JPS6158192B2 - - Google Patents

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JPS6158192B2
JPS6158192B2 JP58067836A JP6783683A JPS6158192B2 JP S6158192 B2 JPS6158192 B2 JP S6158192B2 JP 58067836 A JP58067836 A JP 58067836A JP 6783683 A JP6783683 A JP 6783683A JP S6158192 B2 JPS6158192 B2 JP S6158192B2
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JP
Japan
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blood
weight
container
vinyl chloride
caprolactone
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JP58067836A
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JPS59194746A (ja
Inventor
Yoshinori Oohachi
Shunji Ichikawa
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Terumo Corp
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Terumo Corp
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Publication date
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Publication of JPS59194746A publication Critical patent/JPS59194746A/ja
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  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 技術分野 本発明は、医療用具に関するものである。詳し
く述べると、内部可塑化された塩化ビニル樹脂組
成物からなる薬液・血液保存容器等の医療用具に
関するものである。 先行技術 従来、軟質樹脂製の薬液・血液保存容器として
は、塩化ビニル系樹脂に可塑剤を配合したものが
知られている。このような可塑剤としては多くの
ものが知られているが、フタル酸エステル類、特
にジ−2−エチルヘキシルフタレート(以下、
DOPという。)が最も多く使用されている。DOP
は、塩化ビニル系樹脂に対する溶解性および相溶
性に優れており、またそれを配合した樹脂は可塑
性、透明性、耐熱性等にも優れている。しかしな
がら、DOPは、それを使用した製品が血液、腹
水、消化液等の体液や輸液等の薬液に接した場合
には、これらに溶出する恐れがあつた。また、医
療用具をエチレンオキサイドガスで滅菌する際
に、ガスが器具中に含有されているDOPに吸着
され、そのためガスの脱着に長時間を要すること
も知られている。 さらに、DOPは油状物であつて、軟質塩化ビ
ニル樹脂には約30〜70PHR含有されているので
ブリードを起しやすく、フイルム成形品の表面に
べとつきを与えることがあつた。特に血液保存容
器において血液成分である血小板の保存性を向上
させることは必要なことである。DOPにより可
塑化された塩化ビニル樹脂組成物よりなる血液保
存容器では、血液成分の一つである濃厚血小板血
漿の場合、その有効期限が分離後6時間と極めて
短かく、よりいつそう血小板等の血液細胞との相
互作用が小さく、血小板等の血液細胞を長時間保
存可能な医療用具が求められている。 発明の目的 したがつて、本発明の目的は、新規な医療用具
を提供することにある。本発明の他の目的は、内
部可塑化された塩化ビニル樹脂組成物からなる薬
液、血液保存容器等の医療用具を提供することに
ある。 これらの諸目的は、ポリε−カプロラクトンの
存在下に水性媒体中で塩化ビニル系単量体を重合
