JPH0826643A - エスカレータトラスの据付方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、天井にウインチやワイヤを
設置することなく、エスカレータの上部乗降口床側から
エスカレータトラスを、円滑に、天井のある通路の、エ
スカレータ設置面に据え付けることのできるエスカレー
タトラスの据付方法を得るにある。 【構成】 本発明の特徴は、天井のある通路１に設置さ
れるエスカレータの上部乗降口床１ｃ側に揚重装置６を
設け、この揚重装置６により、前記エスカレータを支え
るエスカレータトラス２の下部トラス５部分、前記エス
カレータトラスの中間トラス４部分、前記エスカレータ
トラスの上部トラス３部分の順で、前記上部乗降口床１
ｃ側から前記通路１のエスカレータ設置面に移動して据
え付けるようにした点にある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、特に、地下通路等の通
路に設置されるエスカレータを支えるエスカレータトラ
スを、その通路の上方から設置面に据え付けるのに好適
なエスカレータトラスの据付方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、天井のある通路にエスカレータト
ラスを搬入するには、エスカレータトラスを複数個に分
割トラスとなし、それら分割トラスを、通路の天井に付
設したワイヤに沿って移動可能に設けたウインチによ
り、エスカレータ設置面の位置まで運搬するようにして
いた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術では、
通路の天井に装飾板等が施されているために、その天井
にウインチやワイヤを設置することができない場合、あ
るいは通路の天井に堅牢な梁が張られていないために、
その天井にウインチやワイヤを設置することができない
場合には、エスカレータトラスを、複数個の適宜の大き
さに分割しても、通路内に搬入することが困難であると
いう欠点が生じてしまうものである。そこで、エスカレ
ータトラスを、作業者が運搬しやすいように、細かく分
割することが考えられるが、あまり細かくエスカレータ
トラスを分割すると、その細かくしたトラスを溶接等で
組み立てる時間が長時間となるため、エスカレータトラ
スの据付作業時間が長くなるという欠点が生じてしまう
ものである。

【０００４】本発明の目的は、上記の欠点にかんがみ、
天井にウインチやワイヤを設置することなく、通路に設
置されるところのエスカレータの上部乗降口床側からエ
スカレータトラスを、円滑に、天井のある通路のエスカ
レータ設置面に据え付けることのできるエスカレータト
ラスの据付方法を提供するにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的は、天井のある
通路に設置されるエスカレータの上部乗降口床側に揚重
装置を設け、この揚重装置により、前記エスカレータを
支えるエスカレータトラスの下部トラス部分、前記エス
カレータトラスの中間トラス部分、前記エスカレータト
ラスの上部トラス部分の順で、前記上部乗降口床側から
前記通路のエスカレータ設置面に移動して据え付けるこ
とによって、達成される。

【０００６】

【作用】かかる方法によれば、下部トラス、中間トラス
及び上部トラスの順に上部乗降口床より傾斜床面上に移
動して、エスカレータ設置面上の下部から上部へと順序
よく、下部トラス、中間トラス及び上部トラスを積み重
ねて据え付けられるので、エスカレータトラスの据付作
業が円滑に行われる。

【０００７】しかも、上部乗降口床より傾斜床免状に、
下部トラス、中間トラス及び上部トラスを移動させるの
に、通路の天井にウインチやワイヤを設けることなく、
上部乗降口床に設けた揚重装置を用いて行うものである
ため、通路の天井に設けた装飾板を壊すことがないとと
もに、通路の天井に堅牢な梁が張られていない場合であ
ってもその通路におけるエスカレータ設置面上にエスカ
レータトラスを据え付けることが可能となる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づき説明
する。

