JPH07294731A - 粘着剤層を有する偏光板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】高温または高温高湿条件下でも耐久性の良好な
偏光板を得る。 【構成】偏光フィルム層、保護層及び粘着剤層を、この
順に有する偏光板において、粘着剤層が２層にわけら
れ、保護層側の粘着剤のゲル分率が他方側の粘着剤のゲ
ル分率より小さいことを特徴とする偏光板。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は偏光フィルムを被覆する
保護層に粘着剤層が設けられた偏光板の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】偏光性フィルム、例えば偏光性が付与さ
れたポリビニルアルコ−ルフィルム等、の両面にセルロ
−ス系フィルム、例えば三酢酸セルロ−スフィルム、の
保護層で被覆された偏光板を液晶セル面へ適用する場
合、該保護層の表面に粘着剤層を設けた偏光板を使用す
ることが通常である。この偏光板の粘着剤層を２層にす
ることは知られていない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記粘着剤としては、
その優れた接着性、透明性等のためにアクリル系樹脂か
らなるものが多用されているが、高温または高温高湿条
件下にさらされると偏光板を貼付したガラス板にソリが
生じたり、偏光板を２枚使用した（特に直交）時、光漏
れをおこす等の問題を生じる。このような問題は粘着剤
層の保持力を低下させると低減されるが、粘着剤層に発
泡や剥離現象がおきたりする等の問題が生じてくる。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討の結果、粘着剤層を２層にし、その
１層目のゲル分率を２層目のゲル分率より小さくするこ
とにより、その目的が達成できることを見い出した。即
ち本発明は、（１）偏光フィルム層、保護層及び粘着剤
層を、この順に有する偏光板において、粘着剤層が２層
にわけられ、保護層側の粘着剤のゲル分率が他方側の粘
着剤のゲル分率より小さいことを特徴とする偏光板、
（２）保護層側の粘着剤と他方側の粘着剤がいずれもア
クリル樹脂系の粘着剤である（１）の偏光板、（３）保
護層側の粘着剤のゲル分率が７０重量％以下であり、他
方側の粘着剤のゲル分率が６０重量％以上である（１）
又は（２）の偏光板、に関するものである。

【０００５】本発明においては、粘着剤層が２層になっ
ており、保護層側の粘着剤のゲル分率が他方側の粘着剤
のゲル分率より小さいことが必要である。この保護層側
の粘着剤はソフトセグメント、他方側の粘着剤はハード
セグメントとも言いうる。ソフトセグメントのゲル分率
は、ソリや光漏れの観点から、好ましくは７０重量％以
下、より好ましくは１０〜６０重量％、さらに好ましく
は２０〜５５重量％程度である。ハードセグメントのゲ
ル分率は、発泡や剥離の観点から、好ましくは６０重量
％以上、より好ましくは７０重量％以上、さらに好まし
くは８０〜９５重量％程度である。

【０００６】本発明の粘着剤層に使用する粘着剤は、透
明性の点から、ソフトセグメント、ハードセグメントの
いずれもアクリル樹脂系の粘着剤が好ましい。アクリル
樹脂は、アクリル酸系アルキルエステルを主成分とし
て、これに極性単量体成分を共重合させたものである。
極性単量体成分の共重合割合は、アクリル酸系アルキル
エステル成分１００重量部あたり、好ましくは０．１〜
２０重量部、より好ましくは０．５〜１５重量部、さら
に好ましくは１〜１０重量％程度が一般的である。

【０００７】アクリル酸系アルキルエステルとしては、
（メタ）アクリル酸メチル、（メタ）アクリル酸エチ
ル、（メタ）アクリル酸ブロピル、（メタ）アクリル酸
ブチル、（メタ）アクリル酸ペンチル、（メタ）アクリ
ル酸ヘキシル、（メタ）アクリル酸ヘプチル、（メタ）
アクリル酸オクチル、（メタ）アクリル酸ノニル、（メ
タ）アクリル酸デシル、（メタ）アクリル酸ウンデシ
ル、（メタ）アクリル酸ドデシル等の、アルキル基の炭
素数が１〜１２程度であるアクリル酸アルキルエステル
ないしメタクリル酸アルキルエステルなどが挙げられ
る。これらは、必要に応じ、２種以上併用してもよい。

【０００８】極性単量体としては、後記する架橋剤との
架橋点などとして機能するものが用いられる。その種類
について特に限定はないが、一般には水酸基やカルボン
酸基を有するものが好ましく、例えばアクリル酸、メタ
クリル酸等のカルボキシル基含有アクリル酸系単量体、
（メタ）アクリル酸２−ヒドロキシエチル、（メタ）ア
クリル酸２−ヒドロキシプロピル等のヒドロキシル基含
有（メタ）アクリル酸エステル系単量体、Ｎ，Ｎ−ジメ
チルアミノエチルアクリレ−ト、Ｎ−ｔ−ブチルアミノ
エチルアクリレ−ト等のアミノ基含有（メタ）アクリル
酸系単量体の如きアクリル酸系の極性単量体、マレイン
酸などが挙げられる。これらは、必要に応じ、２種以上
併用してもよい。

