JPH07299810A - 加熱プレス装置 - Google Patents

加熱プレス装置

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JPH07299810A
JPH07299810A JP9429094A JP9429094A JPH07299810A JP H07299810 A JPH07299810 A JP H07299810A JP 9429094 A JP9429094 A JP 9429094A JP 9429094 A JP9429094 A JP 9429094A JP H07299810 A JPH07299810 A JP H07299810A
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光正 堀川
Yasuo Tamura
靖夫 田村
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    • B30PRESSES
    • B30BPRESSES IN GENERAL
    • B30B15/00Details of, or accessories for, presses; Auxiliary measures in connection with pressing
    • B30B15/06Platens or press rams
    • B30B15/062Press plates
    • B30B15/064Press plates with heating or cooling means

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  • Press Drives And Press Lines (AREA)
  • Chemical And Physical Treatments For Wood And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 既存のホットプレスのプレス用熱板を活用し
て、サイズの異なった被加工物に対しても効率よく安価
にプレスし、製品の機械的強度を高める。被加工物の表
面に通気性の乏しい板状物や耐水性に乏しい材料を重ね
合せていても、被加工物内部に蒸気等を浸透させること
ができ、しかも製品の表面を平滑に保ちかつ表面にシミ
汚れ等を付けない。 【構成】 加熱プレス装置10は上部熱板11と下部熱
板12とスペーサ14とを備える。スペーサは熱板のい
ずれか一方又は双方のプレス面に好ましくは着脱可能に
取付けられ、両熱板により加圧される被加工物13の加
工厚を決定する。加圧状態の被加工物に対向するスペー
サの内面14aに加圧加熱された蒸気等を噴射する複数
の噴孔14bが設けられる。スペーサは被加工物を包囲
する包囲体であって、加圧状態で熱板とともに被加工物
を密封することが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リグノセルロース材料
からなる合板、ラミネーテドベニヤランバ(LVL)、
パーティクルボード、フレークボード、ファイバボー
ド、ハードボード及びシート状物等の被加工物を蒸気又
はガスを噴射させながら熱圧成形するのに適する加熱プ
レス装置に関する。更に詳しくは熱板間に加圧加熱され
た蒸気又はガスを噴射する複数の噴孔を有するスペーサ
が設けられた加熱プレス装置に関するものである。本明
細書で「被加工物」とはプレス前の積層体等をいい、
「製品」とはプレス後の積層材等をいう。
【0002】
【従来の技術】従来、リグノセルロース材料からなる合
板、パーティクルボード、ファイバボード等の製品は、
複数の単板、木材の細片(チップ)や繊維(ファイバ)
の表面に接着剤を塗布した後、積み重ね、この被加工物
を加熱プレス装置の一対の加熱されたプレス板の間に配
置して熱圧成形することにより板状に作られる。この場
合、接着剤を加熱硬化させるために所定の熱圧時間を必
要とし、特に厚い製品を作る際には被加工物内部まで熱
が伝わる時間を考慮して長時間熱圧成形する必要があっ
た。この熱圧成形する時間は直接的に生産時間に関係
し、長時間熱圧成形することは量産する上での障害にな
っており、また製品単価を押し上げていた。
