JPH07331573A - 鉄道車両用断熱材 - Google Patents

鉄道車両用断熱材

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JPH07331573A
JPH07331573A JP6152617A JP15261794A JPH07331573A JP H07331573 A JPH07331573 A JP H07331573A JP 6152617 A JP6152617 A JP 6152617A JP 15261794 A JP15261794 A JP 15261794A JP H07331573 A JPH07331573 A JP H07331573A
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fiber
insulating material
fibers
cotton
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Hiroaki Morita
宏明 森田
Kimio Kitano
公男 北野
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Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧縮反発力および厚み方向の引張り強度が高
く、低密度で軽量な断熱材を鉄道車両に用い、振動耐久
性、施工性、断熱性を高める。 【構成】 捲縮繊維を含み、かつ繊維全体の50〜10
0重量%が炭素質繊維で構成された綿状繊維シートを、
水平方向に複数層に折畳み、得られた積層体の少なくと
も各層間を熱硬化性樹脂などの結合剤で接合して一体化
し、嵩密度5〜20kg/m3 、厚み方向の引張り強度
5〜20g/cm2 の鉄道車両用断熱材を得る。前記炭
素質繊維には、炭化されたピッチ系炭素繊維などが使用
でき、綿状繊維シートは5層以上積層できる。結合剤の
含有量は、断熱材全体に対して5〜20重量%である。
前記断熱材は、(1)積層体に結合剤を含浸させ、加熱
成形する方法により得てもよく、(2)綿状繊維シート
1の両面に、ノズル15から樹脂液を噴霧しながら綿状
繊維シート1を折畳み、得られた積層体7を加熱成形す
る方法により得てもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軽量で、不燃又は難燃
性を備えた鉄道車両用断熱材に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄道車両には、断熱材として、ガラス繊
維を用いた吸音断熱材が広く使用されている。しかし、
ガラス繊維の比重が大きいため、同じ断熱性能を確保す
るためには、多量のガラス繊維を使用する必要がある。
そのため、断熱材の重量が大きく、軽量化が困難であ
る。また、ガラス繊維を断熱材の表面に露呈させておく
と、チクチクする痛感を与え現場での施工性を低下させ
るので、アルミニウム箔などで断熱材の表面および端面
を覆う必要がある。さらに、万一、火災が発生するとガ
ラス繊維が溶融するため、断熱材としての機能を維持で
きなくなる。
【0003】このような課題を解決するため、ガラス繊
維に代えて、炭素質繊維を使用することが提案されてい
る。例えば、特公平3−13349号公報および特公平
3−17946号公報には、コイル状又は伸ばし得る非
線状の非グラファイト質炭素繊維のバッティング(打ち
延べ綿状物)により構成された防音断熱材が開示されて
いる。この防音断熱材は、バッティングで構成されてい
るため、未だ圧縮反発力や厚み方向の復元性が十分でな
いだけでなく、厚み方向の引張り強度(剥離強度)が小
さい。そのため、断熱材を鉄道車両の被断熱部位に介在
又は介装させると、振動や外力などにより断熱材の位置
ずれや偏り、著しい場合には脱落が生じ、高い断熱性能
を維持できなくなる。また、前記コイル状又は非線状の
非グラファイト質の炭素繊維は、ポリアクリロニトリル
繊維を、一旦、布に編んで加熱して熱セットして、再
度、布を編みほぐすことにより調製する必要がある。
【0004】特開平3−279454号公報には、層間
剥離の虞が少なく、面方向の圧縮性および可撓性を高め
るため、炭素繊維などの無機質短繊維を集積したシート
状断熱吸音素材を、水平面方向に対して上下方向(厚み
方向)にジグザグに折畳み、結合剤により繊維同士を結
合し、全体として一体に形成された断熱吸音材が開示さ
れている。しかし、このような断熱吸音材を断熱材とし
て利用すると、断熱材の配設状態において、熱の流れ方
向に対してシート状断熱吸音素材の折畳み方向及び繊維
の配向方向が平行になるため、熱伝導率が2〜3倍大き
くなり断熱性能が低下する。また、形状を保持するた
め、多くの結合剤を必要とするとともに、シート状断熱
吸音素材を断熱材の厚み方向に折り畳んでいる。そのた
め、薄くかつ低密度で軽量な断熱材を得ることが困難で
あり、軽量化が要望される鉄道車両の断熱材としての利
