JPH07329428A - 熱転写インクシート及び被転写シート - Google Patents

熱転写インクシート及び被転写シート

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JPH07329428A
JPH07329428A JP6127685A JP12768594A JPH07329428A JP H07329428 A JPH07329428 A JP H07329428A JP 6127685 A JP6127685 A JP 6127685A JP 12768594 A JP12768594 A JP 12768594A JP H07329428 A JPH07329428 A JP H07329428A
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JP
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sheet
layer
thermal transfer
transfer
ink
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JP6127685A
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Atsushi Nakajima
厚志 仲島
Takaaki Kuroki
孝彰 黒木
Ai Katsuta
愛 勝田
Shinji Matsumoto
晋治 松本
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Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 インク面や被転写面の下にクッション層を有
してしかもインク面や被転写面にヒビやシワが生ずるよ
うな表面性の劣化が無い熱転写インクシート及び被転写
シートの提供。 【構成】 熱転写インクシートのインク層面と被転写シ
ートの被転写面とを減圧密着により接触させ、前記イン
ク層を部分的に光を照射することにより加熱して、加熱
した部分のインク層を前記被転写面に転写させる熱転写
記録用の前記熱転写インクシート又は被転写シートであ
って、クッション層を有し、且つそれぞれについて約10
0cm2の試料を10mlのバイアル瓶に密閉した状態で140
℃,20分間の加熱処理をすることにより試料から揮発す
る溶媒成分のシート1m2当たりに換算した揮発量が10mg
以下である熱転写インクシート又は被転写シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱転写インクシート及
び被転写シートに関し、詳しくは、熱転写インクシート
のインク層面と被転写シートの被転写面とを減圧密着に
より接触させてインク層を光照射により部分的に加熱
し、加熱した部分のインク層を被転写面に転写させる熱
転写インクシート及び被転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱転写記録技術として、熱溶融性
色材層または熱昇華性色素を含有する色材層のインク層
を基材上に設けた熱転写インクシートと、インク層が転
写され易い被転写面を有する被転写シートとを、インク
層と被転写面を合わせて重ね、その重なりをサーマルヘ
ッドや通電ヘッド等の電気信号により制御される熱源で
熱転写インクシート側から押圧してインク層を加熱し、
加熱した部分のインク層を被転写面に転写させて被転写
面に画像を形成する方法がある。このような熱転写記録
は無騒音、メンテナンスフリー、低コスト、カラー化が
容易、デジタル記録が可能などの特徴を有しており、各
種プリンター、レコーダ、ファクシミリ、コンピュータ
端末等の多くの分野で利用されている。
【0003】一方、近年医療、印刷分野等で解像度が高
く、デジタル画像処理が可能で、高速記録のできる記録
方法が求められている。この要求への対応をサーマルヘ
ッドや通電ヘッドの高密度化で試みて600DPI前後の解像
度までは得られている。しかし、サーマルヘッドや通電
ヘッドを熱源とする熱転写記録方法では、サーマルヘッ
ドなどの発熱素子の寿命の点から600DPI程度までが限度
で、それ以上の高解像度の画像を得ることは困難であっ
た。
【0004】それに対して、より高解像度を達成し得る
熱転写記録方法として、画像信号に基づいて変調したレ
ーザビームを熱源とする熱転写記録方法が特開昭49-154
37号、同49-17743号、同57-87399号、同59-143659号各
公報により知られている。レーザビームは光学的にビー
ム径を数μm程度までに絞ることができるため、飛躍的
に解像度を高めることができる。
【0005】レーザビームによる記録には、レーザビー
ムをポリゴンミラーやガルバノミラーとfθレンズ等と
の組合せによって繰返し走査の主走査をさせ、熱転写イ
ンクシートと被転写シートの重なりを主走査方向とほぼ
直角の方向に直線移動または回転移動の副走査をさせる
レーザビーム主走査方式と、熱転写インクシートと被転
写シートの重なりをドラムの外周にセットしてドラムの
回転による繰り返し走査の主走査をさせ、レーザビーム
を入射位置がドラムの母線に沿って一方向に移動する副
走査をさせるレーザビーム副走査方式とがある。一般的
には、レーザビーム副走査方式の方がポリゴンミラーや
ガルバノミラーを必要としないから光学系の精度を高め
易く、高密度記録すなわち高解像度記録に適している。
しかし、レーザビーム副走査方式は、ドラムの回転速度
を上げることで走査速度を上げることが容易にできる反
面、熱転写インクシートと被転写シートの密着性を得る
のが難しい。
【0006】レーザビームによる記録においても、特開
昭61-112665号公報に記載されているように、透明押圧
部材でレーザビーム入射位置の熱転写インクシートと被
転写シートの重なりを押圧することが行われるが、それ