【0003】この点を解決して熱圧時間を短縮するため
に、従来よりスチームインジェクションプレス法が採用
されている。このプレス法は図11の示すようにプレス
装置の上部熱板1及び下部熱板2の各プレス面に多数の
細かい噴孔2aをあけ、その噴孔2aから加圧加熱され
た蒸気又はガスを噴射する方法である。この方法では熱
板1,2に配設された蒸気管3は各プレス面の多数の細
かい噴孔2aに連通接続され、これらの蒸気管3には電
磁弁からなる開閉弁3aが設けられる。蒸気管3から運
ばれた加熱加圧された蒸気又はガスが各プレス面の多数
の細かい噴孔2aから噴射され、蒸気等により被加工物
4が加熱される。これにより被加工物全体が瞬時に接着
剤の硬化温度に達し、大幅な時間短縮が図られ、生産性
を向上させることができる。
【0004】このスチームインジェクションプレス装置
の具体例は、一対のプレス板の間の領域を囲んで室を画
定する室画定装置を設けた「パーティクルボードをプレ
スでプレスする方法」(特公昭57−1416)、蒸気
噴射ノズルを蒸気の凝縮温度を超える温度に加熱するノ
ズル加熱装置を設けた「蒸気噴射プレス装置」(特開平
2−192906)及び蒸気を噴射する板に隣接して冷
圧盤を設けた「長尺板状体の中間製品を熱圧する気体噴
射プレス装置」(特開平4−113809)等に開示さ
れている。
【0005】「パーティクルボードをプレスでプレスす
る方法」(特公昭57−1416)においては室画定装
置の中にプレス板に設けられた噴孔から蒸気を噴射する
ことで熱を急速に伝達して接着剤を急速に硬化させる。
また、「蒸気噴射プレス装置」(特開平2−19290
6)においてはノズル加熱装置により蒸気噴射ノズルで
水滴が発生することを回避して生産性の向上を図ってい
る。更に、「長尺板状体の中間製品を熱圧する気体噴射
プレス装置」(特開平4−113809)においては連
続的に被加工物を熱圧硬化するに際して、熱圧硬化する
前に被加工物が半硬化状態になるのを冷却板により防い
でいる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報に記
載の装置は、いずれも蒸気等を噴射する噴孔を上下のプ
レス面に設け、かつこれらの噴孔に連通接続する蒸気管
等を別のプレス面に設ける必要から既存のホットプレス
のプレス用熱板を用いることができない。このため、プ
レス用熱板の製作費が高くなり、必然的にプレス装置を
高価のものとしている。また多数の噴孔によって形成さ
れる蒸気等の全体の噴射面積と大きく異なる被加工物を
新規に熱圧成形する場合には、被加工物の面積に応じて
噴孔の数や位置を変えた別のプレス用熱板を用意しなけ
ればならなかった。
【0007】また蒸気噴射用の噴孔はプレス面に設けら
れているため、被加工物の表面に耐水性に乏しい紙やフ
ァイバボードなどの材料を重ね合わせていると、水分に
よって被加工物の表面が脆弱化してしわや波打ちを生じ
て平滑にならないという問題があった。更にこのように
被加工物が補強又は装飾のために表面に平坦で通気性の
乏しい単板等の板状物を重ね合わせている場合には、板
状物が噴孔を塞いて蒸気等の噴射が阻止され、また噴孔
から板状物に無用の蒸気ドレインが滴下して被加工物の
表面にシミ汚れ等を付ける不具合もあった。
【0008】本発明の目的は、既存のホットプレスのプ
レス用熱板を活用して、サイズの異なった被加工物に対
しても効率よくプレスできる安価な加熱プレス装置を提
供することにある。本発明の別の目的は、被加工物の表
面に耐水性に乏しい材料や通気性の乏しい板状物を重ね
合せていても、被加工物内部に蒸気又はガスを噴射する
ことができ、製品の表面を平滑に保ち、かつ表面にシミ
汚れ等を付けない加熱プレス装置を提供することにあ
る。本発明の更に別の目的は、製品の機械的強度を高め
る加熱プレス装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の構成を、実施例に対応する図1を用いて説明
する。本発明の加熱プレス装置10は、上部熱板11
と、下部熱板12と、上部熱板11及び下部熱板12の
いずれか一方のプレス面又は双方のプレス面に取付けら
れ両熱板11,12により加圧される被加工物13の加
工厚を決定するスペーサ14とを備える。その特徴ある
構成は、加圧状態の被加工物13に対向するスペーサ1
4の内面14aに加圧加熱された蒸気又はガスを噴射す