して得られる軟質塩化ビニル樹脂で作られた成形
物である医療用具により達成される。 また、本発明は、塩化ビニル系単量体100重量
部に対するポリε−カプロラクトンの量が10〜
200重量部である医療用具である。さらに、本発
明は、ポリε−カプロラクトンの重量平均分子量
が8000〜500000である医療用具である。また、本
発明は、医療用具が薬液または血液保存容器であ
る医療用具である。 発明の具体的説明 本発明による医療用具は、前記のようにポリε
−カプロラクトンの存在下に水性媒体中で塩化ビ
ニル系単量体を重合して得られる軟質塩化ビニル
樹脂で作られたものである。前記ポリε−カプロ
ラクトンは、ε−カプロラクトンに活性水素を含
む重合開始剤を作用させることによつて得られ
る。重合開始剤の種類によつて生成物の末端がカ
ルボキシル基のものや水酸基のものが得られる。
例えば、重合開始剤がジオールである場合は、生
成物の両端は水酸基となり開始剤が水である場合
は、一端がカルボキシル基、他端が水酸基とな
る。本発明においては、これらのポリε−カプロ
ラクトンが特に制限なく使用可能であるが、特に
生成物の両端に水酸基を有するものが好ましい。
ポリε−カプロラクトンの重量平均分子量は8000
〜500000程度が望ましく、さらに好ましくは
10000〜100000である。すなわち、重量平均分子
量が8000未満では可塑化効率が悪くなり、一方、
500000を越えると成形性が悪くなる。好ましいポ
リε−カプロラクトンの例としては、商品名PCL
−300、PCL−700としてユニオン・カーバイド社
(米国)から製造販売されているものが挙げられ
る。PCL−300は重量平均分子量約10000、PCL−
700は約40000のポリε−カプロラクトンである。
また、より高分子量のポリε−カプロラクトンの
例としては重量平均分子量約100000で商品名プラ
クセルH−7としてダイセル化学工業株式会社よ
り製造販売されているものがある。 本発明において、ポリε−カプロラクトンの使
用量は、塩化ビニル系単量体100重量部に対して
10〜200重量部、好ましくは20〜100重量部であ
る。すなわち、使用量が10重量部未満では得られ
る樹脂が実質的に軟質化されず、柔軟で可撓性の
ある医療用具とならない。一方、200重量部を越
えると、得られる樹脂の耐熱性が悪くなり、製造
コストも高くなるので望ましくなく、医療用具と
して必要な高温蒸気滅菌に耐えなくなつてしま
う。 塩化ビニル系単量体としては、塩化ビニルのみ
からなる系または塩化ビニルとこれと共重合し得
る単量体とからなる系が使用される。このような
共単量体としては、エチレン、プロピレン等のオ
レフイン類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、
n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル
類、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシ
ルフクリレート等のアルキルアクリレート類、n
−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメ
タクリレート、メチルメタクリレート等のアルキ
ルメタクリレート類がある。共単量体の使用量
は、塩化ビニル系単量体組成中、好ましくは50重
量%以下、さらに好ましくは30重量%以下であ
る。これは50重量%を越えると、得られる樹脂の
加工成形性、耐熱性、透明性等が悪くなるからで
ある。 本発明における水性媒体としては水を主体とし
て懸濁剤、乳化剤等の混合溶液が使用される。水
性媒体の使用量は、ポリε−カプロラクトンと塩
化ビニル系単量体の合計100重量部に対して100〜
300重量部が望ましい。水性媒体が100重量部未満
では重合反応が不安定になりやすく、一方、300
重量部を越えると経済的に不利である。 重合は、懸濁重合法によるのが望ましいが、乳
化重合法を採用することもできる。重合開始剤と
しては、単量体に可溶性の有機過酸化物やアゾ化
合物が使用される。例えばアゾビスイソブチロニ
トリル等のアゾ化合物、ラウリルパーオキサイド
等のアルキルパーオキサイド、ジイソプロピルパ
ーオキシカーボネート等のアルキルパーオキシエ
ステル、メチルエチルケトンパーオキサイド等の
ケトンパーオキサイド等が好適に使用される。 懸濁剤としては、公知のものが特に制限なく使
