JP2015503213A - 干渉色マーキング - Google Patents

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Abstract

製品上にマーキングを付与すための技法又はプロセスが開示されている。一実施形態では、この製品は筐体を有し、マーキングはこの筐体上に付与されるものとする。例えば、特定の製品に対する筐体は、外側筐体表面を有することができ、マーキングは、この筐体の外側から視認可能なようにこの外側筐体表面上に付与可能である。このマーキングは干渉色及び/又は黒色であることができる。

Description

電子装置などの消費者製品は、ユーザに種々の種類の異なる情報を知らせるためにマーキングされることがある。例えば、電子装置をシリアル番号、モデル番号、著作権情報などによりマーキングすることは通例である。更には、電子装置を供給者のブランドによりマーキングすることにより、消費者は、その電子装置を供給者から供給されたものとして識別することができる。
インク顔料を用いる印刷又はスタンピングプロセスは、このようなマーキングに使用される場合がある。従来のインク顔料印刷及びスタンピングは多くの場合に有用であるが、このような技法はハンドヘルド電子装置の場合には不適当である可能性がある。携帯電話、ポータブルメディアプレーヤ及び無線携帯情報端末(PDA)などのスモールフォームファクタのハンドヘルド電子装置は、マーキングが極めて小さいことを必要とする。このように小さいマーキングが判読可能であるためには、マーキングは精密かつ正確に形成されなければならない。しかしながら残念なことに、従来の技法は、充分な精密さ及び正確さを提供することはできない。したがって、製品をマーキングするための改善された技法が求められている。
本発明は、製品上にマーキングを付与するための技法又はプロセスに関する。一実施形態では、製品は筐体を有し、マーキングは筐体上に付与されるものとする。例えば、特定の製品のための筐体は、外側筐体表面を有することができ、マーキングは、この筐体の外側から見えるように、この外側筐体表面上に付与することができる。製品上に付与されるマーキングはテキスト及び/又はグラフィックであってもよい。マーキングは高解像度で形成可能である。マーキングは、更に金属又はバルク金属ガラス表面上で干渉色及び/又は黒色であることもできる。
一般に、本発明に係る、製品上に付与されるマーキング(注釈又はラベリングとも呼ばれる)は、テキスト及び/又はグラフィックであることができる。マーキングを使用して、製品(例えば、製品の筐体)に特定の情報を付与することができる。マーキングを使用して、例えば、製品を種々の情報でラベルすることができる。マーキングがテキストを含む場合、テキストは製品(例えば、電子装置)に関する情報を提供することができる。例えば、テキストは、製品名、商標若しくは著作権情報、設計拠点、組立工場、モデル番号、シリアル番号、ライセンス番号、機関承認、準拠規格、電子コード、装置のメモリなどのうちの1つ以上を含むことができる。マーキングがグラフィックを含む場合、グラフィックは、製品としばしば関連するロゴ、認証マーク、規格マーク又は承認マークに関することができる。マーキングは、製品上に付与される宣伝に使用することができる。マーキングは、製品の筐体のカスタム化(例えば、ユーザによるカスタム化)にも使用することができる。
本発明は、方法、システム、機器、又は装置を含む、数多くの方法で実施することができる。本発明のいくつかの実施形態が、下記に記述される。
電子装置筐体として、本発明の一実施形態は例えば、少なくとも電子装置筐体の基材と、電子装置筐体の基材上に配設された、干渉色マーキングを含むことができる。
電子装置筐体をマーキングする方法として、一実施形態は例えば、電子装置筐体の基材を少なくとも提供する工程と、電子装置筐体の基材上に干渉色マーキングを生成するために、放射エネルギーを予め選択された量で照射する工程と、を含むことができる。
別の実施形態として、物品は例えば、少なくともバルク金属ガラス基材と、バルク金属ガラス基材上に配設されたマーキングと、を含むことができる。
本発明の他の態様及び利点は、例として本発明の原理を説明する添付図と共に考慮される、下記の「発明を実施するための形態」から明らかとなるであろう。
本発明は、類似の参照番号は類似の構造要素を指す、添付の図と共に下記の「発明を実施するための形態」により容易に理解できるであろう。
本発明の一実施形態に係る、マーキングステートマシンの図である。 一実施形態に係る、マーキングを有する基材の図である。 一実施形態に係る、マーキングプロセスのフローチャートである。 一実施形態に係る、基材のマーキングを示す図である。 一実施形態に係る、基材のマーキングを示す図である。 一実施形態に係る、基材のマーキングを示す図である。 一実施形態に係る、基材を干渉色マーキングするための代表的なレーザ操作パラメーターを示す表である。 各々が、入射光に対してそれぞれ所定の干渉色の応答を有する、干渉色マーキングを示す図である。 異なる干渉色のサブピクセルを含む、ピクセルの図である。 異なる干渉色のサブピクセルを含む、ピクセルの図である。 一実施形態に係る、マーキングプロセスのフローチャートである。 代表的な製品の筐体の概略図である。 代表的な一実施形態に係る、マーキングを有する製品の筐体を示す。
