JP3930942B2 - 建築用複合板の製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は建築用複合板とその製造方法に関し、特に、配向性ストランドボード(OSB:Oriented Strand Board)、ウェハーボード、フレークボードのような木削片板である基材の片面又は両面に、中質繊維板(MDF:Medium Density Fiberboard)のような木質繊維層あるいは木質チップ層を備えた建築用複合板とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維板やパーティクルボードは比較的小さな木質チップや木質繊維の集積により成形されるので、表面は比較的平坦であり、また、目止剤塗布や研磨により容易に表面を平滑化できるので、その上に直接、薄手の突板等による化粧層を形成しても、該化粧層の表面平滑性が損なわれることはない。そのために、現在、繊維板やパーティクルボードは木質化粧板等の表面層を構成する素材として広く用いられている。
【0003】
一方、配向性ストランドボード、ウェハーボード、フレークボード等のような木削片板は、素材の木削片(ウェハーやストランド)が大きくかつ長尺幅広であるために表面が平坦でなく表面性が悪く、その表面に直接化粧層を形成したも木削片のダクや木削片間の凹凸が該化粧層の表面に出てしまうことから、化粧板等の表面層としては通常用いられない。しかし、前記のような木削片板は繊維板やパーティクルボードと比較して高い強度を持っており化粧板等の基材としては有効に用いられる。その場合に、表面凹凸が大きいことから、目止め材を塗布乾燥させた後、繊維板やパーティクルボード等の表面材を接着積層することが行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば、表面層としての繊維板やパーティクルボードは表面平滑性を向上させることができれば十分であり、そのためには、0.5mm〜1.5mm程度の厚みがあれば十分なことは経験的に知られているが、そのような薄手の繊維板やパーティクルボードはプレス製造技術の面から製造が困難であって市場で容易に入手することはできない。また、例え入手できたとしても高価であり、化粧板等の製造コストを高騰させる。
【0005】
そのために、比較的容易に入手できる厚みが2.7mm〜5.0mm程度の繊維板やパーティクルボードが通常用いられるが、所定厚みの建築用複合板において、厚みの厚い表面材を用いれば、その分だけ基材の厚みは薄くなり、建築用複合板としての強度が低下する。そのために、繊維板やパーティクルボードを表面層に持つ建築用複合板の場合、全体の厚みを一定厚さ以下に薄くすることができないという問題があった。
【0006】
また、基材として木削片板を用いる場合に、目止め材の塗布乾燥処理が必要であり、コストの高騰に繋がっている。
基材として合板を用い、その片面又は両面に中質繊維を接着剤を介して加圧接着するようにした建築板が提案されているが(特開平6−220979号公報)、合板を基材とする建築板は必要な強度を得るのに厚みの厚い合板を必要とするのに加え、基材である合板と中質繊維層との間に層間剥離が生じ易い欠点がある。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、表面層として表面平滑性の高い木質繊維層又は木質チップ層を備えた建築用複合板において、強度低下を招くことなく全体の厚みを薄くすることができ、かつ、製造コストも高騰させない建築用複合板を得ることにある。また、本発明は、表面層である木質繊維層又は木質チップ層の厚みを容易に変更することのできる建築用複合板の製造方法を得ることを目的とする。さらに、本発明は、表面層と基材との剥離強さを向上させた建築用複合板を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明に係る建築用複合板の製造方法は、基本的に、木削片板の片面又は両面にまぶした木質繊維又は木質チップが接着剤を介して熱圧接着されてなることを特徴とする。