用でき、例えばポリビニルアルコール、ゼラチ
ン、水溶性セルロース誘導体等が好適に使用され
る。これらの懸濁剤は、単独または適宜組合わせ
て使用される。懸濁剤の使用量は、水媒体に対し
て0.01〜2重量%が適当である。乳化重合法によ
るときは、公知の乳化剤、例えばラウリル硫酸ナ
トリウム等が使用される。 重合温度は35〜75℃、好ましくは45〜65℃であ
る。35℃未満では重合速度が遅く、また75℃を越
えると得られる樹脂の重合度が低く、耐熱性等が
悪くなるからである。重合反応は、窒素ガス、ア
ルゴンガス等の不活性ガスの気流中で撹拌下に行
なうのが望ましい。また、本重合反応には、トリ
クロルエチレン、メルカプトエタノール等の公知
の連鎖移動剤を使用することもできる。本反応の
詳細は明らかではないが、ポリε−カプロラクト
ンの分子と塩化ビニル系単量体とが極めて均密に
絡み合つて混合しているかあるいは両者間になん
らかの化学的結合が生じているのではないかと推
定される。 反応終了後、生成物は常法にしたがつて反応混
合物中から採取される。例えば、スラリー状の反
応混合物から未反応の単量体を減圧除去し、残部
を濾過、洗浄後乾燥することにより目的の樹脂が
粉末状で得られる。 得られた粉末状樹脂には、常法にしたがつて可
塑剤を除く、通常医療用塩化ビニル樹脂に用いら
れている安定剤等が適量添加されたのち、適当な
成形加工することにより医療用具が得られる。そ
の際、成形加工時に必要な耐熱性を付与するため
に、無毒性安定剤としてエポキシ化大豆油を少量
加えることができる。その他、滑剤等を毒性を示
さない範囲で使用することができる。 安定剤等を配合された前記樹脂組成物は、通常
一般に用いられているプレス成形機、押出成形
機、射出成形機、ブロー成形機、インフレーシヨ
ン成形機、カレンダー成形機等で成形加工するこ
とが可能である。これらの成形物を高周波融着機
等を用い組立加工することにより薬液保存容器、
血液保存容器等の医療用具が得られる。 これらの医療用具は柔軟でかつ可撓性があり、
高周波融着機で融着加工することによつて組立て
られるものである。容器内部には、例えば日本薬
局法ブドウ糖注射液5w/v%あるいは日本薬局
法デキストラン40注射液等の注射剤が封入され、
高圧蒸気滅菌された注射用薬剤容器である。硬質
の容器の場合には、点滴輸注を行なつたときに起
る容器内部の減圧を防ぐために、大気による薬液
の汚染が心配されるような通気針が必要となる
が、柔軟な容器の場合にはこの通気針を用いるこ
となく、すなわち、大気と触れることのないクロ
ーズドシステムで薬液汚染の心配のない点滴輸注
を行なえる注射用薬剤容器を提供することがで
き、また柔軟で可撓性のある薬液の減少に伴なつ
て容器の内容積の減少するように容易に変形する
ことが可能な注射用薬剤容器である。このような
優位な性質を満すための容器としては肉厚0.1〜
1.0mm、好ましくは0.2〜0.6mmのシートが用いら
れ、該シートの引張弾性率としては30〜0.2Kg/
mm2、好ましくは15〜0.3Kg/mm2である。 一方、一般に血液バツグと呼ばれる血液保存容
器としては、その容器内にクエン酸ナトリウム、
クエン酸、ブドウ糖混合溶液(ACD液)、クエン
酸ナトリウム、クエン酸、ブドウ糖、リン酸二水
素ナトリウム混合溶液(CPD液)等の血液保存
液が封入され、高圧蒸気滅菌されたものあるいは
血液保存液を封入せずにガス滅菌あるいは放射線
滅菌された容器である。これらの滅菌された容器
は、例えば採血用の針が取付けられて人の静脈よ
り採血し、必要に応じ遠心分離され、各血液成分
に分けて保存されるものである。これらの操作を
無菌的に行なうためには前述のようなクローズド
システムであることが必要であるが、そのために
は容器が柔軟でかつ可撓性を有していなければな
らない。使用方法の一例としては、ACD液の封
入された容器と、該容器とチユーブにより連
結された容器と、該容器とチユーブで連結さ
れた容器とからなり、前記容器にはチユーブ
を介して採血用針が取付けてある。しかして、前
記採血用針を被採血者の静脈中へ刺通し、容器
を採血用針位置より下に保持することによつて容
器中へ血液を採集する。このとき、容器は静
脈圧および血液の落差圧のみによつて採血量に応
じて容器が変形することによつて採血される。採
血さた血液は必要に応じ遠心分離され、分離され
た境界を乱すことなく小さな力で容器を押しつ