本発明は、製品上にマーキングを付与するための技法又はプロセスに関する。一実施形態では、製品は筐体を有し、マーキングは筐体上に付与されるものとする。例えば、特定の製品のための筐体は、外側筐体表面を有することができ、マーキングは、この筐体の外側から見えるように、この外側筐体表面上に付与することができる。製品上に付与されるマーキングはテキスト及び/又はグラフィックであってもよい。マーキングは高解像度で形成可能である。マーキングは、更に金属又はバルク金属ガラス表面上で干渉色及び/又は黒色であることもできる。
干渉色は顔料による色と区別されるということを理解されたい。同様に、干渉色マーキングは、着色インク又は塗料顔料を用いるマーキングと区別される。薄膜光学的干渉効果(又は他の干渉効果)は、干渉色及び干渉色マーキングにおいて最も一般的である。
実質的に透明なマーキング層は、可視光波長のオーダーの厚さを有する光学薄膜であってよい。光学的干渉効果から光学的応答を生じさせるために、入射光は、マーキング層厚内で反射及び再反射される。干渉色マーキングは、入射光に対する干渉色の応答を実質的に決定するために、各々が、所定の層厚を有するそれぞれのマーキング層を含んでもよい。例えば、干渉色マーキングは、マーキング層厚により実質的に決定可能な、黄色、橙色、紫色、青色又は緑色などの干渉色の応答を有することができる。
放射エネルギーは、電子装置筐体の基材上に干渉色マーキングを生成するために、予め選択された量で照射され得る。特に、放射エネルギーを予め選択された量で照射することは、所定の層厚を有するマーキング層を生成し得る。このことは、翻って、前述のとおり入射光に対するマーキングの干渉色の応答を実質的に決定することができる。
基材上に干渉色マーキングを生成するために、放射エネルギーを予め選択された量で照射することは、基材の領域をレーザエッチングすることを含んでもよい。干渉色マーキング、又はより詳細には、干渉色マーキングのマーキング層は、レーザエッチングの熱に反応して成長した酸化物層を含み得る。より一般的には、干渉色マーキングは、基材に対する放射エネルギーの照射からの熱に反応して、基材上に形成され得る。
放射エネルギーは、選択された領域に実質的に黒色の外観を付与するように、基材の選択された領域上に構成された極小の光捕捉構造体の生成に充分な量で照射され得る。実質的に黒色のマーキングを生成するための充分な量の放射エネルギーは、前述の干渉色マーキングを生成するための、予め選択された量の放射エネルギーよりも実質的に大きくてもよい。
本発明の代表的な実施形態を図1〜9Bに関して以下に述べる。ただし、当業者には、これらの図に関して本明細書で与えられる「発明を実施するための形態」が、説明目的のものであり、本発明がこれらの限られた実施形態を超えて拡張されることが、容易に理解されよう。
図1は、本発明の一実施形態に係る、マーキングステートマシン100の図である。マーキングステートマシン100は、電子装置の筐体基材のマーキングに関連付けられた3つの基本状態を反映する。特に、マーキングは、ポータブル電子装置などの電子装置の筐体をマーキングすることができる。
マーキングステートマシン100は基材形成状態102を含む。基材形成状態102で、基材を取得又は作製することができる。例えば、基材は、電子装置の筐体表面の少なくとも一部分を表すことができる。次に、マーキングステートマシン100は、干渉色マーキング状態104に遷移することができる。干渉色マーキング状態104で、干渉色マーキングを基材上に生成させることができる。次に、マーキングステートマシン100は、黒色マーキング状態106に遷移することができる。黒色マーキング状態106で、黒色マーキングを基材上に生成させることができる。干渉色マーキング及び/又は黒色マーキングは、高解像度で付与することができる。
図2は、基材200の表面205上に配設された干渉色マーキング203及び/又は黒色マーキング204を有してもよい、基材200の図である。基材200は、基材上に配設された干渉色マーキング層203及び/又は黒色マーキング層204を有してもよい。干渉色マーキング203、より詳細には、干渉色マーキング層203は、酸化物層203を含んでもよい。黒色マーキング204、より詳細には、黒色マーキング層204は、選択された領域に実質的に黒色の外観を付与するように、基材200の選択された領域上に構成された極小光捕捉構造体を含んでもよい。
