JPH07308806A - 耐欠損性に優れた窒化ケイ素基切削工具およびその製造方法 - Google Patents
耐欠損性に優れた窒化ケイ素基切削工具およびその製造方法Info
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- JPH07308806A JPH07308806A JP6126845A JP12684594A JPH07308806A JP H07308806 A JPH07308806 A JP H07308806A JP 6126845 A JP6126845 A JP 6126845A JP 12684594 A JP12684594 A JP 12684594A JP H07308806 A JPH07308806 A JP H07308806A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 耐欠損性に優れたSi3 N4 基切削工具およ
びその製造方法を提供する。 【構成】 RをYを含む希土類元素の内の1種以上とす
ると、Rの酸化物が5〜20モル%固溶したZrO2 :
0.1〜10容量%、ZrN:0.1〜10容量%、R
−Mg−Si−Zr−O−N系結合相:3〜15容量%
を含有し、残りがβ−Si3 N4 および不可避不純物か
らなる組成の切削工具、並びにRの酸化物粉末:1〜1
0重量%、ZrN粉末:0.5〜20重量%、MgO粉
末:0.5〜5重量%、SiO2 粉末:0.1〜2重量
%、残部Si3N4 粉末からなる混合粉末圧粉体を、N
2 雰囲気中、1600〜2000℃、1〜50気圧で一
次焼結し、次いでN2 雰囲気中、1700〜2000
℃、100〜2000気圧で二次焼結する切削工具の製
造方法。
びその製造方法を提供する。 【構成】 RをYを含む希土類元素の内の1種以上とす
ると、Rの酸化物が5〜20モル%固溶したZrO2 :
0.1〜10容量%、ZrN:0.1〜10容量%、R
−Mg−Si−Zr−O−N系結合相:3〜15容量%
を含有し、残りがβ−Si3 N4 および不可避不純物か
らなる組成の切削工具、並びにRの酸化物粉末:1〜1
0重量%、ZrN粉末:0.5〜20重量%、MgO粉
末:0.5〜5重量%、SiO2 粉末:0.1〜2重量
%、残部Si3N4 粉末からなる混合粉末圧粉体を、N
2 雰囲気中、1600〜2000℃、1〜50気圧で一
次焼結し、次いでN2 雰囲気中、1700〜2000
℃、100〜2000気圧で二次焼結する切削工具の製
造方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、従来よりも一層耐欠
損性が優れている窒化ケイ素(以下、Si3N4 で示
す)基切削工具およびその製造方法に関するものであ
る。
損性が優れている窒化ケイ素(以下、Si3N4 で示
す)基切削工具およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来のSi3 N4 基切削工具として、酸
化ジルコニウム:0.1〜20容量%、窒化ジルコニウ
ム:0.1〜14容量%、Mg−Si−Zr−O−N系
の結合相:3〜15容量%を含有し、残りがβ−Si3
N4 および不可避不純物からなる組成の耐欠損性に優れ
た切削工具は知られている(特開平3−275565号
公報参照)。
化ジルコニウム:0.1〜20容量%、窒化ジルコニウ
ム:0.1〜14容量%、Mg−Si−Zr−O−N系
の結合相:3〜15容量%を含有し、残りがβ−Si3
N4 および不可避不純物からなる組成の耐欠損性に優れ
た切削工具は知られている(特開平3−275565号
公報参照)。
【0003】また、この耐欠損性に優れたSi3 N4 基
切削工具は、窒化ジルコニウム粉末:1〜27重量%、
酸化マグネシウム粉末:1〜10重量%、酸化ケイ素粉
末:0.1〜5重量%、Si3 N4 粉末:残り、の割合
で配合し混合された混合粉末をプレス成形して圧粉体を
作製し、この圧粉体に、窒素雰囲気中、温度:1500
〜2000℃、圧力:1〜50気圧の条件で一次焼結を
施し、引き続いて、窒素雰囲気中、温度:1700〜2
000℃、圧力:100〜2000気圧の条件で1回ま
たは2回以上の二次焼結を施す方法により製造されるこ
