JP3606772B2 - 透明帯電防止膜形成用塗料および透明帯電防止膜付基材 - Google Patents

透明帯電防止膜形成用塗料および透明帯電防止膜付基材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、透明帯電防止膜形成用塗料および透明帯電防止膜付基材に関する。さらに詳しくは透明性に優れ、温度・湿度などの使用環境の影響を受けにくく経時的に安定な透明帯電防止膜を形成することが可能であり、しかも得られる塗膜は、表面が平坦であるために外観に優れ、製造時信頼性の高いという特性を有する透明帯電防止膜形成用塗料および該塗料を用いて形成された透明帯電防止膜付を有する被膜付基材に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
クリーンルームで使用される仕切板などのプラスチックパネル、TV前面の保護フィルター、プロジェクションTVの前面パネルなどのプラスチック基材は、静電気が発生しやすく、そのため表面にゴミやほこりが付着し、クリーン度が低下したり、画像の鮮明度が低下するなどの問題があった。このため、基材の表面抵抗を下げることによって導電性を付与し、静電気の発生を抑制するによって、静電気に起因する障害、例えばゴミ、ほこり等の付着、電撃の発生を防止している。
【0003】
ところで、こうした基材に導電性を付与する方法として、従来より界面活性剤の基材への練り混み、あるいは基材表面への塗布などが広く行われていた。これらの方法は透明性の点では優れているが導電機構がイオン導電であるため、湿度の低い環境下では帯電防止効果が乏しくなり、またブリードアウト等によっても経時的に帯電防止効果が薄れていくなどの欠点があった。
【0004】
こうした欠点の改善策として、酸化錫、酸化インジウムなどの導電性酸化物微粒子を樹脂に分散させて調製した塗料を用いて、導電性被膜を形成する方法が知られている。
特にパイロクロア構造を有する五酸化アンチモン微粒子は、導電性に優れていることが記載されている(小澤等、日本化学会誌、No.4, 488, 1983)。なお、このようなパイロクロア構造を有する五酸化アンチモン微粒子は、たとえば特開平2−180717号公報等に開示された方法で得られたゾルを乾燥し、50〜500℃の範囲で加熱処理することによって得ることができる。
【0005】
ところで、五酸化アンチモン、酸化錫、酸化インジウムなどの導電性酸化物微粒子を用いて透明導電性塗膜を形成しようとすると、前述した導電性の環境依存性と経時的安定性といった問題は改善されるものの、被膜の透明性が必ずしも満足できるものではなかった。
この原因の1つとして、これら導電性酸化物微粒子の粒子径が必ずしも均一でなく、しかも粒子径の大きい粒子が存在していることもあるため、この粒子によって可視光線が散乱されるということが挙げられる。また、別の原因として、酸化スズや酸化インジウムには、導電性および安定性を高めることを目的として、アンチモン、スズ、フッ素などの異種元素を少量ドーピングすることがあるため、このドープした異種元素によって、可視光線の吸収されてしまうことが挙げられる。
【0006】
さらに、これら導電性酸化物微粒子を含む塗料をプラスチック基材に塗布した場合、得られる塗膜には、塗布方向に微細な凹凸を有する筋が無数に発生することがあった。この筋は、例えば、プロジェクションTVではレンチキラー(平面パネル表面に蒲鉾型のレンズを縦1列に一定間隔で形成したもの)との組み合わせによっては、格子模様の透過する物体が重なったときなどに、光の干渉によって発生する本来の模様とは異なる大きな周期構造をもつ模様が観察される現象、すなわちモアレ現象が発生する原因となっていた。さらに、この筋は可視光の散乱の原因ともなり画像が見にくくなるなどの外観欠陥となることもあった。
【0007】
【発明の目的】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、透明性に優れ、使用環境によることなく長期にわたって安定的に帯電防止性能を発揮でき、塗膜表面が平坦で外観に優れた透明帯電防止膜を形成できる塗料および該塗料を基材に塗布し硬化して得られる透明帯電防止膜付基材を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】
本発明に係る透明帯電防止膜形成用塗料は、
