JPH07304938A - 二軸配向積層ポリエステルフィルム - Google Patents

二軸配向積層ポリエステルフィルム

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JPH07304938A
JPH07304938A JP9724994A JP9724994A JPH07304938A JP H07304938 A JPH07304938 A JP H07304938A JP 9724994 A JP9724994 A JP 9724994A JP 9724994 A JP9724994 A JP 9724994A JP H07304938 A JPH07304938 A JP H07304938A
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皓 音無
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐スクラッチ性、スリット特性に優れ、電磁
変換特性のよい磁気記録媒体用ベースフィルムとして有
用なポリエステルフィルムを提供することにある。 【構成】 少なくとも一つの層がアンチモン(Sb)お
よびゲルマニウム(Ge)を含有し、その含有量(Sb
+Ge)は10〜400ppmで、その含有量比(Ge
/Sb)は0.001〜0.5の範囲にあることを特徴
とする二軸配向積層ポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリエステルフィルムに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィルムとしては、フィル
ム加工性、走行性などを改善するため、フィルム表面に
突起を形成するため、炭酸カルシウムやコロイダルシリ
カなどの不活性粒子を含有せしめたフィルムが知られて
いる(たとえば特開昭59−171623号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特にポリエス
テルフィルムを磁気記録媒体用として用いる場合には、
磁気記録媒体製造工程での磁性体塗布・カレンダー工程
などで工程速度の増大にともない、接触するロールなど
によってポリエステルフィルム表面、特に微細な突起を
有するフィルム表面が削りとられたり、傷がつくという
欠点が最近問題となっている。また、磁性体を塗布後ス
リットしビデオテープに加工する段階で、フィルム切断
面で切り粉が発生し、磁性面へ付着することにより映像
が悪化する問題点が見られる。また、従来のものでは、
高速磁転写などのダビングの増速化にともない、ダビン
グ時の画質低下のために、画質すなわちS/N(シグナ
ル/ノイズ比)も不十分という欠点があった。これらの
欠点を解決するため、例えば含有せしめる粒子の形状や
粒径のバラツキを規制する方法(たとえば特開昭2−4
9033号公報)などが試みられているが効果は不十分
で、最近の品質要求には満足するできなかった。
【0004】さらに、ゲルマニウム触媒を含有する単層
フィルムの例(たとえば特開昭60−85925)が開
示されているが、充分な品質を得るに至っていない。
【0005】本発明は、かかる問題を解決し、特に高速
工程で、フィルム表面が削りとられたりフィルム表面に
傷がつきにくく(以下、耐スクラッチ性という)すると
ともに、フィルムを切断加工する時に、切断面で切り粉
の発生の少なく(以下スリット特性という)、さらに高
速ダビング時などの画質低下の少ない、すなわち電磁変
換特性のよい(以下電磁変換特性に優れるという)、優
れた表面特性をもつ磁気記録媒体用ポリエステルフィル
ムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、少
なくとも一つの層がアンチモン(Sb)およびゲルマニ
ウム(Ge)を含有し、その含有量(Sb+Ge)は1
0〜400ppmで、その含有量比(Ge/Sb)は
0.001〜0.5の範囲にある二軸配向積層ポリエス
テルフィルムから成る。
【0007】本発明を構成するポリエステルは、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレン2・6−ナフタレ
ートなどであり、該ポリエステルはホモポリエステルで
