JPH07324115A - グラフト共重合体ラテックスの製造方法、および該共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

グラフト共重合体ラテックスの製造方法、および該共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物

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JPH07324115A
JPH07324115A JP13972394A JP13972394A JPH07324115A JP H07324115 A JPH07324115 A JP H07324115A JP 13972394 A JP13972394 A JP 13972394A JP 13972394 A JP13972394 A JP 13972394A JP H07324115 A JPH07324115 A JP H07324115A
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latex
weight
meth
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copolymer
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JP13972394A
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Inventor
Shigeru Endo
茂 遠藤
Toshinori Yamanaka
俊徳 山中
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 乳化グラフト重合時の凝固物量が少なく、ラ
テックスの機械的安定性、耐起泡性に優れるグラフト共
重合体ラテックスの提供および該グラフト共重合体を用
いてなる耐衝撃性、高温加工時の光沢、成形加工時の耐
金型汚染性に優れたゴム強化熱可塑性樹脂組成物を提供
する。 【構成】 共役ジエン系ゴムの存在下、シアン化ビニル
化合物と芳香族ビニル化合物および/または(メタ)ア
クリル酸エステル化合物とをグラフト重合させる乳化グ
ラフト重合に際し、分子内にラジカル重合可能な二重結
合を有する乳化剤をジエン系合成ゴムと単量体の混合物
の合計100重量部に対し、0.05〜5.0重量部を
用いることを特徴とするグラフト共重合体ラテックスの
製造方法、および該グラフト共重合体とシアン化ビニル
化合物/(芳香族ビニル化合物および /または(メ
タ)アクリル酸エステル化合物)共重合体とを混合し
た、ゴム含有量が10〜30重量%である熱可塑性樹脂
組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は乳化グラフト重合時の凝
固物が極めて少なく、ラテックスの機械的安定性、耐起
泡性に優れ、その結果重合生産性に優れるグラフト共重
合体ラテックスの製造方法、及び該グラフト共重合体を
用いてなる耐衝撃性、高温加工時の光沢、成形加工時の
耐金型汚染性に優れるゴム強化熱可塑性樹脂組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、ゴム強化熱可塑性樹脂の代表であ
るABS樹脂等は、ポリブタジエンに代表される共役ジ
エン系ゴムラテックスの存在下、アクリロニトリルに代
表されるシアン化ビニル単量体とスチレンに代表される
芳香族ビニル単量体をバッチ重合、セミバッチ重合、連
続重合のいずれかで乳化グラフト重合させてつくられて
いる場合が多い。この乳化グラフト重合は、ゴム量、マ
トリックス樹脂の分子量、アクリロニトリルの含有量の
設計の自由度が非常に高く高品質な樹脂が容易に得られ
ること、重合温度のコントロールが容易なことなど工業
的に好ましい特徴をもっている。
【0003】しかしながら、乳化グラフト重合は乳化グ
ラフト重合時にしばしば凝固物を発生させ、それが反応
器の内壁や撹拌羽根に付着し重合温度のコントロールを
妨げたり、重合体ラテックス移送時に配管詰まりを発生
させる等の悪影響をもたらす。特に、耐薬品性の向上等
を目的としたシアン化ビニル単量体の含有率が高い重合
処方や生産性の向上を目的とした重合時のゴム含有率の
高い処方、あるいは水の量の低い処方では、乳化グラフ
ト重合時のラテックスは特に不安定になり凝固物が発生
しやすい。従ってこれらの重合工程においてはたびたび
凝固物の除去作業を行わなければならず、生産性の低下
をもたらしていた。
【0004】また、反応器の撹拌を低下させることなど
機械的な操作で重合時の凝固物を低減させたとしても、
重合体ラテックスの移送時のポンプの機械的なシェアに
より、凝固物が発生し配管詰まりの原因となり好ましく
ない。従って、ラテックスの安定性は品質および生産性
の点で非常に重要である。
【0005】一方、乳化グラフト重合時のラテックスの
安定性を増し、凝固物の発生を抑える方法としては、一
般的に乳化グラフト重合工程で非重合性の乳化剤を添加
する方法がとられているが、非重合性乳化剤の使用は残
留モノマー回収工程での起泡の原因となり、消泡剤の使
用を余儀なくされ、さらに、樹脂成型品にした時の耐衝
撃性の低下や成形加工時の金型汚染の原因となり好まし
くない。また、生産性を上げる等の理由により、ゴム強
化熱可塑性樹脂を高温加工する時には、成型品の光沢の
低下現象が顕著になり好ましくない。また、樹脂中に残
らず洗浄されても排水を汚染し好ましくない。従って、
