JP3457354B2 - フィルム,その製法および多層フィルム - Google Patents

フィルム,その製法および多層フィルム

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JP3457354B2 JP12428793A JP12428793A JP3457354B2 JP 3457354 B2 JP3457354 B2 JP 3457354B2 JP 12428793 A JP12428793 A JP 12428793A JP 12428793 A JP12428793 A JP 12428793A JP 3457354 B2 JP3457354 B2 JP 3457354B2
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment
    • C08F8/42Introducing metal atoms or metal-containing groups

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品等の包装用フィル
ムや容器等に使用される透明性およびガスバリヤー性が
高く、耐熱水性の良好なフィルムおよびこのフィルムを
少なくとも1層含む多層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、食品や医薬等の包装体において
は、その包装容器として金属缶、ガラスビン、各種プラ
スチック容器などが使用されているが、近年、軽量性、
形態の自由度、耐衝撃性、あるいはコストの面からプラ
スチック容器が各種の包装用容器として使用されてい
る。中でも、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以
下EVOHと記す)は、他の樹脂と比較して、ガスバリ
ヤー性、耐油性、保香性の極めて優れた溶融成形可能な
熱可塑性樹脂であり、種々の包装分野の包装用フィル
ム、特に食品包装用フィルム、シート、容器等の成形体
に好適に用いられてきた。
【0003】ところで、このようなEVOHは外部の湿
度や温度という環境変化により成形体のヤング率や耐衝
撃性等の物性が大きく変化したり、特にガスバリヤー性
の吸湿による変化が大きく、高湿度の環境下でガスバリ
ヤー性が低下するという欠点を有している。また、食肉
加工品の製造に代表されるような食品においては、ガス
バリヤー性の高いEVOHを積層使用した包装が好まれ
て使用されてきたが、製造工程途中の熱水処理工程で、
外層にEVOHを積層使用した場合にEVOH同士がブ
ロッキングを起こすという問題点が発生する。逆にEV
OHを内層に使用すれば、熱水処理工程でブロッキング
は起こらないが、湿潤な内容物との接触によりガスバリ
ヤー性が十分保持できないという欠点があった。
【0004】これらの欠点を改善することは、実用上極
めて重要である。吸湿によるガスバリヤー性の低下を補
うために、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどの
低吸水性の樹脂をEVOHフィルム、シートにラミネー
トして吸湿性を低下させる方法(特開昭60−1730
38、同60−28661、同62−207338)あ
るいは、EVOHフィルム、シート表面をアセタール化
して耐吸湿性を向上させるという方法(特開昭55−2
191、同53−65378)あるいは、EVOHに小
板状型の雲母を配合し高湿度下のガスバリヤー性を向上
させるという方法(特開昭64−43554)が提案さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ラミネート化
の方法は、得られたラミネート成形体も除々に吸湿し、
その結果、EVOHのガスバリヤー性が低下し、本質的
な解決にはならない。近年増大しているレトルト用途で
はラミネート成形体においても、EVOHの吸水による
ガスバリヤー性の低下が問題になっている。また、ラミ
ネート化の方法ではEVOHフィルムそのものの耐熱水
性の改善には到らない。アセタール化の手段はアセター
ル化の処理工程が複雑であり、経済的に不利であるため
実用化されるに到っていない。また、雲母を配合したE
VOHでは、不透明な外観の組成物となり、また耐熱水
性の改善が望めず、包装材として好ましくない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究した結果、EVOHからなる
フィルムまたは、EVOHを主体とする組成物からなる
フィルム(以下これらを「EVOHフィルム」とい
う。)を、特定のキレート化合物を用いて変性処理する
ことにより上記目的が達成されることを見い出した。な
おここでフィルムとはシートをも意味する。
【0007】更に、本発明者らは、上記のキレート化合
物による変性処理を中和剤および/または特定の助剤の
併用下に行うと、キレート化合物のフィルムへの拡散お
よび浸透が促進されて、処理を迅速に行うことができ、
連続操作が可能になることを見い出した。
【0008】すなわち、本発明は、EVOH中の水酸基
の少なくとも一部が下記の式(I);
【化6】 (式中、Mはクロム、鉄、ジルコニウム、コバルト、ニ
ッケル、チタン、アルミニウム、錫からなる群より選ば
れる少なくとも1種の金属原子、Rはアルキル基、Xは
ハロゲン原子を示す)で表される化合物の少なくとも1
種によって変性されたEVOHからなるフィルム、また
はEVOHを主体とする組成物からなるフィルムに関す
る。また本発明は該EVOHフィルムを、上記の式
(I)で表される化合物の少なくとも1種を含む処理剤
で処理した後、EVOHの融点未満の温度で熱処理する
ことを特徴とする該EVOHフィルムの製法に関する。
さらに本発明は、処理剤が、上記式(I)で表される化
合物の他に、(a)中和剤;および/または(b)水酸
基含有化合物を含む該EVOHフィルムの製法、および
該EVOHフィルムを少なくとも1層含み、かつ該フィ
ルムは最外層または中間層に配された多層フィルムに関
する。
【0009】以下本発明を具体的に説明する。本発明中
で使用のEVOHはエチレン−ビニルエステル系共重合
体けん化物であり、エチレン含量は20〜60モル%で
あることが好適であり、好ましくは25〜55モル%で
ある。エチレン含量が20モル%より小さいと、耐水
性、耐熱水性、耐湿性が低下するとともに、高湿度下の
ガスバリヤー性が損なわれ、耐ストレスクラッキング性
が低下し、また良好な溶融加工特性の保持も困難にな
る。一方、60モル%より大きいと、耐水性、耐熱水
性、耐湿性は改善されるものの、EVOH本来の優れた
ガスバリヤー性が悪くなる。いずれにしても包装用等の
材料としては不適切になる。ビニルエステル成分のけん
化度は95モル%以上であることが必要であり、好まし
くは98モル%である。けん化度が95モル%未満では
熱安定性が悪くなり、溶融加工時にゲルが発生しやすい
欠点が生じ、またガスバリヤー性、耐油性も低下し、E
VOH本来の特性を保持し得なくなり、本発明の効果を
享受し難くなる。ここにビニルエステルとしては酢酸ビ
ニルが代表的なものとしてあげられるが、他のビニルエ
ステル、例えば低級または高級脂肪酸ビニルエステル
(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)を使用
することができる。また前記ビニルエステルは1種以上
用いてもよいし、2種以上を用いることもできる。
【0010】本発明中において、EVOHとして、エチ
レン含量20〜60モル%、けん化度95モル%以上
で、かつビニルシラン含量0.0001〜0.5モル%
のケイ素含有EVOHが、本発明の目的に対してより満
足に使用できる。ケイ素を含有するオレフィン性不飽和
モノマーとしては、特開昭61−290046号等に開
示されているような、従来公知のモノマーが使用でき
る。たとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ
エトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニ
ルトリアセトキシシラン、ビニルトリプロピオニロキシ
シラン等が挙げられる。該ケイ素含有量はそれぞれの目
