JPH07308364A - 医療用器具 - Google Patents

医療用器具

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JPH07308364A
JPH07308364A JP6104190A JP10419094A JPH07308364A JP H07308364 A JPH07308364 A JP H07308364A JP 6104190 A JP6104190 A JP 6104190A JP 10419094 A JP10419094 A JP 10419094A JP H07308364 A JPH07308364 A JP H07308364A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】長期にわたって従来と同等以上の血液保存性能
をもち、安全性の高い軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物か
ら成形された医療用器具を提供する。 【構成】塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、アシ
ル化リンゴ酸ジアルキルエステル5〜150重量部、お
よび安定剤1〜20重量部を配合してなる樹脂組成物か
ら構成された医療用器具。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療用器具に関するも
ので、詳しく述べると、安全性の高い医療用器具に関す
るものである。さらに詳しく述べると、血液および血液
成分の保存性能を維持しつつ、かつ安全性の高い血液バ
ッグに関するものである。
【0002】
【従来技術】近年、輸血用の血液の保存容器としては、
おもに赤血球のダメージを少なくするために硬いガラス
容器から柔軟なポリ塩化ビニル製のソフトバッグに変更
されてきた。その柔軟な軟質ポリ塩化ビニル製の血液バ
ッグは、その加工性、柔軟性、透明性、低水蒸気透過
性、耐熱性などの良好さの故にますます使用されてきて
いる。これらの軟質ポリ塩化ビニルは、可塑剤としてフ
タル酸エステルが30〜60重量部含まれている。その
フタル酸エステル等の可塑剤は血液保存時に経時的に血
液中に溶出し、血液成分である各種細胞の、特に赤血球
の表面の細胞膜を保護するという肯定的な作用が知られ
ている。またフタル酸エステルは、輸血によって体内に
送り込まれたときに、その安全性を心配する声があるこ
とも事実である。 それにより、フタル酸より安全性の
高いリンゴ酸を骨格とするリンゴ酸エステル系の可塑剤
が発明されたが、4℃で、4週間目までは良好な血液保
存性能を示したが、その後6週間目では十分な血液保存
性能を示さなかった。これは、血液中での可塑剤の分解
が早すぎ、溶血抑制効果を十分発揮できるほどの血中濃
度を維持することができなかったからである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、従
来から医療用軟質ポリ塩化ビニルに用いている可塑剤の
フタル酸エステルやリンゴ酸エステルと同程度の可塑化
効率を維持し、また、フタル酸エステルやリンゴ酸エス
テルと同等以上の赤血球膜保護効果を有し、さらにフタ
ル酸エステルより安全性が高い可塑剤を選定することに
よって、従来と同等以上の血液保存性能をもち、安全性
の高い軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物から成形された医
療用器具を得ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は塩化ビニル系樹
脂100重量部に対して、一般式(I)
【0005】
【化2】
【0006】(ただし、一般式(I)中のR1およびR2
はそれぞれ炭素数2〜18での飽和または不飽和の炭化
水素であり、R3は炭素数4〜18の飽和または不飽和
の炭化水素を示す)を有するアシル化リンゴ酸ジアルキ
ルエステル5〜150重量部、および安定剤1〜20重
量部を配合してなる樹脂組成物で作られた医療用器具で
ある。また本発明は、一般式(I)中のR1およびR2
4、6、8、10、12の飽和または不飽和の炭化水素
で、R3の炭素数が4〜12の飽和または不飽和の炭化
水素であることを特徴とする医療用具である。また、本