には、多少とも透明押圧部材でレーザビームのエネルギ
ロスや拡散があったり、レーザビーム副走査方式では特
に高速回転するドラムとの間で熱転写インクシートと被
転写シートの重なりを均一に押圧することが難しく、密
着ムラや圧力転写によるカブリが発生し易いと言う大き
な問題がある。
【0007】そこで、レーザビームによる記録において
は、周壁に多数の吸気孔を有し内部を排気手段に連絡し
て回転する吸引ドラムの周面に被転写シートをその被転
写面が外向きであるように吸着し、その上に重ねて被転
写シートの少なくとも両側縁を超す幅の好ましくはさら
に前後縁も超す長さの熱転写インクシートをそのインク
層が内向であるように吸着して、両シートを良好に密着
させ保持することが行われている。この場合、レーザビ
ームは吸引ドラムの母線方向に副走査または主走査され
て、転写インクシートの背面側から入射される。
【0008】尚、昇華型熱転写では密着ムラがある程度
起こっても、色素が昇華して転写するため大きな問題に
はなりにくい。それを利用して特開平2-2022488号公報
に記載の発明では感度を上げるため意図的に密着を阻害
するという手段を取っている。しかし溶融型熱転写では
密着ムラが大きな問題となる。そこで熔融型熱転写方式
では微細な密着を得るために特開平03-343684号公報に
記載されているように熱転写インクシート及び/又は被
転写シートに密着性を得るためのクッション層を導入し
たり、熱転写インクシートと被転写シートとの間の吸引
密着性を促進するため適度なサイズのマット材を適量含
有させる方法が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述のようなクッショ
ン層を有する熱転写シート及び/又は被転写シートは密
着性が著しく向上するが、製造上及び保存上の問題があ
る。即ちインク面と被転写面の密着性を改善するためク
ッション層上にインク層及び/又は被転写層を設ける
と、インク面及び/又は被転写面にシワが入ったり、ヒ
ビが入るという新たな問題が生ずる。そしてヒビの入っ
た箇所は画像欠陥となるし、シワが入れば転写ムラを生
じることになる。クッション層は十分な密着性を得るに
はある程度の厚みが必要であり、これが厚い程インク面
及び/又は被転写面の平滑性が損なわれる傾向がある。
【0010】本発明は、上述の問題を解消するためにな
されたものであり、インク面や被転写面の下にクッショ
ン層を有してしかもインク面や被転写面にヒビやシワが
生ずることのない熱転写インクシート及び被転写シート
の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の問
題の解消について研究した結果、クッション層を設けた
熱転写インクシートや被転写シートの一定条件で求めた
残留溶媒の量が一定量以下であれば、インク面や被転写
面が表面平滑性の劣化を起こすことなく、クッション層
による密着性向上の効果が十分得られることを究明し
た。
【0012】本発明は、上述の知見に基づいてなされた
ものであり、熱転写インクシートのインク層面と被転写
シートの被転写面とを減圧密着により接触させ、前記イ
ンク層を部分的に光を照射することにより加熱して、加
熱した部分のインク層を前記被転写面に転写させる熱転
写記録用の前記熱転写インクシートであって、クッショ
ン層を有し、且つ約100cm2の試料を10mlのバイアル瓶に
密閉した状態で140℃,20分間の加熱処理をすることに
より試料から揮発する溶媒成分のシート1m2当たりに換
算した揮発量が10mg以下であることを特徴とする熱転写
インクシート、及び、前記被転写シートであって、クッ
ション層を有し、且つ約100cm2の試料を10mlのバイアル
瓶に密閉した状態で140℃,20分間の加熱処理をするこ
とにより試料から揮発する溶媒成分のシート1m2当たり
に換算した揮発量が10mg以下であることを特徴とする被
転写シートにあり、これらの構成によって前記目的を達
成する。
【0013】
【作用】すなわち、本発明の熱転写インクシート及び被
転写シートにおいては、所定加熱条件での揮発ガス量が
少ないから、両シートは製造時にもインク面又は被転写
面の表面平滑性が良好であり、また保存後もその表面性
を維持することができ、そして減圧密着において十分な
密着性を得ることができる。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照して本発明を実施例により
説明する。
【0015】図1は本発明の熱転写インクシート及び被
転写シートを用いる転写装置の例を示す概要断面図、図
2および図3は吸引ドラムに熱転写インクシートと被転
写シートをセットする方法を示す転写装置の部分斜視図
および部分断面図、図4は吸引ドラムから熱転写インク
シートと被転写シートを剥離するための剥離ガイドの斜
視図、図5は熱転写インクシートの層構成を示す部分断
面図、図6は被転写シートの層構成を示す部分断面図で
ある。
【0016】図において、1は装置框体、2は矢印方向
に回転するように装置框体1に設けられ、周面に多数の
吸気口2aを配設していて、軸孔2bを介し内部を不図
示の排気手段に連絡している吸引ドラム、3および4は
吸引ドラム2の内部に設けられて、吸引ドラム2の被転
写シート5の幅より外側になる吸気口2aを開放する図
3に実線で示した位置と閉鎖する二点鎖線で示した位置
とに摺動し得る皿状扉で、それぞれ被動レバー3aおよ
び4aを吸引ドラム2の側板の外側に突出させている。
【0017】6は被転写シート5の供給マガジン、7お
よび8は熱転写インクシート9の供給マガジンであり、
9Y,9M,9C,9Bはそれぞれイエロー,マゼン
タ,シアン,ブラックのインクシートである。被転写シ
ート5は裏面が吸引ドラム2に吸着されて表面の被転写
面が外側を向くように供給され、熱転写インクシート9
はインク層表面が被転写シート5の被転写面と接して裏
面が外側を向くように供給される。
【0018】10〜12は装置框体1の供給マガジン6,
7,8の装着部に設けられたシートカッタ、13〜16はシ