的に応じて選定されるが、0.0001〜0.5モル
%、特に0.001〜0.1モル%の範囲が好適であ
る。
【0011】また、EVOH(EVOHを主体とする組
成物の場合には該EVOH組成物)のメルトインデック
ス{ASTM D1238 65Tに準じて、温度19
0℃、荷重2.16kgの条件で測定した値(融点が1
90℃付近あるいは190℃を越えるものは2160g
荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフ
で絶対温度の逆数を横軸、メルトインデックスを縦軸と
してプロットし、190℃に外挿した値);以下MIと
記す}は、特に制限はないが、0.1〜50g/10分
である。さらに、本発明にいうEVOHは、本発明の目
的が阻害されない限り、少量の共重合モノマーで変性さ
れていてもよく、変性用モノマーとしては、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペン
テン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マ
レイン酸、フタル酸、イタコン酸、高級脂肪酸ビニルエ
ステル、アルキルビニルエーテル、N−ビニルピロリド
ン、N−ノルマルブトキシメチルアクリルアミド、N−
(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド類ある
いはその4級化物、N−ビニルイミダゾールあるいはそ
の4級化物を例示することができる。
【0012】またEVOHには、ナトリウム、カリウム
などのアルカリ金属またはカルシウム、マグネシウムな
どのアルカリ土類金属の酢酸塩、りん酸塩、りん酸の酸
性塩、ほう酸塩、塩化物、水酸化物、酸化物などを微量
と酢酸、ほう酸などの酸類を少量含んでいる方が、高温
での押出成形、押出加工時の熱安定性が良くなる。
【0013】(EVOHを主体とする組成物からなるフ
ィルム)さらに本発明に用いられるEVOHフィルムと
して、前記EVOHを主成分として他の熱可塑性樹脂
(以下これを樹脂(B)と略称する。)とのブレンド物
よりなるフィルムがある。すなわち、前記のEVOH5
1〜98重量%と、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ
エステルおよびポリカーボネートから選ばれる少くとも
一種の熱可塑性樹脂2〜49重量%とからなる組成物で
ある(以下これをEVOH組成物と略称することがあ
る。)。このEVOH組成物も、前記のEVOHのみで
構成されているフィルムと同様、接着性樹脂層を介し
て、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステルおよび
ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂層と積層させた後、
前記の式(I)に示した特定のキレート化合物を用いて
EVOH組成物中のEVOHの水酸基の一部を変性処
理、熱処理することにより、得られた積層体を容器又は
袋のような成形物を提供することができる。この際EV
OH組成物フィルム(層)は積層物の最外層又は内層の
いずれかを形成している。
【0014】このEVOH組成物からなるフィルム
(層)を形成する樹脂(B)として、まずポリアミドを
あげることができる。ポリアミドは3員環以上のラクタ
ム、重合可能なω−アミノ酸、または二塩基酸とジアミ
ンとの重縮合によって得られるポリアミドである。具体
的にはポリカプラミド(ナイロン−6)、ポリ−ω−ア
ミノヘプタン酸(ナイロン−7)、ポリ−ω−アミノノ
ナン酸(ナイロン−9)、ポリウンデカンアミド(ナイ
ロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−1
2)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン−
2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン−
4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−
6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−
6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン
−6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロ
ン−8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン
−10,8)、あるいはカプロラクタム/ラウリルラク
タム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム
/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン−6/9)、
カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペ
ート共重合体(ナイロン−6/6,6)、ラウリルラク
タム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合
体(ナイロン−12/6,6)、ヘキサメチレンジアン
モニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセ
バケート共重合体(ナイロン−6,6/6,10)、エ
チレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジア
ンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−2,6/
6,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニ
ウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケ
ート共重合体(ナイロン−6/6,6/6,10)、ポ
リヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン−6,
I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン
−6,T)、ヘキサメチレンイソフタルアミド/テレフ
タルアミド共重合体(ナイロン−6,I/6,T)など
が挙げられる。
【0015】また、これらのポリアミドにおいて、ジア
ミンとして2,2,4−および2,4,4−トリメチル
ヘキサメチレンジアミンなどの置換基導入した脂肪族ジ
アミンやメチルベンジルアミン、メタキシリレンジアミ
ンのような芳香族アミンの使用またはポリアミドへの変
性をしても構わない。さらに、ジカルボン酸として2,
2,4−および2,4,4−トリメチルアジピン酸のよ
うな置換基導入した脂肪族ジカルボン酸、1,4−シク
ロヘキサンジカルボン酸のような脂環式ジカルボン酸、
フタル酸、キシリレンジカルボン酸、アルキル置換テレ
およびイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸のような
芳香族ジカルボン酸の使用またはポリアミドへの変性を
しても構わない。また、これらのポリアミドは一種ある
いは二種以上混合した形で使用してもよい。
【0016】これらポリアミドの中で、本発明に最も有
効なものとしては、カプロラクタム/ラウロラクタム共
重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/ヘキ
サメチレンアジポアミド共重合体(ナイロン−6/6,
6)が挙げられる。両者ともカプロラクタム成分の共重
合比率に特に制限はないが、ナイロン−6/12の場合
は、カプロラクタム成分が94〜40重量%、ナイロン
−6/6,6の場合は、カプロラクタム成分が99〜5
0重量%のものがEVOHとの相溶性が良く好ましい。
また、90%蟻酸中で測定したポリアミドの相対粘度は
2.0〜4.2、好ましくは2.2〜3.8のものであ
る。
【0017】これらポリアミドとりわけナイロン−6/
12、ナイロン−6/6,6をポリエーテルジアミンや