とも知られている(特開平3−232773号公報参
照)。
切削工具は、窒化ジルコニウム粉末:1〜27重量%、
酸化マグネシウム粉末:1〜10重量%、酸化ケイ素粉
末:0.1〜5重量%、Si3 N4 粉末:残り、の割合
で配合し混合された混合粉末をプレス成形して圧粉体を
作製し、この圧粉体に、窒素雰囲気中、温度:1500
〜2000℃、圧力:1〜50気圧の条件で一次焼結を
施し、引き続いて、窒素雰囲気中、温度:1700〜2
000℃、圧力:100〜2000気圧の条件で1回ま
たは2回以上の二次焼結を施す方法により製造されるこ
とも知られている(特開平3−232773号公報参
照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年、切削工
具は増々苛酷な切削条件で使用される傾向にあり、特に
苛酷な条件の断続切削に対して十分に対応することので
きるSi3 N4 基切削工具が求められている。
具は増々苛酷な切削条件で使用される傾向にあり、特に
苛酷な条件の断続切削に対して十分に対応することので
きるSi3 N4 基切削工具が求められている。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
かかる観点から、従来よりも一層耐欠損性に優れたSi
3 N4 基切削工具を得るべく研究を行った結果、RをY
を含む希土類元素の内の1種以上とすると、Rの酸化物
粉末:1〜10重量%、窒化ジルコニウム粉末:0.5
〜20重量%、酸化マグネシウム粉末:0.5〜5重量
%、酸化ケイ素粉末:0.1〜2重量%、窒化ケイ素粉
末:残部、の割合に配合し、混合し、圧粉体に成形した
のち、この圧粉体に、窒素雰囲気中、温度:1600〜
2000℃、圧力:1〜50気圧の条件で一次焼結を施
し、引き続いて、窒素雰囲気中、温度:1700〜20
00℃、圧力:100〜2000気圧の条件で1回また
は2回以上の二次焼結を施すと、Rの酸化物が5〜20
モル%固溶した酸化ジルコニウム:0.1〜10容量
%、窒化ジルコニウム:0.1〜10容量%、R−Mg
−Si−Zr−O−N系結合相:3〜15容量%、を含
有し、残りがβ−Si3 N4 相と不可避不純物からなる
組成のSi3 N4 基切削工具が得られ、このSi3 N4
基切削工具は、従来よりも耐欠損性が大幅に向上すると
いう研究結果が得られたのである。
かかる観点から、従来よりも一層耐欠損性に優れたSi
3 N4 基切削工具を得るべく研究を行った結果、RをY
を含む希土類元素の内の1種以上とすると、Rの酸化物
粉末:1〜10重量%、窒化ジルコニウム粉末:0.5
〜20重量%、酸化マグネシウム粉末:0.5〜5重量
%、酸化ケイ素粉末:0.1〜2重量%、窒化ケイ素粉
末:残部、の割合に配合し、混合し、圧粉体に成形した
のち、この圧粉体に、窒素雰囲気中、温度:1600〜
2000℃、圧力:1〜50気圧の条件で一次焼結を施
し、引き続いて、窒素雰囲気中、温度:1700〜20
00℃、圧力:100〜2000気圧の条件で1回また
は2回以上の二次焼結を施すと、Rの酸化物が5〜20
モル%固溶した酸化ジルコニウム:0.1〜10容量
%、窒化ジルコニウム:0.1〜10容量%、R−Mg
−Si−Zr−O−N系結合相:3〜15容量%、を含
有し、残りがβ−Si3 N4 相と不可避不純物からなる
組成のSi3 N4 基切削工具が得られ、このSi3 N4
基切削工具は、従来よりも耐欠損性が大幅に向上すると
いう研究結果が得られたのである。
【0006】この発明は、かかる研究結果に基づいてな
されたものであって、特許請求の範囲に記載の焼結体で
構成された耐欠損性に優れたSi3 N4 基切削工具およ
びその製造方法に特徴を有するものである。
されたものであって、特許請求の範囲に記載の焼結体で
構成された耐欠損性に優れたSi3 N4 基切削工具およ
びその製造方法に特徴を有するものである。
【0007】つぎに、この発明のSi3 N4 基切削工具
の製造方法における原料粉末の配合組成、一次焼結条件
および二次焼結条件の限定理由、並びにこの発明のSi
3 N4 基切削工具の組成について、Rの酸化物をR2 O
3 、酸化ジルコニウムをZrO2 、酸化マグネシウムを
MgO、酸化ケイ素をSiO2 、窒化ジルコニウムをZ