【０００９】図１において、建物内等の通路１における
傾斜床面１ａの部分には、エスカレータの全機構を支え
る鉄枠からなるエスカレータトラス２を保持するための
台座１ｂを複数個設けてある。エスカレータトラス２
は、上部トラス３部分と、中間トラス４部分と、下部ト
ラス５部分とからなり、複数個の台座１ｂと、エスカレ
ータの上部乗降口床に該当する部分（以下、上部乗降口
床１ｃと称す）の端部と、エスカレータの下部乗降口床
に該当する部分（以下、下部乗降口床１ｄと称す）の端
部とによって、通路１内に保持される構成になってい
る。（図１９参照）通路１の天井１ｅは、二点鎖線で示
すように、装飾板１ｆが施されていて、ウインチやワイ
ヤを設置することができない構造になっている。本実施
例のエスカレータトラスの据付方法に用いられる揚重装
置６は、図２に示すように、門型状の枠体７と、ワイヤ
８と、このワイヤ８を巻き取るための巻取機９と、ワイ
ヤ８を枠体７に装着するための複数個のプーリ１０、１
０ａとを備えている。本実施例のエスカレータトラスの
据付方法に用いられる支持台１１、１１ａ、１１ｂ、１
１ｃ、１１ｅ、１１ｆ、１１ｇ、１１ｈ、１１ｉ、１１
ｊ、１１ｋ、１１ｌ、１１ｍは、図３に示すように、主
台１２と、この主台２上に設けられた２個の脚１３、１
３ａと、エスカレータトラス２の下面に当接する当接台
１４と、エスカレータトラス２の下面に設けた嵌合穴に
嵌合する嵌合突起１５、１５ａ、１５ｂとを備えてお
り、脚１３、１３ａを回動させることより、当接台１４
の高さを調節することができるように構成されている。
支持台１１〜１１ｈは、据付作業中、エスカレータトラ
ス２を支えるものである。

【００１０】上下方向移動装置１６は、図４に示すよう
に、コンプレッサ１７と、制御装置１８と、積層してな
る２個の主エアーバック１９、１９ａと、この主エアー
バック１９の上面４隅に設けた４個の補助エアーバック
２０、２０ａ、２０ｂ、２０ｃとを備えている。制御装
置１８と補助エアーバック２０、２０ａ、２０ｂ、２０
ｃとは、細いエアーホース２１、２１ａ、２１ｂ、２１
ｃで連通されている。制御装置１８と主エアーバック１
９、１９ａとは、太いエアーホース２２、２２ａで連通
されている。上下方向移動装置１６は、制御装置１８を
操作することによって、２個の主エアーバック１９、１
９ａの両方若しくはいずれか一方のみを膨らませたり縮
めたりするとともに、複数個の補助エアーバック２０、
２０ａ、２０ｂ、２０ｃのすべてまたは１個若しくは２
個以上を膨らませたり縮めたりすることができるように
構成されている。

【００１１】次に、通路１にエスカレータトラス２を据
え付ける方法を、図１並びに図５から図２２を用いて説
明すると、下記の（１）から（９）のとおりである。

【００１２】（１）通路１の上部乗降口床１ｃには、図
１に示すように、揚重装置６を設置する。

【００１３】（２）エスカレータトラス２の下部トラス
５部分は、図５に示すように、上部乗降口床１ｃまで荷
台等により運搬した後、図６に示すように、揚重装置６
と移動台車２３によって、徐々に傾斜床面１ａ上を下降
させて、図７に示すように、エスカレータの下部機械室
部分を支える位置まで移動させる。

【００１４】（３）エスカレータトラス２の下部トラス
５部分をエスカレータの下部機械室部分を支える位置ま
で移動したならば、図８に示すように、下部トラス５部
分の下面に支持台１１、１１ａを装着して、移動台車２
３及び揚重装置６のワイヤ８を下部トラス５部分から取
り除く。

【００１５】（４）下部トラス５部分から移動台車２３
及びワイヤ８を取り除いたならば、６個の分割中間トラ
ス４ａ、４ｂ、４ｃ、４ｄ、４ｅ、４ｆからなる中間ト
ラス４のうちの、１つの分割中間トラス４ａを、上部乗
降口床１ｃまで荷台等により運搬した後、図９に示すよ
うに、揚重装置６と移動台車２３によって、徐々に傾斜
床面１ａ上を下降させて、図１０に示すように、下部ト
ラス５に接続する位置まで移動させる。その後、分割中
間トラス４ａの下面と傾斜床面１ａとの間に上下方向移
動装置１６と支持台１１ｂ、１１ｃを装着して移動台車
２３を取り除く。その後、上下方向移動装置１６を操作
して分割中間トラス４ａの据付位置を調整するととも
に、支持台１１ｂ、１１ｃの脚１３、１３ａを回転させ
て、支持台１１ｂ、１１ｃの当接台１４を分割中間トラ
ス４ａの下面に当接させることにより、支持台１１ｂ、
１１ｃで分割中間トラス４ａを支えるようにする。その
後、分割中間トラス４ａからワイヤ８を取り除くととも
に、分割中間トラス４ａと傾斜床面１ａとの間にある上
下方向移動装置１６を取り除く。