ートガイド、17〜19はガイドロール、20は吸引ドラム2
の対向ロール、21はシート検出センサ、22および23は詳
細を図4に示した被転写シート5の剥離ガイドおよび熱
転写インクシート9の剥離ガイドであり、剥離ガイド22
は剥離ガイド23の管軸23aを回転自在に貫通している軸
22aによって、また剥離ガイド23は管軸23aによって、
それぞれ吸引ドラム2から離れた位置と先端が吸引ドラ
ム2に当接する位置とに変位させられる。
【0019】24は、剥離された被転写シート5や熱転写
インクシート9を案内して送る排出ガイドローラ、25は
排出ローラ、26はシート排出部、27はレーザ書き込み手
段である。
【0020】以上の転写装置の作用を説明すると、ま
ず、不図示の排気手段を駆動し吸気口2aを吸気状態に
すると共に、吸引ドラム2を矢印方向に回転し、供給マ
ガジン6により被転写シート5の送り出しを行う。それ
によって被転写シート5が吸引ドラム2の表面に順次吸
着されて先端をシート検出センサ21によって検出され
る。被転写シート5の搬送速度を吸引ドラム2の表面速
度に等しくするために対向ロール20を圧接させるのが好
ましい。
【0021】被転写シート5の先端検出から所定時間の
経過によりカッタ10が被転写シート5を切断する。この
所定時間は被転写シート5の長さを吸引ドラム2に巻き
付く被転写シート5の先端と後端の間に周方向に配列し
ている吸気口2aの2以上が開口している吸引ドラム2
の周長より短い長さにする時間である。切断後も吸引ド
ラム2が回転を続けることによって被転写シート5がセ
ットされる。切断以後は供給マガジン6を完全消極送り
出しから停止に切換えてもよい。
【0022】次に被転写シート5の後端が検出センサ21
の位置を通過して、先端が対向ロール20の位置よりも手
前にある時点で熱転写インクシート9の先端がシート検
出センサ21によって検出されるように、供給マガジン7
または8はイエローインクシート9Y若しくはマゼンタ
インクシート9Mまたはシアンインクシート9C若しく
はブラックインクシート9Bを送り出し、先端がシート
検出センサ21で検出された情報によって送り出しを停止
する。この送り出し停止によって熱転写インクシート9
は先端を適当に先行させた状態で被転写シート5に重な
るための待機状態になる。対向ロール20は、熱転写イン
クシート9の送り出し開始から待機状態の終了までの間
は吸引ドラム2から離れている。
【0023】そして、前述の被転写シート5の先端が検
出センサ21で検出されたときから所定時間経過して、被
転写シート5の先端が検出センサ21の位置より適当な手
前の位置に達したときに対向ロール20が吸引ドラム2と
の間で熱転写インクシート9を挟圧して搬送する。この
ときには供給マガジン7または8も協調して送り出しす
る。対向ロール20で挟圧搬送される熱転写インクシート
9も、被転写シート5より食み出た先端部分と両側部分
が吸気口2aに吸引されるから、吸引ドラム2に巻き付
く。
【0024】対向ロール20が熱転写インクシート9に圧
接したときから所定時間の経過によりカッタ11または12
が熱転写インクシート9を切断する。この所定時間は、
熱転写インクシート9の長さを後端が被転写シート5の
後端により食み出して、その食み出し部分が吸気口2a
によって吸着される長さにする時間である。この所定時
間の経過以前に熱転写インクシート9を供給した供給マ
ガジン7または8は完全消極送り出しにされている。ま
た切断に際して、吸引ドラム2の回転を一時的に停止さ
せてもよい。
【0025】切断後も吸引ドラム2が回転を続けること
によって、被転写シート5上への熱転写インクシート9
のセットが完了する。そして切断以後に熱転写インクシ
ート9を供給した供給マガジン7または8が停止され
る。
【0026】以上で吸引ドラム2上への被転写シート5
とその上への第1色目の熱転写インクシート9のセット
が完了したら、対向ロール20を吸引ドラム2から離して
吸引ドラム2の回転を高速に切り換える。そしてレーザ
書き込み手段27によりレーザビーム副走査方式で図3の
右側または左側から反対側へ第1色目のドット構成画像
の書き込みを行う。
【0027】第1色目の書き込みが完了したら、吸引ド
ラム2の回転を低速回転に切り換え、皿状扉3,4で被
転写シート5より外側にあって熱転写インクシート9を
吸引している吸気口2aを閉鎖して、剥離ガイド23によ
り熱転写インクシート9を吸引ドラム2から剥離し、排
出ガイドローラ24及び排出ローラ25によってシート排出
部26に排出させる。熱転写インクシート9の後端がそれ
ぞれ剥離ガイド23、排出ガイドローラ24、排出ローラ25
の位置を通過し終えた後に剥離ガイド23は吸引ドラム2
から離され、それとほぼ同時に皿状扉3,4も吸気口2
aを開放する位置に移動され、排出ガイドローラ24と排
出ローラ25の回転が停止される。以上で第1色目の転写
工程は完了である。
【0028】第2色目の転写工程は第1色目で述べたセ
ットされた被転写シート5上に熱転写インクシート9を
セットする工程から同様に始められる。また第3色目お
よび第4色目の転写工程も第2色目と同様に行われて、
最後の第4色目の熱転写インクシート9を剥離する際ま
たはその剥離が終わる際に剥離ガイド22によって4色の
カラー画像を転写された被転写シート5もシート排出部
26に排出される。
【0029】以上のような転写方法における熱転写イン
クシート9と被転写シート5の密着性の確保は、主とし
て熱転写インクシート9の被転写シート5より食み出た
部分に当たる吸引ドラム2の吸気口2aによる吸着によ
って与えられ、A2やB2と言ったサイズでは中央部か
ら吸気口2aまでの距離が遠くなって密着しにくい。そ
の問題を解消するのが本発明の熱転写インクシート9と
被転写シート5であり、それについて図5,図6を参照
して以下説明する。
【0030】図5に示した熱転写インクシート9は、透
明で強度と寸法安定性を主として負担する支持体90と、
レーザビームを入射される裏面側の同じく透明で帯電防
