JPH07329254A - 多層包装体 - Google Patents

多層包装体

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JPH07329254A
JPH07329254A JP12748294A JP12748294A JPH07329254A JP H07329254 A JPH07329254 A JP H07329254A JP 12748294 A JP12748294 A JP 12748294A JP 12748294 A JP12748294 A JP 12748294A JP H07329254 A JPH07329254 A JP H07329254A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 透湿度40g・30μ/m2・day以上の
樹脂外層(1)、EVOH(A)51〜98重量%、ポ
リアミドなどの樹脂(B)2〜49重量%からなる組成
物(C)の層であり、かつ該層の少なくとも片面がジル
コニウム化合物で処理されている中間層(2)および透
湿度(40℃、90%RH下で測定した値)が20g/
2・day以下の樹脂内層(3)を有する多層包装
体、あるいは上記組成物(C)を最外層とし、透湿度
(40℃、90%RH下で測定した値)が20g/m2
・day以下の樹脂内層(3)を有する多層包装体。 【効果】 本発明の多層包装体は、優れた耐熱水性を有
し、さらにレトルト処理後の外観異常が少なく、しかも
レトルトによるガスバリヤー性の悪化が少ない。それゆ
え、食品包装、とりわけレトルト食品の包装に有用であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガスバリヤー性が高
く、内容物が水/油の場合の耐熱水性に優れた多層包装
体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、食品や医薬等の包装体において
は、その包装容器として金属缶、ガラスビン、各種プラ
スチック容器などが使用されているが、近年、軽量性、
形態の自由度、耐衝撃性、あるいはコストの面からプラ
スチック容器が各種の包装用容器として使用されてい
る。中でも、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以
下EVOHと記す)は、他の樹脂と比較して、ガスバリ
ヤー性、耐油性、保香性の極めて優れた溶融成形可能な
熱可塑性樹脂であり、種々の包装分野の包装用フィル
ム、特に食品包装用フィルム、シート、容器等の成形体
に好適に用いられてきた。
【0003】しかしながら、金属缶およびガラスビンは
材料としての酸素透過量がゼロであるのに対し、プラス
チック容器は、特にボイル殺菌用やレトルト殺菌用のパ
ウチやふた材などのような包装形態において、特に近年
食品流通形態として脚光を浴びている熱水殺菌処理や蒸
気殺菌処理におけるような熱と水分が同時に作用する条
件下の場合、そのガスバリヤー性、とりわけ酸素ガスバ
リヤー性が不足しているため、許容できる以上の酸素が
容器内に進入し、内容食品の酸素による劣化が起こり、
食品の風味、鮮度などの保存性の点で問題になり、限ら
れた用途にのみ使用されているのが現状である。
【0004】すなわち、現在までパウチやふた材として
使用されているガスバリヤー性樹脂の代表としてはポリ
塩化ビニリデン系高分子があるが必ずしも充分な酸素ガ
スバリヤー性を有しておらず、また最近の地球環境問題
の観点(リサイクル使用が不可、焼却による分解物質が
酸性雨の原因とされる等)からも、好ましくない。ま
た、他のガスバリヤー性樹脂の代表であるEVOHも、
上記の点を防止するために、EVOHを熱可塑性樹脂層
と接着性樹脂層とで積層した多層構造からなるプラスチ
ック容器が市場に出されているが、下記に述べるような
問題点があり、満足すべき食品包装用容器としての性能
が得られていないのが現状であった。
【0005】このような多層構造体において、EVOH
は低湿度下では良好なガスバリヤー性を示すが、特にボ
イル殺菌またはレトルト殺菌におけるような熱と水分が
同時に作用する、つまり高温、高湿度下で使用する際に
は、水分が外層を経てEVOH層に侵入し、このためE
VOH層のガスバリヤー性が急激に低下するという欠点
が指摘されている。また、特にパウチやふた材などに代
表される多層フィルムの形態においては、加熱収縮によ
る外観変化も大きな問題点であった。
【0006】また、ボイル殺菌またはレトルト殺菌にお
ける水分の影響を小さくして、ガスバリヤー性が低下す
るという欠点を改良するために、乾燥剤を配合した保護
層を設けた多層積層体が特開昭57−170748号お
よび特公昭62−6508号などに記載されている。し
かしながら、該処理によりこの保護層に侵入した水分は
ガスバリヤー層に接するため、一度吸着した水分がガス
バリヤー層に移行し、ガスバリヤー層の機能が低下する
不安があるとともに、外観の透明性においても極めて不
十分なものであった。
【0007】特開平1ー253422号には、EVOH
とポリアミド系樹脂あるいはポリエステル系樹脂からな
る組成物を中間層にし、高透湿性樹脂(例えばポリアミ
ド)を外層に、低透湿性樹脂(例えばポリプロピレン)
を内層とする多層包装体について記載されている。しか
し、この包装体は上記殺菌処理の用途に所定の効果があ
るものの、内容物が「水もの」でなく「水/油」からな
る場合、レトルト処理の結果該多層包装体中の該組成物
