JP5046267B2 - 透明導電膜及び透明導電膜形成用塗布液並びに透明導電膜の製造方法 - Google Patents

透明導電膜及び透明導電膜形成用塗布液並びに透明導電膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、透明導電膜及び透明導電膜形成用塗布液並びに透明導電膜の製造方法に関し、更に詳しくは、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(EL)、陰極線管(CRT)、プロジェクション(PJTV)等の各種表示装置における表示面の帯電防止、あるいは各種製品の製造工程における帯電防止等に用いて好適な透明導電膜及び透明導電膜形成用塗布液並びに透明導電膜の製造方法に関するものである。
一般に、画像表示用一般材料、例えば、従来のプラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(EL)、陰極線管(CRT)、プロジェクション(PJTV)等の各種表示装置の画像表示部に用いられるガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の透明基材には、静電気が帯電し易く、この静電気により埃が付着するという問題があり、このような問題を改善するために、透明基材の画像表示部に、透明でありながら導電性を発現する膜、いわゆる透明導電膜を形成することが行われている。
この透明導電膜は、導電性微粒子を導電性フィラーとして液状樹脂及び溶剤を含むバインダマトリックス中に分散させた塗布液を塗布することにより形成される。
ところで、透明導電膜の導電性は、導電性フィラーの充填率に依存し、充填率がある閾値を越えたときに飛躍的に高い値となる。この充填率は浸透閾値と称され、導電性フィラーの充填率が浸透閾値を越えたときに、導電性フィラーが透明導電膜のマトリックス中にて導電路を形成すると考えられている。したがって、良好な導電性を得るためには、膜中に所定の比率以上の導電性フィラーを充填する必要がある。
しかしながら、一般に用いられている導電性フィラー、例えばアンチモン含有酸化スズ(ATO)微粒子は、特定波長の可視光線を吸収する性質があり、しかも一般に用いられるバインダマトリックスに比較して屈折率が高いため、膜中のマトリックスのなかで光を吸収あるいは散乱して透明性を損なう原因となることから、高度の光学的特性を要求される用途に適用するのは難しい。
そこで、分散性の良いアンチモン含有酸化スズ微粒子を用いることで透明導電膜の光学的特性を改良することが試みられており、また、分散性の良いアンチモン含有酸化スズ微粒子を作製する方法も提案されている(特許文献1〜3参照)。
特開平2−105875号公報 特開平5−5069号公報 特開平8−27405号公報
近年、透明導電膜の適用分野のひとつである家庭用薄型テレビや携帯電話ディスプレイの高性能化に伴い、透明導電膜に要求される特性も益々高くなる傾向にある。
この様な高性能の家庭用薄型テレビや携帯電話ディスプレイに従来の透明導電膜を用いた場合、通常の測定装置では検出できない透明導電膜のわずかな曇りや着色が画質やデザイン性を損なうことがあるという問題点があった。
とりわけ、3波長蛍光灯のように演色性を改良した光源のもとにおいては、透明導電膜のわずかな曇りが肉眼でも見え易くなり、この様な曇りが画質不良の原因となることがあるという問題点があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、3波長蛍光灯のように演色性が良好な光源を用いた場合においても、透明性に優れ、かつ導電性が良好な透明導電膜及び透明導電膜形成用塗布液並びに透明導電膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、導電性微粒子と有機高分子と溶媒とを含有した透明導電膜形成用塗布液を塗布することによって形成される透明導電膜の構造と特性との関係について、その特性に影響を与える因子を解析し、従来に比して優れた特性を有する透明導電膜の検討を詳細に行った結果、導電性微粒子の塗膜中での分散状態を最適化することが、透明導電膜の透明性および導電性に大きな影響を及ぼすことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の透明導電膜は、一次粒子径が3nm以上かつ10nm以下のスズを含有する金属酸化物微粒子と有機高分子とを含有してなる透明導電性の膜であって、前記膜内かつ当該膜の表面部分に、当該膜の表面の全面にわたって、前記スズを含有する金属酸化物微粒子を凝集してなる厚みが5nm以上かつ100nm以下の薄膜状の凝集体が形成されていることを特徴とする。