る複数の噴孔14bが設けられたところにある。
【0010】
【作用】既存のホットプレスの熱板11又は12にねじ
孔をあけてスペーサ14をねじで取付けて本発明の加熱
プレス装置10にすることもできる。スペーサ14内に
被加工物13を配置し、一対の熱板11,12により被
加工物13を加圧し、同時にスペーサ14に設けられた
多数の噴孔14bから加圧加熱された蒸気を噴射する
と、噴射された蒸気は被加工物13内に浸透して、熱エ
ネルギを伝達し、被加工物13全体を瞬時に所定の温度
にする。スペーサ14を被加工物13を包囲する包囲体
にすれば、被加工物13は上部熱板11及び下部熱板1
2とともにスペーサ14により密封され、噴射された蒸
気が効率よく被加工物内に浸透する。図9及び図10に
示すように、被加工物13の両表面に耐水性に乏しい材
料や通気性の乏しい板状物32を重ね合せていても、被
加工物内部に蒸気を浸透させることができ、しかもプレ
ス後の被加工物13の表面は平滑に保たれ、その表面に
シミ汚れ等が付かない。
【0011】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面に基づいて詳し
く説明する。図1に示すように、加熱プレス装置10は
上側に上部熱板11、下側に下部熱板12を有する。こ
の例では下部熱板12は固定され、上部熱板11が上下
に移動しその間に配置された被加工物13をプレスする
ようになっている。この下部熱板12にはスペーサ14
が取付けられる。このスペーサ14は熱圧成形した後の
被加工物13の厚さを決定するためのもので、この例で
は四角形の被加工物13の外形に相応してその被加工物
13を包囲する四角枠状の包囲体に形成される。下部熱
板12の所定の箇所にねじ孔(図示せず)が設けられ、
四角枠状のスペーサ14が6個のねじ15により取付け
られる。スペーサ14は加圧した状態で上部熱板11及
び下部熱板12とともに被加工物13を密封するように
構成される。
【0012】加圧状態の被加工物13に対向するスペー
サ14の内面14aに加圧加熱された蒸気又はガスを噴
射する複数の噴孔14bが一列に設けられる。これによ
り、噴孔14bから噴射した蒸気等を効率よく被加工物
13の内部にまで浸透させることができる。このスペー
サ14の厚さは少なくとも15mmであることが好まし
い。これは厚さが15mm未満のスペーサ14により熱
圧成形して厚さが15mm未満の被加工物を得るときに
は、上下の熱板だけでも比較的短時間に熱圧成形するこ
とができ、一方スペーサ14の厚さが15mm以上のと
きは、熱圧時間の短縮効果が大きくなるためである。
【0013】図2に詳しく示すように、多数の噴孔14
bは四角枠状のスペーサ14の4つの内面14aにそれ
ぞれ等間隔に下部熱板12のプレス面に平行に設けられ
る。多数の噴孔14bは破線で示すようにスペーサ14
内部で接続され、スペーサ14の外面に設けられる蒸気
管16に連通接続される。この蒸気管16には電磁弁か
らなる開閉弁17が設けられる。図3に示すように熱板
11,12の内部にはこれらを加熱する蒸気管11a及
び12aが図示しないが蛇行してそれぞれ配管される。
また蒸気管11a及び12aには図示しないが電磁弁か
らなる入口弁と出口弁が設けられ、この蒸気管11a及
び12aに加熱された蒸気を電磁弁により導入又は遮断
することで熱板11及び12の加熱温度を調整できるよ
うになっている。
【0014】本実施例の加熱プレス装置10で加工され
る被加工物13としては、リグノセルロース材料からな
る合板、ラミネーテドベニヤランバ、パーティクルボー
ド、フレークボード、ファイバボード、ハードボード及
びシート状物からなる群より選ばれた1種又は2種以上
を積層した積層体が挙げられる。そしてリグノセルロー
ス材料からなるシート状物としては、例えばバガス、
綿、竹、ヒマワリ、高りゃん、トウモロコシ、ソルガム
又は砂糖きび等の1年生植物の複数の直線茎で作られた
シート状成形体が挙げられる。このシート状物は単一種
類の1年生植物に限らず2種類以上の1年生植物を組合
せてもよい。
【0015】図5に示すように、本実施例のプレス前の
被加工物13は、リグノセルロースを主体とする皮部2
0aと芯に多孔性の髄部20bを有する構造の植物茎2
0を図6に示すように切開かずにそのまま圧縮ローラ2
1,22により圧縮して皮部に割れ目23を発生させた