あっても、コポリエステルであってもよい。共重合成分
の例としては、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イ
ソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、トリ
メリット酸などの多価カルボン酸成分、あるいは、ジエ
チレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサ
メチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペン
チルグリコール、ポリオキシアルキルグリコール、p−
キレングリコール、1,4−シクロヘキシルジメタノー
ルなどの多価アルコール成分などが挙げられる。また、
熱安定剤、改質剤、酸化防止剤などを含んでいても何等
差し支えない。
【0008】さらに、その固有粘度は0.5以上、好ま
しくは0.55以上である。
【0009】本発明のフィルムは少なくとも3層以上の
積層構造であることが好ましい。4層、5層であっても
かまわないが、特に3層構造の場合に本発明の効果がよ
り一層良好となり好ましい。実質的に不活性粒子を表面
部に多く含有することがスリット特性改良に有効であ
り、単層の場合はこの効果が少なく好ましくない。
【0010】本発明のフィルムは、これを構成する上記
各層の少なくとも一層が二軸に配向している必要があ
る。3層以上の積層構造の内、全部の層が二軸に配向し
ていると特に好ましい。全ての層が無配向や一軸配向で
は本発明の効果を得ることはできない。
【0011】従来、ポリエステルフィルムに供するポリ
エステル原料の製造方法において、重合触媒として、酸
化アンチモン、有機チタン化合物など、さらに特に超透
明で無粒子ポリマ用途に酸化ゲルマニウムなどが用いら
れてきた。これらの触媒含有元素について、さらに詳細
に解析した結果、アンチモンおよびゲルマニウムの両者
を特定量含有させ、さらに両者の含有比を特定範囲とす
ることにより、特にフィルムを切断加工する時の切断面
で切り粉の発生を抑制でき、スリット特性の優れたポリ
エステルフィルムが得られることを見出だし本発明に至
った。
【0012】本発明の積層ポリエステルフィルムは、少
なくとも一つの層にアンチモン元素(Sb)およびゲル
マニウム元素(Ge)を両者合わせて10〜400pp
m含有することが必要であり、好ましくは20〜300
ppm、さらに30〜100ppm含有することが好ま
しい。10ppm未満ではスリット特性改良効果がな
く、400ppmを越えると、含有金属による熱分解量
が大きくなり、フィルム製造工程で色調などの問題を生
じる場合がある。さらに、その含有量比(Ge/Sb)
は0.001〜0.5であり、好ましくは0.002〜
0.3、さらに0.005〜0.2が好ましい。0.0
01未満ではスリット特性改良効果が不十分で、0.5
を越えるとゲルマニウムによるポリマの熱分解量が大き
くなり、製膜工程でフィルムに白筋などの問題を生じる
場合がある。
【0013】アンチモンは、ポリエステルに溶解または
実質的な微小粒子として分散していることが必要であ
る。酸化アンチモン、金属アンチモン、リン酸アンチモ
ン、テレフタル酸などポリエステルを構成するカルボン
酸塩などであってもよく、重合触媒として添加するアン
チモン化合物に起因する残存アンチモンであってもよ
い。さらに、ポリエステルの重合時の任意の段階で、酸
化アンチモン、酢酸アンチモンなどを添加する方法が好
ましく採用できる。
【0014】ゲルマニウムは、ポリエステル中に溶解ま
たは微小粒子として含有していることが必要である。さ
らに、ポリエステルの重合時の任意の段階で、酸化ゲル
マニウム、酢酸ゲルマニウムなど添加する方法が好まし
く採用できる。
【0015】本発明の積層フィルムは、少なくとも三層
以上の積層構造からなり、その少なくとも片面側の最外
層に不活性粒子を0.1〜1.5重量%含有し、該粒子
の平均粒径d(μm)と該最外層の層厚さt(μm)と
の関係が0.2d≦t≦10dであり、かつ最外層以外
のいずれかの層がアンチモン(Sb)およびゲルマニウ
ム(Ge)を含有し、その含有量(Sb+Ge)は10
〜400ppmで、その含有量比(Ge/Sb)は0.
