JPH07292230A - 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び人工大理石成形体の製造方法 - Google Patents

不飽和ポリエステル樹脂組成物及び人工大理石成形体の製造方法

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JPH07292230A
JPH07292230A JP10909694A JP10909694A JPH07292230A JP H07292230 A JPH07292230 A JP H07292230A JP 10909694 A JP10909694 A JP 10909694A JP 10909694 A JP10909694 A JP 10909694A JP H07292230 A JPH07292230 A JP H07292230A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形クラックの無い、透明性に優れ、更に機
械強度に優れた人工大理石成形品を製造することができ
る不飽和ポリエステル樹脂組成物、及びその組成物から
の人工大理石成形品を製造する。 【構成】 不飽和ポリエステル樹脂(イ)100重量
部、無機質充填材(ロ)50〜400重量部、硬化剤
(ハ)0.5〜3重量部、低収縮剤である単官能性ビニ
ル系単量体と多官能性ビニル系単量体とペルオキシ結合
供与体より形成され、0.01〜1%の全活性酸素量を
有し、1.50〜1.58の屈折率を有するペルオキシ
結合含有ビニル系三次元共重合体(ニ)を3〜30重量
部を主成分とする不飽和ポリエステル樹脂組成物、及び
その組成物を加熱成形せしめる人工大理石の成形品を製
造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は新規な不飽和ポリエス
テル樹脂組成物、より詳しくはクラックが無く、透明性
に優れ、更に機械強度に優れた人工大理石成形体を製造
することができる不飽和ポリエステル樹脂組成物、及び
同組成物を加熱成形して人工大理石成形体を製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】不飽和ポリエステル樹脂をベースとした
人工大理石製品は、急速に市場に広まってきており、な
かでも透明感の高いタイプに人気が集中している。しか
し不飽和ポリエステル樹脂は硬化時に大きな収縮を起こ
すため、寸法安定性に欠け、成形品にクラックや反りを
生じ易いという欠点を持っている。そのため従来からこ
の欠点を解決する手段として様々な方法が検討されてい
る。
【0003】例えば特開昭63−56555号公報にお
いて、低収縮剤として三次元スチレンポリマーを含有す
る不飽和ポリエステル樹脂成形材料を加熱成形すること
により、クラックのない半透明の人工大理石を製造する
方法が開示されている。又特開平4−363313号公
報において、低収縮剤としてエチレン性不飽和二重結合
を有する反応性架橋樹脂微粒子を含有する不飽和ポリエ
ステル樹脂成形材料を加熱成形することにより、透明
性、耐久性、寸法安定性に優れた人工大理石の成形品を
得ることができるとしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、特開昭63
−56555号公報においては、硬化樹脂と低収縮剤の
屈折率が近似していないこと、又硬化樹脂と低収縮剤の
間で界面剥離を起こすことから、透明性の高い成形品を
得ることが困難であった。更に特開平4−363313
号公報においては、用いられる低収縮剤には製造工程が
多く、工業レベルで安価に生産することが困難であっ
た。
【0005】従って、加熱成形時のクラックが発生する
ことが無く、透明性に優れ、更に機械強度に優れた人工
大理石成形品を容易に得ることができる不飽和ポリエス
テル樹脂組成物が実用的に要求されている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の要
求に応じる不飽和ポリエステル樹脂組成物を開発する目
的で鋭意検討した結果、低収縮剤として特定範囲の全活
性酸素量を有し特定の組成を有するペルオキシ結合を含
有し、特定範囲の屈折率を有するビニル系三次元共重合
体を配合した不飽和ポリエステル樹脂組成物が前記目的
を達成することを見出してこの発明を完成するに至っ
た。
【0007】即ち、本発明は不飽和ポリエステル樹脂
(イ)100重量部、無機質充填材(ロ)50〜400
重量部、硬化剤(ハ)0.5〜3重量部、低収縮剤とし
て単官能性ビニル系単量体と多官能性ビニル系単量体と
ペルオキシ結合供与体より形成され、0.01〜1%の
全活性酸素量を有し、1.50〜1.58の屈折率を有
するペルオキシ結合含有ビニル系三次元共重合体(ニ)
3〜30重量部を主成分とする不飽和ポリエステル樹脂
組成物及び前述の不飽和ポリエステル樹脂組成物を加熱
成形して人工大理石成形体を製造する方法に関する。
【0008】先ず本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成
物の各成分について説明する。不飽和ポリエステル樹脂
(イ)とは、不飽和二塩基酸40〜100モル%と、飽
和二塩基酸60〜0モル%を酸成分とし、多価アルコー
ルと重縮合反応を行って得られた不飽和ポリエステル
(I)を、該不飽和ポリエステル(I)と共重合可能な
エチレン性不飽和単量体(II)で希釈したものであ
る。上記不飽和二塩基酸としては、例えば無水マレイン
酸、マレイン酸、又はフマル酸等を挙げることができ、
上記飽和二塩基酸としては、例えばイソフタル酸、オル
ソフタル酸、又は無水フタル酸等を挙げることができ、
コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等を併用してもよ
い。上記多価アルコールとしては、例えばエチレングリ
