JPH0734285A - 微小穴を有する電鋳体の製造方法 - Google Patents

微小穴を有する電鋳体の製造方法

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JPH0734285A
JPH0734285A JP17533593A JP17533593A JPH0734285A JP H0734285 A JPH0734285 A JP H0734285A JP 17533593 A JP17533593 A JP 17533593A JP 17533593 A JP17533593 A JP 17533593A JP H0734285 A JPH0734285 A JP H0734285A
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electroforming
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Yoshiji Nishi
好次 西
Satoru Nakano
悟 中野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、例えば樹脂製品の真空成形等を行
う際に使用する多孔質性金型の製造方法の改良に関す
る。 【構成】 スルファミン酸ニッケルを主成分とする電解
液Aに模型Mを浸漬して陰極にセットし、ニッケル材N
iを陽極にセットして電鋳処理する。この際、電解液A
のニッケルイオン濃度を400g/l以下(望ましくは
150g/l以上、300g/l以下)に調整し、或い
は電解液AのpH値を3.0以下程度に調整すること
で、電鋳処理時の電流効率を98%以下とし、電鋳処理
時に模型M表面に水素ガスの気泡Bを付着させ、この気
泡Bの付着した部分を非電着部として微細な穴hを有す
る電鋳殻Kを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば樹脂製品の真空
成形等を行う際に使用する多孔質性金型の製造方法の改
良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば自動車の内装部品であるイ
ンストルメントパネル等の樹脂製品には皮シボ模様等の
模様が転写されることがあり、このような樹脂製品を製
造するため多孔質性の金型を使用して真空成形するよう
な方法が知られている。そして、このような金型を電鋳
法で製造するため、例えば特公平2―14434号のよ
うな技術が知られており、この場合は非電着性部材から
なる模型の表面にペースト状銀ラッカーと塩化ビニルラ
ッカーの混合液をスプレー噴射し、模型表面に微小な非
導電部を備えた導電層を形成するようにしている。そし
て、この模型の表面に電鋳を行うことで非導電部に非電
着部を発生させ、この非電着部を成長させて多数の微細
な穴を形成するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記技術の場
合、当初、非導電部に非電着部が発生しても電鋳の成長
に連れて非電着部が潰れて穴が塞がることがあり、穴の
形成をコントロールするのが難しいという問題があっ
た。また、型の部位によって穴の発生率が一定にならな
いという欠点もあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め、本発明は、模型の表面に導電層を形成し電解液に浸
漬した後陰極にセットし、電解液中のニッケル材を陽極
にセットして電鋳処理することで多数の微小穴を有する
電鋳体を形成するようにした電鋳体の製造方法におい
て、電鋳処理時の電流効率を98%以下に設定して電鋳
処理することにより前記模型表面に気泡を付着させ、こ
の気泡の付着した部分を非電着部として電鋳処理を行っ
て、微小穴を有する電着殻を形成するようにした。そし
て、電流効率の低下は、電解液のニッケルイオン濃度の
調整、或いは電解液のpH値の調整、或いは両者の組合
せによって行うようにした。ここで、電流効率とは、理
論析出量に対する実際の析出量の割合を百分率で表わし
たものである。
【0005】
【作用】電流効率を98%以下に低下させて金属の析出
に充当されない電流を増加させると、この余分な電流は
水を電気分解させることにより多く使用され、水の電気
分解によって生じた気泡が模型表面に付着して非電着部