これら非重合性乳化剤の使用はできるだけ減少させるの
が好ましい。
【0006】このように、従来の技術では、乳化グラフ
ト重合時の凝固物が少なく、グラフト共重合体ラテック
スの機械的安定性、耐起泡性の良好な条件で、耐衝撃
性、高温加工時の光沢、成形加工時の耐金型汚染性に優
れたゴム強化熱可塑性樹脂を得ることは不可能であっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる現状に
対し、乳化グラフト重合時の凝固物が極めて少なく、ラ
テックスの機械的安定性、耐起泡性に優れたグラフト共
重合体ラテックスの製造方法および該グラフト共重合体
を用いてなる耐衝撃性、高温加工時の光沢、耐金型汚染
性に優れたゴム強化熱可塑性樹脂組成物を提供すること
を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる課題に対し、本発
明者らは鋭意研究の結果、共役ジエン系ゴムラテックス
に対し、シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体お
よび/または(メタ)アクリル酸エステル単量体とをグ
ラフト共重合する乳化グラフト重合に際し、分子内にラ
ジカル重合可能な二重結合を有する乳化剤を特定の量の
範囲で用いることにより、乳化グラフト重合時の凝固物
が極めて少なく、グラフト共重合体ラテックスの機械的
安定性に優れ、かつ耐起泡性に優れたグラフト共重合体
ラテックスを得られる製造方法を見出し、また該グラフ
ト共重合体を用いてなるゴム強化熱可塑性樹脂組成物は
耐衝撃性、高温加工時の光沢に優れ、かつ成形加工時の
耐金型汚染性に優れることを見出し、本発明を完成させ
た。
【0009】即ち、本発明は、共役ジエン系ゴムラテッ
クスの存在下にシアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単
量体および/または(メタ)アクリル酸エステル単量体
とをグラフト重合させる乳化グラフト重合に際し、共役
ジエン系ゴム(固形分)の含有率が10〜70重量%で
あり、共役ジエン系ゴムを除く成分中に占めるシアン化
ビニル単量体の含有率が20〜90重量%であって、か
つ、分子内にラジカル重合可能な二重結合を有する乳化
剤(以下、重合性乳化剤と略す)を上記共役ジエン系ゴ
ムと単量体の混合物100重量部に対し、0.05〜
5.0重量部を用いて重合することを特徴とする、乳化
グラフト重合時の凝固物が極めて少なく、ラテックスの
機械的安定性、耐起泡性に優れたグラフト共重合体ラテ
ックスの製造方法、および該グラフト共重合体(A)
と、共重合体中に占めるシアン化ビニル化合物の含有率
が20〜90重量%であるシアン化ビニル化合物と芳香
族ビニル化合物および/または(メタ)アクリル酸エス
テル化合物の共重合体(B)とを混合して、ゴム含有率
を10〜30重量%とした耐衝撃性、高温加工時の光
沢、成形加工時の耐金型汚染性に優れたゴム強化熱可塑
性樹脂組成物に関する。
【0010】以下、本発明について、詳細に説明する。
まず、乳化グラフト重合工程について説明する。本発明
に使用する共役ジエン系ゴムとしては、ポリブタジエ
ン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ブタジエン−
スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重
合体などであるが、ポリブタジエンやブタジエン−スチ
レン共重合体およびブタジエン−アクリロニトリル共重
合体が好ましい。またこれらは2種以上組み合わせて用
いることができる。乳化グラフト重合時における共役ジ
エン系ゴム(固形分)の含有率は10〜70重量%が好
ましく、さらに好ましくは30〜60重量%である。含
有率が10重量%未満だとゴム強化熱可塑性樹脂組成物
にした時のゴム強化体の含有率が少なく耐衝撃性が得ら
れず、また、70重量%を越えればゴムに対するシアン
化ビニル化合物および芳香族ビニル化合物のグラフト量
が足りなくなるため、耐衝撃性が低下する。また、共役
ジエン系ゴムの粒子径は0.05〜5μmが好ましく、
特に好ましくは0.1〜0.6μmである。
【0011】本発明でいうシアン化ビニル単量体として
は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリ
ロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどが例示で
きるが、好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニト
リルである。これらは、併用することができる。芳香族
ビニル単量体としては、スチレン、主鎖または側鎖置換
スチレン(例えばα−メチルスチレン、p−メチルスチ
レン、ビニルトルエン)などが例示できるが、好ましく
はスチレンである。これらは、併用することができる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、(メタ)
アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチルなどが例
示できる。
【0012】乳化グラフト重合に際し、共役ジエン系ゴ
ムを除いた成分中に占めるシアン化ビニル単量体の含有
率は20〜90重量%が好ましく、さらに好ましくは3
5〜60重量%であるが、特に、本発明はシアン化ビニ
ル単量体の含有率が高い範囲で効果が大きく、シアン化
ビニル単量体の含有率が20重量%未満だとゴム強化熱
