JP3856848B2 - 鉄道車両用断熱材 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、軽量で、不燃又は難燃性を備えた鉄道車両用断熱材に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車両には、断熱材として、ガラス繊維を用いた吸音断熱材が広く使用されている。しかし、ガラス繊維の比重が大きいため、同じ断熱性能を確保するためには、多量のガラス繊維を使用する必要がある。そのため、断熱材の重量が大きく、軽量化が困難である。また、ガラス繊維を断熱材の表面に露呈させておくと、チクチクする痛感を与え現場での施工性を低下させるので、アルミニウム箔などで断熱材の表面および端面を覆う必要がある。さらに、万一、火災が発生するとガラス繊維が溶融するため、断熱材としての機能を維持できなくなる。
【0003】
このような課題を解決するため、ガラス繊維に代えて、炭素質繊維を使用することが提案されている。例えば、特公平3−13349号公報および特公平3−17946号公報には、コイル状又は伸ばし得る非線状の非グラファイト質炭素繊維のバッティング(打ち延べ綿状物)により構成された防音断熱材が開示されている。この防音断熱材は、バッティングで構成されているため、未だ圧縮反発力や厚み方向の復元性が十分でないだけでなく、厚み方向の引張り強度(剥離強度)が小さい。そのため、断熱材を鉄道車両の被断熱部位に介在又は介装させると、振動や外力などにより断熱材の位置ずれや偏り、著しい場合には脱落が生じ、高い断熱性能を維持できなくなる。また、前記コイル状又は非線状の非グラファイト質の炭素繊維は、ポリアクリロニトリル繊維を、一旦、布に編んで加熱して熱セットして、再度、布を編みほぐすことにより調製する必要がある。
【0004】
特開平3−279454号公報には、層間剥離の虞が少なく、面方向の圧縮性および可撓性を高めるため、炭素繊維などの無機質短繊維を集積したシート状断熱吸音素材を、水平面方向に対して上下方向(厚み方向)にジグザグに折畳み、結合剤により繊維同士を結合し、全体として一体に形成された断熱吸音材が開示されている。しかし、このような断熱吸音材を断熱材として利用すると、断熱材の配設状態において、熱の流れ方向に対してシート状断熱吸音素材の折畳み方向及び繊維の配向方向が平行になるため、熱伝導率が2〜3倍大きくなり断熱性能が低下する。また、形状を保持するため、多くの結合剤を必要とするとともに、シート状断熱吸音素材を断熱材の厚み方向に折り畳んでいる。そのため、薄くかつ低密度で軽量な断熱材を得ることが困難であり、軽量化が要望される鉄道車両の断熱材としての利用が損われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、復元性、圧縮反発力、厚み方向の引張り強度が高く、振動耐久性に優れるとともに、低密度で軽量な鉄道車両用断熱材を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、不燃又は難燃性で、施工性、耐熱性に優れるとともに、断熱性の高い鉄道車両用断熱材を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、軽量性が要求される鉄道車両の吸音断熱材として有用な断熱材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記目的を達成するため鋭意検討の結果、捲縮繊維を含み、かつ繊維全体の特定量が炭素質繊維で構成された綿状繊維シートを揺動させながら上下方向に積層し、熱硬化性樹脂で一体化すると、復元性、圧縮反発力、厚み方向の引張り強度および振動耐久性が高く、低密度で軽量な積層体が得られること、前記積層体を断熱部位に配設すると、伝熱方向に対して略直交する方向(遮蔽方向)に綿状繊維シートが配向し、断熱性を高めることができることを見いだし本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明の鉄道車両用断熱材は、捲縮繊維50〜100重量%を含み、かつ繊維全体の50〜100重量%が炭素質繊維で構成された嵩密度0.1〜15kg/m 綿状繊維シートが厚み方向に複数層に積層された積層体と、この積層体の少なくとも各層間を接合するための結合剤とで構成されており、嵩密度が5〜20kg/mであり、厚み方向の引張り強度が5〜20g/cmである。前記綿状繊維シートは、捲縮された炭素質繊維単独で構成してもよく、他の繊維を併用してもよい。綿状繊維シートは、繊維長0.1〜10cmの捲縮された炭素質繊維50〜100重量%と、他の繊維0〜50重量%とで構成してもよい。綿状繊維シートは、炭化された炭素繊維を50重量%以上含む場合が多い。綿状繊維シートの厚みは0.1〜20mm程度、折畳み数は5層以上である場合が多い。また、結合剤としては熱硬化性樹脂を使用できる。
