボーカラーに関するものではない。特許文献3の技術は、大量に着色チタンを製造するもので、装置が大型化し、コスト面で不利となりがちなものである。
一般に、金属等の着色法には、金属上に着色金属酸化物の皮膜を形成する方法がある。また、金属上に薄い透明な被膜を形成し、この透明な被膜の屈折と反射を利用して干渉色を発生させることにより着色させる方法と、さらに電解電圧を高くして多孔質膜を形成し、この多孔質膜に、金属塩からの酸化物または水酸化物等を沈殿させて着色する方法などが考えられる。
単に薄い透明皮膜を形成させるだけならば、色々な方法が提案されている。例えば、乾式法と言われる方法では、無機又は有機の基材上にSiO2、TiO2、SnO2、などの金属酸化物、あるいは熱硬化性のポリエステルや熱可塑性のナイロンなどの有機化合物等を、真空蒸着法、イオンプレーティング法あるいはスパッタリング法等の方法で薄膜形成させるものがある。しかし、皮膜形成に用いる材料の屈折率等の関係より、すべての薄い透明皮膜が優れたレインボーカラーを有する皮膜を形成させることができるとも限らない。また、これらの方法で透明被膜を形成するには、装置が高価となり、加えて生産性を上げようとすれば、益々複雑で高価な装置を使用せざるを得ない。
これらの乾式法に代わるものとして、装置が比較的簡単で作業も容易な湿式法での皮膜の形成方法がある。この湿式法には、溶融塩中で電解する方法や、水溶液中で電気分解による、いわゆる鍍金と称する被膜の形成方法や、電気泳動により酸化物等のコロイドを電着させて被膜を形成させる方法や、陽極酸化のように基材を酸化させることにより被膜を形成させる方法などがある。
いわゆる鍍金という電気分解によって被膜を形成させる方法には、金属塩溶液を電気分解するので、干渉色を発生させるような被膜の形成は極めて難しい。また、電気泳動によって、金属酸化物のコロイド物質を極薄く付着させて透明皮膜を形成し、レインボーカラーに着色させることも可能であるが、コロイドを電着させる条件が難しく、また電着されたコロイド被膜の後処理も難しく、工業的に利用する方法は研究されていない。また、溶融塩法で、チタンまたはチタン合金を着色することは可能ではあるが、高温で処理しなければならないので、作業環境の整備が必要であるとともに、作業管理が難しい。
チタン又はチタン合金は、金属そのものとしても利用価値が高く、また入手しやすいなどの利点がある。このチタンまたはチタン合金の一般的な実用的着色方法としては、陽極酸化法が提案されている(特許文献1,2,3参照)。特に、チタンまたはチタン合金の場合、その酸化物のある種の結晶の屈折率は、ダイヤモンドに近い値が得られることで知られている。そのため、このような屈折率の高い物質を被膜として形成させると干渉色が出やすい。
例えば、被電解物となるチタンまたはチタン合金を電解液中に浸漬して、20〜30Vで陽極酸化すると青色〜淡青色の範囲の何れかの色に着色される。その後、陽極酸化されたチタンまたはチタン合金の一部を電解液から引き上げて、例えば、60〜80Vで電解すると、黄色〜紫色範囲の何れかの色の2色に着色された干渉被膜が得られる。また、上述の引き上げる代わりに、20〜30Vで電解した後、乾燥、マスキングを施して陽極酸化を行い、複数の干渉被膜を形成させることができる。
さらには、通称「筆めっき法」といわれている方法に類似した方法もある。これは、電解液を含ませた筆を陰極とし、被電解物のチタンまたはチタン合金を陽極として、描画をするようにチタンまたはチタン合金に接触させながら陽極酸化させる。この電解描画の際に、電解時間や電解電圧を種々変化させることにより、電解着色による多色の電解描画ができる方法もある。しかしながら、上述のマスキングの方法では、操作が煩雑であり、「筆めっき」類似の方法では、被電解物の大きさ等に制限がある。したがって、任意のチタンまたはチタン合金に酸化物の被膜を形成させて干渉色を発生させ、レインボーカラーを有する着色被膜を形成させることができる処理方法もおのずから限定されてくる。
このような中で、虹色状にチタン又はチタン合金を電解着色することが容易に可能となる装置や方法が望まれる。しかしながら、チタンまたはチタン合金の陽極酸化法を使用した電解着色では、電解液の電導度や処理電圧などの組み合わせによっては、レインボーカラーを有する着色被膜は種々変化する。特に優れたレインボーカラーを有する着色被膜を得るためには、電解に用いる電解装置を工夫・改善し、電解条件を安定させることが必要となる。上述した特許文献1,2,3には、それらの苦労、問題点が開示されていないが、実情は以上の通りである。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、管理が簡単で、しかも安価な装置で安定的に着色被膜、特にレインボーカラーを有する着色被膜をチタン又はチタン合金上に形成させる着色電解装置及び着色電解方法を提供することを目的とする。また、他の発明は、製造コストが低く、しかも簡単に着色されたチタン又はチタン合金を製造できる装置並びに製造方法を提供することを目的とする。
本発明の着色電解装置は、電解液を保持する電解槽と、電気絶縁性の材料で形成された電解槽中に設けられた小室と、小室とは離れて配置された陰極とからなり、小室は内部に空洞を有し、その空洞内に電解液が入り込み可能な構成とされ、小室中に投入される被電解物となるチタン又はチタン合金が出入自在な被電解物用開口部と、被電解物に電圧を負荷することが可能となる電圧負荷用開口部とを有している。
また、他の発明の着色電解装置では、小室は、一方の面が閉じられた筒形状とされ、他方の面は被電解物用開口部と、電圧負荷用開口部とを兼用する開口面とされている。この構成とすると、電解時に飛沫が飛散したり、発生のおそれのある有害性のガスが空気中に放出されたりすることなく安全に作業が可能となる。
