JP2014019033A - 積層合板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】所定長のオイルパーム薄板Wを乾燥し、複数枚積層し、加熱及び前記積層されたオイルパーム薄板Wの面に沿って平行方向に伸びるのを規制しながら、前記積層されたオイルパーム薄板Wの面に対して直角方向の圧縮力を加えて圧縮し、その後、前記圧縮を維持し、温度を低下させて固定化してなるオイルパーム成型体EOにおいて、前記積層されたオイルパーム薄板Wを互いに繊維方向を交差させて重ね合わせ、前記複数枚のオイルパーム薄板Wがその面に対して直角方向に彎曲するのを防止してなるものである。
【選択図】図4
Description
なお、一般に「板」とは、広辞苑によれば「材木を薄く平たくひきわったもの」、「金属や石などを薄く平たくしたもの」等として説明されるが、ここでは、オイルパームが木材の性状を有するものではなく、竹材に近い性状もつものであるが、オイルパームにおいても「薄く平たくしたもの」を「薄板」と呼ぶこととする。また、オイルパームの材料を仔細に呼称する用語がないので、木材と同様に扱うこととする。
即ち、オイルパームは、果肉と種子から油脂が取れ、単位面積当たり得られる油脂の量は他の植物を群を抜いていることから、商業作物としてマレーシア等の東南アジア諸国を中心に大規模なプランテーション農業が行われているので、油脂の方を「オイルパーム」と呼ぶ方が著名になりつつあるかもしれない。
しかし、本発明においては、果肉と種子から取れる油脂のオイルパームを意味するものではなく、油椰子の幹自体または植物の個体全体をオイルパームと呼ぶこととする。
したがって、オイルパームの空果房を解繊して得た油ヤシ繊維は、例えば、ココヤシ繊維等の他のヤシ繊維に比して、繊維表面にパームオイルが付着しているために繊維の撥水性が優れていると共に、繊維中に含まれるセルロース及びリグニンの量が相対的に多いので、耐水性に優れる。加えて、油ヤシ繊維は、ココヤシ繊維等の他のヤシ繊維に比して、繊維強度が大であると共に、繊維径が大きく、かつ、繊維長が長いので、寸法安定性が優れている。また、油ヤシ繊維は、その表面の凹凸が大きいと共に屈曲の強度が大きくて繊維同士のからみあいが大きいから、このことによっても寸法安定性が高められる。そのため、この板状体または成形体は、吸水、吸湿時における寸法安定性が優れている。
そして、油ヤシ繊維表面の凹凸が大きいので、ゴム状弾性を示す樹脂が油ヤシ繊維の表面の空隙に侵入して固化又は硬化し、これが釘または楔のように作用して、所謂、アンカー効果を発揮するから、油ヤシ繊維はゴム状弾性を示す樹脂により強く結合する。このことも吸水、吸湿時における寸法安定性の向上に寄与していると考えられる。
この板状体または成形体では、油ヤシ繊維を使用するから、他の種類のヤシ繊維に比して解繊等に要する労力が少なく、そのため、製造コスト及びエネルギーが節減でき、製品が安価となる。例えば、ココヤシ繊維では、ヤシ殻を軟化させるために長期間水中に浸漬し、その後に機械的に繊維状に解繊するために長期間多大のエネルギーを必要とする。これに対してオイルパームは、もともと繊維状のままで集合体となっている空果房を解繊するから、水中浸漬の必要はなく、解繊のために要するエネルギーも非常に少なくて済む。また、油ヤシ繊維はココヤシ繊維に比して発塵性が少なく、その取り扱いにおいて作業環境の悪化が避けられる。
更に、油ヤシ繊維の繊維間に大きな隙間が形成されるので、噴霧または浸漬によりゴム状弾性を示す樹脂を供給したときには、樹脂が上記隙間を介して全繊維に均等に付着し、強度分布が均一になるという板状態が得られる。
特許文献3に係るパーム合板は、樹脂接着剤で貼り合わされた複数の単板を備え、複数の単板のうちの最も外側の少なくとも1枚の単板は、パーム単板であり、パーム単板の表面に露出しているパーム繊維に樹脂接着剤が浸透させたものである。これにより、品質が比較的良好な樹木の単板をフェイスとバックとして使用せずに、安価な廃棄材のヤシの幹から製造可能なパーム単板を使用して表面を樹脂接着剤で処理することで、低コストで合板を製造する。
また、特許文献3のパーム合板は、複数の単板を全てパーム単板とし、安価な廃棄材のヤシの幹から製造可能なパーム単板のみを使用し、互いを樹脂接着剤で接着してもよい。このときのパーム繊維に浸透させてある樹脂接着剤は、複数の単板を貼り合わせる樹脂接着剤と同系のものである。樹脂接着剤が同系であるため、安価に合板を製造することができる。なお、ここで、同系とは、同一の樹脂接着剤、配合(例えば、配合比率)を変えたものを含む。
このように、特許文献3によれば、品質が比較的良好な樹木の単板をフェイスとバックとして使用せずに、低いコストで製造が可能な合板およびパーム合板、合板製造方法が開示されている。
特に、マレーシア等の東南アジア等では、パームオイルの生産のためにオイルパームが栽培されているが、パームオイル採取後の空果房には繊維等が多く含まれていることから、その空果房は繊維ボード等種々の用途に活用されている。しかし、毎年伐採されているヤシの幹は有効に活用されておらず、廃棄処分されているのが現状である。
また、特許文献3には、最も外側の少なくとも1枚の単板がパーム単板を複数樹脂接着剤で貼り合わせる工程と、パーム単板の表面であり、露出しているパーム繊維に樹脂接着剤を浸透させる面を研磨する工程と、研磨した面に樹脂接着剤を塗布してパーム繊維に樹脂接着剤を浸透させる工程と、樹脂接着剤を乾燥させる工程とを備えた合板製造方法を開示している。しかし、オイルパームの単板に如何に樹脂接着剤を塗布するか、露出しているパーム繊維に樹脂接着剤を浸透させるかについては説明されておらず不明であり、具体的な合板の製造方法が不明である。少なくとも、オイルパームの単板を複数樹脂接着剤で貼り合わせるという樹脂接着剤の使用を前提としている。
したがって、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑えた多層合板の存在が望まれている。また、接着剤でシックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤とは異なる接着剤を使用すると、コストが高くなるという問題点がある。また、従来の積層合板には、板状合板とする技術はあっても、その積層合板自体を成型するという技術は存在していない。
ここで、前記積層されたオイルパーム薄板の繊維方向を交差させて重ね合わせているから、前記複数枚のオイルパーム薄板がその面に対して直角方向に彎曲するのを防止でき、前記積層されたオイルパーム薄板の彎曲を防止できる。
殊に、圧縮する面の形状または圧縮深さによってオイルパーム成型体の機械的強度が決定でき、所望のオイルパーム成型体が得られる。
また、オイルパーム薄板として得た薄板の乾燥は、その乾燥方法が特に問われるものではなく、天然乾燥させてもよいし、人工的に乾燥させてもよいが、人工乾燥の方が高コストである。
ここで、建築材料等に一般的に使用されているラワン等の木材が水や養分の移動が停止した細胞(死細胞)組織から成る二次木部を形成しているのに対し、オイルパームの樹幹は維管束及び柔細胞の一次組織のみで構成され、柔細胞を中心とする殆どの細胞が水や養分の移動が盛んに行われている生活細胞であるため、含水率が極めて高い。その上、オイルパーム幹には、糖類(例えば、フラクト−ス、グルコ−ス、フラクトオリゴ糖、イノシト−ル等)が多く含まれている。このため、オイルパーム幹からオイルパーム薄板の厚みが厚い場合、天然乾燥ではカビ等の細菌が繁殖して腐食しやすく生産性や商品価値が損なわれる。一方で、人工的に乾燥させる場合には、コスト高となる。そこで、本発明者らの実験研究によれば、オイルパーム幹から得るオイルパーム薄板の厚みを3mm〜35mmの範囲内とすることで、天然乾燥でもカビ等の細菌による商品価値や生産性の低下を招くことなく、低コストにできることが確認されている。
また、圧密化とは、前記オイルパーム基材等の基材を所定の温度条件下で所定の圧縮力を加えて圧縮し、所定の時間経過後、前記温度を所定の温度まで降下させて解圧する固定化によって、基材を所定の圧縮率で圧縮する加工である。