層内に「割れ」が生じ白化するという外観不良が発生
し、この問題は今だ解決するには至っていない。また、
特開平4−131237号にはEVOH、ポリアミド系
樹脂および水溶性あるいはアルコール可溶性の金属化合
物からなる組成物を中間層にし、高透湿性樹脂(例えば
ポリアミド)を外層に、低透湿性樹脂(例えばポリプロ
ピレン)を内層とする多層包装体について記載されてい
るが、ジルコニウム化合物に関する記載は認められず、
また、該中間層が延伸とそれに引き続く熱処理を施され
ているという記述も見あたらない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたような問題
のため、従来技術では使用条件、使用形態が限定されて
いた。しかして本発明の目的は、優れた耐熱水性(耐レ
トルト性)を有し、さらに内容物が水/油においてもレ
トルト処理後に外観異常の生じない包装体を提供する事
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究した結果、透湿度(40℃、
90%RH下で測定した値)が40g/m2・day以
上の樹脂外層(1)、EVOH51〜98重量%(A)
とポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステルおよびポ
リカーボネートから選ばれる少なくとも一種の樹脂
(B)2〜49重量%からなる組成物(C)の層であ
り、かつ該層の少なくとも片面がジルコニウム化合物で
処理されている中間層(2)および透湿度(40℃、9
0%RH下で測定した値)が20g/m2・day以下
の樹脂内層(3)を有する多層包装体、あるいは上記組
成物(C)を最外層とし、透湿度(40℃、90%RH
下で測定した値)が20g/m2・day以下の樹脂内
層(3)を有する多層包装体であることが上記目的を達
成することを見い出した。
【0010】以下本発明を具体的に説明する。本発明中
の組成物(C)の層を形成する一つであるEVOH
(A)はエチレン−ビニルエステル系共重合体けん化物
であり、エチレン含量は20〜60モル%であることが
好適であり、好ましくは25〜55モル%である。エチ
レン含量が20モル%より小さいと、耐水性、耐熱水
性、耐湿性が低下するとともに、高湿度下のガスバリヤ
ー性が損なわれ、耐ストレスクラッキング性が低下し、
また良好な溶融加工特性の保持も困難になる。一方、6
0モル%より大きいと、耐水性、耐熱水性、耐湿性は改
善されるものの、本来の優れたガスバリヤー性が悪くな
る。いずれにしても包装用等の材料としては不適切にな
る。ビニルエステル成分のけん化度は95モル%以上で
あることが必要であり、好ましくは98モル%である。
けん化度が95モル%未満では熱安定性が悪くなり、溶
融加工時にゲルが発生しやすい欠点が生じ、またガスバ
リヤー性、耐油性も低下し、EVOH本来の特性を保持
し得なくなり、本発明の効果を享受し難くなる。ここに
ビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なものとし
てあげられるが、他のビニルエステル、例えば低級また
は高級脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピ
パリン酸ビニルなど)を使用することができる。また前
記ビニルエステルは1種以上用いてもよいし、2種以上
を用いることもできる。
【0011】本発明中において、EVOH(A)は公知
のものであり、例えば、エチレンとビニルエステルを、
メタノールやt−ブタノールやジメチルスルホキシドな
どの溶剤中で、加圧下で過酸化ベンゾイル、アゾビスイ
ソブチロニトリルなどの重合開始剤を用い公知の方法で
重合させ、続いて酸、またはアルカリ触媒でけん化して
得られる物である。脂肪酸ビニルエステルとしては、酢
酸ビニルエステル、プロピオン酸ビニルエステル、バー
サチック酸ビニルエステル、ピバリン酸ビニルエステル
などがあげられ、芳香族カルボン酸ビニルエステルなど
も使用可能であるが、価格の点から酢酸ビニルエステル
が、またガスバリアー性の点からピバリン酸ビニルエス
テルが好ましい。
【0012】また、EVOH(A)のメルトインデック
ス(ASTM D1238 65Tに準じて、温度19
0℃、荷重2160gの条件で測定した測定した値;以
下MIと記す)は、特に制限はないが、0.1〜100
g/10分である(但し、融点が190℃付近あるいは
越えるものはそれ以上の複数の温度で測定し、片対数グ
ラフ上で絶対温度の逆数を横軸,MIを縦軸にとり19
0℃に外挿した値)。さらに、本発明にいうEVOH
(A)は、本発明の目的が阻害されない限り、小量の共
重合モノマーで変性されていてもよく、変性用モノマー
としては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4
−メチル−1−ペンテン、アクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸、
高級脂肪酸ビニルエステル、アルキルビニルエーテル、
N−ビニルピロリドン、N−ノルマルブトキシメチルア
クリルアミド、N−(2−ジメチルアミノエチル)メタ
クリルアミド類あるいはその4級化物、N−ビニルイミ
ダゾールあるいはその4級化物を例示することができ
る。
【0013】また、EVOH(A)には、ナトリウム、
カリウムなどのアルカリ金属またはカルシウム、マグネ
シウムなどのアルカリ土類金属の、酢酸塩、りん酸塩、