止や光反射防止又はインク面とのブロッキングを防止す
る目的で設けるバッキング層91と、反対の表面側の同じ
く透明で被転写シート5への密着に寄与するクッション
層92と、その上の光熱変換層93と、表面のインク層94の
5層から成るものが、必要な性能を層別に分担させた構
成である。しかし例えば、支持体90にバッキング層91を
設ける必要のない性能のものを用いればバッキング層91
を省略できるし、被転写シート5のクッション層でクッ
ション層92を省略することもできるし、インク層94に光
熱変換物質も加えて光熱変換層93を省略することができ
ると言ったように、熱転写インクシート9は5層構成に
限られるものではない。
【0031】熱転写インクシート9の支持体90には、寸
法安定性が良くて、画像形成の際の熱に耐えられる透明
なフィルムやシートが用いられ、具体的には特開昭63-1
93886号公報第2頁右下欄第12〜18行に記載されている
ようなフィルムやシートが用いられる。そして支持体90
の厚さは、3〜300μmが適当であるが、装置上ハンドリ
ングが可能な範囲としては50〜200μmが好ましい。
【0032】クッション層92にはゴム弾性あるいは熱軟
化性を有する材料が用いられ、具体的材料として天然ゴ
ム、アクリレートゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、ブ
タジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエン
ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴ
ム、アクリルゴム、弗素ゴム、ネオプレンゴム、クロロ
スルホン化ポリエチレン、エピクロルヒドリン、EPD
M(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)、ウレタンエ
ラストマー等のエラストマー、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリブタジエン、ポリブテン、耐衝撃性ABS
樹脂、ポリウレタン、ABS樹脂、アセテート、セルロ
ースアセテート、アミド樹脂、ポリテトラフルオロエチ
レン、ニトロセルロース、ポリスチレン、エポキシ樹
脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、ポリエステ
ル、耐衝撃性アクリル樹脂、スチレン-ブタジエン共重
合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリ
ル-ブタジエン共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合
体、ポリ酢酸ビニル、可塑剤入りビニル樹脂、塩化ビニ
リデン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の
樹脂が挙げられる。そして、クッション層92は、例えば
熱転写インクシート9と被転写シート5の間にゴミ等の
異物が介在しても異物の体積がクッション層92にめり込
んで転写抜けの発生を防止するように、JISK-2530に規
定された測定方法による針入度が15以上特に30以上であ
ることが好ましい。そのため、前述の材料のうちでもV
A含有率が30重量%以上と高いEVAや同様のオレフィ
ン系樹脂例えばEEA、EAA、EMA、アイオノマ
ー、SIS、SEBS等が好ましい樹脂として挙げられ
る。また、前述の材料に可塑剤などを添加して塑性変形
による針入度を大きくしてもよい。
【0033】クッション層92は、上述のような材料を溶
媒に溶解又はラテックス状に分散したものを、ブレード
コーター,ロールコーター,バーコーター,カーテンコ
ーター,グラビアコーター等の塗布法又はホットメルト
での押し出しラミネーション法により形成される。クッ
ション層92の厚さは、表面平滑性、生産性の点からは薄
い方が良いが、薄くなり過ぎると熱転写インクシート9
と被転写シート5の密着性が低下するので、クッション
層92の弾性,針入度,吸引ドラム2の吸引力,接触面の
表面形状等によって容易に密着性の得られる厚さの限界
が変化するけれども、通常2〜50μmの範囲が好まし
い。
【0034】光熱変換層93は、レーザビームを吸収して
効率良く熱に変換する光熱変換物質とバインダーとバイ
ンダーの溶媒とから成る塗布液をワイヤーバーコーティ
ング等の方法で塗布して乾燥する方法や光熱変換物質を
真空蒸着する方法によって形成され、層厚は、光熱変換
層93とインク層94とでレーザビームの殆どを熱に変換し
得る限り、薄い方がレーザビームや熱の拡散が少ないの
で好ましく、通常0.1〜3μmの範囲に適当な厚さが求め
られる。
【0035】光熱変換物質としては、カーボンブラッ
ク,グラファイト,特開昭52-20842号公報に記載の金,
銀,アルミニウム,クロム,ニッケル,アンチモン,テ
ルル,ビスマス,セレン等のメタルブラック、特開昭63
-139191号,同64-33547号,特開平1-160683号,同1-280
750号,同1-293342号,同2-2074号,同3-26593号,同3-
30991号,同3-34891号,同3-36093号,同3-36094号,同
3-36095号,同3-42281号,同3-97589号,同3-103476号
各公報等に記載のシアニン系,ポリメチン系,アズレニ
ウム系,スクワリウム系,チオピリリウム系,ナフトキ
ノン系,アントラキノン系色素等の有機化合物、フタロ
シアニン系,アゾ系,チオアミド系の有機金属錯体など
が適当に用いられる。
【0036】バインダーとしては、ガラス転移点(T
g)がインク層94に用いられるバインダーのそれよりも
高くて、熱伝導率の高い樹脂、例えばポリメタクリル酸
メチル,ポリカーボネート,ポリスチレン,エチルセル
ロース,ニトロセルロース,ポリビニルアルコール,ポ
リ塩化ビニル,ポリアミド,ポリイミド,ポリエーテル