そして、オイルパーム薄板とは、圧密加工前の厚みを3mm〜35mmの範囲内としたもので、厚密加工後の厚みは、1mm〜12mmの範囲内のものである。
また、上記加熱状態で繊維方向に対して垂直方向に外力を加えることによって、前記乾燥させたオイルパーム薄板の全体の厚みを加熱圧縮するとは、オイルパーム薄板の積載方向に圧縮して少なくとも木口面に相当する面積を小さくすること、所謂、圧縮の方向性を特定して圧密加工したことを意味する。この圧密加工は、例えば、オイルパーム薄板の含水率を略均一となるように設定し、所定の条件で加熱圧縮し、固定化することによって形成することができ、このときの所定の条件となる温度、圧力、時間、圧縮スピード等については、目的とする圧縮率等をパラメータとして予め実験等によって決定される。
ここで、気乾比重とは、木材を大気中で乾燥した時の比重で、通常、含水率15%の時の比重で表すものであり、木材を乾燥させた時の重さと同じ体積の水の重さを比べた値である。数値が大きいほど重く、小さいほど軽いことを表す。
また、圧密加工により全体の圧密加工した気乾比重を0.8以上とは、本発明者らが、実験を重ねた結果、オイルパーム薄板を高圧縮して気乾比重を0.8以上とすることによって、オイルパームの性質が変化して硬度が顕著に硬くなると共に、強度・硬度や、寸法変化率等の物性値や特性値のばらつきが少なく物理的安定性が増すことを見出し、この知見に基づいて設定されたものである。即ち、圧縮により、強度や硬度等を増大させ、かつ、物理的性質のバラつきを少なくした特性領域であり、圧密加工された木材としての特性であることを示すもので、圧密加工により気乾比重を0.8以上にできないもの、気乾比重が0.8以上にならないものは含まれない。より好ましくは、気乾比重が0.9以上とすることによって、硬度が顕著に高くなり、硬度及び寸法変化率等の物性値や特性値のばらつきが少なくなって物理的安定性がさらに増すことになる。
ここで、前記積層されたオイルパーム薄板を複数枚重ね合わせ、前記複数枚のオイルパーム薄板がその面に対して特定方向の直角方向にのみ彎曲することを自在としたものは、前記複数枚のオイルパーム薄板の内の何枚かを繊維の長さが交差するものであってもよく、結果的に所望の彎曲が可能なものであればよい。
殊に、オイルパーム成型体が、その面に対して特定方向の直角方向にのみ彎曲する構造であっても、圧縮する面の形状または圧縮深さによってオイルパーム成型体の機械的強度が決定でき、所望のオイルパーム成型体が得られる。
ここで、金型によって平面部、凹部、凸部の1つ以上を形成したとは、成型の有無をいうものであり、成型がされているものであればよい。
ここで、所定長のオイルパーム薄板に金型によって形成した平面部、凹部、凸部は厚みを均一にしたものである。
ここで、前記複数枚積層したオイルパーム薄板に形成した表面及び裏面の凹部は、その深さは、それ以外の平面部よりも深く形成されておればよく、平面部に圧縮力が加わってもよいし、加わらなくてもよい。
ここで、上記薄板工程とは、所定長のオイルパーム幹をその周方向に回転させながらロータリーレースで所定の厚みに剥いて複数枚のオイルパーム薄板に形成する工程である。
また、上記乾燥工程とは、オイルパーム薄板を乾燥する工程である。
そして、上記積層工程とは、前記乾燥工程で乾燥させたオイルパーム薄板を所定の状態に複数枚積層する工程である。
更に、上記加熱工程とは、前記積層工程で積層されたオイルパーム薄板の温度を上昇させるべく加熱する工程である。
更にまた、上記圧縮工程とは、前記加熱工程によって加熱された前記積層されたオイルパーム薄板に、前記オイルパーム薄板の面に対して平行方向に伸びるのを規制しながら、金型の上型と下型とで前記オイルパーム薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加えて所定時間圧縮形成する工程である。
加えて、上記固定化工程とは、前記圧縮工程で所定時間圧縮した前記積層されたオイルパーム薄板を、前記加熱工程で供給していた温度を降下させて冷却し、固定化させる工程である。
上記乾燥工程は、オイルパーム薄板の含水率を5%〜30%の範囲内に乾燥させるものであるから、クラック、変形、膨らみ、破裂等が防止される。よって、より安定した寸法形状性が確保され、歩留りも高いものとなる。また、含水率を5%〜30%の範囲内の乾燥状態であると、ラワン薄板、シナ薄板、針葉樹薄板等との接合にも好適である。
上記圧縮工程による所定の圧縮圧力は、1〜100kg/cm2の範囲内としたものであるから、圧密加工における固定化不良や木材間の接合不良、また表面クラックの発生を防止することができる。
上記加熱工程及び圧縮工程に要する時間は、10分間〜120分間の範囲内であることから、圧密加工における固定化不良や木材間の接合不良、表面の炭化を防止できる。
ところで、オイルパーム成型体の面に対して特定方向の直角方向にのみ彎曲する構造、即ち、繊維方向が交差しておらず平行する積層方法であっても、圧縮する面の形状または圧縮深さによってオイルパーム成型体の機械的強度が決定でき、所望のオイルパーム成型体が得られる。
ここで、上記予備加熱工程、予備圧縮工程、予備固定化工程は、上記請求項5の加熱工程、圧縮工程、固定化工程と基本的動作が相違するものではない。処理する温度及び/または圧縮力が異なるか、オイルパーム成型処理内容が異なるものである。また、本固定化工程は、上記請求項5の加熱工程、圧縮工程、固定化工程とからなるものである。
上記薄板工程は、所定長のオイルパーム幹をその周方向に回転させながらロータリーレースで所定の厚みに剥いて複数枚のオイルパーム薄板に形成する工程である。また、上記乾燥工程は、前記薄板工程で形成したオイルパーム薄板を乾燥する工程である。そして、上記積層工程は、前記乾燥工程で乾燥させたオイルパーム薄板を所定の状態に複数枚積層する工程である。
更にまた、上記予備圧縮工程は、前記予備加熱工程によって加熱された前記積層されたオイルパーム薄板に前記オイルパーム薄板の面に沿って平行方向に伸びるのを規制しながら、金型の上型と下型とで前記オイルパーム薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加えて所定時間圧縮成型する工程である。
加えて、上記予備固定化工程は、前記圧縮工程で所定時間圧縮成型した前記積層されたオイルパーム薄板を、前記予備加熱工程で供給していた温度を降下させて固定化させる工程である。
また、上記本固定化工程は、前記予備固定化工程で固定化した予備オイルパーム成型体を所定の湿度及び温度条件下で、前記積層されたオイルパーム薄板の面に沿って平行方向に延びるのを規制しながら、上型と下型とで前記積層されたオイルパーム薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加えて所定時間圧縮成型し、前記所定時間圧縮成型した前記積層されたオイルパーム薄板の温度を降下させて固定化させる工程である。
なお、オイルパーム成型体の形態または使用対象によっては、上記予備加熱工程、予備圧縮工程、予備固定化工程、または上記本固定化工程は、上記予備加熱工程、予備圧縮工程、予備固定化工程を予備工程として1回以上、または本固定化工程を本工程として1回以上繰り返し実行することができる。
このように、オイルパーム薄板を互いに繊維方向を交差させて重ね合わせて積層したものであるから、前記積層されたオイルパーム薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加えて圧縮しているときには圧縮する金型の形状に応じて成型することができる。殊に、オイルパーム成型体として圧縮する面の形状または圧縮深さによって機械的強度が決定でき、所望のオイルパーム成型体が得られる。
したがって、積層されたオイルパーム薄板からなる合板自体が所望の形状に成型でき、また、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用した環境にやさしいオイルパーム成型体が得られる。