ポリエーテルジカルボン酸を高分子鎖中に共重合させ、
エーテル結合を有するポリアミドとしても良い。また、
ラウリルアミンやメチルベンジルアミンなどを添加し、
ポリアミド中のカルボキシル基の量を減少させたものも
好ましい。その場合、アミノ末端基が8×10-5当量/
g以上で、カルボキシル末端基が3×10-5当量/g以
下とするとよい。
【0018】本発明中のEVOH組成物を形成する樹脂
(B)としては、ポリアミドが最適であるが、ポリアミ
ドに代えて、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカー
ボネートを使用することもできる。
【0019】樹脂(B)に用いるポリオレフィンとして
は、高密度、中密度あるいは低密度のポリエチレン;ポ
リプロピレン;酢酸ビニル、アクリル酸エステル、ある
いはブテン、ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなど
のα−オレフィン類を共重合したポリエチレン;アイオ
ノマー樹脂;エチレンをグラフト共重合したポリプロピ
レン;あるいはエチレン、ヘキセン、4−メチル−1−
ペンテンなどのα−オレフィン類を共重合したポリプロ
ピレン;ポリ−1−ブテン;ポリ−4−メチル−1−ペ
ンテン;あるいは上述のポリオレフィンにマレイン酸、
アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコ
ン酸などを作用させた変性ポリオレフィンなどを含んで
いる。カルボニル基を10〜1400ミリモル/100
g重合体、特に30〜1200ミリモル/100g重合
体の濃度で含有せしめた変性ポリオレフィン、とりわけ
変性ポリプロピレンが好ましく利用できる。
【0020】また、樹脂(B)に用いるポリエステルと
しては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンテレフタレート/イソフタレートなどに代表される飽
和ポリエステル系樹脂が代表として挙げられる。
【0021】本発明中の組成物を形成するEVOHとポ
リアミド、ポリオレフィン、ポリエステルおよびポリカ
ーボネートから選ばれる少なくとも一種の樹脂(B)と
の配合比はEVOH51〜98重量%と、樹脂(B)2
〜49重量%よりなる組成物である。EVOHの含量が
51重量%未満では、十分なガスバリヤー性が得られな
い。一方、EVOHの含量が98重量%を越えると熱水
ブロッキング性に劣る。EVOHと樹脂(B)の配合比
は、EVOH51〜98重量%、好ましくは60〜97
重量%、より好ましくは65〜95重量%であり、ポリ
アミド2〜49重量%、好ましくは3〜40重量%、よ
り好ましくは5〜35重量%である。
【0022】EVOHとポリアミド、ポリオレフィン、
ポリエステルおよびポリカーボネートから選ばれる少な
くとも一種の樹脂(B)からなる組成物のブレンド方法
としては、それぞれの樹脂をドライブレンド方法や、単
軸または二軸スクリュー押出機(同方向または異方
向)、インテンシブミキサー、連続式インテンシブミキ
サーなどによる溶融押出後、冷却下ペレット化する溶融
ブレンド法が用いられる。
【0023】本発明のEVOH組成物を用いても、なお
熱水ボイル時に屈曲を受けた場合には、組成物層にまれ
に白化が発生することがあるが、さらに本発明において
は、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステルおよび
ポリカーボネートから選ばれる少なくとも一種の樹脂
(B)2〜49重量%と、EVOHとして、エチレン含
有量20〜60モル%、好ましくは20〜45モル%、
より好ましくは25〜40モル%、ビニルエステル成分
のけん化度90モル%以上、好ましくは95モル%以
上、より好ましくは98モル%以上のEVOH(A−
1)50〜97重量%と、エチレン含有量30〜65モ
ル%でかつEVOH(A−1)よりエチレン含有量が4
モル%以上、好ましくは6モル%以上大きく、ビニルエ
ステル成分のけん化度90モル%以上、好ましくは93
モル%以上、より好ましくは95モル%以上のEVOH
(A−2)1〜48重量%よりなる組成物を用いること
により、熱水ボイル時に屈曲を受けた場合にも、組成物
層に白化が発生しないのでより好ましい。EVOH(A
−1)とEVOH(A−2)の配合比は、EVOH(A
−1)50〜97重量%、好ましくは60〜97重量
%、より好ましくは65〜95重量%と、EVOH(A
−2)1〜48重量%、好ましくは2〜45重量%、よ
り好ましくは2〜30重量%である。
【0024】また、EVOHと、ポリアミド、ポリオレ
フィン、ポリエステル、ポリカーボネートなどの組成物
には、本発明を阻害しない範囲で、酸化防止剤、色剤、
紫外線吸収剤、抗菌剤、スリップ剤、帯電防止剤、可塑
剤、ホウ酸などの架橋剤、無機充填剤、無機乾燥剤など
の各種添加剤、ポリオレフィン、高吸水性樹脂などの各
種樹脂を配合してもよい。
【0025】(キレート化合物によるEVOHの水酸基
の変性)本発明のEVOHフィルムは、EVOH中の水
酸基が、上記キレート化合物(I)の少なくとも1種に
よって変性されている必要がある。EVOHは1種類の
キレート化合物(I)のみによって変性されていても、
また2種類以上のキレート化合物(I)によって変性さ
れていてもよい。
【0026】キレート化合物(I)において、基Rによ
り示されるアルキル基は、炭素原子数9〜21の高級ア
ルキル基であるのが好ましい。該アルキル基としては、
ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル
基、イソステアリル基、オレイル基、ベヘニル基などで
あるが、特にステアリル基が好ましい。金属原子Mとし
ては、クロム、鉄、ジルコニウム、コバルト、ニッケ
ル、チタン、アルミニウム、錫等の金属原子を挙げるこ
とができ、クロムの場合は、キレート化合物(I)の安
定性が優れたものになる。ハロゲン原子Xは塩素、ヨウ
素、臭素またはフッ素であるが、塩素が好ましい。ま
た、キレート化合物(I)において、金属原子Mおよび
ハロゲン原子Xは単一でも2種以上の混合物でもよい。
【0027】キレート化合物(I)の好ましい具体例と
しては、下記の式(Ia);
【化7】 で表される化合物(以後「化合物(Ia)」という)
挙げることができ、この化合物(Ia)は、一方社油脂
製の「ゼブセンCR−N」(商品名)などとして入手可
能である。
【0028】キレート化合物(I)によってEVOHフ
ィルムの変性処理を行った場合には、脱塩酸反応が生じ
ることから、本発明のフィルムではEVOH中の水酸基
とキレート化合物(I)の中の金属原子に結合している
4個のハロゲン原子Xのうちの少なくとも1個との間に
結合が生じて、該水酸基の酸素原子を介して、下記の式
(II);
【化8】 (式中、RおよびMは上記と同じであり、〜は残り
の結合手を示す)で表される基によってEVOHが変性
されているものと判断される。
【0029】上記の式(II)で表される基において、残
りの結合手〜については、EVOH中の別の水酸基
と酸素原子を介して結合している場合、水酸基である場
合、もう一つの隣のキレート化合物(I)の結合手〜
のいずれかと結合してキレート化合物(I)の重合物
状となっている場合、またはそれらが混在している場合
が考えられる。いずれの場合も、キレート化合物(I)
はEVOHと化学結合してEVOH中に強固に結合含有
されており、水中浸漬等の処理を行ってもEVOHから
簡単に脱離しない。そして、キレート化合物(I)がE
VOH中の水酸基と結合すると同時に該残りの結合手
〜によりキレート化合物(I)の重合物を形成してい
る場合には、EVOHフィルムの表面にキレート化合物
(I)の皮膜が形成されることになる。
【0030】キレート化合物(I)によるEVOHフィ
ルム中の水酸基の変性割合は、EVOH中のビニルアル
コール単位のモル数に基づいて、0.0005〜2モル
%とするのがよく、特に0.002〜0.8モル%とす
るのがよい。変性は主としてフィルムの表面で起こって
いると考えられるが、変性割合としてはフィルム全体の
EVOH中のビニルアルコール単位のモル数に基づいて
扱うものとする。ここでいうビニルアルコール単位のモ
ル数とは、ケン化したビニルアルコール単位、未ケン化