イミド,ポリスルホン,ポリエーテルスルホン,アラミ
ド等の一般的な耐熱性樹脂が用いられ、また水溶性ポリ
マーも用いることができる。水溶性ポリマーはインク層
94との剥離性も良く、またレーザビーム照射時の耐熱性
が良く、過度な加熱に対しても所謂飛散が少ない点で好
ましい。水溶性ポリマーを用いる場合には、光熱変換物
質をスルホ基の導入等により水溶性に変性したり、水系
分散することが望ましい。水溶性樹脂の中でも不純物が
少なく、重合度が1000以上でケン化度が80%以上のポリ
ビニルアルコールや、その他のポリビニルアセタール、
ヒドロキシエチルセルロースなどは光の強度が大きくて
も熱分解を起こさず、好適である。
【0037】光熱変換層93とインク層94の剥離性を上げ
ることは感度の向上につながるので、光熱変換層93に各
種の離型剤を含有させることが有効である。離型剤とし
ては、ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル,ア
ルコール変性シリコーンオイル等のシリコーン系離型剤
やパーフルオロ燐酸エステル系界面活性剤等のフッ素系
の界面活性剤、その他各種界面活性剤等を用いることが
できる。
【0038】この光熱変換層93とインク層94の剥離性に
対して、光熱変換層93とクッション層92の接着性が劣る
場合は、レーザビームによりインク層94の被転写シート
5への融着を生じさせた後に被転写シート5から熱転写
インクシート9を剥離するとき、熱転写インク層94と共
に光熱変換層93も被転写シート5側に残って色濁りを起
こすことがある。それを防止するために、光熱変換層93
とクッション層92の間に接着層を設けることも行われ
る。この接着層としては、熱転写インク層94の剥離強度
よりも強い接着力をクッション層92と光熱変換層93の間
に与える接着剤を選ぶ必要があり、一般的にはそれにポ
リエステル,ウレタン,ゼラチン,EVA等従来公知の
接着剤を用いることができる。この接着層もできるだけ
薄いことがクッション層92の効果を減殺しない点から好
ましい。接着層を設ける代わりに、クッション層92に粘
着付与剤や接着剤を添加して接着力を向上することも行
われる。
【0039】インク層94は、無機顔料,有機顔料などの
顔料や染料といった色材とバインダーとバインダーの溶
剤またはさらに必要に応じて添加される添加剤とから成
る塗布液をワイヤーバーコーティング等の方法で塗布し
て乾燥する方法によって形成され、層厚は、厚くなり過
ぎると熱伝導や熱容量の点で不利であり、薄くなり過ぎ
ると十分な画像濃度を出せなかったり、インクの接着性
や加熱時の密着性を損なうことになるので0.2〜2μm、
更に好ましくは0.3〜1μmの範囲に適当な厚さが求めら
れる。
【0040】無機顔料としては、例えば二酸化チタン,
カーボンブラック,グラファイト,酸化亜鉛,プルシア
ンブルー,硫化カドミウム,酸化鉄ならびに鉛,亜鉛,
バリウム及びカルシウムのクロム酸塩等が用いられ、有
機顔料としては、アゾ系,チオインジゴ系,アントラキ
ノン系,アントラアンスロン系,トリフェンジオキサジ
ン系の顔料,バット染料顔料,フタロシアニン顔料(例
えば銅フタロシアニン)及びその誘導体,キナクリドン
顔料などが用いられる。また、プルーフ材料としては、
イエロー,マゼンタ,シアンがそれぞれ、C.I.21095又
はC.I.21090,C.I.15850:1,C.I.74160の顔料が好ま
しく用いられる。
【0041】有機染料としては、酸性染料,直接染料,
分散染料,油溶性染料,含金属油溶性染料又は昇華性色
素等が挙げられる。
【0042】インク層94に光熱変換物質を加えても色調
等の変化が殆どない場合は光熱変換層93を省略すること
ができる。その場合はインク層94とクッション層92の間
を剥離し易くする配慮が必要となる。
【0043】インク層94における色材の含有率は、過少
であれば十分な画像濃度を得るのに層厚を厚くしなけれ
ばならなくなり、過大であれば摩擦堅牢度が低下即ち摩
擦によって色材が移り易くなるから、好ましくは5〜70
重量%の範囲に設定され、さらに好ましくは10〜60重量
%の範囲に設定される。
【0044】インク層94のバインダーとしては、熱溶融
性物質や、熱可塑性樹脂が用いられる。ここで熱溶融性
物質は、通常、柳本(株)製MJP-2型を用いて測定した融
点が40〜150℃の範囲内にある固体又は半固体の物質し
て定義される。
【0045】具体的に熱溶融性物質としては、カルナバ
蝋,木蝋,オウリキュリー蝋,エスパル蝋等の植物蝋、
蜜蝋,昆虫蝋,セラック蝋,鯨蝋等の動物蝋,パラフィ
ンワックス,マイクロクリスタルワックス,ポリエチレ
ンワックス,エステルワックス,酸ワックス等の石油
蝋、並びにモンタン蝋,オゾケライト,セレシン等の鉱
物蝋等のワックス類を挙げることができ、更にこれらの
ワックス類などの他に、パルミチン酸,ステアリン酸,
マルガリン酸,ベヘン酸等の高級脂肪酸、パルミチルア
ルコール,ステアリルアルコール,ベヘニルアルコー
ル,マルガニルアルコール,ミリシルアルコール,エイ
コサノール等の高級アルコール、パルミチン酸セチル,
パルミチン酸ミリシル,ステアリン酸セチル,ステアリ
ン酸ミリシル等の高級脂肪酸エステル、アセトアミド,
プロピオン酸アミド,パルミチン酸アミド,ステアリン
酸アミド,アミドワックス等のアミド類、並びにステア
リルアミン,ベヘニルアミン,パルミチルアミン等の高
級アミン類などが挙げられる。
【0046】又、熱可塑性樹脂としては、エチレン系共
重合体,ポリアミド系樹脂,ポリエステル系樹脂,ポリ
ウレタン系樹脂,ポリオレフィン系樹脂,アクリル系樹
脂,塩化ビニル系樹脂,セルロース系樹脂,ロジン系樹
脂,ポリビニルアルコール系樹脂,ポリビニルアセター
ル系樹脂,アイオノマー樹脂,石油系樹脂等の樹脂類、
天然ゴム,スチレンブタジエンゴム,イソプレンゴム,
クロロプレンゴム,ジエン系コポリマー等のエラストマ
ー類、エステルガム,ロジンマレイン酸樹脂,ロジンフ
ェノール樹脂,水添メジン等のロジン誘導体、並びにフ