本発明において、木削片板とは、配向性ストランドボード、ウェハーボード、フレークボード等のように比較的大きなエレメント(木削片)を接着剤を用いて成板したボードをいい、その表面性状は平滑でなく、そのままでは表面化粧を施せないボードである。また、木質繊維あるいは木質チップは繊維(ファイバー)あるいは繊維に近い細かさにまで細分化された小さなエレメントであり、このような小さなエレメントを接着剤を用いて成板したボードは表面化粧を施すのに支障のない表面平滑性が得られる。
【0009】
本発明によれば、予め成形した繊維板やパーティクルボードを基材である木削片板に接着積層する従来の構成のものに比べて、その製造工程において、木削片板にまぶす木質繊維又は木質チップの厚さを自在に調製することができ、所定の厚みの建築用複合板を得ようとする際に、基材である木削片板の厚みを十分厚いものとすることができる。それにより、従来と同じ厚さでありながら、より強い強度を持つ建築用複合板を容易にかつ低コストで得ることができる。また、同じ程度の強度を持つ建築用複合板を従来よりも薄いものとして得ることができる。
【0010】
さらに、既存の繊維板やパーティクルボードを木削片板に接着積層する構成のものと比べて、接着剤を塗布した木質繊維や木質チップを木削片板の片面又は両面にまぶして熱圧接着する構成であり、熱圧時に、木削片板表面の空隙部や凹凸部に木質繊維や木質チップが侵入し易く、それが投錨効果を奏して両者の積層を強固にする。それにより、基材として合板を用いる場合と比較して、層間剥離が生じることは十分回避される。また、木削片板に目止め処理を行うことも要しない。
【0011】
また、基本的に従来知られた繊維板やパーティクルボードの製造方法を利用して、表面層として任意の厚みの木質繊維層又は木質チップの層を持つ建築用複合板を得ることができ、製造コストの高騰を招かない。
本発明の好ましい態様において、基材として、予め加熱水蒸気処理による寸法安定化処理が施された木削片板を用いる。本発明において、加熱水蒸気処理とは、密閉された空間内に木削片板を収容し、木削片板を加熱してあるいは高圧水蒸気を外部から供給して、あるいは、加熱と共に高圧水蒸気を外部から供給して、収容した木削片板そのものが有する水分を高圧水蒸気化し、その状態で木削片板を該密閉空間内に一定時間放置する処理をいい、この処理を行うことにより、木削片板の寸法安定性は大きく向上し、水分の吸放出による膨潤や収縮が抑制された高い寸法安定性を持つ木削片板が得られる。なお、前記加熱水蒸気処理の基本的態様については、特開平6−238616号公報、特開平8−108406号公報等に詳細に記載されている。
【0012】
本発明の好ましい態様において、前記木削片板に加熱水蒸気処理による寸法安定化処理を行うに際して、木削片板を収容した密閉空間内を予め減圧状態とし、そこに高圧水蒸気を外部から供給するようにしてもよい。この場合には、木削片板の内部にまで均一な寸法安定化処理が短時間で施される利点がある。
【0013】
また、本発明の好ましい態様において、木削片板に対する加熱水蒸気処理による寸法安定化処理と同時に、木削片板の片面又は両面に木質繊維層又は木質チップ層を形成するようにされる。すなわち、該密閉された空間内に、基材としての木削片板と、該木削片板の片面又は両面に接着剤を塗布した木質繊維又は木質チップとを配置した後、必要に応じて密封空間内に高圧水蒸気を外部から供給して、収容した木削片板そのものが有する水分を高圧水蒸気化し、木削片板に高圧水蒸気による寸法安定化処理を施すと同時に、木質繊維又は木質チップを木削片板に熱圧接着するようにする。この処理方法では、一回の工程で、基材の寸法安定化処理と表面への木質繊維層又は木質チップ層の形成を行うことができ、短時間での処理が可能となる。
【0014】
本発明で用いる前記密封空間は、従来知られたオートクレーブによる密封空間であってもよいが、好ましくは、上下プレス盤の間に形成した密封空間、又は上下プレス盤の間に配置あるいは形成した密閉された耐圧容器による密閉空間であることは、処理のし易さから推奨される。
【0015】