用が損われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、復元性、圧縮反発力、厚み方向の引張り強度が高
く、振動耐久性に優れるとともに、低密度で軽量な鉄道
車両用断熱材を提供することにある。
【0006】本発明の他の目的は、不燃又は難燃性で、
施工性、耐熱性に優れるとともに、断熱性の高い鉄道車
両用断熱材を提供することにある。
【0007】本発明のさらに他の目的は、軽量性が要求
される鉄道車両の吸音断熱材として有用な断熱材を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成するため鋭意検討の結果、捲縮繊維を含み、かつ繊
維全体の特定量が炭素質繊維で構成された綿状繊維シー
トを揺動させながら上下方向に積層し、熱硬化性樹脂で
一体化すると、復元性、圧縮反発力、厚み方向の引張り
強度および振動耐久性が高く、低密度で軽量な積層体が
得られること、前記積層体を断熱部位に配設すると、伝
熱方向に対して略直交する方向(遮蔽方向)に綿状繊維
シートが配向し、断熱性を高めることができることを見
いだし本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明の鉄道車両用断熱材は、
捲縮繊維を含み、かつ繊維全体の50〜100重量%が
炭素質繊維で構成された綿状繊維シートが厚み方向に複
数層に積層された積層体と、この積層体の少なくとも各
層間を接合するための結合剤とで構成されており、嵩密
度が5〜20kg/m3 であり、厚み方向の引張り強度
が5〜20g/cm2 である。前記綿状繊維シートは、
捲縮された炭素質繊維単独で構成してもよく、他の繊維
を併用してもよい。綿状繊維シートは、炭化された炭素
繊維を50重量%以上含む場合が多い。綿状繊維シート
の厚みは0.1〜20mm程度、折畳み数は5層以上で
ある場合が多い。また、結合剤としては熱硬化性樹脂を
使用できる。
【0010】前記のような特性を有する鉄道車両用断熱
材は、(1)前記綿状繊維シートを横方向に折畳みなが
ら複数層に積層し、得られた積層体に結合剤を含浸さ
せ、成形する方法、(2)前記綿状繊維シートの両面に
結合剤を噴霧しつつ、前記綿状繊維シートを横方向に折
畳みながら複数層に積層し、得られた積層体を成形する
方法により製造することができる。
【0011】以下に、本発明をより詳細に説明する。
【0012】前記綿状繊維シートは、復元性、圧縮反発
力、厚み方向の引張り強度(剥離強度)および振動耐久
性を高めるとともに、低密度で軽量な断熱材を得るた
め、少なくとも捲縮繊維を含んでいる。捲縮繊維は、炭
素質繊維であってもよく、非炭素質繊維であってもよ
い。このような捲縮繊維を含むと、綿状繊維シートは三
次元網目構造となり、低嵩密度となる。なお、捲縮繊維
は慣用の方法で製造でき、炭素質の捲縮繊維は、例え
ば、渦流法(特公昭58−057374号公報など)な
どを利用して紡糸することにより製造できる。
【0013】綿状繊維シートは、繊維全体の50〜10
0重量%が炭素質繊維で構成されている。炭素質繊維
は、捲縮繊維であってもよく、直線状の非捲縮繊維であ
ってもよい。炭素質繊維には、例えば、ポリアクリロニ
トリル、フェノール樹脂、レーヨンなどの高分子、石炭
ピッチ、石油ピッチなどのピッチを原料とし、炭化又は
黒鉛化された炭素繊維が含まれる。なお、炭化とは、特
に言及しない限り、例えば450〜1500℃程度の温
度で焼成処理することを言う。また、「黒鉛化」とは、
特に言及しない限り、例えば、1500〜3000℃程
度の温度で焼成処理することを言い、結晶構造が黒鉛構
造でないときも黒鉛化の概念に含める。
【0014】炭素質繊維は、黒鉛化繊維(例えば、15
00〜3000℃程度で焼成された炭素繊維)であって
もよいが、折畳み加工性などの点から炭化繊維であるの
が好ましい。炭化繊維は、焼成温度450〜1500℃
(例えば、500〜1300℃)、好ましくは600〜
1200℃、さらに好ましくは700〜900℃で焼成
された炭素繊維であるのが好ましい。焼成温度が450
℃未満では、ポリアクリロニトリル系炭素繊維の場合、
火災などによる加熱時に有毒なHCNガス及びNH3
スが発生する虞があるとともに、他の繊維(例えば、ピ
ッチ系炭素繊維)においても綿状繊維シートへの加工性
などの繊維加工性が低下し易い。一方、1500℃を越
えると、コスト高になると共に、焼成収率が低下するた
め経済的でないばかりか、加工性においても繊維が脆く
なり低下し易い。なお、ピッチ系炭素繊維を用いると、
耐炎化したポリアクリロニトリル繊維と異なり、加熱に
よりHCNガス及びNH3 ガスが生成することがなく、
安全性を高めることができる。
【0015】前記綿状繊維シートは、捲縮繊維を含み、
かつ繊維全体の特定量が炭素質繊維で構成されていれば
よい。捲縮繊維が炭素質繊維である場合、前記綿状繊維
シートは、前記捲縮された炭素質繊維単独で構成しても
よいが、他の繊維(捲縮された他の繊維、非捲縮の炭素
質繊維又は非捲縮の非炭素質繊維)と組合せて使用する
こともできる。他の繊維としては、不燃性又は難燃性の
種々の繊維、例えば、無機繊維(例えば、ガラス繊維;
