JPH07313887A - 繊維状触媒及びその製造方法 - Google Patents

繊維状触媒及びその製造方法

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JPH07313887A
JPH07313887A JP6140640A JP14064094A JPH07313887A JP H07313887 A JPH07313887 A JP H07313887A JP 6140640 A JP6140640 A JP 6140640A JP 14064094 A JP14064094 A JP 14064094A JP H07313887 A JPH07313887 A JP H07313887A
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catalyst
metal
active component
layer
manganese oxide
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JP6140640A
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English (en)
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Naoki Mizuno
直樹 水野
Yoshio Yamaoka
吉雄 山岡
Hideomi Kanbe
秀臣 神戸
Shiyunji Kurahara
俊次 倉原
Teizo Harima
貞三 播磨
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】熱可塑性高分子物質からなる繊維上に、下地と
しての金属層が被覆され、該被覆金属上に結合剤なしに
触媒活性成分層が形成されていることを特徴とする繊維
状触媒であって、特に、触媒活性成分としてのマンガン
酸化物が電解法によって結合剤なしに形成されているこ
とを特徴とする、過酸化物分解作用を有する繊維状触
媒。 【効果】圧力損失が少なく、どのような形状にも形成で
きる上に、結合剤が使用されていないために触媒性能に
優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維状の形態を有する
触媒に関する。より詳しくは、マンガン酸化物を触媒活
性成分とし、過酸化物、特にオゾンを分解する性能を有
する繊維状触媒、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に接触分解反応に使用する金属もし
くは金属酸化物触媒は、不均一系固定床触媒の場合、圧
力損失を小さくする、すなわち、反応ガスの通気性を高
くし、触媒粒子の細孔内への拡散有効係数を大きくする
ため、また、取扱いを容易にするため、触媒粒子を無機
の結合剤、例えば、アルミナゾル、シリカゾル、チタニ
アゾル等を用いるか、有機の結合剤、例えば、ポリビニ
ルアルコール、塩化ビニリデン、コーンスターチ等を用
いて乾固させ、又は高温で焼成する等の手段により、様
々な形状のペレット状若しくはハニカム状に成形して使
用される。
【0003】しかしながら、触媒をペレット状にして
も、圧力損失は満足できるほど防止することができない
ため、風量の大きなファンを設けなければならず、結果
として装置は大型化し、多大の設備投資および経費を要
する。また、触媒をハニカム状にしても、様々なオゾン
分解装置に合わせてそれぞれ専用の形に成形する必要が
あり、コストが高くなるという問題がある。
【0004】一方、繊維織物状ないし不織布状の触媒も
提案されている。これらの触媒は、圧力損失が小さく、
また、裁断、折り曲げ等によって形状を容易に変形させ
ることができるため、汎用性に優れている。しかしなが
ら、従来の繊維織物状ないし不織布状の触媒には、種々
の問題点がある。
【0005】例えば、特開昭56−133029号公報
には、結合剤を用いて触媒粒子を布に固着させた触媒が
記載されているが、結合剤の使用量が少ないと触媒粒子
の脱落が起こり、結合剤が多いと触媒粒子が結合剤に覆