配向性ストランドボード、ウェハーボード、フレークボード等のような木削片板は、合板等と比較して寸法安定性が悪い、すなちわ、水分の吸放出による寸法変化率が大きいものであるが、本発明によれば、前記のように加熱水蒸気処理により寸法安定性を向上させた木削片板を基材として用いることにより、強い強度を持ち、層間剥離もなく、かつ、寸法安定性が高く反りや狂いが生じることの少ない建築用複合板を低コストで得ることができる。同時に、表面層として木質繊維層又は木質チップ層が形成されることで、表面平滑性の高い建築用複合板を得ることができ、表面化粧処理に支承をきたすこともない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、プレス装置を用いて本発明による建築用複合板を製造する態様を説明するものであり、図1aは、基材である木削片板の片面に木質繊維層又は木質チップ層を形成する場合を説明しており、図1bは、両面に木質繊維層又は木質チップ層を形成する場合を説明している。また、図1cは、片面に木質繊維層又は木質チップ層を形成した建築用複合板を示す断面図であり、図1dは、両面に木質繊維層又は木質チップ層を形成した建築用複合板を示す断面図である。
【0017】
図において、Wは基材である木削片板の一例としての配向性ストランドボードであって、例えば、ストランドの繊維方向を交互に直交させた状態で積層した3層構造のものであり、厚さ9.5mm程度である。用いる木削片板はこれに限ることなく、従来知られた所望の態様のものを、得ようする建築用複合板に求められる強度や寸法等に応じて、適宜用いることができる。
【0018】
前記配向性ストランドボードWの片面(図1a)又は両面(図1b)に、木質繊維層又は木質チップ層を形成する材料の一例である中質繊維bを、スプレー等によって接着剤を塗布した状態でまぶす。つまり、片面の場合には、配向性ストランドボードWの下方であってプレス基板cの上に、両面の場合には、さらに配向性ストランドボードWの上面であって上プレスdとの間に、中質繊維bをその成型時の厚さが例えば0.5mm〜3.0mm程度の厚さになるような厚さで敷きつめる。かかる中質繊維bは前記のように木材等の繊維その他植物繊維をパルプ化したもので、短い繊維は2.0mm〜3.0mm以下の粉状の繊維であり、長い繊維は10.0mm程度のものである。そして、太さは0.05mm〜0.15mm、平均0.1mm程度である。
【0019】
接着剤としては、尿素、メラミン、フェノール、エポキシ系樹脂のような水性熱硬化性樹脂が使用される。そして、プレス圧は、好ましくは30kg/cm2 程度とし、ブレス時間は約1分〜5分、平均2分〜3分程度であり、厚さが増すほど時間を長くする。なお、このプレス条件は、従来の中質繊維板の製造条件と同じであってよい。熱圧後、解圧することにより、図1c及び図1dに示すような、基材である配向性ストランドボードWの片面あるいは両面に中質繊維層b1 を形成した建築用複合板Aが得られる。
【0020】
このようにして、配向性ストランドボードWの片面又は両面にまぶされた中質繊維bは接着剤を介して熱圧接着されて中質繊維層b1 形成するので、予め熱圧成形した中質繊維板を配向性ストランドボードWに積層するものと比べて、配向性ストランドボードWの片面又は両面にまぶす中質繊維bの厚さを自在に調整が可能となり、中質繊維層b1 を備えた建築用複合板Aの厚さの変更を容易に行える。
【0021】
しかも、中質繊維bを配向性ストランドボードWの表裏面にまぶして接着剤を介して熱圧成形する構成であり、中質繊維層b1 が配向性ストランドボードWの表面あるいは裏面の空隙部や凹凸部に侵入し、それが投錨効果を奏して両者の積層を強固にする。それにより、基材として合板を用いる場合と比較して、配向性ストランドボードWと中質繊維層b1 との間の接着強度は大きく向上し、層間剥離が生じることは回避される。また、表面層としての中質繊維層b1 は高い表面平滑性を有しており、配向性ストランドボードWに目止め処理を行うことは要しない。
【0022】
一例として、仕上がり厚さが12.0mmの建築用複合板の場合で、片面に中質繊維bを熱圧成形する場合は、中質繊維層b1 が0.5mm〜1.0mm、基材としての配向性ストランドボードWが11.0mmであり、仕上がり厚さが12.0mmの場合で、両面に中質繊維bを熱圧成形する場合は、両側の中質繊維層b1 が0.5mm〜1.0mm、配向性ストランドボードWが10.0mmである。すなわち、仕上がり厚さが12.0mmの建築用複合板を得ようとする場合、基材として11.0mmあるいは10.0mmの厚さの配向性ストランドボードWを用いることができ、十分な強度が得られる。
【0023】