パイロクロア構造を有する五酸化アンチモン微粒子、絶縁性無機酸化物微粒子、および塗膜形成用樹脂を含み、(i)五酸化アンチモン微粒子の平均粒子径(D)が5〜100nmの範囲にあり、(i)絶縁性無機酸化物微粒子の平均粒子径(D)が30〜200nmの範囲にあり、かつ(iii)D/Dが1.2〜10の範囲にあることを特徴としている。
【0009】
前記五酸化アンチモン微粒子と塗膜形成用樹脂の重量比は、1/9〜8/2の範囲にあることが好ましい。
前記絶縁性無機酸化物微粒子の含有量は、五酸化アンチモン微粒子と塗膜形成用樹脂と絶縁性無機酸化物微粒子との合計量に対して、1〜20重量%の範囲にあることが好ましい。
【0010】
本発明に係る透明帯電防止膜付基材は、前記記載の透明帯電防止膜形成用塗料を塗布したのち、乾燥および/または硬化処理して得られる透明帯電防止膜を有することを特徴としている。
前記透明帯電防止膜の表面粗さは0.01〜0.6μmの範囲にあることが好ましい。
【0011】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る透明帯電防止膜形成用塗料および該塗料を使用した透明帯電防止膜付基材について説明する。
[透明帯電防止膜形成用塗料]
本発明に係る透明帯電防止膜形成用塗料は、
五酸化アンチモン微粒子および絶縁性無機酸化物微粒子と塗膜形成用樹脂とからなる透明帯電防止膜形成用塗料である。
【0012】
以下、各成分について説明する。
本発明で用いる五酸化アンチモン微粒子はパイロクロア構造を有している。このようなパイロクロア構造を有するものは、プロトン伝導による導電性が高いという特性を有している。なお、パイロクロア構造とは、日本化学会誌、No.4, 488, 1983に記載されているように、アンチモン原子を中心にして6個の酸素原子およびOH基により8面体が形成され、これら8面体の頂点共有によって形成された骨格構造をいう。このパイロクロア構造を構成するOH基のプロトン(H)は、移動性に富んでいるため、このような構造を有する五酸化アンチモンは、高い導電性を示す。また、このパイロクロア構造を有する五酸化アンチモンはチャンネル(骨格構造の隙間)を形成しており、このチャンネルがプロトン移動の通路となる。
【0013】
なお、非晶性の五酸化アンチモン微粒子は、チャンネル構造自体を有していないため、導電性が悪い。
このような結晶形の確認は、通常、X線回折によって行われ、主に(111)、(311)、(222)、(400)面のピークによって同定される。
このような五酸化アンチモン微粒子は、平均粒子径Dが5〜100nm、好ましくは10〜70nmの範囲にある。平均粒子径Dが5nm未満の五酸化アンチモン微粒子はパイロクロア構造を有しにくく、また平均粒子径Dが100nmを越えると、粒子径が大きいため可視光線の散乱が大きくなり、被膜の透明性が低下することがある。
【0014】
このような酸化アンチモン微粒子および後述する絶縁性無機酸化物微粒子の平均粒子径は、粒度分布測定装置(堀場製作所製:CAPA−700)を用いて測定し、重量平均粒子径として求めた。
このような五酸化アンチモン微粒子の製造方法としては、五酸化アンチモンがパイロクロア構造を有し、平均粒子径が前記範囲にある微粒子が得られる方法であれば特に制限されるものではないが、好適には本願出願人による特開平2−180717号公報等に記載された方法が採用される。
【0015】
具体的には、三酸化アンチモン、アルカリ物質および過酸化水素を反応させてアンチモンゾルを製造するに際し、三酸化アンチモンとアルカリ物質のモル比を1:2.0〜2.5となるように混合した水分散液を調製し、これを加温しながら過酸化水素を三酸化アンチモン1モル当たり0.2モル/時間の速度で添加して、最終的に三酸化アンチモンと過酸化水素とのモル比が1:0.8〜1.5となるように添加しする。アルカリ物質としては、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウムなどの水酸化物が挙げられる。調製した五酸化アンチモン微粒子分散液は、必要に応じてイオン交換樹脂等で脱イオン処理を行ってもよい。さらに必要に応じて限外濾過膜等で濃縮などを行ってもよい。なお、このような方法で調製した五酸化アンチモン微粒子分散液は、乾燥してもよいが、そのまま分散ゾルとして使用してもよい。
【0016】
こうして得られた五酸化アンチモン微粒子は、上記したパイロクロア構造を有している。