ぶすことによつて容器および容器を次ぐチユ
ーブを通じて分離保存される。容器へ分離され
た血液成分は、必要に応じ同様の操作で容器へ
分離保存される。これら各容器に分離保存された
各血液成分は、注射用薬剤と同様にクローズドシ
ステムで通気針を使用することなく、採血保存さ
れた容器より直接点滴輸血される。これらの機能
は、容器が柔軟でかつ可撓性をもつことによつて
達成される。このような性質を満すための容器と
しては、肉厚0.1〜1.0mm、好ましくは0.2〜0.6mm
のシートが用いられることが可能であり、そのシ
ートの引張弾性率としては、30〜0.2Kg/mm2、好
ましくは15〜0.3Kg/mm2である。 本発明で使用される樹脂においてポリε−カプ
ロラクトンとポリ塩化ビニルとはなんらかの化学
結合が生じていると考えられるが、本発明の目的
とするところからは、ポリε−カプロラクトンを
含む懸濁液中で、塩化ビニル系単量体が別個に重
合して得られるポリε−カプロラクトンと塩化ビ
ニル系重合体との高分子混合物であつたとしても
一向に差支えない。高分子混合物を得るための他
の方法として。例えばロールによる重合体−重合
体の混練によるブレンドが考えられるが、ポリε
−カプロラクトンと塩化ビニル系重合体のロール
混練ブレンドで得られた樹脂混合物を用いて作つ
た薬剤ないし血液保存容器は、混練成形直後は柔
軟かつ透明であるが、経時的に柔軟性が失われる
とともに白濁不透明化するのに反し、本発明によ
る医療用具は、このような経時変化が特に認めら
れない。 つぎに、図面を参照しながら、本発明の医療用
具の一例として、樹脂組成物により採血バツグを
製造した場合について説明する。すなわち、図面
は血液バツグを示すもので、複数個のピールタブ
付き排出口1および排出口2を備えた本発明の樹
脂組成物製の採血バツグ3は、その周縁部を高周
波加熱あるにはその他の加熱手段によりヒートシ
ールされており、該採血バツグの内部空間5に連
通する本発明の樹脂組成物製の採血チユーブ6が
連結されている。この採血バツグの内部空間に
は、抗凝固剤としてACD−A液(例えば、水溶
液100ml中にクエン酸ナトリウム220g、クエン酸
0.80gおよびブドウ糖2.20g含有)、CPD液(例
えば、水溶液100ml中にクエン酸0.327g、クエン
酸ナトリウム2.63g、リン酸二水素ナトリウム
0.251g、デキストロース2.32g含有)等が収納
されている。また、前記採血チユーブ6の先端に
は、採血針7が取付けられている。この採血針に
はキヤツプ8が取付けられる。 また、前記採血バツグ3の他に子バツグを連結
する場合には、ピールタブ付き排出口9を備えた
本発明の樹脂組成物製と同様に周縁部10をヒー
トシールされ、かつその内部空間11に連通する
本発明の樹脂組成物製の連結チユーブ12を備え
た第1の子バツグ13が分岐管14を介して採血
バツグ3の連結用排出口2に、先端の連結口15
により連結された連結チユーブ16と連結され
る。また、ピールタブ付き排出口17を備えかつ
周縁部18を高周波シールされ、その内部空間1
9に連通する本発明の樹脂組成物製の連結チユー
ブ21を備えた子バツグ22の前記連結チユーブ
21が分岐管14を介して連結チユーブ12,1
6と連結される。 以上は、血液バツグを例にとつて説明したが、
その他の血液保存容器、輸血システム、カテーテ
ル、血液回路、透析用チユーブ等についても同様
に使用できる。 つぎに、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。 実施例 1 容量30のステンレス鋼製オートクレーブに精
製したポリε−カプロラクトン〔ユニオン・カー
バイド社(米国)製、PCL700)300g、脱イオン
水18、ポリビニルアルコール0.9gおよびラウ
ロイルパーオキサイド0.45gを仕込み、窒素ガス
充填後に塩化ビニル単量体600gを仕込み、60℃
で18時間激しく撹拌しながら反応させた。反応完
了後、得られたスラリーから未反応単量体を減圧
下に除去し、濾過、洗浄後に乾燥した。得られた
粉末状重合体は800gであつた。 得られた重合体100重量部に対し、Ca−Zn系安
定剤0.5重量部、エポキシ化大豆油3重量部およ
び少量の滑剤を混合してペレツト化した。このペ
レツトを押出機により0.3mmの厚みのシートに成
形した。成形温度は165〜180℃であつた。得られ
たシートは透明で柔軟であつた。このシートを高