後、この植物茎20をフェノール樹脂液等の硬化液に浸
漬し、所定量の硬化液含浸させ、更に図1に示すように
多数の圧縮された植物茎20を糸24で簾状に編んでシ
ート状物30にし、これに接着剤を塗付しながら複数枚
のシート状物30を重ね合わせることにより作られる。
シート状物同士で積層体を作る場合、全ての方向に均一
な曲げ強度をもたせ、積層材の反りを防止するときに
は、図1に示すように構成する植物茎20がシート状物
毎に交差するようにシート状物30を複数積層した被加
工物13にする。また特定の方向の曲げ強度を極めて高
くする場合には、図7に示すように構成する植物茎20
がそれぞれ同一方向になるようにしてシート状物30を
複数積層した被加工物13にする。図8に示すように一
部のシート状物30を構成する植物茎を他のシート状物
30を構成する植物茎と交差させた被加工物13にして
もよい。
【0016】被加工物は植物茎のみで構成することもで
きるが、図9及び図10に示すようにこの植物茎からな
るシート状物30と板状物32を組み合わせて被加工物
13を構成することもできる。この板状物32として
は、木材単板、挽板、集成材、合板、パーティクルボー
ド、ハードボード、インシュレーションボード、ファイ
バボード、ラミネーテドベニヤランバ、製材板、段ボー
ル等の木質の板状材料や;鉄板、亜鉛めっき鋼板、塗装
鋼板、ステンレス板、アルミニウム板、銅板、鉛板等の
金属板や;けい酸カルシウム板、木毛セメント板、石綿
セメント板、石膏ボード等の無機質の板状材料や;塩化
ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチロール樹脂、ABS樹
脂、AS樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア
樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂の板
状材料が用いられる。板状物には表面が平坦な平板以外
にも、波板やキーストンプレートのような凹凸表面を有
する板、発泡板、網状板等を用いてもよい。
【0017】図4に示すように、加熱プレス装置40の
上部熱板43のプレス面にスペーサ45を取付けてもよ
い。この場合には被加工物42を下部熱板44に容易に
載せることができる。図4において43b,43d,4
4dは蒸気管、43cは開閉弁、45aは噴孔である。
また41は被加工物42のプレス後の表面を平滑にする
ための金属板である。
【0018】複数のシート状物30からなる被加工物1
3又は複数のシート状物30と板状物32とからなる被
加工物13、或いは複数のシート状物30と金属板41
とからなる被加工物42は必要に応じて仮圧締を施し、
前述した加熱プレス装置10又は40により一体的に熱
圧成形される。図1〜図3に示した加熱プレス装置10
について述べれば、熱板11,12は各熱板に設けられ
た蒸気管11a及び12aに加熱蒸気が導入されること
により加熱される。スペーサ14に設けられた噴孔14
bから噴射される蒸気の温度は50〜250℃の範囲
で、圧力は2〜30kg/cm2の範囲が好ましい。こ
の場合の熱板11,12の温度は噴孔14bから噴射さ
れる蒸気の温度より高めに設定しておくことが好まし
い。
【0019】熱板11,12が予め設定された温度に達
した後、スペーサ14により仕切られた内部に被加工物
13を配置する。上部熱板11を下降させ被加工物13
を加圧する。次に噴孔14bから蒸気を噴射し被加工物
13を加熱する。ここで噴孔14bから蒸気を噴射する
タイミングは、蒸気を有効に利用するため、被加工物1
3を熱板11,12とスペーサ14で密封した時点、或
いは熱板11,12が被加工物13に密着し、その加圧
力が所定の値に達した時点であり、噴射時間は被加工物
の厚さ、板状物の有無に応じて数秒〜数分間の範囲から
選ばれる。この加圧状態で蒸気管16に設けられた開閉
弁17である電磁弁を開放し、スペーサ14に設けられ
た多数の噴孔14bから加圧加熱された蒸気を噴射す
る。噴射された蒸気は従来のスチームインジェクション
プレス法と同様に被加工物13内に浸透して熱エネルギ
を伝達し、被加工物13全体を瞬時に所定の温度にす
る。この加熱加圧状態を所定の時間維持した後、開閉弁
17を閉じて噴孔14bからの蒸気の噴射を停止させ、