前記積層されたオイルパーム薄板を複数枚重ね合わせ、前記複数枚のオイルパーム薄板がその面に対して特定の直角方向にのみ彎曲するようにしたものである。
このように、オイルパーム薄板を互いに繊維方向を考慮して重ね合わせて積層したものであり、前記積層されたオイルパーム薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加えて圧縮し、圧縮する金型の形状に応じて成型することができる。また、前記オイルパーム薄板を複数枚重ね合わせるとき、前記複数枚のオイルパーム薄板がその繊維方向を1枚または2枚だけ交差するようにするか、全枚数繊維方向が平行するように積層し、その面に対して特定の直角方向にのみ彎曲するようにしたものであるから、所望の彎曲形状に形成できる。殊に、オイルパーム成型体として圧縮する面の形状または圧縮深さによって機械的強度が決定でき、所望のオイルパーム成型体が得られる。
したがって、積層されたオイルパーム薄板からなる合板自体が所望の形状に成型でき、また、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用した環境にやさしいオイルパーム成型体が得られる。
このように、所定の厚みに剥いて形成した複数枚のオイルパーム薄板は、積層工程において必要な厚みに形成できるので、目的用途に応じてその厚みを決定できる。前記積層工程で積層されたオイルパーム薄板の温度を上昇させるべく加熱する加熱工程では、特に、水蒸気によって複数枚のオイルパーム薄板を加熱すると、リグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類とが、軟化し結合するから固定化工程によって、堅固なオイルパーム成型体が得られる。
また、前記積層されたオイルパーム薄板は、前記オイルパーム薄板の面に対して平行方向に伸びるのを規制しながら、金型の上型と下型とで前記オイルパーム薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加えて所定時間圧縮成型するものであるから、前記積層されたオイルパーム薄板の面積が拡大されることなく、圧縮成型できるから、所望の立体形状であり、かつ、所望の外径のオイルパーム成型体が得られる。特に、金型からは、前記加熱工程で供給していた温度を降下させて冷却し、固定化させるものであるから、オイルパーム成型体が取り出し易い。
したがって、積層されたオイルパーム薄板からなるオイルパーム成型体が所望の形状に成型でき、また、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用した環境にやさしいオイルパーム成型体が得られる。
よって、前記オイルパーム薄板が含有する樹脂成分及び糖成分の使用割合を多くし、自然物で接合した多層合板が得られ、使用する材料のロスが少なくコストを抑え、また、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用量を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用した積層合板が得られる。
また、積層工程以降で積層されたオイルパーム薄板の温度を加熱工程で上昇させるべく加熱し、圧縮工程で加熱された前記積層されたオイルパーム薄板に、オイルパーム薄板の面に対して平行方向に延びるのを規制しながら、前記オイルパーム薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加えて所定時間圧縮するものであるから、圧縮工程で付与される圧縮力がオイルパーム薄板の面に対して平行方向に逃げるという延びが制限され、全ての積層されたオイルパーム薄板の圧縮力が有効的に使用され、かつ、オイルパーム薄板の外形寸法を均一にすることができ、また、全オイルパーム薄板の圧縮率を均一にすることができ、製造中に複数のオイルパーム薄板から無駄を出すことがない。
よって、前記オイルパーム薄板が含有する樹脂成分及び糖成分を使用し、自然物で接合した多層合板が得られ、使用する材料のロスが少なくコストを抑え、また、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用したオイルパーム成型体が得られる。少なくとも従来の積層合板に比較して、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑えることができる。
なお、オイルパーム成型体の形態または使用対象によっては、上記予備加熱工程、予備圧縮工程、予備固定化工程、または上記本固定化工程は、上記予備加熱工程、予備圧縮工程、予備固定化工程を予備工程として1回以上、または本固定化工程を本工程として1回以上繰り返し実行することができる。
このように予備固定化工程で固定化された前記積層されたオイルパーム薄板は、所定の湿度及び温度条件下で、再度、前記積層されたオイルパーム薄板の面に沿って平行方向に延びるのを規制しながら、金型の上型と下型とで前記積層されたオイルパーム薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加えて所定時間圧縮して成型し、前記所定時間圧縮して成型した前記積層されたオイルパーム薄板の温度を降下させて冷却し、本固定化工程で恒久的な固定化をさせるものである。
したがって、積層されたオイルパーム薄板からなるオイルパーム成型体が所望の形状に成型でき、また、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用した環境にやさしいオイルパーム成型体が得られる。
まず、この発明の実施の形態で使用するオイルパーム幹WDは、木材の板目と柾目を製材するように板取りを行うと、何れも柾目状に繊維(維管束)が並ぶ面になる。即ち、国産材の桧や杉のように年輪がなく、畳表の藺草のように0.4〜1.2mmの維管束繊維がオイルパーム幹WDの長さ方向に延びている。
オイルパーム幹WDの成分は産地によって若干違いがあるが、その差は僅かであり、一般にセルロース30.6重量%、ヘミセルロース33.2重量%、リグニン(総リグニン28.5重量%=クラーソンリグニン24.7重量%+酸可溶性リグニン3.8重量%)、抽出成分3.6重量%、灰分4.1重量%といわれており、Characterization in Chemical Composition of the Oil Palm (Elaeis guineensis) (Journal of the Japan Institute of Energy,87,383-388(2008))にも記載がある。
視認できる0.4〜1.2mmの繊維、即ち、維管束と維管束の間は、リグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類、少ない空孔によって一体になっている。
オイルパーム薄板Wは、20年以上成長した単一の幹を所定長のオイルパーム幹WDとして切断し、それを大根のかつら剥きと同様の周方向の剥きを行うロータリーレースと呼ばれる装置にセットする。そして、オイルパーム幹WDを回転させ刃物CTによって周方向の剥きを行う。これは、所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いて複数枚のオイルパーム薄板Wに形成する薄板工程となる。
なお、オイルパームの葉、空果房、根等は、チップ状に裁断され、好気性細菌処理によってコンポスト化(堆肥化)する有機廃棄物発酵処理方法によって処理される。特に、空果房は他の実用性のある処理を行ってもよい。また、細かく破砕し、セルロース、ヘミセルロース、リグニン等の成分抽出を行って、接合補助にそれを利用してもよい。
所定の面積、所定の厚みのオイルパーム薄板Wは、図2(a)及び図2(b)に示すように、更に切断され、5枚の所定面積、所定厚さのオイルパーム薄板W1,・・・,W5(格別、オイルパーム薄板Wの枚数を意図しない場合には、単にオイルパーム薄板Wと記す)が切断される。