周波融着機を用い、薬剤容器および血液保存容器
を作成したところ、柔軟かつ透明性の良好な容器
が得られた。 実施例 2 実施例1と同様な方法でポリε−カプロラクト
ン400gおよび塩化ビニル単量体500gを仕込み、
反応させた(他の配合成分は実施例1と同じ)。
得られた粉末状重合体は790gであつた。得られ
た重合体より実施例1と同じ方法でシートを得
た。得られたシートは透明で柔軟であつた。この
シートを用いて実施例1と同様の方法で薬剤容器
および血液保存容器を作成したところ、柔軟かつ
透明性の良好な容器が得られた。 比較例 1 精製したポリε−カプロラクトン(PCL 700)
400gおよびポリ塩化ビニル(平均重合度 約
1300)500gに、重合体総量100重量部に対して
Ca−Zn系安定剤0.5重量部、エポキシ化大豆油3
重量部および少量の滑剤を混合し、ロール(表面
温度160℃)で混練し、ペレツト化した。このペ
レツトを用いて実施例1と同様の方法で薬剤容器
および血液保存容器を作成した。 比較例 2 ポリ塩化ビニル(平均重合度 約1300)100重
量部に対し、可塑剤としてジ−2−エチルヘキシ
ルフタレート(DOP)50重量部、Ca−Zn系安定
剤0.5重量部およびエポキシ化大豆油3重量部を
混合し、混練後ペレツト化し、実施例1と同様な
方法で薬剤容器および血液保存容器を作成した。 安全性試験 前記実施例および比較例において作成した容器
について、薬剤および血液保存容器としての有用
性を評価するために、日本薬局方第10改正一般試
験法、42.輸液用プラスチツク容器試験法に基づ
いて溶出物の試験および溶血性試験を行なつて第
1表の結果を得た。また、材料の毒性試験として
細胞毒性試験を行なつて第1表の結果を得た。 この細胞毒性試験は、Toplin法(Toplin
:Cancer Res.19,959(1959)「毒性試験法解
説とその評価、問題点」171〜172頁、186〜189
頁)に基づいて試験した。細胞毒性試験の有用さ
は(81/1高分子可能性講座、講演要旨集「高分
子材料試験法とその問題点」74〜76頁)に記載さ
れているように未だ公には採用されてないが、安
全を確認する上で有用な方法である。行なつた方
法は、材料細断片1gを培地3mlに入れ、121℃
で20分間抽出後、抽出培地を対照培地で希釈して
投与した。細胞としてはHeLaを用いた。 これらの結果より実施例に示した容器材料は、
従来一般に用いられている比較例2の容器材料同
様に、安全性、毒性の点で問題はなく、注射剤用
容器あるいは血液保存容器として安全に用いるこ
とができることがわかつた。 抽出試験 輸液用薬剤あるいは血液成分への容器材料から
の抽出性をみるために、容器材料シートを2cm×
10cmの短冊状に切断し、このシート片をサンプル
として日本薬局方生理食塩液および日本薬局方ブ
ドウ糖注射液5w/v%および人血漿中に浸漬
し、15日後の重量変化を測定したところ、第2表
の結果が得られた。 第2表より比較例2のサンプルでは、各薬剤中
および人血漿中への抽出による重量変化がみられ
るが、前記実施例のサンプルでは0.1%以下の測
定誤差範囲内であり、注射剤用薬剤および、血液
成分への抽出は認められなかつた。 血小板付着性 血液の保存性をみるために、材質によりその保
存状態の大きく異なる血小板について試験した。
試験法は、クエン酸ナトリウムで処理された人静
脈血を遠心分離し、多血小板血漿(PRP)を得
た。得られたPRPを希釈し、血小板浮遊液を作成
した。この液を試験シート上に滴下し、一定時間
放置して血小板を付着・拡張させた。これを固定
後濃度を変えたエタノール で段階的に脱水し、
乾燥後、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して
評価した・評価法は0.11mm2に付着した血小板数と
その形態変化を観察し、つぎの3種に分類評価し
た。 型:付着した血小板の形は球形もしくは偽足の
数が1〜2本のもの。 型:数本の偽足が出ているものや偽足が1〜2
本でも血小板がつぶれているもの。 型:血小板が拡張していて平板状になつている
もの。 結果を、第3表に示す。同表より明らかなよう
に、比較例2に比べて実施例のサンプルはいずれ
も付着血小板数が少なく、血液保存用容器として
は非常に優れた容器であることが確認された。 血小板凝集脳試験 血小板の保存性の試験として血小板凝集脳試験
を行なつた。すなわち、ACD−A液6容の入つ