われてしまうため触媒性能が低下するという問題があ
る。
【0006】また、特公平4−43703号公報及び特
開平2−253848号公報には、アルミナ、シリカ等
の多孔質無機繊維に触媒粒子を担持させた触媒が記載さ
れているが、多孔質無機繊維が極めて高価であるため経
済的でない。
【0007】さらに、特開平3−270718号公報に
は、多孔質有機繊維中に触媒粒子を分散させた触媒が記
載されているが、触媒粒子を取り巻く有機物質によって
反応ガスが触媒粒子表面に吸着することが妨げられ、ま
た、含有させる触媒粒子の量を一定以上に多くできない
ため、結果として十分な触媒性能が得られないという問
題がある。
【0008】したがって、本願発明の第1の目的は、圧
力損失がなく、どのような形状にも形成できる繊維状触
媒において、結合剤を使用することなく触媒活性成分を
強固に繊維上に担持させた触媒を提供することである。
【0009】また、飲料水用の原水を浄化処理するに当
たっては、従来から凝集沈殿、濾過及び塩素処理の各工
程により行われてきたが、ある種の有機物質が塩素処理
によって発癌性物質といわれるトリハロメタンを形成す
ることが認められ、近年、飲料水の安全に対する関心が
高まってきている。
【0010】この対策として、殺菌を塩素処理のみに頼
ることなく、オゾン処理を併用することによって塩素の
注入量を減らす試みが行われている。また、オゾンによ
る殺菌処理は、飲料水用の原水の浄化処理ばかりでな
く、プール、温泉等において、水又は湯をオゾン処理に
よって殺菌し、濾過、循環させることによって、衛生の
向上、経費の節減、資源の有効利用を図ることが検討さ
れており、さらに、空気の脱臭、滅菌にも利用されつつ
ある。
【0011】しかしながら、オゾン処理を行う場合、注
入されるオゾンの一部は吸収されずに排オゾンガスとし
て排出されるのが普通である。そして、オゾンは、強い
酸化作用ないし殺菌作用を有する半面、有毒であり、特
に、窒素酸化物、硫黄酸化物のような酸化性のガスと共
存する場合には、その毒性はオゾン単独の場合よりも強
いため、人体をはじめ、他の動植物に障害を与えること
が知られている。したがって、オゾン処理の際の排オゾ
ンガスは、何等かの方法により無害化することが必要で
ある。また、オゾン処理以外にも、例えば過酸化水素の
ような過酸化物の分解が必要な場合も多い。
【0012】排オゾンガスを処理する方法としては、加
熱分解法、活性炭吸着分解法、薬品分解法及び接触分解
法が実用化されている。加熱分解法とは、排オゾンガス
を400℃に加熱するか、排オゾンガス燃焼炉に導入
し、熱分解又は可燃性成分との酸化、還元反応により除
去する方法であって、迅速に分解することが可能である
が、処理経費が高いという問題がある。
【0013】活性炭吸着分解法は、オゾンの強い酸化力
を利用し、活性炭の炭素を炭酸ガスに化学変化させるこ
とによって、オゾンを酸素に分解するものであり、広く
利用されているが、高温度のオゾンでは反応が激しく、
発火、爆発の危険があるほか、反応によって活性炭が粉
化し、飛散するため、定期的に活性炭を交換することが
必要であり、多大の費用と労力を要する等の問題があ
る。
【0014】薬品分解法は、チオ硫酸ナトリウム、亜硫
酸ナトリウム等の還元剤でオゾンを分解する方法である
が、還元剤の経費が高い上に廃液処理を必要とし、その
経費が加算されるという問題がある。
【0015】接触分解法は、マンガン、ニッケル、鉄、
コバルト等の金属酸化物、又は銀、白金等の貴金属を含
有する触媒を充填した層に排オゾンガスを通し、自己分
解を促進させる方法である。この方法は、安全で発火、
爆発の危険もなく、また、排水処理も不要であり、さら
に、取扱いが容易で、しかも比較的ランニングコストが
安い等、多くの利点があり、近年、とくに注目を浴びて
いる。排オゾンガスの接触分解法に使用される触媒とし
ては、二酸化マンガンが、他の金属に比較して劣化の度
合いが小さく、耐久性に優れ、また、遷移金属の中で最
も安価である等の利点を有し、最も実用化されている。
【0016】したがって、本願発明の第2の目的は、オ
ゾンのような過酸化物を接触分解するための触媒とし