加圧前多層材NWは、図2(a)を用いて説明したオイルパーム幹WDをかつら剥きされた連続薄板UWDの供給方向に短い辺のオイルパーム薄板W1,W3,W5と、図2(b)に示す連続薄板UWDの供給方向に長い辺の薄板W2,W4が積層配置される。
この5枚の所定面積、所定厚さのオイルパーム薄板W1,・・・,W5は、裁断によって形成してもよいし、歯の細かな鋸の切断によって形成してもよい。オイルパームの性質上何れでもよいが、裁断の方が作業性からみると効率的である。
勿論、図3に示す連続薄板UWDの供給方向に短い辺のオイルパーム薄板W1,W3,W5と、連続薄板UWDの供給方向に長い辺のオイルパーム薄板W2,W4を繊維の長さ方向が直角になるように積載すれば、連続薄板UWDの供給方向に短い辺のオイルパーム薄板W1,W3,W5を2枚、連続薄板UWDの供給方向に長い辺のオイルパーム薄板WW2,W4を3枚の組み合わせとすることもできる。
このように、前記乾燥工程で乾燥させたオイルパーム薄板Wを所定の状態に複数枚積層する工程を、ここでは積層工程と呼ぶ。
ここで、図4(b)に示す圧密化したオイルパーム成型体EOとは、加圧前多層材NWとして積層したものに、所定の温度条件下で所定の圧縮力を加えて圧縮し、所定の時間経過した後、温度を所定の温度まで降下させて固定化した後、解圧したものである。
即ち、加熱工程によって加熱した積層されたオイルパーム薄板W1,・・・,W5に、そのオイルパーム薄板Wの面に対して直角方向の圧縮力を加える圧縮工程を行い、その圧縮工程で所定の温度で所定時間押圧した後、加熱工程で供給していた温度を降下させ、その圧縮状態を維持させる固定化工程を経て、圧密化したオイルパーム成型体EOを得るものである。
ここで、前記積層工程以降で前記積層されたオイルパーム薄板Wの温度を上昇させるべく加熱する工程を加熱工程と呼び、また、加熱工程によって加熱され、積層されたオイルパーム薄板Wの面に対して直角方向の圧縮力を加える工程を、圧縮工程と呼ぶ。そして、前記圧縮工程で所定時間押圧した後、前記加熱工程で供給していた温度を降下させ、常温またはそれよりも若干温度を下げて冷却して固定化する工程を、圧密化した状態を固定化する意味で固定化工程と呼ぶこととする。
また、この図4(a)の加圧前多層材NWから、直接、図4(b)のオイルパーム成型体EOを成型する方法は、前記積層工程、加熱工程、圧縮工程、固定化工程は1回の連続工程のみとなる。
図8のフローチャートに示されるように、最初に、所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に回転させながらロータリーレースの刃物CTで所定の厚みに剥いて複数枚のオイルパーム薄板Wに形成するステップS10の薄板工程において、オイルパーム幹WDから3mm〜20mmの範囲内の材厚のオイルパーム薄板Wが剥かれ、次いで、ステップS11の乾燥工程において、含水率5%〜30%の範囲内に乾燥され、乾燥されたオイルパーム薄板Wとなる。
そこで、本発明者らの実験によれば、オイルパーム幹WDから得たオイルパーム薄板Wの厚みを20mm以下の範囲とすることで、天然乾燥でもカビ等の細菌による商品価値や生産性の低下を招くことなく、低コストにできることが確認されている。なお、この厚みは、圧縮率65%とすると圧密加工後の3.5mm〜7.0mmの厚みに相当する。また、圧縮率70%とすると圧密加工後の3.0mm〜6.0mmに相当する厚みとなる。
このため、オイルパーム幹WDから厚み3mm以上、20mm以下の範囲内のオイルパーム薄板Wを剥き、天然乾燥でもカビ等の細菌による商品価値や生産性の低下を招くことなく、低コストで乾燥でき、更に、切り出し作業が容易で、後述する圧密加工後の寸法形状安定性も高いものとなる。
なお、好ましくは、オイルパーム幹WDからオイルパーム薄板Wの厚みが、6mm以上、15mm以下の範囲内である。この厚みは、圧縮率65%とすると圧密加工後の2.1mm以上、5.3mm以下の厚みに相当する。また、圧縮率70%とすると圧密加工後の1.8mm〜4.5mmに相当する厚みとなる。
ここで、オイルパーム薄板Wを積層してなる加圧前多層材NWの圧密加工を行うオイルパーム成型体製造装置MCについて図5を参照して説明する。
当然ながら、プレス盤10の金型についても、平面部、凹部、凸部の1以上を有するものであればよく、単数取り、複数取りを左右するものではない。
本実施の形態1では、プレス盤10の上プレス盤10A及び下プレス盤10Bで形成される内部空間IS及び位置決め孔18内を加熱するためにバルブV4に接続された配管12を用いて高温の水蒸気を導入しているが、この他、高周波加熱、マイクロ波加熱等を用いることも可能である。特に、木材に対する高周波加熱は、マイクロ波による誘電過熱よりも、マイクロ波よりも若干周波数の低い高周波で、木材の中心から加熱する方法が好適である。
勿論、本発明を実施する場合には、プレス盤10にてプレス圧縮される方向は、加圧前多層材NWの5枚のオイルパーム薄板Wの面に対して直角方向に圧縮力が加えられる。
ここで、本実施の形態においては、オイルパーム成型体EOの原材料となる加圧前多層材NWは、所定の寸法(厚み・幅・長さ)に形成されたものであり、計5枚のオイルパーム薄板W1,・・・,W5の面側をプレス盤10の上プレス盤10A及び下プレス盤10Bに対向させ、下プレス盤10Bの位置決め孔18に載置される。
加熱タイミングのとき、ステップS16で上プレス盤10Aの配管路15及び下プレス盤10Bの配管路16に所定温度(例えば、110〜180〔℃〕)の水蒸気が通され、内部空間IS及び位置決め孔18内が所定温度(例えば、110〜180〔℃〕)に保持される。ステップS14で加熱タイミングでないと判断したとき、ステップS15で圧縮タイミングであるかを判断し、圧縮タイミングのとき、ステップS17で圧縮工程に入る。
ステップS17の圧縮力は、割れを防止するために、加圧前多層材NWの温度上昇、即ち、ステップS18のタイマIの経過時間に応じて加圧前多層材NWの内部の温度状態、加熱時間の経過に応じて徐々に大きくするのが望ましく、加熱圧縮の時間も加熱時間を考慮して設定するのが好ましい。
なお、このように、本実施の形態においては、加圧前多層材NWの表裏面に上プレス盤10A及び下プレス盤10Bが面接触し、密閉状態の内部空間IS及び位置決め孔18に保持されるため、加圧前多層材NWは、厚み全体が十分に加熱され、効率よく圧縮変形されることになる。
更に、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bによる加熱圧縮から冷却圧縮へと移行する直前に、蒸気圧制御処理としてバルブV5が開状態とされることで配管口13a、配管13を通って内部空間IS及び位置決め孔18からドレン配管14側に高温高圧の水蒸気が排出される。
そして、最後に、図6(f)に示すように、ステップS21で解圧工程に入り、固定側の下プレス盤10Bに対して上プレス盤10Aを上昇させ、内部空間IS及び位置決め孔18から仕上がり品であるオイルパーム成型体EOが取出されることで一連の処理工程が終了する。
主として、上プレス盤10Aと下プレス盤10Bとの2分割された構造体によって内部空間IS及び位置決め孔18を形成するプレス盤10を具備しているが、本発明を実施する場合の加圧前多層材NWの外周の移動規制は、枠体20とすることもできる。この加圧前多層材NWの外周の移動規制としての枠体20は、上プレス盤10Aの寸法によって、上下動自在な構造とするか、固定構造とするかが決定される。