さらに、小室は、筒形状とされ、被電解物用開口部が上方の開口面とされ、電圧負荷用開口部が下方の開口面とされ、上方の開口面の断面積より下方の開口面の断面積が小さくされていることが好ましい。この構成を採用すると、被電解物の先端に負荷される電圧を減少させ、先端のみが先に急激に着色され全体のバランスを欠くようになるのを防止することができる。
また、小室は、全体が電解液中にあって、横向に配置するようにしても良い。このようにすると、浴槽中の電解液の深さを浅くすることができ、小型化が可能となる。さらに、小室の壁であって、電解槽中に陰極と対向して電界を遮るように設けられた壁に、電圧負荷用開口部を設けるようにしても良い。この構成では、被電解物の特定の位置に強調したレインボーカラーを形成させるのに都合が良い。
また、本発明の着色電解方法は、内部に空洞を有し、電気絶縁性の材料で形成された小室を電解浴中に入れた後、または同時にチタンまたはチタン合金を小室内の電解浴中に浸漬して、その後、陽極電解をしてチタンまたはチタン合金の表面にレインボーカラーを有する干渉被膜を形成させている。
さらに、小室はパイプとされ、そのパイプは、断面形状が円形または角形を有し、パイプ形状の小室の壁と陽極電解されるチタンまたはチタン合金との距離は、少なくとも3cm以下、より好ましくは2cm以下で0.2cm以上であることが好ましい。この方法を採用すると、パイプの端面から他の端面に向けて、被電解物に負荷される電圧を比例的に変化させることができると共に、壁にチタンまたはチタン合金が接触する危険性が大幅に減少するので、単色着色になることを防止し、レインボーカラーに着色された被膜を確実に得ることができる。
また、陽極電極の対極として用いる陰極は、パイプ形状の小室の外側に配置されるのが好ましい。この方法では、パイプの側面が壁となって被電解物に負荷される電圧を制御することとなる。よって、パイプの一方の端面から他方の端面に向けて、被電解物に負荷される電圧を比例的に変化させることができ、レインボーカラーに着色された被膜を確実に得ることができる。
また、本発明の着色チタンの製造方法は、電解液を保持する電解槽と、電気絶縁性の材料で形成された電解槽中に設けられた小室と、小室とは離れて配置された陰極とからなり、小室は内部に空洞を有し、その空洞内に電解液が入り込み可能な構成とされ、小室中に投入される被電解物となるチタン又はチタン合金が出入自在な被電解物用開口部と、被電解物に電圧を負荷することが可能となる電圧負荷用開口部の何れかより被電解物を投入して、この被電解物を電解している。
さらに、他の発明の着色チタンの製造方法は、小室の一方の面が閉じられた筒形状とされ、他方の面は被電解物用開口部と電圧負荷用開口部とを兼用している。
本発明によれば、管理が簡単でしかも安価な装置で安定的に着色被膜をチタン又はチタン合金上に形成させることができる。特に、本発明は、レインボーカラーに着色された被膜の帯域を一つ又は複数形成させるのに好適となる。
以下、図を用いながら本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に示す各実施の形態では、チタン又はチタン合金の表面が、あたかも天空の七色の虹の様に徐々に色彩がグラデーション状に変化するような、レインボーカラーに着色された皮膜を有する装飾品等を製造するのに適した電解装置及びその装置を使用して上述の装飾品等を製造する方法に関して説明する。なお、本明細書でいうところの装飾品とは、例えば指輪、ブローチ、タイピン、イヤリング、ピンバッジ、ブレスレット、ネックチェーンなどの装身具や、携帯電話、モバイルコンピュータ等の各種携帯機器やテレビ、オーディオ等の電子機器、ギター等の楽器、置き時計、腕時計、壁掛けの絵の枠体、トロフィー等に適用されるものを含めて、装飾品と定義する。
図1は、本発明の実施の形態に係る着色電解装置の斜視図である。着色電解装置は、電解槽1と、電解槽1内に入れられた電解液2と、下部が電解液2に浸かる陰極3と、電解槽1内に設けられた複数の小室4とを有する。陰極3は、図示しない電源に接続されている。なお、図1およびその他の図において電解液2の液面7は波打ち状態で表示されているが、これは電解液2を攪拌している状態を示した図である。しかし必ずしも攪拌する必要はない。また、小室4内の液面7は小室4以外の液面7に比べると、攪拌した場合であっても波打ちが少なく、この面でも小室4を設ける効果が発生する。
電解槽1は、チタン又はチタン合金を陽極酸化するための電解液2を入れる容器である。この電解槽1は、非導電性のプラスチック又はガラスでできており、透明又は不透明とされている。不透明であっても差し支えないが、透明な方が作業を行うときに肉視でモニタができるのでより好ましい。
電解液2は、導電性を与えるための電解質の溶液である。この電解液2は、如何なる電解質の溶液であっても電解着色は可能である。例えば、チタン又はチタン合金を溶出させるような還元性の性質を持っている塩酸又は食塩のような電解質物質であっても、または水酸化ナトリウム、水酸化カリのような酸化チタンを溶出させる可能性のあるアルカリ電解物質でも電解着色は可能である。しかし、チタンの合金材に含まれているアルミニウムが多いと、電解時にアルミニウムが溶出したりして、形成される酸化被膜がポーラスでもろくなったり、色調がぼやけたりして外観上劣る傾向がある。したがって、チタン合金材の表面をあらかじめ電解研磨あるいは化学研磨等により活性化したりして使用すると良い。あるいは、電解物質の濃度を低くして適正な濃度条件を設定して行えば良い。
電解液2としては、酸化性を有する酸又はその塩の溶液であって、溶液となったときに電離する電解質の溶液が、生成される電解酸化された被膜も安定しており、より好ましい。酸またはその塩では、1価の酸またはその塩の電解質溶液であっても良いが、2価以上の酸またはその塩の電解質溶液の方がより酸化力が強く、チタンまたはチタン合金の電解着色にはより効果的である。