【0010】
前記のような特性を有する鉄道車両用断熱材は、(1)前記綿状繊維シートを横方向に折畳みながら複数層に積層し、得られた積層体に結合剤を含浸させ、成形する方法、(2)前記綿状繊維シートの両面に結合剤を噴霧しつつ、前記綿状繊維シートを横方向に折畳みながら複数層に積層し、得られた積層体を成形する方法により製造することができる。
【0011】
以下に、本発明をより詳細に説明する。
【0012】
前記綿状繊維シートは、復元性、圧縮反発力、厚み方向の引張り強度(剥離強度)および振動耐久性を高めるとともに、低密度で軽量な断熱材を得るため、少なくとも捲縮繊維を含んでいる。捲縮繊維は、炭素質繊維であってもよく、非炭素質繊維であってもよい。このような捲縮繊維を含むと、綿状繊維シートは三次元網目構造となり、低嵩密度となる。なお、捲縮繊維は慣用の方法で製造でき、炭素質の捲縮繊維は、例えば、渦流法(特公昭58−057374号公報など)などを利用して紡糸することにより製造できる。
【0013】
綿状繊維シートは、繊維全体の50〜100重量%が炭素質繊維で構成されている。炭素質繊維は、捲縮繊維であってもよく、直線状の非捲縮繊維であってもよい。炭素質繊維には、例えば、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、レーヨンなどの高分子、石炭ピッチ、石油ピッチなどのピッチを原料とし、炭化又は黒鉛化された炭素繊維が含まれる。なお、炭化とは、特に言及しない限り、例えば450〜1500℃程度の温度で焼成処理することを言う。また、「黒鉛化」とは、特に言及しない限り、例えば、1500〜3000℃程度の温度で焼成処理することを言い、結晶構造が黒鉛構造でないときも黒鉛化の概念に含める。
【0014】
炭素質繊維は、黒鉛化繊維(例えば、1500〜3000℃程度で焼成された炭素繊維)であってもよいが、折畳み加工性などの点から炭化繊維であるのが好ましい。炭化繊維は、焼成温度450〜1500℃(例えば、500〜1300℃)、好ましくは600〜1200℃、さらに好ましくは700〜900℃で焼成された炭素繊維であるのが好ましい。焼成温度が450℃未満では、ポリアクリロニトリル系炭素繊維の場合、火災などによる加熱時に有毒なHCNガス及びNH3 ガスが発生する虞があるとともに、他の繊維(例えば、ピッチ系炭素繊維)においても綿状繊維シートへの加工性などの繊維加工性が低下し易い。一方、1500℃を越えると、コスト高になると共に、焼成収率が低下するため経済的でないばかりか、加工性においても繊維が脆くなり低下し易い。なお、ピッチ系炭素繊維を用いると、耐炎化したポリアクリロニトリル繊維と異なり、加熱によりHCNガス及びNH3 ガスが生成することがなく、安全性を高めることができる。
【0015】
前記綿状繊維シートは、捲縮繊維を含み、かつ繊維全体の特定量が炭素質繊維で構成されていればよい。捲縮繊維が炭素質繊維である場合、前記綿状繊維シートは、前記捲縮された炭素質繊維単独で構成してもよいが、他の繊維(捲縮された他の繊維、非捲縮の炭素質繊維又は非捲縮の非炭素質繊維)と組合せて使用することもできる。他の繊維としては、不燃性又は難燃性の種々の繊維、例えば、無機繊維(例えば、ガラス繊維;アルミニウムシリケート質繊維、アルミナ質繊維、炭化ケイ素繊維などのセラミックス繊維;アスベスト、ロックウールなどの鉱物系繊維;ステンレスなどの金属繊維;前記炭素繊維と同様な材料を原料とした非捲縮炭素質繊維など)、有機繊維(例えば、ビスコースレーヨン、キュプラなどのレーヨン繊維、アセテート繊維、熱硬化性樹脂の繊維(例えば、ノボロイド繊維などのフェノール樹脂繊維)、ナイロン繊維、難燃性ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール系合成繊維(ビニロン繊維)、ポリエーテルスルホン繊維、芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維など)などの高分子繊維など)が挙げられる。これらの繊維は少なくとも一種使用できる。
【0016】
断熱材の嵩密度を小さくするため、好ましい不燃性又は難燃性繊維には、有機繊維が含まれる。なお、嵩密度の増加を抑制するため、セラミックス繊維、鉱物系繊維、金属繊維などの無機繊維を用いる場合、無機繊維の使用量は少量である場合が多い。前記他の繊維は捲縮繊維であってもよく直線状の非捲縮繊維であってもよい。
【0017】