て、触媒活性成分であるマンガン酸化物を、結合剤を使
用することなく強固に結合させた繊維状触媒を提供する
ことである。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの問
題を解決した触媒、すなわち、圧力損失が小さく、軽量
で、機械的強度も強く、かつ、触媒性能の優れた繊維状
触媒を安価に提供しようとするものであり、加えて、オ
ゾン、過酸化水素のような過酸化物を分解する性能の優
れた繊維状触媒を提供しようとするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性高分
子物質からなる繊維上に、下地となる金属を被覆し、該
被覆金属上に電解法によって触媒活性成分層を形成させ
たことを特徴とするものであって、このようにして形成
すれば、結合剤を使用しなくても触媒活性成分を繊維上
に強固に担持させることができることを見出だしたこと
に基づく発明である。このようにして得られる繊維状触
媒は、繊維状であるために圧力損失が少なく、そのま
ま、又は裁断、折り曲げ等によってどのような形の装置
にも合わせて形成、充填することができる上に、結合剤
を含まないために、結合剤による触媒活性成分表面の隠
蔽がなく、優れた触媒効果を示すものであって、特にマ
ンガン酸化物を活性成分とするオゾン等の過酸化物分解
用触媒としての利用において期待されるものである。
【0019】マンガン酸化物を触媒活性成分とする場合
において、マンガン酸化物は、好ましくは二酸化マンガ
ンを主成分とするマンガン酸化物である。下地として被
覆される金属は、導電性のあるものであれば使用できる
が、好ましくはニッケル、コバルト及び銅から選ばれた
一種以上を含む金属である。下地の金属がニッケル又は
コバルトを含む場合には、そのニッケル又はコバルト
が、燐、ホウ素、及び、燐又はホウ素とニッケル又はコ
バルトとの合金を含まないことが好ましい。
【0020】本発明の触媒を製造するには、熱可塑性高
分子物質からなる繊維上に下地となる金属を被覆し、次
いで、該被覆金属上に電解法によって触媒活性成分層を
形成させることにより製造する。マンガン酸化物を触媒
活性成分とする場合には、電解法としては、過マンガン
酸塩水溶液中の陰極電解法によって、二酸化マンガンを
主成分とするマンガン酸化物触媒を形成させるのが好ま
しい。
【0021】下地として被覆される金属がニッケル又は
コバルトを含む場合には、その被覆に当たって、ヒドラ
ジン水和物又はヒドラジニウム塩を還元剤として使用す
る無電解めっき法によって被覆することが好ましい。
【0022】本発明において基材となる繊維は、熱可塑
性高分子物質からなる短繊維又は長繊維である。形態と
しては、いわゆる繊維そのままでもよいが、織物、編み
物、不織布等に形成されたものも含まれる。表面積等の
点からみて不織布を使用するのが好ましい。熱可塑性高
分子物質からなる繊維を基材として使用することによっ
て、圧力損失が小さく、軽量で、機械的衝撃にも強く、
かつ、優れた触媒性能が得られる。
【0023】本発明において熱可塑性高分子物質として
は、熱可塑性の高分子物質であれば特に制限なく使用で
きるが、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフ
ィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びそ
れらの共重合物に代表されるポリエステル系樹脂、ポリ
オキシメチレンに代表されるポリエーテル樹脂、ナイロ
ン−6、ナイロン66、ポリメタキシレンアジパミドに
代表されるポリアミド系樹脂、ポリスチレン、ポリ(メ
タ)アクリル系樹脂等、多くの樹脂の単体、共重合体、
混合体、複合体等が挙げられる。
【0024】基材として不織布を使用する場合は、目付
けが1000g/m以下で、かつ、厚さが2mm以下
であるのが好ましい。目付けが1000g/m以上、
かつ、厚さが2mm以上になると、下地の金属層及び触
媒活性成分層を不織布の内部にまで均一に形成すること
が困難となる。
【0025】本発明において、触媒活性成分としてのマ
ンガン酸化物は、二酸化マンガンを主成分とするもので