陰極3と向かいあう反対側の位置には、少なくとも1個の小室4が設けられてある。この実施の形態では、4個の小室4が設けてある。さらにこの実施の形態では、小室4は、パイプすなわち筒状とされ、その上面は開口状態(上方の開口面)になっており、底の部分も外側の電解液2が自由に出入り可能となるよう開口されて、下方の開口面となっている。このため、小室4内の電解液2を電解槽1中の他の部分の電解液2の液位同一に保つことが可能となっている。また、必要に応じて底の部分に蓋を設けるような場合でも、電気的な導通や電解液2の出入りも可能となるように、底の部分の蓋に例えば適宜の大きさの穴やスリットを設けたり、底の部分の蓋を網目状にしたりして導通口とすることも可能である。これにより、パイプ内の液組成と電解槽1中の他の部分の電解液2の液組成とを一定に保つことができる。
図2では、本実施の形態の電解着色の原理を分かりやすく説明するため、小室4が一つの場合を例示している。この電解槽1中の片側に配置された陰極3と対向する形で設けられた小室4に、チタン又はチタン合金からなる被電解物5を収納して陽極酸化処理をする。被電解物5には、図示しないが電源のプラス極が接続される。この小室4は、図1、図2では、四つの壁4aを有する四角形の形状を例示したが、この形状は、四角形に限定されるものではなく、例えば円筒形型であっても、多角形型であっても差し支えない。なお、この実施の形態では、上方開口面4bが被電解物5の出入りが自在となる被電解物用開口部となり、下方開口面4cが被電解物5に電圧を負荷することが可能となる電圧負荷用開口部となる。
なお、陰極3に使用する材料は、電解液2に浸漬したときに浸食されない導電性を有するものであればよい。すなわち、チタンと標準単極電位が同じか極近いもの、あるいは標準単極電位が高いもの、例えば、同じものとして純チタン(Ti)金属そのものであっても良いし、極近い金属としてアルミニウムでも良い。標準単極電位が高いものとして白金(Pt)や鉛(Pb)などが使用可能である。実用的には、陽極酸化される被電解物5がチタンまたはチタン合金であることから、コスト的にみてチタン又はその合金あるいはアルミニウムを陰極3として使用するのが好ましい。
電解液2を作るための電解質となる物質を例示すると、例えば無機のアルカリ性の電解質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどがあり、無機の酸性の電解質としては、燐酸、ポリ燐酸、硫酸、硝酸、亜硝酸、塩素酸、クロム酸、重クロム酸、硼酸、珪酸などの無機酸がある。さらに、上述のアルカリ性電解質または酸性電解質の塩類や、有機の蓚酸、クエン酸、カルボン酸などの有機酸又はその塩類またはエステル類の使用が可能である。特に、無機のアルカリまたは酸の電解質に有機物を組み合わせて添加することにより、陽極酸化処理中における先端電流集中の緩和や、電解液の電導度の調整や、さらには老化や劣化を防ぎ安定化させることが可能となる。
添加可能な有機材料を例示すると、メチルアルコール、エチルアルコールなどのアルコール類、エステル類、カルボン酸類、スルホサルチル酸などのスルホン酸類、トリエタノールアミンなどのアミン類、ジメチルアミドなどのアミド類、さらにはフェノール類がある。また界面活性剤として、例えばアニオン活性剤として、高級アルコール硫酸エステル、オレフィン硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸など、カチオン活性剤として、アルキルアミン酢酸塩、ジメチルアルキルアミン、アルキルポリエチレンポリアミンなど、非イオン活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ジエタノールアミドなど、さらには両面活性剤などが挙げられる。
電解槽1に使用するプラスチックスは、例えばアクリル樹脂、塩化ビニール樹脂、ポリプロピレン樹脂など電気的に絶縁性を有し、構造的に強度が得られる材料なら、敢えて強化プラスチックスにする必要はなく、いずれを使用しても差し支えない。さらに、プラスチックス又はガラスは不透明なものであっても、陽極酸化処理をするときに若干監視がしにくくなる点はあるが、不導体であれば不透明な材料であっても差し支えない。また、ガラスのような無機材では、たとえば琺瑯のような材料をライニングしたものであっても良い。
図3は、上述の複数の小室4の配置の形状を示す斜視図である。小室4の形状は、内部に空洞を有し、その空洞を電気絶縁性の材料からなる壁4aが囲むものとなっている。小室4は、この実施の形態では四角形になっているが、基本的には上下に開口部となる開口面を有している筒型となっていれば良い。小室4の数は、生産性を考慮して複数設けてはいるが、一つであっても差し支えない。この各々の小室4に被電解物5としてチタン又はチタン合金を投入して、陽極酸化処理を行う。
図4(A)は、円筒型の小室4Aであって、小室4Aの断面は円形又は楕円形としたものである。使用方法は小室4の場合と同じである。図4(B)は、平面的に小室4Bを配列した例を示す。ここでは、六角形の小室4Bを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば円筒型であっても、平面的に配置されていれば良い。この場合においても、使用方法は、小室4の場合と同じである。
図1から図4までの本実施の形態に係る装置と比較をするために、図5に小室4を設けない例を示す。図5の例では、小室4を設けることなく、十分な大きさの陰極3と陽極とした被電解物5とを向かい合わせて陽極酸化処理をする。被電解物5に印加される電圧(あるいは電流といいかえても良い)は、先端電流のような現象が起こり、被電解物5の端部に若干電圧(電流)集中する。しかし、電解時間が長くなるとともに酸化被膜(図示せず)は比例して厚く形成される。その結果、酸化皮膜の厚いところは電気抵抗が大きくなり、その電気抵抗に比例して(すなわち、酸化被膜の厚いところは必然的に電気抵抗が大きくなる)印加される電圧は減少する。この結果、被電解物5に形成される酸化被膜の厚さはほぼ均一となり、全面が単色の電解着色物が得られる。