また、仕上がり厚さが15.0mmの場合で、片面に中質繊維bを熱圧成形する場合は、中質繊維層b1 が0.5mm〜1.0mm、配向性ストランドボードWは14.0mmであり、仕上がり厚さが15.0mmの場合で、両面に中質繊維bを熱圧成形する場合は、両側の中質繊維層b1 が0.5mm〜1.0mm、配向性ストランドボードWが13.0mmである。すなわち、仕上がり厚さの増加分(15.0mm−12.0mm=3.0mm)だけ、基材としての配向性ストランドボードの厚みを増すことができ、十分な強度を持つ建築用複合板が得られる。
【0024】
次に、基材としての配向性ストランドボードに加熱水蒸気処理により寸法安定化処理を施す場合について、図2を参照しながら説明する。図において、1a、1bは、従来の木材処理で用いられる平板プレスに装着されると同様のプレス盤(熱盤)であり、プレス盤の平面積は処理しようとする配向性ストランドボードWの平面寸法に合わせて設計すればよい。
【0025】
それぞれに熱源としてのヒータ2a、2bが設けられ、さらに図示の例では、配向性ストランドボードWと衝接することとなる表面部分には多数の細孔3a、3bが形成されている。上方のプレス盤1aに形成された細孔3aは配管4a及び開閉弁Vを介して高圧水蒸気発生源Sに接続しており、下方のプレス盤1bに形成された細孔3bは配管4bを介して真空ポンプVPに接続している。真空ポンプに変えてブロアー(図1には示されない)を用いてもよい。
【0026】
この装置を用いて配向性ストランドボードWに加熱水蒸気処理を実施するには、先ず、自然乾燥状態にある配向性ストランドボードW、あるいは、好ましくは従来知られた熱風ドライヤー(図示されない)等により加熱されて昇温しかつ自然乾燥状態よりも含水率が低くされた配向性ストランドボードWを、下方のプレス盤1bの該細孔3bが形成されている位置に載置する。一方、上方のプレス盤1aには前記配向性ストランドボードWを収容できる位置にステンレス材等からなる方形状の厚さ規制治具10をネジ止め(図示されない)等により固定する。なお、11は厚さ規制治具10の上縁端及び下端縁に取り付けた弾性シール材である。この厚さ規制治具10は下方のプレス盤1bに固定的に取り付けてもよく、いずれの場合であっても、厚さ規制治具10の高さは、配向性ストランドボードWの厚さとほぼ等しいか、幾分厚いものとする。また、メッシュの小さい網状体、例えば金網(図示しない)を配向性ストランドボードWの上下面に配置して加熱水蒸気処理を行うことも可能であり、その場合には、高圧水蒸気供与の分散化が大いに期待でき、短時間での処理が可能となる。
【0027】
次に、プレス盤1a、1bを該厚さ規制治具10により規制されるまで接近させ、停止させる。その状態で高圧水蒸気発生源S側の配管4aに設けた開閉弁Vを開き、プレス盤1aに形成した細孔3aから高圧水蒸気を噴出させる。必要に応じて、真空ポンプVP(又は、ブロアー)を作動させて、下方のプレス盤1bに形成した細孔3bから真空引きを行なう。予め真空引きをして減圧状態とした後で、真空ポンプVPを停止させ、高圧水蒸気の噴出を行ってもよい。細孔3aから配向性ストランドボードWに向けてあるいは密封空間に向けて噴出する水蒸気は、噴出力に加えて吸引力による力を受け、木質材の配向性ストランドボードWの内部にまで容易にかつ均一に到達することができる。さらに、真空引きが行なわれていることから、外部に高圧水蒸気が漏洩することはなく、高圧水蒸気の無駄を無くすと共に周囲の安全も補償される。
【0028】
所望量の高圧水蒸気の噴出を終えた後、あるいは、真空引きと高圧水蒸気の供給を並行して行う場合には、真空ポンプVP(又は、ブロアー)を停止し、解圧及び冷却工程を行なうことにより、配向性ストランドボードWに対する加熱水蒸気処理は終了し、配向性ストランドボードWには高い寸法安定性が付与される。なお、熱源としてのヒータ2a、2bにより、配向性ストランドボードWの内部水分を高圧水蒸気化するだけの熱量が与えられる場合には、外部から高圧水蒸気を供給することは必ずしも必要とされない。
【0029】
上記のようにして加熱水蒸気処理を施した配向性ストランドボードWはプレス盤から取り出され、その後、前記図1に基づいて説明したと同様にして、それを基材として用いて建築用複合板Aを製造する。その際に、図2に示したような熱板プレス装置を用いることも可能である。用いられる基材としての配向性ストランドボードWが高い寸法安定性が付与されていることから、製造された建築用複合板Aは高い寸法安定性を有し、経時的に反りや狂いが生じることはない。製造された建築用複合板Aの表面若しくは表裏面に適宜化粧層(例えば、上塗り塗装を施した化粧単板層)を設けてもよく、また、該裏面に防湿層(例えば、樹脂含浸紙やクラフト紙の層)を設けてもよい。