001〜0.5の範囲であることが好ましい。
【0016】不活性粒子の平均粒径は0.1〜2μmが
好ましく、さらに平均粒径が0.2〜1μmの不活性粒
子を0.2〜1.2重量%含有することが好ましい。平
均粒径が0.1μm以下、含有量が0.1重量%以下で
は充分な走行特性を得るには不十分であり、平均粒径が
2μm以上、含有量が1.5重量%以上では良好な電磁
変換特性が得られない場合がある。さらに、tが0.2
dよりも小さいと走行性が悪化し、tが10dよりも大
きいと磁気テープとしたときの電磁変換特性が低下する
場合がある。
【0017】ここで、不活性粒子は一種である必要はな
く、2種類以上の不活性粒子の混合系であっても良い。
さらに、含有する不活性粒子の粒径は均一であることが
好ましく、特に粗大な粒子を含まないことが電磁変換特
性、耐スクラッチ性がより一層良好になるので望まし
い。必要に応じ、サンドグラインダーなどによる分散処
理、遠心沈降処理などによる分級処理、さらに濾過など
の方法を用いる。不活性粒子の種類は特に限定されるも
のでないが、上記の好ましい粒子特性を満足するには、
炭酸カルシウム、コロイダルシリカ、有機高分子微粒
子、アルミナ、酸化チタンなどの粒子が用いられる。炭
酸カルシウムは合成法によって製造されたものが粒径分
布が均一であり好ましく、コロイダルシリカもアルコキ
シド法、水ガラス法などで製造された球形なシリカ粒子
が粒径分布が均一で好ましい。有機高分子微粒子として
は、例えばポリスチレン、架橋ポリスチレン、スチレン
・アクリル系架橋粒子、シリコーン粒子などポリエステ
ルに不溶な粒子が挙げられる。好ましくは、ブチルアク
リレート−ジビニルベンゼン共重合体、エチルベンゼン
−ジビニルベンゼン共重合体、2−エチルヘキシルアク
リレート−エチレングリコールジメタアクリレート共重
合体などの架橋微粒子が挙げられ、さらにそれ以上の成
分の共重合体であっても良い。また、その耐熱性は熱天
秤による熱分解温度(10%減量)が350℃以上であ
ることが好ましい。
【0018】特にこれらの有機高分子微粒子、炭酸カル
シウムは単独または併用して含有することで良好な効果
が得られれ、他の粒子でも平均粒径などの本発明の要件
を満足することにより充分本発明の効果を発揮しうる
が、不活性粒子の少なくとも一部に、炭酸カルシウムま
たは有機高分子微粒子を用いる場合、特にスリット特性
に良好な効果が得られる。
【0019】これらの不活性粒子は、粒子表面を界面活
性剤、高分子化合物などで処理あるいはコーティングし
て用いることも何等さしつかえない。特に重合過程での
分散性の改良、フィルム中でのポリエステルとの親和性
改良のため、好ましく採用される。
【0020】また、本発明の効果を阻害されない範囲
で、カルシウムおよびリチウム元素などを含む析出内部
粒子を併用して含有せしめても何等さしつかえない。
【0021】本発明の積層フィルムは、磁性剤との接着
性の改良、帯電防止などのために、帯電防止剤などの塗
布層を少なくとも片面に設けても何等差し支えない。
【0022】磁気記録媒体として十分な走行性を得るた
めにはフィルム表面の粗さを適正とするため、フィルム
表面の中心線平均表面粗さRaは5〜50nmが好まし
い。より好ましくは8〜30nm、さらに好ましくは1
0〜25nmである。
【0023】さらに、基層部のポリエステルは実質的に
粒子を含まないポリエステルであってもよいし、粒子を
含んでいても良い。粒子種としては特に制限されるもの
でなく、例えば、無機粒子として炭酸カルシウム、シリ
カ、カオリン、アルミナ、硫酸バリウム、酸化チタンな
どポリエステルに不溶な微細粒子でも良いし、また、架
橋ポリスチレンなどの有機粒子が含まれていても良い
し、カルシウムあるいはリチウムなどを含む内部粒子を
含んでいても良い。
【0024】また、基層層ポリエステルに含まれる粒子
は、積層部によってなされる表面形成を実質的に阻害し
ないことが望ましく、含有粒子の最大粒子径は積層部に
含まれる最大粒子径の少なくとも2.0倍以下とするこ
とが好ましく、さらには1.5倍以下とするのが好まし
い。2.0倍を越えると基層部の粒子の影響を積層部で
隠蔽できず、粗大突起発生の原因となる場合がある。ま
た、基層部ポリエステルは該積層フィルムあるいは他の
品種の生産段階などで発生する非製品部分などを主体と
する回収原料を含んでいても良い。
【0025】次に本発明のフィルムの製造方法について
説明する。まず、ポリエステルに粒子を含有せしめる方
法としては、例えばジオール成分であるエチレングリコ