これに対して、本発明の実施の形態に係る小室4を設けた図1から図4に示す着色電解装置では、浴抵抗による電圧降下が起こるようになっている。すなわち、電源電圧を一定にして小室4、4A、4B中で被電解物5を陽極酸化すると、被電解物5の下部から上部に向かって被電解物5に印加される陽極電圧は、連続的に減少する。この結果、酸化膜の厚みも連続的に変化して、レインボーカラーを有する着色皮膜を形成させることができる。したがって、優れたレインボーカラーを有する着色皮膜を得るには、この小室4を被電解物5の形状との関係でそれに合致した形状に設計するのが良い。例えば、小室4、4A、4Bの場合、その深さ方向に相当する長さと被電解物5の長さとを、必要とするレインボーカラーに合わせて位置設定をすればよい。このことは、被電解物5の形状との関連でどのような電圧負荷の勾配とするのかを考えて、形状を設計することで、優れたレインボーカラーを有する着色皮膜が得られる。
図6は、小室4のその他の変形例を示す。図6(A)、(B)は、それぞれ円筒形をした小室4A中に、被電解物5としてチタンの板材を投入した例を斜視図で示してある。被電解物5は導線6で電源装置(図示せず)の陽極と連結している。被電解物5は、電解液2の液面7から突出しないように設置してある。
図6(A)の被電解物5は、小室4Aの壁4aと接触しないように上方開口面4bより投入されており、陰極3(図示せず)からの電圧の印加は、下方開口面4cから電解液2を通して行われる。なお、被電解物5は、小室4Aの壁4aと接触するようにして上方開口面4bから投入されても、差し支えない。
図6(B)は、小室4Aを縦型に配置しているのは図6(A)と同様だが、図6(A)における上方開口面4bがなく、その代わりに中央に孔を有する小室蓋4dが設けられてある。これにより、電解をする時に上方に飛沫や有害ガス等が飛ぶのを防ぐことが可能である。電解着色における効果は、図6(A)と全く変わらない。
なお、図6(A)、(B)では、被電解物5の全体を電解液2中に完全に浸漬した状態を示してある。この図6(A),(B)では、被電解物5が、小室4Aからはみ出さないように配置してある。しかし、図7および図8に示すように、被電解物5の下端部5bの一部を突出させて突出部5dとして設けても良い。この突出部5dを設けることにより、被電解物5により大きな電圧を印加することができる。なお、図6(A)、(B)および図7では、被電解物5が電解液2中にどっぷり浸かった状態を示してあるが、これは、被電解物5の全面を電解着色させることを目的としているためである。したがって、必要に応じて被電解物5の上端を液面7より突出させても差し支えない。
上述したように、図7には、被電解物5の一部が小室4Aの空洞部分から突出した突出部5dが形成される場合を例示してある。この突出部5dは、陽極酸化時に電源電圧が直に印加されるように考慮したものである。この結果、上述のような効果を有する。すなわち、被電解物5の下端部5bの突出部5dに直に印加される電圧を高くすることができる。最も高い電圧が突出部5dに加わり、上端部5c側に行くに従い印可される電圧が比例的に減少し、レインボーカラーが被電解物5に着色される。これは、電解液2の浴抵抗が比例的に増加するためである。すなわち、図7では、説明上分かりやすくするために、A,B,Cと記載した領域が、A,B,Cと上の方に行くに従い、印加される電圧が比例的に減少することとなる。
このように、上の方に行くに従い浴抵抗が大きくなることにより、被電解物5の長さ方向の各部分に印可される電圧は減少していく。したがって、形成される酸化被膜の厚みも電圧に比例して減少し、被電解物5の各部分に異なった色調の干渉色が現れることとなり、見栄えの良いレインボーカラーを有する着色皮膜が電解着色により形成される。なお、この突出部5dは、目的とする着色模様によっては突出させなくても良い。さらに、この突出部5dを、陽極酸化による酸化膜が形成されることにより不導体化することのない材料、例えば金、白金、ロジュウムなどで部分的に覆って、小室4A内の被電解物5に印加される電圧の制御を加減し、レインボーカラーを有する着色皮膜を得ることもできる。
図8は、この円筒形をした小室4Aを上面から見たものである。この図8では、被電解物5と壁4aの間には、隙間部8aを設けてあるが、電圧降下の面だけから言えば隙間部8aを零にして、すなわち被電解物5の側端部5aが、小室の壁4aに密着していても差し支えない。この隙間部8aは、3cm以下、より好ましくは2cm以下とするのがよい。すなわち、この隙間部8aを、3cm以下、より好ましくは2cm以下とすると、浴抵抗による電圧降下が十分なものとなる。
図9は、四角形にした小室4を図8と同様に上面から見たところの断面図である。この図9では、被電解物5の被電解酸化面9と小室4の壁4aとの距離9aは、上述の隙間部8aと同じ条件を満足していれば良い。それにより、目的とする着色模様や被電解物の5の形状によって小室の壁4aとの距離9aを所定の範囲に設定して陽極酸化処理をする。効果は図7、図8の場合と同様である。
図10(A)、(B)は、小室4Aが電解液2中にそっくり沈められたときの陽極酸化の方法を示す斜視図である。図10(A)では、小室4Aが1個のものを示してある。支持枠11で小室4Aを電解液2中に保持している。上方開口面4bと下方開口面4cが開口されていることにより、上下からほぼ同じ電圧を陰極(図示せず)より印加させることができる。この結果、小室4Aを被電解物5の上下方向の中央に配置させると、被電解物5の上方と下方とからほぼ対称的なレインボーカラーの着色皮膜となる。