前記スズを含有する金属酸化物微粒子は、スズ及びアンチモンを含有する金属酸化物微粒子、またはスズ及びインジウムを含有する金属酸化物微粒子であり、前記有機高分子は、溶解性パラメータが7以上かつ15以下の樹脂であることが好ましい。
前記凝集体は、ボックスカウント法により求められたフラクタル次元Dにより決定されるフラクタル構造体であることが好ましい。
前記凝集体を構成する前記スズを含有する金属酸化物微粒子が相互に接触する数である配位数が3以上であることが好ましい
本発明の透明導電膜形成用塗布液は、本発明の透明導電膜を形成するための透明導電膜形成用塗布液であって、一次粒子径が3nm以上かつ10nm以下のスズを含有する金属酸化物微粒子と、有機高分子と、溶媒とを含有してなり、前記溶媒は、溶解性パラメータが14以上の溶媒と溶解性パラメータが8以上かつ13以下の溶媒とを含み、前記溶媒全体量100質量部に占める前記溶解性パラメータが14以上の溶媒の割合は1質量部以上かつ30質量部以下であることを特徴とする。
本発明の透明導電膜の製造方法は、基材上に、本発明の透明導電膜形成用塗布液を塗布して塗膜を形成し、その後、この塗膜を乾燥し、硬化することを特徴とする。
本発明の透明導電膜によれば、一次粒子径が3nm以上かつ10nm以下のスズを含有する金属酸化物微粒子と有機高分子とを含有してなる透明導電性の膜内かつ当該膜の表面部分に、当該膜の表面の全面にわたって、スズを含有する金属酸化物微粒子を凝集してなる厚みが5nm以上かつ100nm以下の薄膜状の凝集体を形成したので、スズを含有する金属酸化物微粒子の充填率が低い場合であっても、透明性、導電性、機械的強度に優れたものとなる。
特に、3波長蛍光灯のように演色性が良好な光源を用いた場合であっても、散乱光に基づく白色の曇りが殆ど無い。
さらに、透明導電膜の有機高分子として紫外線硬化型樹脂を用いた場合においても、スズを含有する金属酸化物微粒子による紫外線の吸収あるいは散乱による硬化阻害が生じ難くなる。したがって、透明導電膜の硬度を高めることができ、機械的強度が優れた透明導電膜となる。
本発明の透明導電膜形成用塗布液によれば、一次粒子径が3nm以上かつ10nm以下のスズを含有する金属酸化物微粒子と、有機高分子と、溶媒とを含有し、この溶媒を、溶解性パラメータが14以上の溶媒と溶解性パラメータが8以上かつ13以下の溶媒とを含み、この溶媒全体量100質量部に占める溶解性パラメータが14以上の溶媒の割合を1質量部以上かつ30質量部以下としたので、透明性、導電性、機械的強度に優れ、特に、3波長蛍光灯のように演色性が良好な光源を用いた場合であっても、散乱光に基づく白色の曇りが殆ど無い透明導電膜を、容易に形成することができる。
本発明の透明導電膜の製造方法によれば、基材上に、本発明の透明導電膜形成用塗布液を塗布して塗膜を形成し、その後、この塗膜を乾燥し、硬化するので、透明性、導電性、機械的強度に優れ、特に、3波長蛍光灯のように演色性が良好な光源を用いた場合であっても、散乱光に基づく白色の曇りが殆ど無い透明導電膜を、容易かつ安価に製造することができる。
本発明の透明導電膜及び透明導電膜形成用塗布液並びに透明導電膜の製造方法を実施するための最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
「透明導電膜」
本発明の透明導電膜は、一次粒子径が3nm以上かつ10nm以下の導電性微粒子と有機高分子とを含有してなる透明導電性の膜であって、前記導電性微粒子は厚みが5nm以上かつ100nm以下の薄膜状の凝集体を形成し、前記凝集体は、少なくともその一部が前記膜の表面近傍に局在してなる膜である。
ここで、「前記凝集体は、少なくともその一部が前記膜の表面近傍に局在してなる」とは、凝集体が透明導電膜内全体に存在するのではなく、透明導電膜内の表面部分の近傍(表面近傍)に他の部分に比べて高濃度に存在していることをいう。表面近傍とは、表面から膜厚方向に10nmまでの部分をいう。
この透明導電膜を提案するに至った理論的根拠について簡単に説明する。
一般に、導電性微粒子と有機高分子とを含有する複合導電体の導電性は、充填した導電性微粒子の充填率に依存し、充填率がある閾値を越えると導電性が飛躍的に高くなる。この閾値は浸透閾値と称され、導電性微粒子の充填率がこの閾値を超えたときに導電性微粒子による導電路が形成されると考えられている。
導電路の具体的な形態は、導電性微粒子が凝集することによって形成される凝集体(クラスター)であり、この凝集体を経由して電子移動が起こるものと考えられている。
また、凝集体が形成される過程を確率論的に扱った理論によれば、複合導電体が導電性を発現する浸透閾値においては、少なくとも1つ以上の非常に大きな凝集体が形成され、この凝集体のフラクタル次元Dは特徴的な値を有すると考えられている。