なお、五酸化アンチモン微粒子分散ゾルは、後述する塗膜形成用樹脂に配合して透明帯電防止膜形成用塗料を調製する際には、水分散ゾルとして用いてもよく、塗膜形成用樹脂が水に不溶の場合は、後述する分散媒に置換して用いてもよい。
【0017】
また、本発明で用いる絶縁性無機酸化物微粒子は、平均粒子径Dが30〜200nmの範囲、好ましくは60〜140nmの範囲である。
絶縁性無機酸化物微粒子の平均粒子径Dが30nm未満の場合は、塗膜表面の筋の発生防止効果がなく、平均粒子径が200nmを越えると可視光線の散乱が大きくなり透明性を損なう。
【0018】
このような絶縁性無機酸化物微粒子の平均粒子径Dと前記五酸化アンチモン微粒子の平均粒子径Dの比D/Dが1.2〜10、好ましくは1.5〜8の範囲であることが望ましい。
平均粒子径の比D/Dが1.2未満であると、平均粒子径の差が小さいために五酸化アンチモン微粒子だけの場合と同様に塗膜表面に微細な凹凸を有する筋が発生することがあり、塗膜表面の筋の発生防止効果が乏しい。
【0019】
また、平均粒子径の比D/Dが10を越えると、五酸化アンチモン微粒子による導電回路の形成を阻害するようになり、充分な導電性が得られないことがある。
このような絶縁性無機酸化物微粒子としては平均粒子径が上記範囲にあり、可視光線の吸収が小さければ特に制限はなく、例えば、シリカ、チタニア、ジルコニア、シリカ・アルミナなどの絶縁性金属酸化物微粒子が挙げられる。特にシリカは可視光線の吸収が小さいので好適である。
【0020】
このときの微粒子の絶縁性としては、微粒子の比抵抗が1012Ω・cm以上、好ましくは1014Ω・cm以上であることが好ましい。
なお、比抵抗は、粉体抵抗測定装置(横河ヒューレットパッカード社製 ミリオームメーター)にて、圧力:100Kg/mm、充填粉体量0.6gの条件にて求めることができる。
【0021】
また、このような絶縁性無機酸化物微粒子の粒子径変動係数(CV値)は、50%以下、好ましくは20%以下であることが望ましい。
粒子径変動係数が50%を越えると塗膜表面に大きな凹凸が発生したり、光の散乱が大きくなり、透明性が低下することがある。
このような絶縁性無機酸化物微粒子を塗膜形成用樹脂に配合して用いる際は、五酸化アンチモン微粒子の場合と同様に水分散ゾルとして用いてもよく、塗膜形成用樹脂が水に不溶の場合は分散媒を必要に応じて前記したと同様の有機溶媒に置換して用いることができる。
【0022】
このような絶縁性無機酸化物微粒子の製造方法は、平均粒子径が上記範囲にある微粒子が得られる方法であれば特に制限されるものではないが、特に、本願出願人による特開平63−64911号公報(シリカ粒子)、特開平7−133105号公報(複合酸化物粒子)などが好適である。
具体的には、シリカ粒子の場合は、シリカ種粒子の分散液に、ケイ酸ソーダを脱アルカリして得られるケイ酸液を徐々に加えて種粒子を成長させればよく、また複合酸化物粒子の場合は、種粒子分散液に2種以上の無機化合物塩の水溶液を個別にあるいは混合水溶液を酸あるいはアルカリとともに添加して種粒子を成長させる方法等によって得ることができる。
【0023】
また、絶縁性無機酸化物微粒子は、必要に応じてシランカップリング剤で処理することによって、凝集防止性、有機溶媒への分散性を高めてもよい。さらに、無機酸化物微粒子調製時に、アルキル基含有金属アルコキシドを使用して加水分解を行えば、表面にアルキル基を有する微粒子を得ることができ、これによって凝集防止性、有機溶媒への分散性を高めることもできる。
【0024】
本発明で用いられる塗膜形成用樹脂としては、従来公知の塗料用バインダーとして使用されている樹脂を用いることができ、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、ブチラール樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂などから選ばれる1種または2種以上を混合して使用できる。また、上記樹脂の共重合体や変性体も用いることができる。
【0025】
本発明に係る透明帯電防止膜形成用塗料中の五酸化アンチモン微粒子と塗膜形成用樹脂との重量比(五酸化アンチモン微粒子/塗膜形成用樹脂)は1/9〜8/2の範囲にあり、さらに好ましくは2/8〜7/3の範囲である。
