JPH07315738A - エスカレータトラスの搬出方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、地下通路に設置されたエスカレー
タトラスを、地下通路の下部乗降口床側から搬出するの
に好適なエスカレータトラスの搬出方法の提供。 【構成】 本発明の特徴は、上部トラス３を、上部水平
トラス部３ａと、上部屈曲トラス部３ｂとに分離して、
その上部水平トラス部３ａを上部乗降口床面１ｃに載置
し、かつ、その上部水平トラス部３ａが設置してあった
上部水平床面１ｇに上部屈曲トラス部３ｂを載置した
後、中間トラス４、下部トラス５を搬出し、その後、上
部屈曲トラス部３ｂ、上部水平トラス部３ａの順で下部
乗降口床面１ｄ側に、上部屈曲トラス部３ｂ及び上部水
平トラス部３ａを搬出するようにした点にある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、特に、地下通路等の通
路に設置されたエスカレータを支えるエスカレータトラ
スを、その通路の下方から搬出するのに好適なエスカレ
ータトラスの搬出方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、既設エスカレータトラスを、その
設置場所から撤去するには、既設エスカレータトラスを
複数個に分離し、その分離してなる分離トラスを、通路
の天井に付設したワイヤに沿って移動可能に設けたウイ
ンチにより、所定の場所に運搬するようにしていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術では、
通路の天井に装飾板等が施されているために、その天井
にウインチやワイヤを設置することができない場合ある
いは通路の天井に堅牢な梁が張られていないために、そ
の天井にウインチやワイヤを設置することができない場
合には、既設エスカレータトラスを、複数個の適宜の大
きさに分離しても通路外に搬出することができない。そ
こで、既設エスカレータトラスを通路から撤去するため
には、人間が安全に持ち上げることができる大きさに、
既設エスカレータトラスを細かく分離して運搬する必要
があり、その運搬作業時間が長くなるという欠点を有し
ている。また、エスカレータの上部機械室を支える上部
屈曲トラス部及び上部水平トラス部からなる上部トラス
は、一般に、外観寸法（長さ及び高さ）が大きいので、
通路が狭いと、その通路内を上部乗降口床面から下部乗
降口床面に向かって移動させることがきわめて困難であ
る。

【０００４】本発明の目的は、天井にウインチやワイヤ
を設置することなく、地下通路等の通路に設置してある
既設エスカレータトラスを、そのトラスの上部トラス部
分の外観寸法が大きいものであっても、前記通路外に効
率よく下部乗降口床側から搬出することのできるエスカ
レータトラスの搬出方法を提供するにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的は、天井のある
通路に設置されてあったエスカレータの下部乗降口床面
と上部乗降口床面の両方に、揚重装置を設置するととも
に、上部トラス、中間トラス及び下部トラスからなり、
かつ、前記通路に既設されているところの既設エスカレ
ータトラスを、複数個に分離して、これら複数個の分離
トラスを前記揚重装置を用いて順次前記下部乗降口床側
に搬出するエスカレータトラスの搬出方法において、前
記上部トラスは、上部水平トラス部と、上部屈曲トラス
部とに分離して、その上部水平トラス部を前記上部乗降
口床面に載置し、かつ、その上部水平トラス部が設置し
てあった上部水平床面に前記上部屈曲トラス部を載置し
た後、前記中間トラス、前記下部トラスの順で前記下部
乗降口床面側に、前記中間トラス及び前記下部トラスを
搬出し、その後、前記上部屈曲トラス部、前記上部水平
トラス部の順で前記下部乗降口床面側に、前記上部屈曲
トラス部及び前記上部水平トラス部を搬出するようにし
たことにより、達成される。

【０００６】

【作用】かかる方法によれば、上部トラスを、上部水平
トラス部と上部屈曲トラス部とに分離して、一旦、上部
水平トラス部を上部乗降口床面に、かつ、上部屈曲トラ
ス部を上部水平床面に、それぞれ載置した後、中間トラ
ス及び下部トラスを通路外に搬出して、上部水平床面よ
り下方の通路における天井と床面との間の空間を十分に
選択した状態で、上部屈曲トラス部、上部水平トラス部
の順により、上部トラスを２つに分けて下部乗降口床側
に移動させることが必要である。