捲縮繊維における捲縮度は、断熱材の復元性、反発性、振動耐久性などを損わない範囲であればよく、例えば、10mm当り0.5〜5回程度である。捲縮繊維および非捲縮繊維の繊維径は、例えば、4〜30μm程度であり、7〜20μm程度である場合が多い。
【0018】
捲縮繊維および非捲縮繊維は短繊維として使用される場合が多く、その繊維長は、非伸長状態で、例えば、0.1〜10cm、好ましくは0.5〜8cm程度であり、繊維長1〜5cm程度である場合が多い。繊維長が0.1cm未満では綿状繊維シートの三次元網目構造を維持できず、低密度の断熱材を得ることが困難であり、繊維長が10cmを越えると三次元網目構造が不足し、嵩を高くすることが困難である。
【0019】
捲縮繊維と非捲縮繊維との割合は、断熱材の特性を低下させない限り、広い範囲で選択でき、例えば、捲縮繊維50〜100重量%(好ましくは60〜100重量%)および非捲縮繊維0〜50重量%(好ましくは0〜40重量%)程度である。なお、捲縮繊維の含有量が50重量%未満では、三次元網目構造の繊維シートを形成するのが困難である場合が多いだけでなく、折り畳みによる嵩高さが低下し、断熱材の反発性、厚み方向の引張り強度、振動耐久性が低下する場合が多い。
【0020】
また、炭素質繊維と非炭素質繊維との割合も、断熱材特性を低下させない限り広い範囲で選択でき、例えば、炭素質繊維50〜100重量(好ましくは60〜100重量%)および非炭素質繊維0〜50重量%(好しくは0〜40重量%)程度である。炭素質繊維の含有量が50重量%未満では、ガラス繊維や有機繊維が仮に溶融又は消失した場合、断熱材としての形状を保持するのが困難となる。
【0021】
このような混紡繊維で綿状繊維シートを構成すると、ガラス繊維や有機繊維が仮に溶融又は消失したとしても、主成分として含まれている炭素質繊維が形状を維持しつつ残存するため、断熱材の形状を保持できる。なお、断熱材の嵩密度を低減し、かつ圧縮反発性、振動耐久性、形状保持性などを高めるため、好ましい綿状繊維シートにおいて、前記炭素質繊維は、捲縮された炭素質繊維で構成されている。
【0022】
綿状繊維シートの厚みは、折畳み回数、成形断熱材の厚みなどに応じて選択でき、例えば、0.1〜20mm、好ましくは0.5〜15mm、さらに好ましくは1〜10mm程度である。また、綿状繊維シートの嵩密度は、断熱材の復元性、圧縮反発性などを損わない範囲で選択でき、例えば、0.1〜15kg/m3 、好ましくは0.5〜10kg/m3 程度であり、嵩密度1〜7kg/m3 程度である場合が多い。
【0023】
前記綿状繊維シートは、折畳みにより断熱材の厚み方向(面方向に対して水平方向)に複数層に積層され、積層体を形成する。すなわち、綿状繊維シートを上下方向に折重ねて積層することにより、積層体が形成されている。綿状繊維シートの折畳み数(積層数)は、断熱材の断熱性、復元性、反発性などに応じて選択でき、例えば、5層以上、好ましくは7〜100層、より好ましくは7〜70層程度であり、10〜50層程度である場合が多い。綿状繊維シートの積層数が5層未満であると、施工時の反発性、振動耐久性などが低下し、被断熱部位との密着性が低下し、隙間が生じる場合がある。なお、前記折畳みにより繊維が積層面に対して直交する方向に配向し、加熱硬化後も配向方向が維持されるためか、施工時の圧縮反発性、厚み方向の引張り強度および振動耐久性の高い断熱材が得られる。
【0024】
前記積層体の少なくとも各層間(すなわち、前記綿状繊維シートの折重ね面間)は、結合剤により接合されている。結合剤としては、無機結合剤又は無機接着剤を用いることもできるが、有機結合剤(有機接着剤)を用いる場合が多い。有機結合剤としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミドなどの熱硬化性樹脂;ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系接着剤、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタールなどの熱可塑性樹脂;ブチルゴム、シリコーンゴムなどのゴム系接着剤が例示される。上記樹脂は一種または二種以上使用される。
【0025】
好ましい有機結合剤には、耐熱性の高い熱硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂などが含まれる。熱硬化性樹脂を使用する場合、樹脂の種類に応じた硬化剤が使用できる。
【0026】
前記積層体において、少なくとも各層間が前記結合剤で接合されていればよく、各層の表面近傍の結合剤又は各層全体に含浸した結合剤により、各層が接合している場合が多い。積層体の各層間が、前記綿状繊維シートに含浸した結合剤により接合していてもよい。結合剤の含有量は、断熱材の一体性、厚み方向の引張り強度を損わない範囲で、断熱材の嵩密度などに応じて適当に選択でき、例えば、断熱材全体に対して5〜20重量%、好ましくは7〜18重量%、さらに好ましくは8〜15重量%程度である。なお、積層体において隣接する上下方向の各層は、加圧加熱成形などの所定形状への成形過程で圧縮され、密着している場合が多い。