フラクタル次元Dとは、下記の式(1)で表される非整数の値Dのことである。
M ∝ L ……(1)
なお、Mは凝集体の質量と相関する値であり、Lは凝集体の差し渡しの大きさと相関する値であり、Dは凝集体が埋め込まれている空間の次元である。
この理論は、正方格子、立方格子、ベーテー格子等の理論的な格子空間を仮定して構築されたものである。
この理論のさらに詳しい内容については、下記の参考文献を参照されたい。
参考文献:D.スタウファー、A.アハロニー著、小田垣孝訳、「パーコレーションの基本原理」、吉岡書店、2001年発行
本発明は、複合導電体において知られている上述の理論を実際の複合導電体である透明導電膜に適用してなされたものである。
以下、本発明の透明導電膜について詳細に説明する。
本発明の透明導電膜において、一次粒子径が3nm以上かつ10nm以下の導電性微粒子を用いた理由は、一次粒子径が3nm以上かつ10nm以下の微細な粒子であれば、塗膜中にて光の散乱が生じ難く、したがって、透明な塗膜を形成する目的に適しているからである。また、粒子の表面状態を適当に制御することにより、周囲のマトリックス成分である有機高分子との相互作用により好ましい塗膜構造を形成することができるからである。
ただし、粒子径が小さすぎる場合には、粒子間の接触抵抗に起因する導電性不良が発生し易くなるので、一次粒子径は3nm以上かつ10nm以下であることが好ましい。
この導電性微粒子が形成する薄膜状の凝集体の厚みは、5nm以上かつ100nm以下が好ましく、5nm以上かつ60nm以下がより好ましい。
その理由は、薄膜状の凝集体の厚みが5nmより薄すぎる場合には、薄膜状の凝集体を経由した電子移動が容易に行われないからである。また、薄膜状の凝集体の厚みが100nmより厚い場合には、光の散乱と吸収により塗膜の透明性が損なわれるからである。
この凝集体は、その一部が塗膜の表面から厚み方向10nmまでの領域内に存在してなることが好ましい。
その理由は、導電路と塗膜表面の間に絶縁体層となる有機樹脂層を形成しないためである。ここで、薄膜状の凝集体の一部が塗膜の表面から厚み方向10nmまでの領域内に存在するとは、薄膜状の凝集体が厚み方向が略縦方向となるように塗膜中に存在し、薄膜状の凝集体の一部分が塗膜表面から10nmまでの領域に入っているということである。
薄膜状の凝集体は、配位数が3以上である導電性微粒子を含有していることが好ましい。
図1に、配位数が3の導電性微粒子(図中、斜線部の粒子)の概念を示し、図2に、配位数が2の導電性微粒子(図中、斜線部の粒子)の概念を示す。
これらの図に示すように、導電性微粒子の配位数とは、導電性微粒子を構成成分とする凝集体においては、凝集体を構成する導電性微粒子が相互に接触する数である。
ここで、導電性微粒子の配位数が3以上であることが好ましい理由は、配位数が3以上である導電性微粒子から構成される構造体が緻密であり、導電性微粒子間の電子移動が容易となるからである。また、導電性微粒子の配位数の上限値は、均一な球状粒子が最密充填構造をとる12程度が好ましい。ただし、導電性微粒子の一次粒子径が一定以上の分布を有する場合には、配位数が12以上であっても良い。
薄膜状の凝集体が形成されたことを確認する具体的な手段としては、塗膜の一部を集束イオンビーム加工法によって処理し、30nm以上かつ300nm以下、より好ましくは50nm以上かつ150nm以下のサンプルを作製し、このサンプルを透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察する方法が好ましい。この方法により、塗膜の構造、及びクラスターを構成する導電性微粒子の平均配位数を確認することができる。
この薄膜状の凝集体は、複数個のうち少なくとも一部は、互いに連結してなることが好ましい。
この薄膜状の凝集体は、フラクタル性を有することが好ましい。
この薄膜状の凝集体が上記の形態または性質を有することが好ましい理由は、塗膜面内においては、導電性微粒子による導電路が効率的に形成されるからである。
ここで、「薄膜状の凝集体がフラクタル性を有する」とは、所定の方法によって凝集体の存在状態についてフラクタル性を解析したときに「フラクタル次元Dの値が決定される」ということである。
このフラクタル性を評価する具体的な方法としては、塗膜表面の導電性微粒子の分布を電解放射型走査型電子顕微鏡(FESEM)によって観察し、得られた2次元データーをボックスカウント法によって演算する方法が好ましい。