図7において、下プレス盤10Bのベース板25に同一高さの外側下プレス盤10Ba及び内側下プレス盤10Bbを配設し、その間に枠体溝21を形成する。枠体溝21のベース板25側には複数のコイルスプリング22が配設され、その上部に四角の可動枠23が配設されている。可動枠23の内面には、切欠きが形成されていて加圧前多層材NWの側面からの水蒸気等の流体を導く流体路24となっている。四角の可動枠23の内周は加圧前多層材NWの外周に略等しくなっており、四角の可動枠23に加圧前多層材NWが入るとラワン薄板L1及び薄板W2,・・・,W5に位置ずれが生じないようになっている。したがって、上プレス盤10Aが下降した時、それが下プレス盤10Bの寸法以上の広さを有していても、可動枠23と当接すると、可動枠23が複数のコイルスプリング22の弾性に抗して下降し、加圧前多層材NWの圧縮に応答する。そして、複数のコイルスプリング22の移動限界で加圧前多層材NWの圧縮が終了する。勿論、下プレス盤10Bの可動枠23に対して上プレス盤10Aが挿入される構造である場合には、下プレス盤10Bに可動枠23を固定配置とすることができる。即ち、下プレス盤10Bの可動枠23を固定し、可動枠23の内部に挿入される上プレス盤10Aによって圧縮することもできる。
したがって、オイルパーム成型体EOは、均一な圧縮力の金型処理されたものとなる。
繊維方向を同一にして積層した場合には、圧密加工において軟化した木材表面層の木繊維が、積層方向(縦方向)に隣接する繊維方向が同一の他の木材表層の木繊維と絡み易く、その絡み合った状態で固定化された木材同士は強固に接合される。しかも、接合面における膨張率及び収縮率を完全に等しくできることから周囲環境条件が変化しても接合面に全くストレスが掛かることがない。特に、その維管束等の繊維方向を同一にして積層した場合、そこに圧縮力を加えると、オイルパーム薄板Wが本来のオイルパーム幹WDの繊維方向になり、オイルパーム薄板Wが異なっていても、維管束が相手材のオイルパーム薄板Wの維管束間に入り込みそこで固定化されるから、自然な接合状態で一体化ができる。
したがって、接合強度が高くて機械的強度も高く、圧密化後の安定した寸法形状性が確保される。
特に、全枚数が奇数枚の場合には、繊維方向を互いに直交させて積層したとき表裏で単板の繊維方向が平行で断面が対称となるため、周囲環境条件の変化による歪み等が防止される。また、全枚数を4枚以上の偶数枚とする場合には、内部の一部にて繊維方向を同一にして積層しその他は繊維方向を互いに直交させて積層することによって、表裏の繊維方向を合わせ周囲環境条件の変化による歪み等を防止することも可能となる。
このとき、互いのオイルパーム薄板Wの維管束はクロス状態になるから、互いの維管束が巻き込む状態となるのが望ましい。この巻き込み状態下で圧密加工することにより、セルロース、ヘミセルロース、リグニンが水素結合し、特に、アブラヤシの樹幹には糖類、リグニン、プラスチック成分等が多く含まれているから、これらの成分が分解や軟化して維管束の周囲に染み出し、その後に再結晶化・再結合化されることでバインダーとして機能し、一体化が行われる。
このように、プレス盤の面接触によって加熱圧縮することで、特には、加熱温度に加熱した後に加圧することによって、加圧前多層材NWにおいて乾燥時の反り変形が生じている場合でも破壊、割れ、クラック等を生じさせることなく平坦にすることができ、効率良く加熱圧縮を行うことができる。更には、加圧前多層材NWが加熱圧縮され、内部空間IS及び位置決め孔18が密閉状態に保持されている間に、加圧前多層材NWに元々含まれている水蒸気が蒸気圧となって内部空間IS及び位置決め孔18を介して乾燥木材DWに侵入拡散、排出自在となることから、厚み全体において効率よくかつ均一に加熱圧縮が行われる。
なお、このときの圧縮速度が速い場合には、加圧前多層材NW内の水蒸気や空気が抜けにくく、加圧前多層材NWに作用する圧力も高くなるため、クラックが生じたり、また、軟化が不十分で内部割れが生じたりする恐れがある。一方で、圧縮速度が遅い場合には、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bに接触している面への負担が大きくなりクラック等が生じる可能性がある。そこで、このときの圧縮圧力は、加圧前多層材NWの内部の温度の伝達状態に応じて徐々に大きくするのが望ましい。
そして、この内部空間IS及び位置決め孔18の密閉状態で加熱圧縮処理が行われているときに、蒸気圧制御処理として圧力計P2で内部空間IS及び位置決め孔18の蒸気圧が検出され、図6(d)に示されるように、バルブV4に接続された配管12、配管口12aを介して内部空間ISに第2の加熱温度の蒸気圧が供給されることによって、または、バルブV5が適宜開閉されて配管口13a、配管13を通って内部空間ISからドレン配管14側に高温高圧の水蒸気が排出されることによって、内部空間IS及び位置決め孔18の蒸気圧が所定値に制御される。
なお、後述の冷却開始前にその蒸気圧制御を終了させるのが好ましい。後述の冷却開始前にその蒸気圧制御を終了しない場合には、冷却処理効率が低下する。
そして、最後に、ステップS19の固定化工程において解圧し、図6(f)に示すように、固定側の下プレス盤10Bに対して上プレス盤10Aを徐々に上昇させて離間させることによってプレス圧力及び密閉状態を開放し、内部空間IS及び位置決め孔18から仕上がり品であるオイルパーム成型体EOが取出されることで一連の処理工程が終了する。
しかも、接着剤の使用によってオイルパーム薄板Wを接合する場合には、接着剤を塗布等した後、圧締して接着剤を硬化するのが一般的であり、接着剤塗布等の工程及び圧締工程が必要であるのに対し、本実施の形態のオイルパーム成型体EOによれば、圧密加工によって接着剤を使用することなく木材同士が接合されるため、上記別個の接合工程が不要であり、製造工程の簡略化を図ることができる。
一方、加圧前多層材NWの繊維方向を互いに直交させて積層した場合には、圧密加工後の周囲環境条件の変化によって膨張収縮力が生じでも互いの木材同士が相互に作用し合って特定方向の反り変形が防止される。殊に、全枚数が奇数枚の場合には、繊維方向を互いに直交させて積層したとき表裏で単板の繊維方向が平行で断面が対称となるため、周囲環境条件の変化による歪み等が防止される。このとき、圧密加工において繊維方向を同一とした圧縮力よりも大きくすることにより、強靭な接合状態が得られる。
また、全枚数を偶数枚とする場合には、内部の一部にて繊維方向を同一にして積層しその他は繊維方向を互いに直交させて積層することによって、表裏の繊維方向を合わせ周囲環境条件の変化による歪み等を防止することが可能となる。
更に、厚み全体が圧密加工されたものであることから、厚み側面の稜線に対して大きな面取り加工や曲面加工を施したとしてもその端面では、高い硬度が確保される。
特に、乾燥させたオイルパーム薄板Wのうち、乾燥後の気乾比重が小さい表裏に配置して積層した場合には、上述したように、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bに接触する表裏層に乾燥後の気乾比重が小さい材料が配設され、圧密加工がなされることになるから、乾燥後の気乾比重が小さい材料において上プレス盤10A及び下プレス盤10Bによって十分な加熱圧縮がされて木材相互間の比重の差が小さくなり、製品化後における寸法変化率の差も小さくなる。よって、製品化後における寸法形状の安定性が増す。
図4に示したオイルパーム成型体EOは、加圧前多層材NWから直接、金型の上型と下型とで圧縮形成したものであるが、1回目で予備成型したものを2回目で本成型することもできる。
即ち、図9に示すように、まず、図9(a)の加圧前多層材NWから、図9(b)の50%圧密加工して板状の予備オイルパーム成型体HWとし、次いで、それを所定の金型で上型と下型とで圧縮形成し、図9(c)のオイルパーム成型体EOを成型したものである。
そのオイルパーム成型体の製造方法について図10及び図11のフローチャートを用いて説明する。
実施の形態1と同様に、最初に、ステップS30で所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に回転させながら、ロータリーレースの刃物CTで所定の厚みに剥いて複数枚のオイルパーム薄板Wに形成する薄板工程において、オイルパーム幹WDから3mm〜20mmの範囲内の厚みのオイルパーム薄板Wが剥かれ、次いで、ステップS31の乾燥工程において、含水率5%〜30%の範囲内に乾燥され、乾燥されたオイルパーム薄板Wとなる。ここで、オイルパーム成型体製造装置MCの平坦な面で形成された金型からなる上プレス盤10Aと、平坦な面で形成された金型からなる下プレス盤10Bとする。