あって、電解法によって結合剤なしに形成されることを
特徴とする。電解法を採用することによって、結合剤を
使用する必要がなくなる上に、高温で焼成する必要もな
くなり、したがって、結合剤によるマンガン酸化物表面
の隠蔽または高温焼成による触媒性能の低下がなく、優
れた触媒性能を有する合成繊維及び触媒が得られる。
【0026】電解法によってマンガン酸化物を析出させ
る場合、乾電池の減極剤を製造する場合と同様に、硫酸
マンガンのような二価のマンガン塩水溶液から陽極電解
法によって形成する方法が一般によく知られている。こ
の方法を採用する場合は、下地の被覆金属が陽極電解中
にある程度溶出する点に留意すべきである。その場合、
次第に導電性が低下してマンガン酸化物の析出が不十分
となり、電解液も溶出金属イオンによって汚染されてく
る。これを防止するには、下地の被覆金属として、コス
トは高くなるが貴金属のような不溶出性の金属を使用す
るのが好ましい。
【0027】また、電解法として、過マンガン酸塩の水
溶液中で陰極電解する方法を採用することもできる。こ
の方法によれば、電解中に下地の金属が溶出する問題を
解決できる上に、陽極電解法によるマンガン酸化物より
優れた触媒性能を有するマンガン酸化物が形成される。
陰極電解は、過マンガン酸塩、支持塩、緩衝剤および水
からなる電解液を使用して行われる。
【0028】好ましい過マンガン酸塩としては、過マン
ガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等が挙げられ
る。過マンガン酸塩の濃度は任意であるが、好ましくは
0.01〜1mol/l、さらに好ましくは0.1〜
0.5mol/lである。
【0029】支持塩とは、水に溶け易い強電解質で、マ
ンガン酸化物の形成に関与する物質と反応せず、電極表
面で特異吸着しないものであれば特に制限はなく、例え
ば、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、過塩素酸カリウ
ム、過塩素酸ナトリウム等が挙げられる。支持塩の濃度
は任意であるが、好ましくは0.1〜5mol/l、さ
らに好ましくは0.3〜2mol/lである。
【0030】電解液のpHは8以上が好ましい。さらに
好ましくはpH11以上である。pH8以下の電解液を
用いてもマンガン酸化物を形成させることは可能である
が、pH8以上の電解液を用いた場合に比べて析出効率
が低く、また、得られたマンガン酸化物の触媒活性が若
干低下する。
【0031】緩衝剤としては、pH8以上を安定に保
ち、マンガン酸化物の形成に関与する物質と反応せず、
電極表面で特異吸着しないものであれば特に制限はな
く、例えば、燐酸二水素カリウム−水酸化ナトリウム
系、燐酸二水素カリウム−燐酸水素二ナトリウム系、塩
化アンモニウム−アンモンニア水系、ホウ砂−水酸化ナ
トリウム系、ホウ砂−塩化カリウム−水酸化ナトリウム
系等が挙げられる。
【0032】電解液の温度は50℃以上が好ましい。5
0℃以下ではマンガン酸化物の析出効率が低く好ましく
ない。より好ましくは80℃以上である。陽極に使用す
る電極材料としては、電解中に電解液中に溶出すること
がない材料であれば特に制限はなく、例えば、チタン、
白金、白金被覆チタン、カーボン、ステンレス等が挙げ
られる。
【0033】本発明において、下地として被覆される金
属は、ニッケル、コバルト及び銅から選ばれる一種以上
を含む金属である。これら下地の被覆金属は、いわゆる
光沢のある微結晶又は非晶質金属被膜であってもよい
が、例えば、結晶粒径が0.1μm〜2μm程度の柱状
結晶又は針状結晶を有する金属皮膜であるのが好まし
い。その場合には、その上に形成するマンガン酸化物の
過酸化物に対する接触面積が大きくなるからである。下
地の被覆金属は、一般に無電解めっき法により形成され
る。
【0034】下地の被覆金属がニッケル又はコバルトを
含む場合には、無電解めっき液の還元剤としてヒドラジ
ン水和物又はヒドラジニウム塩を用いた無電解めっき液
を使用するのが好ましい。無電解ニッケルめっき又は無
電解コバルトめっきには、還元剤として次亜燐酸ナトリ