ただし、フラクタル性を評価する方法としては、上記の方法の他、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)等を用いて取得したデータをスケール変換法、カバー法、視野拡大法、回転半径法等の方法で解析する方法を用いても良い。また,光の回折や散乱を利用した方法を用いても良い。
上記のボックスカウント法とは、薄膜状の凝集体が埋め込まれている空間を等間隔δの格子状の領域(ボックス)に分割し、薄膜状の凝集体の一部を含んでいるボックスの数Nδを数え挙げる。そして、δを変化させた場合のNδの自然対数とδの自然対数の比が常に一定であるとき、その構造がフラクタルであると判断し、フラクタル次元Dを下記の式(2)により求める。
D=−logNδ/log(δ/δ) ……(2)
ここで、δはフラクタル構造体の構成要素のサイズ程度の適当な長さで、本発明においては1nmとした。
上記のボックスカウント法に適用するデータとしては、電解放射型電子顕微鏡(FEM)を用いて塗膜表面における導電性微粒子の分布を観察することによって得られる2次元データを用いることが好ましい。また、本発明によるフラクタル次元Dは、薄膜状の凝集体、または複数の薄膜状の凝集体が連結した集合構造の周辺部に現れる曲線を解析して求めることが好ましい。
ボックスカウント法によりフラクタル次元Dを求める具体的手順としては、式(2)中の「logNδ」及び「log(δ/δ)」を両軸とするグラフを作成してこれらの相関関係を調べ、正の相関関係(比例関係)が成立するときにその構造がフラクタル性を有すると判断する。また、グラフの傾きからフラクタル次元Dを求める。
この方法によりフラクタル次元Dを算出したときの好ましいフラクタル次元Dの値は、1.3以上かつ2.0以下、より好ましくは1.5以上かつ2.0以下である。
「透明導電膜の製造方法」
本発明の透明導電膜の製造方法は、基材上に、本発明の透明導電膜を形成する方法であり、本発明の透明導電膜は、本発明の透明導電膜形成用塗布液を塗布することにより、形成することができる。
本発明の透明導電膜形成用塗布液は、一次粒子径が3nm以上かつ10nm以下の導電性微粒子と、有機高分子と、溶媒とを含有してなる透明導電膜形成用塗布液であり、前記溶媒は溶解性パラメータが14以上の溶媒と溶解性パラメータが8以上かつ13以下の溶媒とを含む塗布液である。
上記の有機高分子は、溶解性パラメータが7以上かつ15以下の樹脂が好ましい。
この透明導電膜形成用塗布液は、一液型の塗布液であることが好ましい。一液型の塗布液とは、1種類の塗布液のみにより膜を形成することができる塗布液のことであり、上記の導電性微粒子、有機高分子及び溶媒を組み合わせることにより、複数の塗布液を組み合わせることなく、本発明の透明導電膜を形成することができる。
本発明の透明導電膜の製造方法では、効率的な導電路を形成するために、本発明の透明導電膜を作製する際に、微細な塊状凝集体を形成し、それにより薄膜状の凝集体を形成することが好ましい。さらに好ましくは、(1)導電性微粒子を構成成分とする微細な塊状凝集体を形成する過程と、(2)微細な塊状凝集体が塗膜の表面または界面付近に集結される過程と、(3)集結された塊状凝集体を連結して薄膜状の凝集体とし、表面または界面付近に導電路を形成する過程とを含むことが好ましい。
基材としては、特に限定しないが、適用範囲が広いこと、変形等の自由度が高いことから、プラスチックフィルムまたはプラスチックシートが好適に用いられる。特に曲げ性等が要求されない場合には、プラスチック基板が好適に用いられる。
また、塗布液に用いられる一次粒子径が3nm以上かつ10nm以下の導電性微粒子としては、導電性が良好であり、広義の自己組織化により秩序構造を形成するものであることが好ましい。
このような導電性微粒子としては、金属酸化物微粒子または金属微粒子が好ましく、金属酸化物微粒子としては、スズを含有する金属酸化物微粒子が好ましい。
スズを含有する金属酸化物微粒子としては、例えば、スズ及びアンチモンを含有する酸化物微粒子(ATO)またはスズ及びインジウムを含有する酸化物微粒子(ITO)が好ましい。
このような条件を満たす導電性微粒子としては、加熱温度が250℃以上かつ400℃以下の水熱合成法によって作製することが好ましい。
その理由は、加熱温度が250℃より低い場合には、異種元素が均一に含有されず、結晶性の高い金属酸化物を生成し難いからであり、一方、加熱温度が400℃を越える場合には、生産性に問題が生ずるからである。
なかでも、水熱合成法で作製した一次粒子径が3nm以上かつ10nm以下のスズ及びアンチモンを含有する酸化物微粒子(ATO)は、可視光線に対する透過性と電気導電性を併せ持つ金属酸化物であり、本発明のごとき塗膜を作製するうえで好適である。