りん酸の酸性塩、ほう酸塩、塩化物、水酸化物、酸化物
などの誘導体を微量と、酢酸、ほう酸などの酸類を少量
含んでいるほうが、高温での押出加工での熱安定性が良
いので好ましい。
【0014】本発明中において、EVOH(A)とし
て、エチレン含量20〜60モル%、けん化度95モル
%以上で、かつビニルシラン含量0.0001〜0.5
モル%のケイ素含有EVOHも、本発明の目的に対して
使用できる。ケイ素を含有するオレフィン性不飽和モノ
マーとしては、特開昭61−290046号等に開示さ
れているような、従来公知のモノマーが使用できる。た
とえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリ
アセトキシシラン、ビニルトリプロピオニロキシシラン
等が挙げられる。該ケイ素含有量はそれぞれの目的に応
じて選定されるが、0.0001〜0.5モル%、特に
0.001〜0.1モル%の範囲が好適である。
【0015】また、本発明中の組成物(C)の層を形成
する樹脂(B)としては、まずポリアミドがあげられ
る。ポリアミドは、3員環以上のラクタム、重合可能な
ω−アミノ酸、または二塩基酸とジアミンとの重縮合に
よって得られるポリアミドである。具体的にはポリカプ
ラミド(ナイロン−6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸
(ナイロン−7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロ
ン−9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、
ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリエチレ
ンジアミンアジパミド(ナイロン−2,6)、ポリテト
ラメチレンアジパミド(ナイロン−4,6)、ポリヘキ
サメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキ
サメチレンセバカミド(ナイロン−6,10)、ポリヘ
キサメチレンドデカミド(ナイロン−6,12)、ポリ
オクタメチレンアジパミド(ナイロン−8,6)、ポリ
デカメチレンアジパミド(ナイロン−10,8)、ある
いはカプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイ
ロン−6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン
酸共重合体(ナイロン−6/9)、カプロラクタム/ヘ
キサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイ
ロン−6/6,6)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレ
ンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−12
/6,6)、ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート
/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体
(ナイロン−6,6/6,10)、エチレンジアンモニ
ウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペ
ート共重合体(ナイロン−2,6/6,6)、カプロラ
クタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘ
キサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイ
ロン−6/6,6/6,10)、ポリヘキサメチレンイ
ソフタルアミド(ナイロン−6,I)、ポリヘキサメチ
レンテレフタルアミド(ナイロン−6,T)、ヘキサメ
チレンイソフタルアミド/テレフタルアミド共重合体
(ナイロン−6,I/6,T)などが挙げられる。ま
た、これらのポリアミドにおいて、ジアミンとして2,
2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレン
ジアミンなどの置換基導入した脂肪族ジアミンやメチル
ベンジルアミン、メタキシリレンジアミンのような芳香
族アミンの使用またはポリアミドへの変性をしても構わ
ない。さらに、ジカルボン酸として2,2,4−および
2,4,4−トリメチルアジピン酸のような置換基導入
した脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカ
ルボン酸のような脂環式ジカルボン酸、フタル酸、キシ
リレンジカルボン酸、アルキル置換テレおよびイソフタ
ル酸、ナフタレンジカルボン酸のような芳香族ジカルボ
ン酸の使用またはポリアミドへの変性をしても構わな
い。また、これらのポリアミドは一種あるいは二種以上
混合した形で使用しても構わない。
【0016】これらポリアミドの中で、本発明に最も有
効なものとしては、カプロラクタム/ラウロラクタム共
重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/ヘキ
サメチレンアジペート共重合体(ナイロン−6/6,
6)が挙げられる。両者ともカプロラクタム成分の共重
合比率に特に制限はないが、ナイロン−6/12の場合
は、カプロラクタム成分が94〜40重量%、ナイロン