上部熱板11を上昇させ一連の加熱加圧工程を終了す
る。
【0020】加圧加熱された蒸気又はガスを熱圧成形中
の被加工物に噴射する際に、被加工物は強く圧縮される
と、緻密な組成となり、被加工物内部の空隙が減少し、
蒸気又はガスの被加工物内への浸透が著しく低下する。
通常の製品は厚さ15mm以下のものが多く、厚さ15
mm以上の製品を製造する場合には、先ず薄い積層材等
の製品を作製し、この薄い積層材の複数枚を再積層する
方法が採用されている。本実施例の加熱プレス装置を用
いた場合では15mm以上の厚さの製品も一度の熱圧で
積層することができ、生産効率が格段に改善される。但
し、厚さ200mm以上の積層材等の製品を作る場合に
は、熱圧前の積層体(被加工物)の厚さが大きくなりす
ぎ、加熱プレスのストローク間隔を広げないと、熱圧の
実施が困難になり、必然的に加熱プレスの容積が拡大
し、設備費も増大する。従って、積層材等の製品の厚さ
は15〜200mmであることが望ましい。
【0021】次に図4に示したような上部熱板にスペー
サが取付けられた加熱プレス装置を用いた具体例を説明
する。 <実施例1>合板用単板屑をチッパーにかけて粉砕した
チップを4%以下の含水率に乾燥した。実験室で試作し
た低ホルムアルデヒドタイプの65%濃度のユリア樹脂
接着剤100%重量部と、25%アンモニア水2重量部
と、パラフィンエマルジョン(モービル石油製CER−
45)5重量部と、塩化アンモニウム粉末1重量部を混
合して糊液を調製した。乾燥した上記チップに対して接
着剤固形分が10%になるように糊液をスプレーコーテ
ィングした後、チップを木枠に詰めて圧縮して予備成形
した。
【0022】加熱プレス装置の上部熱板には四角枠状の
厚さ40mmのアルミニウム製スペーサが取付けられ
た。スペーサには図2に示すように内面に噴孔が一列に
配設された。上部熱板は固定板であって、内部に配管さ
れた蒸気管により150℃に保持された。上下動する下
部熱板も同様に構成され、150℃に保持された。スペ
ーサの枠より僅かに小さく予備成形されたチップ成形体
を下部熱板の上に載せ、下部熱板を上昇させてチップ成
形体を先ず20kg/cm2の圧力で上部熱板とともに
熱圧成形した。下部熱板がスペーサに接した直後よりス
ペーサの噴孔から温度150℃の圧力が5kg/cm2
の蒸気を1分間噴射した。1分経過後に成形圧力を10
kg/cm2に減じて、更に3分間圧縮を継続した。そ
の後被加工物を加熱プレス装置から取出し、約1週間室
温下に放置し、厚さ40mmのパーティクルボードを得
た。
【0023】<比較例1>噴孔のない厚さ40mmの四
角柱状の2本のスペーサを被加工物の左右両側に沿うよ
うに上部熱板に取付けた以外は実施例1と同一の加熱プ
レス装置を用いた。上下の熱板をそれぞれ150℃の温
度に保持し、最初の5分間を20kg/cm2の圧力
で、その後10kg/cm2の圧力で計20分間チップ
成形体を熱圧成形した。その後実施例1と同様にして厚
さ40mmのパーティクルボードを得た。このようにし
て得られた実施例1及び比較例1のパーティクルボード
をJISA 5908 Uタイプの試験方法に準じて、
曲げ強さ、剥離強さ及び厚さ膨潤率をそれぞれ測定し
た。その結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】表1から明らかなように、比較例1のパー
ティクルボードは曲げ強さが実施例1のパーティクルボ
ードより僅かに高くなったが、実施例1より剥離強さは
低く、また厚さ膨潤率も大きかった。これは実施例1の
パーティクルボードが内部まで均一に硬化しているのに
対して、比較例1のパーティクルボードはボード両面が
ボード内部と比べて僅かに硬くなっているためと推察さ
れる。
【0026】<実施例2>ディファイブレータにより解
繊した木質ファイバに実験室で試作したアルカリレゾー
ル型フェノール樹脂(濃度50%)をファイバの全乾重
量100部に対して樹脂固形分で8%となるようスプレ
ーコーティングした後、一辺が30cmの木枠に詰め、
予備成形した。厚さが30mmの蒸気噴孔を有する四角
枠状のスペーサを用いた以外は実施例1と同一の加熱プ
レス装置により被加工物を熱圧成形した。即ち、予備成
形したファイバマットを180℃の温度に保持された下
部熱板の上に載せ、この下部熱板を上昇して同様に18