【０００９】粘着剤は架橋剤を配合してアクリル樹脂を
架橋しうる組成で用いられる。架橋剤には適宜なものを
用いてよい。一般には例えば、ヘキサメチレンジイソシ
アネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチ
ロールプロパン付加物等の脂肪族系ジイソシアネ−ト、
トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート
のトリメチロールプロパン付加物等の芳香族系ジイソシ
アネ−トの如きポリイソシアネ−ト化合物、ブチルエ−
テル化スチロ−ルメラミン、トリメチロ−ルメラミンの
如きメラミン化合物、ヘキサメチレンジアミン、トリエ
チルジアミン等のジアミン系化合物、ビスフェノールＡ
・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂やポリエチレン
グリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ樹脂系化
合物、尿素樹脂系化合物、塩化アルミニウム、塩化第二
鉄、硫酸アルミニウム、酢酸銅等の金属塩などが用いら
れる。架橋剤の配合量は通例アクリル樹脂１００量部あ
たり０．００１〜１０重量部、好ましくは０．００５〜
５重量部、さらに好ましくは０．０１〜３重量部程度で
ある。

【００１０】粘着剤層に使用する粘着剤のゲル分率の調
節は、例えば架橋剤の配合量を制御する方式などにより
行うことができる。この架橋剤の配合量はアクリル系樹
脂の極性単量体成分の種類、共重合割合、架橋剤の種
類、製造条件等により異なる。具体例で説明すると、重
量平均分子量１５０万のアクリル樹脂（ｎ−ブチルアク
リレート／アクリル酸／２−ヒドロキシエチルアクリレ
−ト＝９４．５重量％／５重量％／０．５重量％）をト
リレンジイソシアネートのトリメチロ−ルプロパン付加
物（前者３モルに対し後者を１モル付加させたもの）で
架橋する場合、架橋剤をアクリル系樹脂１００量部あた
り０．２〜１０重量部配合すればゲル分率７０重量％を
越える粘着剤が得られる。架橋剤の配合量を上記量より
少なくするとゲル分率７０重量％以下の粘着剤が得られ
る。又、重量平均分子量１５０万のアクリル樹脂（ｎ−
ブチルアクリレート／アクリル酸＝９５．０重量％／５
重量％）をトリレンジイソシアネートのトリメチロ−ル
プロパン付加物（前者３モルに対し後者を１モル付加さ
せたもの）で架橋する場合、架橋剤をアクリル系樹脂１
００量部あたり２．０〜１０重量部配合すればゲル分率
７０重量％を越える粘着剤が得られ、架橋剤の配合量を
上記量より少なくするとゲル分率７０重量％以下の粘着
剤が得られる。

【００１１】アクリル樹脂系粘着剤の組成、分子量は特
に限定されるものではないが、ソフトセグメント層（１
層目）に使用されるアクリル樹脂系粘着剤の重量平均分
子量は、ソリや光漏れの観点から、１００万以下が好ま
しい。また、ハードセグメント層（２層目）に使用され
るアクリル系樹脂粘着剤の重量平均分子量は、耐熱性や
密着性の観点から、７０万〜１５０万が好ましい。

【００１２】本発明の偏光板は主としてポリビニルアル
コ−ル系偏光板フィルムを基材とし、これに保護層を設
け、次いで粘着剤層及び剥離フィルムを付加することに
より得られる。粘着剤層及び剥離フィルムを付加する方
法としては、剥離フィルムの上にハードセグメント層を
設けその上にソフトセグメント層を設け、さらにその上
に偏光フィルムを貼り合わせる方法、あるいは逆に偏光
フィルムの上にソフトセグメント層を設けその上にハー
ドセグメント層を設け、さらにその上に剥離フィルムを
貼り合わせる方法が通常取られる。粘着剤層の厚さは、
１層目、２層目ともそれぞれ好ましくは５〜１００μ
ｍ、さらに好ましくは１０〜５０μｍ程度である。

【００１３】

【実施例】以下、配合例、実施例、比較例を挙げて本発
明を更に具体的に説明する。なお、ゲル分率は、粘着剤
１ｇをメチルエチルケトン１００ｇ中で４日間浸漬した
後取り出し、１１０℃で２時間乾燥処理したものの重量
を測定し、浸漬前後における重量変化から次の計算式に
より算出される。 ゲル分率＝（浸漬後の重量）／（浸漬前の重量）＊１０
０ （重量％）

【００１４】配合例１ 重量平均分子量７０万のアクリル樹脂（樹脂成分：ｎ−
ブチルアクリレ−ト／メチルアクリレ−ト／２−ヒドロ
キシエチルアクリレ−ト＝８０重量％／１８重量％／２
重量％の共重合物）１００重量部にトリレンジイソシア
ネ−ト（３モル）のトリメチロ−ルプロパン（１モル）
付加物０．３重量部を添加して粘着剤組成物を得た。該
粘着剤組成物を剥離フィルムにコ−タ−で乾燥後の厚さ
が２５μとなるように塗布し、１００℃で３分間乾燥さ
せて粘着剤（Ａ）を得た。粘着剤（Ａ）のゲル分率は３
０重量％であった。