−6/6,6の場合は、カプロラクタム成分が99〜5
0重量%のものがEVOHとの相溶性が良く好ましい。
また、90%蟻酸中で測定したポリアミドの相対粘度は
2.0〜4.2、好ましくは2.2〜3.8のものであ
る。
【0017】これらポリアミドとりわけナイロン−6/
12、ナイロン−6/6,6をポリエーテルジアミンや
ポリエーテルジカルボン酸を高分子鎖中に共重合させ、
エーテル結合を有するポリアミドとしても良い。また、
ラウリルアミンやメチルベンジルアミンなどを添加し、
ポリアミド中のカルボキシル基の量を減少させたものも
好ましい。その場合、アミノ末端基が8×10-5当量/
g以上で、カルボキシル末端基が3×10-5当量/g以
下とすると良い。
【0018】本発明中の組成物(C)の層を形成する樹
脂(B)としては、ポリアミドが最適であるが、ポリア
ミドに代えて、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカ
ーボネートを使用することもできる。
【0019】組成物(C)の層を形成するポリオレフィ
ンとしては、高密度、中密度あるいは低密度のポリエチ
レン、ポリプロピレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステ
ル、あるいはブテン、ヘキセン、4−メチル−1−ペン
テンなどのα−オレフィン類を共重合したポリエチレ
ン、アイオノマー樹脂、ポリプロピレンホモポリマー、
エチレンをグラフト共重合したポリプロピレン、あるい
はエチレン、ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなど
のα−オレフィン類を共重合したポリプロピレン、ポリ
−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ある
いは上述のポリオレフィンにマレイン酸、アクリル酸、
イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などを作
用させた変性ポリオレフィンなどを含んでいる。カルボ
ニル基を10〜1400ミリモル/100g重合体、特
に30〜1200ミリモル/100g重合体の濃度で含
有せしめた変性ポリオレフィン、とりわけ変性ポリプロ
ピレンが好ましく利用できる。
【0020】組成物(C)の層を形成するポリエステル
しては、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチ
レンナフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレー
ト)、ポリ(エチレンテレフタレート/イソフタレー
ト)などに代表される飽和ポリエステル系樹脂が代表と
して挙げられる。
【0021】 本発明中の組成物
(C)の層を形成するEVOH(A)とポリアミド、ポ
リオレフィン、ポリエステルおよびポリカーボネートか
ら選ばれる少なくとも一種の樹脂(B)との配合比はE
VOH(A)51〜98重量%と、樹脂(B)2〜49
重量%よりなる組成物である。EVOHの含量が51重
量%未満では、十分なガスバリアー性が得られない。一
方、EVOHの含量が98重量%を越えると耐熱水性
(耐レトルト性)に劣る。EVOH(A)と樹脂(B)
の配合比は、EVOH51〜98重量%、好ましくは6
0〜97重量%、より好ましくは65〜95重量%であ
り、ポリアミド2〜49重量%、好ましくは3〜40重
量%、より好ましくは5〜35重量%である。
【0022】EVOH(A)とポリアミド、ポリオレフ
ィン、ポリエステルおよびポリカーボネートから選ばれ
る少なくとも一種の樹脂(B)からなる組成物(C)の
ブレンド方法としては、それぞれの樹脂をドライブレン
ド方法や、単軸または二軸スクリュー押出機(同方向ま
たは異方向)、インテンシブミキサー、連続式インテン
シブミキサーなどによる溶融押出後、冷却下ペレット化
する溶融ブレンド法が用いられる。
【0023】本発明においては組成物(C)の層の少な
くとも片面がジルコニウム化合物で処理されていること
が重要である。組成物(C)層が厳しい条件のレトルト
中あるいは直後の高含水時に激しい屈曲を受けた場合に
組成物(C)層内に「割れ」が生じる場合があるが、ジ
ルコニウム化合物はその防止に寄与するものであり、組
成物(C)中のジルコニウム化合物の含有量には特に制
限はないが、好適な範囲はジルコニウム元素重量で0.
005〜10重量%、さらに好適には0.1から5重量
%である。該ジルコニウム化合物が組成物(C)層内に
割れ防止に効果を発現する理由は、必ずしも明確でない
がジルコニウムがEVOH分子と強いイオン結合を生じ
て分子間に架橋効果を生じせしめるためと推測される。
【0024】ジルコニウム化合物としては有機ジルコニ
ウム、無機ジルコニウムの各種ものが使用可能である。
有機ジルコニウムとしては例えばテトラエトキシジルコ
ニウム、テトライソプロポキシジルコニルなどのジルコ
ニルアルコキシド、ジルコニルテトラアセチルアセトナ
ートなどのジルコニルキレート、酢酸ジルコニウム、炭
酸ジルコニル、ステアリン酸ジルコニルなどの有機酸塩
や炭酸ジルコニルアンモニウム塩などのジルコニルアン
モニウム塩などがあげられる。無機ジルコニウムとして
は塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウム、ヨウ化ジルコ
ニウムなどのハロゲン化物、およびそれられの加水分解
