JPH0732745Y2 - 直貼り床構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、床材がコクリート床スラブ等からなる床下地
の上に接着剤等により敷設される直貼り床構造の改良に
関する。

（従来の技術） 上記の直貼り床構造としては、床下地上面の凹凸を吸収
したり、或いは上階で発生する床衝撃力を吸収させて階
下に伝わる床衝撃音に低減するため、床板の下面にクッ
ション材が設けられた床材を床下地上に直接敷設したも
のが知られている。

この場合、床板の周端部に床荷重が加わると、床板の中
央部に床荷重が加わった場合に比べて床板の下面のクッ
ション材が圧縮され易い。このため、上記のように床板
の下面にクッション材が設けられた床材を床下地に直接
敷設すると、床材の周端部つまり床材の壁際部や継目部
において床面が沈み込み易いという現象が生じる。

そこで、通常、床下地の上面におけ壁際部等に、クッシ
ョン材と略同厚で帯板状の合板からなる際根太やクッシ
ョン材と同高のＺ字状の支持金具を釘打ち等により取り
付ける一方、床板下地のクッション材を上記際根太或い
は支持金具に相当する幅だけ取り除き、しかる後、床材
を接着剤等により床下地の上に貼着する直貼り床構造を
採用することにより、床材の壁際部や継目部における床
面の沈み込みを防止している。

（考案が解決しようとする課題） しかるに、上記の直貼り床構造によると、際根太や支持
金具を床下地の上に取り付ける作業及びクッション材を
際根太や支持金具に相当する幅だけ床板から取り除く作
業が必要になるという問題や、壁根太や支持金具を釘打
ちにより床下地に取り付ける場合には施工時に階下に騒
音が発生するため、床の改造を行なう際に階下に迷惑を
かけることがあるという問題がある。

上記に鑑みて、本考案は、際根太や支持金具を床下地に
取り付ける作業及びクッション材を床板から取り除く作
業を不要にすることにより、施工性の良い直貼り床構造
を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本考案が講じた解決手段は、直貼り床構造を、床板の下
面にクッション材が設けられてなる床材をコンクリート
床スラブ等からなる床下地上に敷設する直貼り床構造を
対象とし、合成樹脂等の型材からなり上記クッション材
の厚さより若干小さい開口幅の断面略コ字状の嵌合部を
有する荷重支持部材の該嵌合部は、上記クッション材の
周端部に、連続して若しくは適宜間隔をおき且つ上記嵌
合部の上辺部を上記床板のクッション材との間に挿入せ
しめた状態で嵌合され、且つ上記荷重支持部材は上記嵌
合部の上辺部の上面から突出する立上り部を有し該立上
り部が上記床板の端面に当接している構成とするもので
ある。

（作用） 上記の構成により、クッション材の厚さより若干小さい
開口幅の断面略コ字状の嵌合部を有する荷重支持部材が
クッション材の周端部に嵌合部の上辺部を床板とクッシ
ョン材との間に挿入せしめて嵌合されているため、床板
の上面に加わる床荷重を嵌合部の垂直部が支えるので、
床材の周端部つまり壁際部や継目部における床面の沈み
込みを防止することができる。

また、嵌合部はその上辺部を床板とクッション材との間
に挿入した状態でクッション材の周端部に嵌合されてい
るので、クッション材を切り欠く手間が不要であり、簡
易な施工方法で荷重支持部材を床材に取り付けることが
できる。

さらに、荷重支持部材の立上り部が床板の端面が当接し
ているため、荷重支持部材の嵌合部の上辺部が床板から
荷重を受けた場合、嵌合部の垂直部が外側に膨れるよう
に変形しようとしても、立上り部が床板の方に傾くこと
が阻止されることにより、嵌合部の垂直部が外側に膨れ
る事態が回避される。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は、本考案の一実施例に係る直貼り床構造を示
し、該直貼り床構造は、床板１の下面にクッション材２
が設けられてなる床材３を、コンクリート床スラブから
なる床下地４の上に接着剤５により接着したものであ
る。