発明のアシル化リンゴ酸ジアルキルエステルがペンチリ
ルリンゴ酸ジブチルエステル、ペンチリルリンゴ酸ジヘ
キシルエステル、ペンチリルリンゴ酸ジオクチルエステ
ル、ペンチリルリンゴ酸ジ(2−エチル−ヘキシル)エ
ステル、ペンチリルリンゴ酸ジデシルエステル、ペンチ
リルリンゴ酸ジドデシルエステル、ヘキシリルリンゴ酸
ジブチルエステル、ヘキシリルリンゴ酸ジヘキシルエス
テル、ヘキシリルリンゴ酸ジオクチルエステル、ヘキシ
リルリンゴ酸ジ(2−エチル−ヘキシル)エステル、ヘ
キシリルリンゴ酸ジデシルエステル、ヘキシリルリンゴ
酸ジドデシルエステル、ヘプチリルリンゴ酸ジブチルエ
ステル、ヘプチリルリンゴ酸ジヘキシルエステル、ヘプ
チリルリンゴ酸ジオクチルエステル、ヘプチリルリンゴ
酸ジ(2−エチル−ヘキシル)エステル、ヘプチリルリ
ンゴ酸ジデシルエステル、ヘプチリルリンゴ酸ジドデシ
ルエステル、オクチリルリンゴ酸ジブチルエステル、オ
クチリルリンゴ酸ジヘキシルエステル、オクチリルリン
ゴ酸ジオクチルエステル、オクチリルリンゴ酸ジ(2−
エチル−ヘキシル)エステル、オクチリルリンゴ酸ジデ
シルエステル、オクチリルリンゴ酸ジドデシルエステ
ル、ノニリルリンゴ酸ジブチルエステル、ノニリルリン
ゴ酸ジヘキシルエステル、ノニリルリンゴ酸ジオクチル
エステル、ノニリルリンゴ酸ジ(2−エチル−ヘキシ
ル)エステル、ノニリルリンゴ酸ジデシルエステル、ノ
ニリルリンゴ酸ジドデシルエステル、デシリルリンゴ酸
ジブチルエステル、デシリルリンゴ酸ジヘキシルエステ
ル、デシリルリンゴ酸ジオクチルエステル、デシリルリ
ンゴ酸ジ(2−エチル−ヘキシル)エステル、デシリル
リンゴ酸ジデシルエステル、デシリルリンゴ酸ジドデシ
ルエステル、ドデシリルリンゴ酸ジブチルエステル、ド
デシリルリンゴ酸ジヘキシルエステル、ドデシリルリン
ゴ酸ジオクチルエステル、ドデシリルリンゴ酸ジ(2−
エチル−ヘキシル)エステル、ドデシリルリンゴ酸ジデ
シルエステル、ドデシリルリンゴ酸ジドデシルエステル
であることを特徴とする医療用器具である。また、本発
明の安定剤がエポキシ化植物油、バリウム−亜鉛系およ
びカルシウム−亜鉛系安定剤を主成分とするものである
ことを特徴とする医療用器具である。また、本発明の成
形物が血液バッグおよびチューブであることを特徴とす
る医療用器具である。
【0007】本発明による医療用器具用樹脂組成物に使
用される塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルの単独
重合体の他に、塩化ビニルを70重量%以上、好ましく
は85重量%以上含有する塩化ビニリデン等の他の単量
体との共重合体の使用も可能である。また、その平均重
合度は700〜3000、好ましくは1000〜240
0である。さらに、塩化ビニルに対する共単量体として
は、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニ
ル、臭化ビニル、フッ化ビニル、スチレン、ビニルトル
エン、ビニルピリジン、アクリル酸、アルキルアクリレ
ート(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレートなど)、メタクリ
ル酸、アルキルメタクリレート(例えば、メチルメタク
リレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシル
メタクリレートなど)、アクリロニトリル、メタクリニ
トリルなどがある。また、塩化ビニル樹脂には、スチレ
ン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−メタクリロ
ニトリル共重合体を配合する事もできる。
【0008】可塑剤として使用されるアシル化リンゴ酸
ジアルキルエステルは、一般式(I)で示されるもの
で、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して5〜150
重量部、好ましくは40〜100重量部、さらに好まし
くは50〜80重量部使用される。一般式(I)におけ
るR1およびR2はそれぞれ炭素数2〜18の飽和または
不飽和の炭化水素、好ましくは炭素数が2、4、6、
8、10、12の飽和または不飽和の炭化水素である。
さらに好ましくは炭素数が4、6、8の飽和または不飽