基材200は、光に対して実質的に反射性であってもよい。基材200は、金属を含んでもよく、より詳細には、金属ガラス又はバルク金属ガラスを含んでもよい。金属ガラス又はバルク金属ガラスは、当業者に既知の種々の組成の好適なジルコニウム系の合金を含んでもよい。基材は、実質的に灰色であってもよく、点刻を用いて図面中に示される。
基材200は、電子装置の筐体の少なくとも一部分を表すことができる。基材200に付与される干渉色マーキング203及び/又は黒色マーキング204は、テキスト及び/又はグラフィックをポータブル電子装置の外側筐体表面に付与することができる。マーキング技法は、ハンドヘルド電子装置などの小型のポータブル電子装置に特に有用である。ハンドヘルド電子装置の例としては、携帯電話(例えば、携帯電話(cell phone))、携帯情報端末(PDA)、ポータブルメディアプレーヤ、リモートコントローラ、ポインティング装置(例えば、コンピュータマウス)、ゲームコントローラなどが挙げられる。
図3は、本発明の一実施形態に係る、マーキングプロセス300のフローチャートである。マーキングプロセス300は、マーキング対象の電子装置の筐体基材に実施することができる。マーキングプロセス300は、例えばテキスト又はグラフィックを電子装置の筐体(例えば、外側筐体表面)に付与するのに好適である。マーキングが電子装置のユーザに視認可能なように、マーキングを付与することができる。しかしながら、マーキングは、電子装置の種々の異なる位置、表面又は構造体に配置することができる。
マーキングプロセスは、マーキングする物品に対して基材を提供することができる。基材は、金属構造体、例えばバルク金属ガラス構造体であってもよい。金属構造体は、マーキング対象のポータブル電子装置など、電子装置の金属筐体に関してもよい。金属構造体は、金属ガラス又はバルク金属ガラスを含み得る1つの金属層から形成されてもよい。金属構造体は、異なる材料の多層からも形成することができ、ここでは多層の少なくとも1つが金属層、金属ガラス層、又はバルク金属ガラス層である。
図3に示すマーキングプロセス300によれば、プロセスは、マーキング対象の電子装置の筐体基材の提供から始まってよい(302)。基材の提供(302)の後、異なる放射エネルギー量(すなわち、異なるレーザエネルギー量)が選択されてもよい(304)。種々の異なる放射エネルギー量の選択(304)は、種々の異なる所望の干渉色に対応してもよい。より詳細には、種々の異なる放射エネルギー量の選択(304)は、種々の異なる所望の干渉色マーキングに対応してもよい。
更に、図3のプロセス(300)で示すように、充分に高い放射エネルギー量(すなわち、充分に高いレーザエネルギー量)の選択(306)は、基材の選択された領域に所望の実質的に黒色の外観を付与するように、基材の選択された領域上に構成するための極小光捕捉構造体の生成に対応してもよい。言い換えれば、充分に高い放射エネルギー量の選択(306)は、所望の黒色マーキングに対応してもよい。実質的に黒色のマーキングを生成するための充分な量の放射エネルギーは、干渉色マーキングを生成するための、予め選択された量の放射エネルギーよりも実質的に大きくてもよい。
放射エネルギー(すなわち、レーザエネルギー)は、電子装置筐体の基材上に干渉色マーキング及び/又は黒色マーキングをテキスト又はグラフィック標識で構成するために照射されてもよい(308)。放射エネルギー(すなわち、レーザエネルギー)は、電子装置筐体の基材上に干渉色マーキングを生成させるための予め選択された量で照射されてもよい(308)。このことは、基材の選択された領域をレーザエッチングすることを含んでもよい。放射エネルギー(すなわち、レーザエネルギー)を予め選択された量で照射すること(308)は、所定の層厚を有するマーキング層を生成することができる。更に、放射エネルギー(すなわち、レーザエネルギー)を充分に多い量で照射すること(308)は、電子装置筐体の基材上に実質的に黒色のマーキングを生成させることができる。照射ブロック(308)の後、図3に示すマーキングプロセス(300)を終了することができる。
図4A〜4Cは、本発明の一実施形態に係る、筐体基材400をマーキングすることを示す図である。図4Aでは、筐体基材400がマーキングのために提供される。例として、筐体基材400は、金属、金属ガラス、又はバルク金属ガラスから形成されてもよい。図4A〜4Cでは、筐体基材400は実質的に灰色であり、図4A〜4Cでは点刻を用いて示される。
図4Bは、筐体基材400の表面405上に形成され得る干渉色マーキング403(左から右へのハッチングで描かれている)を示す。干渉色マーキング403は、好適に選択され、かつ操作された光源409(すなわち、レーザ409)により生成された、好適に選択された量の放射エネルギー407(すなわち、レーザエネルギー407)により形成され得る。レーザ409は、干渉色マーキング403を、色干渉法によるマーキング標識をラスター化した描写に形成するように、レーザエネルギーのスポットを筐体表面の表面405の上をラスター走査するための、ガルバノメーターミラー又は他の構成を有してもよい。色干渉法によるマーキング403のための走査スポットのラスター走査ラインの間の好適なピッチが選択されてもよい。