可塑性樹脂組成物の耐薬品性、剛性が劣り、また、90
重量%を越えるとゲル化の原因となり好ましくない。
【0013】本発明で使用する、重合性乳化剤とは、化
合物中に親水基および疎水基を有し、気−液、液−液、
固−液界面張力を低下させる能力のある化合物のうち、
化合物中に二重結合を1つ以上有し、共役ジエン系ゴ
ム、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物および
/または(メタ)アクリル酸エステル化合物とラジカル
重合可能なものを言う。重合性乳化剤の親水基はアニオ
ン性、ノニオン性、カチオン性のいずれでも良いが、好
ましくはアニオン性、さらに好ましくはノニオン性、ア
ニオン性両方の性質を有するものである。
【0014】本発明に使用する重合性乳化剤の例として
は次のものがあげられるが、本発明はこれらにより何ら
限定されるものではない。下記式(1)で表される(メ
タ)アリルグリシジルエーテル誘導体および(メタ)ア
クリルグリシジルエステル誘導体
【0015】
【化1】
【0016】式中、Xは(メタ)アリル基または(メ
タ)アクリロイル基を示す。Yは水素、または−SO3
M(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アン
モニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアン
モニウム)で表される硫酸エステル塩、または−CH2
COOM(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金
属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアル
キルアンモニウム)で表されるカルボン酸塩、または式
(1’)
【0017】
【化2】 で表されるリン酸モノエステル、または、式(1”)
【0018】
【化3】 で表されるスルホコハク酸モノエステル塩を示す。
【0019】Zは炭素数8〜30の置換基を有してもよ
いアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基、ア
ラルキルアリール基またはアシル基を示す。Aは炭素数
2〜4のアルキレン基または置換アルキレン基、mは0
〜100、nは0〜50の正数を示す。式(1)の具体
例として下記式(2)〜(9)があげられる。
【0020】
【化4】
【0021】
【化5】
【0022】
【化6】
【0023】
【化7】
【0024】
【化8】
【0025】
【化9】
【0026】
【化10】
【0027】
【化11】
【0028】下記式(10)で表される(メタ)アリル
グリシジルエーテル誘導体および(メタ)アクリルグリ
シジルエステル誘導体
【化12】 式中、Xは(メタ)アリル基または(メタ)アクリロイ
ル基を示す。
【0029】Yは、式(10’)
【化13】 で表され、それぞれリン酸ジエステル塩、またはスルホ
コハク酸ジエステル塩を示す。
【0030】Zは炭素数8〜30の置換基を有してもよ
いアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基、ア
ラルキルアリール基またはアシル基を示す。Aは炭素数
2〜4のアルキレン基または置換アルキレン基、m、n
は0〜50の正数を示す。式(10)の具体例としては
下記式(11)があげられる。
【0031】
【化14】
【0032】下記式(12)で表される(メタ)アリル
エーテル誘導体および(メタ)アクリルエステル誘導体
【化15】
【0033】式中、Xは(メタ)アリル基または(メ
タ)アクリロイル基を示す。Yは水素、またはメチル
基、または−SO3 M(Mは水素、アルカリ金属、アル
カリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒド
ロキシアルキルアンモニウム)で表される硫酸エステル
塩、または−CH2 COOM(Mは水素、アルカリ金
属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜
4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表されるカル
ボン酸塩、または式(1’)で表されるリン酸モノエス
テル塩を示す。Zは、炭素数8〜30のアルキル基を示
す。Aは炭素数2〜4のアルキレン基または置換アルキ
レン基、mは0〜20、nは0〜50の正数を示す。式
(12)の具体例としては下記式(13)、(14)が
あげられる。
【0034】
【化16】
【0035】
【化17】
【0036】下記式(15)で表せられる(メタ)アリ
ルエーテル誘導体および(メタ)アクリルエステル誘導
【化18】 式中、Xは(メタ)アリル基または(メタ)アクリロイ
ル基を示す。
【0037】Yは、式(15’)
【化19】 で表されるリン酸ジエステル塩を示す。Zは、炭素数8
〜30のアルキル基を示す。Aは炭素数2〜4のアルキ
レン基または置換アルキレン基、n、mは0〜50の正
数を示す。
【0038】下記式(16)で表される化合物
【化20】 式中、Xは(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基
または(α−メチル)ビニル基を示す。
【0039】Yは水素、または−SO3 M(Mは水素、
アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは
炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表
される硫酸エステル塩、または−CH2 COOM(Mは
水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム
または炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウ
ム)で表されるカルボン酸塩、または式(1’)で表さ
れるリン酸モノエステル塩を示す。R1 は炭素数6〜1
8のアルキル基、アルケニル基もしくはアラルキル基、
2 は水素または炭素数6〜18のアルキル基、アルケ
ニル基もしくはアラルキル基、R3 は水素またはプロペ
ニル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基または置換ア
ルキレン基、nは1〜200の正数を示す。式(16)
の具体例としては、下記式(17)〜(22)があげら
れる。
【0040】
【化21】
【0041】
【化22】
【0042】
【化23】
【0043】
【化24】
【0044】
【化25】
【0045】
【化26】
【0046】下記式(23)で表される化合物
【化27】
【0047】式中、Xは(メタ)アリル基、(メタ)ア
クリロイル基または(α−メチル)ビニル基を示す。R
1 は炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基もしく
はアラルキル基、R2 は水素または炭素数6〜18のア
ルキル基、アルケニル基もしくはアラルキル基、R3
水素またはプロペニル基、Aは炭素数2〜4のアルキレ
ン基または置換アルキレン基、mは1〜200の正数を
示す。Yは式(15’)で表されるリン酸ジエステル塩
を示す。
【0048】下記式(24)で表されるコハク酸誘導体
【化28】
【0049】式中、Xは(メタ)アリル基または(メ
タ)アクリロイル基を示す。B1 、B2 は次に表される
YまたはZを示し、B1 、B2 は異なるものである。Y
は、Mまたは−SO3 M(Mは水素、アルカリ金属、ア
ルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒ
ドロキシアルキルアンモニウム)を示す。Zは、炭素数
8〜30のアルキル基またはアルケニル基を示す。Aは
炭素数2〜4のアルキレン基、置換基を有するアルキレ
ン基であり、m、nは0〜50の正数である。式(2
4)の具体例としては、下記式(25)〜(28)があ
げられる。
【0050】
【化29】
【0051】
【化30】
【0052】
【化31】
【0053】
【化32】
【0054】下記式(29)で表されるジオール誘導体
化合物
【化33】
【0055】式中、Aは炭素数2〜4のアルキレン基で
あり、R1 は炭素数8〜24の炭化水素基であり、R2
は水素またはメチル基であり、mおよびnはm+nが0
〜100の間の値となるようなそれぞれ0〜100の数
であり、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金
属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアル
キルアンモニウムである。式(29)の具体例として、
下記式(30)があげられる。
【0056】
【化34】
【0057】下記式(31)で表せる化合物
【化35】 式中、Xは(メタ)アリル基、(メタ)アリロキシ基ま
たは(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオ
キシ基または下記式(31’)を示す。
【0058】
【化36】
【0059】Yは水素、または−SO3 M(Mは水素、
アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは
炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表
される硫酸エステル塩、または−CH2 COOM(Mは
水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム
または炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウ
ム)で表されるカルボン酸塩、または式(1’)で表さ
れるリン酸モノエステル、または、式(1”)で表され
るスルホコハク酸モノエステル塩を示す。Zは炭素数6
〜30の置換基を有してもよいアルキレン基を示す。A
は炭素数2〜4のアルキレン基または置換アルキレン
基、n、mは0〜50の正数を示す。式(31)の具体
例として、下記式(31)〜(34)があげられる。
【0060】
【化37】
【0061】
【化38】
【0062】
【化39】
【0063】これら重合性乳化剤の使用は、以下に示す
ような、いずれも重合安定性に劣り、乳化グラフト重合
時に凝固物が発生しやすい条件での使用において最も効
果を発揮する。すなわち共役ジエン系ゴムを除いた成分
中に占めるシアン化ビニル単量体の含有率が35重量%
以上と高い領域での使用、乳化グラフト重合時の共役ジ
エン系ゴムの含有率が40重量%以上の高い領域での使
用、乳化グラフト重合時の共役ジエン系ゴム中に含まれ
る非重合性乳化剤が共役ジエン系ゴム100重量部に対
し2.5重量部以下と少ない領域での使用、及びこれら
の条件が2つないし3つ重なっている場合での使用であ
る。
【0064】重合性乳化剤の使用量としては、共役ジエ
ン系ゴムに対し乳化グラフト重合する際、共役ジエン系