たプラスチツクシリンジで採血された人静脈血40
容から遠心法(160G、10分間)により多血小板
血漿(PRP)を得た。 前記PRPを2mlずつ実施例および比較例の血液
保存容器に無菌的に分注した。血液の固体差を考
慮し、それぞれ3検体の血液を用いた。室温で
2,6および20時間バツグ内に保存したPRPの凝
集試験を行なつた。 使用装置:Aggregometer,AUTORAM−11
(理化電気工業株式会社) 測定温度:37℃ 撹拌速度:100rpm 試 薬:ADP、最終濃度10-5M 試薬濃度:PRP/試薬=10/1 バツグ分注前の最大凝集率をAとし、各時間
の最大凝集率をA2,A6およびA24とし、A2/A
,A6/AおよびA24/Aの値の3検体の平
均値M(A2/A)、M(A6/A)およびM
(A24/A)で比較した。結果を第4表に示
す。同表より明らかなように、比較例2に比べ、
各実施例とも良好な値を示している。 物性試験 実施例および比較例の各容器のシートを幅6
mm、長さ50mmの短冊状に切断し、引張弾性率を成
形後3日目および3個月後について測定したとこ
ろ、第5表の結果を得た。これらの結果から明ら
かなように、実施例1〜2および比較例2は経時
的に安定な物性を示すが、比較例1は経時的に硬
化するとともに、成形後は透明であつたシートが
可撓性を失なうのに応じて白濁化してきた。
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】 発明の具体的効果 以上述べたように、本発明による医療用具は、
ポリε−カプロラクトンの存在下に水性媒体中で
塩化ビニル系単量体を重合して得られる軟質塩化
ビニル樹脂で作られた成形物であるから、ポリε
−カプロラクトンの作用により内部可塑化され
て、従来使用されてきた低分子量の可塑剤は使用
する必要がなく、このため可塑剤の溶出がなくな
る。したがつて、血液成分、注射用薬剤等へ抽出
移行する成分の含まれない医療用具が得られ、こ
のため特に薬液または血液保存容器としては特に
優れた性能を示す。また血小板の保存性が優れて
いるので、特に血液保存容器として有用である。
また、ポリε−カプロラクトンと塩化ビニル系重
合体とはなんらかの化学結合を有するかあるいは
極めて緊密に分子のオーダーで相互に絡み合つて
混合されているので耐熱性に優れ、高温蒸気滅菌
が可能となり、また透明性、柔軟性および可撓性
に優れたものとなる。さらに、ポリε−カプロラ
クトンと塩化ビニル系重合体の割合により柔軟性
の度合いが自由に選択できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
図面は、本発明による樹脂組成物を用いた医療
用具の一例を示す正面図である。 3……血液バツグ、13,22……子バツグ、
6,16,21……チユーブ。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 ポリε−カプロラクトンの存在下に水性媒体
    中で塩化ビニル系単量体を重合して得られる軟質
    塩化ビニル樹脂で作られた成形物である医療用
    具。 2 塩化ビニル系単量体100重量部に対するポリ
    ε−カプロラクトンの量が10〜200重量部である
    特許請求の範囲第1項に記載の医療用具。 3 ポリε−カプロラクトンの重量平均分子量が
    8000〜500000である特許請求の範囲第1項または
    第2項に記載の医療用具。 4 医療用具が薬液または血液保存容器である特
    許請求の範囲第1項ないし第3項のいずれか一つ
    に記載の医療用具。
JP58067836A 1983-04-19 1983-04-19 医療用具 Granted JPS59194746A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP58067836A JPS59194746A (ja) 1983-04-19 1983-04-19 医療用具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP58067836A JPS59194746A (ja) 1983-04-19 1983-04-19 医療用具

Publications (2)

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