の酢酸ビニル単位、およびビニルアルコールの水酸基が
アセタール化等によってエーテル基等になっている場合
はそのような基の合計のモル数をいう。
【0031】キレート化合物(I)による変性割合が
0.0005モル%より小さいと、フィルムの耐水性、
特に熱水ブロッキング性に代表される耐熱水性が低下す
る。一方、キレート化合物(I)による変性割合が2モ
ル%を超えると、EVOHフィルムの柔軟性が低下し、
また着色し好ましくない。
【0032】キレート化合物(I)による変性にあた
り、まずEVOHフィルムは従来の方法で製造される。
すなわち、EVOHペレットまたはEVOHと樹脂
(B)のペレット混合物をスクリューまたはプランジャ
ーを使用した押出成形機よりTダイまたはリングダイに
より溶融押出して成形される。このさい、該樹脂組成物
は吸湿性が高く、水分率が0.5%以上の場合はそのま
ま押出成形を実施すると発泡し良好なフィルムを得られ
ない。発泡しない良好なフィルムを得るには、好ましく
は水分率が0.25以下に乾燥することが望ましく、こ
のためには樹脂組成物ペレットを90〜120℃で乾燥
し、続いて乾燥ペレットを窒素置換したホッパーから押
出機に供給する。押出成形温度としては、該樹脂組成物
のEVOHの融点に合わせて決める必要がある。EVO
Hの融点は、そのエチレン含量とけん化度に大きく依存
し、エチレン含量が小さいほどおよびけん化度が高いほ
どEVOHの融点は高くなるが、成形温度としては融点
より20〜120℃高温の温度設定、好ましくは30〜
70℃高温の温度である。成形温度が低すぎると、該樹
脂組成物の溶融が不均一になりブツ状物が生成し、また
溶融粘度が上昇しスクリューにかかる負荷が増大し好ま
しくない。一方成形温度が高すぎると、該樹脂組成物の
EVOHの熱安定性が低下し、熱劣化によるゲル化、ス
クリュー部分のコゲの発生による押出運転時間の低下を
引き起こし好ましくない。該樹脂組成物の溶融物は前記
したTダイまたはリングダイにより溶融押出し、続いて
冷却用ロールまたは冷却用リングなどにより冷却後し
て、EVOHフィルムが得られる。冷却の際の温度とし
ては40〜100℃、好ましくは50〜95℃である。
冷却後のフィルムは熱処理を施しても構わない。
【0033】本発明のEVOHフィルムには、本発明の
目的が阻害されない範囲においてあらかじめ他の熱可塑
性組成樹脂、充填剤、可塑剤、滑材、乾燥剤、酸化防止
剤、熱安定剤、紫外線吸収材、着色剤などを配合するこ
とは自由である。特に、ゲル化発生防止対策として、ハ
イドロタルサイト系化合物、ステアリン酸カルシウムな
どの高級脂肪酸の金属塩、酢酸マグネシウム、ヒンダー
ドフェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤の一種ま
たは二種を添加することは好適である。
【0034】このようにして得られたEVOHフィルム
のキレート化合物(I)による変性は、キレート化合物
(I)を含有する処理剤で処理することにより行う。通
常処理剤は水溶液の形態にしておくのがよく、水溶液と
して用いる場合においてキレート化合物(I)の濃度に
特に制限はないが、通常約0.3〜10%の範囲になる
ようにするのがよい。
【0035】この場合において、処理剤中にキレート化
合物(I)や該キレート化合物(I)と水との反応によ
り生成した塩酸等を中和するため、または生成した塩酸
等により金属製の処理容器が腐食するのを防ぐために中
和剤を含有させておくと、処理剤の安定性が増し望まし
い。中和剤としては、ヘキサメチレンテトラミン、水酸
化ナトリウム、炭酸ナトリウム等を挙げることができ、
加熱安定性の点からヘキサメチレンテトラミンが好まし
い。中和剤の使用量は、キレート化合物(I)の重量に
基づいて2〜10重量%、特に4〜6重量%とするのが
よい。
【0036】EVOHフィルムをキレート化合物(I)
で変性処理する際の処理操作は限定されず、EVOHフ
ィルムの変性が円滑に行われる方法であればいずれも使
用できる。例えば、EVOHフィルムに該処理剤を、4
0℃以下の温度で、浸漬、エアナイフコート、メイヤー
バーコート、キャスティングヘッドからの吐出、ロール
コート、ドクターロールコート、ドクターナイフコー
ト、スプレーの手段によりEVOHフィルムと接触処理
し、処理剤をEVOHフィルム中へ膨潤、拡散させる方
法が挙げられる。
【0037】上記の40℃以下の温度での接触処理時
に、処理剤中に、水酸基含有化合物、例えばグリセリ
ン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、イ
ソプロピルアルコールから選ばれる少なくとも1種を、
キレート化合物(I)の10重量%以下、好適には10
〜0.5重量%添加しておくと、EVOHフィルムの膨
潤、EVOHフィルムへのキレート化合物(I)の拡散
・浸透を促進させることができ、その結果、所望の変性
割合を得る際の接触処理の時間を短縮化することができ
る。上記の水酸基含有化合物の使用割合が10重量%を
超えると、得られるフィルムの耐熱水性が逆に低下し好
ましくない。
【0038】キレート化合物(I)で変性処理を行った
EVOHフィルムは、次に通常100℃以下の温度で乾
燥して水分等を蒸発させる。次いで、100℃以上で且
つEVOHの融点未満の温度で熱処理を行い、変性処理
を完了せしめる。この乾燥、熱処理としては、例えば赤
外線照射処理法、熱風乾燥処理法などが例示される。
【0039】本発明では、変性処理を行う前後におい
て、EVOHフィルムを一軸延伸、逐次二軸、同時二軸
延伸しても構わない。また、変性処理および延伸操作の
あと、EVOHフィルムを100℃以上で且つEVOH
の融点未満の温度で熱処理を行ってもよい。
【0040】また、キレート化合物(I)により変性さ
れたEVOHフィルムを作成するにあたり、EVOHフ
ィルムをホウ酸、またはホウ酸と強酸・強塩基の塩を含
有する水溶液を塗布または該水溶液中に浸漬する処理等
によりホウ酸をEVOHフィルム中に含浸する処理を行
ってもよい。該処理は、前記したキレート化合物(I)
を含む処理液の蒸発・乾燥工程、EVOHフィルムの延
伸工程のいずれの工程の前後でもよい。
【0041】上記ホウ酸処理の際に、ホウ酸の濃度は特
に制限はないが、1g/リットル以上とするのがよく、
2g/リットル以上がより好ましい。また、ホウ酸と強
酸・強塩基の塩の両方を加える場合は、ホウ酸の濃度は
特に制限はないが、0.5g/リットル以上、強酸・強
塩基の塩の濃度は特に制限はないが、0.5g/リット
ル以上が好ましい。ホウ酸と組み合わせて使用する強
酸、強塩基の塩としては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウ
ム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等を挙げることがで
き、硫酸ナトリウムが好ましい。
【0042】(多層フィルムとしての利用)本発明はE
VOH単層フィルムとして用いることもできるが、該フ
ィルムを1層とし、この内外層に耐湿性熱可塑性樹脂を
有する多層フィルムとして用いることが、ボイル殺菌ま
たはレトルト殺菌用などの熱水処理用包装材料としてよ
り効果的である。以下この多層フィルムについて説明す
る。EVOH又はEVOHを主体とする組成物フィルム
層と積層する樹脂としては、耐湿性に優れた疎水性熱可
塑性樹脂、とくにポリオレフィン系樹脂が代表的なもの
としてあげられる。ポリオレフィン系樹脂としては、高
密度、中密度あるいは低密度のポリエチレン;ポリプロ
ピレン;酢酸ビニル、アクリル酸エステル、あるいはブ
テン、ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−
オレフィン類を共重合したポリエチレン;アイオノマー
樹脂;エチレンをグラフト共重合したポリプロピレン;
あるいはエチレン、ヘキセン、4−メチル−1−ペンテ
ンなどのα−オレフィン類を共重合したポリプロピレ
ン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテ
ン、あるいは上述のポリオレフィンに無水マレイン酸な
どを作用させた変性ポリオレフィンなどを含んでいる。
この中でポリプロピレン(PP)類が本発明の目的に最