ールに粒子を所定割合にスラリーの形で分散せしめ、必
要に応じ、サンドグラインダーなどによる分散処理、遠
心沈降処理などによる分級処理、さらに濾過などの方法
を用いて処理する。このスラリーおよびエチレングリコ
ールを所定のジカルボン酸成分と重合せしめる方法が好
ましい。また粒子の水スラリーを直接所定のポリエステ
ルペレットと混合し、ベント式の二軸押出機に供給しポ
リエステルに練り込む方法も本発明の効果をより一層良
好とするのに非常に有効である。上記方法で高濃度の粒
子マスターをつくっておき、それを製膜時に粒子を実質
的に含有しないポリエステルで希釈して粒子の含有量を
調節する方法が有効である。
【0026】次に、このポリエステルペレットを用い
て、3層以上の積層構造をもったポリエステルフィルム
とする。上記の方法にて得られたポリエステルのペレッ
トを所定の割合で混合し、乾燥した後、公知の溶融積層
用押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押
出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延
伸フィルムを作る。すなわち、2または3台以上の押出
機、3層以上のマニホールドまたは合流ブロック(例え
ば角型合流部を有する合流ブロック)を用いて、各最外
層を構成するフィルム層、中間層を構成するフィルム層
を積層し、口金から2層以上のシートを押出し、キャス
ティングロール上で冷却して未延伸フィルムを作る。こ
の場合、ポリマ流路にスタティックミキサー、ギヤポン
プを設置する方法は有効である。また、最外層積層側の
ポリマを押出す押出機の溶融温度を基層部より5〜10
℃低くすることが、安定して積層するのに有効である。
【0027】次に、この未延伸フィルムを二軸延伸し、
二軸配向せしめる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法
または同時二軸延伸法を用いることができる。ただし、
最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸
法を用い、長手方向の延伸を3段階以上に分けて、総縦
延伸倍率を3.5〜6.5倍で行う方法が特に好まし
い。長手方向は延伸温度はポリエステルの種類によって
異なり一概に言えないが、通常、その1段目を50〜1
30℃とし、2段目以降はそれより高くすることが有効
である。長手方向延伸速度は5000〜50000%/
分の範囲が好適である。幅方向の延伸方法としてはステ
ンタを用いる方法が一般的である。延伸倍率は3.0〜
5.0倍の範囲が適当である。幅方向の延伸速度は、1
000〜20000%/分、温度は80〜160℃の範
囲が好適である。次にこの延伸フィルムを熱処理する。
この場合の熱処理温度は170〜220℃、特に180
〜200℃、時間は0.2〜20秒の範囲が好適であ
る。
【0028】本発明のおける特性値の測定方法ならびに
評価方法は次の通りである。
【0029】(1)粒子の平均粒径 フィルムからポリマをプラズマ低温灰化処理法で除去
し、粒子を露出させる。処理条件はポリマは灰化される
が粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。その
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子画像
をイメージアナライザーで処理する。SEMの倍率はお
よそ2000〜10000倍、また、1回の測定での視
野はおよそ10〜50μmから適宣選択する。観察箇所
をかえて粒子数1000個以上で、粒径とその体積分率
から、次式で体積平均径をdを得る。 d=Σdi・Nvi ここでdiは粒径、Nviはその体積分率である。粒子
が有機粒子などで、プラズマ低温灰化処理法で大幅にダ
メージを受ける場合には、以下の方法を用いてもよい。
フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、3
000〜100000倍で観察する。TEMの切片厚さ
は約1000オングストロングとし、場所を変えて50
0視野以上測定し、上記の式から体積平均径dを求め
る。
【0030】また、必要に応じ、例えば重合時に添加前
の粒子について同様に走査顕微鏡での測定も採用でき、
遠心沈降式の粒度分布測定器による測定値も採用でき
る。
【0031】(2)粒子の含有量 ポリエステルは溶解し、粒子は溶解しない溶媒を選択
し、粒子を溶媒から遠心分離し、粒子の量の全体重量に