和の炭化水素である。すなわちR1またはR2の炭素数が
1以下では可塑剤の溶出量が高くなり、一方R1または
2の炭素数が19以上では可塑化効率が低いので十分
な柔軟性を得るには過量の配合量を必要とし、塩化ビニ
ル系樹脂との相溶性の点で劣る。また、R1およびR2
直鎖または側鎖でもよく、構造異性体を含むものであ
る。
【0009】また、一般式(I)におけるR3は炭素数が
4〜18の飽和または不飽和の炭化水素、好ましくは炭
素数が4〜12、さらに好ましくは炭素数が4〜10で
ある。すなわち、R3の炭素数が4より小さいと、R1
2とのバランスにもよるが、可塑剤の血液中での加水
分解速度が早く、溶血を抑制するのに十分な可塑剤濃度
(血中有効濃度)を維持できない。また、18より大き
いと血液中に溶出する速度が遅く溶血を抑制するのに十
分な可塑剤濃度(血中有効濃度)が得られなくなり、ま
た、可塑化効率が悪く、柔軟なシートを得るには過量の
可塑剤を使用しなくてはならない。
【0010】これらのアシル化リンゴ酸ジアルキルエス
テルの合成法は特に特別の方法ではなく、リンゴ酸の酸
のエステル化反応はリンゴ酸と2倍モル強に相当するア
ルコールを硫酸存在下で加熱して反応させた。反応生成
物をカセイソーダで中和し、水洗した後、蒸留にて精製
した。さらにリンゴ酸の水酸基のエステル化反応は、相
当する酸無水物または酸クロライドを硫酸存在下で反応
させた。反応生成物をカセイソーダで中和し、水洗した
後、蒸留にて精製した。
【0011】また、安定剤としては、エポキシ化合物、
例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などのエ
ポキシ化植物油、ジ−2−エチルヘキシルエポキシヘキ
サヒドロフタレート、ビニルシクロヘキサンジオキサイ
ド、3、4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチ
ル−3、4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカー
ボネート、ジシクロペンタジエンジオキサイドなどのシ
クロヘキセンオキサイド誘導体やカルシウム、亜鉛、バ
リウム、マグネシウム、錫などとステアリン酸、ラウリ
ン酸、リシノール酸、ナフテン酸、2−エチルヘキソイ
ン酸などとの金属せっけん類、例えばステアリン酸カル
シウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラ
ウリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マ
グネシウム、ステアリン酸錫などあるいは前記エポキシ
化合物と金属せっけん類との混合物が配合される。ま
た、この他に、ジデシルフェニルホスファイトなどの亜
リン酸エステル、ステアロイルベンゾメタンとパルミト
イルベンゾイルメタンとの混合物のような有機系安定剤
がある。その量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対
して通常1〜20重量部、好ましくは2〜15重量部で
ある。前記安定剤は、それぞれ単独でも使用可能である
が、前記エポキシ化合物と金属せっけん類、亜リン酸エ
ステルまたは有機系安定剤と併用することが好ましい。
前記エポキシ化合物は、塩化ビニル系樹脂100重量部
に対して通常1〜15重量部、好ましくは5〜10重量
部であり、エポキシ化大豆油が最も好ましい。また金属
せっけん類、亜リン酸エステルまたは有機安定剤は、塩
化ビニル系樹脂100重量部に対して0.01〜8重量
部、好ましくは0.05〜5重量部であり、Ca−Zn
系あるいはBa−Zn系金属せっけんが好ましい。
【0012】アシル化リンゴ酸ジアルキルエステルが輸
血等により血液中に投与されたときの毒性データは示さ
れていないが、リンゴ酸自体は生体内にある物質であ
り、生体内に無いフタル酸構造を持つフタル酸エステル
に比べて毒性が低いことが容易に推定できる。
【0013】次に、図面を参照しながら、本発明の医療
用器具の一例として、血液バッグを製造した場合につい
て説明する。すなわち、図1は血液バッグを示すもの
で、複数個のピールタブ付き排出口1と排出口2を備え
た本発明の樹脂組成物製の採血バッグ3は、その周縁部
を高周波加熱あるいはその他の加熱手段により融着され