生成物であるオキシハロゲン化ジルコニウム、リン酸ジ
ルコニウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウムなど
の酸素酸塩があげられる。これらの中で有機ジルコニウ
ムとしては炭酸ジルコニルアンモニウム塩、有機ジルコ
ニウムとしてはオキシ塩化ジルコニウムが好適である。
【0025】組成物(C)の層の少なくとも片面をジル
コニウム化合物で処理する方法としては特に限定され
ず、組成物(C)の層へのジルコニウム化合物含有が円
滑に行われる方法であればいずれも使用できる。例え
ば、組成物(C)の層を形成するフィルムあるい該フィ
ルムが外層となっている多層フィルムにジルコニウム化
合物を水に溶解・分散した処理剤を、浸漬、エアナイフ
コート、メイヤーバーコート、キャスティングヘッドか
らの吐出、ロールコート、ドクターロールコート、ドク
ターナイフコート、スプレーの手段により該フィルムと
接触処理し、ジルコニウム化合物を含む溶解・分散液を
該フィルムへ塗布、膨潤、拡散させる方法が挙げられ
る。
【0026】上記操作でジルコニウム化合物を含有せし
めた組成物(C)の層を形成するフィルムは、次に通常
100℃以下の温度で乾燥して水分等を蒸発させ、次い
で、100℃以上で且つEVOHの融点未満の温度で熱
処理を行うことがフィルムのしわの防止や寸法安定上好
ましい。この乾燥、熱処理としては、例えば赤外線照射
処理法、熱風乾燥処理法などが例示される。
【0027】本発明では、組成物(C)の層を形成する
フィルムは無延伸層、延伸層いづれでもよいが、延伸倍
率3〜20倍で、一軸延伸、逐次二軸延伸、同時二軸延
伸する前、または後にジルコニウム化合物で処理し、次
いで熱処理を行なったものが一層好ましい。延伸倍率は
3〜20倍の範囲、より好ましくは6〜20倍である。
熱処理は上記と同じく100℃以上で且つEVOHの融
点未満の温度で行うことが好ましい。
【0028】上記ジルコニウム化合物を水に溶解・分散
する際に、ジルコニウム化合物の濃度は特に制限はない
が0.1g/リットル以上とするのがよく、1g/リッ
トル以上がより好ましい。ジルコニウム化合物は単独で
もよいし2種類以上の混合物でもよい。
【0029】本発明においては、特に内容物が水/油で
レトルト処理を行った場合に、特にパウチの屈曲部にお
いて、組成物(C)層にまれに層内の「割れ」に基づく
白化の発生をより完全に防止するためにEVOH(A)
としてエチレン含有量20〜60モル%、好ましくは2
0〜45モル%、より好ましくは25〜40モル%、ビ
ニルエステル成分のけん化度90モル%以上、好ましく
は95モル%以上、より好ましくは98モル%以上のE
VOH(A−1)50〜97重量%と、エチレン含有量
30〜65モル%でかつEVOH(A−1)よりエチレ
ン含有量が4モル%以上、好ましくは6モル%以上大き
く、ビニルエステル成分のけん化度90モル%以上、好
ましくは93モル%以上、より好ましくは95モル%以
上のEVOH(A−2)1〜48重量%よりなる平均エ
チレン含有量20〜60モル%のEVOH組成物を用い
ることがより好ましい。EVOH(A−1)とEVOH
(A−2)の配合比は、EVOH(A−1)50〜99
重量%、好ましくは55〜97重量%、より好ましくは
60〜95重量%と、EVOH(A−2)1〜50重量
%、好ましくは3〜45重量%、より好ましくは5〜4
0重量%である。
【0030】また、EVOH、ポリアミド、、ポリオレ
フィン、ポリエステル、ポリカーボネートおよび組成物
には、本発明を阻害しない範囲で、酸化防止剤、色剤、
紫外線吸収剤、スリップ剤、帯電防止剤、可塑剤、硼酸
等の架橋剤、無機充填剤、無機乾燥剤等の各種添加剤、
高吸水性樹脂等の各種樹脂を配合してもよい。たとえば
次のようなものが例示される。
【0031】安定剤:ステアリン酸カルシウム、ハイド
ロタルサイト類、の金属塩等。 酸化防止剤:2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4−チ
オビス(6−t−ブチルフェノール)、2,2´−メチ
レン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、オクタデシル−3−(3´,5´−ジ−t−ブチ
ル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,
4´−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、トリ
ス(2,4−ジ−ターシャルブチルフェニル)ホスファ
イト、ジ(2,4−ジ−ターシャルブチルフェニル)−
ペンタエリスリトール−ジホスファイト、9,10−ジ
ハイドロ−9−オキサ−10ホスファフェナントレンな
どの燐酸エステル系酸化防止剤、ジラウリル−3,3´
チオ−ジ−プロピネートなどのチオエーテル系酸化防止
剤等。
【0032】紫外線吸収剤:エチル−2−シアノ−3,
3´−ジフェニルアクリレート、2−(2´−ヒドロキ
シ−5´−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2´−ヒドロキシ−3´−t−ブチル−5´−メチル
フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒド
ロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2´−ジヒ
ドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ
シ−4−オクトキシベンゾフェノン等。
【0033】可塑剤:フタル酸ジメチル、フタル酸ジエ
チル、フタル酸ジオクチル、ワックス、流動パラフィ
ン、燐酸エステル等。
【0034】帯電防止剤:ペンタエリスリットモノステ
アレート、ソルビンモノパルミテート、硫酸化オレイン
酸、ポリエチレンオキシド、カーボンワックス等。 滑剤:エチレンビスステアロイド、ブチルステアレート
等。
【0035】着色剤:カーボンブラック、フタロシアニ
ン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、酸化チタ
ン、ベンガラ等。
【0036】充填剤:グラスファイバー、アスベスト、
マイカ、セリサイト、タルク、ガラスフレーク、バラス
トナイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、モ
ンモリロナイト、ヘクトライト、バイデライト、ノント
ロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト
等。
【0037】次に本発明において重要な態様のひとつ
は、前記組成物からなる層(2)を中間層とし、外層の
透湿度が40g/m2・day以上の樹脂層(1)を設
け、さらに内層に透湿度20g/m2・day以下の樹
脂層(3)を設けることである。また他の重要な態様
は、前記組成物からなる層(2)を最外層とし、内層に
前記樹脂層(3)を設けることである。この様な層構成
をとることにより、レトルト後のガスバリヤー性の回復
が速く、回復後のガスバリヤー性は優れたものとなり、
同時にデラミネーション、しわ、部分白化、屈曲による
白化などの外観異常を生じないといった特徴を有する多
層包装体を得ることができる。
【0038】ここで内外層の透湿度は、JIS−Z−0
208に示された方法、すなわち吸湿剤を入れた金属カ
ップに内外層を構成しているフィルムをそれぞれ蓋材と
して取り付け密封し、温度40℃、相対湿度90%RH
中に放置し、重量増加を求め、その増加速度から算出す
る方法が便利である。
【0039】外層に透湿度40(g/m2・day)以
上の樹脂層(1)を設ける態様は、バリヤー性の回復が
早く、さらに、レトルト後の透明性の回復の十分である
のでより好適である。さらにまた110℃以上の高温で
処理した場合でも外層間の融着ブロッキングが無いので
好ましい。この場合、透湿度は、100以上の値を示す
樹脂層を使用するのがより好適である。40以下の値の
外層の場合はバリヤー性の回復が遅く保存性能に劣るだ
けでなく、レトルト後の透明回復性も十分でない。
【0040】外層に前記樹脂層(1)を設けない場合、
すなわち前記組成物層(2)を最外層とする態様はバリ
ヤー性、透明性の回復が早い。しかし、110℃以上の
高温では表面が僅かに軟化し、重量のあるパウチどうし
が接触した場合に表面が融着しブロッキングが発生する
場合がある。
【0041】この透湿度に影響する要因は樹脂の種類と
その厚みである。外層に好適な樹脂の種類としては、ポ
リアミド(ナイロン−6、ナイロン−6/6,6、ナイ
ロン−6/12など)、ポリエステル(ポリエチレンテ
レフタレートおよびその変性物、ポリブチレンテレフタ
レートおよびその変性物など)、ポリスチレン系樹脂、
ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合樹脂、お
よびポリカーボネートであり、これらは単独あるいは複
合して使用できる。しかしながら、レトルトに使用する
場合など、用途によっては、耐熱性も考慮にいれる必要
がある。またドライラミネートでは、無延伸品あるいは
二軸延伸品が選択できる。
【0042】具体的には、市販の二軸延伸ポリアミドフ
ィルム(15μ)や、二軸延伸ポリエステルフィルム
(12μ)は透湿度がそれぞれ、260g/m2・da
y、50g/m2・dayであり、外層材として好まし
い。
【0043】透湿度に影響する他の要因は、厚みであ
る。例えばポリプロピレンは20μで透湿度7である
が、この値は厚みに反比例して増加し、2μでは70と
なり本発明の適応範囲となる。しかしながら、後述する
ような一般的な多層化方法のうち製造上の制限を受ける
ものもある。例えば、ドライラミネートでは、単層フィ
ルムの市販品の有無、取扱い上の強度など薄肉化限界が
あったり、製品のそりなどの問題があって、実用化され
ていない。ただし、共押出、共押出ラミネートで上記の
ような薄化が可能であり、EVOH層の外側にポリプロ
ピレン系の樹脂を薄く使用することも可能である。
【0044】内層としては透湿度20g/m2・day
以下の樹脂層を用いることが重要で、このような透湿度
を有する内層を使用することにより高度なバリヤー性を
有する多層包装体が得られる。これは中間層の実質湿度
が低くなるためである。また、多層包装体としては透湿
度が低い方が内容物の水分の減量、あるいは内容物の吸
湿も防止できる。レトルト用途では外層と内層の透湿度
差が大きいほど、レトルト中に組成物が吸湿しても保存
中に水分が飛散し早くバリヤー性が回復するため好まし
い。
【0045】内層の透湿度も樹脂の種類と厚みに関係し
ているが、実用的な厚みは20μ以上、さらには40μ
以上が好ましい。
【0046】内層の樹脂の種類としては、耐熱性、熱シ
ール適性から、ポリエチレン(低密度、中密度、高密
度、直鎖状低密度など)、ポリプロピレン(プロピレン
ホモポリマー、プロピレン−エチレンコポリマーなどの