アルミニウムシリケート質繊維、アルミナ質繊維、炭化
ケイ素繊維などのセラミックス繊維;アスベスト、ロッ
クウールなどの鉱物系繊維;ステンレスなどの金属繊
維;前記炭素繊維と同様な材料を原料とした非捲縮炭素
質繊維など)、有機繊維(例えば、ビスコースレーヨ
ン、キュプラなどのレーヨン繊維、アセテート繊維、熱
硬化性樹脂の繊維(例えば、ノボロイド繊維などのフェ
ノール樹脂繊維)、ナイロン繊維、難燃性ポリエステル
繊維、ポリビニルアルコール系合成繊維(ビニロン繊
維)、ポリエーテルスルホン繊維、芳香族ポリアミド繊
維(アラミド繊維など)などの高分子繊維など)が挙げ
られる。これらの繊維は少なくとも一種使用できる。
【0016】断熱材の嵩密度を小さくするため、好まし
い不燃性又は難燃性繊維には、有機繊維が含まれる。な
お、嵩密度の増加を抑制するため、セラミックス繊維、
鉱物系繊維、金属繊維などの無機繊維を用いる場合、無
機繊維の使用量は少量である場合が多い。前記他の繊維
は捲縮繊維であってもよく直線状の非捲縮繊維であって
もよい。
【0017】捲縮繊維における捲縮度は、断熱材の復元
性、反発性、振動耐久性などを損わない範囲であればよ
く、例えば、10mm当り0.5〜5回程度である。捲
縮繊維および非捲縮繊維の繊維径は、例えば、4〜30
μm程度であり、7〜20μm程度である場合が多い。
【0018】捲縮繊維および非捲縮繊維は短繊維として
使用される場合が多く、その繊維長は、非伸長状態で、
例えば、0.1〜10cm、好ましくは0.5〜8cm
程度であり、繊維長1〜5cm程度である場合が多い。
繊維長が0.1cm未満では綿状繊維シートの三次元網
目構造を維持できず、低密度の断熱材を得ることが困難
であり、繊維長が10cmを越えると三次元網目構造が
不足し、嵩を高くすることが困難である。
【0019】捲縮繊維と非捲縮繊維との割合は、断熱材
の特性を低下させない限り、広い範囲で選択でき、例え
ば、捲縮繊維50〜100重量%(好ましくは60〜1
00重量%)および非捲縮繊維0〜50重量%(好まし
くは0〜40重量%)程度である。なお、捲縮繊維の含
有量が50重量%未満では、三次元網目構造の繊維シー
トを形成するのが困難である場合が多いだけでなく、折
り畳みによる嵩高さが低下し、断熱材の反発性、厚み方
向の引張り強度、振動耐久性が低下する場合が多い。
【0020】また、炭素質繊維と非炭素質繊維との割合
も、断熱材特性を低下させない限り広い範囲で選択で
き、例えば、炭素質繊維50〜100重量(好ましくは
60〜100重量%)および非炭素質繊維0〜50重量
%(好しくは0〜40重量%)程度である。炭素質繊維
の含有量が50重量%未満では、ガラス繊維や有機繊維
が仮に溶融又は消失した場合、断熱材としての形状を保
持するのが困難となる。
【0021】このような混紡繊維で綿状繊維シートを構
成すると、ガラス繊維や有機繊維が仮に溶融又は消失し
たとしても、主成分として含まれている炭素質繊維が形
状を維持しつつ残存するため、断熱材の形状を保持でき
る。なお、断熱材の嵩密度を低減し、かつ圧縮反発性、
振動耐久性、形状保持性などを高めるため、好ましい綿
状繊維シートにおいて、前記炭素質繊維は、捲縮された
炭素質繊維で構成されている。
【0022】綿状繊維シートの厚みは、折畳み回数、成
形断熱材の厚みなどに応じて選択でき、例えば、0.1
〜20mm、好ましくは0.5〜15mm、さらに好ま
しくは1〜10mm程度である。また、綿状繊維シート
の嵩密度は、断熱材の復元性、圧縮反発性などを損わな
い範囲で選択でき、例えば、0.1〜15kg/m3
好ましくは0.5〜10kg/m3 程度であり、嵩密度
1〜7kg/m3 程度である場合が多い。
【0023】前記綿状繊維シートは、折畳みにより断熱
材の厚み方向(面方向に対して水平方向)に複数層に積
層され、積層体を形成する。すなわち、綿状繊維シート
を上下方向に折重ねて積層することにより、積層体が形
成されている。綿状繊維シートの折畳み数(積層数)
は、断熱材の断熱性、復元性、反発性などに応じて選択
でき、例えば、5層以上、好ましくは7〜100層、よ
り好ましくは7〜70層程度であり、10〜50層程度
である場合が多い。綿状繊維シートの積層数が5層未満
であると、施工時の反発性、振動耐久性などが低下し、
被断熱部位との密着性が低下し、隙間が生じる場合があ
る。なお、前記折畳みにより繊維が積層面に対して直交
する方向に配向し、加熱硬化後も配向方向が維持される
ためか、施工時の圧縮反発性、厚み方向の引張り強度お
よび振動耐久性の高い断熱材が得られる。
【0024】前記積層体の少なくとも各層間(すなわ
ち、前記綿状繊維シートの折重ね面間)は、結合剤によ
り接合されている。結合剤としては、無機結合剤又は無
機接着剤を用いることもできるが、有機結合剤(有機接
着剤)を用いる場合が多い。有機結合剤としては、エポ
キシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽
和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、ポリウレ
タン樹脂、ポリイミドなどの熱硬化性樹脂;ポリ酢酸ビ
ニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系接着
剤、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタールなどの
熱可塑性樹脂;ブチルゴム、シリコーンゴムなどのゴム
系接着剤が例示される。上記樹脂は一種または二種以上
使用される。
【0025】好ましい有機結合剤には、耐熱性の高い熱
硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、
フェノール樹脂などが含まれる。熱硬化性樹脂を使用す
る場合、樹脂の種類に応じた硬化剤が使用できる。
【0026】前記積層体において、少なくとも各層間が
前記結合剤で接合されていればよく、各層の表面近傍の
結合剤又は各層全体に含浸した結合剤により、各層が接
合している場合が多い。積層体の各層間が、前記綿状繊
維シートに含浸した結合剤により接合していてもよい。
結合剤の含有量は、断熱材の一体性、厚み方向の引張り
強度を損わない範囲で、断熱材の嵩密度などに応じて適
当に選択でき、例えば、断熱材全体に対して5〜20重
量%、好ましくは7〜18重量%、さらに好ましくは8
〜15重量%程度である。なお、積層体において隣接す
る上下方向の各層は、加圧加熱成形などの所定形状への
成形過程で圧縮され、密着している場合が多い。
【0027】このような積層断熱材は、低密度であると
ともに、繊維シートが厚み方向に積層されているにも拘
らず、厚み方向の引張り強度が高いという特色がある。
例えば、断熱材の嵩密度は、5〜20kg/m3 、好ま
しくは8〜18kg/m3 、さらに好ましくは10〜1
6kg/m3 程度であり、8〜20kg/m3 程度であ
る場合が多い。また、断熱材の厚み方向の引張り強度
は、5〜20g/cm2、好ましくは8〜17g/cm
2 、さらに好ましくは10〜15g/cm2 程度であ
る。低密度でありながら、このような引張り強度を有す
るため、断熱材の一体性が高い。そのため、断熱材を鉄
道車両の被断熱部位に介在させると、前記高い復元性及
び圧縮反発性と相まって、被断熱部位からの位置ずれや
脱落を防止できる。なお、厚み方向の引張り強度は、断
熱材の厚み方向の両側面(繊維シート面)を接着剤で被
着部材と接合し、被着部材により断熱材に引張り方向の
外力を作用させたとき、断熱材が破壊する強度(引剥が
し強度)を意味する。
【0028】このような断熱材は、低嵩密度であるた
め、軽量であるとともに、復元性およびクッション性に
よる圧縮反発性、厚み方向の引張り強度が高く、被断熱
部位に介在又は介装すると、被断熱部位に密着する。そ
のため、被断熱部位に断熱材を介在又は介装するだけで
被断熱部位に密着させることができ、現場での施工性を
高めることができるとともに、外部から振動などが作用
しても被断熱部位との高い密着性を維持でき、位置ずれ
や偏りを防止でき、振動耐久性が高い。また、断熱材を
被断熱部位に配設すると、厚み方向に前記綿状繊維シー
トが積層されているため、伝熱方向に対して各繊維シー
トが直交する方向に延びている。そのため、熱の遮蔽効
果及び断熱性が高い。さらに、不燃性又は難燃性、耐熱
性が高く、有毒ガスの発生も抑制でき、安全性も高い。
【0029】本発明の断熱材は、種々の方法、例えば、
捲縮繊維を含む前記綿状繊維シートを横方向に折畳みな
がら複数層に積層する積層工程、得られた積層体を結合
剤により一体に成形する工程を経ることにより製造でき
る。
【0030】より具体的には、前記断熱材の製造方法に
は、(1)捲縮繊維を含む綿状繊維シートを横方向に折
畳みながら複数層に積層する積層工程、得られた積層体
に結合剤を含浸させる含浸工程、結合剤を含浸した積層
体を成形する工程を含む方法が含まれる。
【0031】なお、前記綿状繊維シートは、捲縮された
炭素質繊維などで構成された繊維を開繊機などの開繊手
段によりにより開繊し、カード機などのカーディング手
段によりシート状ウェブを形成することにより調製でき
る。シート状ウェブにおいて繊維の方向性は特に制限さ
れない。例えば、シート状ウェブは、前記カード機に限
らず、繊維を空気流で飛ばして、回転する有孔円筒上に
析出させることにより調製された、繊維の方向性がない
ランダムウェブであってもよい。
【0032】前記積層工程では、綿状繊維シートを上方
から下方へ、載置台やコンベアなどへ連続的に供給する
過程で、厚み方向(横方向)に往復動させながら、折畳
むことにより前記繊維シートを連続的に積層できる。な
お、コンベア上で折畳む場合、コンベアの速度は、繊維
シートの供給速度よりも低速度である。
【0033】積層体は、そのまま含浸工程に供してもよ
いが、通常、カッターにより所定形状に切断し、結合剤
を含む含浸剤を含浸する場合が多い。前記結合剤を含む
含浸剤は溶液又は分散液として使用される場合が多く、
このような含浸剤に前記積層体を浸漬することにより、
熱硬化性樹脂などの結合剤を含浸させることができる。
含浸剤は、前記結合剤を、水、有機溶媒などに溶解又は
分散することにより調製できる。含浸剤中の結合剤の含
