JPH0732725Y2 - 二重屋根用軒先面戸 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、簡易且つ迅速に施工できる二重屋根用軒先面
戸に関する。

〔従来の技術及びその課題〕

従来より、断熱性，耐久性に勝れた下部屋根及び上部屋
根よりなる二重屋根が多く施工されている。該二重屋根
の軒先に面戸を取り付けるものであるが、従来では、該
面戸の面戸主板の外周に、取付用の折曲片が形成されて
おり、その折曲片を上下の屋根の間に差し込むものであ
った。しかし、下部屋根が馳締タイプ又は嵌合タイプの
場合には、その軒先まで馳締部又は嵌合用キャップ材等
による嵌合部があるために、その馳締部や嵌合部が邪魔
になって面戸の取付が極めて困難であった。

〔課題を解決するための手段〕

そこで考案者は、前記課題を解決すべく、鋭意，研究を
重ねた結果、その考案を、上部主板と下部主板とが幅方
向に互い違いとなるように傾斜状主板を介して形成し、
それぞれの上下辺より略直角に屈曲する、上部頂片，上
部底片、下部頂片，下部底片、上部傾斜状側片，下部傾
斜状側片をそれぞれ形成し、該下部傾斜状側片と前記上
部底片との両隅角部略全体に切欠きを形成し、前記上部
底片は下部屋根の軒先端の下面側にのみ接触可能とし、
且つ前記下部傾斜状側片及び下部底片は下部屋根の軒先
端の上面側にのみ接触可能とした二重屋根用軒先面戸と
したことにより、これを二重屋根に使用することで、簡
易かつ迅速に取付ができ施工性が優れた構造とすること
ができ、上記課題を解決したものである。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を第１図乃至第８図に基づいて説
明する。

Ａは本考案の二重屋根用軒先面戸であって、実際には、
複数の二重屋根用軒先面戸A,A,…を幅方向に連結して略
Ｍ字状又はＷ字状に連続した状態で使用される（第１図
参照）。

その二重屋根用軒先面戸Ａは、上部主板１と下部主板２
とが幅方向に互い違いとなるように、上部主板１の幅方
向の一端と下部主板２の幅方向の一端とが傾斜状主板３
にて連続形成されたものである。上部主板１は、その上
辺より上部頂片1aが形成され、下辺より上部底片1bが形
成されている（第２図，第３図参照）。

下部主板２の上片には、下部頂片2aが形成されており、
その下辺には、下部底辺2bが形成されている。傾斜状主
板３の上部側の傾斜辺には上部傾斜状側片3aが、また下
部側の傾斜辺には下部傾斜状側片3bがそれぞれ形成され
ている。前述の何れの片も、それぞれの主板、即ち、上
部主板1,下部主板2,傾斜状主板３それぞれに対して略直
角に屈曲形成されている。

該下部傾斜状側片3bと前記上部主板１の上部底片1bとの
隅角箇所略全体には、僅かな間隔をあけたり、或いは、
切り込みを設けたりして切欠き４として形成されている
（第２図乃至第４図，第７図参照）。これによって、前
記上部底片1bは後述の下部屋根Ｂの軒先端の平坦状部5b
の下面側にのみ接触可能とし、且つ前記下部傾斜状側片
3b及び下部底片2bは下部屋根Ｂの軒先端の上面側にのみ
接触可能に構成されている。

その二重屋根用軒先面戸Ａは、その連結箇所にて種々の
実施例が存在し、その第１実施例は、第２図に示すよう
に、隣接する二重屋根用軒先面戸A,Aの連結が上部主板
１箇所で行われるものである。具体的には、下部主板２
の幅方向両端より傾斜状主板3,3が形成され、該傾斜状
主板3,3の上端より連結して上部主板１を構成する連結
用上部主板1cが形成されている。該連結用上部主板1cは
上部主板１の幅方向において略半分長さとなっており、
その両連結用上部主板1c,1cの一方（第２図において右
側）には、連結片1dが形成されている。該連結片1dは連
結用上部主板1cより僅かな段差（二重屋根用軒先面戸Ａ
が形成される金属板の厚さに略等しい）を設けて連結用
上部主板1cの内方（上部頂片1a,上部底片1bが形成され
ている側）に形成されている。その連結用上部主板1c及
び連結片1dには、リベット，ボルト・ナット用の貫孔が
穿設される。その隣接する二重屋根用軒先面戸A,Aの連
結用上部主板1c,1cが連結片1dを介してリベット，ボル
ト・ナット等の固着具にて連結固着され、複数の二重屋
根用軒先面戸A,A,…が形成されている。

また、図示しないが、二重屋根用軒先面戸Ａの連結箇所
を下部主板２に設けることもある。面戸主板の第２実施
例としては、二重屋根用軒先面戸Ａの連結箇所を傾斜状
主板3,3に設けたものである。該実施例の二重屋根用軒
先面戸Ａは、具体的には第４図に示すように、上部主板
１と下部主板２とがそれぞれ１つずつ傾斜状主板3,3,…
にて連結され、Ｎ型状又は逆Ｎ型状に形成されている。
その両外端の傾斜状主板3,3は、連結用傾斜主板3c,3cと
して形成されている。該連結用傾斜主板3c,3cは、連結
して傾斜状主板３を形成する構成となっている。その両
連結用傾斜主板3c,3cの一方（第４図において右側）の
外端には連結片3dが段差をおいて屈曲形成されている。
その連結用傾斜主板3c,3c同士の連結もリベット，ボル
ト・ナット等の固着具にて接合されるものである。