ウム、ジメチルアミノボラン、ホウ素化水素ナトリウム
等を用いた無電解めっき液を使用することも一般的であ
る。この場合には、金属被膜中に燐及びホウ素が混入す
る場合がある点に留意すべきである。燐及びホウ素が混
入すると、一般に柱状結晶又は針状結晶を有する金属皮
膜が得られ難くなる。
【0035】下地の被覆金属が銅である場合には、プリ
ント配線板の製造において一般的に使用されている、ホ
ルマリンを還元剤とした無電解銅めっき液を使用するこ
とができる。以下、無電解めっき方法について、さらに
詳しい態様を述べる。
【0036】本発明において、繊維への無電解めっき加
工を行うに当たって、無電解めっきのための活性化処理
を行う。活性化処理は、常法によって行うことができ
る。例えば、金属パラジウム核を形成する場合はセンシ
タイジング−アクチベイティング法、キャラクタライジ
ング−アクチベイティング法等の方法がある。
【0037】下地の被覆金属がニッケル又はコバルトで
ある場合、無電解ニッケルめっき液又は無電解コバルト
めっき液として、ヒドラジン水和物又はヒドラジニウム
塩を還元剤とするものを使用するのが好ましい。又は、
次亜燐酸ナトリウムを還元剤とする市販の無電解めっき
液を使用してもよい。ヒドラジニウム塩としては、塩化
ヒドラジン、硫酸ヒドラジン等がある。ヒドラジン水和
物又はヒドラジニウム塩の濃度は任意であるが、好まし
くは0.05〜5mol/lである。次亜燐酸ナトリウ
ムの場合は0.01〜0.5mol/lが好適である。
【0038】金属イオンの供給源としては、硫酸塩、塩
化物、ギ酸塩、酢酸塩等の水溶性塩を使用し得る。これ
らの金属塩の濃度は任意であるが、好ましくは0.01
〜0.5mol/l、特に0.1〜0.5mol/lが
好ましい。
【0039】本発明の無電解ニッケルめっき液又は無電
解コバルトめっき液は、他に錯化剤、pH緩衝剤、安定
剤等を含むことができる。錯化剤としては、公知の錯化
剤、例えば、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、コ
ハク酸ナトリウム、エチレンジアミン、酒石酸ナトリウ
ム等を単独又は二種以上組み合わせて使用することがで
きる。また、安定剤としては、硝酸鉛、酢酸鉛等が溶解
性が高く、優れた効果を示す。 なお、無電解ニッケル
めっき液、無電解コバルトめっき液ともに、水酸化ナト
リウム等のアルカリ性物質を使用してpH10以上、好
ましくはpH12以上に調整して使用するのが好まし
い。
【0040】下地の被覆金属が銅の場合は、ホルマリン
を還元剤とした市販の無電解銅めっき液を使用すること
ができる。例えば、メルテックス社製のCU−390、
CU−406、CU−706、及びキザイ社製のCp−
Cu305等が挙げられる。
【0041】本発明においては、繊維と無電解めっきに
よって被覆する下地の金属との密着性を向上させるため
に、必要に応じて活性化処理に先だって繊維に適当な前
処理を施すことができる。適当な前処理とは、例えば、
アルカリ水溶液に浸漬させる表面処理等が挙げられる
が、市販の処理剤を使用してもよく、また、これらに限
定されるものではない。
【0042】
【実施例】以下、実施例によって本願発明をさらに具体
的に説明する。
【0043】実施例1 ポリエチレンテレフタレート製不織布(目付け180g
/m、厚さ1mm、東洋紡績株式会社製)を水酸化ナ
トリウム水溶液(50g/l)に90℃で120分浸漬
した。つぎに、これをよく水洗した後、下記に示す活性
化処理液組成及び条件で活性化処理を行った。 センシタイジング 処理液組成 塩化第1スズ 0.9g/l 35%塩酸 8ml/l 処理条件 35℃30分 アクチベイティング 処理液組成 塩化パラジウム 0.002mol/l 35%塩酸 3ml/l 処理条件 40℃30分 なお、センシタイジングとアクチベイティングの間には
水洗を行った。
【0044】つぎに、前記の方法で活性化処理した不織
布を、下記に示す無電解ニッケルめっき液組成及び条件
で、下地のニッケルめっき皮膜を形成した。 無電解ニッケルめっき液組成 硫酸ニッケル 1.1mol/l ヒドラジン−水和物 1.0mol/l クエン酸ナトリウム 0.2mol/l 酢酸鉛 5ppm めっき浴温度 85℃ めっき浴pH 12.4 めっき時間 20分 ニッケルの付着量は37.1g/mであった。さら