となる。そして、このような電流効率の低下は、例えば
電解液のニッケルイオン濃度をある一定量以下にするこ
とにより、或いは電解液のpH値をある一定量以下にす
ることによって容易に行える。従って、この非電着部を
除く模型表面に電鋳殻が形成され、この非電着部が微小
穴となるが、この際、電解液のニッケル濃度、pH値等
の調整によって穴径、数等を自由にコントロールするこ
とが出来る。
【0006】
【実施例】本発明の微小穴を有する電鋳体の製造方法の
実施例について添付した図面に基づき説明する。図1は
電鋳時の作用を説明する説明図、図2は電鋳殻の成長を
示す部分拡大図、図3は気泡付着の原理を説明するため
の説明図、図4は電解液のニッケル濃度、pH値と電流
効率の関係を説明するグラフである。
【0007】例えば自動車のインパネ部品等の表面に皮
シボ模様を形成する際、多数の微小穴を備えた金型を使
用して真空成形により成形する方法が知られている。
【0008】この際、例えば加熱軟化させたシート状の
表皮を金型の多数の微小穴から吸引し金型に密着させて
成形するが、穴径が大きいと転写性の良いシート材の場
合には穴部が一緒に転写されて表面がざらざらになる等
の不具合が生じる。このため、なるべく微細な穴を形成
して穴部が転写されるのを防止する必要がある。
【0009】そこで、本案の電鋳体の製造方法は、製品
の外観表面に影響を与えない程度の微小穴を確実に形成
するようにしたものである。
【0010】すなわち、本案ではまず、例えばエポキシ
樹脂等の非導電性の模型M(マンドレル)の表面に銀メ
ッキ等の導電層Eを形成して導電性を付与した後、図1
(イ)に示すように、この模型Mを電解液Aの中に浸漬
する。
【0011】この電解液Aは、主成分がスルファミン酸
ニッケルでこれにホウ酸や塩化物等が加えられた浴であ
り、非電着部となる気泡を発生しやすくするため、例え
ばラウリル硫酸ナトリウム等のピット防止剤の界面活性
剤は殆ど使用していない。
【0012】そして、この電解液A中にニッケル材Ni
を入れて陽極にセットし、前記模型Mを陰極にセットし
てニッケル電鋳処理を行うが、この時の挙動は次のよう
なものとなる。
【0013】まず図3に示すように、陰極−側(模型M
側)では通電によって電子e-が電解液A中に放出さ
れ、この電子e-を電解液A中のニッケルイオンNi2+
が取り込んで、Ni2++2e-→Niとして、ニッケル
金属分子が陰極−側に析出される。
【0014】同時に、陽極+側(ニッケル材Ni側)で
は、陰極−側で使われたニッケルイオンNi2+の数と同
等のニッケルイオンNi2+が、Ni→Ni2++2e-
なって電解液A中に放出され、電子e-は陰極−に移動
して陰極+側でのニッケル金属分子の析出に使われる。
【0015】こうして、電解液A中のニッケルイオンN
2+は常に一定であるように作用する訳であるが、ここ
でスルファミン酸ニッケル濃度が所定量以下の場合、或
いは電解液AのpH値が所定値以下の場合、電流効率が
低下して通電した電流のすべてがニッケル金属分子の析
出に使われない状態が生起する。
【0016】すなわち、図4(イ)に示すように、スル
ファミン酸ニッケル濃度が約530g/l附近の時が最
大電流効率になっていることが判るが、これより濃度が
上がると電流効率は急激に低下し、濃度が下がると電流
効率は徐々に低下する。尚、図中、実線が電流効率であ
るが、破線は圧縮電着応力であり、濃度が約530g/
l以上になると圧縮電着応力は急激に増加する。
【0017】また、図4(ロ)に示すように、電解液A
のpH値が約4.1附近が最大電流効率を示しており、
これよりpH値が上がっても下がっても電流効率は低下
する。
【0018】そして、この電流効率の低下分は水の電気
分解に使用され、2H2O+8e-→2H2+O2という反
応となって、陰極−側で水素ガスH2が発生し、陽極+
側で酸素ガスO2が発生する。そして、この水素ガスH2
が図3に示すように気泡Bとなって陰極−側(模型M
側)に付着する。
【0019】そこで、電流効率が下がるほど水の電解分
解量は多くなり、陰極側に付着する気泡Bも多くなるこ
とになるが、この電流効率を98%以下に設定すると本
案の電鋳体の製造に必要な気泡Bの大きさ、数が得られ
ることが判明した。
【0020】そこで、本案の場合は、電流効率を98%
以下に設定出来るスルファミン酸ニッケル濃度400g
/l以下を採用するが、ニッケルイオン濃度が薄すぎる