対する比率(重量%)をもって粒子含有量とする。場合
によっては赤外分光法、蛍光X線分析法などの併用も有
効である。さらに、必要に応じフィルムをミクロトーム
で切断し、透過型電子顕微鏡で測定し、単位面積あたり
の粒子像の割合を求めることにより、該ポリエステルに
対する粒子添加量を算出すことができる。
【0032】(3)積層部ポリエステル厚さ(最外層の
厚さ:t) 2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層か
ら深さ3000nmの範囲のフィルム中の粒子農地最も
高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元素
の濃度比(M+ /C+ )を粒子濃度とし、表面から深さ
3000nmまでまで厚さ方向の分析を行う。表層では
表面という界面のために粒子濃度は低く表面から遠ざか
るにつれて粒子濃度は高くなる。本発明のフィルムの場
合は一旦極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。
この濃度分布曲線をもとに表層粒子濃度が極大値の1/
2となる深さ(この深さは極大値となる深さよりも深
い)を求め.これを積層厚さとした。
【0033】測定装置 2次イオン質量分析装置(SIMS) ドイツ,ATOMIK
A 社製 A-DIDA3000 測定条件 1次イオン種 :O2 + 1次イオン加速電圧:12KV 1次イオン電流 :200nA ラスター領域 :400μm□ 分析領域 :ゲート30% 測定真空度 :6.0×10-9Torr E−Gun :0.5KV−3.0A なお、表層からの深さ3000nmの範囲に最も多く含
有する粒子が有機高分子粒子の場合はSIMSでは測定
が難しいので、表面からエッチングしながらXPS(X
線光電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記同様
のデプスプロファイルを測定し積層厚さを求めても良い
し、また、電子顕微鏡などによる断面観察で粒子濃度の
変化状態やポリマの違いによるコトラストの差から界面
を認識し積層厚さを求めることもできる。さらには積層
ポリマを剥離後、薄膜段差測定器を用いて積層厚さを求
めることもできる。
【0034】(4)ゲルマニウムおよびアンチモン含有
量 原子吸光分析法を用いて測定した。
【0035】(5)フィルムの中心線平均表面粗さ(R
a) JIS−B−0601に従い小坂研究所製触針型表面粗
さ計BE−3Eを用い、カットオフ0.25mm,測定
長4mmで中心線平均表面粗さ(Ra)を測定した。
【0036】(6)固有粘度[η](単位はdl/g) オルソクロルフェノール中、25℃で測定した溶液粘度
から、下記式から計算される値を用いる。 ηsp/C
=[η]+K[η]2 ・C ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶
媒100mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100m
l、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とす
る)。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計
を用いて測定した。
【0037】(7)耐スクラッチ性 25℃相対湿度60%の雰囲気下で、外形6mmの固定
軸(表面粗さ0.2S)に1/2インチ幅のテープ状フ
ィルムを角度θ=π/3radで接触させ、250m/
分の早さで走行させる。入り口テンションT1 を90g
とし、100m走行後のフィルムをアルミ蒸着して、ス
クラッチきずの本数、幅の大きさおよび白粉の発生状態
を微分干渉顕微鏡で観察した。全くスクラッチ傷が見ら
れずかつ白粉の発生のないものを耐スクラッチ性:5、
スクラッチ傷が3本/mm未満でかつ白粉の発生が殆ど
なものを耐スクラッチ性:4、スクラッチ傷が3〜10
本/mmで幅の大きいものもあり、かつ白粉がかなり発
生しているものを耐スクラッチ性:3、スクラッチ傷が
10本/mm以上で幅も大きく、かつ白粉が著しく発生
しているものを耐スクラッチ性:2、それ以上のものを
耐スクラッチ性:1と判定した。耐スクラッチ性が5ま
たは4であれば実用上問題なく使用できる。
【0038】(8)電磁変換特性およびスリット特性 フィルムに下記組成の磁性塗料をグラビヤロールにより
塗布し、磁気配向させ、乾燥させる。さらに、小型カレ
ンダー装置(スチロールロール/ナイロンロール、5