このような導電性微粒子の他の例としては、アルミニウム含有酸化亜鉛、アンチモン含有酸化インジウム(AIO)等のようなインジウム、亜鉛、ガリウム、アルミニウム等を含有する金属酸化物微粒子、あるいは金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)等の金属から選択された1種または2種以上を含有する金属微粒子が挙げられる。
これらの導電性微粒子は、界面活性剤で表面処理することが好ましく、この界面活性剤としては、カチオン系界面活性剤が好ましい。
この一次粒子径が3nm以上かつ10nm以下の導電性微粒子と、有機高分子と、溶解性パラメータが14以上の溶媒と、溶解性パラメータが8以上かつ13以下の溶媒とにより、透明導電膜形成用塗布液を作製することができる。
上記の有機高分子は、溶解性パラメータが7以上かつ15以下の樹脂が好ましい。
そして、この透明導電膜形成用塗布液を基材上に塗布することにより、本発明の透明導電膜を容易に形成することができる。
ここで、溶媒全体量100質量部に占める溶解性パラメータが14以上の溶媒の割合は、1質量部以上かつ30質量部以下が好ましく、より好ましくは5質量部以上かつ20質量部以下である。
また、塗布液には、上記溶解性パラメーターの範囲外である樹脂、添加剤、及び溶媒を添加しても良い。
溶解性パラメーター(また、溶解度パラメーターとも称する)とは、下記の式(3)、(4)で定義される値であり、溶媒の溶解度を定量的に表す尺度として用いられる数値である。
δ=(ΔE/V)1/2=CED1/2 ……(3)
ΔE=ΔH−RT ……(4)
ただし、ΔHはモル蒸発熱、Rはガス常数、Tは絶対温度、CEDは凝集エネルギー密度(Cohesive Energy Density)である。
なお、溶解性パラメーターの具体的な値は、高分子学会編、「高分子素材便覧」(丸善株式会社、1989年発行)等に掲載されている。
例えば、溶解性パラメータが7以上かつ15以下の樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
溶解性パラメータが8以上かつ13以下の溶媒としては、ジエチルアミン、メチルエチルケトン、エチルアセテート、イソペンチルアルコール、フルフラール、エチレングリコール等を挙げることができる。
溶解性パラメータが14以上の溶媒としては、メタノール、エチレングリコール、グリセロール、水等を挙げることができる。
この他、溶解性パラメータの値が適合するモノマーおよび/または重合体を挙げることができる。
また、本発明の透明導電膜を作製する方法としては、少なくとも塗膜形成過程においては、塗布液の表面近傍に、導電性微粒子を厚みが5nm以上かつ100nm以下の薄膜状に集結してなる凝集体を形成する方法が好ましい。
あるいは、塗布液が他の物質と接して形成する界面近傍に、導電性微粒子を厚みが5nm以上かつ100nm以下の薄膜状に集結してなる凝集体を形成する方法であってもよい。
この塗布液と接する物質の好ましい特性としては、表面張力が30mN/m以上であることが好ましい。表面張力が30mN/m以上の物質と接触させる方法としては、表面張力が30mN/m以上である固体材料と接触させる方法を用いることができる。
あるいは、塗膜乾燥過程において塗布液の表面に空気中の水分を凝縮させ、塗布液の表面に水分の含有比率が高い膜を形成する方法を用いることもできる。
空気中の水分を凝縮させ、水分の含有比率が高い膜を形成するうえで、塗膜を塗布する環境としては、相対湿度が20%以上かつ70%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以上かつ65%以下である。
その理由は、湿度が20%より低い場合には、目的とする塗膜構造を形成し難いからであり、また、相対湿度が70%より高い場合には、塗膜が白化する等の欠陥を生ずる可能性があるからである。
また、塗布方法は特に限定されず、通常行われている各種の塗布方法を適宜選択すればよい。また、塗布液の粘度は、塗布液中の固形分の濃度、樹脂の濃度、樹脂の種類、樹脂の分子量等の影響を受けるが、塗布方法、形成したい透明導電膜の膜厚等に合わせて適宜設定すればよい。
例えば、バーコート法、グラビアコート法、インクジェット法等を用いる場合には、塗布液の粘度を1mPa・s以上かつ300mPa・s以下に調製することが好ましく、これらの方法により10μm以下の膜厚の透明導電膜を得たい場合には、塗布液の粘度を1mPa・s以上かつ30mPa・s以下とすることが好ましく、1mPa・s以上かつ20mPa・s以下がより好ましい。
また、これらの方法により10μm以上の膜厚の透明導電膜を得たい場合には、塗布液の粘度を2mPa・s以上とすることが好ましい。
さらに、スクリーン印刷法、ディスペンサー法等を用いる場合には、塗布液の粘度を10mPa・s以上かつ500000mPa・s以下とすることが好ましい。