も適している。
【0043】また、熱可塑性樹脂としては、ポリε−カ
プロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリメ
タキシリレンアジパミドなどのポリアミド系樹脂、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレ
ート/イソフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリ
スチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−
イソプレン共重合体などのポリスチレン系樹脂またはポ
リカーボネート系樹脂などがあげられる。上記の熱可塑
性樹脂はEVOH又はEVOHを主体とする組成物の層
を中間層として内外層とも同一でも良いし、異なってい
てもよい。
【0044】さらに本発明の多層フィルムとして、基材
(例えば前記の熱可塑性樹脂フィルムまたはシート)に
少くとも1層のEVOH、又はEVOHを主体とする組
成物を最外層とする多層フィルムを製造した後、最外層
のEVOHを前記の式(I)で表わされるキレート化合
物の少くとも1種によってEVOHの水酸基を変性させ
た多層フィルムを挙げることができる。この構造を有す
る多層フィルムは熱水処理後のガスバリヤー性の回復が
早いので実用上有利である。EVOH又はEVOHを主
体とする組成物を基材に積層するに当っては、キレート
化合物で未処理のものを積層する必要がある。キレート
化合物で変性済みのEVOH又はEVOH組成物を基材
に積層するには、コロナ処理などの前処理を施すことが
必要となる。
【0045】なお、この多層フィルムを製造するに当
り、予め基材の片面にシーラントを積層して置き、次い
で基材の反対の面にEVOH又はEVOH組成物の層を
積層してもよい。積層されるシーラントとしては、ポリ
プロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミ
ド、ポリアクリロニトリルなどがあげられ、これらを単
独で用いてもよいし、2種以上ブレンドして用いてもよ
いし、多層体にしてもよい。しかしながらシーラントは
基材よりも低融点または低軟化点であるものが望まれ
る。また、EVOH又EVOH組成物、基材、シーラン
トは共押出しして多層フィルムとすることもできる。さ
らに、この三層の間に接着性樹脂を用いて積層すること
もできる。
【0046】この多層フィルムの記載としては、前記熱
可塑性樹脂よりなる無延伸フィルムまたはシート、一軸
延伸フィルム、二軸延伸フィルム、圧延フィルムなどで
ある。さらにセロハン、アルミニウム箔なども基材とし
て用いることができる。基材には金属または金属酸化物
が蒸着されていても良いし、また基材に印刷が施されて
いて良いし、アンカーコート剤が塗布されていてもよい
し、それら処理が2種以上施されていてもよい。この多
層フィルムを成形した容器に内容物を充填した後、熱処
理を受けるので、これらの基材のうちで、熱処理温度よ
りも融点またはビカット軟化点が高いものを少くとも1
層含む基材が望ましい。
【0047】シーラントに用いられるポリプロピレンと
しては、プロピレンのホモポリマー、及びプロピレンを
主成分とする、エチレン、ブテン−1、5−エチリデン
−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネ
ン、1,4−ヘキサジエンなどとの共重合体、さらには
無水マレイン酸などのカルボン酸、その塩またはそのエ
ステルでグラフト変性されたものなどがあげられる。
【0048】シーラントに用いられるポリエチレンとし
ては、エチレンのホモポリマーである高密度ポリエチレ
ン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及びエ
チレンを主成分とする、プロピレン、ブテン−1、4−
メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテン、5
−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−
ノルボルネン、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸などとの共重合体があげら
れる。前記共重合体のうちアクリル酸やメタクリル酸と
の共重合体は、ナトリウム、亜鉛、アルミニウムなどで
架橋されていても良いし、また酢酸ビニルとの共重合体
は、酢酸ビニル成分の一部または全てが鹸化されていて
も良い。また当該ポリエチレンは、無水マレイン酸など
のカルボン酸、その塩またはそのエステルでグラフト変
性されていても良い。
【0049】またシーラントに用いられるポリエステル
としては、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、
1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、4,4´−ジヒ
ドロキシジフェニル−2,2−プロパン、グリセリン、
ペンタエリスリトールなどの多価アルコール成分と、パ
ラヒドロキシ安息香酸、δ−バレロラクトン、ε−カプ
ロラクトン、酒石酸などのヒドロキシカルボン酸と、テ
レフタール酸、イソフタール酸、各種ナフタレンジカル
ボン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ピメリン酸、アジ
ピン酸、グルタル酸、コハク酸などの多価カルボン酸及
びそのエステル成分を原料として得られるポリエステル
などがあげられる。
【0050】さらにシーラントに用いられるポリアミド
としては、ヘキサメチレンジアミン、ピベラジン、テト
ラメチレンジアミン、エチレンジアミン、メタキシリレ
ンジアミンなどのジアミン成分と、δ−バレロラクタ
ム、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、ω−ア
ミノウンデカン酸、ω−アミノドデカン酸などのアミノ
カルボン酸成分と、各種ナフタリンジカルボン酸、テレ
フタール酸、イソフタール酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ピメリン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸な
どの多価カルボン酸成分を原料として得られるポリアミ
ドなどがあげられる。
【0051】さらにまたシーラントに用いられるポリア
クリロニトリルとしては、アクリロニトリルを主成分と
し、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、ブタジエ
ンなどとの共重合体などがあげられる。
【0052】これらシーラントあるいは基材には、本発
明を阻害しない範囲で、酸化防止剤、色剤、紫外線吸収
剤、スリップ剤、帯電防止剤、可塑剤、架橋剤、無機充
填剤、無機乾燥剤などの各種添加剤、熱可塑性樹脂など
の各種樹脂を配合してもよい。
【0053】本発明の多層フィルムを製造するには、従
来公知の共押出法、ドライラミネート法、サンドラミネ
ート法、押出ラミネート法など各種の積層方法を用いる
ことができる。本発明の多層フィルムの一部の層を共押
出法によって作成する場合には中間層と内外層は接着性
樹脂の層をはさんで積層する通常の方法が採用される。
接着性樹脂としては、実用段階でデラミネーション(層
間剥離)を起こさないものであればよく、特に制限され
ない。またこれらの接着性樹脂にはEVOHを本発明の
効果が損われない範囲で混合することも可能である。共
押出法において耐湿性熱可塑性樹脂からなる内外層に
は、本発明の多層容器を製造する際に発生するスクラッ
プを原料として使用することもできるし、スクラップを
内外層とは独立した層として使用してもよい。またドラ
イラミネート法を採用する場合には外層、中間層および
内層の3種あるいはそれ以上のフィルムを張り合せる方
法が一般的であり、ドライラミネート用接着剤としては
層間接着力が充分であれば特に限定されるものではな
い。ドライラミネート法を採用する場合、各フィルム面
を予めコロナ処理、オゾン処理、火災処理等、層間接着
力をさらに強固にするための前処理を実施することも通