ェノール樹脂,テルペン樹脂,シクロペンタジエン樹
脂,芳香族系炭化水素樹脂等の高分子化合物などが挙げ
られる。
【0047】上記熱溶融性物質及び熱可塑性物質を適宜
に選択することにより、所望の熱軟化点あるいは熱溶融
点を有する熱転写層を形成することができる。
【0048】熱転写インクシート9から被転写シート5
に熱転写して形成した画像をその被転写シート5からさ
らに別の例えば普通紙のようなシートに再度熱転写する
ような場合は、インク層94の再転写性を良くするため
に、再転写性の良いバインダーとして、例えば特願平4-
142801号公報中に一般式(1)で示されている、具体的
にはアクリル酸,メタクリル酸,クロトン酸,マレイン
酸,フマール酸及びこれらのエステルといったモノマー
を主成分として含むホモ又はコポリマー及びフタル酸系
ポリエステル、中でも好ましくはスチレン/アクリル酸
樹脂,スチレン/アクリル酸エステル樹脂,フタル酸系
ポリエステル樹脂を、前述のバインダー成分に加えて、
または前述のバインダー成分とは別に用いることが好ま
しい。
【0049】クッション層92を有する熱転写インクシー
ト9は、インク層94の塗布に用いられる溶媒が残留しや
すい。溶媒が残留すると乾燥、巻き取り等の工程におい
てクッション層と光熱変換層とインク層との層間に伸縮
差が発生し、インク層94の塗布後にシワの発生あるいは
ヒビの発生が生じる結果、インク面の表面平滑性が著し
く損なわれる。50〜60℃と言った保存においてはこれが
さらに増長されてしまう。
【0050】そこで、クッション層を有する転写インク
シートのシワ発生やヒビ発生といった劣化をできるだけ
少なくするために、インク層94の塗布溶媒に23℃での一
定容量の溶媒の蒸発所要時間がエチルエーテルを1とし
て10以下の溶媒、具体的にはエチルエーテル(1),テ
トラヒドロフラン(2),アセトン(1.9),メチルエ
チルケトン(2.7),メタノール(5.2),エタノール
(7.0),イソプロパノール(7.7),n-プロパノール
(7.8),酢酸メチル(1.4),酢酸エチル(2.7),酢
酸ブチル(7.8),ベンゼン(2.8),トルエン(7.
0),キシレン(9.9),ヘキサン(1.9),シクロヘキ
サン(2.6),塩化メチレン(<1),二塩化エチレン
(3.3),三塩化エチレン(3.1),二塩化プロピレン
(3.7),モノクロルベンゼン(8.2)等を主溶媒として
用いるのが好ましい。
【0051】インク層94の塗布液に必要に応じて加えら
れる添加剤としては、インク層94の感度向上のための可
塑剤、塗布性向上のための界面活性剤、インク層94のブ
ロッキングを防止したり熱転写インクシート9と被転写
シート5の間の空気を抜き易くしたりするためのマット
材がある。マット材は粒径がサブミクロンからミクロン
オーダのものがインク層94の感度を低下させないので好
ましい。
【0052】被転写シート5は、図6に示したような、
強度と寸法安定性を主として負担する支持体50と、透明
で帯電防止や光反射層又は被転写面とのブロッキングを
防止する目的で設けるバッキング層51と、反対の表面側
の熱転写インクシート9への密着に寄与するクッション
層52と、その上の熱転写インクシート9のインク層94に
密着してインク層94を熱転写される被転写層53の4層か
ら成るものが、必要な性能を層別に分担させた基本構成
である。しかし、熱転写インクシート9におけると同様
の理由によりバッキング層51やクッション層52を省略す
ることができる。
【0053】被転写シート5の支持体50、バッキング層
51、クッション層52にはそれぞれ熱転写インクシート9
の支持体90、バッキング層91、クッション層92と同様の
構成のものが用いられる。但し、被転写シート5のそれ
らはレーザビームの入射がないから、透明である必要は
なく、透明であってもよい。
【0054】支持体50の厚さは熱転写インクシート9の
支持体90と同様である。ただし、被転写シート5の背面
に異物がある場合テント状の突起が生じ、これが熱転写
インクシート9との僅かな密着ムラを起こすことがある
ため、ある程度の剛性のあることが好ましい。目安とし
ては通常の2軸延伸PETフィルムで100μm乃至125μm
以上の厚さが適当である。
【0055】被転写シート5のクッション層52は、熱転
写インクシート9との密着性を得るためのみならず、最
終シートへ画像を再転写するためにも有用である。この
場合は最終シートへのラミネート温度で、最終シートの
表面凹凸を吸収しうる弾性、粘性、厚さが選択される。
一般にはアート紙等の上へ転写するので、厚さ20μm以
上の熱可塑性樹脂が選ばれる。具体的にはVA%が30%
以上のEVAや、可塑化された塩化ビニル/酢酸ビニル
共重合体等が好適である。
【0056】被転写層53は、熱転写インクシート9のイ
ンク層94をドット状に転写されるために、インク層94が
部分的に光熱変換層93またはクッション層92から剥離す
る力よりも強い力で被転写層53に融着して被転写層53が
破損しない強度を有することが必要である。従って被転
写層53には、極性の比較的小さい即ちSP値の小さい樹
脂やインク層94のバインダーと同種の樹脂でガラス転移
点Tgや軟化点がインク層94のバインダーのそれよりも
高い樹脂が好ましく用いられる。
【0057】被転写層53に用いられる好ましい樹脂とし
ては、塩ビグラフトEVA,EVAグラフト塩ビ,ポリ
ビニルアセタール,ポリビニルブチラール,ポリビニル
ホルマール,スチレン/アクリル共重合体,塩ビ/アク
リル共重合体,塩ビ/エチレン/酢ビ共重合体,塩ビ/
エチレン共重合体等が上げられる。中でも塩ビグラフト
EVA,EVAグラフト塩ビ,ポリビニルアセタール,
ポリビニルブチラールは被転写シート5が転写されて形
成された画像をさらに他の被転写シートに再転写するよ
うな中間転写シートであるような場合にも好適に用いら
れる。
【0058】被転写層53が上述のような樹脂とその溶媒
と必要に応じて添加される添加剤とから成る塗布液をク