二重屋根は、下部屋根Ｂと上部屋根Ｃとから構成されて
いる。下部屋根Ｂにも、上部屋根Ｃにも、馳締タイプの
ものや嵌合タイプのものがある。その馳締タイプのもの
は、単位馳締屋根板５にて構成されている。具体的に
は、第１図等に示すように、有底Ｖ字状部5aの上端より
外方に平坦状部5b,5bが形成され、該両平坦状部5b,5bの
外端より馳締連結片5c,5dがそれぞれ形成されている。
その両平坦状部5b,5bは、水平状或いは外方上向きに僅
かに傾斜して形成されることもある。馳締連結片5c,5d
は、一方（第１図における単位馳締屋根板５における右
側）が下馳として、他方（第１図における単位馳締屋根
板５における左側）が上馳として馳締結合されて、下部
屋根Ｂ又は上部屋根Ｃとして葺成施工されている。ま
た、図示しないが、その馳締連結片5c,5dが逆Ｌ形状で
左右対称をなし、別の馳締用キャップ材とで馳締結合さ
れることもある。

その嵌合タイプのものは、単位嵌合屋根板６にて構成さ
れている。具体的には、第８図等に示すように、具体的
には、有底Ｖ字状部6aの上端より外方に平坦状部6b,6b
が形成され、該平坦状部6b,6bの外端より、上片が内方
を向く逆Ｌ形状の被嵌合部6c,6cが形成されている。こ
のような単位嵌合屋根板６には、嵌合用キャップ材７が
使用される。該嵌合用キャップ材７は前記被嵌合部6c,6
cに嵌合可能な嵌合脚部7b,7bが上部片7aの幅方向両端に
形成されたものである。そして隣接する単位嵌合屋根板
6,6の対向する被嵌合部6c,6c上に嵌合用キャップ材７が
配置され、嵌合脚部7b,7bが被嵌合部6c,6cに嵌合固着さ
れ、下部屋根Ｂ又は上部屋根Ｃとして葺成施工される。

図中８は中間支持具であって、下部屋根Ｂ上に載置固着
され、その中間支持具８の上方にて上部屋根Ｃを支持す
るものである。９は受金具であって、頂部に吊子10を固
着し、上部屋根Ｃを支持するものであり、その受金具９
は構造材11上に載置固着されている。

〔作用〕

まず、二重屋根の上下が単位馳締屋根板5,5で形成され
ている場合には（第１図，第５図，第６図参照）、複数
の本考案の二重屋根用軒先面戸Ａを連結箇所にて連結
し、複数連続した二重屋根用軒先面戸A,A,…を形成し、
次いで、二重屋根の下部屋根Ｂの軒先端に配置し、二重
屋根用軒先面戸Ａの上部主板１の上部頂片1aが単位馳締
屋根板５の平坦状部5bの下面に挿入固定され、且つ下部
頂片2aと傾斜状主板３の上部傾斜状側片3aが上部屋根Ｃ
の単位馳締屋根板５の有底Ｖ字状部5aの下面側に配置さ
れ、上部底片1bが下部屋根Ｂの単位馳締屋根板５の平坦
状部5bの下面側に配置され、切欠き４を介して、下部底
片2bと傾斜状主板３の下部傾斜状側片3bとが下部屋根Ｂ
の単位馳締屋根板５の有底Ｖ字状部5aの上面に配置され
ている。このとき、特に、切欠き４を介して、下部傾斜
状側片3bが単位馳締屋根板５の上側に、上部底片1bが単
位馳締屋根板５の下側に配置されるものである。このよ
うな配置後、リベット等で固定されている。

また、二重屋根の上下が単位嵌合屋根板６で形成されて
いる場合（第８図参照）には、下部屋根Ｂへの取付は、
第１図と同様であるが、上部屋根Ｃなる単位嵌合屋根板
６への取付は、二重屋根用軒先面戸Ａの上部主板１の上
部頂片1aが単位嵌合屋根板６の平坦状部6bの下面に挿入
固定され、且つ下部頂片2aと傾斜状主板３の上部傾斜状
側片3aが上部屋根Ｃの単位嵌合屋根板６の有底Ｖ字状部
6aの下面側に配置固定されている。