常行われる。
【0054】基材にEVOH又はEVOH組成物を積層
するに当っては、ドライラミネート法、ポリサンドラミ
ネート法、ホットメルトラミネート法、ウエットラミネ
ート法が適用される。また基材にEVOH又はEVOH
組成物の溶液をコーティングする方法も採用できる。さ
らに基材にEVOH又はEVOH組成物を含む単層又は
多層溶融体を共押出しコートする方法も採用できる。こ
れらの方法においては、適宜接着性樹脂又は接着剤を各
層間に介在させることができる。
【0055】本発明において、接着性樹脂としては、オ
レフィンとα,β−不飽和カルボン酸または該カルボン
酸無水物との共重合体(他の共重合可能なモノマーを含
んでいても良い)、およびポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリブテン−1などのベースポリオレフィン樹脂に
α,β−不飽和カルボン酸又は該カルボン酸無水物をグ
ラフト重合したものである。α,β−不飽和カルボン酸
または該カルボン酸無水物含量(グラフト量)は0.0
005〜0.5モル%、好ましくは0.001〜0.4
モル%である。全てのベースポリオレフィン樹脂にα,
β−不飽和カルボン酸または該カルボン酸無水物がグラ
フト変性している方が望ましいが、高濃度グラフト変性
ポリオレフィン樹脂の種ポリマーと未変性ポリオレフィ
ン樹脂とのブレンド物で、最終的なグラフト量が上記範
囲内にあっても良い。α,β−不飽和カルボン酸として
は、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、イ
タコン酸、フマール酸、アクリル酸、メタクリル酸など
が例示されるが、無水マレイン酸が好適である。
【0056】これらの接着性樹脂には、本発明を阻害し
ない範囲で、酸化防止剤、色剤、紫外線吸収剤、スリッ
プ剤、帯電防止剤、可塑剤、架橋剤、無機充填剤、無機
乾燥剤などの各種添加剤を配合してもよい。さらにまた
接着性樹脂層は、2種以上の接着性樹脂のブレンド物で
あっても良いし、2種以上の接着性樹脂からなる多層体
であっても良い。
【0057】ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテ
ン−1などのベースポリオレフィン樹脂において、エチ
レンを主成分とする、プロピレン、ブテン−4、4−メ
チルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテン、5−
エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノ
ルボルネン、ブタジエンなどのエチレンと共重合可能な
モノマーの1種または2種以上との共重合体をベースと
し、無水マレイン酸でグラフト変性した接着性樹脂が共
押出コート時にアンカーコート剤を使用しなくても基材
と実用接着力を発揮するのでより好適である。
【0058】本発明のフィルム、多層フィルム、包装
材、とりわけ熱水処理用の包装材として使用した時、最
もその特徴が発揮される。フィルム包装材の用途として
はふた材、パウチ類、真空包装、スキンパック、深絞り
包装、ロケット包装などがあげられる。ふた材はガスバ
リヤー材を主体とした容器にヒートシール法によりシー
ル密封する方法が好適である。パウチ類は三方シール、
四方シール、ピロー、ガセット、スタンディングパウチ
などの形態で使用される。またバッグインボックスの形
で使用することもできる。
【0059】本発明の単層フィルムまたは中間層の厚さ
は2μ〜60μが好適であり、さらに好適には4μ〜4
0μである。また内外層の耐湿性熱可塑性樹脂の層の厚
みはそれぞれ10μ〜250μが好適であり、さらに好
適には15μ〜100μである。多層フィルムの全厚み
はそれぞれ15μ〜600μが好適であり、さらに好適
には20μ〜250μである。
【0060】また、EVOH又はEVOH組成物を最外
層とする多層フィルムにおいても上述の積層方法のう
ち、基材に少なくとも1層のEVOH層を含む多層溶融
体を共押出コートする方法が、高速加工、EVOH層厚
みの薄層化などの経済性の点で最も好ましい。多層溶融
体の構成例としては、EVOH/接着性樹脂、EVOH
/接着性樹脂/EVOH、EVOH/接着性樹脂/EV
OH/接着性樹脂、EVOH/接着性樹脂/熱可塑性樹
脂、EVOH/接着性樹脂/EVOH/熱可塑性樹脂、
EVOH/接着性樹脂/EVOH/接着性樹脂/熱可塑
性樹脂などが例示され、EVOH層の各厚みは1〜60
μm、好適には2〜40μm、より好適には4〜30μ
mである。また接着性樹脂の層の各厚みは1〜20μ
m、好適には2〜15μm、より好適には4〜10μm
である。多層溶融体の全厚みは、基材の耐熱性により異
なるが、2〜80μm、好適には4〜50μm、より好
適には6〜30μmである。
【0061】本発明の包装材のふた材、パウチ類の形で
使用した容器は熱水殺菌処理されるが、これらの処理方
法としては公知の熱水加熱処理方法および条件を採用す
ることができる。レトルト処理は回収式、置換式、シャ
ワー式、スプレー式等の各種方法が採用される。
【0062】上述した本発明の包装材に内容物、特に食
品を充填後、必要に応じ公知の手段で内部を脱気状態に
して、あるいは窒素ガス、炭酸ガスなどの不活性ガスで
内部を置換した後に熱シールなどの手段で密封し、続い
て、例えば100℃以下のいわゆるボイル処理あるいは
100℃を超える温度条件下、とりわけ105〜135
℃で実施されるレトルト処理のような熱水または蒸気
(特に高温、高圧蒸気滅菌)で殺菌処理され、包装体を
得ることができる。
【0063】充填される内容物としては食品が主にあげ
られる。ここで食品としては、そのまま喫食されるか、
喫食に先だって加温されるような調理済みまたは半調理
の食品が適している。次に殺菌食品類の例を示す。調理
済みカレー、調理済みハヤシ、ビーフシチュウ、ボルシ
チ、ミートソース、酢豚、すき焼き、中華あん、八宝
菜、肉じゃが、おでん、アスパラガスゆで煮、スイート
コーン、マッシュルーム、ツナクリーム煮、コンソメ、
ポタージュ等の各種スープ類、味噌汁、豚汁、けんちん
汁、米飯、釜飯、炒飯、ピラフ、粥類、スパゲッティ、
そば、うどん、ラーメン、ヌードル、釜飯の素、中華そ
ばの素などの添加用食品類、ゆであずき、ぜんざい、あ
んみつ、肉団子、ハンバーグ、ビーフステーキ、ロース
トポーク、ポークソテー、コンビーフ、ハム、ソーセー
ジ、焼魚、焼肉、焼鳥、ローストチキン、ポークケチャ
ップ、魚肉くんせい、ベーコン、かまぼこ、プリン、ゼ
リー、ようかん、各種ペットフード類などがあげられ
る。
【0064】
【実施例】以下実施例により本発明を更に具体的に説明
するが、本発明はこれによって何ら限定を受けるもので
はない。なお、部は重量部を意味している。 実施例1〜3 エチレン含量27モル%、酢酸ビニル成分のけん化度が
99.5モル%、MIが1.4g/10分、融点190
℃のEVOHのペレットを105℃で乾燥した後(水分
率は0.2%であった)、径40mmのフルフライト型
スクリューと500mm幅のコートハンガーダイ(温度
230℃)を有する押出機および表面温度80℃のキャ
スティングロール(冷却ロール)を用いて溶融製膜を実
施し、厚さ15μの組成物の無延伸フィルム(f)を得
た。このフィルム(f)を化合物(Ia)(ゼブランC
R−N;純度25%)の濃度を変えた表1中のキレート
化合物処理浴に入れて、常温下で10秒間含浸によりキ
レート化合物処理を行った。このキレート化合物処理E
VOHフィルムの水酸基の化合物(Ia)による変性割
合は以下のようにして求めた。すなわち、EVOHから
エチレン単位の重合割合(モル%)を差し引いた値をビ
ニルアルコール単位と見なし、このビニルアルコール単
位のうちで上記化合物(Ia)によって変性された割合
(モル%)をキレート化合物処理EVOHフィルム中の
原子吸光法により測定したクロム含有率の値から算出し
て求めた。
【0065】次いで、このフィルムを80℃で予備乾燥
した後、150℃で1分間乾熱処理した。得られたフィ
ルムの外観は処理前と変わらず、無色透明であった。得
られたフィルムをポリプロピレンフィルム(厚さ50
μ)を使用し、コロナ処理面にドライラミネートを実施
し、2層の積層フィルムを得た。ドライラミネート用接