図10(B)は、小室4Aを2個設けたものを示してある。小室4Aは、図10(A)と同様に支持枠11で連結されている。この支持枠11は、小室4Aを保持するだけの働きであるので、できるだけ細く、すなわち面積が小さいものが好ましい。ここで、小室4A間の距離9bは、目的とするレインボーカラーにしたがって任意に設定すればよい。この電解装置で図10(A)と同様に処理すると、被電解物5に複数のレインボーカラーを有する着色皮膜が得られる。
この小室4Aは、2個に限定されるものではなく、さらに多くの小室4Aを設けて多数のレインボーカラーを有する着色皮膜を得ることも可能である。また、図10(A),(B)に示す小室4Aは、円筒形に限られるものではなく、上述したような種々な他の変形の小室を用いることができる。
図11(A)、(B)は、両端が開口された円筒形の小室4Aや両端が開口された四角形の小室4を横向きに設置した場合の斜視図である。図11(A)は、円筒形の小室4Aを用いてあり、(B)は、角形の筒状の小室4を用いている。しかし、機能的には、両者とも同じであるので、図11(A)の円筒形の小室4Aの場合を用いて説明する。
被電解物5は、円筒中のほぼ中心に横向きに設置される。この場合、被電解物5は、図11(C)の側方から見た側面断面図に例示するように、導線6が接続される接点部10で保持と導通とが兼用されるように構成されている。すなわち、この接点部10は、被電解物5を保持する機能と、被電解物5にかかる電圧の勾配を調整する働きも持つ。
図11(C)に図示したように、被電解物5の下部全面に接点部10を設けると、被電解物5には、均等に電圧が印加される状態となる。しかし、実際には、この場合は小室の壁4aとの距離9aの浴抵抗が主体的にきいてくる。これに反して、図11(D)に示すように、接点部10の長さを短くすると、浴抵抗とともにチタンまたはチタン合金のもつ固有の抵抗などもあるので、電圧の勾配を大きくすることができる。すなわち、導線6の側から反対方向に向けて、印加される電圧をより小さくさせることができる。この結果、この接点部10の長さを調節することにより、多様化されたレインボーカラーを有する着色皮膜の電解着色が可能となる。
なお、図6、7、8、9および10に示すように小室4、4Aを縦にした場合と、図11(A),(B),(C)、(D)に示すように小室4、4Aを横にした場合の電解着色の原理は基本的に同じであり、従って効果も全く同一である。すなわち、小室4、4Aと被電解物5との隙間部8aや小室4,4Aの壁4aとの距離9aを、図7で例示したように3cm以下、好ましくは2cm以下に保持することにより、被電解物5に電解着色される色調や、レインボーカラーを有する着色皮膜も、規則的に形成させることが可能となり、また複雑多様な模様とすることも可能となる。なお、隙間部8aや距離9aを0.2cm以上好ましくは0.5cm以上とすると、壁4aに被電解物5が接触する危険性が大幅に減少し、着色の面で好ましいものとなる。
酸化チタンの酸化皮膜の厚さは、電解電圧によって決まる。また、干渉色は被膜の厚さで決まってくる。この両者は比例関係にあるので、どちらかを決定すれば他方も決まってくる。しかし、電解液によって、同じ電圧であっても酸化被膜の厚みも変わってくると考えられ、このような電解電圧と干渉色の色調との関係については種々の文献の記載がある。分かりやすくするために、図12にその関係を例示する。すなわち、10V付近ででは金色系、30V〜40Vでは青色系、80〜100V付近では緑色系、120〜130V付近ではピンク系を呈する。
可視光の波長は400〜800nmで、赤紫や赤よりも紫、青の方の波長が短く屈折率が大きく、干渉色も幅広く出やすい傾向がある。従って、小室4、4A、4B等を用いると、その小室の設計には融通性が大きく存在するので、被電解物5の印加される電圧を任意に設定することができる。そのため、電解酸化による被膜の厚さを任意に調整することが可能となり、多種多様な電解着色をさせることができる。また同じ色の干渉は、チタンの酸化被膜の上述の厚みの整数倍の厚みのところで生ずる。その結果、厚みの変化を連続的に複数倍の被膜の厚みが得られるように電解すれば、レインボーカラーを有する着色皮膜を複数組形成させることも可能となる。
図13(A)、(B)、(C)、(D)は、小室4の他の形状の例である。図13(A)は、小室4の下方開口面4cを小さい穴としてくびらせ、くびれ部4eを設けたボトル形の小室4Cである。図13(B)は、全体を円錐形状とし、下方開口面4cを小さくした円錐形小室4Dである。図13(C)は、上半部が立方体形状で、下半部が角錐状とされ、その先端に下方開口面4cがある角筒角錐形小室4Eである。図13(D)は、全体が角錐状とされた角錐形小室4Fである。
小室4C,4D,4E,4Fでは下方開口面4cを小さくして、くびれ部4eとすることにより、被電解物5にかかる先端電流を調節する働きをもつ。すなわち、被電解物5の先端(又は端部)にかかる電圧を減少させることができる。また、徐々に上方側が広くなるようにすると、被電解物5にかかる電圧を平均化させることとなり、陽極酸化によって発生するレインボーカラーを有する着色皮膜を多様化することが可能となる。なお、小室の形状は、ここに例示した角形や、円形に限定されるものではなく、例えば開口面を楕円形、星形、三角形にしても良い。また、くびれ部4eを設ける小室以外に、小室の形状を瓢箪形や「く」の字型などにしても良い。
図14(A)は、上方が開口された円筒形の小室4Aに横穴12をさらに設けた小室4Gの斜視図である。この横穴12を設けることで、電解液2が出入しやすくなり、新鮮な電解液2を供給することができるとともに、この横穴12から不規則な電界が被電解物5に与えられることとなり、複雑なレインボーカラーを有する皮膜が形成されることになる。この横穴12は、希望する模様に併せて、その大きさや形状を任意に変更しうる。また、図14(A)に示すような横長の横穴12ではなく、縦形(図示せず)にしても良い。さらに複数の横穴(図示せず)を設けても良い。この横穴12を設けた場合、下方開口面4cは、あってもなくても良く、使用する目的に合わせれば良い。