【0030】
他の実施形態として、基材としての木削片板(例えば、配向性ストランドボードWの)片面あるいは両面に木質繊維又は木質チップ(例えば、中質繊維b)を接着剤と共にまぶしたものを用意し、それを、図2に示したような熱板プレスのプレス盤1a、1bの間に配置して、プレス盤を接近させて密封空間を形成した後、高圧水蒸気の供与による木削片板の寸法安定化処理と木質繊維又は木質チップの熱圧成形とを同時に行うようにしてもよい。この態様では、高圧水蒸気の供与による木削片板の寸法安定化処理と木質繊維層又は木質チップ層の熱圧成形処理が同時に進行するので、処理時間の短縮が可能となる。プレス盤1aの上に接着剤を混和した木質繊維又は木質チップの層を形成し、その上に既存の木削片板を配置し、さらに必要に応じてその上に木質繊維又は木質チップの層を形成した状態で、プレス盤の接近による密封空間の形成、及び、高圧水蒸気の供与と熱圧成形とを同時に行うようにしてもよい。
【0031】
なお、前記したプレス盤1a、1bはヒータ2a、2bを持つものを説明したが、熱源としては、他に、バンドヒーター等の電気的加熱手段、マイクロウェーブを含む高周波加熱、等であってもよい。この場合に、好ましくは、該熱源によって予め昇温状態とされた密封空間に木削片板を収容することも可能である。昇温温度は、好ましくは高圧水蒸気による寸法安定化処理が進行する温度範囲、すなわち、約150℃〜220℃の範囲である。処理すべき木削片板を収容後、必要に応じて密封空間内に供給する高圧水蒸気は、飽和水蒸気又は過熱水蒸気(飽和水蒸気より高い温度の水蒸気)であり、好ましくは、圧力は数kgf/cm2 〜30kgf/cm2 、温度は150℃〜230℃程度である。
なお、上記した高圧水蒸気による寸法安定化処理方法は、前記した特開平6−238616号公報、特開平8−108406号公報等に記載されるような従来公知の方法を適宜用いればよい。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、基材である木削片板にまぶす木質繊維層又は木質チップ層の厚さは自在に調製でき、従来と同じ厚さでありながら、より強い強度を持つ建築用複合板を低コストで得ることができる。また、同時に、基材のみでは達しえなかった表面平滑化が可能となる。さらに、熱圧時に、従来の合板基材に比べて、木削片板表面の空隙部や凹凸部に木質繊維や木質チップが侵入し易く、それが投錨効果を奏することから、木削片板と木質繊維層又は木質チップ層との間の接着強度は大きく向上し、層間剥離が生じることは十分回避される。
【0033】
基材として予め加熱水蒸気処理を施した木削片板を用いる場合には、上記の効果に加えて、水分の吸放出による膨潤や収縮が抑制された高い寸法安定性を持つ建築用複合板が得られる。また、加熱水蒸気処理と熱圧成形とを同時処理する場合には、上記効果に加えて、処理時間の一層の短縮が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による建材用複合板を説明する図。
【図2】基材としての木削片板に加熱水蒸気処理を施す装置及び方法の一例を説明する図。
【符号の説明】
A…建築用複合板、a…基材としての配向性ストランドボード、b…中質繊維、b1 …中質繊維層、c…プレス基板、d…上プレス
Claims (2)
- 密閉された空間内に、木削片板と、該木削片板の片面又は両面に接着剤を塗布した木質繊維又は木質チップとを配置する工程、
該密閉された空間内に必要に応じて高圧水蒸気を外部から供給して、収容した木削片板そのものが有する水分を高圧水蒸気化して木削片板に加熱水蒸気処理による寸法安定化処理を施すと同時に、木質繊維又は木質チップを木削片板に熱圧接着する工程、
とを有することを特徴とする建築用複合板の製造方法。 - 密閉された空間が、上下プレス盤の間に形成した密封された空間、又は上下プレス盤の間に形成した密閉された耐圧容器による密閉された空間であることを特徴とする請求項1記載の建築用複合板の製造方法。
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