ており、該採血バッグの内部空間5に連通する本発明の
樹脂組成物製の採血チューブ6が連結されている。この
採血バッグの内部空間には、抗凝固剤としてCPD液な
どが収納されている。また、前記採血チューブ6の先端
には、採血針7がとりつけられる。
【0014】また、前記採血バッグ3の他に本発明の樹
脂組成物製の子バッグを連結する場合には、ピールタブ
付き排出口9を備えた本発明の樹脂組成物製の周縁部1
0を融着され、かつその内部空間11に連通する本発明
の樹脂組成物製の連結チューブ12を備えた第1の子バ
ッグ13が分岐管14を介して採血バッグ3の連結用排
出口2に、連結部15により連結された連結チューブ1
6と連結される。また、ビールタブ付き排出口17を備
えかつ周縁部18を高周波シールされ、その内部空間1
9に連通する本発明の樹脂組成物製の連結チューブ21
を備えた本発明の樹脂組成物製の子バッグ22の前記連
結チューブ21が分岐管14を介して連結チューブ1
2、16と連結される。
【0015】以上は、血液バッグを例にとって説明した
が、その他の血液保存容器、輸血システム用容器、血液
回路用容器、輸液入りバッグ等あるいはカテーテルや透
析用チューブなどの各種医用チューブや人工腎臓、人工
肺、人工肝臓などの人工臓器、呼吸回路用チューブなど
の呼吸回路装置関連器具などについても同様に使用でき
る。本発明の医療用器具としての用途は特に耐寒性が優
れているので、血液等の凍結保存容器や血液バッグとし
て好適であり、さらに血液バッグおよびこれに接続され
たチューブに用いた場合に効果が顕著であるが、要は体
液・薬液等の液体や気体といった流体が該医療用器具に
注入、排出もしくは保存されたり接触したりするもので
ある場合、好適であり、本発明の目的に合致するもので
あれば特に限定されるものではない。
【0016】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説
明する。
【0017】(実施例1〜4および比較例1〜2)ポリ
塩化ビニル(鐘ヶ淵化学社製S−1003;平均重合度
1300)100重量部に対して表1に示す可塑剤およ
び安定剤を、同表に示す割合で混合し、常法すなわち押
し出し成形によって約0.4mm厚みのシートを得た。
該シートの引張り物性、溶出物試験、安全性試験(細胞
毒性試験)の結果を同表に示した。また、該シートを所
定の形状に裁断した後、2枚を重ね合わせ、内表面積が
約50平方センチメートルになるように高周波シールし
試験用の血液バッグを作製した。このバッグを融封した
のち高圧蒸気滅菌を施した所、実施例、比較例のいずれ
にも、顕著な変形は見られず、実用上問題なかった。
【0018】このシート表裏合計6平方センチメートル
の試験片をガラス製試験管中に入れた後に高圧蒸気滅菌
(121℃20分)した。これにCPD加人全血5ml
を無菌的に分注した後密栓し、4℃で42日間静置保存
した。保存後1500rpm、10分、室温で遠心分離
し、上澄の血漿中に含まれるヘモグロビンの濃度をシア
ンメトヘモグロビン法で測定し、これを保存中に生じた
溶血の指標とした。結果を表1に示した。
【0019】
【表1】
【0020】 HDOM:ヘキシリルリンゴ酸ジオクチルエステル ODOM:オクチリルリンゴ酸ジオクチルエステル DDOM:ドデシリルリンゴ酸ジオクチルエステル DDDM:デシリルリンゴ酸ジデシルエステル ADOM:アセチルリンゴ酸ジオクチルエステル、 DnDP:フタル酸ジ−n−デシルエステル
【0021】尚、引張り物性は、東洋精機製作所製スト
ログラフを用い、日本工業規格JISK−6301に準
じて行い、ゴム3号ダンベルを引っ張り速度毎分200
mm、23℃で測定した。溶出物試験は、厚生省公示第
448号「塩化ビニル樹脂製血液セット基準」に準じて
行い、合格・不合格を判断した。細胞毒性試験は、18
平方センチメートルの検体シートと3mlのMEM培地
(日本製薬社製)をスクリューバイアル瓶に入れ、12
1℃60分オートクレーブ処理を行って抽出液を得る。
その液をHela−S3細胞に投与し、37℃2日間培
養したのち顕微鏡で観察し、抽出液を投与していない空
試験と比較して差のないものを陰性、細胞の増殖が妨げ
られていたもの、あるいは細胞が死滅したものを陽性と
した。
【0022】(実施例5〜8および比較例3〜4)表2