【０００７】したがって、エスカレータの駆動機等が内
蔵される機械室を構成するために、上部トラスの外観寸
法が大きくても、その上部トラスを、上部屈曲トラス部
と上部水平トラス部との２つに分けて、上部乗降口床側
から下部乗降口床側に、中間トラス及び下部トラスが通
路中にない状態で移動させることができ、上部屈曲トラ
ス部及び上部水平トラス部を通路の天井等に衝突させる
ことなく、下部乗降口床面に移動させることが可能であ
る。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の一実施例を、図面に基づき説
明する。

【０００９】図１において、建物内等の地下通路１に
は、エスカレータを支える鉄枠からなるエスカレータト
ラス２が設置されている。エスカレータトラス２は、上
部トラス３と、中間トラス４と、下部トラス５とからな
り、地下通路１の傾斜床面１ａに一体形成した複数個の
台座１ｂと、エスカレータの上部乗降口床１ｃの端部
と、エスカレータの下部乗降口床１ｄの端部とによっ
て、地下通路１上に設置されている。地下通路１の天井
１ｅには、２点鎖線で示すように、装飾板１ｆが施され
ている。

【００１０】図１に示すところの、エスカレータトラス
２を地下通路１外に搬出する方法は、図２から図１４に
基づいて説明すると、次の（１）から（１１）のとおり
である。

【００１１】（１）地下通路１におけるエスカレータの
上部乗降口床１ｃ及び下部乗降口床１ｄには、図２に示
すように、揚重装置６、６ａを設置するとともに、エス
カレータトラス２における上部トラス３の上部水平トラ
ス部３ａを、残りの上部屈曲トラス部３ｂから分離し、
その分離した上部水平トラス部３ａに、上部乗降口床１
ｃ側の揚重装置６のワイヤ７を取り付ける。上部水平ト
ラス部３ａは、上部屈曲トラス部３ｂの下に支持台８を
設置した後に、その上部屈曲トラス部３ｂから分離す
る。

【００１２】（２）上部水平トラス部３ａは、上部乗降
口床１ｃ側に設置した揚重装置６のワイヤ巻取機９によ
ってワイヤ７を巻き取ることにより、図３に示すよう
に、上部水平床面１ｇから離した後、図４に示すよう
に、上部乗降口床１ｃに移動させる。

【００１３】（３）上部屈曲トラス部３ｂは、その上部
屈曲トラス部３ｂ及び上部屈曲トラス部３ｂに隣接する
中間トラス４の端部下面と傾斜床面１ａとの間に支持台
８ａ、８ｂを設置した後、中間トラス４から分離する。

【００１４】（４）中間トラス４から分離した上部屈曲
トラス部３ｂは、その上部屈曲トラス部３ｂにワイヤ７
を取り付けて、そのワイヤ７を上部乗降口床１ｃに設置
した揚重装置６のワイヤ巻取機９に巻き取ることによ
り、図５に示すように、上部水平床面１ｇに移動させ
る。

【００１５】（５）上部トラス３を構成する上部水平ト
ラス部３ａ及び上部屈曲トラス部３ｂを、前記（３）及
び（４）により、地下通路１の上部乗降口側に、一旦、
移動させたならば、図６に示すように、支持台８及び上
下方向移動装置１０を、中間トラス４の上部分における
下面に設置した後、中間トラス４の上部部分を分離した
分離トラス４ａとする。

【００１６】（６）分離トラス４ａは、その分離トラス
４ａにワイヤ７を取り付けた後、図７に示すように、上
下方向移動装置１０を作動させることにより、残りの既
設中間トラス４の上面よりも高い位置に持ち上げられ
る。

【００１７】（７）図７に示すように、持ち上げられた
分離トラス４ａは、ワイヤ７をゆるめて、その分離トラ
ス４ａを残りの既設中間トラス４上に移動させる。その
後、分離トラス４ａは、図８に示すように、ワイヤ７を
ゆるめながら、残りの既設中間トラス４及び下部トラス
５の上を滑走させて、下部乗降口床１ｄ側に導く。下部
乗降口床１ｄに導かれた分離トラス４ａは、台車等を利
用して所定の場所に搬出される。

【００１８】（８）残りの既設中間トラス４を、前記
（５）で説明した手順により、分離して分離トラスと
し、その分離トラスを前記（６）及び前記（７）で説明
した手順により所定の場所に搬出する。この分離と搬出
の手順を複数回繰り返すことによって、地下通路１の傾
斜床面１ａに設置された中間トラス４が、図９に示すよ
うに搬出される。