五酸化アンチモン微粒子と塗膜形成用樹脂との配合比が1/9未満の場合は導電性が不充分となることがあり、8/2を越えると塗膜形成性が低下したり、塗膜の硬度が低下したり、密着性が低下ことがある。
【0026】
また、絶縁性無機酸化物微粒子は、塗膜形成成分、すなわち五酸化アンチモンと塗膜形成用樹脂と絶縁性無機酸化物微粒子との合計に対し、1〜20重量%、3〜10重量%の範囲で含まれていることが望ましい。
絶縁性無機酸化物微粒子の含有量が1重量%未満の場合は筋の発生を抑制する効果が小さく、20重量%を越えると、形成される塗膜の導電性が低下する傾向にある。
【0027】
本発明に係る塗料には、通常、上記成分の他に分散媒が含まれている。
また、分散媒としては五酸化アンチモン微粒子を分散でき、かつ塗膜形成用樹脂を溶解しうる溶媒であればよく、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどのベンゾール系溶媒、水などから選ばれる1種あるいは2種以上の溶媒を用いることができる。
【0028】
このような溶媒は、塗料を基材上に容易に塗布できるような粘度となるような量で用いられる。具体的には、塗料中の被膜形成成分の濃度が概ね10〜50重量%の範囲になるような量で用いられる。
また、本発明の透明帯電防止膜形成用塗料には、必要に応じて塗料中の微粒子の分散性を高め、粒子同士の凝集を抑制するなどの目的で分散剤を用いることができる。分散剤として具体的には、アニオン系、ノニオン系などの界面活性剤、シラン系あるいはチタン系カップリング剤などから選ばれる1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0029】
[透明帯電防止膜基材]
つぎに、本発明に透明帯電防止膜付基材について説明する。
本発明に係る透明帯電防止膜付基材は、基材表面に、上記記載の透明帯電防止膜形成用塗料を塗布したのち、乾燥および/または硬化処理して得られる透明帯電防止膜を有することを特徴としている。
【0030】
基材としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、PET樹脂、塩化ビニル樹脂などのプラスチック基材、ガラス基材などを用いることができる。
上記した透明帯電防止膜形成用塗料の塗布方法としては、基材に従来公知の塗布方法、例えば、ロールコート、グラビアコート、スピンコート、ディップコート、フローコート、バーコートなどの方法が挙げられる。塗布後、必要に応じて乾燥・硬化処理すれば塗膜が得られる。
【0031】
乾燥温度は用いる被膜形成用樹脂、基材の種類などによって異なるものの、通常60〜150℃の範囲にあることが好ましい。乾燥温度が低すぎると、溶媒が残留したり、樹脂の効果が不充分となり、温度が高すぎると基材が変形したり、塗膜形成用樹脂が黄変したりして変質することがある。また、硬化方法としては、含まれている被膜形成用樹脂、塗布される基材の種類などによって異なるものの、紫外線硬化、熱硬化など従来公知の方法が採用できる。
【0032】
こうして基材表面に形成される透明帯電防止膜の膜厚は0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。膜厚が0.1μm未満であると、充分な導電性を有する被膜が得られず、このため帯電防止効果が不充分となることがあり、さらに膜の硬度が低いために耐擦傷性が問題となることもある。また、膜厚が10μmを越えると、膜が厚すぎて透明性が低下する傾向にある。
【0033】
このような帯電防止膜の表面粗さは0.01〜0.6μm、好ましくは0.01〜0.4μmの範囲にあることが好ましい。
帯電防止膜の表面粗さが0.01μm未満の場合は膜の光沢が強くなりすぎることがあり、0.6μmを越えると、すなわち膜表面の筋が顕著な場合にモアレ現象が発生したり、画像が見にくいなどの欠陥となることがある。
【0034】
また、このような帯電防止膜の表面抵抗は1×10〜1×1012Ω/□の範囲にあることが好ましい。
帯電防止膜の表面抵抗が1×10Ω/□未満の場合は、用途、使用法によっては漏電しやすいという問題がある。また、表面抵抗が1×1012Ω/□を越えると帯電防止効果が低下し、ゴミ、埃の付着あるいは電撃の発生が顕著となることがある。
【0035】
【発明の効果】