に示す各可塑剤をエタノールに溶解して50000pp
m溶液とし、一種の可塑剤につき2本のガラス試験管を
用意した。それぞれに10mMリン酸緩衝生理食塩水
(PBS、pH7.4)を4.90ml入れ、可塑剤エ
タノール溶液を50μl加え(可塑剤最終濃度500p
pm)よく撹拌した。2本のうち1本にCPD加ヒト血
漿50μlを加え、もう1本の試験管にはPBS50μ
lを加えて対照とした、両方の試験管を37℃でインキ
ュベートした。
【0023】240分経過後に500μlをサンプリン
グし、これにイソプロパノール5mlを加えてよく撹拌
し、さらにジエチルエーテル5mlを加えて再度よく撹
拌した後、遠心分離(2500rpm、10min)し
た。上層を取って30℃、窒素ガス下で溶媒を留去し、
残渣を500μlの酢酸エチルに溶解させ、可塑剤残存
量をガスクロマトグラフィーで定量した。その結果を可
塑剤残存率として表2に示す。
【0024】<ガスクロマトグラフィー条件> ・カラム : Silicone SE-30、 Chromosorb WAW DMCS
5%、 1.1m ・ヘリウムガス流速 : 60 ml/min ・検出器 : FID ・試料添加量 : 5μl ・カラム温度 : 200℃
【0025】
【表2】
【0026】可塑剤残存率を示す表2より、血漿を添加
しない対照においては、37℃4時間のインキュベーシ
ョンでは、いずれの可塑剤もほとんど分解されていなか
った(表2に示さず)。これに対し、血漿を添加した場
合は、フタル酸エステル(比較例4)は、37℃240
分のインキュベーションでは、ほとんど分解されなかっ
たのに対し、アセチルリンゴ酸ジオクチルエステル(比
較例3)では38%が分解されていた。一方、本発明の
アシル化リンゴ酸ジアルキルエステル(実施例1〜4)
では、フタル酸エステルより分解は早いが、比較例で示
したリンゴ酸エステルより分解が遅いことがわかった。
この結果は、分解されることによって、フタル酸エステ
ルより安全性が高く、血液中に溶出後の本発明のアシル
化リンゴ酸ジアルキルエステルの血中濃度は、長期間、
高く維持される事を示唆している。
【0027】
【発明の効果】本発明による医療用器具は、塩化ビニル
系樹脂100重量部に対して一般式で示されるアシル化
リンゴ酸ジアルキルエステルを5〜150重量部、安定
剤1〜20重量部配合してなる樹脂組成物で成形したの
で、従来からの可塑剤であるフタル酸エステルに比べ
て、同様の物性(引張弾性)を持ち、同様の加工(押し
出し成形、高周波シール、接着、滅菌など)が可能であ
り、しかも安全性が高いという効果があった。また、従
来のリンゴ酸エステルに比べて、血液中での分解速度が
遅いため長期にわたって血中濃度(血液中の可塑剤濃
度)が維持され、溶血抑制効果を発揮できるという効果
が見られた。さらに、血液バッグ用材料として使用され
た場合には、血液成分特に赤血球の保存性能が良く、し
かも安全性が高いという効果があった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による血液バッグの一例を示す平面
図。
【符号の説明】
1,2,9,17・・・排出口 3・・・採血バッグ 6,16,21・・・チューブ 7・・・採血針 13,22・・・子バッグ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、
    一般式(I) 【化1】 (ただし、一般式(I)中のR1およびR2はそれぞれ炭
    素数2〜18の飽和または不飽和の炭化水素であり、R
    3は炭素数4〜18の飽和または不飽和の炭化水素を示
    す)を有するアシル化リンゴ酸ジアルキルエステルを5
    〜150重量部、および安定剤1〜20重量部を配合し
    てなる樹脂組成物で作られた成形物からなることを特徴
    とする医療用器具。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20200109780A (ko) * 2019-03-14 2020-09-23 한국화학연구원 Pvc 및 pla 수지에 동시에 적용 가능한 말릭산 기반의 친환경 가소제 및 이를 포함하는 수지

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