〔考案の効果〕

本考案においては、上部主板１と下部主板２とが幅方向
に互い違いとなるように傾斜状主板３を介して形成し、
それぞれの上下辺より略直角に屈曲する、上部頂片1a,
上部底辺1b、下部頂片2a,下部底片2b、上部傾斜状側片3
a,下部傾斜状側片3bをそれぞれ形成し、該下部傾斜状側
片3bと前記上部底片1bとの両隅角部略全体に切欠き４を
形成し、前記上部底片1bは下部屋根Ｂの軒先端の下面側
にのみ接触可能とし、且つ前記下部傾斜状側片3b及び下
部底片2bは下部屋根Ｂの軒先端の上面側にのみ接触可能
とした二重屋根用軒先面戸としたことにより、該二重屋
根用軒先面戸を二重屋根に使用することで、まず第１に
二重屋根の軒先への取付が極めて良好にできるし、第２
に二重屋根の軒先の強度を向上させることができるし、
第３に二重屋根の軒先を整然とすることができ、第４に
積雪に対しても強固にできる等の効果を奏する。

これらの効果について詳述すると、従来では、二重屋根
の軒先に面戸を取り付けるには、その面戸の面戸主板よ
り形成した屈曲片をその二重屋根の下部屋根Ｂと上部屋
根Ｃとの間に差し込むようにして取り付けるものであっ
たが、その下部屋根Ｂが馳締タイプ或いは嵌合タイプの
ときには、馳締部や嵌合箇所が邪魔になって、面戸の屈
曲片を下部屋根Ｂの頂部に配置することができず、面戸
の取付が極めて困難となっていた。しかるに、本考案に
よれば、二重屋根用軒先面戸Ａの上部主板１の上部底片
1bと傾斜状主板３の下部傾斜状側片3bとの両隅角部略全
体に切欠き４が形成され、前記上部底片1bは下部屋根Ｂ
の軒先端の下面側にのみ接触可能とし、且つ前記下部傾
斜状側片3b及び下部底片2bは下部屋根Ｂの軒先端の上面
側にのみ接触可能としたことで、下部傾斜状側片3bが下
部屋根Ｂの折板の上側面に、上部底片1bが下部屋根Ｂの
折板頂部の馳締部又は嵌合部が存在する上側面でなく、
下側面に配置でき、下部屋根Ｂの上側に設けた馳締部又
は嵌合部が何ら邪魔にならずに、極めて良好に二重屋根
用軒先面戸の取付施工ができる効果を奏する。

次に、本考案の二重屋根用軒先面戸は、上部主板１に上
部頂片1a,上部底片1bがそれぞれ形成されており、下部
主板２には下部頂片2a,下部底片2bがそれぞれ形成され
ており、さらに傾斜状主板３には上部傾斜状側片3a,下
部傾斜状側片3bがそれぞれ形成されているので、本考案
の二重屋根用軒先面戸Ａを複数幅方向に連結して二重屋
根の軒先に取り付けると、その上部頂片1a,下部頂片2a,
上部傾斜状側片3aにて上部屋根Ｃを下方より支持し、ま
た上部底片1bは下部屋根Ｂの下面側に存し、下部底片2
b,下部傾斜状側片3bは下部屋根Ｂの上面側に存すること
で、下部傾斜状側片3bと上部底片1bとが下部屋根Ｂ端を
上下面より挟持しつつ支持することとなり、二重屋根の
下部屋根Ｂの軒先の強度を向上させることができる。

次に本考案の二重屋根用軒先面戸Ａを二重屋根の軒先に
取り付けるときには、その二重屋根を構成する下部屋根
Ｂと上部屋根Ｃとの間隔がなす形状は、上部主板1,下部
主板2,傾斜状主板３がなす形状に略等しくなっているの
で、二重屋根の軒先端の間隔を良好に塞ぐことができ、
その軒先を整然とした、外観の極めて優れたものにでき
る利点がある。

また、本考案の二重屋根用軒先面戸Ａの上部屋根Ｃの軒
先への取付は、全て下側（内側）であるため、多雪地帯
においても、軒先側への雪塊の滑りでも、その二重屋根
用軒先面戸Ａを破損されるような外力もなく、強固なる
取付ができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すものであって、その第１図
は本考案の二重屋根用軒先面戸を二重屋根に使用した正
面図、第２図は本考案の斜視図、第３図は本考案の裏面
斜視図、第４図は本考案の別の実施例の斜視図、第５図
は本考案を二重屋根に取り付けた縦断側面図、第６図は
第５図VI−VI矢視断面図、第７図は本考案を二重屋根に
取り付けたところの要部斜視図、第８図は第１図とは別
の実施例の本考案の正面図である。 １……上部主板、1a……上部頂片、1b……上部底片、２
……下部主板、2a……下部頂片、2b……下部底片、３…
…傾斜状主板、3a……上部傾斜状側片、3b……下部傾斜
状側片、４……切欠き。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上部主板と下部主板とが幅方向に互い違い
   となるように傾斜状主板を介して形成し、それぞれの上
   下辺より略直角に屈曲する、上部頂片，上部底片、下部
   頂片，下部底片、上部傾斜状側片，下部傾斜状側片をそ
   れぞれ形成し、該下部傾斜状側片と前記上部底片との両
   隅角部略全体に切欠きを形成し、前記上部底片は下部屋
   根の軒先端の下面側にのみ接触可能とし、且つ前記下部
   傾斜状側片及び下部底片は下部屋根の軒先端の上面側に
   のみ接触可能としたことを特徴とする二重屋根用軒先面
   戸。