放射エネルギー407(すなわち、レーザ409からのレーザエネルギー407)は、電子装置筐体の基材400上に、所望の干渉色マーキング403を生成させるための予め選択された量で照射されてもよい。これは、基材400の選択された領域をレーザエッチングすることを含んでもよい。放射エネルギー407(すなわち、レーザエネルギー407)を予め選択された量で照射することは、所定の層厚を有するマーキング層403を生成することができる。
あるいは、又はそれに加えて、図4Cは、筐体基材400の表面405上に形成され得る実質的に黒色のマーキング404(クロスハッチにより描かれている)を示す。実質的に黒色のマーキング404は、好適に選択され、かつ操作された光源410(すなわち、レーザ410)により生成された、充分に多い量の放射エネルギー408(すなわち、レーザエネルギー408)を選択することにより形成され得る。基材400のレーザエッチングされた領域404は、実質的に黒色に見えることもある。極小光捕捉構造体404は、選択された領域に実質的に黒色の外観を付与するように、基材400の選択された領域上に構成されてもよい。レーザ410は、実質的に黒色のマーキング404を、黒色マーキング標識をラスター化した描写に形成するように、レーザエネルギー408のスポットを筐体表面の表面405の上をラスター走査するための、ガルバノメーターミラー又は他の構成を有してもよい。色干渉法によるマーキング404のための走査スポットのラスター走査ラインの間の好適なピッチが選択されてもよい。放射エネルギー408(すなわち、レーザエネルギー408)の選択的な照射により、実質的に黒色のマーキング404を電子装置筐体の基材400上に予め選択されたハーフトーンパターンで構成することができる。
図5は、バルク金属ガラスを含む筐体基材の、干渉色マーキングのための代表的なレーザ操作パラメーターを示す表である。FOBA Technology and Services GmbH(159 Swanson Road,Boxborough,Massachusettsにオフィスを有する)から入手可能な、FOBA DP20GS YVO4レーザマーキング装置を使用してもよい。
FOBA DP20GS YVO4レーザマーキング装置に関して、平均出力は1ワットであってもよい。レーザ波長は、1064ナノメートルであってもよい。レーザパルス幅は、40ナノ秒であってもよい。レーザパルス繰り返し周波数は、100キロヘルツであってもよい。レーザパルスエネルギーは、10マイクロジュールであってもよい。レーザパルスピーク出力は、4分の1キロワットであってもよい。レーザスポットの大きさは、90マイクロメートルであってもよい。各パスに対するレーザフルエンスは、1平方センチメートル当たり10分の2ジュールであってもよい。各パスに対する照度は、1平方センチメートル当たり0.0039ギガワットであってもよい。ライン間隔は、15マイクロメートルであってもよい。
一般的な事項として、放射エネルギー(すなわち、レーザエネルギー)の照射量を増加することは、干渉色マーキング層厚(すなわち、酸化物層厚)を増加させる。干渉色マーキング層厚(すなわち、酸化物層厚)は、入射光に対する干渉色の応答を実質的に決定することができる。図5の表に示すように、1秒当たり85ミリメートルの走査速度、及び1回のみの走査パスを用いる、比較的低いエネルギー照射量は、黄色の干渉色マーキング層用の比較的薄い層を成長させることができ、これは入射光に対して黄色の干渉色の応答を生じさせることができる。1秒当たり50ミリメートルの走査速度、及び1回のみの走査パスを用いてエネルギー照射量を増加することは、橙色の干渉色マーキング層用の比較的厚い層を成長させることができ、これは入射光に対して橙色の干渉色の応答を生じさせることができる。1秒当たり50ミリメートルの走査速度、及び2回の走査パスを用いてエネルギー照射量を増加することは、紫色の干渉色マーキング層用の比較的厚い層を成長させることができ、これは入射光に対して紫色の干渉色の応答を生じさせることができる。
同様に、1秒当たり50ミリメートルの走査速度、及び4回の走査パスを用いてエネルギー照射量を増加することは、青色の干渉色マーキング層用の比較的厚い層を成長させることができ、これは入射光に対して青色の干渉色の応答を生じさせることができる。1秒当たり50ミリメートルの走査速度、及び6回の走査パスを用いてエネルギー照射量を増加することは、淡青色の干渉色マーキング層用の比較的厚い層を成長させることができ、これは入射光に対して淡青色の干渉色の応答を生じさせることができる。1秒当たり50ミリメートルの走査速度、及び8回の走査パスを用いてエネルギー照射量を増加することは、緑色の干渉色マーキング層用の比較的厚い層を成長させることができ、これは入射光に対して緑色の干渉色の応答を生じさせることができる。
