JPH0734007A - プラスチックス用帯電防止被覆用組成物 - Google Patents

プラスチックス用帯電防止被覆用組成物

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JPH0734007A
JPH0734007A JP5180210A JP18021093A JPH0734007A JP H0734007 A JPH0734007 A JP H0734007A JP 5180210 A JP5180210 A JP 5180210A JP 18021093 A JP18021093 A JP 18021093A JP H0734007 A JPH0734007 A JP H0734007A
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康弘 中谷
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幸 宮崎
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Abstract

(57)【要約】 【構成】下記構成材料からなるプラスチックス用帯電防
止被覆用組成物。 (a)テトラアルコキシシラン(例、テトラエトキシシ
ラン)と置換アルコキシシラン(例、メチルトリメトキ
シシラン)のモル比が80:20〜20:80である、
テトラアルコキシシランと置換アルコキシシランとの混
合物、(b)フルオロスルホン酸、(c)有機溶媒
(例、メチルアルコール)および(d)水よりなり、混
合物(a)と(b)と(c)と(d)のモル比が、1:
0.001〜0.2:5〜100:1〜30の割合であ
る。 【効果】該被覆用組成物は、プラスチックス製品に、透
明で帯電防止効果の高い、クラックのない被膜を容易に
形成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスチックス用帯電
防止被覆用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】吸湿性が少なく電気絶縁性の高いプラス
チックス製品は、静電気の帯電による障害を受け易い。
例えば、各種プラスチックスの成形品、フィルム等にお
いて、その加工または使用中、ちりやほこりの付着や放
電の発生により、プラスチックス製品が汚れたり、製品
の機能低下や損傷が生じたりする。このような静電気障
害を防止するため、プラスチックス表面に導電性の被膜
を形成して帯電を防止することが行われている。また、
多くの場合、この被膜には、プラスチックスの質感や色
が消失しないように、透明性が要求されている。
【0003】このような導電性と透明性を有する被膜と
しては、以下のようなものが知られている。界面活性
剤系の塗料が塗布されたもの。塩化リチウムや塩化マ
グネシウムのような無機塩や、カルボン酸基やスルホン
酸基を含む高分子電解質のようなイオン伝導性物質を、
合成樹脂やシリケート等の造膜性物質に分散させてなる
組成物を成膜したもの。例えば、特公昭58−3586
7号公報には、造膜性物質としてアクリル系重合体を使
用し、イオン伝導性物質として硝酸リチウムが配合され
た帯電防止被覆用組成物で、ポリエステルフイルムを被
覆したものが開示されている。また、Journal of the A
merican Ceramic Society,484 〜486,Vol.72, No.3,(1
989)には、リンモリブデン酸(H3 PMo1240・29H
2 O)を、テトラエトキシシランの加水分解物の溶液に
溶解したものを、ガラス板またはステンレス板上に成膜
したものが開示されている。銀、ニッケル、銅、錫な
どの金属またはその酸化物の粉末などの導電性の微粒子
を、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、テトラエト
キシシラン等の造膜性物質に分散させてなる組成物を成
膜したもの。例えば、特公昭63−33778号公報に
は、アンチモン含有酸化錫からなり粒径が0.2ミクロ
ン以下の導電性微粉末を塗料中の固形分中50〜70重
量%の割合で含有してなる塗料から、プラスチック製品
の帯電防止被膜が得られることが開示されている。
【0004】しかしながら、上記のの被膜では、表面
抵抗が1010Ω/□以上のように高いばかりでなく、経
時的に表面抵抗値が高くなるという欠点がある。
【0005】上記のの被膜では、従来使用されてきた
イオン伝導性物質では湿度が低くなると導電性が低下
し、十分な帯電防止性が得られないという欠点がある。
例えば、上記の特公昭58−35867号公報に記載の
ものでは、表面抵抗は、50%の相対湿度において、約
1010Ω/□という高い値であり、帯電防止性能が不十
分である。また、リンモリブデン酸(H3 PMo1240
・29H2 O)を、テトラエトキシシランの加水分解物の
溶液に溶解したものは、プラスチック板上に塗布して成
膜すると、被膜にクラックが発生し、プラスチック製品
には適用できないという欠点がある。
【0006】上記のの被膜では、十分な帯電防止性を
得るためには、膜中の導電性の微粒子の濃度を高くする
必要がある。その為、その微粒子による光の散乱に基ず
くヘイズが発生し、透明性を損なうという欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記欠点に