有量は、例えば、5〜75重量%、好ましくは10〜6
0重量%程度である。なお、含浸量を調整するため、通
常、含浸した積層体を絞りローラなどの絞り手段に供
し、過剰の含浸剤を除去する場合が多い。
【0034】含浸工程に供された積層体は、通常、乾燥
などにより含浸剤中の溶媒を除去した後、成形工程に供
される。この成形工程において、積層体は、通常、加熱
加圧成形され、断熱材が得られる。また、上記結合剤と
して熱硬化性樹脂を用いる場合には、成形工程での加熱
により結合剤が硬化し、積層体が一体化する。このよう
にして得られた断熱材は、必要に応じて、カッターなど
により所定の大きさに切断することができる。
【0035】前記(1)の方法において、結合剤は、浸
漬などに限らず、塗布、噴霧などにより含浸させてもよ
い。また、予め結合剤を繊維シートに含浸させて積層し
てもよいが、繊維シートの機械的強度が小さいため、積
層過程で繊維シートが破断する虞がある。
【0036】本発明の他の方法には、(2)前記綿状繊
維シートの両面に結合剤を噴霧しつつ、前記綿状繊維シ
ートを横方向に折畳みながら複数層に積層する積層工
程、得られた積層体を成形する成形工程を経て断熱材を
製造する方法も含まれる。このような方法では、繊維シ
ートに結合剤を均一に付着できるとともに繊維シートが
破断することもない。また、少量の結合剤により各繊維
シートを接合でき、断熱材の密度を低減できる。
【0037】図1は綿状繊維シートにより形成された積
層体の一例を示す概略斜視図、図2は折畳み機構を説明
するための概略側面図、図3は結合剤の噴霧装置を示す
概略斜視図、図4は図3に示す装置の概略平面図であ
る。
【0038】カード機などのカーディング手段より紡出
された繊維シート1はコンベア2および一対のベルト3
により連続的に搬送され、ベルト3aの上部から垂直型
クロスラッパー4内に導入される。クロスラッパー4で
は、一対のベルト3により挾持されながら繊維シート1
が上部から下方へ搬送される。また、繊維シート1の厚
み方向に揺動可能なスイング機構により前記繊維シート
は横方向に揺動しながら、クロスラッパー4の下部か
ら、昇降可能な載置台又は前進可能なコンベア6上に供
給される。繊維シート1は、コンベア6上で複数層に折
畳まれ、積層体7が形成される。前記スイング機構は、
前記繊維シート1の厚み方向に伸びで配設されたレール
5aと、このレール上を左右に走行するローラ5bを備
えている。なお、ローラ5bの走行に伴なって、上部の
ベルト3aとレール5aとの間の距離が変動し、繊維シ
ート1に外力が作用する虞がある。そのため、上記装置
では、ローラ5bの走行に伴なって上部のベルト3aの
傾斜角度を変化させることにより、前記距離を一定に保
ち、前記繊維シート1に外力が作用するのを抑制してい
る。
【0039】上記積層工程において、繊維シート1に結
合剤を適用しながら折畳むため、前記スイング機構の下
部には、前記繊維シート1の両面側において、それぞ
れ、繊維シート1の幅方向に往復動可能な噴霧機構が取
付けられている。
【0040】図3及び図4に示されるように、この噴霧
機構は、スイング機構の下部のうち、繊維シート1の幅
よりも外方側の両側部に取付けられた保持板11と、こ
の保持板11間に略平行に取付けられた一対のレール1
2と、各レール12に沿って移動可能な滑車13と、こ
れらの滑車13が取付けられる取付け板14と、この取
付け板14に取付けられた中空アーム15aと、このア
ーム15aの先端部に取付けられたノズル15とを備え
ている。なお、前記レール12からの滑車13の脱落を
防止するとともに、取付け板14を円滑に移動させるた
め、各レール12にはそれぞれ2つの滑車13が配され
ているとともに、各滑車13にはレール12の幅に対応
して形成された環状凹部が形成されている。また、前記
アーム15aには、熱硬化性樹脂などの結合剤の溶液を
供給するための伸縮自在なチューブ又はホース16が接
続されている。前記アーム15aの先端部は折曲又は湾
曲し、ノズル15は、繊維シート1の面の方向に向いて
いる。また、ノズル15は、回動可能なヒンジ機構15
bにより、噴霧角度が可変である。
【0041】前記保持板11のプレート17の両側部に
は、一対の歯車18が回転可能に取付けられているとと
もに、これらの歯車18間にはチェーン19が掛渡され
ている。一方の歯車18は、プーリ間に掛渡されたベル
ト20を介して、モータ21により回転駆動される。
【0042】そして、前記ノズル15を往復動させるた
め、前記取付け板14は前記チェーン19に連結されて
いる。また、プレート17又は保持板11のうち前記繊
維シート1の幅に対応する部位には、前記滑車13の移
動を規制するとともに、滑車の到達を検出するためのス
トッパ22が取付けられている。ストッパ22による検
出信号は、モータ21の回転方向を反転させるための反
転信号として利用できる。
【0043】このような機構を採用すると、繊維シート
1の両面に、少量の結合剤(樹脂)を均一に付着させる
ことができる。すなわち、モータ21の回転駆動による
チェーン19の移動に伴なって、レール12上を滑車1