プロピレンコポリマー)、ポリ酢酸ビニル系樹脂などが
好適であるが、外層に使用した樹脂などとも複合するこ
とは可能である。
【0047】また多層化をする前に、アルミ、酸化珪
素、酸化アルミなどの蒸着膜を、既知の方法で形成して
おくこともできる。また、蒸着膜を形成させた別種のフ
ィルムとの組み合わせることもできこの場合は蒸着膜あ
るいは蒸着膜を形成させた別種のフィルムを本発明の樹
脂層の内側に設ける事がバリヤー性の点から好ましい。
【0048】多層化の方法は特に制限されないが、共押
出成形、共射出成形、押出ラミネート、ドライラミネー
ト、ウエットラミネートなどが挙げられる。これにより
シート、フィルム、ボトル、カップ、チューブで多層化
し、必要に応じ目的の形に付形したり、延伸(一軸、ま
たは二軸延伸)して使用される。
【0049】多層包装体を得る際、各層の接着性を向上
させるために接着性樹脂を使用することが好ましい場合
がある。ここで接着性樹脂としては、不飽和カルボン酸
またはその無水物(無水マレイン酸など)で変性(付
加、グラフトなど)したオレフィン系重合体または共重
合体{ポリエチレン(低密度ポリエチレン、直鎖状低密
度ポリエチレン)、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル}に代表
される接着性樹脂を使用することができる。ただし外層
側に使用する場合は、透湿度を考慮して厚みを制限する
必要がある。
【0050】このようにして得られた本発明の包装体
は、ガスバリアー性に優れており、合わせて、従来のE
VOHに見られなかった、卓越した耐熱水性を備えてい
る点から、通常の食品包装への使用、特にヒートシール
により密封される容器、袋、パウチ、容器の蓋や、ボイ
ル、レトルト殺菌食品の包装容器用素材として有用であ
る。また、食品以外の包装例えば、医薬品、農薬、化粧
品、洗剤、有機薬品、オーディオ部品、文具等などの非
食品類の包装用素材にも望ましい。
【0051】とくに本発明の包装体は、ボイル、レトル
ト殺菌用容器として有用であり、ここでボイル、レトル
ト殺菌は、通常の方法および条件を採用できる。レトル
ト処理は回収式、蒸気式、シャワー式、スプレー式など
の方法が採用できる。
【0052】
【実施例】
実施例1 エチレン含有量27モル%、酢酸ビニルエステル成分の
けん化度99.5モル%、190℃に外挿したMIが
1.6g/10分のEVOH(A、表にはA−1の項に
記載;DSCで測定した融点191゜C)を80重量
%、ポリアミド樹脂(B)としてナイロン−6/12共
重合体(カプロラクタムの単位とラウリルラクタムの単
位の重量比が90/10で融点が215℃、相対粘度が
2.5、190℃に外挿したMIが3.6g/10分)
20重量%の混合物を、40φ一軸フルフライトスクリ
ューを持つ(L/D=27)押出機にて220℃で溶融
押出しして、ブレンドペレットを得た。続いて、40φ
一軸フルフライトスクリュー、550mmのコートハン
ガーダイを持つ押出製膜機により樹脂温度230℃(吐
出量4kg/hr)で溶融後、98℃のキャストロール
にキャストし、15μの厚さの透明な無延伸フィルムを
得た。
【0053】続いて、このフィルムを5%の炭酸ジルコ
ニウムアンモニウム塩水溶液浴に50℃で浸せき処理し
た。ついでこのフィルムを定長下80℃で予備乾燥した
後、170℃で1分間熱処理した。該ジルコニウム化合
物含有フィルム中の原子吸光法により求めたジルコニウ
ム含有量を表1に示す。
【0054】次に上記フィルムを中間層とし、外層に市
販の二軸延伸ナイロン−6フィルム{ユニチカ(株)製
のエンブレム、厚み15μ、透湿度260g/m2・d
ay}、内側に市販の無延伸ポリプロピレンフィルム
{トーセロ(株)製、RXC−7,厚み50μ、透湿度
7g/m2・day}を選び、これにドライラミネート
用接着剤(二液型、ウレタン系)として武田薬品工業
(株)製のA−385/A−50を固形分として4g/
2塗布し、80℃で溶剤を蒸発させた後に、前記の組
成物フィルムを貼合わせ、40℃で5日エージングを行
い、多層フィルムを得た。
【0055】この多層フィルムを底部が折れ部を形成す
るスタンディングパウチを作成し、水/油(油10%;
日清製油製サラダ油)を入れた後、ヒートシールにより
密封した。これを、レトルト装置{(株)日阪製作所
製、高温高圧調理殺菌試験機、RCS−40RTGN}
を使用して、スチーム式で120℃、30分のレトルト
処理を実施した。レトルト処理後、20℃、65%RH
の室内で保存した。レトルト直後は白化していたが約3
0分で完全に透明化し、その他外観上の異常は全く見ら
れなかった。以上の結果を表1に示す。
【0056】実施例2 実施例1と同様のブレンドペレットを作成後、実施例1
と同様の押出製膜機を使用し、135μの厚さの延伸用
原反を得た。続いて、このフィルムを実施例1と同様に
処理してジルコニウム化合物含有フィルムを得、次に1
00゜Cで9倍(3×3)の同時二軸延伸を実施し、続
いて定長下、170℃で1分間熱処理した。ついでこの
フィルムを80℃で予備乾燥した後、170℃で1分間
熱処理した。該ジルコニウム化合物含有フィルム中の原
子吸光法により求めたジルコニウム含有量を表1に示
す。その後は実施例1と同様の処理および評価を行っ
た。結果を表1に示す。
【0057】実施例3 実施例1において、中間層に用いるEVOHとして、エ
チレン含有量27モル%、酢酸ビニルエステル成分のけ
ん化度99.5モル%、190℃に外挿したMIが1.