rNと記して説明する。
の製造方法における原料粉末の配合組成、一次焼結条件
および二次焼結条件の限定理由、並びにこの発明のSi
3 N4 基切削工具の組成について、Rの酸化物をR2 O
3 、酸化ジルコニウムをZrO2 、酸化マグネシウムを
MgO、酸化ケイ素をSiO2 、窒化ジルコニウムをZ
rNと記して説明する。
【0008】A 原料粉末の配合組成 (a) R2 O3 粉末 R2 O3 には、一次焼結では、MgO粉末、SiO2 粉
末、Si3 N4 粉末の表面に存在するSiO2 、および
ZrN粉末とSi3 N4 粉末の一部と反応して粘性の低
いR−Mg−Si−Zr−O−N系の液相を生成し、こ
の液相によって良好な焼結を進行せしめ、二次焼結で
は、一次焼結により窒素圧力が高くなることにより、 液相(一次焼結)+N2 →液相(二次焼結)+Si3 N
4 +ZrO2 …… の反応がおこり、生成したZrO2 にR2 O3 が固溶す
ると同時に、二次焼結によりSi3 N4 が生成すること
から、液相に含まれるSi量が減少し、焼結後この液相
から生成する結合相のヤング率と熱膨脹係数が大きくな
るために、焼結後β−Si3 N4 粒子に大きな圧縮応力
を発生せしめ、β−Si3 N4 粒子が容易に破断せずに
強化粒子として働かせ、耐欠損性が大きく向上させる
が、その配合割合が、1重量%未満では所望の耐欠損性
向上の効果が小さく、10重量%越えると結合相量が多
くなりすぎて工具の硬さが低下し耐摩耗性が低下するこ
とから、1〜10重量%と定めた。R2 O3 粉末の一層
好ましい配合割合は2〜8重量%である。
末、Si3 N4 粉末の表面に存在するSiO2 、および
ZrN粉末とSi3 N4 粉末の一部と反応して粘性の低
いR−Mg−Si−Zr−O−N系の液相を生成し、こ
の液相によって良好な焼結を進行せしめ、二次焼結で
は、一次焼結により窒素圧力が高くなることにより、 液相(一次焼結)+N2 →液相(二次焼結)+Si3 N
4 +ZrO2 …… の反応がおこり、生成したZrO2 にR2 O3 が固溶す
ると同時に、二次焼結によりSi3 N4 が生成すること
から、液相に含まれるSi量が減少し、焼結後この液相
から生成する結合相のヤング率と熱膨脹係数が大きくな
るために、焼結後β−Si3 N4 粒子に大きな圧縮応力
を発生せしめ、β−Si3 N4 粒子が容易に破断せずに
強化粒子として働かせ、耐欠損性が大きく向上させる
が、その配合割合が、1重量%未満では所望の耐欠損性
向上の効果が小さく、10重量%越えると結合相量が多
くなりすぎて工具の硬さが低下し耐摩耗性が低下するこ
とから、1〜10重量%と定めた。R2 O3 粉末の一層
好ましい配合割合は2〜8重量%である。
【0009】(b) ZrN粉末 ZrNには、一次焼結では一部液相に溶解し、大部分は
そのままの状態で存在して良好な焼結性を確保し、二次
焼結では、その一部からZrO2 を生成させるが、その
配合割合が、1重量%未満では焼結性向上効果が不十分
であり、20重量%越えるとZrO2 の生成量が多す
ぎ、硬さの低下により耐摩耗性が低下するため、1〜2
0重量%と定めた。ZrN粉末の一層好ましい配合割合
は3〜10重量%である。
そのままの状態で存在して良好な焼結性を確保し、二次
焼結では、その一部からZrO2 を生成させるが、その
配合割合が、1重量%未満では焼結性向上効果が不十分
であり、20重量%越えるとZrO2 の生成量が多す
ぎ、硬さの低下により耐摩耗性が低下するため、1〜2
0重量%と定めた。ZrN粉末の一層好ましい配合割合
は3〜10重量%である。
【0010】(c) MgO粉末、SiO2 粉末 SiO2 およびMgOには、一次焼結時に、R2 O3 ,
Si3 N4 粉末の表面に存在するSiO2 、およびZr
NとSi3 N4 の一部と反応して、粘性の低いR−Mg
−Si−Zr−O−N系の液相を生成し、この液相によ
って良好な焼結を進行せしめ、また、二次焼結では上記
した反応により前記液相は相対的にSi量が減少しR
量、Mg量が増加することにより、焼結後生成する結合
相のヤング率や熱膨脹係数の増加し、β−Si3 N4 粒
子に大きな圧縮応力が発生することにより耐欠損性が向
上するが、その配合割合が、MgO:0.5重量%未