【００１９】（９）中間トラス４を地下通路１から所定
の場所に搬出したならば、図９に示すように、下部トラ
ス５に下部乗降口床１ｄ側に設けた揚重装置６ａのワイ
ヤ７ａを取り付けた後、図１０に示すように、上部乗降
口床１ｃ側に設けた揚重装置６のワイヤ７を下部トラス
５に取り付ける。この状態で、揚重装置６ａを作動させ
てワイヤ７ａを引っ張りつつ、揚重装置６を作動させて
ワイヤ７をゆるめることにより、図１１に示すように、
下部トラス５を下部乗降口床１ｄ上に移動させる。

【００２０】（１０）下部乗降口床１ｄの下部トラス５
を、台車等によって地下通路１から所定の場所に搬出す
るとともに、図１１のごとく上部屈曲トラス部３ｂにワ
イヤ７を取り付ける。その後、上部屈曲トラス部３ｂ
は、図１２に示すように、ワイヤ７をゆるめつつ、移動
台車１１を利用して、傾斜床面１ａ上をゆっくり移動さ
せることにより、下部乗降口床１ｄの近傍まで移動させ
る。さらに、その後、上部屈曲トラス部３ｂを、下部乗
降口床１ｄに設けた揚重装置６ａにより、下部乗降口床
１ｄ上に持ち上げる。

【００２１】（１１）下部乗降口床１ｄ上に持ち上げた
上部屈曲トラス部３ｂを所定の場所に搬出した後、図１
３に示すように、上部水平トラス部３ａを、上部乗降口
床１ｃに設けた揚重装置６と移動台車１１を利用して、
下部乗降口床１ｄ側に移動させる。その後、下部乗降口
床１ｄに設けた揚重装置６ａを利用して上部水平トラス
部３ａを下部乗降口床１ｄに持ち上げて、その上部水平
トラス部３ａを所定の場所に搬出すると図１４の状態と
なり、地下通路１に設置されたエスカレータトラス２の
搬出作業が完了する。

【００２２】上記（１）から（１１）による本実施例の
搬出方法によれば、地下通路１の天井１ｅに、ワイヤ等
を設置することなく、エスカレータトラス２を地下通路
１から搬出することができるので、天井１ｅに施した装
飾板１ｆなど壊さなくてすむものである。

【００２３】また、本実施例の搬出方法によれば、上部
トラス３を、上部水平トラス部３ａと上部屈曲トラス部
３ｂとに分離し、一旦、上部水平トラス部３ａ及び上部
屈曲トラス部３ｂを上部乗降口床側に移動させておき、
中間トラス４及び下部トラス５を傾斜床面１ａから取り
除いた後に、上部屈曲トラス部３ｂ、上部水平トラス部
３ａの順で地下通路１の下部乗降口側に移動させるよう
にしたので、上部トラス３を地下通路１の下部乗降口側
における天井等に衝突させることなく、円滑に地下通路
１の下方から搬出させることができる。

【００２４】本実施例の搬出方法に用いられる揚重装置
６、６ａ、支持台８、８ａ、８ｂ及び上下方向移動措置
１０の一例を、次に説明する。

【００２５】すなわち、揚重装置６、６ａは、図１５に
示すように、門型状の枠体１２と、ワイヤ７、７ａと、
このワイヤ７、７ａを枠体１２に装着するための複数個
のプーリ１３、１３ａと、ワイヤ７、７ａを巻き取るた
めの巻取機９などからなるものである。支持台８、８
ａ、８ｂは、図１６に示すように、主台１４と、この主
台１４上に設けられ、かつ、伸縮自在である２個の脚１
５、１５ａと、エスカレータトラス２の下面に当接する
当接台１６と、エスカレータトラス２の下面に嵌合する
嵌合突起１７、１７ａ、１７ｃｂを有し、脚１５、１５
ａを回動させることにより、当接台１６の高さを調整す
ることができるように構成されている。支持台８、８
ａ、８ｂは、エスカレータトラス２と傾斜床面１ａとの
間に位置してエスカレータトラス２を支えるものであっ
て、エスカレータトラスの分離作業及び上下方向移動装
置１０をエスカレータトラス２と傾斜床面１ａとの間に
配設する作業に支障をきたさないように使用するもので
ある。上下方向移動装置１０は、図１７に示すように、
コンプレッサ１８と、制御装置１９と、積層してなる２
個の主エアーバック２０、２０ａと、この主エアーバッ
ク２０の上面に設けた複数個の補助エアーバック２１、
２１ａ、２１ｂ、２１ｃとを有するものであり、制御装
置１９を操作することによって、２個の主エアーバック
２０、２０ａの両方若しくはいずれか一方のみを膨らま
せたり縮めたりするとともに、複数個の補助エアーバッ
ク２１、２１ａ、２１ｂ、２１ｃの、すべてまたは１個
若しくは２個以上を膨らませたり縮めたりすることがで
きるように構成されている。図１７に示す、上下方向移
動装置１０は、制御装置１９と補助エアーバック２１、
２１ａ、２１ｂ、２１ｃを細いエアーホース２２、２２
ａ、２２ｂ、２２ｃで連結され、かつ、制御装置１９と
主エアーバック２０、２０ａを太いエアーホース２３、
２３ａで連結されている。