【００１６】（５）残りの分割中間トラス４ｂ、４ｃ、
４ｄ、４ｅ、４ｆを、上記（４）に説明した手順によ
り、図１１から図１３に示すように、上部乗降口床１ｃ
から傾斜床面１ａに順次移動させて据え付けることによ
って、図１４に示すように、支持台１１ａ、１１ｂ、１
１ｃ、１１ｄ、１１ｅ、１１ｆ、１１ｇ、１１ｈ、１１
ｉ、１１ｊ、１１ｋ、１１ｌと台座１ｂで、中間トラス
４全体を傾斜床面１ａ上に支持する。

【００１７】（６）中間トラス４全体を傾斜床面１ａ上
に据え付けたならば、上部トラス３を構成するところの
上部屈曲トラス部３ａを上部乗降口床１ｃまで荷台等に
より運搬した後、図１４に示すように、その上部屈曲ト
ラス部３ａに移動台車２３及び揚重装置６のワイヤ８を
取り付ける。その後、ワイヤ８をゆるめて上部屈曲トラ
ス部３ａを、図１５に示すように、上部水平床面１ｇ上
に載置する。その後、さらに、ワイヤ８をゆるめなが
ら、上部屈曲トラス部３ａを、中間トラス４の分割中間
トラス４ｆに接続する位置まで、移動台車２３を用いて
移動させる。

【００１８】（７）上部屈曲トラス部３ａを分割中間ト
ラス４ｆに接続する位置まで移動させたならば、上下方
向移動装置１６を用いて据付位置の調整を行い、かつ、
移動台車２３を上部屈曲トラス部３ａから取り除き、上
部屈曲トラス部３ａを、図１７に示すように、支持台１
ｍ及び台座１ｂで傾斜床面１ａと上部水平床面１ｇの上
に支持する。

【００１９】（８）上部屈曲トラス部３ａを据え付けた
後は、上部トラス３を構成するところの上部水平トラス
部３ｂを、上部乗降口床１ｃまで荷台等により運搬した
後、図１７に示すように、その上部水平トラス部３ｂ
を、揚重装置６により上部水平床面１ｇ上に移動させ、
かつ、その上部水平トラス部３ｂを上部屈曲トラス部３
ａと上部乗降口床１ｃの端部との間で支持されるように
据え付ける。

【００２０】（９）上部屈曲トラス部３ａを据え付けた
ならば、支持台１１〜１１ｍを、上部トラス３、中間ト
ラス４及び下部トラス５から取り除くとともに、上部乗
降口床１ｃに設けた揚重装置６を通路１から取り除くこ
とにより、図１９に示すように、エスカレータトラス２
のすべての据付作業が完了する。

【００２１】以上のように、本実施例の据付方法によれ
ば、下部乗降口床１ｄから傾斜床面１ａ内への、エスカ
レータトラス２の搬入ができない場合であっても、通路
１の天井１ｅにウインチやワイヤを設けることなく、上
部乗降口床１ｃ側から円滑にエスカレータトラス２をエ
スカレータ設置床面上に設置することができる。

【００２２】本実施例のエスカレータトラスの据付方法
に用いられる上下方向移動装置１６によるところの、分
割中間トラス４ｅに対する分割中間トラス４ｆの据付位
置調整は、図２１及び図２２に示すように行われる。す
なわち、制御装置１８を操作して主エアーバック１９
を、図２１に示すように、膨らまして、分割中間トラス
４ｆをほぼ所定の高さ位置に保持した後、制御装置１８
を操作して補助エアーバック２０、２０ａ、２０ｂ、２
０ｃの膨らみ状態を調整することにより、図２２に示す
ように、分割中間トラス４ｆの上面と分割中間トラス４
ｅの上面とが一致する状態とすることによって、分割中
間トラス４ｆが正確に所定の高さ位置に保持される。

【００２３】本実施例のエスカレータトラスの据付方法
においては、中間トラス４を、６個の分割中間トラス４
ａ、４ｂ、４ｃ、４ｄ、４ｅ、４ｆに分けて、上部乗降
口床１ｃ側から傾斜床面１ａに据え付けるようにしてい
るが、傾斜床面１ａの長さに応じて、中間トラス４を５
個以下の分割中間トラスとしてもよいし、また、傾斜床
面１ａが非常に短くて中間トラス４の長さが短くてすむ
場合には、中間トラス４を分割することなく、１個の中
間トラス４のまま、上部乗降口床１ｃ側から傾斜床面１
ａ上に据え付ければよい。