鑑みてなされたものであり、その目的は、プラスチック
ス製品に、透明で帯電防止効果の高い、クラックのない
被膜を容易に形成し得る帯電防止被覆用組成物を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明で使用される混合
物(a)は、下記の一般式[I]で表されるシラン化合
物Aと、 Si(OR)4 ・・・[I] 下記の一般式[II]で表されるシラン化合物Bとからな
るものである。 Yn Si(OR1 4-n ・・・[II]
【0009】式中、RおよびR1 は炭素数1〜5のアル
キル基を示すが、炭素数が多くなると該被膜用組成物の
安定性が低下して長期保存性が悪くなるので、炭素数は
1〜5に限定される。RおよびR1 の例としては、メチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル
基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチ
ル基などが挙げられる。YはOR基およびOR1 基以外
の有機基であり、例えば、炭化水素基、グリシドキシア
ルキル基、エポキシシクロヘキシルアルキル基、(メ
タ)アクリロイルオキシアルキル基またはメルカプトア
ルキル基などが挙げられる。炭化水素基としては、例え
ば、アルキル基、置換アルキル基、アリル基、ビニル
基、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。また、
nは1〜3の整数である。
【0010】一般式[I]で表される化合物としては、
例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−
プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テト
ラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブト
キシシランなどが挙げられる。
【0011】一般式[II]で表される化合物としては、
nが3の場合は、例えば、モノメチルトリメトキシシラ
ン、モノメチルトリエトキシシラン、モノメチルトリ−
n−プロポキシシラン、モノメチルトリ−iso−プロ
ポキシシラン、モノメチルトリ−n−ブトキシシラン、
モノメチルトリ−sec−ブトキシシラン、モノメチル
トリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリエトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシランなど
が挙げられる。
【0012】nが2の場合は、例えば、ジメチルジメト
キシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−
n−プロポキシシラン、ジメチルジ−iso−プロポキ
シシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチル
ジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジ−tert−
ブトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、エチルビ
ニルジエトキシシラン、エチルフェニルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン
などが挙げられる。
【0013】nが1の場合は、例えば、トリメチルモノ
メトキシシラン、トリメチルモノエトキシシラン、トリ
メチルモノ−n−プロポキシシラン、トリメチルモノ−
iso−プロポキシシラン、トリメチルモノ−n−ブト
キシシラン、トリメチルモノ−sec−ブトキシシラ
ン、トリメチルモノ−tert−ブトキシシラン、トリ
エチルエトキシシラン、ジエチルビニルエトキシシラ
ン、ジエチルフェニルエトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルエチルメチルエトキシシランなどが挙げられ
る。
【0014】シラン化合物Aおよびシラン化合物Bとし
ては、前記のように定義された範囲内の化合物が単独で
使用されてもよいし2種以上併用されてもよい。本発明
の混合物を構成するシラン化合物Aおよびシラン化合物
Bの多数の組合せのなかで、シラン化合物Aとしてテト
ラエトキシシランとし、シラン化合物Bとしてメチルト
リメトキシシランまたはγ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシランとした組合せが特に好ましい。
【0015】本発明においては、シラン化合物Aとシラ
ン化合物Bのモル比が80:20〜20:80に限定さ
れる。シラン化合物Aが多くなると、被膜にクラックが
発生し易くなり、少なくなると被膜が不透明になる。
【0016】本発明で使用されるフルオロスルホン酸
(b)は、化学式FSO3 Hで表される。フルオロスル
ホン酸(b)は、混合物(a)1モルに対して、0.0
01〜0.2モルの割合で添加される。フルオロスルホ
ン酸(b)は少なくなると、帯電防止に十分な導電性が
被膜に付与されず、多くなると、帯電防止被覆用組成物
が白色沈澱を生じ均一な組成物が得られない。好ましい
添加量は、混合物(a)1モルに対して0.08〜0.