ッション層52上または直接支持体50上にワイヤーバーコ
ーティング等の方法で塗布して乾燥することにより形成
されるものである場合、溶媒には熱転写インクシート9
のインク層94におけると同様の蒸発速度の溶媒を用いる
ことが好ましく、それによってインク層94の熱転写を受
けている間の残留溶媒の揮発量が少ない被転写シート5
を高生産性で得ることができる。
【0059】被転写層53の添加剤もインク層94における
と同様のものが用いられる。被転写層53へは熱転写イン
クシート9との密着性を確保するために、適度なマット
材を入れることが好ましい。マット材を添加することに
より僅かな隙間が生じ、ガスが吸気口2aから効率的に
吸気される。粒径が小さいものを多量に入れると被転写
層53が失透したり、熱転写インクシート9との密着が均
一に阻害され、転写濃度の低下を起こす。また粒径の大
きいものはインク面と被転写面が全く接触しなくなるた
め、被転写シート5への熱伝導が阻害されて、光熱変換
層93が過度に加熱し、所謂アブレーションを起こした
り、光熱変換層93が熱分解を起して更にガスが発生する
などの問題が生じる。よって有効なマット材の粒径と個
数は被転写層53の厚さや、インク層94の表面性、被転写
シート5及び熱転写インクシート9のクッション層にも
依存するが、0.5〜10μmのものを10〜1000個/mm2の範
囲で用いることが好ましい。粒径が大きければ必要な個
数は少なくて済むし、小さい場合にはその分多い必要が
ある。光熱変換層93の加熱防止のための被転写シート5
と熱転写インクシート9の密着性と、ガスの吸気口2a
への放出を考慮すると、更に好ましい範囲は、1〜5μ
mの粒径で、50〜500個/mm2となる。マット材としては
シリカ、アクリルビーズ等が挙げられ、粒径分布の揃っ
たものが好ましい。
【0060】本発明は、以上のようにして得られた熱転
写インクシート9と被転写シート5の、約100cm2の大き
さの試料をそれぞれ10mlのバイアル瓶に密閉して140℃
で20分間加熱したことにより試料から揮発する溶媒の量
を求め、その量を1m2当たりに換算した揮発量が10mg以
下の熱転写インクシート及び被転写シートにある。それ
によってインク面及び/又は被転写面の表面平滑性の劣
化を起こすことなく、密着性を確保することができる。
【0061】本発明における試料から揮発する溶媒成分
の量は、ガスクロマトグラフィーにより下記の条件で求
められる。
【0062】(1)ガスクロマトグラフィー測定条件 機器:横河ヒューレットパッカード(株)製 HP5890 SER
IES 2 カラム:DB-WAX (30mx1.0mmid) キャリアーガス流量:ヘリウム 20ml/min インジェクション温度:250℃ 検出器:FID 250℃ オーブン温度:45℃(3min)から8℃/minの昇温速度
で95℃まで昇温 (2)ヘッドスペース条件 バイアル瓶容量:10ml 浴温:140℃ 加熱時間:20min (3)試料条件 約100cmの試料を細かく切り刻んでバイアル瓶に
入れ密閉する (4)定量方法 溶剤別の検量線と測定結果との対比による 以下、本発明の具体的実施例を示す。
【0063】実施例1 熱転写インクシートの作成 ダイヤホイルヘキスト(社)製のPET(T-100G、#10
0)を支持体として、その上に下記組成の塗布液をコン
マドクターにてコーティングし乾燥して層厚6μmのク
ッション層を形成した。
【0064】 SEBS(シェル、クレイトンG1657) 14部 タッキファイヤー(荒川化学、スーパーエステルA100) 6部 メチルエチルケトン 10部 トルエン 80部 一方、下記組成の塗布液をワイヤーバーコーティングに
よりダイヤホイルヘキスト(社)製のPET(T-100G、#
25)上に塗布し乾燥して、830nmの光の透過吸収が0.79
の光熱変換層を形成した。この光熱変換層の付き量は約
0.55g/m2である。
【0065】 PVA(PVA-224C、クラレ、重合度1700、ケン化度90%) 6部 カーボンブラック分散物(SD-9020、大日本インキ) (固形分換算)4部 界面活性剤 0.2部 水 490部 次に光熱変換層をクッション層に合わせて、ロールタッ
チで両者を貼り合わせた後、PET(T-100G、#25)を
剥離してPET(T-100G、#100)/クッション層/光
熱変換層から成るシートを得た。
【0066】上記シートの光熱変換層上に下記組成の塗
布液をワイヤーバーコーティングで塗布して乾燥し、グ
リーン透過濃度が0.8になる層厚のマゼンタインク層を
形成した。
【0067】 マゼンタ顔料 40部 スチレンアクリル(三洋化成、SBM73F) 51部 EVA(三井デュポンポリケミカル、EV-40Y) 5部 界面活性剤(旭硝子、S-382) 1部 シリコーン樹脂(東芝シリコーン、トスパール108) 3部 溶剤(メチルエチルケトン/メチルイソブチル=8/2) 適量 以上によって得られた熱転写インクシートについて前述
の140℃,20分間加熱における揮発溶剤量の1m2当たり
換算値を求めたところ、メチルエチルケトン6.12mg/
m2、メチルイソブチルケトンが0.71mg/m2、トルエンは
検出不能で、合計量は6.82mg/m2であった。
【0068】被転写シートの作製 厚さ25μmのPETフィルム上にヒドロキシプロピルセ
ルロースのエタノール溶液をワイヤーバーコーティング
で塗布して乾燥し、層厚1μmの剥離層を形成した。
【0069】一方、ダイヤホイルヘキストのPET(W-
400、#125)上に、EVA(VA比40%)の溶剤にメチ
ルエチルケトン/トルエンの4/1の比率のものを用いた
溶液をコンマドクター法により塗布し乾燥して、層厚30
μmのクッション層を形成した。
【0070】次いでクッション層と剥離層を貼り合わせ
て厚さ25μmのPETフィルムを除去し、剥離層上に下
記の組成の塗布液をワイヤーバーコーティングにより塗
布し乾燥して、層厚1.5μmの被転写層を形成した。