0℃の温度に保持された上部熱板との間で、先ず20k
g/cm2の圧力を加えてファイバマットを1分間熱圧
成形し、1分経過後、圧力を10kg/cm2に減じて
熱圧成形を続け、プレス装置の圧力が10kg/cm2
を越えたところでスペーサの噴孔から温度180℃の圧
力が10kg/cm2の蒸気を1分間噴射した。1分経
過後にスペーサで包囲された空間の圧力を常圧に戻し
て、更に1分間圧縮を継続した。その後被加工物を加熱
プレス装置から取出し、約1週間室温下に放置し、厚さ
30mmのファイバマットを得た。
【0027】<比較例2>噴孔のない厚さ30mmの四
角柱状の2本のスペーサを被加工物の左右両側に沿うよ
うに上部熱板に取付けた以外は実施例1と同一の加熱プ
レス装置を用いた。上下の熱板をそれぞれ180℃の温
度に保持し、最初の3分間を20kg/cm2の圧力
で、その後10kg/cm2の圧力で計10分間実施例
2と同一のファイバマットを熱圧成形した。その後実施
例2と同様にして厚さ30mmのファイバマットを得
た。このようにして得られた実施例2及び比較例2のフ
ァイバマットをJIS A5906 Pタイプの試験方
法に準じて、曲げ強さ、剥離強さ及び厚さ膨潤率をそれ
ぞれ測定した。その結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】実施例2のファイバマットも比較例2のフ
ァイバマットと比べて、実施例1及び比較例2と同様の
物性値を示した。
【0030】<実施例3>図5に示すようなリグノセル
ロースを主体とする皮部20aと芯に多孔性の髄部20
bを有する構造の高りゃん茎20を図6に示すように切
開かずにそのまま圧縮ローラ21,22により圧縮して
皮部に割れ目23を発生させた。この高りゃん茎20を
フェノール樹脂液に浸漬し、フェノール樹脂を15重量
%含浸させた。次いで図示しないが多数の圧縮された高
りゃん茎20を糸で簾状に編んでシート状物にし、5枚
のシート状物30を、構成する茎が互いに直交するよう
に接着剤を一接着層あたり250g/m2の割合で塗布
しながら重ね合わせた。
【0031】図4に示す加熱プレス装置40の上下の熱
板11及び12を150℃の温度に保った後、これらの
熱板11及び12により5枚のシート状物30を圧縮し
た。上部熱板11には蒸気噴孔14bを有する厚さ30
mmの四角枠状のスペーサ14が取付けられた。加圧力
が8kg/cm2に到達したところで、温度150℃の
圧力が5kg/cm2の蒸気を5分間噴射した。噴射後
減圧ポンプでスペーサ14が包囲した空間を減圧した。
合計10分間熱圧成形した後、積層体を取出し、室温下
に約1週間放置した。
【0032】<比較例3>図11に示すように、上部熱
板1及び下部2のプレス面に蒸気噴孔2a(熱板1につ
いては図示せず)が設けられ、スペーサが設けられない
加熱プレス装置を用いて、実施例3と同じシート状物の
積層体を実施例3と同一の条件で熱圧成形した。スペー
サはないため、噴孔からの蒸気噴射は行わなかった。
【0033】このようにして得られた実施例3の積層体
と比較例3の積層体を比較したところ、比較例3のもの
は表面に凹凸が発生し、表面平滑性に問題が生じた。そ
れに比べ実施例3のスペーサを用いた積層体は表面が平
滑であり、全く問題はなかった。
【0034】なお上記実施例ではスペーサをねじで固定
したが、これに限らず溶接、接着等の手段でもよい。ま
た、上記実施例ではスペーサを下部熱板又は上部熱板に
取付けたが、上部熱板及び下部熱板の双方に取付けても
よい。また、スペーサの形状は四角枠に限らず、被加工
物の外形が多角形であれば、その形状に相応した包囲体
にしてもよい。また、上記実施例では上部熱板が下降し
て、或いは下部熱板が上昇して被加工物をプレスした
が、上下双方の熱板が可動してプレスしてもよい。更
に、上記実施例では蒸気により加熱する場合について説
明したが、蒸気に限らず加熱加圧されたガスを使用して
もよい。
【0035】
【発明の効果】以上述べたように、従来の加熱プレス装
置と比べて、本発明の加熱プレス装置はスペーサに噴孔
を設けたので、被加工物の側面から被加工物の内部に加
熱加圧された蒸気またはガスを浸透させることができ、
熱圧成形時間を大幅に短縮でき、結果として生産性を著
しく向上することができる。また、スペーサをねじ等に
より取付けると被加工物の大きさによりスペーサのみを