ゴムと単量体の合計100重量部に対し、0.05〜
5.0重量部使用するのが好ましく、より好ましくは
0.1〜2.0重量部であり、更に好ましくは0.5〜
1.5重量部である。重合性乳化剤の使用量が0.05
重量部未満であると乳化グラフト重合時に凝固物が多く
発生するため好ましくなく、また、使用量が5.0重量
部を越えると、ゴム強化熱可塑性樹脂組成物の成形時の
金型汚染や樹脂の着色の原因となり好ましくない。重合
性乳化剤は二種以上用いても良い。共役ジエン系ゴムに
含まれる乳化剤は通常の非重合性乳化剤でも、本発明に
使用される重合性乳化剤でもよいが、非重合性乳化剤の
場合、その含有量は共役ジエン系ゴム100重量部に対
し4.0重量部以下が好ましく、特に2.5重量部以下
が好ましい。4.0重量部を越えると、乳化グラフト重
合時に重合性乳化剤を用いたとしても、ラテックス中の
残留モノマー除去時の泡立ちが激しく、消泡剤の使用が
必須となり、またゴム強化熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃
性の低下、高温成形時の光沢の低下、成形加工時の金型
汚染の原因となり好ましくない。また、乳化グラフト重
合時に重合性乳化剤とともに非重合性乳化剤を用いても
良いが、使用量はゴム由来の非重合性乳化剤の合計が共
役ジエン系ゴム100重量部に対し4.0重量部以下に
すべきである。4.0重量部を越えると上記と同じ結果
を招き好ましくない。ここで言う非重合性乳化剤とは脂
肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンス
ルフォン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォ
ン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル
硫酸塩等のアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ
ーテル等のノニオン性乳化剤があげられる。
【0065】重合開始剤としては、通常のラジカル開始
剤を用いられ、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウ
ムなどの過硫酸塩やハイドロパーオキサイドなどの有機
過酸化物、あるいは硫酸第一鉄、キレート剤であるエチ
レンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム塩(EDTA)、
還元剤であるナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレ
ート(SFS)などと有機過酸化物、無機過酸化物を組
み合わせてレドックス系として用いても良い。連鎖移動
剤としては三級ドデシルメルカプタン等のメルカプタン
類、四塩化炭素等のハロゲン化アルキルが用いられる。
【0066】乳化グラフト重合方法はバッチ重合、セミ
バッチ重合、連続重合のいずれも可能である。重合性乳
化剤は乳化グラフト重合工程において、初期添加、連続
添加あるいは重合中に分割して添加しても良いが、乳化
グラフト重合工程で凝固物が少なく、ゴム強化熱可塑性
樹脂組成物の耐衝撃性、高温成形時の光沢、成形加工時
の耐金型汚染性が優れたものを製造するには重合性乳化
剤を重合工程中連続添加する方法が好ましい。生成した
グラフト共重合体ラテックスは乳化重合における一般的
な方法で凝析、水洗、脱水、乾燥される。
【0067】本発明において、上記方法により製造され
たグラフト共重合体を一般に使用されるゴム濃度範囲に
希釈するために使用される共重合体としては、シアン化
ビニル化合物と芳香族ビニル化合物および/または(メ
タ)アクリル酸エステル化合物の共重合体(B)が使用
されるが、共重合体中に占めるシアン化ビニル化合物成
分の含有率が20〜90重量%であることが好ましく、
さらに好ましくは35〜60重量%である。シアン化ビ
ニル化合物成分の含有率が20重量%未満だとゴム強化
熱可塑性樹脂組成物の耐薬品性、剛性が劣り、また、9
0重量%を越えるとゲル化の原因となり好ましくない。
グラフト共重合体(A)と、シアン化ビニル化合物と芳
香族ビニル化合物および/または(メタ)アクリル酸エ
ステル化合物の共重合体(B)とを混合する場合、グラ
フト共重合体(A)中における共役ジエン系ゴムを除い
た重合体中に占めるシアン化ビニル化合物の含有率と共
重合体(B)中に占めるシアン化ビニル化合物の含有率
との差は10重量%以内であることが好ましい。10重
量%より大きいとグラフト共重合体(A)と共重合体
(B)との相溶性が低下し、耐衝撃性が低下する。
【0068】本発明において、ゴム強化熱可塑性樹脂組
成物中のゴム含有率を10〜30重量%にするには、ゴ
ム含有率が10〜30重量%のグラフト共重合体(A)
をそのまま用いても良いし、ゴム含有率が20〜70重
量%のグラフト共重合体(A)に共重合体(B)を混合
してゴム含有率を10〜30重量%にしても良い。本発
明のゴム強化熱可塑性樹脂組成物に対し、公知の熱安定
剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、難燃
剤、着色剤を加えることは任意である。
【0069】
【実施例】以下、実施例に基づき、本発明を説明する。
なお本発明は実施例により何ら限定されるものではな
い。以下に用いる部数は重量部である。本発明の実施例
および比較例中の測定は、下記の項目で実施した。
【0070】(単量体の重合率の測定):乳化グラフト
重合終了後、ラテックスを1g採取し、重合禁止剤を添