本発明の透明帯電防止膜用塗料は、特定の粒子径の五酸化アンチモン微粒子とともに、特定の粒子径の絶縁性無機酸化物微粒子を含んでいるので、帯電防止効果に優れるとともに表面粗さが小さく、透明性、耐擦傷性および経時安定性に優れる透明帯電防止膜を形成可能な塗料を得ることができる。
【0036】
このような塗料から形成された透明帯電防止膜を有する透明帯電防止膜付基材は、塗布方向に筋が発生することがないのでモアレ現象の発生が抑制された優れた外観を有し、かつゴミ、埃の付着および電撃の発生が抑制されている。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
【実施例1】
パイロクロア構造を有する平均粒子径20nmの五酸化アンチモン微粒子をエタノールに分散させたゾル(濃度20重量%)の25gと、アクリル樹脂(日立化成(株)製:ヒタロイド1007)10g(五酸化アンチモン微粒子/アクリル樹脂重量比=5/10)とを、攪拌機を用いて混合した。ついで、この混合物に、平均粒子径120nmのシリカ粒子をアクリル樹脂、五酸化アンチモン微粒子およびシリカ微粒子の合計量(塗膜形成成分の合計)に対し5重量%となるように分散させた。
【0039】
得られた分散物を、イソプロピルアルコール(IPA)で希釈し塗膜形成成分(固形分)濃度25重量%の透明帯電防止膜形成用塗料(A)を調製した。
調製した透明帯電防止膜形成用塗料(A)を、バーコーターNo.10でアクリル板に塗布し、70℃で10分間乾燥し、高圧水銀灯80w/cmで1分間照射して硬化し、透明帯電防止膜付基材(A)を得た。得られた透明帯電防止膜について以下の項目について評価を行った。
【0040】
結果を表1に示す。
(a)表面抵抗 :表面抵抗測定装置(三菱化学(株)製:ハイレスター)
(b)全光線透過率:(スガ試験機(株)製:ヘーズコンピューター)
(c)ヘーズ :(スガ試験機(株)製:ヘーズコンピューター)
(d)外観 :レンチキラーと試料板を重ね、レンチキラー裏面より蛍光灯で照らしながら試料表面を目視で観察し、このときのモアレ現象の有無で評価した。
(e)膜厚 :単位面積当たりの重量を測定して算出する。
(f)表面粗さ :キーエンス(社)製レーザー顕微鏡にて、試料表面にレーザーを照射し、焦点移動を検知して面上の凹凸を積算する。
【0041】
【実施例2】
パイロクロア構造を有する平均粒子径50nmの五酸化アンチモン微粒子をエタノールに分散させたゾル(濃度20重量%)の50gと、UV樹脂(大日本インキ(株)製:ユニディックV5500)5g(五酸化アンチモン微粒子/UV樹脂重量比=10/5)とを混合した。得られた混合物に、平均粒子径80nmのシリカ粒子を、塗膜形成成分中の割合が10重量%となるように分散させた。
【0042】
得られた分散物をエチルセロソルブで希釈して塗膜形成成分(固形分)濃度25重量%の透明帯電防止膜形成用塗料(B)を得た。
塗料(B)をバーコーターNo.14でPETフィルムに塗布し70℃で2分間乾燥後、高圧水銀灯80w/cmで1分間照射して硬化し、透明帯電防止膜付基材(B)を得た。
【0043】
得られた透明帯電防止膜について実施例1と同様の評価を行った。
結果を表1に示す。
【0044】
【実施例3】
パイロクロア構造を有する平均粒子径70nmの五酸化アンチモン微粒子をイソプロピルアルコールに分散させたゾル(濃度25重量%)の50gと、UV樹脂(大日本インキ(株)製:ユニディックV5500)20g(五酸化アンチモン微粒子/UV樹脂重量比=12.5/10)とを、攪拌機を用いて混合した。得られた混合物に平均粒子径160nmのシリカ粒子を塗膜形成成分(固形分)が2重量%となるように分散させた。ついでエチルセロソルブで希釈して固形分濃度20重量%の透明帯電防止膜形成用塗料(C)を得た。
【0045】
ついで塗料(C)をディッピングでポリカーボネート樹脂板に塗布し80℃で2分間乾燥後、高圧水銀灯80w/cmで1分間照射して硬化し、透明帯電防止膜付基材(C)を得た。得られた透明帯電防止膜について実施例1と同様の評価を行い結果を表に示した。
【0046】
【比較例1】
エタノールに分散された平均粒子径100nmのアンチモンドープ酸化錫微粒子10gとアクリル樹脂(日立化成(株)製:ヒタロイド1007)20gとをサンドミルにより混合した。平均粒子径120nmのシリカ粒子を、アクリル樹脂、アンチモンドープ酸化錫微粒子およびシリカ微粒子の合計(塗膜形成成分の合計)に対し5重量%となるように分散させた。ついで、イソプロピルアルコール(IPA)で希釈して塗膜形成成分(固形分)濃度25重量%の塗料(D)を得た。ついで塗料(D)をバーコーターNo.10でアクリル樹脂板に塗布し、70℃で10分間乾燥し、塗膜付基材(D)を得た。得られた透明帯電防止膜について実施例1と同様の評価を行った。