【0027】
このような積層断熱材は、低密度であるとともに、繊維シートが厚み方向に積層されているにも拘らず、厚み方向の引張り強度が高いという特色がある。例えば、断熱材の嵩密度は、5〜20kg/m3 、好ましくは8〜18kg/m3 、さらに好ましくは10〜16kg/m3 程度であり、8〜20kg/m3 程度である場合が多い。また、断熱材の厚み方向の引張り強度は、5〜20g/cm2 、好ましくは8〜17g/cm2 、さらに好ましくは10〜15g/cm2 程度である。低密度でありながら、このような引張り強度を有するため、断熱材の一体性が高い。そのため、断熱材を鉄道車両の被断熱部位に介在させると、前記高い復元性及び圧縮反発性と相まって、被断熱部位からの位置ずれや脱落を防止できる。なお、厚み方向の引張り強度は、断熱材の厚み方向の両側面(繊維シート面)を接着剤で被着部材と接合し、被着部材により断熱材に引張り方向の外力を作用させたとき、断熱材が破壊する強度(引剥がし強度)を意味する。
【0028】
このような断熱材は、低嵩密度であるため、軽量であるとともに、復元性およびクッション性による圧縮反発性、厚み方向の引張り強度が高く、被断熱部位に介在又は介装すると、被断熱部位に密着する。そのため、被断熱部位に断熱材を介在又は介装するだけで被断熱部位に密着させることができ、現場での施工性を高めることができるとともに、外部から振動などが作用しても被断熱部位との高い密着性を維持でき、位置ずれや偏りを防止でき、振動耐久性が高い。また、断熱材を被断熱部位に配設すると、厚み方向に前記綿状繊維シートが積層されているため、伝熱方向に対して各繊維シートが直交する方向に延びている。そのため、熱の遮蔽効果及び断熱性が高い。さらに、不燃性又は難燃性、耐熱性が高く、有毒ガスの発生も抑制でき、安全性も高い。
【0029】
本発明の断熱材は、種々の方法、例えば、捲縮繊維を含む前記綿状繊維シートを横方向に折畳みながら複数層に積層する積層工程、得られた積層体を結合剤により一体に成形する工程を経ることにより製造できる。
【0030】
より具体的には、前記断熱材の製造方法には、(1)捲縮繊維を含む綿状繊維シートを横方向に折畳みながら複数層に積層する積層工程、得られた積層体に結合剤を含浸させる含浸工程、結合剤を含浸した積層体を成形する工程を含む方法が含まれる。
【0031】
なお、前記綿状繊維シートは、捲縮された炭素質繊維などで構成された繊維を開繊機などの開繊手段によりにより開繊し、カード機などのカーディング手段によりシート状ウェブを形成することにより調製できる。シート状ウェブにおいて繊維の方向性は特に制限されない。例えば、シート状ウェブは、前記カード機に限らず、繊維を空気流で飛ばして、回転する有孔円筒上に析出させることにより調製された、繊維の方向性がないランダムウェブであってもよい。
【0032】
前記積層工程では、綿状繊維シートを上方から下方へ、載置台やコンベアなどへ連続的に供給する過程で、厚み方向(横方向)に往復動させながら、折畳むことにより前記繊維シートを連続的に積層できる。なお、コンベア上で折畳む場合、コンベアの速度は、繊維シートの供給速度よりも低速度である。
【0033】
積層体は、そのまま含浸工程に供してもよいが、通常、カッターにより所定形状に切断し、結合剤を含む含浸剤を含浸する場合が多い。前記結合剤を含む含浸剤は溶液又は分散液として使用される場合が多く、このような含浸剤に前記積層体を浸漬することにより、熱硬化性樹脂などの結合剤を含浸させることができる。含浸剤は、前記結合剤を、水、有機溶媒などに溶解又は分散することにより調製できる。含浸剤中の結合剤の含有量は、例えば、5〜75重量%、好ましくは10〜60重量%程度である。なお、含浸量を調整するため、通常、含浸した積層体を絞りローラなどの絞り手段に供し、過剰の含浸剤を除去する場合が多い。
【0034】
含浸工程に供された積層体は、通常、乾燥などにより含浸剤中の溶媒を除去した後、成形工程に供される。この成形工程において、積層体は、通常、加熱加圧成形され、断熱材が得られる。また、上記結合剤として熱硬化性樹脂を用いる場合には、成形工程での加熱により結合剤が硬化し、積層体が一体化する。このようにして得られた断熱材は、必要に応じて、カッターなどにより所定の大きさに切断することができる。
【0035】