床板１としては、合板やパーティクルボード等からなり
床面に加わる荷重に耐える強度を有しているものを用い
ることができる。

クッション材２としては、発泡ポリエチレンマットや発
泡ゴムマット等の発泡マット、或いは合成繊維や天然繊
維等のフェルトからなる繊維マットを使用することがで
きるが、繊維マットは弾力性及び復元性に富むと共に、
コンクリート床スラグとのなじみ性がよいので好まし
い。

接着剤５としては、エポキシ系或いはゴム系のものであ
って、クッション材２と床下地４との材質に応じて適宜
選択可能である。

以上のような直貼り床構造において、本実施例の特徴と
して、第１図及び第２図に示すように、クッション材２
の周端部に適宜間隔をおいて合成樹脂例えば塩化ビニー
ル樹脂等の型材からなる所望長さの荷重支持部材６が設
けられている。尚、本実施例においては荷重支持部材６
は適宜間隔をおいて設けられているが、床材３の全長に
亘って連続して設けてもよい。

荷重支持部材６は、床材３のクッション材２の厚さより
も若干小さい開口幅の断面コ字状の嵌合部6aを有し、該
嵌合部6aはその上辺部6bが床板１とクッション材２との
間に挿入された状態でクッション材２の周端部に嵌合さ
れている。この場合、クション材２が繊維マット等から
なる場合には床板１とクッション材２との接着面を一部
剥離させて嵌合部6aの上辺部6bを両者間に挿入すること
ができる。尚、クッション材２が発泡マット等で床板１
とクッション材２との接着力が強い場合には、カッター
ナイフ等により両者間に隙間を設けてから上辺部6bを挿
入してもよい。

上記のように、嵌合部6aの上辺部6bが床板１とクッショ
ン材２との間に挿入されていると共に、クッション材２
が嵌合部6aの内部に若干圧縮された状態で嵌入されてい
るので、荷重支持部材６は床材３に確実に保持されてい
る。

このように、嵌合部6aをクッション材２の周端部に嵌合
するだけで荷重支持部材６は床材３に保持されるので、
荷重支持部材６を極めて容易に床材３に取り付けること
ができる。このような観点から、嵌合部6aの上辺部6bと
しては、床板１とクッション材２との間に挿入し易いよ
うな厚さに設定することが好ましいと共に、その先端が
テーパー状に形成されていることが好ましい。

また、床板１の周端部の上面に床荷重が加わった場合、
該床荷重は嵌合部6aの垂直部6cによって支えられるの
で、床材３の周端部に対応する床下地１の上に際根太や
Ｚ字状の支持金具を配設しなくても床面の沈み込みが確
実に防止することができる。また、荷重支持部材６が合
成樹脂等の型材によって構成されており且つ荷重支持部
材６の嵌合部6aの内部にクッション材２が嵌入されてい
るため、床板１の上面に床衝撃力が加わった場合、該床
衝撃力は嵌合部6aの垂直部6c及び嵌合部6a内のクッショ
ン材２によって吸収されるので、床衝撃力は階下に伝わ
り難い。このような観点から、嵌合部6aの垂直部6cは、
床板１の上面に加わる床荷重に耐える一方、床板１の上
面に加わる床衝撃力で撓む程度の厚さに設定することが
好ましい。

また、嵌合部6aの下辺部6dの厚さは、該下辺部6dによっ
て床板１の周端部上面が高くならない程度に設定するこ
とが好ましい。

さらに、本実施例の特徴として、荷重支持部材６は嵌合
部6aの上辺部6bの上面における壁際側の端部に立上り部
6eを備えており、該立上り部6eと床材１の端面とは接着
材により接着されている。これにより、荷重支持部材６
は床材３に確実に保持されている。