【0047】
結果を表1に示す。
【0048】
【比較例2】
エタノールに分散された平均粒子径90μmの錫ドープ酸化インジウム微粒子50gとUV樹脂(大日本インキ(株)製:ユニディックV5500)25gとをサンドミルにより混合した。得られた混合物に平均粒子径80nmのシリカ粒子を10重量%となるように分散させた。ついでエチルセロソルブで希釈して塗膜形成成分(固形分)濃度25重量%の塗料(E)を得た。
【0049】
ついで塗料(E)をバーコーターNo.14でPETフィルムに塗布し70℃で2分間乾燥後、高圧水銀灯80w/cmで1分間照射して硬化し、塗膜付基材(E)を得た。
得られた塗膜について実施例1と同様の評価を行った。
結果を表1に示す。
【0050】
【比較例3】
イソプロピルアルコール(IPA)に分散されたパイロクロア構造を有する平均粒子径20nmの五酸化アンチモン微粒子分散ゾル(濃度25重量%)50gとUV樹脂(大日本インキ(株)製:ユニディックV5500)20g(五酸化アンチモン微粒子/UV樹脂重量比=12.5/20)とを攪拌機を混合した。この混合物にエチルセロソルブを添加して希釈し、固形分濃度20重量%の塗料(F)を得た。ついで塗料(F)をディッピング法でポリカーボネート樹脂板に塗布し80℃で2分間乾燥後、高圧水銀灯80w/cmで1分間照射して硬化し、塗膜付基材(F)を得た。得られた塗膜について実施例1と同様の評価を行った。
【0051】
結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
Figure 0003606772
【0053】
表1から、実施例1〜3のように、特定の粒子径を有する五酸化アンチモン微粒子と絶縁無機酸化物とを含む塗料から形成された透明帯電防止膜は、透明性が高く、外観に優れ、表面の粗さも小さい。
これに対し、比較例1および2のように五酸化アンチモン微粒子以外の導電性微粒子と絶縁無機酸化物とを含む塗料から形成された透明帯電防止膜は、透明性が必ずしも充分とはいえず、また塗膜表面が粗い。
【0054】
さらにまた、比較例3のように五酸化アンチモン微粒子のみを含み、絶縁無機酸化物とを含んでいない塗料から形成された透明帯電防止膜は、得られる塗膜には、塗布方向に微細な凹凸を有する筋が無数に発生し、光の干渉によって発生する本来の模様とは異なる大きな周期構造をもつ模様が観察される現象、すなわちモアレ現象が発生してしまい、外観に劣っている。さらに、この比較例3の塗膜も表面が粗い。

Claims (5)

  1. パイロクロア構造を有する五酸化アンチモン微粒子、絶縁性無機酸化物微粒子、および塗膜形成用樹脂を含み、
    (i)パイロクロア構造を有する五酸化アンチモン微粒子の平均粒子径(D)が5〜100nmの範囲にあり、かつ
    (ii)絶縁性無機酸化物微粒子の平均粒子径(D)が30〜200nmの範囲にあり、
    (iii)D/Dが1.2〜10の範囲にあることを特徴とする透明帯電防止膜形成用塗料。
  2. 前記五酸化アンチモン微粒子と塗膜形成用樹脂との重量比が1/9〜8/2の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の透明帯電防止膜形成用塗料。
  3. 前記絶縁性無機酸化物微粒子の含有量が、五酸化アンチモン微粒子と塗膜形成用樹脂と絶縁性無機酸化物微粒子との合計量に対して、1〜20重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の透明帯電防止膜形成用塗料。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の透明帯電防止膜形成用塗料を塗布したのち、乾燥および/または硬化処理して得られる透明帯電防止膜を有することを特徴とする透明帯電防止膜付基材。
  5. 前記透明帯電防止膜の表面粗さが0.01〜0.6μmの範囲にあることを特徴とする請求項4に記載の透明帯電防止膜付基材。
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