なお、塊状凝集体は、分散媒が蒸発する過程にて塗布液中に形成させることができるが、塗布液中に予め含有させておいてもよい。最初に形成される塊状凝集体の大きさは、10nm以上かつ300nm以下であることが好ましく、20nm以上かつ200nm以下であることがより好ましい。
また、塊状凝集体の一部は、塗膜のマトリックス中に残存していてもかまわない。
以上の特徴を備えた塗膜に顕著な特徴は、450nm以上かつ750nm以下の可視光線の透過率が90%以上であり、ヘイズが0.1%以下であり、表面抵抗が1011Ω/□以下であり、しかも、可視光線に対する透明性が極めて高く、演色性を改良した光源の下でも塗膜の曇りが認められないことである。
本実施形態の透明導電膜によれば、一次粒子径が3nm以上かつ10nm以下の導電性微粒子により厚みが5nm以上かつ100nm以下の薄膜状の凝集体を形成し、前記凝集体の少なくともその一部が前記膜の表面近傍に局在したので、塗膜マトリックスにおける導電性微粒子の充填率が非常に低い場合であっても、透明性、導電性、機械的強度に優れたものとなる。
例えば、透明導電膜中の導電性微粒子の含有率が1〜25重量%、あるいは塗布液中の固形分における導電性微粒子の含有率が1〜25重量%という低濃度であっても、透明性、導電性、機械的強度に優れたものとなる。
透明導電膜中あるいは塗布液中の導電性微粒子の含有率は、使用目的に応じて適宜選択することができる。例えば、導電性微粒子の含有率を1〜5重量%とすると、優れた機械的強度を有しながら、特に透明性、導電性に優れた膜を得ることができる。さらに、導電性微粒子の含有率を1〜3重量%とすると、透明性及び導電性をさらに高めることができる。
特に,3波長蛍光灯のごとき演色性を改良した光源の下においても、散乱光に基づく白色の曇りが殆ど無い。
本実施形態の透明導電膜の製造方法によれば、基材上に、一次粒子径が3nm以上かつ10nm以下のスズを含有する金属酸化物微粒子と、溶解性パラメータが7以上かつ15以下の樹脂と、溶解性パラメータが14以上の溶媒と溶解性パラメータが8以上かつ13以下の溶媒とを含む透明導電膜形成用塗布液を塗布するので、透明性、導電性、機械的強度に優れ、特に,3波長蛍光灯のごとき演色性を改良した光源の下においても、散乱光に基づく白色の曇りが殆ど無い透明導電膜を容易かつ安価に得ることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
「実施例」
(アンチモン含有酸化スズ微粒子の作製)
アンチモン含有酸化スズ微粒子を以下の方法により作製した。
まず、塩化スズ5水和物(SnCl・5HO)670重量部と、塩化アンチモン(II)(SbCl)46.2重量部を、6Nの塩酸3000重量部に溶解し、この溶液を攪拌しながらアンモニア水溶液(アンモニア:25重量%)200重量部を加え、沈殿物を生成させた。
次いで、この沈殿物を濾過洗浄して塩化アンモニウムを除去した後、純水を加えて固形成分1重量%の濃度に調整し、反応原料とした。
次いで、この反応原料に微量のアンモニア水溶液を添加してpHを調整した後、オートクレーブを用いて350℃にて5時間加熱し、その後室温(25℃)まで冷却し、反応液を取り出した。この反応液をエバポレーターを用いて濃縮した後に脱アンモニア処理を施し、次いで、再分散処理を施し、平均粒子径が5nmの表面親水性のアンチモン含有酸化スズ微粒子を得た。
次いで、この表面親水性のアンチモン含有酸化スズ微粒子に界面活性剤を加えて表面処理し、表面処理済のアンチモン含有酸化スズ微粒子を得た。
(塗膜の作製)
表面処理済のアンチモン含有酸化スズ微粒子と、メタクリレート系紫外線硬化型樹脂(セイカビームPC−D04:大日精化工業社製)をメチルエチルケトンに混合し、その後超音波処理を施し、固形分が36重量%、メチルエチルケトンと水の割合が重量比で88:12の塗布液を得た。
ここでは、表1及び表2に示すように、固形分に占めるアンチモン含有酸化スズの比率を1重量%から25重量%まで変化させ、計5種類の塗布液を作製した。これらの塗布液の粘度は、いずれも約3cPであった。
次いで、これら5種類の塗布液について、表1及び表2に示すように、相対湿度が40%、50%、65%のいずれか1つ以上の環境下にて、これらの塗布液をバーコート法(#14)にて厚み3mmの透明なアクリル樹脂板(デラグラス:旭化成社製)上に塗布して塗膜を形成した。その後、乾燥器を用いて80℃にて5分間加熱し、塗膜を乾燥した。その後、この塗膜に紫外線照射装置(アイグラフィックス社製)を用いて紫外線を照射し、塗膜に含まれるメタクリレート系紫外線硬化型樹脂を硬化させ、厚みが2.5μmの実施例1〜9の塗膜を作製した。
「比較例」
(塗膜の作製)