前記(1)の方法において、結合剤は、浸漬などに限らず、塗布、噴霧などにより含浸させてもよい。また、予め結合剤を繊維シートに含浸させて積層してもよいが、繊維シートの機械的強度が小さいため、積層過程で繊維シートが破断する虞がある。
【0036】
本発明の他の方法には、(2)前記綿状繊維シートの両面に結合剤を噴霧しつつ、前記綿状繊維シートを横方向に折畳みながら複数層に積層する積層工程、得られた積層体を成形する成形工程を経て断熱材を製造する方法も含まれる。このような方法では、繊維シートに結合剤を均一に付着できるとともに繊維シートが破断することもない。また、少量の結合剤により各繊維シートを接合でき、断熱材の密度を低減できる。
【0037】
図1は綿状繊維シートにより形成された積層体の一例を示す概略斜視図、図2は折畳み機構を説明するための概略側面図、図3は結合剤の噴霧装置を示す概略斜視図、図4は図3に示す装置の概略平面図である。
【0038】
カード機などのカーディング手段より紡出された繊維シート1はコンベア2および一対のベルト3により連続的に搬送され、ベルト3aの上部から垂直型クロスラッパー4内に導入される。クロスラッパー4では、一対のベルト3により挾持されながら繊維シート1が上部から下方へ搬送される。また、繊維シート1の厚み方向に揺動可能なスイング機構により前記繊維シートは横方向に揺動しながら、クロスラッパー4の下部から、昇降可能な載置台又は前進可能なコンベア6上に供給される。繊維シート1は、コンベア6上で複数層に折畳まれ、積層体7が形成される。前記スイング機構は、前記繊維シート1の厚み方向に伸びで配設されたレール5aと、このレール上を左右に走行するローラ5bを備えている。なお、ローラ5bの走行に伴なって、上部のベルト3aとレール5aとの間の距離が変動し、繊維シート1に外力が作用する虞がある。そのため、上記装置では、ローラ5bの走行に伴なって上部のベルト3aの傾斜角度を変化させることにより、前記距離を一定に保ち、前記繊維シート1に外力が作用するのを抑制している。
【0039】
上記積層工程において、繊維シート1に結合剤を適用しながら折畳むため、前記スイング機構の下部には、前記繊維シート1の両面側において、それぞれ、繊維シート1の幅方向に往復動可能な噴霧機構が取付けられている。
【0040】
図3及び図4に示されるように、この噴霧機構は、スイング機構の下部のうち、繊維シート1の幅よりも外方側の両側部に取付けられた保持板11と、この保持板11間に略平行に取付けられた一対のレール12と、各レール12に沿って移動可能な滑車13と、これらの滑車13が取付けられる取付け板14と、この取付け板14に取付けられた中空アーム15aと、このアーム15aの先端部に取付けられたノズル15とを備えている。なお、前記レール12からの滑車13の脱落を防止するとともに、取付け板14を円滑に移動させるため、各レール12にはそれぞれ2つの滑車13が配されているとともに、各滑車13にはレール12の幅に対応して形成された環状凹部が形成されている。また、前記アーム15aには、熱硬化性樹脂などの結合剤の溶液を供給するための伸縮自在なチューブ又はホース16が接続されている。前記アーム15aの先端部は折曲又は湾曲し、ノズル15は、繊維シート1の面の方向に向いている。また、ノズル15は、回動可能なヒンジ機構15bにより、噴霧角度が可変である。
【0041】
前記保持板11のプレート17の両側部には、一対の歯車18が回転可能に取付けられているとともに、これらの歯車18間にはチェーン19が掛渡されている。一方の歯車18は、プーリ間に掛渡されたベルト20を介して、モータ21により回転駆動される。
【0042】
そして、前記ノズル15を往復動させるため、前記取付け板14は前記チェーン19に連結されている。また、プレート17又は保持板11のうち前記繊維シート1の幅に対応する部位には、前記滑車13の移動を規制するとともに、滑車の到達を検出するためのストッパ22が取付けられている。ストッパ22による検出信号は、モータ21の回転方向を反転させるための反転信号として利用できる。
【0043】
このような機構を採用すると、繊維シート1の両面に、少量の結合剤(樹脂)を均一に付着させることができる。すなわち、モータ21の回転駆動によるチェーン19の移動に伴なって、レール12上を滑車13が円滑に移動するとともに、繊維シート1の幅方向に移動するノズル15により、結合剤の溶液を均一に噴霧又は散布できる。また、一方の端部に移動した滑車13はストッパ22により検出され、ストッパ22による反転信号に基づいて、モータ21はチェーン19を逆方向に移動させる。従って、繊維シート1の幅に対応するストッパ22の間で、滑車13及びノズル15を往復動させながら、繊維シート1の両面に均一に結合剤の溶液を噴霧又は散布できる。しかも、繊維シート1の表面に均一に適用できるので、結合剤の溶液の使用量を低減できるだけでなく、得られた積層体7を少量の結合剤で一体化でき、低嵩密度の積層断熱材を得る上で有用である。