図14(B)は、円形の横穴12aを設けた小室4Hを例示してある。この円形は、真円であっても良いし、楕円(図示せず)であっても良い。この場合も、使用方法および効果は、図14(A)と同じである。さらに、図14(A)、(B)とも任意で複雑な形状、例えば三角形や星形などの形状などとすることもできる。このように、横穴12,12aを設ける場合は、下方開口面4cは必須とされない。図14(A)(B)のように、横穴12,12aを設ける場合、小室4〜4Hの縦方向を長くし、その長さ方向に間隔をあけて複数設けるようにしても良い。そうすると、横穴12,12aを適宜塞ぐことにより、長さの異なる被電解物5に容易に対応できると共に被電解物5の両端の着色を好ましいものとすることができる。
図14(C)は、小室4の側面四方を外側の電解液2と隔離できるように四つの壁4aで囲み、かつ小室4の底部を塞ぐとともにスリット状の穴13を設けた小室4Jである。この穴13が電圧負荷用開口部となる。この場合も、このスリット状の穴13の形状や大きさを種々変化させることにより、多様なレインボーカラーを有する皮膜を電解着色させて形成させることが可能となる。また、図14(D)は、図14(C)のスリット状の穴13に代えて、円形の底穴13aを設けたものである。これらの、スリット状の穴13または円形の底穴13aは、一個でも良いし、また必要に応じて複数設けても良い。また、底穴13、13aを上述の図14(A)、(B)と同様に任意で複雑な形状としても良い。
図13(A)、(B)、(C)、(D)および図14(A)、(B)、(C)、(D)に示すような小室4C、4D、4E,4F、4G、4H、4J、4Kは、図11と同様に、横型に配置して使用することも可能である。図13(A)、(B)、(C)、(D)の小室4C、4D、4E、4Fとも、上方開口面4b、くびれ部4e部分の下方開口面4cのどちらが陰極3と対向しても差し支えない。その選択は、必要とするレインボーカラーを有する着色皮膜によって決めればよい。
以下に、実際に電解着色した実験の結果を、実施例としてさらに詳しく説明する。
電解槽1の大きさは、60cm×25cm×1cmとし、電解液2は、18リットルとした。小室には、内径が38mmφで、60mmの長さの円筒形の小室4Aを用いた。電解液2には燐酸を使用し、電圧120V,340μS(マイクロジーメンス)に調整して、温度は常温で陽極電解処理を行った。被電解物5には、小型材(以後、A材と呼ぶ)として平面部の横幅が15mmで長さが35mmの純チタン板(図15(A)参照)と、大型材(以後、B材と呼ぶ)として平面部の横幅が30mmで長さが35mmの純チタン材(図15(B)参照)を用いて、図8と同様に配置した。ただし、ともに厚みは、1mmである。その結果を、図15(C),(D)に模式的に示す。
この結果、A材は、図15(C)に示すように色調の変化が平行して現れているが、B材は、図15(D)に示すように外周部に色調がずれ込んで、円弧状を呈している。図15(D)は、A材とB材との幅が違うことおよび小室4Aに円筒形を用いたため、被電解物5の側端部5aと小室4Aの壁4aとの間の隙間部8aと小室の壁4aと被電解酸化面9との距離9aが大きく違い、それらの部分において電解液2の量の偏りが生じたためと思われる。その結果、浴抵抗が異なっているとともに、電解時間が短いために先端に電流が集中したため、酸化被膜の厚みが均一化しなかったためと考えられる。したがって、電解時間を長くすると、形成された酸化膜が抵抗となって、印加される電圧が制御されて一定化されるので、ほぼ平行なレインボーカラーとなる。
次に、図16(A)、(B)に、電解時間と、円筒形の小室4Aの径を変えたものを、図15と同様な配置で行った結果を示す。図16(A)に示すA材は、内径20mmφで長さ60mmの円筒形の小室4Aを用いた。結果、小室4Aの壁4aからの距離9a(図示せず)は、必然的に小さくなっている。このA材の処理は、電圧120V,電気伝導度電気伝導度は340μS(ジーメンス)で、温度は常温とし60秒間陽極で電解処理した。B材については、内径38mmφの円筒形の小室4Aを用い、電圧は、120V、電気伝導度は340μS(ジーメンス)で、温度は常温とし60秒間陽極で電解処理した。これらの電解処理条件は、図15のA材、B材と同様であったが、電解時間のみが2倍の60秒である。この結果、A材、B材ともに、図16(A)、(B)に示すように干渉色は直線上に着色形成された。これは、電解時間を長くしたことにより、図9で示すところの被電解物5上の被電解酸化面9の厚み、すなわち酸化膜の厚みが均一化されたことによる効果であるものと考えられる。
次に、円筒形の小室4Aを用いて、電気伝導度を変えて電解した場合について、図15(A)と同様な配置で行った。これを図17(A)、(B)を用いて説明する。小室4Aの大きさは、内径20mmφで長さ60mmのものを用いた。使用した被電解物5は、A材である。図17(A)は、電圧120V、電気伝導度360μS(ジーメンス)で、温度は常温とし70秒間陽極電解処理した。図17(B)は、電圧120V、電気伝導度740μS(ジーメンス)で、温度は常温とし70秒間陽極電解処理した。この結果、図17(A)、(B)ともほぼ同様なレインボーカラーを有する着色被膜が得られた。このことは、電解液2の電気伝導度の変化は、着色被膜の仕上がり状況には余り影響されていない。これは、小室4Aを設けることによって、電解液2の電気伝導度等電解液の変動による酸化膜形成への影響を減少させているものと考えられる。