実質的に黒色のマーキングの生成に充分な量の放射エネルギーは、いま述べたように、干渉色マーキングの生成に予め選択された量の放射エネルギーよりも実質的に大きい。したがって、実質的に黒色のマーキングに対しては、2ワットの比較的高い平均出力がFOBA DP20GS YVO4レーザマーキング装置で選択されてもよい。レーザ波長は、1064ナノメートルであってもよい。レーザパルス幅は、40ナノ秒であってもよい。レーザパルス繰り返し周波数は、60キロヘルツであってもよい。レーザパルスエネルギーは、30マイクロジュールであってもよい。レーザパルスピーク出力は、0.83キロワットであってもよい。レーザスポット大きさは、40マイクロメートルであってもよい。各パスに対するレーザフルエンスは、1平方センチメートル当たり2.7ジュールであってもよい。各パスに対する照度は、1平方センチメートル当たり0.066ギガワットであってもよい。ライン間隔は、15マイクロメートルであってもよい。走査速度は、1秒当たり200ミリメートルであってもよい。パス数は、2パスであってもよい。
全ての前出のレーザ操作パラメーターが代表的なパラメーターであること、及び種々の他のレーザ操作パラメーターを選択して、筐体基材の干渉色及び/又は黒色マーキング用の量のレーザエネルギーを供給してもよいということを理解されたい。
図6は、各々が、入射光611に対してそれぞれ所定の干渉色の応答を有する、干渉色マーキング603Y、603O、603P、603B、603LB、603Gを示す図である。干渉色マーキング603Y、603O、603P、603B、603LB、603Gは、入射光611に対する干渉色の応答を実質的に決定するために、各々が、所定の層厚「Y」、「O」、「P」、「B」、「LB」及び「G」を有するそれぞれのマーキング層603Y、603O、603P、603B、603LB、603Gを含み得る。
例えば、干渉色マーキング603Y、603O、603P、603B、603LB、603Gは、図6に示すように、マーキング層厚「Y」、「O」、「P」、「B」、「LB」及び「G」により実質的に決定可能な、黄色、橙色、紫色、青色、淡青色、緑色などの干渉色の応答を有することができる。図6では、干渉色の応答は、各々干渉色マーキング603Y、603O、603P、603B、603LB、603Gから放射する点線を発している黄色、橙色、紫色、青色、淡青色及び緑色に対する凡例を用いて示される。
マーキング層603Y、603O、603P、603B、603LB、603Gは、可視光波長のオーダーの厚さ「Y」、「O」、「P」、「B」、「LB」及び「G」を有する、実質的に透明な光学薄膜であってもよい。例えば、オージェ電子分光法分析は次のことを示す。すなわち、緑色の干渉色マーキング603Gは、約497.5ナノメートル(緑色の干渉色の応答の全波長とよく相関する)のマーキング層厚「G」(すなわち、酸化物層厚「G」)を有することができ、青色の干渉色マーキング603Bは、約472.5ナノメートル(青色の干渉色の応答の全波長とよく相関する)のマーキング層厚「B」(すなわち、酸化物層厚「B」)を有することができる。
マーキング層厚は、干渉色の応答の1つだけの全波長との相関に限定されない。マーキング層厚は干渉色の応答の半波長と相関し得る。例えば、黄色の干渉色マーキング603Yは、黄色の干渉色の応答の半波長と相関し得る、マーキング層厚「Y」(すなわち、酸化物層厚「G」)を有することができる。橙色の干渉色マーキング603Oは、橙色の干渉色の応答の半波長と相関し得る、マーキング層厚「O」(すなわち、酸化物層厚「O」)を有することができる。更に、マーキング層厚は、場合によっては干渉色の応答の四分の一波長と相関させることが可能であるということが理論付けられる。マーキング層厚を前出の整数倍(すなわち、干渉色の応答の全、半及び/又は四分の一波長の整数倍)と相関させることが可能であるということが理論付けられる。
入射光611は、光学的干渉効果から光学応答を生じさせるために、マーキング層603Y、603O、603P、603B、603LB、603Gの厚さ内で反射及び再反射される。筐体基材600は実質的に反射性であってもよい。筐体基材600はバルク金属ガラスを含んでもよい。
本明細書で前述したように、干渉色マーキング603Y、603O、603P、603B、603LB、603Gは、放射エネルギーを予め選択された量で照射することにより形成することができる。特に、放射エネルギーを予め選択された量で照射することは、所定の層厚「Y」、「O」、「P」、「B」、「LB」及び「G」を有する、マーキング層603Y、603O、603P、603B、603LB、603Gを生成させ得る。これは、翻って、前述のとおり入射光611に対するマーキングの干渉色の応答を実質的に決定し得る。