【００２６】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、上部ト
ラスが長い寸法のものであっても、通路の天井等に上部
トラスを衝突させることなく、かつ、円滑に上部トラス
を通路から搬出させることのできるエスカレータトラス
の搬出方法が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】地下通路に設置されたエスカレータトラスを示
す縦断面図である。

【図２】本発明の一実施例を示し、揚重装置のワイヤを
上部水平トラス部に取り付けた状態における縦断面図で
ある。

【図３】本発明の一実施例を示し、揚重装置により上部
水平トラス部を持ち上げた状態における縦断面図であ
る。

【図４】本発明の一実施例を示し、揚重装置のワイヤを
上部屈曲トラス部に取り付けた状態における縦断面図で
ある。

【図５】本発明の一実施例を示し、揚重装置により上部
屈曲トラス部を地下通路の上部水平床面に移動させた状
態における縦断面図である。

【図６】本発明の一実施例を示し、揚重装置のワイヤ及
び上下方向移動装置を中間トラスに装着した状態におけ
る縦断面図である。

【図７】本発明の一実施例を示し、上下方向移動装置に
より中間トラスから分離した分離トラスを持ち上げた状
態における縦断面図である。

【図８】本発明の一実施例を示し、揚重装置により分離
トラスが残りの既設エスカレータトラス上を滑走してい
る状態における縦断面図である。

【図９】本発明の一実施例を示し、揚重装置のワイヤを
下部トラスに装着した状態における縦断面図である。

【図１０】本発明の一実施例を示し、揚重装置により下
部トラスを持ち上げた状態における縦断面図である。

【図１１】本発明の一実施例を示し、揚重装置により下
部トラスを下部乗降口床に持ち上げた状態における縦断
面図である。

【図１２】本発明の一実施例を示し、移動台車により上
部屈曲トラスを下部乗降口に向かって移動させる状態に
おける縦断面図である。

【図１３】本発明の一実施例を示し、移動台車により上
部水平トラスを下部乗降口に向かって移動させる状態に
おける縦断面図である。

【図１４】本発明の一実施例を示し、地下通路からエス
カレータトラスをすべて取り除いた状態における縦断面
図である。

【図１５】本発明の一実施例を示し、揚重装置の斜視図
である。

【図１６】本発明の一実施例を示し、支持台の斜視図で
ある。

【図１７】本発明の一実施例を示し、上下移動装置の斜
視図である。

【符号の説明】

１ 地下通路 １ａ 傾斜床面 １ｃ 上部乗降口床面 １ｄ 下部乗降口床面 ２ エスカレータトラス ３ 上部トラス ４ 中間トラス ４ａ、４ｂ 分離トラス ５ 下部トラス ６、６ａ 揚重装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 諭 東京都千代田区神田錦町１丁目６番地 株 式会社日立ビルシステムサービス内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 天井のある通路に設置されてあったエス
   カレータの下部乗降口床面と上部乗降口床面の両方に、
   揚重装置を設置するとともに、上部トラス、中間トラス
   及び下部トラスからなり、かつ、前記通路に既設されて
   いるところの既設エスカレータトラスを、複数個に分離
   して、これら複数個の分離トラスを前記揚重装置を用い
   て順次前記下部乗降口床側に搬出するエスカレータトラ
   スの搬出方法において、 前記上部トラスは、上部水平トラス部と、上部屈曲トラ
   ス部とに分離して、その上部水平トラス部を前記上部乗
   降口床面に載置し、かつ、その上部水平トラス部が設置
   してあった上部水平床面に前記上部屈曲トラス部を載置
   した後、前記中間トラス、前記下部トラスの順で前記下
   部乗降口床面側に、前記中間トラス及び前記下部トラス
   を搬出し、その後、前記上部屈曲トラス部、前記上部水
   平トラス部の順で前記下部乗降口床面側に、前記上部屈
   曲トラス部及び前記上部水平トラス部を搬出するように
   したことを特徴とするエスカレータトラスの搬出方法。