加熱タイミングのとき、ステップS36で上プレス盤10Aの配管路15及び下プレス盤10Bの配管路16に所定温度(例えば、110〜150〔℃〕)の水蒸気が通され、内部空間IS及び位置決め孔18内が所定温度(例えば、110〜150〔℃〕)に保持される。ステップS34で加熱タイミングでないと判断したとき、ステップS35で圧縮タイミングであるかを判断し、圧縮タイミングのときステップS37で50%圧縮の圧縮工程に入る。このステップS37の圧縮工程は、50%の圧縮率としているが、本発明を実施する場合には、1回目の予備成型では、圧縮率20〜80%の範囲であればよい。
ステップS37の圧縮率は、割れを防止するために、加圧前多層材NWの温度上昇、即ち、ステップS38のタイマIの経過時間に応じて加圧前多層材NWの内部の温度状態、加熱時間の経過に応じて徐々に大きくするのが望ましく、加熱圧縮の時間も加熱時間を考慮して設定するのが好ましい。
ステップS38でステップS33のタイマIの動作に基づくステップS36の加熱工程及びステップS37の圧縮工程が終了したことが判断されると、ステップS39で固定化工程に入る。固定化工程では、ステップS40のタイマIIに基づき、上プレス盤10Aの配管路15及び下プレス盤10Bの配管路16に常温の冷却水または地下水が通されることによって、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bが常温前後まで冷却され、材料によって異なる所定時間(例えば、オイルパームでは10〜60〔min〕)保持される。なお、このときの固定側の下プレス盤10Bに対する上プレス盤10Aの圧縮力は、加熱圧縮の際の圧力と同じ所定圧力(例えば、20〜50kg/cm2)に保持されたまま、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bが冷却される。
そして、最後に、ステップS41で解圧工程に入り、固定側の下プレス盤10Bに対して上プレス盤10Aを上昇させ、内部空間IS及び位置決め孔18から仕上がり品であるオイルパーム成型体EOが取出されることで一連の予備成型が終了し、板状に圧縮率50%程度に圧縮し、圧密化した予備オイルパーム成型体HWが得られる。
まず、オイルパーム成型体製造装置MCの金型は、平面部EP及び上に凸部EQを形成する金型からなる上プレス盤10Aと、平面部EP及び上に凹部ERを形成する金型からなる下プレス盤10Bとする。当該オイルパーム成型体製造装置MCの位置決め孔18内に予備オイルパーム成型体HWが設定される。この1回目で予備成型は、外形が全枚数一致し、かつ、積載方向のオイルパーム薄板W相互は接合されている。固定側の下プレス盤10Bの位置決め孔18上に載置された予備オイルパーム成型体HWに対して上プレス盤10Aを所定圧力にて下降させて予備オイルパーム成型体HWの上面、即ち、本実施の形態においては、オイルパーム薄板W1,・・・,W5の面に対して垂直方向に当接させる。そして、ステップS42でタイマIIIによるタイマ制御の下に、当該タイマIIIを見て、ステップS43で加熱タイミングであるか判断し、ステップS44で圧縮タイミングであるかを判断する。
加熱タイミングのとき、ステップS45で上プレス盤10Aの配管路15及び下プレス盤10Bの配管路16に所定温度(例えば、110〜170〔℃〕)の水蒸気が通され、内部空間IS及び位置決め孔18内が所定温度(例えば、110〜170〔℃〕)に保持される。ステップS43で加熱タイミングでないと判断したとき、ステップS44で圧縮タイミングであるかを判断し、圧縮タイミングのときステップS46で圧縮工程に入る。
ステップS46の圧縮力は、割れを防止するために、予備オイルパーム成型体HWの温度上昇、即ち、ステップS42のタイマIの経過時間に応じて予備オイルパーム成型体HWの内部の温度状態、加熱時間の経過に応じて徐々に大きくするのが望ましく、加熱圧縮の時間も加熱時間を考慮して設定するのが好ましい。
ステップS47でステップS42のタイマIIIの動作に基づくステップS45の加熱工程及びステップS46の圧縮工程が終了したことが判断されると、ステップS48で固定化工程に入る。固定化工程では、ステップS49のタイマIVに基づき、上プレス盤10Aの配管路15及び下プレス盤10Bの配管路16に常温の冷却水または地下水が通されることによって、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bが常温前後まで冷却され、材料によって異なる所定時間(例えば、オイルパームでは10〜60〔min〕)保持される。なお、このときの固定側の下プレス盤10Bに対する上プレス盤10Aの圧縮力は、加熱圧縮の際の圧力と同じ所定圧力(例えば、20〜50kg/cm2)に保持されたまま、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bが冷却される。
そして、最後に、ステップS50で解圧工程に入り、固定側の下プレス盤10Bに対して上プレス盤10Aを上昇させ、内部空間IS及び位置決め孔18から仕上がり品であるオイルパーム成型体EOが取出され一連の本成型が終了し、圧密化したオイルパーム成型体EOが得られる。
また、図12(a)の他の実施の形態(事例1)に示すように、板状の予備オイルパーム成型体HWを形成しておき、その予備オイルパーム成型体HWを持ち上げる圧密加工してなる図12(b)に示してなる脚JWをオイルパーム成型体製造装置MCで一体に接合して図12(c)のようにオイルパーム成型体EOとしたものである。このとき、予備オイルパーム成型体HWと脚JWとは、その接合面が同一繊維長の方向となるようにして接合すると接合強度を上げることができる。
この実施の形態においても、予備オイルパーム成型体HWを形成するときに圧縮率を20〜80%程度としてもよいし、特定のオイルパーム成型体EOの状態の圧縮率で固定化し、脚JWのみを圧縮率を20〜80%程度として接合してもよい。当然、その逆であってもよい。
この実施の形態においても、予備オイルパーム成型体HWを形成するときに圧縮率を20〜80%程度としてもよいし、特定のオイルパーム成型体EOの状態の圧縮率で固定化し、脚JWのみを圧縮率を20〜80%程度として接合してもよい。当然、その逆であってもよい。
図15の他の実施の形態(事例4)に示すように、板状のオイルパーム成型体EOの上面に、平面部EPと細かな凸部ERを形成しておき、その予備オイルパーム成型体HWを持ち上げる脚JWをオイルパーム成型体製造装置MCで一体に接合したものである。このとき、予備オイルパーム成型体HWと脚JWとは、その接合面が同一繊維長の方向となるようにして接合すると接合強度を上げることができる。
この実施の形態においても、オイルパーム成型体EOを形成するときに予備オイルパーム成型体HWとして圧縮率を20〜80%程度としてもよいし、特定のオイルパーム成型体EOの状態の圧縮率で固定化し、脚JWのみを圧縮率を20〜80%程度として接合してもよい。当然、その逆であってもよい。上面の細かな凸部ERは滑り止めとして機能する
図17の他の実施の形態(事例6)に示すように、所定の厚みのオイルパーム成型体EOが、凹部EQのみで複数層に重ねたオイルパーム薄板Wを一体に保持している。凹部EQ以外の箇所は圧密加工してもよいし、重ね合せた状態を維持してもよい。本実施の形態では家屋の屋根裏、壁の断熱材等に使用が好適の実施の形態となる。
基本的に圧縮前の加圧前多層材NWの厚みに対して、圧縮率20〜80%の圧密加工を行った。供給する水蒸気の温度は、110〜210度に上昇させ、その間に加えた圧縮力は20〜50kg/cm2である。ここで、1.5mmのオイルパーム薄板Wは5枚積層することにより、7.5mmの加圧前多層材NWとなるが、実験室レベルでの所定の圧縮率で圧縮した場合の圧縮誤差及び解圧後の膨張によって数%以下であるが誤差が介在している。