満、SiO2 :0.1重量%未満では、一次焼結におけ
る液相の粘性がβ−Si3 N4 粒子を結合するのに不十
分であり、良好な焼結が行われず、MgOが5重量%越
えると結合相の硬さの低下により耐摩耗性が低下してし
まい、SiO2 が5重量%越えると結合相の硬さの低に
より耐摩耗性が低下するばかりでなく、二次焼結後に生
成した結合相に含まれるSi量も多くなることから、M
gO:0.5〜5重量%、SiO2 :0.1〜2重量%
と定めた。MgO粉末およびSiO2 粉末の一層好まし
い配合割合は、MgO粉末:1〜2重量%、SiO2 粉
末:0.1〜1重量%である。
Si3 N4 粉末の表面に存在するSiO2 、およびZr
NとSi3 N4 の一部と反応して、粘性の低いR−Mg
−Si−Zr−O−N系の液相を生成し、この液相によ
って良好な焼結を進行せしめ、また、二次焼結では上記
した反応により前記液相は相対的にSi量が減少しR
量、Mg量が増加することにより、焼結後生成する結合
相のヤング率や熱膨脹係数の増加し、β−Si3 N4 粒
子に大きな圧縮応力が発生することにより耐欠損性が向
上するが、その配合割合が、MgO:0.5重量%未
満、SiO2 :0.1重量%未満では、一次焼結におけ
る液相の粘性がβ−Si3 N4 粒子を結合するのに不十
分であり、良好な焼結が行われず、MgOが5重量%越
えると結合相の硬さの低下により耐摩耗性が低下してし
まい、SiO2 が5重量%越えると結合相の硬さの低に
より耐摩耗性が低下するばかりでなく、二次焼結後に生
成した結合相に含まれるSi量も多くなることから、M
gO:0.5〜5重量%、SiO2 :0.1〜2重量%
と定めた。MgO粉末およびSiO2 粉末の一層好まし
い配合割合は、MgO粉末:1〜2重量%、SiO2 粉
末:0.1〜1重量%である。
【0011】B 一次焼結条件 上記の通り一次焼結では粘性が低く、良好な焼結を促進
させる液相を形成させる必要があるが、温度が1600
℃未満であったり、圧力が1気圧未満であったりする
と、前記液相の形成が不十分となり、満足な焼結を行う
ことができず、一方、圧力が50気圧を越えると、高圧
のN2 ガスが焼結体内に封じ込められてしまい、このN
2 ガスによって焼結性が阻害されるようになり、また2
000℃を越えた温度は設備的に大がかりとなることか
ら、その条件を温度:1600〜2000℃、圧力:1
〜50気圧と定めた。一次焼結条件の一層好ましい範囲
は、温度:1700〜1800℃、圧力:10〜30気
圧である。
させる液相を形成させる必要があるが、温度が1600
℃未満であったり、圧力が1気圧未満であったりする
と、前記液相の形成が不十分となり、満足な焼結を行う
ことができず、一方、圧力が50気圧を越えると、高圧
のN2 ガスが焼結体内に封じ込められてしまい、このN
2 ガスによって焼結性が阻害されるようになり、また2
000℃を越えた温度は設備的に大がかりとなることか
ら、その条件を温度:1600〜2000℃、圧力:1
〜50気圧と定めた。一次焼結条件の一層好ましい範囲
は、温度:1700〜1800℃、圧力:10〜30気
圧である。
【0012】C 二次焼結条件 二次焼結で、上記反応を行わしめ、Si3 N4 の生成
により液相のSi量の減少とR量、Mg量の増加による
結合相組成の最適化により、工具の耐欠損を向上させる
が、温度が1700℃未満ではβ−Si3 N4 が針状に
十分成長せず、圧力が100気圧未満では上記の反応が
十分に行われず、一方、2000℃を越えた温度、並び
に2000気圧を越えた圧力は設備的に大がかりとなる
ことから、その条件を温度:1700〜2000℃、圧
力:100〜2000気圧と定めた。二次焼結条件の一
層好ましい範囲は温度:1700〜1800℃、圧力:
500〜2000気圧である。
により液相のSi量の減少とR量、Mg量の増加による
結合相組成の最適化により、工具の耐欠損を向上させる
が、温度が1700℃未満ではβ−Si3 N4 が針状に
十分成長せず、圧力が100気圧未満では上記の反応が
十分に行われず、一方、2000℃を越えた温度、並び
に2000気圧を越えた圧力は設備的に大がかりとなる
ことから、その条件を温度:1700〜2000℃、圧
力:100〜2000気圧と定めた。二次焼結条件の一