に、走査電子顕微鏡を用いてニッケルめっき表面を20
000倍に拡大し、観察したところ、平均約0.15μ
mの結晶粒径をもつ柱状結晶であることを確認した。
【0045】つぎに、上記ニッケル被覆不織布を水洗し
た後、下記の条件で85.5g/mのマンガン酸化物
を形成し、不織布状触媒Aを得た。得られたマンガン酸
化物をESCA分析したところ、二酸化マンガンが主成
分であることを確認した。 マンガン電解液組成 過マンガン酸カリウム 0.10mol/l 硫酸カリウム 0.30mol/l 電解液温度 85℃ 電解液pH 12.0(ホウ砂−水酸化ナトリウム緩衝剤を使用して 調整した。)
【0046】実施例2 不織布としてポリエチレンテレフタレート製不織布(目
付け400g/m、厚さ2.0mm、東洋紡績株式会
社製)を使用した点を除いては実施例1と同様にして、
不織布状触媒Bを得た。
【0047】実施例3 不織布としてポリエチレンテレフタレート製不織布(目
付け1000g/m、厚さ2.0mm、東洋紡績株式
会社製)を使用した点を除いては実施例1と同様にし
て、不織布状触媒Cを得た。
【0048】実施例4 マンガン電解液組成及び電解条件を下記のとおりに変更
して実施例1の方法に従い、不織布状触媒Dを得た。 マンガン電解液組成 過マンガン酸カリウム 0.30mol/l 硫酸カリウム 0.30mol/l 電解液温度 80℃ 電解液pH 12.0(塩化アンモニウム−アンモニア水からなる緩 衝剤を使用して調整した)
【0049】実施例5 下地の被覆金属をコバルトに変更して実施例1の方法に
従い、不織布状触媒Eを得た。無電解コバルトめっき液
組成及びめっき条件は下記のとおりである。 無電解コバルトめっき液組成 塩化コバルト 0.05mol/l 塩酸ヒドラジン 1.0 mol/l 酒石酸ナトリウム 0.4 mol/l 酢酸鉛 5ppm めっき浴温度 90℃ めっき浴pH 11.0 めっき時間 20分 コバルトの付着量は40.0g/mであった。さら
に、実施例1と同様に走査顕微鏡を用いて、コバルトめ
っきの表面を20000倍に拡大して観察したところ、
平均約0.15μmの結晶粒径を持つ柱状結晶であるこ
とを確認した。
【0050】実施例6 下地の被覆金属を銅に変更して実施例1の方法に従い、
不織布状触媒Fを得た。無電解銅めっき液としてはケミ
プレート・プロセスCp−Cu305(キザイ社製)を
使用し、めっき条件は下記のとおりである。 めっき浴温度 24℃ めっき浴pH 12.4 めっき時間 10分 銅の付着量は11.0g/mであった。さらに、実施
例1と同様に走査顕微鏡を用いて、銅めっきの表面を2
0000倍に拡大して観察したところ、平均約0.2μ
mの結晶粒径を持つ柱状結晶であることを確認した。
【0051】実施例7 還元剤を次亜燐酸ナトリウムに変更して実施例1に従
い、不織布状触媒Gを得た。無電解ニッケルめっき液組
成及びめっき条件は下記のとおりである。 無電解ニッケルめっき液組成 硫酸ニッケル 0.1mol/l 次亜燐酸ナトリウム 1.mol/l クエン酸ナトリウム 0.1mol/l 酢酸鉛 5ppm めっき浴温度 90℃ めっき浴pH 6.2 めっき時間 3分 ニッケルの付着量は12.6g/mであり、燐の含有
量は8重量%であった。さらに、実施例1と同様に走査
顕微鏡を用いて、ニッケルめっきの表面を20000倍
に拡大して観察したところ、すべらかな結晶状態である
ことが観察された。
【0052】比較例1 Υ−アルミナ(住友化学工業社製)1kgと、ポリビニ
ルアルコール100g及び硝酸マンガン0.4kgを含
む2lの水溶液とを混合し、ニーダーでよく混練した
後、押し出し成形機で直径3mm、長さ30mmのペレ
ットに成形した。このペレットを200℃で1時間乾燥
し、ペレット状触媒Hを得た。
【0053】比較例2 Υ−アルミナ(住友化学工業社製)1kgと、硝酸マン
ガン0.4kgを含む2lの水溶液とを混合し、ニーダ
ーでよく混練した後、押し出し成形機で直径3mm、長
さ30mmのペレットに成形した。このペレットを10