加後、130℃で30分乾燥させ、固形分(%)を測定
した。重合率は式(35)より求めた。 重合率(%)=(P/Q)×100 (35) ここでP、Qは、P=(全仕込み部数×固形分×0.0
1−不揮発分部数)、Q=(単量体の添加部数)をそれ
ぞれ示す。
【0071】(乳化剤の重合率の測定方法):乳化グラ
フト重合後のラテックスを純水で1000ppmに希釈
し、希釈液2gからメタノール10g中に未反応乳化剤
を抽出した。抽出液5マイクロリットルをHPLC(カ
ラム:CLC−ODS−M 島津製作所製)にて、アセ
トニトリル/水を展開溶媒として検出し、未重合乳化剤
の定量をした。重合性乳化剤の重合率は未重合乳化剤量
からの逆算にて算出した。
【0072】(凝固物量):乳化グラフト重合終了後、
ラテックスを100メッシュ金網でろ過し、メッシュ上
に残った凝固物を乾燥器にて乾燥した。生成ポリマー重
量に対する乾燥凝固物重量の百分率を凝固物量とした。
単位%。
【0073】(機械的安定性):100メッシュ金網で
ろ過した乳化グラフト重合終了後のラテックス200g
をハミルトンビーチテスターに入れ、3600rpmで
高速撹拌させ、固化時間を測定した。測定開始前温度2
0℃。
【0074】(起泡性(ロスマイルス法)):ラテック
スを100ccネスラー管に30cc入れ、30回倒
立、静置1分後の泡の量を測定。単位cc。
【0075】(物性評価方法):各種物性評価方法につ
いては以下に示す通りである。 (1)IZOD衝撃強度 ゴム部数20部に調整したペレットを成形温度240
℃、金型温度45℃で成形し、試験片を得た。試験はA
STM−D256に基ずき、1/2インチ×1/4イン
チ×5/2インチノッチ付き試験片にて実施した。
【0076】(2)高温光沢 ゴム部数20部に調整したペレットを成形温度280
℃、金型温度45℃、充填下限圧力にて成形し、次の形
状のダンベル試験片を得た。 試験片:縦216mm×横12.6mm×厚さ3.2m
m 試験は、村上色彩技術研究所社製デジタル精密光沢計G
M−26Dを用い、入射角60°での試験片ゲート部の
表面反射光の測定を行った。
【0077】(3)金型汚染性 ゴム部数30部に希釈したペレットを成形温度280
℃、金型温度45℃にて、試験片(縦90mm×横50
mm×厚さ2.5mm)を100回連続成形した後、金
型表面に付着する物質量を目視判定した。 判定基準:付着なし =◎ わずかに付着=○ 付着が多い =× 激しく付着 =××
【0078】(共重合体Bの組成):実施例および比較
例中に使用した共重合体Bの組成を以下に示す。 (1)共重合体(B−1) 共重合体B−1中の組成は、IRスペクトルより、アク
リロニトリル40重量%、スチレン60重量%、またメ
チルエチルケトン中で測定した極限粘度(共重合体B−
1、0.5%中、30℃)は0.41であった。 (2)共重合体(B−2) 共重合体B−2中の組成は、IRスペクトルより、アク
リロニトリル50重量%、スチレン50重量%、またメ
チルエチルケトン中で測定した極限粘度(共重合体B−
2、0.5%中、30℃)は0.45であった。
【0079】(実施例1)ポリブタジエンラテックス
(重量平均粒子径3000A)固形分40部、イオン交
換水100部、ロジン酸カリウム1.0部(原料ゴム由
来分を含む)を10リットル反応器に入れ、気相部を窒
素置換した後、この初期溶液を70℃に昇温した。次に
以下に示す組成からなる水溶液(C)と単量体混合液
(E)、さらに式(18)で表される重合性乳化剤を含
んだ水溶液(D)を反応器に5時間にわたり連続的に添
加した。添加終了後、1時間温度を保ち、反応を完結さ
せた。
【0080】水溶液(C)の組成は次の通りである。 硫酸第一鉄 0.005部 ソジウムフォルムアルデヒドスルホキシラート(SFS) 0.1部 エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム(EDTA) 0.04部 イオン交換水 50部 水溶液(D)の組成は次の通りである。 重合性乳化剤 式(18) 0.5部 イオン交換水 20部
【0081】単量体混合液(E)の組成は次の通りであ
る。 アクリロニトリル 36部 スチレン 24部 t−ドデシルメルカプタン(t−DM) 0.6部 クメンハイドロパーオキサイド(CHP) 0.1部 重合後の凝固物量は生成ポリマー量に対し0.05%で
あった。また、ラテックスの機械的安定性試験では、固
化までに20分間を要した。起泡性は、試験後1ccの
少ない泡立ちであった。
【0082】次に、作成したグラフト重合体ラテックス
に、酸化防止剤を添加した後、硫酸アルミニウムを加え
凝固させ、洗浄、脱水した後、加熱乾燥し、グラフト共
重合体粉末を得た。この粉末75部と共重合体(B−
1)25部、エチレンビスステアリルアミド1.0部を
2軸30mm押出機を用いて240℃にて混練造粒し、
ゴム含量30部のペレットとし金型汚染性試験を行っ
た。また、このゴム部数30部ペレットを再度共重合体
(B−1)で希釈し、ゴム部数20部のペレットを得
た。このペレットにてIZOD衝撃試験および高温光沢
試験を行った。その結果、IZOD衝撃強度は32kg
・cm/cm、高温光沢は光沢値88%と高く、金型汚
染性試験では試験後金型に付着物はなかった。以上の結
果を、表1にまとめる。
【0083】(実施例2)実施例1で水溶液(D)中の
重合性乳化剤式(18)の量を1.0部に増量した以外
は、実施例1と同様に重合した。結果は、重合時の凝固
物は発生せず、ラテックスの機械的安定性も60分間も
安定であった。起泡性は10ccであった。このグラフ