【0071】 スチレンアクリル樹脂(三洋化成、SBM100) 59部 アクリル樹脂(三菱レーヨン、BR88) 40部 マット材(東芝シリコーン、トスパール130(粒径3μm)) 1部 溶剤(メチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン=8/2) 適量 この被転写層のマット材の頻度は約350個/mm2であっ
た。
【0072】以上によって得られた被転写シートについ
て前述の140℃,20分間加熱における揮発溶媒量1m2
たり換算値を求めたところ、メチルエチルケトンが1.4m
g/m2、メチルイソブチルケトンが1.4mg/m2、トルエン
は殆ど検出されず、合計量は2.7mg/m2であった。
【0073】以上の熱転写インクシートと被転写シート
の揮発溶媒量はそれぞれ10mg/m2以下であり、インク
面、被転写面とも表面性の劣化が無かった。
【0074】実施例2〜6及び比較例1,2 上記実施例1と全く同じ層構成/組成として、溶媒組成
を変更した場合の熱転写インクシートの揮発溶媒量及び
実施例1の被転写シートへの転写結果を以下の表に示
す。
【0075】
【表1】
【0076】上表から明らかなように、熱転写インクシ
ートと被転写シートの1m2当たり換算140℃,20分間加
熱の揮発溶媒量が10mg/m2以下ではインク面と被転写面
の表面性が劣化しないため、良好な密着性を確保するこ
とができる。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、熱転写インクシート及
び/又は被転写シートがクッション層を有し、且つ残留
溶媒が一定量以下であるため、インク層及び/又は被転
写層のひび割れや表面形状の変化が抑えられ、減圧下に
おいて十分な密着性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱転写インクシート及び被転写シート
を用いる転写装置の例を示す概要断面図である。
【図2】吸引ドラムに熱転写インクシートと被転写シー
トをセットする方法を示す転写装置の部分斜視図であ
る。
【図3】吸引ドラムに熱転写インクシートと被転写シー
トをセットする方法を示す転写装置の部分断面図であ
る。
【図4】吸引ドラムから熱転写インクシートと被転写シ
ートを剥離するための剥離ガイドの斜視図である。
【図5】熱転写インクシートの層構成を示す部分断面図
である。
【図6】被転写シートの層構成を示す部分断面図であ
る。
【符号の説明】 1 装置框体 2 吸引ドラム 2a 吸気口 5 被転写シート 6,7,8 供給マガジン 9 熱転写インクシート 9Y イエローインクシート 9M マゼンタインクシート 9C シアンインクシート 9B ブラックインクシート 27 レーザ書き込み手段 50,90 支持体 51,91 バッキング層 52,92 クッション層 53 被転写層 93 光熱変換層 94 インク層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B41M 5/38 7267−2H B41M 5/26 H 7267−2H M 7267−2H 101 H (72)発明者 松本 晋治 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱転写インクシートのインク層面と被転
    写シートの被転写面とを減圧密着により接触させ、前記
    インク層を部分的に光を照射することにより加熱して、
    加熱した部分のインク層を前記被転写面に転写させる熱
    転写記録用の前記熱転写インクシートであって、クッシ
    ョン層を有し、且つ約100cm2の試料を10mlのバイアル瓶
    に密閉した状態で140℃,20分間の加熱処理をすること
    により試料から揮発する溶媒成分のシート1m2当たりに
    換算した揮発量が10mg以下であることを特徴とする熱転
    写インクシート。
  2. 【請求項2】 熱転写インクシートのインク層面と被転
    写シートの被転写面とを減圧密着により接触させ、前記
    インク層を部分的に光を照射することにより加熱して、
    加熱した部分のインク層を前記被転写面に転写させる熱
    転写記録用の前記被転写シートであって、クッション層
    を有し、且つ約100cm2の試料を10mlのバイアル瓶に密閉
    した状態で140℃,20分間の加熱処理をすることにより
    試料から揮発する溶媒成分のシート1m2当たりに換算し
    た揮発量が10mg以下であることを特徴とする被転写シー
    ト。
  3. 【請求項3】 熱転写インクシートのインク層が23℃で
    の一定容量の溶媒の蒸発所要時間がエチルエーテルを1
    として10以下の溶媒を主溶媒に用いた塗布液の塗布乾燥
    によって形成された層である請求項1に記載の熱転写イ
    ンクシート。
  4. 【請求項4】 被転写シートの被転写面を有する層が23
    ℃での一定容量の溶媒の蒸発所要時間がエチルエーテル
    を1として10以下の溶媒を主溶媒に用いた塗布液の塗布
    乾燥によって形成された層である請求項2に記載の被転
    写シート。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08112970A (ja) * 1994-10-17 1996-05-07 Fuji Photo Film Co Ltd 感熱転写記録材料
CN114574117A (zh) * 2022-02-25 2022-06-03 深圳昌茂粘胶新材料有限公司 一种耐候耐介质耐高温标带及其制作方法

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CN114574117A (zh) * 2022-02-25 2022-06-03 深圳昌茂粘胶新材料有限公司 一种耐候耐介质耐高温标带及其制作方法

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