と気泡Bの発生にムラができて模型Mの表面に均一に付
着せず、また濃すぎると電流効率が高くなって気泡Bの
発生が少なくなることから、150g/l以上、300
g/l以下が特に望ましい。そして、pH値は4.1±
0.2に調整している。
【0021】従って、以上のような挙動に従い、図1
(イ)に示すように、まず模型M表面に水素ガスH2
よる気泡Bが付着するとともに、この気泡Bが非電着部
となっってそれ以外の模型M表面にニッケル金属分子が
電着し成長してゆく。
【0022】以上のような電鋳処理によって、気泡Bの
成長と電着の進行は図2に示すとおりとなり、電着の進
行に伴い前記電気分解も同時に行われて、電気分解によ
って発生したH2ガスが気泡Bへ供給される。つまり、
(イ)に示すように模型M表面に付着した気泡Bが徐々
に成長して大きくなり(ロ)、最終的に模型M側の穴径
が約150μm以下となるような多数の穴hを有する電
鋳殻K(ハ)を成形することが出来る。
【0023】こうして、電鋳殻Kが成形されると模型M
から取り出され、不図示の型枠と通気性のあるバックア
ップが取り付けられて真空成形型として構成される。
【0024】尚、以上の実施例ではスルファミン酸ニッ
ケル濃度を調整して電流効率を98%以下にするように
したが、例えばpH値を例えば3程度に調整して電流効
率を低下させるようにしてもよい。また、スルファミン
酸ニッケル濃度の調整とpH値の調整を組み合せて電流
効率98%以下にするようにしてもよい。
【0025】また、この電解液のニッケル濃度、pH
値、或いはこの組合せによって穴径、数等も自由にコン
トロールすることが出来、真空成形時に穴の影響が製品
に表れない電鋳殻Kを容易に成形出来る。
【0026】
【発明の効果】以上のように、本発明の電鋳体の製造方
法は、電解液中のニッケル濃度或いはpH値等を調整す
ることで電流効率を98%以下に低下させ、模型表面に
気泡を付着させて非電着部にするようにしたため、後加
工で穴明け加工に必要のない電鋳殻を容易に成形するこ
とが出来る。そして、この穴径、数等は容易にコントロ
ール出来るため、成形品質の高い真空成形型とすること
が出来る。また、この穴は塞がる虞れがなく確実に成形
することが出来るのみならず、真空成形時にあっても通
気抵抗が少なくなって好都合である。その上、スルファ
ミン酸ニッケル濃度の低い領域において電鋳処理を行っ
ているので、ニッケル金属分子析出時における圧縮電着
応力も小さくなり、電鋳殻の変形や反りが少なく、且つ
転写精度、加工精度の良好な電鋳殻が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電鋳時の作用を説明する説明図
【図2】電鋳殻の成長を示す部分拡大図
【図3】気泡付着の原理を説明するための説明図
【図4】(イ)は電解液のニッケル濃度と電流効率(実
線)、電着応力(破線)の関係、(ロ)はpH値と電流
効率の関係を説明するグラフ
【符号の説明】
A 電解液 B 気泡 E 導電層 K 電鋳殻 M 模型 h 穴

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解液に浸漬した模型の表面に導電層を
    形成して陰極にセットし、電解液中のニッケル材を陽極
    にセットして電鋳処理することで多数の微小穴を有する
    電鋳体を形成するようにした電鋳体の製造方法におい
    て、前記電鋳処理時の電流効率を98%以下の状態に設
    定して電鋳処理することにより前記模型表面に気泡を付
    着させ、この気泡を非電着部として作用させ気泡付着部
    を除く模型表面に電着殻を形成することを特徴とする微
    小穴を有する電鋳体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記電流効率の設定を電解液のニッケル
    イオン濃度の調整、或いは電解液のpH値の調整、或い
    は両者の組合せによって行うことを特徴とする請求項1
    に記載の微小穴を有する電鋳体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0479080A (ja) * 1990-07-20 1992-03-12 Mitsubishi Electric Corp ディスクドライブ装置

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