ト共重合体ラテックスを実施例1と同様に処理し、同様
の試験を行い、各種物性値を得た。その結果、IZOD
衝撃強度は32kg・cm/cm、高温光沢は光沢値8
7%と高く、金型汚染性試験では試験後金型に付着物は
なかった。以上の結果を、表1にまとめる。
【0084】(実施例3)単量体混合物中に占めるアク
リロニトリルの含有量を50重量%とし、乳化グラフト
重合時の安定性をより不安定な条件にした以外は、実施
例2と同様に重合した。結果は、重合後の凝固物量は
0.05%と少なく、ラテックスの機械的安定性も30
分間安定であった。起泡性は7ccと少なかった。この
グラフト共重合体ラテックスを実施例1と同様に処理
し、グラフト共重合体粉末を得た。このグラフト共重合
体粉末をペレットにする際、共重合体(B−2)を用い
る以外は実施例1と同様に処理、試験をし、各種物性値
を得た。その結果、IZOD衝撃強度は36kg・cm
/cm、高温光沢は光沢値85%と高く、金型汚染性試
験では試験後金型に付着物はなかった。以上の結果を、
表1にまとめる。
【0085】(実施例4)実施例3で水溶液(D)中に
含まれる重合性乳化剤式(18)の量をを2.0部に増
量した以外は、実施例3と同様に重合した。結果は、重
合後の凝固物は発生せず、ラテックスの機械的安定性も
60分間安定であった。起泡性は15ccであった。こ
のグラフト共重合体ラテックスを実施例3と同様に処
理、試験を行い、各種物性値を得た。その結果、IZO
D衝撃強度は33kg・cm/cm、高温光沢は光沢値
83%と高く、金型汚染性試験では試験後金型に付着物
はなかった。以上の結果を、表1にまとめる。
【0086】(実施例5)乳化グラフト重合時のゴム部
数を60部に増量し、単量体混合物中に占めるアクリロ
ニトリルの含有量を50重量%とした以外は実施例2と
同様に重合した。結果は、重合後の凝固物量は0.05
%と少なく、ラテックスの機械的安定性も30分間安定
であった。起泡性は15ccであった。このグラフト共
重合体ラテックスから実施例1と同様にして得たグラフ
ト共重合体粉末50部と共重合体(B−1)50部、エ
チレンビスステアリルアミド1.0部を二軸30mm押
出機を用い240℃にてペレット化し、以下実施例1と
同様に処理、試験を行い、各種物性値を得た。以上の結
果を、表1にまとめる。
【0087】(実施例6)ゴム由来の不均化ロジン酸カ
リの量を1.5部に増量する以外は実施例1と同様に重
合した。結果は、重合後の凝固物は発生せず、ラテック
スの機械的安定性も40分間安定であった。起泡性は2
5ccであった。このグラフト共重合体ラテックスを実
施例1と同様に処理し、同様の試験を行い、各種物性値
を得た。その結果、IZOD衝撃強度は28kg・cm
/cm、高温光沢は光沢値84%であり、金型汚染性試
験では試験後金型に付着物がわずかに観察されるのみで
あった。以上の結果を、表2にまとめる。
【0088】(実施例7〜14)実施例2で水溶液
(D)中に含まれる重合性乳化剤を表2、表3に記した
ものにした以外は、実施例2と同様に重合した。このグ
ラフト共重合体ラテックスを実施例2と同様に処理し、
同様の試験を行い、各種物性値を得た。結果を、表2、
表3にまとめる。
【0089】(比較例1)ポリブタジエンラテックス
(重量平均粒子径3000A)固形分40部、イオン交
換水100部、ロジン酸カリウム1.0部(原料ゴム由
来分を含む)を10リットル反応器に入れ、気相部を窒
素置換した後、この初期溶液を70℃に昇温した。次に
以下に示す組成からなる水溶液(C)と単量体混合液
(E)、さらに水溶液(D)を反応器に5時間にわたり
連続的に添加した。添加終了後、1時間温度を保ち、反
応を完結させた。
【0090】水溶液(C)の組成は次の通りである。 硫酸第一鉄 0.005部 ソジウムフォルムアルデヒドスルホキシラート(SFS) 0.1部 エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム(EDTA) 0.04部 イオン交換水 50部 水溶液(D)の組成は次の通りである。 イオン交換水 20部 単量体混合液(E)の組成は次の通りである。 アクリロニトリル 36部 スチレン 24部 t−ドデシルメルカプタン(t−DM) 0.6部 クメンハイドロパーオキサイド(CHP) 0.1部
【0091】重合後の凝固物量は生成ポリマー量に対し
5.0%と多量に発生した。また、ラテックスの機械的
安定性試験では、わずか0.3分で固化してしまった。
起泡性は、25ccであった。このグラフト共重合体ラ
テックスを実施例1と同様に処理し、同様の試験を行
い、各種物性値を得た。その結果、IZOD衝撃強度は
33kg・cm/cm、光沢値87%と高く、金型汚染
性試験では試験後金型に付着物はなかった。以上の結果
を、表4にまとめる。
【0092】(比較例2)水溶液(D)の組成をロジン
酸カリウム2.0部、イオン交換水20部とした以外は
比較例1と同様に重合した。結果は、重合後の凝固物量
は0.5%と多く、機械的安定性は20分であったが、
起泡性が60cc以上と悪かった。結果を表4にまとめ
る。このグラフト共重合体ラテックスを比較例1と同様
に処理し、同様の試験を行い、各種物性値を得た。その
結果、IZOD衝撃強度は17kg・cm/cm、光沢
値45%と低く、金型汚染性試験では試験後金型に付着
物が激しかった。以上の結果を、表4にまとめる。
【0093】(比較例3)実施例4において、水溶液
(D)の組成をロジン酸カリウム2.0部にした以外
は、実施例4と同様に重合した。結果は、重合後の凝固