層好ましい範囲は温度:1700〜1800℃、圧力:
500〜2000気圧である。
【0013】D 切削工具を構成する焼結体の組成 (1) R2 O3 を固溶したZrO2 ZrO2 は、二次焼結時にZrNの一部から上記反応
によって生成するが、結合相にR2 O3 が含まれている
ために、このR2 O3 を固溶し、またMgやNも存在す
ることから、場合によっては更にMgやNを固溶して生
成するが、上記反応で示したように、ZrO2 にはZr
Nと共存して結合相の組成を最適化する働きがあり、結
合相のヤング率と熱膨脹係数が大きくし、焼結後に針状
のβ−Si3 N4 粒子に働く圧縮応力を大きくさせるこ
とにより、β−Si3 N4 粒子が容易に破断せずに強化
粒子として働き、耐欠損性が大きく向上させるという作
用がある。しかし、その量が0.1容量%未満では耐欠
損性向上効果が小さく、一方、10容量%を越えると硬
さが低下し、工具の耐摩耗性が低下するため、素地中に
存在するR2 O3 固溶ZrO2 (このR2 O3 を固溶し
たZrO2 をZr(R)O2 と記す)の量は0.1〜1
0容量%(一層好ましくは、0.5〜3容量%)に定め
た。
によって生成するが、結合相にR2 O3 が含まれている
ために、このR2 O3 を固溶し、またMgやNも存在す
ることから、場合によっては更にMgやNを固溶して生
成するが、上記反応で示したように、ZrO2 にはZr
Nと共存して結合相の組成を最適化する働きがあり、結
合相のヤング率と熱膨脹係数が大きくし、焼結後に針状
のβ−Si3 N4 粒子に働く圧縮応力を大きくさせるこ
とにより、β−Si3 N4 粒子が容易に破断せずに強化
粒子として働き、耐欠損性が大きく向上させるという作
用がある。しかし、その量が0.1容量%未満では耐欠
損性向上効果が小さく、一方、10容量%を越えると硬
さが低下し、工具の耐摩耗性が低下するため、素地中に
存在するR2 O3 固溶ZrO2 (このR2 O3 を固溶し
たZrO2 をZr(R)O2 と記す)の量は0.1〜1
0容量%(一層好ましくは、0.5〜3容量%)に定め
た。
【0014】また、R2 O3 の固溶量は、5モル%未満
では耐欠損性向上が不十分であり、20モル%を越える
と硬さが低下し、工具の耐摩耗性が低下するために、そ
の固溶量を5〜20モル%(一層好ましくは、6〜12
モル%)に定めた。
では耐欠損性向上が不十分であり、20モル%を越える
と硬さが低下し、工具の耐摩耗性が低下するために、そ
の固溶量を5〜20モル%(一層好ましくは、6〜12
モル%)に定めた。
【0015】(2) ZrN ZrNは、ZrO2 と共存して上記反応により結合相
の組織を最適化し、耐欠損性を向上させると同時に、Z
rNは硬さが高いため耐摩耗性を向上させるが、その含
有量が0.1容量%未満では耐摩耗性向上が不十分であ
り、一方その含有量が10容量%を越えると耐欠損性が
低下することから、その含有量を0.1〜10容量%と
定めた。ZrN相の一層好ましい量は、0.5〜5容量
%である。
の組織を最適化し、耐欠損性を向上させると同時に、Z
rNは硬さが高いため耐摩耗性を向上させるが、その含
有量が0.1容量%未満では耐摩耗性向上が不十分であ
り、一方その含有量が10容量%を越えると耐欠損性が
低下することから、その含有量を0.1〜10容量%と
定めた。ZrN相の一層好ましい量は、0.5〜5容量
%である。
【0016】(3) 結合相 結合相は、一次焼結時に、原料粉末として用いたR2 O
3 粉末、MgO粉末、SiO2 粉末、Si3 N4 粉末の
表面に存在するSiO2 、およびZrNとSi3 N4 の
一部と反応して粘性の低いRe−Mg−Si−Zr−O
−N系の液相を生成し、この液相によって良好な焼結を
進行せしめ、冷却後結合相として生成するが、Rの含有
量が多くなるほどヤング率と熱膨脹係数が大きくなるた
めに、焼結後に針状のβ−Si3 N4 粒子に働く圧縮応
力が大きくなることから、β−Si3 N4 粒子が容易に
破断せずに強化粒子として働き、耐欠損性が大きく向上
させるという作用があるが、その含有量が3容量%未満
ではβ−Si3 N4 粒子の結合するのに不十分であり、
一方その含有量が15容量%越えると、硬さが低下し工
具の耐摩耗性が低下することから、その含有量を3〜1