着剤としてはタケラックA−385(武田薬品工業
(株)製)を主剤にタケネートA−10(武田薬品工業
(株)製)を硬化剤として使用した。接着剤の塗布量は
4.0g/m2であった。ラミネート後、40℃、3日
間養生を実施した。この積層フィルムを85℃および9
9℃の熱水中に3分間浸漬後、熱水中でEVOH面同士
を押し付けで耐熱水性の評価を実施した。また、該積層
体の20℃、85%RHでの酸素がス透過量(Mode
rn Control社製のOX−TRAN 10/5
0Aで測定)を測定した。以上の結果を表1に示す。
【0066】実施例4 実施例1でフィルム(f)を120℃で1分間、定長下
で熱処理した以外は実施例1と同様の処理および評価、
測定を実施した。以上の結果を表1に示す。
【0067】実施例5 実施例1でキレート化合物処理を行った後、ホウ酸濃度
10g/リットル、硫酸ナトリウム濃度10g/リット
ルのホウ酸処理浴に常温で30秒浸漬し、その後は実施
例1と同様の処理および評価、測定を実施した。以上の
結果を表1に示す。
【0068】実施例6 実施例1と同様の溶融製膜で厚さ100μのフィルムを
作成し、実施例1と同様のキレート化合物処理を行った
後、直ちに2×2倍の二軸延伸を90℃で実施し、その
後は実施例1と同様の処理および評価、測定を実施し
た。以上の結果を表1に示す。
【0069】実施例7 実施例1でキレート化合物処理を行なう際、グリセリン
を化合物I(a)に対し2重量%添加した以外は、実施
例1と同様の処理および評価、測定を実施した。以上の
結果を表1に示す。
【0070】比較例1 実施例1で、キレート化合物処理を行わなかった以外は
実施例1と同様の処理および評価、測定を実施した。以
上の結果を表1に示す。
【0071】
【表1】 (註) *1 熱処理はキレート化合物処理前に実施 *2 化合物(Ia)に対しヘキサメチレンテトラミン
を5重量%添加 *3 最終処理として実施 *4 単位 cc・20μ/m2・day・atm、2
0℃、85%RH
【0072】実施例8〜10 エチレン含有量27モル%、酢酸ビニル成分のけん化度
99.5モル%のEVOH(A−1)を75重量%と、
エチレン含有量44モル%、酢酸ビニル成分のけん化度
99.5モル%のEVOH(A−2)を5重量%と、ナ
イロン6/12共重合体(共重合重量比率90/10)
のポリアミド(B)を20重量%よりなる組成物を22
0℃でブレンドペレット化した。
【0073】厚さ25μmのOPP(東京セロファン紙
(株)製 トーセロ HC−OP)に、組成物を230
℃に溶融させ、接着性樹脂(D)(三井石油化学工業
(株)製ADMER SE800(ポリエチレン系接着
性樹脂))を240℃に溶融させ、組成物層の厚みを1
0μm、接着性樹脂層の厚みを3μmとし、接着性樹脂
がOPPの非コロナ処理面に70m/分で共押出コート
を行い、OPP/接着性樹脂/組成物構成の共押出コー
トによる積層体を得、続いて、もう一方のOPP面にア
ンカーコート剤を固形分として0.2g/m2塗布し、
70℃で溶剤を蒸発させた後、シーラントとして低密度
ポリエチレン(三井石油化学工業(株)製ミラソン1
1)を320℃に溶融し、厚み20μmで押出ラミネー
トし、最後に低密度ポリエチレン(三井石油化学(株)
製 ミラソン11)を290℃に溶融し、厚み40μm
で押出ラミネートして積層フィルムを得た。
【0074】この積層フィルムを化合物(Ia)(ゼブ
ランCR−N;純度25%)の濃度を変えた表1中のキ
レート化合物処理浴に入れて、常温下で10秒間含浸に
よるキレート化合物処理を行った。このキレート化合物
処理積層フィルムの組成物層中のEVOHの水酸基に対
する化合物(Ia)による変性割合は実施例1と同様に
して、キレート化合物処理積層フィルム中の原子吸光法
により測定したクロム含有率の値から算出して求めた。
【0075】次いで、このキレート化合物処理積層フィ
ルムを80℃で予備乾燥した後、150℃で1分間乾熱
処理した。該積層フィルムで、水100mlを封入し
た、縦230mm、横150mmの4方袋を得た。この
包装体を2個重合させたものを5個(合計10袋)、9
9℃で45分間熱水処理した。どの袋にもデラミネーシ
ョン(層間剥離)などの外観変化や袋同士のブロッキン
グは見られず、良好な耐ボイル性を有していた。また、
熱水処理後20℃,65%RHに1日放置した後の酸素
透過量をモダンコントロール社製 OX−TRAN 1
0/50型を用い(20℃,65%RH(袋外部側)〜
20℃,100%RH(袋内部側)で測定)て測定し
た。以上の結果を表2に示す。
【0076】実施例11 実施例8において、EVOH(A−1)を加えなかった
以外は、実施例8と同様の処理および評価、測定を実施
した。熱水処理により、どの袋にもデラミネーションや
袋同士のブロッキングは見られず、良好な耐ボイル性を
有していた、10袋中1袋のみ屈曲によると想定される
非常に小さな白化が1か所見られた。以上の結果を表2
に示す。
【0077】実施例12 実施例8でキレート化合物処理を行った後、ホウ酸濃度
5g/リットル、硫酸ナトリウム濃度5g/リットルの
ホウ酸処理浴に常温で30秒浸漬し、その後は実施例8
と同様の処理および評価、測定を実施した。以上の結果
を表1に示す。
【0078】比較例2 実施例8において、ポリアミド(B)を加えなかった以
外は、実施例8と同様の処理および評価、測定を実施し
た。以上の結果を表2に示す。
【0079】比較例3 実施例8において、キレート化合物による処理を行わな
かった以外は、実施例8と同様の処理および評価、測定
を実施した。以上の結果を表2に示す。
【0080】
【表2】 (註) *1 化合物(Ia)に対しヘキサメチレンテトラミン
を5重量%添加 *2 単位 cc/m2・day・atm.
【0081】実施例13〜15 厚さ25μmのOPP(東京セロファン紙(株)製 ト
ーセロ HC−OP)に、エチレン含有量32モル%、
酢酸ビニル成分の鹸化度99.5モル%のEVOHを2
50℃に溶融させ、接着性樹脂(三井石油化学工業
(株)製 アドマーSE800)を240℃に溶融さ
せ、EVOHの厚みと接着性樹脂の厚みを各々5μmと
2μm合計7μm、および10μmと4μm合計14μ
mとし、接着性樹脂がOPPのヒートシール面と接触す
るように70m/分で共押出コートを行い、OPP/接
着性樹脂/EVOH構成の共押出コートによる多層フィ
ルムを得た。
【0082】該多層フィルムを化合物(Ia)(ゼブラ
ンCR−N;純度25%)の濃度を変えた表3中のキレ
ート化合物処理浴に入れて、常温下で10秒間含浸によ
るキレート化合物処理を行い、ついで、該多層フィルム
を80℃で予備乾燥した後、140℃で1分間乾熱処理
した。このキレート化合物処理EVOHのアルコール性
水酸基の化合物(Ia)による変性割合は実施例1と同
様にして求めた。
【0083】得られたフィルムのOPP面に、アンカー
コート剤を固形分として0.2g/m2塗布し、70℃
で溶剤を蒸発させた後、シーラントとして低密度ポリエ
チレン(三井石油化学工業(株)製 ミラソン11)を
320℃に溶融し、厚み20μmで押出ラミネートし、
最後に該低密度ポリエチレンを290℃に溶融し、厚み
40μmで押出ラミネートして積層フィルムを得た。
【0084】この積層フィルムを98℃の熱水中に30
分間浸漬後、熱水中でEVOH面同士を押付け耐熱水性
の評価を実施した。また、該積層フィルムの20℃、6
5%RHでの酸素ガス透過量(Mordern Con
trol社製のOX−TRAN 10/50Aで測定)
を測定した。以上の結果を表3に示す。
【0085】実施例16 実施例14でキレート化合物処理を行った後、ほう酸濃
度10g/l、硫酸ナトリウム濃度10g/lのほう酸
処理浴に常温で30秒浸漬し、その後は実施例14と同
様の処理および評価、測定を実施した。以上の結果を表
3に示す。
【0086】実施例16 実施例13において、キレート化合物処理を行う際に、
グリセリンを化合物(Ia)に対し2重量%添加した以
外は、実施例13と同様の処理および評価、測定を実施
した。以上の結果を表3に示す。
【0087】実施例17 実施例13において、厚さ25μmのOPPにかえて、
厚さ12μmのPET(ダイアホイル(株)製 H−5
00)にアンカーコート剤を固形分として0.2g/m