0℃で10時間乾燥した後、空気中で500℃で6時間
焼成し、ペレット状触媒Iを得た。
【0054】比較例3 Υ−アルミナ(住友化学工業社製)1kgと、硝酸マン
ガン0.4kg及びポリビニルアルコール100gを含
む5lの水溶液とを混合し、スラリーを調製した。この
スラリーにポリエチレンテレフタレート製不織布(目付
け400g/m、厚さ2.0mm、東洋紡績株式会社
製)を浸漬した後、150℃で3時間乾燥し、不織布状
触媒Jを得た。
【0055】以上の実施例及び比較例で得られる触媒A
〜Jについて、下記に示す方法によりオゾン分解性能を
測定した。 (1) 触媒A、D、E、F及びGのオゾン分解性能測
定方法 不織布状触媒を幅30cm、長さ1.5mに裁断し、直
径1cm、長さ30cmの鉄心に巻き付けて、長さ30
cm、直径6cmの円筒状に形成し、この円筒状触媒を
直径(内径)6cm、長さ32cmの円筒状ステンレス
製カラムに充填した。つぎに、害カラムにオゾン100
0ppmを含む被処理ガスを温度50℃、相対湿度10
0%、120l/分の条件で流し、カラム通過前後のオ
ゾン濃度を測定し、オゾン分解率を求めた。 (2) 触媒B、C及びJのオゾン分解性能測定方法 不織布状触媒を幅30cm、長さ0.7mに裁断した点
を除いては(1)の場合と同様にしてオゾン分解率を求
めた。 (3) 触媒H及びIのオゾン分解性能測定方法 ペレット状触媒を直径(内径)6cm、長さ32cmの
円筒状ステンレス製カラムに見掛上満たされるまで充填
し、(1)の場合と同様にしてオゾン分解率を求めた。
結果を表1に示す
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】本発明の触媒の優れた効果をまとめると
下記のとおりである。 (1) 繊維状であるために圧力損失が小さく、したが
って、過酸化物を効率よく分解でき(表1において、H
又はIとのを対比から明らかである)、また、分解装置
の小型化が図れる。 (2) 繊維状であるために、そのまま、又は裁断、折
り曲げ等により、どのような形状の装置にも合わせて形
成、充填できる。 (3) 結合剤を使用しないで触媒が担持されるため、
結合剤による触媒表面の隠蔽がなく、触媒性能が高い
(表1において、Jとの対比から明らかである)。 (4) 高温焼成が不要であるため、焼成による触媒性
能の低下がなく、さらに、シリカ、アルミナ等の担体も
不要である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 倉原 俊次 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 播磨 貞三 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性高分子物質からなる繊維上に、下
    地としての金属層が被覆され、該被覆金属上に結合剤な
    しに触媒活性成分層が形成されていることを特徴とする
    繊維状触媒。
  2. 【請求項2】触媒活性成分がマンガン酸化物であって、
    過酸化物分解作用を有することを特徴とする請求項1に
    記載の繊維状触媒。
  3. 【請求項3】マンガン酸化物が、二酸化マンガンを主成
    分とする化合物からなることを特徴とする請求項2に記
    載の繊維状触媒。
  4. 【請求項4】熱可塑性高分子物質からなる繊維上に、下
    地としての金属層を被覆し、該被覆金属上に電解法によ
    り触媒活性成分層を形成することを特徴とする繊維状触
    媒の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項5に記載の繊維状触媒の製造方法に
    おいて、電解法によって触媒活性成分層を形成させるに
    当たって、過マンガン酸塩水溶液中の陰極電解法によっ
    て二酸化マンガンを主成分とするマンガン酸化物を形成
    させることを特徴とする過酸化物分解作用を有する繊維
    状触媒の製造方法。
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