5容量%と定めた。結合相の量の一層好ましい範囲は5
〜10容量%である。
3 粉末、MgO粉末、SiO2 粉末、Si3 N4 粉末の
表面に存在するSiO2 、およびZrNとSi3 N4 の
一部と反応して粘性の低いRe−Mg−Si−Zr−O
−N系の液相を生成し、この液相によって良好な焼結を
進行せしめ、冷却後結合相として生成するが、Rの含有
量が多くなるほどヤング率と熱膨脹係数が大きくなるた
めに、焼結後に針状のβ−Si3 N4 粒子に働く圧縮応
力が大きくなることから、β−Si3 N4 粒子が容易に
破断せずに強化粒子として働き、耐欠損性が大きく向上
させるという作用があるが、その含有量が3容量%未満
ではβ−Si3 N4 粒子の結合するのに不十分であり、
一方その含有量が15容量%越えると、硬さが低下し工
具の耐摩耗性が低下することから、その含有量を3〜1
5容量%と定めた。結合相の量の一層好ましい範囲は5
〜10容量%である。
【0017】
【実施例】つぎに、この発明を実施例により具体的に説
明する。
明する。
【0018】原料粉末として、いずれも0.1〜1μm
の範囲の平均粒径を有するSi3 N4 粉末、Yおよび希
土類元素の酸化物粉末、ZrN粉末、MgO粉末、Si
O2粉末を用意し、これら原料粉末をそれぞれ表1〜2
に示される配合組成となるように配合し、ボールミルに
て48時間の湿式混合を行ない、乾燥した後、JIS・
SNGN432の切削チップ形状の圧粉体にプレス成形
し、ついでこれらの圧粉体を同じく表1〜2に示される
条件で焼結することにより本発明法1〜13、比較法1
〜8、および従来法を実施し、それぞれ表3〜4に示さ
れる本発明Si3 N4 基切削工具(以下、本発明切削工
具という)1〜13、比較Si3 N4 基切削工具(以
下、比較切削工具1〜8)および従来Si3 N4 基切削
工具(以下、従来切削工具という)を作製した。
の範囲の平均粒径を有するSi3 N4 粉末、Yおよび希
土類元素の酸化物粉末、ZrN粉末、MgO粉末、Si
O2粉末を用意し、これら原料粉末をそれぞれ表1〜2
に示される配合組成となるように配合し、ボールミルに
て48時間の湿式混合を行ない、乾燥した後、JIS・
SNGN432の切削チップ形状の圧粉体にプレス成形
し、ついでこれらの圧粉体を同じく表1〜2に示される
条件で焼結することにより本発明法1〜13、比較法1
〜8、および従来法を実施し、それぞれ表3〜4に示さ
れる本発明Si3 N4 基切削工具(以下、本発明切削工
具という)1〜13、比較Si3 N4 基切削工具(以
下、比較切削工具1〜8)および従来Si3 N4 基切削
工具(以下、従来切削工具という)を作製した。
【0019】上記本発明切削工具1〜13、比較切削工
具1〜8および従来切削工具について、Zr(R)
O2 ,ZrN,R−Mg−Si−Zr−O−N系結合
相、β−Si 3 N4 を下記の方法により求め、その結果
を表3および表4に示した。
具1〜8および従来切削工具について、Zr(R)
O2 ,ZrN,R−Mg−Si−Zr−O−N系結合
相、β−Si 3 N4 を下記の方法により求め、その結果
を表3および表4に示した。
【0020】すなわち、Zr(R)O2 およびZrNの
割合はX線回折によりβ−Si3 N4 ,ZrO2 および
ZrNの回折ピーク強度を測定し、その測定結果を計算
することにより求めた。
割合はX線回折によりβ−Si3 N4 ,ZrO2 および
ZrNの回折ピーク強度を測定し、その測定結果を計算
することにより求めた。
【0021】また、上記各種切削工具を構成するZr
(R)O2 におけるR2 O3 の固溶量、および結合相の
割合は、TEM(透過型電子顕微鏡)観察により求め
た。
(R)O2 におけるR2 O3 の固溶量、および結合相の
割合は、TEM(透過型電子顕微鏡)観察により求め
た。
【0022】上記本発明切削工具1〜13、比較切削工
具1〜8および従来切削工具を用い、旋盤により、被削
材:FC25(4本溝付丸棒) 切削速度:250m/min 、送り:0.4mm/rev 、切
り込み:2mm、の条件で湿式断続切削試験を行ない、切
刃に欠損が発生するまでの切削時間を測定し、その結果
を表3および表4に示した。
具1〜8および従来切削工具を用い、旋盤により、被削