円筒形をした小室4Aを用いて、電解時間を変えた場合についてのレインボーカラーの着色皮膜の状況を、図18(A)、(B)、(C)、(D)を用いて説明する。図18(A)、(B)は、電圧120V、電気伝導度360μS(ジーメンス)で、120秒間陽極電解処理した。図18(C)、(D)は、時間のみを60秒間の陽極電解処理とし、他の条件は上述の(A)、(B)と同じとした。この結果、着色される帯域の位置が異なってくるのみで、レインボーカラーを有する着色皮膜には変化がなかった。すなわち、下端部の方が厚くなっていることを示す状態になっている。なお、図示しないが、電解時間を240秒としたものは、下端部がピンク色で上方に行くに従い黄色がかった色調で、全体的にくすんだ色を呈したレインボーカラーを有する着色皮膜となっていた。
実施例1〜4は、円筒形の小室4Aを用いたが、角筒形の小室4の場合について、図19(A),(B)、(C)、(D)を用いて説明する。なお、小室4は、内法寸法が縦50mm、横50mm、高さ50mmの角形とし、上方と下方とも開口面としてある。電気伝導度360μS(ジーメンス)で、30秒間陽極処理をした。図19の(A)、(B)はA材とB材を小室4のほぼ中心に図9と同様に配置したときの側面図である。この結果、図19(C)、(D)に示すように着色される帯域の位置が異なるものの、優れたレインボーカラーを有する着色皮膜が得られた。この結果、実施例1や実施例5より小室の形状が円形状であろうと、角形状であろうと、すなわち小室の形状が変わっても条件さえ合致すれば、レインボーカラーを有する着色皮膜が確実に得られることが分かった。
実施例1〜5は、被電解物5に板材のA材またはB材を用いたが、他の材料への応用例として、純チタン製のチェーン20を用いて電解着色を行ったものを図20(A)、(B)、(C)、(D)に示す。チェーン20は、光沢を出すこととスケール除去のための前処理として化学研磨を行った。化学研磨液は、過酸化水素20%、酸性フッ化アンモニウム(一水素二フッ化アンモニウム)10〜14%、硫酸約5%、残りは水の溶液に、10〜20秒間化学研磨状況を肉視で見るようにしながら、浸漬し、スケールを除去し、光沢のある表面とした。
円筒形の内径20mmφ、長さ60mmで、上方と下方とも開口してある小室4Aを用い、電圧120V、電気伝導度は340μS(ジーメンス)、電解時間は60秒で行った。その結果、図20(B)に、模式的に電解着色された状況を示す。七色の虹のように色調が変化したチェーン20が得られた。なお、ここでは、チェーン20は、導線6に一重の状態でぶら下げた状態になっているが、図20(C)に示すように、導線6に複数回巻き付けるような形であっても良い。このような方法は、チェーン20のように長尺のものの電解着色に有効である。図20(D)は、小室4Gの変形で、横穴12を複数設けてある。導線6にチェーン20を図のように吊して、図20(A)と同様に陽極電解処理を行った。この結果図示しないが、レインボーカラーを有する複数の着色帯域のあるチェーンが得られた。
図21に、被電解物5の下端部5bと小室4Aの下方開口面4cの位置を同じとした場合の例を示す。導線6につながって陽極となって陽極酸化される被電解物5は、純度99.8%チタンを用いた。これは実施例1から6までと同様な材料である。大きさは、縦35mm×横15mm×厚さ1mmの板材を被電解物5として用いた。公知の光沢バレル研磨法で板材を光沢表面加工した後、アセトンで脱脂処理をした。この板材を厚さ4mmで内径20mmφ、高さ100mmの透明アクリル樹脂製のパイプとなる小室4Aの中に吊した。このとき被電解物5の下端部5bと小室4Aの下方開口面4cは同じ位置とした。小室4Aの外側には、150mm×50mm×0.5mmの純アルミニウム板を導線6aにつないで陰極として配置した。
これに用いた電解液2は、0.01%の重量濃度の燐酸水溶液とした。浴温はほぼ常温の20℃である。電解電圧100V、時間を90秒として、定電圧電解をした。被電解物5を水洗後、乾燥した。得られた色調は、下端部5bより上方に向かって、淡赤、黄、淡緑、緑、青、紫、赤、黄に連続的に変化していた。なお、同一条件で繰り返したが、結果にバラツキはほとんどなかった。
実施例7と同一の条件で、小室4Aをアクリル樹脂製の内径80mmφにして、電解着色を行った。その結果、試料としたチタンの被電解物5は、全面が淡緑色の均一干渉色に着色された。その結果、虹色の干渉被膜は得られなかった。これは、被電解物5と小室の壁4aとの距離9aが広かったために、被電解物5に均一な陽極電圧が印加されたためと考えられる。
実施例7と同一の条件で、小室4Aを用いなくて、電解着色を行った。その結果、試料としたチタンの被電解物5は、全面が淡緑色の均一干渉色に着色された。その結果、レインボーカラーの着色皮膜は得られなかった。これは、小室4Aがないので、被電解物5に均一な陽極電圧が印加されたためと考えられる。
表1に、被電解物5と小室の壁4aとの距離9aと電解着色の状況との関係について、実施例7と同じ条件で実験した結果を示す。下記に示す表のように、小室の壁との距離は、3cmを若干超えたとしても、虹の七色に満たないが、レインボーカラーに近い色彩模様が得られる。しかし、3cm以下であれば十分にレインボーカラーを有する着色皮膜が得られることが言える。
実施例7と同じ条件で、純チタンの代わりにJIS61種のTi−Al系(チタン−アルミニウム系)のチタン合金を用いた。このチタン合金は、あらかじめ実施例6と同様のフッ化物系の化学研磨液を用いて前処理をした。この結果、実施例7と同様な美しいレインボーカラーの着色模様が得られた。なお、フッ化物系の前処理を行わないで陽極酸化したものは、連続的に色調が変化した着色模様とはなったが、全体的に黒みがかかって、くすんだ外観となった。これは、光沢がでたことと表面のAlが溶出してチタン成分がリッチとなったためと思われる。
図22に、小室4Aを複数設けた場合を示す。実施例7と同一条件で複数の電気絶縁性のアクリル製の小室4Aを二組配置した様子を示す。小室4Aを連結する支持枠11は、分かりやすくするために省略してある。この結果、二組の虹色をしたレインボーカラーを有する干渉被膜が得られた。