2モルの範囲である。
【0017】本発明で使用される有機溶媒(c)は、前
記混合物(a)および水(d)と相溶性があり、フルオ
ロスルホン酸(b)を溶解するものであれば特に限定さ
れるものではなく、例えば、メチルアルコール、エチル
アルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコー
ル等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等
のケトン類、テトラヒドロフランなどが挙げられ、特に
メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルア
ルコールが好ましい。これらは単独で使用されてもよい
し2種以上併用されてもよい。
【0018】上記有機溶媒(c)は、前記混合物(a)
1モルに対して、5〜100モルの割合で添加される。
有機溶媒(c)は少なくなると、該被覆用組成物が均一
に混合されにくく、不均質な組成物となり、多くなる
と、該被覆用組成物の固形分濃度が低くなりすぎ、被膜
にしたとき十分な帯電防止能を得られない。好ましい添
加量は、混合物(a)1モルに対して5〜30モルの範
囲である。
【0019】本発明で使用される水(d)は、混合物
(a)の加水分解のために添加される。水(d)は、混
合物(a)1モルに対して1〜30モルの割合で添加さ
れる。水(d)は少なくなると、十分な加水分解がおこ
りにくく、多くなると該被覆用組成物との相溶性が悪
い。好ましい添加量は混合物(a)1モルに対して3〜
10モルである。
【0020】本発明の帯電防止被覆用組成物には、さら
に必要に応じてシラン化合物の加水分解のための触媒と
して酸を加えてもよい。酸の添加量は上記の割合で該組
成物に添加される水に0.01〜5重量%の割合で含有
されていればよい。この割合より少なくなると触媒とし
ての効果が望めず、多くなると被膜が不均質になる。酸
としては、特に限定されるものではなく、無機酸、有機
酸のいずれも使用可能であり、例えば、塩酸、硫酸が挙
げられる。
【0021】本発明のプラスチックス用帯電防止被覆用
組成物の構成は上述した通りであるが、さらに導電性を
向上させるためにポリエチレングリコール等の親水性高
分子を添加してもよい。また、被膜形成性を向上させる
ために、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルセルロース等のセルロース誘導体を含有させて
もよい。また同様の目的で、シリカゾル、アルミナゾ
ル、ジルコニアゾル等の酸化物コロイドを含有させても
よい。
【0022】本発明のプラスチックス用帯電防止被覆用
組成物の製造方法としては特に限定されるものではな
く、例えば、上述した構成材料を一括して混合する方
法、特定の構成材料を分割して混合した後、残りの構成
材料を添加して混合する方法などが挙げられる。分割し
て混合する方法としては、例えば、シラン化合物Aとシ
ラン化合物Bとを混合し、この混合物に有機溶媒を加
え、混合攪拌したところに、フルオロスルホン酸を含む
水を加えて攪拌混合し、加水分解・縮重合反応を進ま
せ、該被覆用組成物を得る。
【0023】本発明のプラスチックス用帯電防止被覆用
組成物は、上述のような通常の簡単な方法で製造可能
で、従来のシリコーン系コーティング組成物と同様の方
法で使用することが出来る。
【0024】本発明のプラスチックス用帯電防止被覆用
組成物は、プラスチックス製品に塗布され、乾燥されて
帯電防止被膜が形成される。上記塗布方法としては、特
に限定されるものではなく、例えば、刷毛、スプレーコ
ート、ディップコート、スピンコート、ロールコート、
流し塗りなどによる塗布方法が挙げられる。
【0025】上記乾燥方法としては、特に限定されるも
のではなく、室温にて自然乾燥してもよいし、加熱乾燥
してもよい。また、乾燥した後、必要に応じて、高温加
熱処理してもよい。例えば、該帯電防止被覆用組成物を
上記の方法で、プラスチックス製品の表面に被覆し、室
温で自然乾燥を行った後、60℃〜150℃の温度で硬
化させると、帯電防止被膜が形成されたプラスチックス
製品が得られる。
【0026】上記帯電防止被覆用組成物が被覆されるプ
ラスチックスとしては、特に限定されるものではなく、
例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリ塩化ビ
ニル、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタンなど
のプラスチックスが挙げられる。また、製品の形状とし
ても、特に限定されるものではなく、例えば、成形品や