前者と同様に、基本的に圧縮前の加圧前多層材NWの厚みに対して、圧縮率を20〜80%程度とした圧密加工を行ったオイルパーム成型体EOに代わる積層合板を得た。供給する水蒸気の温度は、110℃から210度に上昇させ、その間に加えた圧縮力は20〜50kg/cm2である。
「交差接合状態」の1.5mmと2.0mmのオイルパーム成型体EOとしての積層合板PWでは、0.2〜1.0mmの維管束が交差すると、その独自性の強い維管束の交差位置では、ヘミセルロースがリグニンとセルロースとの結び付きを行っても、所定の温度及び圧縮力で得られる絶対的ヘミセルロース及びリグニン、セルロースの総量が少なく、接合が完全に行われていないと推定される。
積層合板Aは3.0mmのオイルパーム薄板W1,・・・,W4の4枚のオイルパーム薄板Wからなり、そのオイルパーム薄板Wの厚みを3.0mmとしたものである。また、積層合板Bは4枚のオイルパーム薄板Wからなり、そのオイルパーム薄板Wの厚みを2.5mm+3.0mm+3.0mm+2.5mmとしたものである。積層合板Cは3枚のオイルパーム薄板Wからなり、そのオイルパーム薄板Wの厚みを2.5mm+3.0mm+2.5mmとしたものである。積層合板Dは3.0mmの3枚のオイルパーム薄板Wからなり、そのオイルパーム薄板Wの厚みを3.0mm+3.0mm+3.0mmとしたものである。
加圧前多層材NWと積層合板PWの全体の圧縮率は、式
{(加圧前多層材NWの厚み)−(積層合板PWの厚み)}/加圧前多層材NWの厚み
で算出した。
また、積層合板Cでは、30℃の湯につけても30分で積層面が軟化した。即ち、これはヘミセルロースの反応開始温度の60℃以上の問題ではなく、圧縮力の影響が出ていると推定できる。圧縮力を大きくすると積層合板Cの内部の空気がなくなり、緻密な接合が行われるものの、圧縮力が弱いと繊維を潰すことなく形式的な接合が行われているに過ぎないので、そこに湯が入り全体が軟化したものと推定される。当然、積層合板Cは60℃の湯につけても15分で積層面が軟化した。
そして、積層合板Dは、オイルパーム薄板Wの厚みを増加させ、圧縮力を増加させることにより、30℃の湯に45分以下では問題なく接合されており、また、60℃の湯でも15分以下では耐えている。したがって、圧縮力を大きくすることが必要要件であり、圧縮率からいえば60%以上、より好ましくは65%以上の圧縮率が望ましい。特に、70%以上の圧縮率であると安全性が高くなる。また、圧縮率が低い場合には、表面に撥水性のコーティング剤の塗布が望ましい。
また、60℃の湯中にオイルパーム成型体EOが浸漬される条件は、ヘミセルロースがリグニンとセルロースとの結付きを阻害する可能性を確認するものであるが、圧縮率が65%以上であれば、それも現れ難いことを示している。
しかし、圧縮率の境界線が65%程度にあることを意味するものであるから、大量生産する場合には、望ましくは65%以上であり、また、オイルパーム薄板Wの厚みも3.0mm以上、圧密加工した厚さでは1mm以上の厚みが望ましい。
特に、ヘミセルロースはリグニンとセルロースとの結び付ける機能を有しており、オイルパーム幹WDの自然栽培されている状態では、互いにどれだけ干渉し合っているかは不明である。しかし、所定の温度、例えば、リグニンの反応開始温度の80度以上に温度を上げることにより、ヘミセルロースの反応開始温度の60度以上となり、互いに反応し、堅固な特性となることが確認された。
したがって、少なくとも圧密加工した2枚以上のオイルパーム薄板Wに面して配置し、それらを一体に接合したものであるから、オイルパーム薄板Wが含有する樹脂成分及び糖成分が不足した場合には、接合対象に接着剤を追加して貼り合せることにより、所望のオイルパーム成型体EOを製造するものである。よって、オイルパーム薄板Wが含有する樹脂成分及び糖成分が不足した場合に接着剤を使用するものであるから、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用したオイルパーム成型体EOが得られる。
そして、乾燥させたオイルパーム薄板Wを所定の状態に複数枚加圧前多層材NWとして積層する工程は、通常、2枚乃至5枚の単位で積層して使用されるが、原理的には、2枚以上の積層であればよく、これをステップS12、ステップS32の積層工程とすることができる。
特に、オイルパーム薄板Wの枚数よりも少なくすることにより、少なくとも従来の合板に比較して、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑えることができる。
加えて、前記圧縮工程で所定時間圧縮した後、前記加熱工程で供給していた温度を降下させ、オイルパーム成型体EOの圧縮状態を固定化し、所定の圧縮率で圧縮していた圧縮力を解圧するものであり、これをオイルパーム成型体EOから捉えてステップS19、ステップS39、ステップS48の固定化工程とすることができる。
このように、オイルパーム薄板Wを互いに繊維方向を交差させて重ね合わせて積層したものであるから、前記積層されたオイルパーム薄板Wの面に対して直角方向の圧縮力を加えて圧縮しているときには圧縮する金型の形状に応じて成型することができる。したがって、積層されたオイルパーム薄板Wからなる合板自体が所望の形状に成型でき、また、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用した環境にやさしいオイルパーム成型体EOが得られる。
このように、オイルパーム薄板Wを互いに繊維方向を考慮して重ね合わせて積層したものであり、前記積層されたオイルパーム薄板Wの面に対して直角方向の圧縮力を加えて圧縮し、圧縮する金型の形状に応じて成型することができる。また、オイルパーム薄板Wを複数枚重ね合わせるとき、前記複数枚のオイルパーム薄板Wがその繊維方向を1枚または2枚だけ交差するようにするか、全枚数繊維方向が平行するように積層し、その面に対して特定の直角方向にのみ彎曲するようにしたものであるから、所望の彎曲形状に形成できる。したがって、積層されたオイルパーム薄板Wからなる合板自体が所望の形状に成型でき、また、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用した環境にやさしいオイルパーム成型体EOが得られる。
また、上記実施の形態のオイルパーム成型体は、前記所定長のオイルパーム薄板Wに形成した凹部EQまたは凸部ERは、他の平面部EPと同一の厚みに形成したものであるから、積層されたオイルパーム薄板Wの厚みが均一であり、機械的強度も強くなる。また、オイルパーム成型体EOの全体に無理がかからない。
また、前記積層されたオイルパーム薄板Wは、オイルパーム薄板Wの面に対して平行方向に伸びるのを規制しながら、プレス盤10からなる金型の平面部EP及び上に凸部EQを形成する上プレス盤10Aの上型と、平面部EP及び上に凹部ERを形成する下プレス盤10Bの下型とでオイルパーム薄板Wの面に対して直角方向の圧縮力を加えて所定時間圧縮成型するものであるから、前記積層されたオイルパーム薄板Wの面積が拡大されることなく、圧縮成型できるから、所望の立体形状であり、かつ、所望の外径のオイルパーム成型体EOが得られる。特に、金型からは、ステップS16、ステップS36の加熱工程で供給していた温度を降下させて冷却し、固定化させるものであるから、オイルパーム成型体EOが取り出し易い。
したがって、積層されたオイルパーム薄板Wからなる合板自体が所望の形状に成型でき、また、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用した環境にやさしいオイルパーム成型体EOが得られる。
よって、オイルパーム薄板Wが含有する樹脂成分及び糖成分の使用割合を多くし、自然物で接合した多層合板が得られ、使用する材料のロスが少なくコストを抑え、また、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用量を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用した積層合板が得られる。
