JPH0324336B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、高温度に耐える耐熱性積層品に関す
る。 フエノール樹脂含浸アスベスト基材積層品は、
当該技術分野で周知であり、たとえばフツド等
（Hood et al）に付与された米国特許第3018206
号明細書に開示されている。耐摩耗性及び潤滑性
が良好なアスベスト基材積層品は、高温度下で使
用されるあて布、ガスケツト、ワツシヤー等の特
殊な材料として長年にわたつて使用されてきた。
特に有用な応用例としては、繊維製品を乾燥する
強制空気乾燥炉内の駆動機構のチエーンと接触す
る摩擦帯片即ちあて布としての使用を挙げること
ができる。この種の炉は150℃〜200℃で運転され
ており、高温度に耐える帯片材料を必要とし、高
価な駆動チエーンを過度に摩耗させないことが要
求される。 この形式の炉内では、鉛直軸を中心として回転
している複数組の歯車が１組の平行な連続チエー
ンを駆動しており、支持されている。ここで、
「連続チエーン」という語句は、何らかの方法で
繊維製品を支えて繊維製品を連続的に引つ張り、
駆動し、炉を通過して前進させるために使用する
金属性のベルト及びチエーンを意味する。チエー
ンを完全に張りつめた状態にすることは不可能で
あり、チエーン引張歯車の中間部分においてはチ
エーンは水平面から幾分か下方にずれており、下
方にずれた個所においてチエーンは下部に配置さ
れた支持摩擦片即ち支持あて布と接触する。 しかしながら、アスベスト繊維は各種の健康上
の問題を巻き起こすため、代替物が必要とされて
きており、この問題に加えて、アスベストは比較
的重い基材であつて最大限の加工比は約2.2、即
ちアスベスト0.45Kg（１ポンド）に対して0.65Kg
（1.2ポンド）の樹脂固形分を含浸させた比率、以
下にしかできないという問題点がある。 アスベストの代替品として、樹脂含浸ガラス繊
維基材の積層品を使用することも試みられたが、
あて布として使用するには摩耗性が大きいことが
わかつた。ポリエチレン・テレフタレート系の合
成繊維であるダクロン（Dacron；商品名）を用
いた樹脂含浸ダクロン布基材の積層品は、高価で
重い積層品であり、擦り減り易いので極めて大き
い負荷をかけることはできないものであつた。黄
銅の使用も試みられたが、黄銅は高価で重い物質
である。クーン等（kuhn et al）に付与された
米国特許第4234651号明細書に開示されているよ
うに、ポリエチレン・テレフタレート系合成繊維
のスパンを凍結させた形の繊維が、ポリ塩化ビニ
ールを塗布した構造物の床タイル製造業におい
て、アスベストの代替物として使用されている。
上記のスパン凍結形のポリエチレングリコール・
テレフタレート繊維製のウエツブの場合、繊維に
対する結合剤固形物が最大約30重量％になる程度
の量の熱可塑性スチレン・ブタジエン系結合剤を
塗布する必要がある。上記の結合剤は、最終製品
の剪断強度を高めるために必要とされる。 プロツツ等（Plotz et al）に付与された米国
特許第3967032号明細書には、10重量％のメラミ
ン−ホルムアルデヒド中間縮合物を含有する熱可
塑性のアクリル酸ブチルースチレン共重合物から
成る結合剤で処理したポリエステル単繊維から得
た羊毛状スパンの使用が開示されているが、この
組成物の場合、繊維に対する結合剤固形物の最大
量は約30重量％である。最終製品である歴青質塗
布屋根ぶきシートの引張り強さ及び曲げ強さを高
め収縮の問題を解決するために、結合剤を用いる
必要がある。 上記の結合剤で処理しポリ塩化ビニール又は歴
青質を塗布した製品は、何れも、高温度下での潤
滑性積層品を目的として開発されたものではな
い。 本発明による高温度に耐える積層品は、加熱・
加圧によつて固まる樹脂を含浸した複数枚のマツ
トから成り、樹脂含浸マツトは加工比２〜５の量
の熱硬化性樹脂を含浸させた多孔質で、不織布の
形の、相互にからみ合つたポリエチレン・テレフ
タレート繊維の集合物であることを特徴とする。 好ましくは、各マツトに針穿孔加工し、繊維の
融点は200℃〜260℃である。フエノール樹脂、シ
リコーン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リエステル樹脂等の熱硬化性樹脂をマツトに含浸
させるわけであるが、充填材と樹脂の合計固形分
の最大限60重量％までの耐熱性充填材を含有させ
ることもでき、耐熱性充填材の例としては珪酸ア
ルミニウム、炭酸カルシウム、マイカ、アルミニ