【００１５】配合例２ 重量平均分子量１５０万のアクリル系樹脂（樹脂成分：
ｎ−ブチルアクリレ−ト／アクリル酸／２−ヒドロキシ
エチルアクリレ−ト＝９４．５重量％／５重量％／０．
５重量％の共重合物）１００重量部にトリレンジイソシ
アネ−ト（３モル）のトリメチロ−ルプロパン（１モ
ル）付加物１．０重量部、γ−グリシドキシプロピルメ
トキシシラン０．５重量部を添加して粘着剤組成物を得
た。実施例１と同様にして塗布乾燥し、粘着剤（Ｂ）を
得た。粘着剤（Ｂ）のゲル分率は９０重量％であった。

【００１６】実施例１ 膜厚２５μのポリビニルアルコ−ル偏光フィルム（平均
重合度１７００平均ケン化度９９．５モル％、４倍延
伸）の両側を厚さ８０μのトリアセチルセルロ−スフィ
ルムで積層した偏光板を作成し、この片面にまず粘着剤
（Ａ）を次いで粘着剤（Ｂ）を積層し、ロ−ラ−で押圧
して粘着剤層を有する偏光板を作成した。該粘着剤層を
有する偏光板をガラス板に貼り合わせ耐久性試験（９０
℃／５００時間、６０℃９０％ＲＨ／５００時間放置）
を行った。結果を表１に示す。

【００１７】比較例１〜３ 粘着剤（Ａ）１層のみ、粘着剤（Ｂ）１層のみ、１層目
を粘着剤（Ｂ）２層目を粘着剤（Ａ）にした以外は実施
例１と同様にして粘着剤層を有する偏光板を作成した。
同例と同様にして測定した物性値を表１に合わせて示
す。

【００１８】なお、耐久性試験の評価方法は次のとおり
である。実施例１及び比較例１〜３の、粘着剤層を有す
る偏光板を、吸収軸を４５度とし１２０＊９０ｍｍのサ
イズにカットし、その粘着面にサイズ２００＊１００ｍ
ｍ、厚さ１．１ｍｍのガラス板を気泡が入らないように
ラミネーターで張り合わせて試験片とした。この試験片
をガラススタンドに立て、９０℃の恒温試験機あるいは
６０℃９０％ＲＨの恒温恒湿試験機に５００時間放置し
た後、下記の評価を行った。 剥離状態：剥離による外観の変化を肉眼で観察した。 発泡状態：剥離による外観の変化を肉眼で観察した。 ガラスのそり：ガラスの外観の変化を肉眼で観察した。 光漏れ：上記試験片をクロスニコル状態とし、図１に示
す測定位置（Ａ、Ｂ）での透過率を測定し、明度指数比
で評価した。

【００１９】評価基準は次のとおりである。 剥離状態 評価 ０．５ｍｍ未満の剥離 ◎ ０．５〜１．０ｍｍの剥離 △ １．０ｍｍを越える剥離 × 発泡状態 直径２０μｍ以上の気泡が認められない ◎ 直径２０〜４０ミクロンの気泡が少数認められる △ 直径２０〜４０ミクロンの気泡が多数認められる × ガラスのそり ガラスのそりが０．５ｍｍ未満 ◎ ガラスのそりが０．５〜１．０ｍｍ △ ガラスのそりが１．０ｍｍを越える × 光漏れ 明度指数比（Ｌ_B ／Ｌ_A ）が１．５未満 ◎ 明度指数比が１．５〜２．０ △ 明度指数比が２．０を越える ×

【００２０】

【表１】

【００２１】

【発明の効果】本発明の偏光板は高温、高温高湿状態で
ガラスのそり、光漏れ、粘着剤の剥離や発泡をおこさな
い。かかる特性を利用して液晶表示体の用途に用いら
れ、特に車両用途、各種工業計器類、家庭用電化製品の
表示等に有用である。

【図面の簡単な説明】

図１は透過率の測定位置Ａ、Ｂを示す。ここで、矢印は
偏光板の吸収軸を表す。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】偏光フィルム層、保護層及び粘着剤層を、
   この順に有する偏光板において、粘着剤層が２層にわけ
   られ、保護層側の粘着剤のゲル分率が他方側の粘着剤の
   ゲル分率より小さいことを特徴とする偏光板。
2. 【請求項２】保護層側の粘着剤と他方側の粘着剤がいず
   れもアクリル樹脂系の粘着剤である請求項１の偏光板。
3. 【請求項３】保護層側の粘着剤のゲル分率が７０重量％
   以下であり、他方側の粘着剤のゲル分率が６０重量％以
   上である請求項１又は２の偏光板。