2塗布し、70℃で溶剤を蒸発させた後、実施例13の
EVOHを250℃に溶融させ、接着性樹脂(住友化学
工業(株)製 ボンダイン TX8030(ポリエチレ
ン系))を280℃に溶融させ、各々の厚み10μmと
し、接着性樹脂面をオゾン処理(オゾン濃度15g/m
3の空気を160ml/m2の割合で吹付けた)し、接着
性樹脂がPETと接触するように80m/分で共押出コ
ートを行い、PET/接着性樹脂/EVOH構成の共押
出コートによる多層フィルムを得た。
【0088】該多層コートフィルムのPET面にドライ
ラミネート用接着剤(武田薬品工業(株)製 タケラッ
ク A−385/タケネート A−50を6対1の比で
混合)を、固形分として3g/m2塗布し、70℃で溶
剤を蒸発させた後、厚さ60μmの低密度ポリエチレン
フィルム(アイセロ化学(株)製 スズロンL S20
1)を積層し、積層しフィルムを得た。
【0089】該積層フィルムを表3中のキレート化合物
処理浴に入れて、常温下で10秒間含浸によるキレート
化合物処理を行い、ついで、該多層フィルムを80℃で
予備乾燥した後、140℃で1分間乾熱処理した。その
後は実施例13と同様の処理および評価、測定を実施し
た。以上の結果を表3に示す。
【0090】実施例18 厚さ400μmのCPP(無延伸ポリプロピレン、出光
石油化学(株)製 ピュアレイ FG)に、エチレン含
有量44モル%、酢酸ビニル成分の鹸化度99.5モル
%のEVOHを250℃に溶融させ、接着性樹脂(三井
石油化学工業(株)製 アドマー QF550)を25
0℃に溶融させ、EVOHの厚みと接着性樹脂の厚みを
各々20合計40μmとし、接着性樹脂がCPP面と接
触するように50m/分で共押出コートを行い、CPP
/接着性樹脂/EVOH構成の共押出コートによる多層
シートを得た。ついで、表3中のキレート化合物処理浴
に入れて、常温下で10秒間含浸によるキレート化合物
処理を行った後、該多層フィルムを80℃で予備乾燥し
た後、140℃で1分間乾熱処理した。該多層シートよ
り絞り比0.3の熱成形カップを得、実施例13と同様
の評価、測定を実施した。以上の結果を表3に示す。
【0091】比較例4 実施例13において、キレート化合物処理を行わなかっ
た以外は実施例13と同様の処理および評価、測定を実
施した。以上の結果を表3に示す。
【0092】比較例5 エチレン含有量32モル%、酢酸ビニル成分の鹸化度9
9.5モル%のEVOHを230℃で押出し、20μm
の無延伸フィルムを得た。該フィルムを、表3中のキレ
ート化合物処理浴に入れて、常温下で10秒間含浸によ
るキレート化合物処理を行い、ついで、該多層フィルム
を80℃で予備乾燥した後、140℃で1分間乾熱処理
した。
【0093】ドライラミネート用接着剤(武田薬品工業
(株)製 タケラック A−969とタケネート A−
5を6対1の重量比で混合)を固形分として3g/m2
塗布し、70℃で溶剤を蒸発させた後、その塗布面に前
記フィルムを速度20m/分で積層した。その後は実施
例13と同様の処理および評価、測定を実施した。以上
の結果を表3に示す。
【0094】
【表3】 (註) *1 化合物(Ia)に対してヘキサメチレンテトラミ
ンを5重量%添加 *2 単位 ml/m2・day・atm.
【0095】
【発明の効果】以上説明したように本発明のEVOHま
たはEVOHを主体とする組成物からなるフィルムは透
明性、ガスバリヤー性および耐熱水性に優れており、こ
のフィルムを少くとも1層含み、かつ該フィルムを最外
層または中間層に配された多層フィルムは、食品、医薬
品、工業薬品などの包装材に適したものである。
フロントページの続き (72)発明者 廣藤 俐 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社ク ラレ内 (56)参考文献 特開 平6−25911(JP,A) 特開 平2−80663(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 8/00 - 8/50

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン−ビニルアルコール共重合体中
    の水酸基の少なくとも一部が下記の式(I); 【化1】 (式中、Mはクロム、鉄、ジルコニウム、コバルト、ニ
    ッケル、チタン、アルミニウム、錫からなる群より選ば
    れる少なくとも1種の金属原子、Rはアルキル基、Xは
    ハロゲン原子を示す。)で表される化合物の少なくとも
    1種によって変性されたエチレン−ビニルアルコール共
    重合体からなるフィルム。
  2. 【請求項2】 エチレン−ビニルアルコール共重合体5
    1〜98重量%と、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ
    エステルおよびポリカーボネートから選ばれる少なくと
    種の樹脂2〜49重量%とからなり、かつエチレン
    −ビニルアルコール共重合体の水酸基の少なくとも一部
    が下記の式(I); 【化2】 (式中、Mはクロム、鉄、ジルコニウム、コバルト、ニ
    ッケル、チタン、アルミニウム、錫からなる群より選ば
    れる少なくとも1種の金属原子、Rはアルキル基、Xは
    ハロゲン原子を示す。)で表される化合物の少なくとも
    1種によって変性されていることを特徴とするエチレン
    −ビニルアルコール共重合体を主体とする組成物からな
    るフィルム。
  3. 【請求項3】 エチレン−ビニルアルコール共重合体か
    らなるフィルム、またはエチレン−ビニルアルコール共
    重合体を主体とする組成物からなるフィルムを下記の式
    (I); 【化3】 (式中、Mはクロム、鉄、ジルコニウム、コバルト、ニ
    ッケル、チタン、アルミニウム、錫からなる群より選ば
    れる少なくとも1種の金属原子、Rはアルキル基、Xは
    ハロゲン原子を示す。)で表される化合物の少なくとも
    1種を含む処理剤で処理した後、エチレン−ビニルアル
    コール共重合体の融点未満の温度で熱処理することを特
    徴とする請求項1または2に記載のフィルムの製法。
  4. 【請求項4】 処理剤が式(I)で表される化合物の他
    に、(a)中和剤および/または(b)水酸基含有化合
    物を含む請求項3記載の製法。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載のフィルムを少
    なくとも1層含み、かつ該フィルムは最外層または中間
    層に配された多層フィルム。
  6. 【請求項6】 エチレン−ビニルアルコール共重合体中
    の水酸基の少なくとも一部が下記の式(I); 【化4】 (式中、Mはクロム、鉄、ジルコニウム、コバルト、ニ
    ッケル、チタン、アルミニウム、錫からなる群より選ば
    れる少なくとも1種の金属原子、Rはアルキル基、Xは
    ハロゲン原子を示す。)で表される化合物の少なくとも
    1種によって変性されたエチレン−ビニルアルコール共
    重合体からなる包装容器。
  7. 【請求項7】 エチレン−ビニルアルコール共重合体5
    1〜98重量%と、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ
    エステルおよびポリカーボネートから選ばれる少なくと
    も1種の樹脂2〜49重量%とからなり、かつエチレン
    −ビニルアルコール共重合体の水酸基の少なくとも一部
    が下記の式(I); 【化5】 (式中、Mはクロム、鉄、ジルコニウム、コバルト、ニ
    ッケル、チタン、アルミニウム、錫からなる群より選ば
    れる少なくとも1種の金属原子、Rはアルキル基、Xは
    ハロゲン原子を示す。)で表される化合物の少なくとも
    1種によって変性されていることを特徴とするエチレン
    −ビニルアルコール共重合体を主体とする組成物からな
    る包装容器。
  8. 【請求項8】 請求項6または7記載の包装容器からな
    るボイル殺菌用またはレトルト殺菌用包装容器。
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