取り替えることにより、汎用性のある安価な加熱プレス
装置を実現できる。
【0036】また、スペーサのみを既存のホットプレス
のプレス用熱板に取付けることでスチームを発生させる
ことができ、既存のホットプレスを活用できる。また、
従来の熱板より蒸気又はガスを噴射する加熱プレス装置
に比べて、被加工物の上下両面に耐水性に乏しい材料や
通気性の乏しい板状物を重ね合せていても、被加工物内
部に蒸気又はガスを噴射することができ、製品の表面を
平滑に保ち、かつ表面にシミ汚れ等を付けることがな
い。更に、従来の加熱プレス装置と比べて熱圧時間が1
0〜90%短縮されるのみならず、厚さムラの減少及び
厚さ膨潤率が低減し、機械的強度を高める効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】複数のシート状物のみからなる被加工物を熱圧
成形する本発明実施例の加熱プレス装置の斜視図。
【図2】その加熱プレス装置の下部熱板の平面図。
【図3】複数のシート状物の両面に板状物を積層した被
加工物を熱圧成形する実施例加熱プレス装置の断面図。
【図4】複数のシート状物の両面に金属板を積層した被
加工物を熱圧成形する別の実施例加熱プレス装置の断面
図。
【図5】被加工物の出発原料である植物茎の斜視図。
【図6】その植物茎を圧縮して皮部に割れ目を発生させ
る圧縮ローラの斜視図。
【図7】複数のシート状物をその植物茎の配列方向を全
て同一にして積層した被加工物の側面図。
【図8】複数のシート状物をその一部のシート状物の植
物茎の配列方向を他のシート状物の植物茎の配列方向と
異ならせて積層した被加工物の側面図。
【図9】複数のシート状物をその植物茎の配列方向をシ
ート状物毎に交差して重ね合せその上下両面に板状物を
重ね合せる状況を示す斜視図。
【図10】その重ねられたシート状物の両面に板状物を
積層した被加工物の側面図。
【図11】従来の加熱プレス装置を示す図1に対応する
図。
【符号の説明】
10,40 加熱プレス装置 11,43 上部熱板 12,44 下部熱板 13,42 被加工物 14,45 スペーサ 14a スペーサの内面 14b,45a 噴孔 20 植物茎 30 シート状物

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上部熱板(11,43)と、下部熱板(12,44)
    と、前記上部熱板(11,43)及び下部熱板(12,44)のいずれ
    か一方のプレス面又は双方のプレス面に取付けられ前記
    両熱板(11,12,43,44)により加圧される被加工物(13,42)
    の加工厚を決定するスペーサ(14,45)とを備えた加熱プ
    レス装置(10,40)であって、 前記加圧状態の被加工物(13,42)に対向するスペーサ(1
    4,45)の内面(14a)に加圧加熱された蒸気又はガスを噴射
    する複数の噴孔(14b,45a)が設けられたことを特徴とす
    る加熱プレス装置。
  2. 【請求項2】 スペーサ(14,45)の厚さが少なくとも1
    5mmである請求項1記載の加熱プレス装置。
  3. 【請求項3】 スペーサ(14,45)が被加工物(13,42)の外
    形に相応して前記被加工物(13,42)を包囲する包囲体で
    ありかつ加熱プレス装置(10,40)に着脱可能であって、
    加圧状態で上部熱板(11,43)及び下部熱板(12,44)ととも
    に前記被加工物(13,42)を密封するように構成された請
    求項1記載の加熱プレス装置。
  4. 【請求項4】 被加工物(13,42)がリグノセルロース材
    料からなる合板、ラミネーテドベニヤランバ、パーティ
    クルボード、フレークボード、ファイバボード、ハード
    ボード及びシート状物からなる群より選ばれた1種又は
    2種以上を積層した積層体である請求項1記載の加熱プ
    レス装置。
  5. 【請求項5】 リグノセルロース材料からなるシート状
    物(30)がバガス、綿、竹、ヒマワリ、高りゃん、トウモ
    ロコシ、ソルガム又は砂糖きびの複数の植物茎(20)で作
    られたシート状成形体である請求項3記載の加熱プレス
    装置。
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