段)で温度70℃、線圧200kg/cmでカレンダー
処理後、70℃で48時間キュアリングする。この原反
を50m/分の速度で1/2インチ幅に切断スリット
し、パンケーキを作成した。
【0039】 (磁性塗料の組成) ・Co含有酸化鉄(BET値50m2 /g) :100重量部 ・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 : 10重量部 ・ポリウレタンエラストマ : 10重量部 ・ポリイソシアネート : 5重量部 ・レシチン : 1重量部 ・メチルエチルケトン : 75重量部 ・メチルイソブチルケトン : 75重量部 ・トルエン : 75重量部 ・カーボンブラック : 2重量部 ・ラウリン酸 :1.5重量部 このパンケーキから長さ1mを採取し、コイル状に巻き
清浄なビーカーに入れ、切断面3mmを純水に浸し、5
0KHZ超音波で2分間処理し、切断面起因の切り粉を
純水中に洗い落とした。この純水について粒子計数装置
(HIAC・CL−5型、野崎産業)で3〜20μmの
粒子数を計測し、切り粉数とした。切り粉数は少ないほ
ど好ましいが、50個/m以下であれば実用上問題なく
使用でき、20個/m以下であればさらに好ましく、と
くに良好なダビング特性が得られる。
【0040】さらに、上記のパンケーキから長さ250
mをVTRカセットに組み込み、VTRカセットテープ
とした。このテープを家庭用VTRを用いてシバソク製
のテレビ試験波形発生器(TG7/U706)により1
00%クロマ信号を記録し、その再生信号からシバソク
製カラーノイズ測定機(925D/1)でクロマS/N
を測定し画質を判定した。
【0041】
【実施例】
(1)炭酸カルシウム含有マスターポリマの製造 平均粒径の異なる合成炭酸カルシウムをそれぞれエチレ
ングリコールの10重量%スラリーとし、サンドグライ
ンダーで2時間分散処理を行い、さらにスーパーデカン
ターで遠心分級処理し、粗粒子を除去した。このスラリ
ーを2μmのフィルターで精密濾過を行い、粗粒の少な
い、平均粒径の異なる炭酸カルシウムのエチレングリコ
ールスラリーを準備した。
【0042】ジメチルテレフタート100部、エチレン
グリコール70部、酢酸マグネシウム・4水塩0.04
部および酸化アンチモン0.04部を反応器に仕込み、
内温を145℃から徐々に上げながらエステル交換反応
を行った。エステル交換交換反応率が97%となった時
点で、安定剤としてトリメチルフォスフェート0.04
部および先に準備してある炭酸カルシウムのエチレング
リコールスラリーを20部を添加した。次いで反応生成
物を重合反応器に移し、高温真空下(最終内温290
℃)にて常法に従い重縮合反応を行い、固有粘度0.6
2、炭酸カルシウム粒子を2重量%含有するポリエチレ
ンテレフタレートを得た。同様な方法で、平均粒径の異
なる炭酸カルシウムを含むポリエチレンテレフタレート
を得た。
【0043】(2)アンチモン含有無粒子の製造 上記重合法において、粒子のエチレングリコールスラリ
ーを添加することなく、エステル交換交換反応および重
縮合反応を行い、実質的に不活性粒子を含まない固有粘
度0.62の無粒子ポリエチレンテレフタレートを得
た。このポリマ中のアンチモン含有量は310ppmで
あった。
【0044】(3)有機粒子含有マスターポリマの製造 ベントタイプ二軸押出機を使用して、前記アンチモン含
有無粒子ポリエチレンテレフタレートを溶融状態とし、
最終的なポリマ中の含有量が1重量%になるようにジビ
ニルベンゼン共重合体粒子(ジビニルベンゼン55%、
エチルビニルベンゼン45%の共重合品)の水スラリー
を添加、ベント口を10Torrの真空度に保持し、ポ
リマ温度280℃でで溶融混練押出して、ジビニルベン
ゼン共重合体粒子含有ポリエチレンテレフタレート(固
有粘度0.615)を得た。
【0045】(4)ゲルマニウム含有無粒子ポリマの製
造 ジメチルテレフタート100部、エチレングリコール7
0部、酢酸マグネシウム・4水塩0.04部を反応器に
仕込み、内温を145℃から徐々に上げながらエステル
交換反応を行った。エステル交換交換反応率が98%と
なった時点で、酸化ゲルマニウム0.10部およびトリ
メチルフォスフェート0.08部を添加した。次いで反
応生成物を重合反応器に移し、高温真空下(最終内温2
90℃)にて常法に従い重縮合反応を行い、固有粘度
0.62のゲルマニウムを含むポリエチレンテレフタレ
ートを得た。このポリマ中のゲルマニウム含有量は40
3ppmであった。