【0044】
なお、繊維シートの少なくとも一方の面側において、ノズルは1つに限らず複数用いてもよい。また、ノズルの往復動機構は、前記機構に限らず種々の機構が採用でき、例えば、繊維シートの幅に対応する領域に形成された、環状であってもよい摺動溝と、この摺動溝に摺動自在に配され、かつノズルが取付けられた滑子と、この滑子を往復動させるための駆動機構(例えばクランク機構など)とで構成してもよく、回転可能な円筒状カムと、このカムの周面に形成されたループを形成する螺旋状溝と、この螺旋状溝に摺動自在に配され、かつノズルが取付けられた滑子とで構成してもよい。
【0045】
なお、固定ノズルにより繊維シートの幅方向に均一に樹脂液を噴霧するためには、通常、複数のノズルにより多量の樹脂液を噴霧する必要があるため、断熱材の嵩密度を低減させるには限度がある。これに対して、繊維シートの幅方向にノズルを往復動させると、少量の樹脂液を均一に噴霧でき、断熱材の嵩密度が増大するの抑制できる。
【0046】
前記のようにして得られた積層体は、前記(1)の方法と同様に、乾燥、硬化や成形工程に供される場合が多い。また、必要であれば、得られた積層体又は断熱材の折曲げ端部を積層方向に切断加工し、鉄道車両用断熱材を得てもよい。
【0047】
本発明の鉄道車両用断熱材は、軽量でかつ不燃性、難燃性、耐熱性、安全性、施工時の反発性、振動耐久性、引張り強度および現場施工性が高い。そのため、例えば、電車、汽車、新幹線などの種々の鉄道車両において、側壁、床、屋根などの断熱材として利用できるだけでなく、吸音断熱材、防音材としても好適に利用できる。
【0048】
【発明の効果】
本発明の断熱材は、捲縮繊維を含み、特定量の繊維が炭素質繊維で構成されているとともに、特定の方向への積層された積層構造を有するので、低密度で軽量であるとともに、復元性、反発力、厚み方向の引張り強度および振動耐久性が高い。また、炭素質繊維を含むので不燃又は難燃性、耐熱性および安全性が高く、反発復元性により被断熱部位に介在させるだけで被断熱部位に密着させることができるとともに、ガラス繊維のようなチクチクする痛感がないため、施工性、断熱性も高い。そのため、軽量性が要求される鉄道車両の吸音断熱材として有用である。
【0049】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0050】
実施例1
渦流法により紡糸された嵩高の捲縮されたピッチ系汎用炭素繊維((株)ドナック製、ドナカーボ、平均繊維径13μm、平均繊維長75mm)を開繊機およびメタリックカード機(池上機械(株)製、60−MDK)に順次供給し、平均7mm厚の綿状繊維シートを得た。この繊維シートの嵩密度は5.7kg/m3 であった。噴霧成形機((株)岩本製作所製、垂直型クロスラッパー)を用い、三次元網目構造を有する繊維シートの両側に配された1つずつのノズルを綾振りさせながら、少量のフェノール樹脂液をウェブの両面へ均一に噴霧しながら、コンベアを0.6m/分の速度で水平方向に前進させながら、繊維シートを幅1.2mで折り畳み、20層の積層連続体を得た。なお、樹脂液の噴霧に際しては、噴霧装置(スプレイングシステムスジャパン製、型番TG0.6、1流体フルコーンスプレーチップ)を用い、スプレー圧1.5kg/cm2 (ゲージ圧)で行なった。また、樹脂液としては、水溶性のフェノール樹脂(住友デュレズ(株)製、スミライトレジン)20重量部と水80重量部との混合液を用いた。
【0051】
スプレー噴霧により樹脂を付着させ、折り畳まれた積層連続体を、ロータリーカッター(サプリナ社製)を用いて、長さ2.25mとなるように切断し、1平方メートル当たりの重量973gの樹脂付着積層体(1.2m×2.25m)を得た。
【0052】
樹脂付着積層体を、複数の棚段構造で、かつ厚み調整機能を有する熱風循環式硬化炉(キュアオーブン)に挿入し、厚み調整板の間隔50mm、温度230℃で30分間加熱硬化することにより、鉄道車両用断熱材(1.2m×2.25m×厚み50mm)を得た。鉄道車両用断熱材の1平方メートル当たりの重量は605g(嵩密度12.1kg/m3 )であり、樹脂の含有量を計算したところ、断熱材全体の約10重量%であった。
【0053】