3が円滑に移動するとともに、繊維シート1の幅方向に
移動するノズル15により、結合剤の溶液を均一に噴霧
又は散布できる。また、一方の端部に移動した滑車13
はストッパ22により検出され、ストッパ22による反
転信号に基づいて、モータ21はチェーン19を逆方向
に移動させる。従って、繊維シート1の幅に対応するス
トッパ22の間で、滑車13及びノズル15を往復動さ
せながら、繊維シート1の両面に均一に結合剤の溶液を
噴霧又は散布できる。しかも、繊維シート1の表面に均
一に適用できるので、結合剤の溶液の使用量を低減でき
るだけでなく、得られた積層体7を少量の結合剤で一体
化でき、低嵩密度の積層断熱材を得る上で有用である。
【0044】なお、繊維シートの少なくとも一方の面側
において、ノズルは1つに限らず複数用いてもよい。ま
た、ノズルの往復動機構は、前記機構に限らず種々の機
構が採用でき、例えば、繊維シートの幅に対応する領域
に形成された、環状であってもよい摺動溝と、この摺動
溝に摺動自在に配され、かつノズルが取付けられた滑子
と、この滑子を往復動させるための駆動機構(例えばク
ランク機構など)とで構成してもよく、回転可能な円筒
状カムと、このカムの周面に形成されたループを形成す
る螺旋状溝と、この螺旋状溝に摺動自在に配され、かつ
ノズルが取付けられた滑子とで構成してもよい。
【0045】なお、固定ノズルにより繊維シートの幅方
向に均一に樹脂液を噴霧するためには、通常、複数のノ
ズルにより多量の樹脂液を噴霧する必要があるため、断
熱材の嵩密度を低減させるには限度がある。これに対し
て、繊維シートの幅方向にノズルを往復動させると、少
量の樹脂液を均一に噴霧でき、断熱材の嵩密度が増大す
るの抑制できる。
【0046】前記のようにして得られた積層体は、前記
(1)の方法と同様に、乾燥、硬化や成形工程に供され
る場合が多い。また、必要であれば、得られた積層体又
は断熱材の折曲げ端部を積層方向に切断加工し、鉄道車
両用断熱材を得てもよい。
【0047】本発明の鉄道車両用断熱材は、軽量でかつ
不燃性、難燃性、耐熱性、安全性、施工時の反発性、振
動耐久性、引張り強度および現場施工性が高い。そのた
め、例えば、電車、汽車、新幹線などの種々の鉄道車両
において、側壁、床、屋根などの断熱材として利用でき
るだけでなく、吸音断熱材、防音材としても好適に利用
できる。
【0048】
【発明の効果】本発明の断熱材は、捲縮繊維を含み、特
定量の繊維が炭素質繊維で構成されているとともに、特
定の方向への積層された積層構造を有するので、低密度
で軽量であるとともに、復元性、反発力、厚み方向の引
張り強度および振動耐久性が高い。また、炭素質繊維を
含むので不燃又は難燃性、耐熱性および安全性が高く、
反発復元性により被断熱部位に介在させるだけで被断熱
部位に密着させることができるとともに、ガラス繊維の
ようなチクチクする痛感がないため、施工性、断熱性も
高い。そのため、軽量性が要求される鉄道車両の吸音断
熱材として有用である。
【0049】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0050】実施例1 渦流法により紡糸された嵩高の捲縮されたピッチ系汎用
炭素繊維((株)ドナック製、ドナカーボ、平均繊維径
13μm、平均繊維長75mm)を開繊機およびメタリ
ックカード機(池上機械(株)製、60−MDK)に順
次供給し、平均7mm厚の綿状繊維シートを得た。この
繊維シートの嵩密度は5.7kg/m3であった。噴霧
成形機((株)岩本製作所製、垂直型クロスラッパー)
を用い、三次元網目構造を有する繊維シートの両側に配
された1つずつのノズルを綾振りさせながら、少量のフ
ェノール樹脂液をウェブの両面へ均一に噴霧しながら、
コンベアを0.6m/分の速度で水平方向に前進させな
がら、繊維シートを幅1.2mで折り畳み、20層の積
層連続体を得た。なお、樹脂液の噴霧に際しては、噴霧
装置(スプレイングシステムスジャパン製、型番TG
0.6、1流体フルコーンスプレーチップ)を用い、ス
プレー圧1.5kg/cm2 (ゲージ圧)で行なった。
また、樹脂液としては、水溶性のフェノール樹脂(住友
デュレズ(株)製、スミライトレジン)20重量部と水
80重量部との混合液を用いた。
【0051】スプレー噴霧により樹脂を付着させ、折り
畳まれた積層連続体を、ロータリーカッター(サプリナ
社製)を用いて、長さ2.25mとなるように切断し、
1平方メートル当たりの重量973gの樹脂付着積層体
(1.2m×2.25m)を得た。
【0052】樹脂付着積層体を、複数の棚段構造で、か
つ厚み調整機能を有する熱風循環式硬化炉(キュアオー
ブン)に挿入し、厚み調整板の間隔50mm、温度23
0℃で30分間加熱硬化することにより、鉄道車両用断
熱材(1.2m×2.25m×厚み50mm)を得た。
鉄道車両用断熱材の1平方メートル当たりの重量は60
5g(嵩密度12.1kg/m3 )であり、樹脂の含有
量を計算したところ、断熱材全体の約10重量%であっ
た。
【0053】断熱性能を評価するため、平板比較法(J
IS A1412)により断熱材の熱伝導率を測定した
ところ、0.046kcal/m・h・℃(平均温度7