前述のように、放射エネルギーを予め選択された量で照射して、干渉色マーキング603Y、603O、603P、603B、603LB、603Gを基材上に生成させることは、基材600の領域をレーザエッチングすることを含んでもよい。干渉色マーキング603Y、603O、603P、603B、603LB、603G、より詳細には、干渉色マーキングのマーキング層603Y、603O、603P、603B、603LB、603Gは、レーザエッチングの熱に反応して成長した酸化物層を含んでもよい。より一般的には、干渉色マーキング603Y、603O、603P、603B、603LB、603Gは、放射エネルギーの基材600への照射からの熱に反応して基材上に形成されてもよい。
レーザエッチングの熱は、干渉色マーキング603Y、603O、603P、603B、603LB、603G中の極小形状物の準規則構造を生成させてもよい。したがって、干渉色マーキング603Y、603O、603P、603B、603LB、603Gは、全方向の入射光611に対して応答してもよく、応答は視角により実質的に不変である。言い換えれば、干渉色マーキング603Y、603O、603P、603B、603LB、603Gは実質的に非虹色のものであってもよい。
図7A及び7Bは、異なる干渉色のサブピクセルを含む、ピクセルの図である。例えば、図7Aは、異なる干渉色(すなわち、青色及び緑色)の16のサブピクセルを含む、青色及び緑色の干渉色マーキングの4×4のアレイのピクセル700Aを示す。図7Aでは、青色及び緑色に対する凡例を用いて、異なる干渉色のサブピクセルを含む干渉色マーキングを示す。
図7Bは、16のサブピクセル4×4のアレイの別のピクセル700Bを示す。図7Bは、異なる干渉色(すなわち、緑色及び青色)の8のサブピクセルを含む、4つの青色及び4つの緑色の干渉色マーキングを示す。図7Bでは、緑色及び青色に対する凡例を用いて、異なる干渉色のサブピクセルを含む干渉色マーキングを示す。図7Bは、予め選択されたハーフトーンパターンで構成された8つの実質的に黒色のサブピクセルを含む8つの実質的に黒色のマーキングを更に示す。
図7A及び7Bでは、それぞれが予め選択された色の外観(カラーアピアランス)を有するピクセル700A、700Bを提供するために、隣接するサブピクセルが予め選択された配列でグループ化される。例えば、図7Aでは、予め選択されたシアン色の外観(青色及び緑色の混合)を有するピクセル700Aを提供するために、16の隣接するサブピクセルが、青色及び緑色の予め選択された配列でグループ化される。図7Bでは、予め選択された暗シアン色の外観(緑色及び青色、更に黒色のハーフトーンを用いて混合)を有するピクセル700Bを提供するために、16の隣接するサブピクセルが、黒色のハーフトーンと共に、緑色、及び青色の予め選択された配列でグループ化される。
ピクセル及びピクセルの外観は前出の例に限定されない。他の干渉色マーキングの組合せを使用して、有益な結果を得てもよい。例えば、一次色の干渉マーキングの任意の一つ(青色又は緑色の1つなど)を他の干渉色マーキングの任意の一つ(黄色又は紫色など)と組み合せて、他の予め選択された色の外観(青色−黄色、青色−紫色、緑色−黄色、又は緑色−紫色)を有するピクセルを提供してもよい。
図8は、一実施形態に係る、マーキングプロセス800のフローチャートである。図8に示すマーキングプロセス800によれば、プロセスは、干渉色マーキングのサブピクセルに関して異なる干渉色の選択802で開始してもよい。プロセス800は、続いて、隣接するサブピクセルを予め選択された配列でグループ化し(804)、予め選択された色の外観を有するピクセルを提供する。プロセス800は、次に、ハーフトーンパターンでの黒色サブピクセルの配列の選択806をしてもよい。プロセス800は、次に、レーザの選択的な照射808を行い、サブピクセル及びピクセルの配列を基材上にマーキングしてもよい。照射ブロック808に続いて、図8に示すマーキングプロセス800は、終了することができる。
図9Aは、代表的な製品の筐体900の概略図である。筐体は、金属、金属ガラス又はバルク金属ガラスを用いて形成されてもよい。筐体900は、例えば携帯電話組み立て体又はポータブルメディアプレーヤの底部としての全組み立て体の一部である筐体であってもよい。
図9Bは、代表的な一実施形態に係る、マーキング902を有する製品の筐体900を示す。マーキング902は、本明細書で前述した干渉色マーキング及び/又は実質的に黒色のマーキングによる、干渉色マーキング及び/又は実質的に黒色のマーキングであることができる。この例では、標識付けは、ロゴグラフィック904、シリアル番号906、モデル番号908、及び証明/承認マーク910及び912を含む。