【００２４】

【発明の効果】本発明によれば、下部乗降口床側からエ
スカレータトラスを、天井のある通路におけるエスカレ
ータ設置面上に移動させることができなくとも、上部乗
降口床側からエスカレータトラスを、天井にウインチや
ワイヤを設置することなく、天井のある通路におけるエ
スカレータ設置面上に、円滑に移動させて据え付けるこ
とのできるエスカレータトラスの据付方法が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示し、揚重装置を上部乗降
口床に設置した状態における縦断面図である。

【図２】本発明の一実施例を示し、揚重装置部の斜視図
である。

【図３】本発明の一実施例を示し、支持台の斜視図であ
る。

【図４】本発明の一実施例を示し、上下方向移動装置の
斜視図である。

【図５】本発明の一実施例を示し、下部トラスを上部乗
降口床に移動した状態における縦断面図である。

【図６】本発明の一実施例を示し、下部トラスが傾斜床
面上を移動している状態における縦断面図である。

【図７】本発明の一実施例を示し、下部トラスが傾斜床
面の最下部に移動した状態における縦断面図である。

【図８】本発明の一実施例を示し、下部トラスを所定の
位置に支持台で支持した状態における縦断面図である。

【図９】本発明の一実施例を示し、分割中間トラスが傾
斜床面上を移動した状態における縦断面図である。

【図１０】本発明の一実施例を示し、分割中間トラスを
下部トラスに接続させた状態における縦断面図である。

【図１１】本発明の一実施例を示し、５個の分割中間ト
ラスを傾斜床面に移動した状態における縦断面図であ
る。

【図１２】本発明の一実施例を示し、すべての分割中間
トラスを傾斜床面に移動した状態における縦断面図であ
る。

【図１３】本発明の一実施例を示し、一番最後に移動し
た分割中間トラスの下方に上下方向移動装置を設置した
状態における縦断面図である。

【図１４】本発明の一実施例を示し、上部屈曲トラス部
を揚重装置で持ち上げた状態における縦断面図である。

【図１５】本発明の一実施例を示し、上部屈曲トラス部
を上部水平床面に落した状態における縦断面図である。

【図１６】本発明の一実施例を示し、上部屈曲トラス部
を傾斜床面及び上部水平床面の上に位置させ、その上部
屈曲トラス部の下方に上下方向移動装置を設置した状態
における縦断面図である。

【図１７】本発明の一実施例を示し、上部水平トラス部
を揚重装置で持ち上げた状態における縦断面図である。

【図１８】本発明の一実施例を示し、上部水平トラス部
を上部水平床面に据え付けた状態における縦断面図であ
る。

【図１９】本発明の一実施例を示し、上部トラス、中間
トラス及び下部トラスをエスカレータ設置面上に設置し
た状態における縦断面図である。

【図２０】本発明の一実施例を示し、分割中間トラスが
傾斜床面を移動している状態における要部斜視図であ
る。

【図２１】本発明の一実施例を示し、分割中間トラスを
上下方向移動装置の主エアーバックによって持ち上げた
状態における要部斜視図である。

【図２２】本発明の一実施例を示し、据え付け済みの分
割中間トラス上面に据え付け中の分割中間トラス上面
を、上下方向移動装置の補助エアーバックによって、一
致させた状態における要部斜視図である。

【符号の説明】

１ 通路 １ｃ 上部乗降口床 ２ エスカレータトラス ３ 上部トラス ４ 中間トラス ５ 下部トラス ６ 揚重装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田丸 時司 東京都千代田区神田錦町１丁目６番地 株 式会社日立ビルシステムサービス内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 天井のある通路に設置されるエスカレー
   タの上部乗降口床側に揚重装置を設け、この揚重装置に
   より、前記エスカレータを支えるエスカレータトラスの
   下部トラス部分、前記エスカレータトラスの中間トラス
   部分、前記エスカレータトラスの上部トラス部分の順
   で、前記上部乗降口床側から前記通路のエスカレータ設
   置面に移動して据え付けてなるエスカレータトラスの据
   付方法。
2. 【請求項２】 前記中間トラス部分を、複数個に分割し
   て前記揚重装置により、前記通路のエスカレータ設置面
   に移動して据え付けるようにしたことを特徴とする請求
   項１記載のエスカレータトラスの据付方法。