材:FC25(4本溝付丸棒) 切削速度:250m/min 、送り:0.4mm/rev 、切
り込み:2mm、の条件で湿式断続切削試験を行ない、切
刃に欠損が発生するまでの切削時間を測定し、その結果
を表3および表4に示した。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】なお、表2および表4において、この発明
の範囲から外れた条件に※印を付して示してある。
の範囲から外れた条件に※印を付して示してある。
【0028】
【発明の効果】表1〜4に示される結果から、本発明法
1〜13で製造された本発明切削工具1〜13は、いず
れも従来法で製造された従来切削工具に比べて欠損まで
の時間が格段に長いところから、工具寿命が大幅に改善
されていることがわかる。
1〜13で製造された本発明切削工具1〜13は、いず
れも従来法で製造された従来切削工具に比べて欠損まで
の時間が格段に長いところから、工具寿命が大幅に改善
されていることがわかる。
【0029】したがって、この発明は、従来よりも苛酷
な切削条件に対して切削工具の交換回数を減らすことが
でき、切削作業能率を高めることができるなど、産業上
すぐれた効果を奏するものである。
な切削条件に対して切削工具の交換回数を減らすことが
でき、切削作業能率を高めることができるなど、産業上
すぐれた効果を奏するものである。
Claims (2)
- 【請求項1】 RをYを含む希土類元素の内の1種以上
とすると、 Rの酸化物が5〜20モル%固溶した酸化ジルコニウ
ム:0.1〜10容量%、 窒化ジルコニウム:0.1〜10容量%、 R−Mg−Si−Zr−O−N系結合相:3〜15容量
%、を含有し、残りがβ−窒化ケイ素と不可避不純物か
らなる組成を有する焼結体からなることを特徴とする耐
欠損性に優れた窒化ケイ素基切削工具。 - 【請求項2】 原料粉末として、Rの酸化物粉末(但
し、RはYを含む希土類元素の内の1種以上、以下同
じ)、窒化ジルコニウム粉末、酸化マグネシウム粉末、
酸化ケイ素粉末および窒化ケイ素粉末を用意し、これら
原料粉末を、 Rの酸化物粉末:1〜10重量%、 窒化ジルコニウム粉末:0.5〜20重量%、 酸化マグネシウム粉末:0.5〜5重量%、 酸化ケイ素粉末:0.1〜2重量%、 窒化ケイ素粉末:残部、の割合に配合し、通常の条件で
混合し、圧粉体に成形したのち、この圧粉体に、窒素雰
囲気中、温度:1600〜2000℃、圧力:1〜50
気圧の条件で一次焼結を施し、引き続いて、窒素雰囲気
中、温度:1700〜2000℃、圧力:100〜20
00気圧の条件で1回または2回以上の二次焼結を施す
ことを特徴とする耐欠損性に優れた窒化ケイ素基切削工
具の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6126845A JPH07308806A (ja) | 1994-05-17 | 1994-05-17 | 耐欠損性に優れた窒化ケイ素基切削工具およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6126845A JPH07308806A (ja) | 1994-05-17 | 1994-05-17 | 耐欠損性に優れた窒化ケイ素基切削工具およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07308806A true JPH07308806A (ja) | 1995-11-28 |
Family
ID=14945296
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6126845A Pending JPH07308806A (ja) | 1994-05-17 | 1994-05-17 | 耐欠損性に優れた窒化ケイ素基切削工具およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07308806A (ja) |
-
1994
- 1994-05-17 JP JP6126845A patent/JPH07308806A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20011204 |