【0046】実施例1 上記で準備した炭カル含有マスターポリマ(0.40μ
m)、およびアンチモン含有無粒子ポリマを混合し積層
部原料とし、さらにアンチモン含有無粒子ポリマ、ゲル
マニウム無粒子含有ポリマおよびフィルム製造工程で発
生した非製品部分に起因する回収ポリエステル原料を混
合し基層部原料として、それぞれ180℃で3時間減圧
(3Torr)乾燥した。
【0047】基層部原料を押出機1に供給し310℃、
さらに積層部原料を押出機2に供給し280℃で溶融し
た。これらのポリマを矩形積層部を備えた合流ブロック
で口金に入る前に合流積層し、静電印加キャスト法を用
いて表面温度45℃のキャスティング・ドラムに巻き付
けて冷却固化し、基層部ポリエステルの両面に積層ポリ
エステルを積層した3層構造の未延伸フィルムを作っ
た。この時、それぞれの押出機の吐出量を調節し、総厚
さ、積層厚さを調節した。この未延伸フィルムを80℃
で長手方向に4.5倍延伸した。この延伸は2組づつの
ロールの周速差で、2段階で行った。この一軸延伸フィ
ルムをステンタを用いて延伸速度2,000%/分で1
00℃で幅方向に4.0倍延伸し、定長下で200℃に
て5秒間熱処理し積層二軸配向ポリエチレンテレフタレ
ートフィルムを得た。このフィルムはそれぞれの押出機
の吐出量の調節により、基層部厚さ12.0μmでその
両面に1.0μmの積層部を有していた。
【0048】このフィルムの諸物性を評価した結果、フ
ィルム表面粗さは16nmであった。さらに耐スクラッ
チ性は5、スリット特性は22個/m、電磁変化特性は
+1.3dBで極めて良好なフィルム特性であった。
【0049】実施例2〜4、比較例1〜3 炭酸カルシウム含有マスターポリマ、有機粒子含有マス
ターポリマ、アンチモン含有無粒子ポリマをそれぞれ表
1のとおり種類、量を変えて混合し、さらにアンチモン
含有無粒子ポリマ、ゲルマニウム無粒子含有ポリマおよ
びフィルム製造工程で発生した非製品部分に起因する回
収ポリエステル原料を表1のとおり種類、量を変えて混
合し基層部原料とした。実施例1と同様な方法で得られ
たフィルムの各パラメーターおよびフィルム品質は表1
に示した通りであり、これらが本発明に規定した範囲内
の場合には、良好な耐スクラッチ性、スリット特性、電
磁変換特性が得られており、そうでない場合に目的とす
る効果が得られなかった。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】本発明の二軸配向ポリエステルフィルム
は、耐スクラッチ性、スリット特性に優れ、磁気媒体
用、特にビデオテープに最適な二軸延伸積層ポリエステ
ルフィルムを得ることができ、高品質なビデオテープを
提供することが可能である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一つの層がアンチモン(S
    b)およびゲルマニウム(Ge)を含有し、その含有量
    (Sb+Ge)は10〜400ppmで、その含有量比
    (Ge/Sb)は0.001〜0.5の範囲にあること
    を特徴とする二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 少なくとも三層以上の積層構造からな
    り、その少なくとも片面側の最外層に不活性粒子を0.
    1〜1.5重量%含有し、該粒子の平均粒径d(μm)
    と該最外層の層厚さt(μm)との関係が0.2d≦t
    ≦10dであり、かつ最外層以外の少なくとも1つの層
    がアンチモン(Sb)およびゲルマニウム(Ge)を含
    有し、その含有量(Sb+Ge)は10〜400ppm
    で、その含有量比(Ge/Sb)は0.001〜0.5
    の範囲にあることを特徴とする磁気記録媒体用二軸配向
    積層ポリエステルフィルム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006321909A (ja) * 2005-05-19 2006-11-30 Toyobo Co Ltd ポリエステル樹脂製ゴミ箱
JP2006321908A (ja) * 2005-05-19 2006-11-30 Toyobo Co Ltd ポリエステル樹脂組成物
JP2007125824A (ja) * 2005-11-04 2007-05-24 Mitsubishi Polyester Film Copp 二軸延伸ポリエテルフィルム

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