フイルムなどが挙げられる。
【0027】本発明の帯電防止被覆用組成物から得られ
た被膜は、被膜中にフルオロスルホン酸が、均一にイオ
ンの状態で存在しているので、透明性が高く、導電性も
高い。また、スチールウールなどの硬い材料で強く摩擦
しても傷が付きにくく、引っ掻き傷による外観低下をお
こしにくい。
【0028】本発明2は、本発明のプラスチックス用帯
電防止被覆用組成物に使用される混合物(a)に代わ
り、下記の一般式[III]で表されるシラン化合物
(a1 )が使用される。
【化2】 式中、R2 は炭素数1〜5のアルキル基を示すが、炭素
数が多くなると該被膜用組成物の安定性が低下して長期
保存性が悪くなるので、炭素数は1〜5に限定される。
2 の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチ
ル基、tert−ブチル基などが挙げられる。R3 は炭
素数1〜5のアルキレン基である。Y1 は炭化水素基を
示し、例えば、アルキル基、置換アルキル基などが挙げ
られる。Y2 はアミノ基を有する有機基を示し、例え
ば、アミノ基そのもの、アミノ基の水素原子がアミノア
ルキル基で置換された置換アミノ基などが挙げられる。
mは0,1または2である。
【0029】一般式[III]で表される化合物としては、
例えば、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、
γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエ
チル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
N,N−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕
エチレンジアミン、N,N−ビス〔3−(メチルジメト
キシシリル)プロピル〕エチレンジアミンなどが挙げら
れる。これらのうち、N−(β−アミノエチル)−γ−
アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0030】本発明2で使用されるフルオロスルホン酸
(b)は、前記シラン化合物(a1)1モルに対して
0.0001〜0.1モルの割合で添加される。フルオ
ロスルホン酸(b)は少なくなると、帯電防止に十分な
導電性が被膜に付与されず、多くなると、帯電防止被覆
用組成物が白色沈澱を生じ均一な組成物が得られない。
好ましい添加量は、シラン化合物(a1 )1モルに対し
て0.05〜0.1モルの範囲である。
【0031】本発明2で使用される有機溶媒(c)は、
前記シラン化合物(a1 )および水(d)と相溶性があ
り、フルオロスルホン酸(b)を溶解するものであれば
特に限定されるものではなく、例えば、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチ
ルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチ
ルケトン等のケトン類、テトラヒドロフランなどが挙げ
られ、特にメチルアルコール、エチルアルコール、イソ
プロピルアルコールが好ましい。これらは単独で使用さ
れてもよいし2種以上併用されてもよい。
【0032】上記有機溶媒(c)は、前記シラン化合物
(a1 )1モルに対して、5〜100モルの割合で添加
される。有機溶媒(c)は少なくなると、該被覆用組成
物が均一に混合されにくく、不均質な組成物となり、多
くなると、該被覆用組成物の固形分濃度が低くなりす
ぎ、被膜にしたとき十分な帯電防止能を得られない。好
ましい添加量は、シラン化合物(a1 )1モルに対して
5〜30モルの範囲である。
【0033】本発明2で使用される水(d)は、シラン
化合物(a1 )の加水分解のために添加される。水
(d)は、シラン化合物(a1 )1モルに対して1〜3
0モルの割合で添加される。水(d)は少なくなると、
十分な加水分解がおこりにくく、多くなると該被覆用組
成物との相溶性が悪い。好ましい添加量はシラン化合物
(a1 )1モルに対して3〜10モルである。
【0034】本発明2の帯電防止被覆用組成物には、さ
らに必要に応じてシラン化合物の加水分解のための触媒
として酸を加えてもよい。酸の添加量は上記の割合で該
組成物に添加される水に0.01〜5重量%の割合で含
有されていればよい。この割合より少なくなると触媒と
しての効果が望めず、多くなると被膜が不均質になる。
酸としては、特に限定されるものではなく、無機酸、有
機酸のいずれも使用可能であり、例えば、塩酸、硫酸が
挙げられる。
【0035】本発明2のプラスチックス用帯電防止被覆