アンチモン含有酸化スズ微粒子のトルエン分散液(住友大坂セメント製)を用いて塗布液を作製した。
このアンチモン含有酸化スズ微粒子のトルエン分散液からトルエンを散逸させることによりアンチモン含有酸化スズ微粒子を分離し、このアンチモン含有酸化スズ微粒子と、メタクリレート系紫外線硬化型樹脂(セイカビームPC−D04:大日精化工業社製)をメチルエチルケトンに混合し、その後サンドミルを用いて2時間分散処理を施し、固形分が36重量%の塗布液を得た。
ここでは、固形分に占めるアンチモン含有酸化スズの比率を1重量%から60重量%まで変化させ、計5種類の塗布液を作製した。これらの塗布液の粘度は、いずれも約3cPであった。
次いで、これら5種類の塗布液について、表3及び表4に示すように、相対湿度が50%の環境下にて、これらの塗布液をバーコート法(#14)にて厚み3mmの透明なアクリル樹脂板(デラグラス:旭化成社製)上に塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を乾燥器を用いて80℃にて5分間乾燥し、その後、この塗膜に紫外線照射装置(アイグラフィックス社製)を用いて紫外線を照射してメタクリレート系紫外線硬化型樹脂を硬化させ、厚みが2.5μmの比較例1〜3の塗膜を作製した。
「塗膜構造の評価」
実施例1〜9及び比較例1〜3それぞれの塗膜構造の評価を行った。
(実施例1〜9)
塗膜の一部に集束イオンビーム加工装置(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて集束イオンビーム処理を施し、厚さ約100nmの膜状の試料を作製した。次いで、この試料を透過型電子顕微鏡(TEM:日立H800)を用いて観察し、塗膜構造を評価した。
ここでは、塗膜の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)像により塗膜構造を調べた。これらの塗膜構造の一例として、図3に実施例3の塗膜の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)像を示す。
また、塗膜の表面の電解放射型走査型電子顕微鏡(FESEM)像により塗膜の表面の微粒子分布を調べた。これらの塗膜の表面状態の一例として、図4に実施例3の試料の表面の電解放射型走査型電子顕微鏡(FESEM)像を示す。
これらの観察結果により、アンチモン含有酸化スズ微粒子により構成される薄膜状あるいは層状の構造体が塗膜表面近傍に形成されていることが確認された。また、アンチモン含有酸化スズ微粒子により構成されるクラスターは、塗膜表面近傍において連続した構造体を形成していることが確認された。また、クラスターは配位数が3以上であるアンチモン含有酸化スズ微粒子を含有していることが確認された。
さらに、図4に示すように、アンチモン含有酸化スズ微粒子の配合比率が浸透閾値に近い配合比率の塗膜においては、クラスターにより構成される連続した構造体に空洞領域が存在する場合があることが確認された。また、この場合、その周縁部を構成する曲線はフラクタル性を有することが確認された。
(比較例1〜3)
塗膜の断面について、実施例と同様、透過型電子顕微鏡(TEM)像により塗膜構造を調べた。図5にアンチモン含有酸化スズ微粒子を17重量%含む比較例1の塗膜の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)像を示す。
これらの観察結果により、アンチモン含有酸化スズ微粒子が塗膜内部に不規則に分散した構造が確認され、薄膜状あるいは層状の構造体は確認されなかった。
「塗膜の特性の評価」
実施例1〜9及び比較例1〜3それぞれの塗膜の各種特性の評価を室温(25℃)にて行った。各種特性の評価方法は下記のとおりである。
(1)フラクタル性
電解放射型走査型電子顕微鏡(FESEM)を用いて塗膜表面における導電性微粒子の分布を観察するとともに、得られた電解放射型走査型電子顕微鏡(FESEM)像の2次元データーを用いてボックスカウント法によりフラクタル性を評価した。
(2)表面抵抗
表面抵抗計(ハイレスタIP MCO-HT25O:三菱油化社製)を用いて測定した。
(3)全光線透過率
日本工業規格「JIS K 7105」に準じ、ヘーズメータ(Automatic HazeMeter model TC-H3DPK:東京電色社製)を用い、未塗布基板を基準として測定した。
(4)ヘイズ値
日本工業規格「JIS K 7105」に準じ、ヘーズメータ(Automatic HazeMeter model TC-H3DPK:東京電色社製)を用い、未塗布基板を基準として測定した。
(5)塗膜曇り