また、ステップS12、ステップS32の積層工程以降で積層されたオイルパーム薄板Wの温度を加熱工程で上昇させるべく加熱し、圧縮工程で加熱された前記積層されたオイルパーム薄板Wに、オイルパーム薄板Wの面に対して平行方向に延びるのを規制しながら、オイルパーム成型体EOの面に対して直角方向の圧縮力を加えて所定時間圧縮するものであるから、ステップS17、ステップS37の圧縮工程で付与される圧縮力がオイルパーム薄板Wの面に対して平行方向に逃げるという延びが制限され、全ての積層されたオイルパーム薄板Wの圧縮力が有効的に使用され、かつ、オイルパーム薄板Wの外形寸法を均一にすることができ、また、全オイルパーム薄板Wの圧縮率を均一にすることができ、製造中に複数のオイルパーム薄板Wから無駄を出すことがない。
よって、前記オイルパーム薄板Wが含有する樹脂成分及び糖成分を使用し、自然物で接合したオイルパーム成型体EOが得られ、使用する材料のロスが少なくコストを抑え、また、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用した積層合板が得られる。仮に、オイルパーム成型体EOの製造方法のステップS10、ステップS31の薄板工程は、オイルパーム薄板Wを使用するものであるから、少なくとも従来の合板に比較して、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑えることができる。
なお、オイルパーム成型体EOの形態または使用対象によっては、ステップS36の予備加熱工程、ステップS37の予備圧縮工程、ステップS39の予備固定化工程からなる予備成型、ステップS42乃至ステップS49からなる本成型は、ステップS36の予備加熱工程、ステップS37の予備圧縮工程、ステップS39の予備固定化工程を予備成型として1回以上、またはステップS42からステップS49からなる本固定化工程を本成型として1回以上繰り返し実行することができる。
このようにステップS39の予備固定化工程で固定化された前記積層されたオイルパーム薄板Wは、所定の湿度及び温度条件下で、再度、前記積層されたオイルパーム薄板Wの面に沿って平行方向に延びるのを規制しながら、金型の上型と下型とで前記積層されたオイルパーム薄板Wの面に対して直角方向の圧縮力を加えて所定時間圧縮して成型し、前記所定時間圧縮して成型した前記積層されたオイルパーム薄板Wの温度を降下させて冷却し、ステップS48の本成型で恒久的な固定化をさせるものである。
オイルパーム成型体EOのステップS30の薄板工程は、オイルパーム薄板Wを使用するものであるから、少なくとも従来の合板に比較して、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑えることができる。
したがって、積層されたオイルパーム薄板Wからなるオイルパーム成型体EO自体が所望の形状に成型でき、また、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用した環境にやさしいオイルパーム成型体が得られる。
W、W1,・・・,W5 オイルパーム薄板
UWD 連続薄板
NW 加圧前多層材
EO オイルパーム成型体
HW 予備オイルパーム成型体
MC オイルパーム成型体製造装置
IS 内部空間
10 プレス盤
18 位置決め孔
20 枠体
Claims (7)
- 所定長の複数枚積層されたオイルパーム薄板の面に沿って平行方向に伸びるのを規制しながら、前記積層されたオイルパーム薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加え、その後、前記圧縮を維持し、温度を低下させて圧密化してなるオイルパーム成型体において、
前記複数枚のオイルパーム薄板がその面に対して直角方向に彎曲するのを防止するように、前記積層されたオイルパーム薄板を互いに繊維方向を交差させて重ね合わせたことを特徴とするオイルパーム成型体。 - 所定長の複数枚積層されたオイルパーム薄板の面に沿って平行方向に伸びるのを規制しながら、前記積層されたオイルパーム薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加え、その後、前記圧縮を維持し、温度を低下させて圧密化してなるオイルパーム成型体において、
前記複数枚のオイルパーム薄板がその面に対して特定方向の直角方向にのみ彎曲するように、前記積層されたオイルパーム薄板を複数枚重ね合わせたことを特徴とするオイルパーム成型体。 - 前記複数枚積層したオイルパーム薄板には、金型によって平面部、凹部、凸部のいずれか1つ以上を形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオイルパーム成型体。
- 前記複数枚積層したオイルパーム薄板に形成した凹または凸は、他の平面部と同一の厚みに形成したことを特徴とする請求項3に記載のオイルパーム成型体。
- 前記複数枚積層したオイルパーム薄板に形成した表面及び裏面の凹部は、その位置が大きな圧縮力で圧縮され、前記複数枚積層したオイルパーム薄板を当該凹部位置で一体化したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオイルパーム成型体。
- 所定長のオイルパーム幹をその周方向に所定の厚みに剥いて複数枚のオイルパーム薄板に形成する薄板工程と、
前記薄板工程で形成したオイルパーム薄板を乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥工程で乾燥させたオイルパーム薄板を所定の状態に複数枚積層する積層工程と、
前記積層工程で積層されたオイルパーム薄板の温度を上昇させるべく加熱する加熱工程と、
前記加熱工程によって加熱された前記積層されたオイルパーム薄板に、前記オイルパーム薄板の面に対して平行方向に伸びるのを規制しながら、金型の上型と下型とで前記オイルパーム薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加えて所定時間圧縮成型する圧縮工程と、
前記圧縮工程で所定時間圧縮した前記積層されたオイルパーム薄板を、前記加熱工程で供給していた温度を降下させて冷却し、固定化させる固定化工程と
を具備することを特徴とするオイルパーム成型体の製造方法。 - 所定長のオイルパーム幹をその周方向に所定の厚みに剥いて複数枚のオイルパーム薄板に形成する薄板工程と、
前記薄板工程で形成したオイルパーム薄板を乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥工程で乾燥させたオイルパーム薄板を所定の状態に複数枚積層する積層工程と、
前記積層工程で積層されたオイルパーム薄板の温度を上昇させるべく加熱する予備加熱工程と、
前記予備加熱工程によって加熱された前記積層されたオイルパーム薄板に前記オイルパーム薄板の面に沿って平行方向に伸びるのを規制しながら、金型の上型と下型とで前記オイルパーム薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加えて所定時間圧縮成型する予備圧縮工程と、
前記圧縮工程で所定時間圧縮成型した前記積層されたオイルパーム薄板を、前記予備加熱工程で供給していた温度を降下させて固定化させる予備固定化工程と、
前記予備固定化工程で固定化した前記積層されたオイルパーム薄板を所定の湿度及び温度条件下で、前記積層されたオイルパーム薄板の面に沿って平行方向に延びるのを規制しながら、金型の上型と下型とで前記積層されたオイルパーム薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加えて所定時間圧縮成型し、前記所定時間圧縮成型した前記積層されたオイルパーム薄板の温度を降下させて固定化させる本固定化工程と
を具備することを特徴とするオイルパーム成型体の製造方法。
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