断熱性能を評価するため、平板比較法(JIS A1412)により断熱材の熱伝導率を測定したところ、0.046kcal/m・h・℃(平均温度70℃条件)、0.039kcal/m・h・℃(平均温度40℃条件)および0.036kcal/m・h・℃(平均温度25℃条件)であった。さらに、鉄道車両用材料燃焼試験(車両試験 65−599)を供したところ、不燃材料に該当すること、鉄道車両部品の振動試験法(JIS E4031)に供したところ、異状のないことが確認された。また、振動耐久性の指標となる厚み方向の引張り強度を測定したところ、11.4g/cm2 であった。さらに、厚み復元率を測定したところ、元の厚みに復元し、厚み復元率=略100%であり、元の厚みの1/2に圧縮したときの断熱材の反発力を測定したところ、1.2g/cm2 と反発性が高く、かつガラス繊維のようなチクチクする痛感がなく、実際の車両の施工においても好適に用いることができた。
【0054】
実施例2
実施例1のピッチ系汎用炭素繊維を、実施例1と同様にして、開繊機およびメタリックカード機に供給し、平均7mm厚の綿状繊維シート(嵩密度5.7kg/m3 )を得た。紡出されたウェブをウェブ成形機(池上機械(株)製、水平型クロスレイヤー)に供給し、0.6m/分の速度で前進するコンベア上で幅1.2mにて折り畳み、20層の積層連続体を得た。
【0055】
折り畳まれた積層連続体を、ロータリーカッター(サプリナ社製)を用いて長さ2.25mとなるように切断し、積層体(1.2m×2.25m、1平方メートル当たりの重量595g)を得た。
【0056】
積層体の両面を、目開きのガラスクロスで挟み込み、含浸漕の中に浸漬し、樹脂液を積層体に浸透させた。樹脂液としては水溶性フェノール樹脂(荒川化学製、タマノール)10重量部とメタノール90重量部との混合液を用いた。前記積層体の過剰な樹脂液を、絞りロールを用いて絞り出し、ガラスクロスを取外した後、室温にて自然乾燥することにより、樹脂含浸積層体(1.2m×2.25m、1平方メートル当たりの重量1733g)を得た。
【0057】
樹脂含浸積層体を、実施例1で用いた熱風循環式硬化炉(キュアオーブン)に挿入し、厚み調整板の間隔50mm、温度170℃で60分加熱硬化した。加熱硬化後の成形断熱材の4辺を前記ロータリーカッターでトリミング(耳カット)し、鉄道車両用断熱材(1.05m×2.1m×厚み50mm)を得た。断熱材の重量は1平方メートル当たり665gであり(嵩密度13.3kg/m3 )、断熱材全体に対する樹脂含有量は約12重量%であった。
【0058】
実施例1と同様にして、成形体の熱伝導率を測定したところ、0.044kcal/m・h・℃(平均温度70℃条件)であった。また、鉄道車両用材料燃焼試験では不燃材料に該当し、鉄道車両部品の振動試験法では異状のないことが確認され、厚み復元率は略100%であった。また、振動耐久性の指標となる厚み方向の引張り強度を測定したところ、12.3g/cm2 であった。さらに、元の厚みの1/2に圧縮したときの反発力は1.6g/cm2 であり、反発性が高いとともに、ガラス繊維のようなチクチクする痛感がなく、実際の車両の施工においても好適に用いることができた。
【0059】
比較例1
ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維(耐炎化繊維)70重量部とポリエステル繊維30重量部とを混紡して作製した断熱材(厚み50mm、嵩密度14kg/m3 )の特性を測定したところ、熱伝導率=0.045kcal/m・h・℃(70℃)、厚み復元率=70%、厚み方向の引張り強度=7.4g/cm2 であった。1/2に圧縮したときの反発力=0.2g/cm2 であった。また上記断熱材を炎に晒したところ、ポリエステル繊維が溶融するとともに、HCNガスおよびNH3 ガスが生成した。
【0060】
比較例2
ガラス繊維を使用して作製したグラスウール断熱材(厚み50mm、嵩密度20kg/m3 )の特性を測定したところ、熱伝導率=0.039kcal/m・h・℃(平均温度40℃)、1/2に圧縮したときの反発力=1.6g/cm2 であった。上記断熱材は、施工時に、チクチクする痛感があり、炎に晒したところ溶融した。また、実施例1の断熱材に比べて、同一の断熱性能を得ようとすると、約1.7倍の重量を必要とした。
【0061】
実施例3
実施例1で用いたピッチ系汎用炭素繊維70重量部と難燃性のポリエステル綿30重量部とを、それぞれ開繊機に供給した後混紡し、メタリックカード機に供給して薄い綿状繊維シートを得た。この繊維シートを、実施例1の噴霧成形機に供給し、繊維シートの両面にそれぞれ樹脂液を噴霧しながら、0.6m/分の速度で移動するコンベア上で幅1.2mにて折り畳み、20層の積層連続体を得た。なお、樹脂液としては水溶性フェノール樹脂(群栄化学製、レジトップ)50重量部と水50重量部との混合液を用い、スプレー圧1.0kg/cm2 (ゲージ圧)で噴霧した。
【0062】
得られた積層連続体を、実施例1と同様にしてロータリーカッターを用いて切断し、1平方メートル当たりの重量が923gの樹脂付着積層体(1.2m×2.25m)を得た。