物量が3.0%と非常に多く、機械的安定性も5分と短
かった。また起泡性も60cc以上と悪かった。このグ
ラフト共重合体ラテックスを実施例3と同様に処理し、
同様の試験を行い、各種物性値を得た。その結果、IZ
OD衝撃強度は14kg・cm/cm、光沢値38%と
低く、金型汚染性試験では試験後金型に付着物が激しか
った。以上の結果を、表4にまとめる。
【0094】(比較例4)比較例1において、初期溶液
中のゴム由来分を含むロジン酸カリウムの添加部数を
3.0部と増量した以外は、比較例1と同様に重合し
た。結果は、重合後の凝固物は発生せず、機械的安定性
も50分間安定であったが、起泡性が60cc以上と悪
かった。このグラフト共重合体ラテックスを比較例3と
同様に処理し、同様の試験を行い、各種物性値を得た。
その結果、IZOD衝撃強度は12kg・cm/cm、
光沢値35%と低く、金型汚染性試験では試験後金型に
付着物が激しかった。以上の結果を、表4にまとめる。
【0095】(比較例5)実施例4において、水溶液
(D)中の重合性乳化剤式(18)を6.0部に増量し
た以外は、実施例4と同様に重合した。結果は、重合後
の凝固物は発生せず、機械的安定性も60分間安定であ
ったが、重合性乳化剤の重合率が78%と低かったた
め、起泡性が60cc以上と悪かった。このグラフト共
重合体ラテックスを比較例3と同様に処理し、同様の試
験を行い、各種物性値を得た。その結果、IZOD衝撃
強度は20kg・cm/cm、光沢値63%と低く、金
型汚染性試験では試験後金型に付着物が激しかった。以
上の結果を、表4にまとめる。
【0096】(比較例6)実施例1において、水溶液
(D)中に、重合性乳化剤式(18)の他、さらにロジ
ン酸カリウムを1.0部添加した以外は、実施例1と同
様に重合した。結果は、重合後の凝固物量は0.03%
と少なく、機械的安定性も40分間安定であったが、起
泡性が60cc以上と悪かった。このグラフト共重合体
ラテックスを比較例3と同様に処理し、同様の試験を行
い、各種物性値を得た。その結果、IZOD衝撃強度は
24kg・cm/cm、光沢値73%と低く、金型汚染
性試験では試験後金型に付着物が多かった。以上の結果
を、表4にまとめる。
【0097】実施例および比較例より次のことが明らか
である。すなわち、本発明のグラフト共重合体ラテック
ス(実施例1〜14)は、いずれも乳化グラフト重合時
の凝固物量が少なく、ラテックスの機械的安定性、耐起
泡性に優れている。また、該グラフト共重合体を用いて
なるゴム強化熱可塑性樹脂組成物(実施例1〜14)
は、いずれも耐衝撃性(IZOD衝撃強度)、高温加工
時の光沢(高温光沢)に優れ、また成形加工時の耐金型
汚染性(金型汚染性)に優れている。
【0098】これに対して、重合性乳化剤、非重合性乳
化剤の双方グラフト重合時に用いない物は重合時の凝固
物が多く発生する(比較例1)。また、非重合性乳化剤
を規定値より多く用いるものは、耐起泡性、耐衝撃性、
高温加工時の光沢、成形加工時の耐金型汚染性が劣る
(比較例2〜4、6)。また、重合性乳化剤の使用量が
規定値を超えるものは、耐起泡性、耐衝撃性、高温加工
時の光沢、成形加工時の耐金型汚染性に劣る(比較例
5)。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
【表4】
【0103】
【発明の効果】本発明のグラフト共重合体ラテックス
は、重合時の凝固物量が極めて少なく、ラテックスの機
械的安定性、耐起泡性に優れるため、重合生産性に優
れ、またこのグラフト共重合体を用いてなるゴム強化熱
可塑性樹脂組成物は耐衝撃性、高温加工時の光沢、成形
加工時の耐金型汚染性に優れるため、高温条件において
も物性低下がなく、成形サイクルの早いゴム強化熱可塑
性樹脂組成物が得られる。これらの効果は、グラフト重
合時に、重合性乳化剤を、共役ジエン系ゴムと単量体混
合物の合計100重量部に対し、0.05〜5.0重量
部用いる事により、初めて達成しうるものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共役ジエン系ゴムラテックスの存在下に
    シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体および/ま
    たは(メタ)アクリル酸エステル単量体とをグラフト共
    重合させる乳化グラフト重合に際し、共役ジエン系ゴム
    (固形分)の含有率が10〜70重量%であり、共役ジ
    エン系ゴムを除く成分中に占めるシアン化ビニル単量体
    の含有率が20〜90重量%であって、かつ、分子内に
    ラジカル重合可能な二重結合を有する乳化剤を上記共役
    ジエン系ゴムと単量体の混合物100重量部に対し、
    0.05〜5.0重量部を用いて重合することを特徴と
    するグラフト共重合体ラテックスの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の製造方法により得られた
    グラフト共重合体(A)と、共重合体中に占めるシアン
    化ビニル化合物の含有率が20〜90重量%であるシア
    ン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物および/または
    (メタ)アクリル酸エステル化合物の共重合体(B)と
    を混合した、ゴム含有率が10〜30重量%であるゴム
    強化熱可塑性樹脂組成物。
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