ウム・トリハイドレート（aluminium
trihydrate）、タルク（珪酸マグネシウン）及び
これらの混合物を挙げることができる。加工比を
4.15〜4.3にする、即ち樹脂＋充填材約77％とマ
ツト材料約23％とから成る組成にすることは容易
である。積層品の高温度に耐える特性が低下する
から、熱可塑性の含浸樹脂は使用しない。 樹脂含浸マツトを乾燥し、切断して、加熱プレ
ス中に積み上げ、圧力15.8〜70.3Kg／cm²（225〜
1000psi）、温度150℃〜180℃で固化させ硬化させ
て成形し積層品を得る。得られた積層品の厚さは
通常1.6〜19mm（1/16〜3/4インチ）であり、高温
度に耐える優れた耐熱性及び潤滑特性を持ち、摩
耗性でなく、極めて高い樹脂含有率にすることが
でき、軽量で安価である。 本発明による積層品の基材は、多孔質で結合剤
を含有せず塗布剤で被覆されていない不織マツト
であり、この不織マツトは、機械的にからみ合
い、不規則に分布し、連続的につながり合つてい
るポリエチレン・テレフタレート繊維から成り、
好ましくは、紡糸し集合させ「ニードル・パンチ
ング加工」（needle−punching）したポリエチレ
ン・テレフタレート繊維製のマツト又はシートで
あつて、各繊維の融点は200℃〜260℃である。マ
ツトの厚さは30ミル〜250ミル（0.64cm）、気孔率
は70％以上、好ましくは75％〜95％である。直線
状に紡糸されたポリエステル繊維を「ニードル・
パンチング加工」によつて機械的にからみ合わ
せ、加熱又は加圧することなく繊維を結合させ、
気孔率を非常に高い水準に保つたままの状態で顕
著な構造一体性を付与する加工操作である。ニー
ドル・パンチング加工技術は、当該技術分野で良
く知られた技術であり、繊維の集中した硬い部位
や弱い部位のない積層できるマツトが得られる。
ニードル・パンチング加工されたマツトは市販さ
れており、たとえば米国特許第4234651号明細書
に記載されている。 充填材の粒子寸法は、平均直径0.5〜40ミクロ
ンにすることができる。40ミクロンにすることが
できる。40ミクロンを越える粒径の充填材は、樹
脂から分離してしまい易い。マツトの樹脂含有率
を高くし、加工比を2.0〜5.0にする、即ち450ｇ
（１ポンド）のマツトが約450〜1800ｇ（１〜４ポ
ンド）の樹脂固形分又は樹脂固形分及び充填材固
形分が含有する比率にする。このように加工比を
高くできる理由は、不織布の形でニードル・パン
チング加工されたマツト材料の気孔率が高く構造
一体性が大きいことも一因である。 紡糸し集合させ、ニードルパンチング加工した
マツトを捲き上げたシートを含浸樹脂入りの浴に
通して、マツトを樹脂で飽和させた後に、樹脂を
いわゆる「Ｂステージ」（“Ｂ”stage）にする長
い炉に通して、後続の加熱工程時に完全に硬化で
きる指触乾燥状態にまで樹脂を半硬化させ、所望
寸法に切断する。樹脂含浸率を高くした場合にお
いても、マツト又はシートは上記の連続的な加工
処理設備を無事に通過できる強度を持つている。
積層品の所望厚さに応じて６枚から24枚の切断さ
れた樹脂含浸マツトを積み重ねてプレスに入れ、
圧力15.8〜70.3Kg／cm²（225〜1000psi）温度150℃
〜180℃で半時間〜３時間加熱・加圧して積層さ
せて、冷却し、加熱・加圧により強度に固まつた
積層品を得る。 次に、本発明の実施例を示す。 実施例 １ 厚さ60ミル、融点約250℃、樹脂含浸前の気孔
率93％、かさ比重186.5ｇ／m²（５ 1/2ポンド／
平行ヤード）の不織布の形でニードル・パンチン
グ加工によりスパン糸を結合させたポリエチレ
ン・テレフタレート繊維製のマツト〔ビデイムＣ
−22工業用布（BidimC−22 Engineering
Fabric）という名称でモンサント・テキスタイ
ル社（Monsanto TextilesCo.、）から販売され
ている〕に充填材入りの熱硬化性シリコーン樹脂
溶液を含浸させた。この樹脂溶液は、シリコーン
樹脂固形分40重量％と、平均粒度約１ミクロンの
珪酸アルミニウム充填材40重量％と溶剤であるト
ルエン20重量％とから成る溶液であつた。即ち、
この組成物中の充填材の量は、充填材と樹脂を合
計した固形分の50重量％に担当する量である。マ
ツトを樹脂溶液に浸漬し、計量ロールを通過させ
て加工比を約4.2にした。即ち、樹脂と充填材と
を合計した固形分76重量％と、マツト24重量％と
から成る加工布をつくつた。（樹脂固形分＋充填
材固形分が3.2重量部を占めマツトが１重量部を
占める加工布、重量比に換算すると3.2／4.2＝