【0063】
樹脂付着積層体を、実施例1で用いた熱風循環式硬化炉(キュアオーブン)に挿入し、厚み調整板の間隔50mm、温度170℃で30分加熱硬化した。加熱硬化後の成形断熱材の4辺を前記ロータリーカッターでトリミング(耳カット)し、鉄道車両用断熱材(1.05m×2.1m×厚み50mm)を得た。断熱材の重量は1平方メートル当たり695gであり(嵩密度13.9kg/m3 )、断熱材全体に対する樹脂含有量は、約14重量%であった。
【0064】
実施例1と同様にして、成形体の熱伝導率を測定したところ、0.043kcal/m・h・℃(平均温度70℃条件)であった。また、鉄道車両用材料燃焼試験では不燃材料に該当し、鉄道車両部品の振動試験法では異状のないことが確認され、厚み復元率は略100%であった。また、振動耐久性の指標となる厚み方向の引張り強度を測定したところ、11.7g/cm2 であった。さらに、元の厚みの1/2に圧縮したときの反発力は1.8g/cm2 であり、反発性が高いとともに、ガラス繊維のようなチクチクする痛感がなく、実際の車両の施工においても好適に用いることができた。
【0065】
実施例4
実施例1で用いたピッチ系汎用炭素繊維70重量部とレーヨン綿30重量部とを用いる以外、実施例3と同様にして、樹脂付着積層体を加熱硬化させて成形断熱材を得た。成形断熱材の4辺を前記ロータリーカッターでトリミング(耳カット)し、鉄道車両用断熱材(1.05m×2.1m×厚み50mm)を得た。
【0066】
断熱材の重量は1平方メートル当たり651gであった(嵩密度13.0kg/m3 )。また、成形体全体に対する樹脂含有量を算出したところ、約12重量%であった。
【0067】
実施例1と同様にして、成形体の熱伝導率を測定したところ、0.044kcal/m・h・℃(平均温度70℃条件)であった。また、鉄道車両用材料燃焼試験では不燃材料に該当し、鉄道車両部品の振動試験法では異状のないことが確認され、厚み復元率は略100%であった。また、振動耐久性の指標となる厚み方向の引張り強度を測定したところ、12.0g/cm2 であった。さらに、元の厚みの1/2に圧縮したときの反発力は1.5g/cm2 であり、反発性が高いとともに、ガラス繊維のようなチクチクする痛感がなく、実際の車両の施工においても好適に用いることができた。
【0068】
以下に、前記実施例及び比較例の結果を表に示す。なお、振動耐久性、安全性、耐熱性及び施工性を、優(○)、良(△)、不可(×)の基準で評価した。
【0069】
【表1】
Figure 0003856848

【図面の簡単な説明】
【図1】図1は積層体の一例を示す概略斜視図である。
【図2】図2は折畳み機構を説明するための概略側面図である。
【図3】図3は結合剤の噴霧装置を示す概略斜視図である。
【図4】図4は図3に示す装置の概略平面図である。
【符号の説明】
1…綿状繊維シート
7…積層体
12…レール
13…滑車
15…ノズル
18…歯車
19…チェーン

Claims (8)

  1. 捲縮繊維50〜100重量%を含み、かつ繊維全体の50〜100重量%が炭素質繊維で構成された嵩密度0.1〜15kg/m 綿状繊維シートが、厚み方向に複数層に積層された積層体と、この積層体の少なくとも各層間を接合するための結合剤とで構成され、嵩密度が5〜20kg/mであり、厚み方向の引張り強度が5〜20g/cmである鉄道車両用断熱材。
  2. 綿状繊維シートが、繊維長0.1〜10cmの捲縮された炭素質繊維50〜100重量%と、他の繊維0〜50重量%とで構成されている請求項1記載の鉄道車両用断熱材。
  3. 捲縮された炭素質繊維がピッチ系炭素繊維である請求項2記載の鉄道車両用断熱材。
  4. 綿状繊維シートが、炭化された炭素繊維を50重量%以上含む請求項1記載の鉄道車両用断熱材。
  5. 厚み0.1〜20mmの綿状繊維シートが5層以上折畳まれている請求項1記載の鉄道車両用断熱材。
  6. 結合剤が熱硬化性樹脂で構成され、熱硬化性樹脂の含有量が、断熱材全体に対して5〜20重量%である請求項1の鉄道車両用断熱材。
  7. 嵩密度が8〜18kg/mである請求項1記載の鉄道車両用断熱材。
  8. 繊維長0.5〜8cmの捲縮されたピッチ系炭素質繊維を全繊維中に50〜100重量%含み、嵩密度が0.1〜15kg/m である厚み0.5〜15mmの綿状繊維シートが、厚み方向に7〜50層に積層された積層体と、この積層体の少なくとも各層を接合し、かつ積層体に対する割合が7〜18重量%の熱硬化性樹脂とで構成され、嵩密度が5〜20kg/m であり、厚み方向の引張り強度が8〜17g/cmである鉄道車両用断熱材。
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