本明細書で記述されるマーキングプロセスは、例えば、電子装置の筐体表面(例えば、外側筐体表面)にテキスト又はグラフィックを付与するのに好適である。マーキングプロセスは、一実施形態では、ポータブル電子装置の外側筐体表面にテキスト及び/又はグラフィックを付与するのに特に好適である。ポータブル電子装置の例としては、携帯電話(例えば、携帯電話)、無線携帯情報端末(PDA)、ポータブルメディアプレーヤ、リモートコントローラ、ポインティング装置(例えば、コンピュータマウス)、ゲームコントローラなどが挙げられる。ポータブル電子装置は更にハンドヘルド電子装置であってよい。ハンドヘルドという用語は一般に、電子装置が片手で快適に保持されるのに充分小さいフォームファクタを有するということを一般に意味する。ハンドヘルド電子装置は、片手操作又は両手操作で操作することできる。片手操作では、装置の支持、並びに使用時のユーザインターフェースによる操作の実施の両方のために片手を使用する。両手操作では、一方の手を使用して装置を支持する一方で、他方の手は使用時にはユーザインターフェースの操作を行うか、あるいは両方の手が、装置の支持並びに使用時の操作を行う。場合によっては、ハンドヘルド電子装置はユーザのポケットの中に入れるための大きさとされる。ポケットサイズであることにより、ユーザは、装置を直接に運ぶ必要がなく、それゆえ装置はユーザが移動する殆どどこへでも携行可能である(例えば、ユーザは、大型で、かさ高で、及び重いことが多い装置を運ぶことによって制限されない)。
本出願は、参照により本明細書に組み込まれている、(i)2011年2月4日出願、及び「Marking of Product Housings」と題する米国特許出願第13/021,641号、(ii)2010年9月30日出願、及び「Sub−Surface Marking of Product Housings」と題する米国特許出願第12/895,814号、(iii)2010年9月30日出願、及び「Cosmetic Conductive Laser Etching」と題する米国特許出願第12/895,591号、(iv)2010年9月30日出願、及び「Sub−Surface Marking of Product Housings」と題する米国特許出願第12/895,384号、(v)2009年12月21日出願、及び「Sub−Surface Marking of Product Housings」と題する米国特許出願第12/643,772号、(vi)2009年9月29日出願、及び「Techniques for Marking Product Housings」と題する米国特許出願第12/569,810号を参照する。
上述の本発明の種々の態様、特長、実施形態又は実施は、単独で又は種々の組合せで使用することができる。
異なる態様、実施形態又は実施は、次の利点の1つ以上を、必要とされるものでないが生み出し得る。本発明の一つの利点は、耐久性があり、高精度のマーキングが製品の筐体に付与可能であるということである。本発明の別の利点は、干渉色マーキングが高度に飽和した又は際立った外観を有することができるということである。別の利点は、マーキング技法がバルク金属ガラス上で使用可能であるということである。別の利点は、マーキング技法が平坦又は曲面の表面に対して有効であるということである。
本発明の多数の特長及び利点は、書面による説明から明白である。更に、当業者には多数の改良及び変更が容易に思い付くであろうから、本発明は、図示及び説明したような厳密な組み立て及び操作に限定されるべきでない。したがって、全ての好適な改変及び等価物が本発明の範囲内に入るものとして用いられてもよい。

Claims (29)

  1. 電子装置筐体であって、
    前記電子装置筐体の基材と、
    前記電子装置筐体の前記基材上に配設された、干渉色マーキングと、を備える、電子装置筐体。
  2. 前記干渉色マーキングが、前記基材のレーザエッチングされた領域を含む、請求項1に記載の電子装置筐体。
  3. 前記電子装置筐体の前記基材が、金属ガラスを含む、請求項1に記載の電子装置筐体。
  4. 前記電子装置筐体の前記基材が、バルク金属ガラスを含む、請求項1に記載の電子装置筐体。
  5. 前記干渉色マーキングの各々が、それぞれ所定の層厚を有する、それぞれのマーキング層を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子装置筐体。
  6. 前記干渉色マーキングの各々が、それぞれの酸化物層を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子装置筐体。
  7. 前記干渉色マーキングの各々が、入射光に対してそれぞれ所定の干渉色の応答を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子装置筐体。
  8. 前記干渉色マーキングが、黄色、橙色、紫色、青色又は緑色から選択される、干渉色の応答を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子装置筐体。
  9. 前記電子装置筐体の前記基材上に配設された実質的に黒色のマーキングを更に備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子装置筐体。