0℃条件)、0.039kcal/m・h・℃(平均温
度40℃条件)および0.036kcal/m・h・℃
(平均温度25℃条件)であった。さらに、鉄道車両用
材料燃焼試験(車両試験 65−599)を供したとこ
ろ、不燃材料に該当すること、鉄道車両部品の振動試験
法(JIS E4031)に供したところ、異状のない
ことが確認された。また、振動耐久性の指標となる厚み
方向の引張り強度を測定したところ、11.4g/cm
2 であった。さらに、厚み復元率を測定したところ、元
の厚みに復元し、厚み復元率=略100%であり、元の
厚みの1/2に圧縮したときの断熱材の反発力を測定し
たところ、1.2g/cm2 と反発性が高く、かつガラ
ス繊維のようなチクチクする痛感がなく、実際の車両の
施工においても好適に用いることができた。
【0054】実施例2 実施例1のピッチ系汎用炭素繊維を、実施例1と同様に
して、開繊機およびメタリックカード機に供給し、平均
7mm厚の綿状繊維シート(嵩密度5.7kg/m3
を得た。紡出されたウェブをウェブ成形機(池上機械
(株)製、水平型クロスレイヤー)に供給し、0.6m
/分の速度で前進するコンベア上で幅1.2mにて折り
畳み、20層の積層連続体を得た。
【0055】折り畳まれた積層連続体を、ロータリーカ
ッター(サプリナ社製)を用いて長さ2.25mとなる
ように切断し、積層体(1.2m×2.25m、1平方
メートル当たりの重量595g)を得た。
【0056】積層体の両面を、目開きのガラスクロスで
挟み込み、含浸漕の中に浸漬し、樹脂液を積層体に浸透
させた。樹脂液としては水溶性フェノール樹脂(荒川化
学製、タマノール)10重量部とメタノール90重量部
との混合液を用いた。前記積層体の過剰な樹脂液を、絞
りロールを用いて絞り出し、ガラスクロスを取外した
後、室温にて自然乾燥することにより、樹脂含浸積層体
(1.2m×2.25m、1平方メートル当たりの重量
1733g)を得た。
【0057】樹脂含浸積層体を、実施例1で用いた熱風
循環式硬化炉(キュアオーブン)に挿入し、厚み調整板
の間隔50mm、温度170℃で60分加熱硬化した。
加熱硬化後の成形断熱材の4辺を前記ロータリーカッタ
ーでトリミング(耳カット)し、鉄道車両用断熱材
(1.05m×2.1m×厚み50mm)を得た。断熱
材の重量は1平方メートル当たり665gであり(嵩密
度13.3kg/m3 )、断熱材全体に対する樹脂含有
量は約12重量%であった。
【0058】実施例1と同様にして、成形体の熱伝導率
を測定したところ、0.044kcal/m・h・℃
(平均温度70℃条件)であった。また、鉄道車両用材
料燃焼試験では不燃材料に該当し、鉄道車両部品の振動
試験法では異状のないことが確認され、厚み復元率は略
100%であった。また、振動耐久性の指標となる厚み
方向の引張り強度を測定したところ、12.3g/cm
2 であった。さらに、元の厚みの1/2に圧縮したとき
の反発力は1.6g/cm2 であり、反発性が高いとと
もに、ガラス繊維のようなチクチクする痛感がなく、実
際の車両の施工においても好適に用いることができた。
【0059】比較例1 ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維(耐炎化繊
維)70重量部とポリエステル繊維30重量部とを混紡
して作製した断熱材(厚み50mm、嵩密度14kg/
3 )の特性を測定したところ、熱伝導率=0.045
kcal/m・h・℃(70℃)、厚み復元率=70
%、厚み方向の引張り強度=7.4g/cm2 であっ
た。1/2に圧縮したときの反発力=0.2g/cm2
であった。また上記断熱材を炎に晒したところ、ポリエ
ステル繊維が溶融するとともに、HCNガスおよびNH
3 ガスが生成した。
【0060】比較例2 ガラス繊維を使用して作製したグラスウール断熱材(厚
み50mm、嵩密度20kg/m3 )の特性を測定した
ところ、熱伝導率=0.039kcal/m・h・℃
(平均温度40℃)、1/2に圧縮したときの反発力=
1.6g/cm2であった。上記断熱材は、施工時に、
チクチクする痛感があり、炎に晒したところ溶融した。
また、実施例1の断熱材に比べて、同一の断熱性能を得
ようとすると、約1.7倍の重量を必要とした。
【0061】実施例3 実施例1で用いたピッチ系汎用炭素繊維70重量部と難
燃性のポリエステル綿30重量部とを、それぞれ開繊機
に供給した後混紡し、メタリックカード機に供給して薄
い綿状繊維シートを得た。この繊維シートを、実施例1
の噴霧成形機に供給し、繊維シートの両面にそれぞれ樹
脂液を噴霧しながら、0.6m/分の速度で移動するコ
ンベア上で幅1.2mにて折り畳み、20層の積層連続
体を得た。なお、樹脂液としては水溶性フェノール樹脂
(群栄化学製、レジトップ)50重量部と水50重量部
との混合液を用い、スプレー圧1.0kg/cm2 (ゲ
ージ圧)で噴霧した。
【0062】得られた積層連続体を、実施例1と同様に
してロータリーカッターを用いて切断し、1平方メート
ル当たりの重量が923gの樹脂付着積層体(1.2m
×2.25m)を得た。