6g/10分のEVOH(A−1)75重量%およびエ
チレン含有量44モル%、酢酸ビニルエステル成分のけ
ん化度99.5モル%、190℃のMIが5.5g/1
0分のEVOH(A−2)5重量%の混合物を使用した
以外は実施例1と同様の処理および評価を行った。結果
を表1に示す。
【0058】実施例4 実施例3と同様のブレンドペレットを作成後、以降は実
施例2と同様の処理および評価を行った。結果を表1に
示す。
【0059】実施例5 実施例1で炭酸ジルコニウムアンモニウム塩をオキシ塩
化ジルコニウムに替えた以外は実施例1と同様の処理お
よび評価を行った。結果を表1に示す。
【0060】比較例1 実施例1において、ジルコニウム化合物浴による浸せき
処理を実施しなかった以外は実施例1と同様の処理およ
び評価を行った。結果を表1に示す(白化部分の断面を
顕微鏡観察したところブレンドEVOH層内に亀裂があ
った)。
【0061】比較例2 実施例2において、ジルコニウム化合物浴による浸せき
処理を実施しなかった以外は実施例2と同様の処理およ
び評価を行った。結果を表1に示す(白化部分の断面を
顕微鏡観察したところブレンドEVOH層内に亀裂があ
った)。
【0062】比較例3 実施例3において、ジルコニウム化合物浴による浸せき
処理を実施しなかった以外は実施例1と同様の処理およ
び評価を行った。結果を表1に示す(白化部分の断面を
顕微鏡観察したところブレンドEVOH層内に亀裂があ
った)。
【0063】比較例4 実施例4において、ジルコニウム化合物浴による浸せき
処理を実施しなかった以外は実施例1と同様の処理およ
び評価を行った。結果を表1に示す(白化部分の断面を
顕微鏡観察したところブレンドEVOH層内に亀裂があ
った)。
【0064】実施例6 実施例1において、市販の二軸延伸ナイロン−6フィル
ムを使用せず、中間層に用いるEVOHを外層に、内層
に実施例1で使用の無延伸ポリプロピレンフィルムを使
用した以外は実施例1と同様にして、二層ラミフィルム
を得た。その後は実施例1と同様の処理および評価を行
った。レトルト直後は白化していたが、約10分で完全
に透明化し、外観異常も認められなかった。結果を表1
に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【発明の効果】本発明の多層包装体は、優れた耐熱水性
を有し、さらにレトルト処理後の外観異常が少なく、し
かもレトルトによるガスバリヤー性の悪化が少なく、と
くに内容物が水/油においてもレトルト処理後に白化な
どの外観異常が少ない。それゆえ、食品包装、とりわけ
レトルト食品の包装に有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透湿度(40℃、90%RH下で測定し
    た値)が40g/m2・day以上の樹脂外層(1)、
    エチレン−ビニルアルコール共重合体51〜98重量%
    (A)とポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステルお
    よびポリカーボネートから選ばれる少なくとも一種の樹
    脂(B)2〜49重量%からなる組成物(C)の層であ
    り、かつ該層の少なくとも片面がジルコニウム化合物で
    処理されている中間層(2)および透湿度(40℃、9
    0%RH下で測定した値)が20g/m2・day以下
    の樹脂内層(3)を有する多層包装体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の中間層(2)を最外層
    とし透湿度(40℃、90%RH下で測定した値)が2
    0g/m2・day以下の樹脂内層(3)を有する多層
    包装体。
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