このようにして得られたレインボーカラーを有する着色被膜は、保護被膜がなくて、そのまま使用しても差し支えない。しかし、さらに耐久性を向上させるために、コーティングしても良い。コーティングの方法には、塗料などで透明な塗料を塗装する方法や、イオンプレーティングやスパッタリングの乾式法で透明な金属酸化物、例えば石英などの保護膜を形成する方法がある。いずれの方法を採用しても差し支えない。なお、このコーティングは、他のすべての実施の形態や実施例に適用できる。
本実施例では、湿式の電解液での陽極酸化であるため、ゾルゲル法を用いる方が仕事のやりやすいことを考慮し、ゾルゲル方による保護膜形成方を採用することとした。被膜としては、石英ガラスを作成する方法に準じて行うこととした。金属アルコキシドすなわちエチルシリケート10に、エタノール4〜8、1N塩酸4を加え、攪拌し加水分解を起こさせると、重縮合反応が起こりゲル状の溶液を得ることができる。この加水分解溶液中に電解酸化された被電解物5を浸漬し、徐々に引き上げてコーティングを行った。これを乾燥した後、必要とする耐久性を考慮して、100〜500℃の範囲で加熱して、ガラスの被膜を形成させる。なお、エチルシリケートに、他の金属アルコキシド例えばジルコニウムのアルコキシド化合物を加えて、ガラス質の被膜の強化を図ることも可能である。なお、このコーティングは、他のすべての実施の形態や実施例に適用できる。
以上、本発明の実施の形態とその変形例ならびに実施例について種々説明してきたが、各実施の形態等に係る主要な点は、チタンまたはチタン合金の電解着色にあたって、被電解物5にあたかも磁石の磁界を制御するに似て、どのような電界を与えるかによって、得られるレインボーカラーを有する着色皮膜が決まってくることを利用していることにある。しかも、その電界の与え方には、小室4,4A,4B,4C,4D,4E,4F,4G,4H、4J、4Kを設けるという簡単な操作だけで、多様なレインボーカラーを有する着色皮膜を形成させることが可能となる。
なお、被電解物5に一定以上の時間、所定の電解を与えると、酸化被膜は一定の厚さとなる。よって、特定の色で一色に着色することも可能である。この場合、その一色で濃淡を施したり、一定の濃さの一色としたりしても良い。また、2色や3色程度とするようにしても良い。
1 電解槽
2 電解液
3 陰極
4、4A、4B、4C,4D、4E、4G、4H 小室
4a 小室の壁
4b 上方開口面(被電解物用開口部)
4c 下方開口面(電圧負荷用開口部)
5 被電解物(チタンまたはチタン合金)
8a 隙間部
9 被電解酸化面
9a 小室の壁との距離
20 チェーン
2 電解液
3 陰極
4、4A、4B、4C,4D、4E、4G、4H 小室
4a 小室の壁
4b 上方開口面(被電解物用開口部)
4c 下方開口面(電圧負荷用開口部)
5 被電解物(チタンまたはチタン合金)
8a 隙間部
9 被電解酸化面
9a 小室の壁との距離
20 チェーン
Claims (10)
- 電解液を保持する電解槽と、電気絶縁性の材料で形成された上記電解槽中に設けられた小室と、上記小室とは離れて配置された陰極とからなり、上記小室は内部に空洞を有し、その空洞内に上記電解液が入り込み可能な構成とされ、上記小室中に投入される被電解物となるチタン又はチタン合金が出入自在な被電解物用開口部と、上記被電解物に電圧を負荷することが可能となる電圧負荷用開口部とを有していることを特徴とする着色電解装置。
- 前記小室は、一方の面が閉じられた筒形状とされ、他方の面は前記被電解物用開口部と前記電圧負荷用開口部とを兼用する開口面とされていることを特徴とする請求項1記載の着色電解装置。
- 前記小室は、筒形状とされ、前記被電解物用開口部が上方の開口面とされ、前記電圧負荷用開口部が下方の開口面とされ、上記上方の開口面の断面積より上記下方の開口面の断面積が小さくされていることを特徴とする請求項1記載の着色電解装置。
- 前記小室は、全体が前記電解液中にあって、横向に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の着色電解装置。
- 前記小室の壁であって、前記電解槽中に陰極と対向して電界を遮るように設けられた壁に前記電圧負荷用開口部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の着色電解装置。
- 内部に空洞を有し、電気絶縁性の材料で形成された小室を電解浴中に入れた後、または同時にチタンまたはチタン合金を上記小室内の電解浴中に浸漬して、その後、陽極電解をして上記チタンまたはチタン合金の表面にレインボーカラーを有する干渉被膜を形成させることを特徴とする着色電解方法。
- 前記小室は、パイプとされ、その断面形状が円形または角形を有し、前記パイプ形状の小室の壁と陽極電解される前記チタンまたはチタン合金との距離は、少なくとも3cm以下、より好ましくは2cm以下で0.2cm以上であることを特徴とする請求項6記載の着色電解方法。
- 前記陽極電解の対極として用いる陰極は、前記パイプ形状の小室の外側に配置されていることを特徴とする請求項6記載の着色電解方法。
- 電解液を保持する電解槽と、電気絶縁性の材料で形成された上記電解槽中に設けられた小室と、上記小室とは離れて配置された陰極とからなり、上記小室は内部に空洞を有し、その空洞内に上記電解液が入り込み可能な構成とされ、上記小室中に投入される被電解物となるチタン又はチタン合金が出入自在な被電解物用開口部と、上記被電解物に電圧を負荷することが可能となる電圧負荷用開口部の何れかより被電解物を投入して、この被電解物を電解することを特徴とする着色チタンの製造方法。
- 前記小室は、一方の面が閉じられた筒形状とされ、他方の面は前記被電解物用開口部と前記電圧負荷用開口部とを兼用することを特徴とする請求項9記載の着色チタンの製造方法。
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