  10. 前記基材の実質的に黒色であるレーザエッチングされた領域を更に備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子装置筐体。
  11. 選択された領域に実質的に黒色の外観を付与するように、前記基材の選択された領域上に構成された光捕捉構造体を更に備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子装置筐体。
  12. 前記電子装置筐体の前記基材上に予め選択されたハーフトーンパターンで構成された、実質的に黒色のマーキングを更に備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子装置筐体。
  13. 前記干渉色マーキングが、前記電子装置筐体の前記基材上にテキスト又はグラフィック標識で構成されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子装置筐体。
  14. 前記干渉色マーキングが、異なる干渉色のサブピクセルを含み、
    隣接するサブピクセルのグループ化は、それぞれが予め選択された色の外観を有する画素を提供するように、予め選択された配列において行われる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子装置筐体。
  15. 前記干渉色マーキングが、実質的に非虹色である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子装置筐体。
  16. 前記干渉色マーキングは、全方向の入射光に対して応答し、前記応答は視角に対して実質的に不変である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子装置筐体。
  17. 前記干渉色マーキングの各々が、準規則構造を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子装置筐体。
  18. 電子装置筐体をマーキングする方法であって、
    前記電子装置筐体の基材を提供する工程と、
    前記電子装置筐体の前記基材上に干渉色マーキングを生成するために、放射エネルギーを予め選択された量で照射する工程と、を含む、方法。
  19. 前記基材上に干渉色マーキングを生成するために、前記放射エネルギーを予め選択された量で照射する工程が、前記基材の領域をレーザエッチングすることを含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記電子装置筐体の前記基材が、バルク金属ガラスを含む、請求項18に記載の方法。
  21. 前記放射エネルギーを予め選択された量で照射する工程が、所定の層厚を有するマーキング層を生成する、請求項18乃至20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記放射エネルギーを照射する工程が、前記電子装置筐体の前記基材上に前記干渉色マーキングをテキスト又はグラフィック標識で構成させることを含む、請求項18乃至20のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記干渉色マーキングのサブピクセルに、異なる干渉色を選択する工程と、
    予め選択された色の外観を有する画素を提供するために、隣接するサブピクセルを予め選択された配列でグループ化する工程と、
    を更に含む、請求項18乃至20のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記電子装置筐体の前記基材上に実質的に黒色のマーキングを生成するために、放射エネルギーを充分な量で照射する工程を更に含む、請求項18乃至20のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記実質的に黒色のマーキングを生成するための前記放射エネルギーの充分な量が、前記干渉色マーキングを生成するための、前記放射エネルギーの前記予め選択された量よりも実質的に大きい、請求項18乃至20のいずれか一項に記載の方法。
  26. 物品であって
    バルク金属ガラス基材と、
    前記バルク金属ガラス基材上に配設されたマーキングとを、備える、物品。
  27. 前記マーキングが、干渉色マーキングを含む、請求項26に記載の物品。
  28. 前記マーキングが、実質的に黒色のマーキングを含む、請求項26に記載の物品。
  29. 前記マーキングが、前記バルク金属ガラス基材のレーザエッチングされた領域を含む、請求項26乃至28のいずれか一項に記載の物品。
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