第３図は前記実施例の第１変形例を示し、該第１変形例
は荷重支持部材６が床材３の継目部に設けられた場合を
示している。該第１変形例においては、床板１の端面に
互いに嵌合し得る形状の突条1aと条溝1bとからなる実加
工部が設けられていると共に、荷重支持部材６は床材３
の条溝1bを有する側に取り付けられており、荷重支持部
材６の立上り部6eの上端面は対向する床板１の突条1aの
下面に当接している。これにより、突条1aが荷重支持部
材６の立上り部6eによって下側から支えられているの
で、床材３の継目部に床衝撃力が加わっても該継目部が
局部的に沈み込むことがない。内。該第１変形例に代え
て、荷重支持部材６を床材３の突条1aを有する側に取り
付けると共に、立上り部6eの上端面を突条1aの下面に当
接させてもよい。

第４図は前記実施例の第２変形例を示し、該第２変形例
においては、荷重支持部材６は立上り部6eの上端が上辺
部6bと同方向つまり床材３の中央部側に延びてなる水平
部6fを備えている。これにより、床板１の突条1aの下面
の床材１の条溝1bの上面との間に荷重支持部材６の水平
部6fが介在しており、該床材１の継目部に床衝撃力が加
わった場合に実加工部同士が擦れ合って発生するきしみ
音の防止が図られている。このような観点から、第２変
形例の荷重支持部材６においては、立上り部6eが硬質材
で、水平部6fが軟質材で各々形成されるように一体成形
することが好ましい。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案に係る直貼り床構造による
と、クッション材の厚さより若干小さい開口幅の断面略
コ字状の嵌合部を有する荷重支持部材の該嵌合部がクッ
ション材の周端部に嵌合されているため、床板の上面に
加わる床荷重は嵌合部の垂直部が支えるので床面の沈み
込みを防止することができると共に、嵌合部をクッショ
ン材の周端部に嵌合するだけで荷重支持部材は床材に保
持されている。

このため、際根太や支持金具を床下地に取り付ける作業
及びクッション材を床板から取り除く作業を行なうこと
なく、つまり極めて簡易な施工方法によって床材の壁際
部や継目部における床面の沈み込みを確実に防止でき
る。

また、荷重支持部材の立上り部が床材の床板の端面に当
接しているため、荷重支持部材の嵌合部の上辺部が床板
から荷重を受けた場合、嵌合部の垂直部が外側に膨れる
ように変形しようとしても、立上り部が床板の方に傾く
ことが阻止されることにより、嵌合部の垂直部が外側に
膨れる事態が回避されるので、嵌合部の垂直部が隣の床
板の側面下端又は壁面と接触し、歩行時に床鳴りが発生
することを防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は第２図は本考案の一実施例に係る直貼り床構造
を示し、第１図は断面図、第２図は平面図、第３図は前
記実施例の第１変形例に係る直貼り床構造の断面図、第
４図は前記実施例の第２変形例に係る直貼り床構造の断
面図である。 １……床板 ２……クッション材 ３……床材 ４……床下地 ６……荷重支持部材 6a……嵌合部 6b……上辺部 6c……垂直部 6d……下辺部 6e……立上り部 6f……水平部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】床板の下面にクッション材が設けられてな
   る床材をコンクリート床スラブ等からなる床下地上に敷
   設する直貼り床構造であって、合成樹脂等の型材からな
   り上記クッション材の厚さより若干小さい開口幅の断面
   略コ字状の嵌合部を有する荷重支持部材の該嵌合部が、
   上記クッション材の周端部に、連続して若しくは適宜間
   隔をおき且つ上記嵌合部の上辺部を上記床板とクッショ
   ン材との間に挿入せしめた状態で嵌合され、且つ上記荷
   重支持部材は上記嵌合部の上辺部の上面から突出する立
   上り部を有し該立上り部が上記床板の端面に当接してい
   ることを特徴とする直貼り床構造。