用組成物の構成は上述した通りであるが、さらに導電性
を向上させるためにポリエチレングリコール等の親水性
高分子を添加してもよい。また、被膜形成性を向上させ
るために、請求項1の本発明で使用された一般式[I]
で表されるシラン化合物Aまたは一般式[II]で表され
るシラン化合物Bを添加してもよい。また同様の目的
で、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルセルロース等のセルロース誘導体を含有させてもよ
い。また同様の目的で、シリカゾル、アルミナゾル、ジ
ルコニアゾル等の酸化物コロイドを含有させてもよい。
【0036】本発明2のプラスチックス用帯電防止被覆
用組成物の製造方法としては特に限定されるものではな
く、例えば、上述した構成材料を一括して混合する方
法、特定の構成材料を分割して混合した後、残りの構成
材料を添加して混合する方法などが挙げられる。分割し
て混合する方法としては、例えば、シラン化合物
(a1 )と必要に応じて添加する上述のシラン化合物A
またはシラン化合物Bの1種または2種以上とを混合
し、この混合物に有機溶媒を加え、混合攪拌したところ
に、フルオロスルホン酸を含む水を加えて攪拌混合し、
加水分解・縮重合反応を進ませ、該被覆用組成物を得
る。
【0037】本発明2の帯電防止被覆用組成物から得ら
れた被膜は、被膜中にフルオロスルホン酸が均一にイオ
ンの状態で存在しているので、透明性が高く、導電性も
高い。また、スチールウールなどの硬い材料で強く摩擦
しても傷が付きにくく、引っ掻き傷による外観低下をお
こしにくい。
【0038】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。なお、結
果に示した帯電防止被覆用組成物に関する各物性の評価
方法は次の通りである。
【0039】(1) クラック試験 得られた帯電防止被覆用組成物に、50×100mm(厚み2 m
m)のポリカーボネート基板(旭硝子社製レキサンシート
9034)を浸漬し、300mm/分の速度で引き上げた後、
室温で60分乾燥を行った後、110℃で60分硬化さ
せて基板上に、帯電防止被膜を形成して評価試料を作製
し、目視観察によりクラックの有無を調べた。 (判定基準) ○:クラックが観察されない。 ×:クラックが観察される。
【0040】(2) 表面抵抗 得られた帯電防止被覆用組成物を用いて、上記のクラッ
ク試験を行ったものと同様にして作製した評価試料を、
東京電子社製STACK TR−3を用いて、相対湿度
50%雰囲気で、2端子法により表面抵抗を測定して評
価した。
【0041】(3) 光線透過率 得られた帯電防止被覆用組成物を用いて、上記クラック
試験を行ったものと同様にして作製した評価試料の光線
透過率を、未処理のポリカーボネート基板をリファレン
スとして、島津製作所製分光光度計 UV-3101PCを使用し
て400〜700nmの範囲で測定して評価した。
【0042】(4) 鉛筆硬度 得られた帯電防止被覆用組成物を用いて、上記クラック
試験を行ったものと同様にして作製した評価試料を、J
IS K 5400に準じて測定して評価した。
【0043】(5) ポリエチレンテレフタレート(PE
T)フイルムの付着試験 得られた帯電防止被覆用組成物を用いて、上記クラック
試験を行ったものと同様にして作製した評価試料の表面
を、毛織物でこすり、1x3mm に細かく切ったPETフイ
ルム(厚み100 μm )上に約1cmの距離迄近ずけ、P
ETフイルムの付着状況を下記判定基準により評価し
た。 (判定基準) ○:表面に全く付着しない。 △:表面に少し付着する。 ×:表面に多数付着する。
【0044】(6) 耐摩擦性試験 得られた帯電防止被覆用組成物を用いて、上記クラック
試験を行ったものと同様にして作製した評価試料の表面
を、スチールウール#0000で往復10回摩擦し、試
料表面の傷つきにくさを、下記判定基準により評価し
た。 (判定基準) ○:強く摩擦しても表面に全く傷がつかない。 △:強く摩擦すると表面に少し傷がつく。 ×:弱い摩擦でも表面に著しく傷がつく。
【0045】以下、実施例および比較例の帯電防止被覆
用組成物の製造方法および該組成物の物性評価結果を示
すが、以下の表1および表3において用いた略語の意味
は、次の通りである。 シラン化合物 S1:テトラエトキシシラン S2:メチルトリメトキシシラン S3:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン S4:N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル
トリメトキシシラン S5:γ−アミノプロピルトリメトキシシラン Y1:メチルアルコ−ル
【0046】(実施例1〜4)表1に示した所定量のメ
チルアルコールをガラスビーカーに供給し、表1に示し
た所定量のシラン化合物Aおよびシラン化合物Bを加
え、室温で3時間、攪拌速度800rpmで攪拌してシ
ラン化合物のアルコール溶液を得た。
【0047】得られたアルコール溶液に表1に示した、
所定量のフルオロスルホン酸を含んだ表1に示した所定
量の水を加えて、さらに室温で3時間、攪拌速度800
rpmで攪拌して、帯電防止被覆用組成物を得た。得ら
れた帯電防止被覆用組成物を用いて、前記測定法に基づ
き、各物性を測定し、結果を表2に示した。
【0048】(比較例1、2)表1に示したシラン化合
物Aおよびシラン化合物B、メチルアルコール、フルオ
ロスルホン酸および水を用い、実施例1と同様にして帯
電防止被覆用組成物を得た。得られた帯電防止被覆用組
成物を用いて、前記測定法に基づき、各物性を測定し、
結果を表2に示した。なお、比較例1の帯電防止被覆用
組成物は、上記各成分を混合したところ白濁を生じ、沈
澱が生成したので被膜を作成できなかった。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】(実施例5〜9)表3に示した所定量のメ
チルアルコールをガラスビーカーに供給し、表3に示し
た所定量のアミノシランまたはシラン化合物Bを加え、
室温で3時間、攪拌速度800rpmで攪拌してシラン
化合物のアルコール溶液を得た。
【0052】得られたアルコール溶液に表3に示した、
所定量のフルオロスルホン酸を含んだ表3に示した所定
量の水を加えて、さらに室温で3時間、攪拌速度800
rpmで攪拌して、帯電防止被覆用組成物を得た。得ら
れた帯電防止被覆用組成物を用いて、前記測定法に基づ
き、各物性を測定し、結果を表4に示した。
【0053】(比較例3、4)表3に示したアミノシラ
ン、メチルアルコール、フルオロスルホン酸および水を
用い、実施例5と同様にして帯電防止被覆用組成物を得
た。得られた帯電防止被覆用組成物を用いて、前記測定
法に基づき、各物性を測定し、結果を表4に示した。な
お、比較例3の帯電防止被覆用組成物は、上記各成分を
混合したところ白濁を生じ、沈澱が生成したので被膜を
作成できなかった。
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【発明の効果】本発明のプラスチックス用帯電防止被覆
用組成物の構成は前記した通りであり、特定のシラン化
合物混合物、フルオロスルホン酸、有機溶媒および水が
特定量配合されているから、プラスチックス製品に、透
明で帯電防止効果の高い、クラックのない被膜を容易に
形成できる。
【0057】本発明2のプラスチックス用帯電防止被覆
用組成物の構成は前記した通りであり、特定のアミノシ
ラン、フルオロスルホン酸、有機溶媒および水が特定量
配合されているから、プラスチックス製品に、透明で帯
電防止効果の高い、クラックのない被膜を容易に形成で
きる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)下記の一般式[I]で表されるシラ
    ン化合物Aと、 Si(OR)4 ・・・[I] 下記の一般式[II]で表されるシラン化合物Bとからな
    り、 Yn Si(OR1 4-n ・・・[II] (式中、RおよびR1 は炭素数1〜5のアルキル基、Y
    はORおよびOR1以外の有機基、nは1〜3の整数)
    シラン化合物Aとシラン化合物Bのモル比が80:20
    〜20:80である混合物、(b)フルオロスルホン
    酸、(c)有機溶媒および(d)水よりなり、混合物
    (a)と(b)と(c)と(d)のモル比が、1:0.
    001〜0.2:5〜100:1〜30であることを特
    徴とするプラスチックス用帯電防止被覆用組成物。
  2. 【請求項2】(a1 )下記の一般式[III]で表されるシ
    ラン化合物と、 【化1】 (式中、R2 は炭素数1〜5のアルキル基、R3 は炭素
    数1〜5のアルキレン基、Y1 は炭化水素基、Y2 はア
    ミノ基を有する有機基、mは0,1または2) (b)フルオロスルホン酸、 (c)有機溶媒および (d)水よりなり、(a1 )と(b)と(c)と(d)
    のモル比が、1:0.0001〜0.1:5〜100:
    1〜30であることを特徴とするプラスチックス用帯電
    防止被覆用組成物。
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