【0063】樹脂付着積層体を、実施例1で用いた熱風
循環式硬化炉(キュアオーブン)に挿入し、厚み調整板
の間隔50mm、温度170℃で30分加熱硬化した。
加熱硬化後の成形断熱材の4辺を前記ロータリーカッタ
ーでトリミング(耳カット)し、鉄道車両用断熱材
(1.05m×2.1m×厚み50mm)を得た。断熱
材の重量は1平方メートル当たり695gであり(嵩密
度13.9kg/m3 )、断熱材全体に対する樹脂含有
量は、約14重量%であった。
【0064】実施例1と同様にして、成形体の熱伝導率
を測定したところ、0.043kcal/m・h・℃
(平均温度70℃条件)であった。また、鉄道車両用材
料燃焼試験では不燃材料に該当し、鉄道車両部品の振動
試験法では異状のないことが確認され、厚み復元率は略
100%であった。また、振動耐久性の指標となる厚み
方向の引張り強度を測定したところ、11.7g/cm
2 であった。さらに、元の厚みの1/2に圧縮したとき
の反発力は1.8g/cm2 であり、反発性が高いとと
もに、ガラス繊維のようなチクチクする痛感がなく、実
際の車両の施工においても好適に用いることができた。
【0065】実施例4 実施例1で用いたピッチ系汎用炭素繊維70重量部とレ
ーヨン綿30重量部とを用いる以外、実施例3と同様に
して、樹脂付着積層体を加熱硬化させて成形断熱材を得
た。成形断熱材の4辺を前記ロータリーカッターでトリ
ミング(耳カット)し、鉄道車両用断熱材(1.05m
×2.1m×厚み50mm)を得た。
【0066】断熱材の重量は1平方メートル当たり65
1gであった(嵩密度13.0kg/m3 )。また、成
形体全体に対する樹脂含有量を算出したところ、約12
重量%であった。
【0067】実施例1と同様にして、成形体の熱伝導率
を測定したところ、0.044kcal/m・h・℃
(平均温度70℃条件)であった。また、鉄道車両用材
料燃焼試験では不燃材料に該当し、鉄道車両部品の振動
試験法では異状のないことが確認され、厚み復元率は略
100%であった。また、振動耐久性の指標となる厚み
方向の引張り強度を測定したところ、12.0g/cm
2 であった。さらに、元の厚みの1/2に圧縮したとき
の反発力は1.5g/cm2 であり、反発性が高いとと
もに、ガラス繊維のようなチクチクする痛感がなく、実
際の車両の施工においても好適に用いることができた。
【0068】以下に、前記実施例及び比較例の結果を表
に示す。なお、振動耐久性、安全性、耐熱性及び施工性
を、優(○)、良(△)、不可(×)の基準で評価し
た。
【0069】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は積層体の一例を示す概略斜視図である。
【図2】図2は折畳み機構を説明するための概略側面図
である。
【図3】図3は結合剤の噴霧装置を示す概略斜視図であ
る。
【図4】図4は図3に示す装置の概略平面図である。
【符号の説明】 1…綿状繊維シート 7…積層体 12…レール 13…滑車 15…ノズル 18…歯車 19…チェーン

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 捲縮繊維を含み、かつ繊維全体の50〜
    100重量%が炭素質繊維で構成された綿状繊維シート
    が、厚み方向に複数層に積層された積層体と、この積層
    体の少なくとも各層間を接合するための結合剤とで構成
    され、嵩密度が5〜20kg/m3 であり、厚み方向の
    引張り強度が5〜20g/cm2 である鉄道車両用断熱
    材。
  2. 【請求項2】 綿状繊維シートが、繊維長0.1〜10
    cmの捲縮された炭素質繊維50〜100重量%と、他
    の繊維0〜50重量%とで構成されている請求項1記載
    の鉄道車両用断熱材。
  3. 【請求項3】 捲縮された炭素質繊維がピッチ系炭素繊
    維である請求項1記載の鉄道車両用断熱材。
  4. 【請求項4】 綿状繊維シートが、炭化された炭素繊維
    を50重量%以上含む請求項1記載の鉄道車両用断熱
    材。
  5. 【請求項5】 厚み0.1〜20mmの綿状繊維シート
    が5層以上折畳まれている請求項1記載の鉄道車両用断
    熱材。
  6. 【請求項6】 結合剤が熱硬化性樹脂で構成され、熱硬
    化性樹脂の含有量が、断熱材全体に対して5〜20重量
    %である請求項1の鉄道車両用断熱材。
  7. 【請求項7】 嵩密度が8〜18kg/m3 である請求
    項1記載の鉄道車両用断熱材。
  8. 【請求項8】 繊維長0.5〜8cmの捲縮されたピッ
    チ系炭素質繊維を全繊維中に50〜100重量%含む厚
    み0.5〜15mmの綿状繊維シートが、厚み方向に7
    〜50層に積層された積層体と、この積層体の少なくと
    も各層を接合し、かつ積層体に対する割合が7〜18重
    量%の熱硬化性樹脂とで構成され、厚み方向の引張り強
    度が8〜17g/cm2 である鉄道車両用断熱材。
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