0.76となる。）樹脂処理マツトを強制空気乾燥炉
に通して、生乾き度（greenness）1.7％とし、樹
脂をＢステージにした。 ６枚及び23枚の樹脂含浸マツトを積み重ねてプ
レスに入れ、鋼製の加圧板ではさんで17.6Kg／cm²
（250psi）の圧力をかけ180℃で２時間半加熱・加
圧して強固に固化させた。積層品の加圧下で冷却
した後、プレスから取り出して、厚さ3.2mm（1/8
インチ）の積層板及び厚さ1.6mm（1/2インチ）の
積層板を得た。得られた積層板は軽量で、約250
℃までの温度に耐え、潤滑性の表面特性を持つも
のであつた。その機械的、物理的及び電気的特性
は、表１に示すように、優れた値を示した。

【表】 で測定）

【表】 実施例 ２ 厚さ60ミル、融点約250℃、樹脂含侵前の気孔
率93％、かさ比重186.5ｇ／cm³（５ 1/2ポンド／
平方ヤード）の不織布の形でニードル・パンチン
グ加工によりスパン糸を結合させたポリエチレ
ン・テレフタレート繊維製のマツト〔ビデイムＣ
−22工業用布（Bidium Ｃ−22 Engineering
Fabric）という名称でモンサント・テキスタイ
ル社（Monsanto TextilesCo.、）から販売され
ている〕に熱硬化性フエノール樹脂溶液を含浸さ
せた。 マツトを樹脂溶液に浸漬し、計量ロールを通過
させて加工比を約2.3にした。即ち、約56.5重量
％の樹脂及び充填材固形分と約43.5重量％のマツ
ト基材とから成る加工布をつくつた。樹脂処理マ
ツトを強制空気乾燥炉に通して、生乾き度を3.5
％に樹脂をＢステージにまで半硬化させた。 11枚の樹脂含浸マツト及び45枚の樹脂含浸マツ
トをプレスに入れ、鋼製の加圧板ではさんで、35
Kg／cm²の加圧下で160℃で１時間加熱し、加圧・
加熱により固化させた。積層板を加圧下で冷却し
た後、プレスから出して、厚さ3.2mm（1/8イン
チ）及び1.6cm（1/2インチ）の積層板を得た。得
られた積層板は軽量で、250℃までの耐熱性を有
し、潤滑性の表面特性を持つものであつた。下表
２に示すように、得られた積層板の機械的、物理
的及び電気的特性は優秀であつた。

【表】 35Kg／cm²（500psi）の加圧下160℃の温度で１
時間加熱加圧して122cm×244cm×0.96cm（厚さ）
（48インチ×96インチ×3/8インチ）の寸法に成形
したこと以外の点では上記の実施例と同様にして
製造した２枚の積層板をあて布材料として使用し
た場合の特性について評価試験を行なつたとこ
ろ、高温度下での潤滑特性が良好であり、摩耗性
が低く、寿命が長いことが確かめられた。本発明
による樹脂含浸ガラス繊維製品の強制空気乾燥炉
内のチエーン式駆動機構に組み入れて使用するこ
とができる。又、各種の電気用の用途にあてるこ
ともできる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 複数枚の加熱・加圧により強固に結合した樹
   脂含浸マツトから成る耐熱性の高い積層品であつ
   て、樹脂含浸マツトが、加工比２〜５の量の熱硬
   化性樹脂を含浸させた多孔質で不織布の形の相互
   にからみ合つたポリエチレン・テレフタレート繊
   維の集合体であることを特徴とする積層品。 ２ マツトがニードル・パンチング加工されてお
   り、繊維の融点が約200℃〜約250℃であることを
   特徴とする特許請求の範囲第１項に記載の積層
   品。 ３ マツトの気孔率が75％以上であり、フエノー
   ル樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、エポキ
   シ樹脂、又はポリエステル樹脂が含浸されている
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項又は第２
   項に記載の積層品。 ４ マツトの気孔率が75％〜95％であることを特
   徴とする特許請求の範囲第３項に記載のマツト。 ５ 含浸される樹脂が充填材粒子を含有すること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項、第２項、第
   ３項、又は第４項に記載の積層品。 ６ 充填材粒子が、珪酵アルミニウム、炭酸カル
   シウム、マイカ、アルミニウム・トリハイドレー
   ト、タルク又はこれらの混合物から成り、充填材
   の含有量が充填材と樹脂とを合計した固形物の60
   重量％以下であることを特徴とする特許請求の範
   囲第５項に記載の積層品。