60Wの3波長型蛍光灯を用い、この蛍光灯の光を30cmの距離から塗膜に照射し、この塗膜を透過する透過光を目視で観察することにより、塗膜曇りを評価した。
表1及び表2に実施例1〜9の塗膜特性を、また、表3に比較例1〜3の塗膜特性を、それぞれ示す。
これらの結果によれば、実施例1〜9においては、塗膜中に厚さ5nmから100nmの範囲の薄膜状の凝集体が形成され、これらの凝集体は、その一部が膜の表面から厚み方向10nmまでの領域に存在していた。
また、アンチモン含有酸化スズ微粒子の固形分における含有率が5重量%以下の場合、厚さ5nmから30nmの範囲の薄膜状の凝集体が塗膜中に形成され、全光線透過率が98%以上、ヘイズが0.1以下(測定限界以下)という優れた透明性が得られるとともに、1011Ω/□台以下という優れた導電性も得られた。
また、アンチモン含有酸化スズ微粒子の固形分における含有率が5重量%を越えた場合、厚さ30nmから100nmの範囲の薄膜状の凝集体が塗膜中に形成され、透明性が得られるとともに、10Ω/□台以下の非常に優れた導電性も得られた。
また、いずれも60Wの3波長型蛍光灯を用いた目視による観察によっても、塗膜の曇りは認められなかった。
一方、比較例1〜3においては、塗膜の表面抵抗は1×10〜3×1010Ω/□であったものの、透明性の指標となる全光線透過率は80〜96%、ヘイズ値は16.2〜0.2%であった。また、60Wの3波長型蛍光灯を用いた目視による観察によっても、塗膜の曇りが認められた。これらの結果により、実施例1〜9と比較して光学特性に劣るものであることが分かった。
本発明の透明導電膜は、一次粒子径が3nm以上かつ10nm以下の導電性微粒子により厚み5nm以上かつ100nm以下の薄膜状の凝集体を形成し、この凝集体の少なくともその一部を膜の表面近傍に局在したものであるから、3波長蛍光灯のように演色性が良好な光源を用いた場合においても、透明性に優れ、かつ導電性が良好なものとなり、プラズマディスプレイ(PD)、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネッセントディスプレイ(EL)、陰極線管(CRT)、プロジェクション(PJTV)等の各種表示装置の帯電防止に有効であることはもちろんのこと、自動車、建築物等の窓材等の帯電防止等、帯電防止が必要な様々な工業分野においても、その効果は大である。
配位数が3の導電性微粒子の概念を示す模式図である。 配位数が2の導電性微粒子の概念を示す模式図である。 本発明の実施例3の塗膜の断面構造を示す透過型電子顕微鏡(TEM)像である。 本発明の実施例3の塗膜の表面状態を示す電解放射型走査型電子顕微鏡(FESEM)像である。 比較例1の塗膜の断面構造を示す透過型電子顕微鏡(TEM)像である。

Claims (6)

  1. 一次粒子径が3nm以上かつ10nm以下のスズを含有する金属酸化物微粒子と有機高分子とを含有してなる透明導電性の膜であって、
    前記膜内かつ当該膜の表面部分に、当該膜の表面の全面にわたって、前記スズを含有する金属酸化物微粒子を凝集してなる厚みが5nm以上かつ100nm以下の薄膜状の凝集体が形成されていることを特徴とする透明導電膜。
  2. 前記スズを含有する金属酸化物微粒子は、スズ及びアンチモンを含有する金属酸化物微粒子、またはスズ及びインジウムを含有する金属酸化物微粒子であり、前記有機高分子は、溶解性パラメータが7以上かつ15以下の樹脂であることを特徴とする請求項1記載の透明導電膜。
  3. 前記凝集体は、ボックスカウント法により求められたフラクタル次元Dにより決定されるフラクタル構造体であることを特徴とする請求項1または2記載の透明導電膜。
  4. 前記凝集体を構成する前記スズを含有する金属酸化物微粒子が相互に接触する数である配位数が3以上であることを特徴とする請求項1、2または3記載の透明導電膜。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項記載の透明導電膜を形成するための透明導電膜形成用塗布液であって、
    一次粒子径が3nm以上かつ10nm以下のスズを含有する金属酸化物微粒子と、有機高分子と、溶媒とを含有してなり、
    前記溶媒は、溶解性パラメータが14以上の溶媒と溶解性パラメータが8以上かつ13以下の溶媒とを含み、前記溶媒全体量100質量部に占める前記溶解性パラメータが14以上の溶媒の割合は1質量部以上かつ30質量部以下であることを特徴とする透明導電膜形成用塗布液。
  6. 基材上に、請求項5記載の透明導電膜形成用塗布液を塗布して塗膜を形成し、その後、この塗膜を乾燥し、硬化することを特徴とする透明導電膜の製造方法。
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