コール、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネ
オペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,
6−ヘキサンジオール、水素添加ビスフェノールA等を
挙げることができる。又該エチレン性不飽和単量体(I
I)としては、一般にはスチレンが用いられるが、その
他α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、アクリル
酸及びアルキルエステル等を挙げることができ、これら
は一種又は二種以上より選択される。これらの該不飽和
ポリエステル(I)と該エチレン性不飽和単量体(I
I)の好ましい配合割合は、該不飽和ポリエステル
(I)20〜70重量%と該エチレン性不飽和単量体
(II)80〜30重量%の範囲である。該不飽和ポリ
エステル(I)と該エチレン性不飽和単量体(II)の
配合量で、該不飽和ポリエステル(I)が20重量%未
満で、該エチレン性不飽和単量体(II)が80重量%
を越える場合には、組成物を加熱成形した場合成形品の
収縮が大きく、クラックが入り易く、該不飽和ポリエス
テル(I)が70重量%を越え、該エチレン性不飽和単
量体(II)が30重量%未満の場合には、不飽和ポリ
エステル樹脂(イ)の粘度が高いため、必然的に不飽和
ポリエステル樹脂組成物の粘度も高くなり、作業性が悪
化する傾向にある。
【0009】この無機質充填材(ロ)は、一般的なもの
がいずれも使用可能であるが、硬化後の樹脂の屈折率と
の近似、価格、成形品の外観及び耐煮沸性を考慮する
と、シランカップリング剤で処理されたホウケイ酸ガラ
ス粉末又は水酸化アルミニウムが最も好ましい。該ガラ
ス粉末としては、例えば日本フェロー(株)製の「フェ
ローフィラーM−50S」又は「フェローフィラーM−
60S」等を挙げることができ、該水酸化アルミニウム
としては、昭和電工(株)製の「ハイジライトH−10
0」又は「ハイジライトH−320」等を挙げることが
でき、これらは一種又は二種以上より選択される。無機
質充填材(ロ)の配合量は、不飽和ポリエステル樹脂
(イ)100重量部に対して50〜400重量部の範囲
で、好ましくは100〜300重量部の範囲である。配
合量が50重量部未満の場合には、成形時にクラックが
入り易く、400重量部を越える場合には、不飽和ポリ
エステル樹脂組成物の粘度が高くなり作業性が悪化する
と共に成形品の機械強度が弱くなる。
【0010】硬化剤(ハ)としては、例えばアゾビスイ
ソブチロニトリル等のアゾビス系化合物、メチルエチル
ケトンペルオキシド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキ
シル)ペルオキシジカーボネート、ラウロイルペルオキ
シド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト、ベンゾイルペルオキシド、1,1−ビス−(t−ブ
チルペルオキシ)3,5,5−トリメチルシクロヘキサ
ン、1,1−ビス−(t−ヘキシルペルオキシ)3,
5,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルペルオ
キシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシ
ベンゾエート、ジクミルペルオキシド、クメンヒドロペ
ルオキシド等の有機過酸化物等、不飽和ポリエステル樹
脂の硬化剤として一般に用いられているものを挙げるこ
とができる。硬化剤の配合は、不飽和ポリエステル樹脂
(イ)100重量部に対して、0.5〜3重量部の範囲
である。配合量が0.5重量部未満の場合には、不飽和
ポリエステル樹脂組成物が完全に硬化せず、3重量部を
越える場合には、硬化速度が速過ぎて成形品にクラック
が入り易くなる。
【0011】ペルオキシ結合含有ビニル系三次元共重合
体(ニ)は、単官能性ビニル系単量体と架橋剤である多
官能性ビニル系単量体とペルオキシ結合供与体より形成
される。ビニル系三次元共重合体中にペルオキシ結合を
導入する方法は特に限定されることはなく、ペルオキシ
結合が該三次元共重合体にペンダントしていても、該三
次元共重合体の主鎖中に組み込まれていても、末端に結
合していても良い。以下にビニル系三次元共重合体中に
ペルオキシ結合を導入する一般的な三種類の方法につい
て説明する。
【0012】第一の方法は、ペルオキシ結合供与体とし
てペルオキシ結合含有ビニル系単量体を共重合させてビ
ニル系三次元共重合体と生成させる方法で、この方法で
はペルオキシ結合が該三次元共重合体にペンダントした
形で導入される。ここで用いるペルオキシ結合含有ビニ
ル系単量体としては、例えばt−ブチルペルオキシメタ
クリロイロキシエチルカーボネート、t−アミルペルオ
キシメタクロイロキシエチルカーボネート、t−ヘキシ
ルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート、
t−ブチルペルオキシアリルカーボネート、t−アミル
ペルオキシアリルカーボネート、t−ヘキシルペルオキ
シアリルカーボネート、t−ブチルペルオキシアリルオ
キシエチルカーボネート、t−アミルペルオキシアリル
オキシエチルカーボネート、t−ヘキシルペルオキシア
リルオキシエチルカーボネート、t−ブチルペルオキシ
エチルフマレート、t−アミルペルオキシエチルフマレ
ート、t−ヘキシルペルオキシエチルフマレート、t−
ブチルペルオキシイソプロピルフマレート、t−アミル
ペルオキシイソプロピルフマレート、t−ヘキシルペル
オキシイソプロピルフマレート、t−ブチルペルオキシ
シクロヘキシルフマレート、t−アミルペルオキシシク
ロヘキシルフマレート、t−ヘキシルペルオキシシクロ
ヘキシルフマレート、t−ブチルペルオキシクロトネー
ト、t−アミルペルオキシクロトネート等を挙げること
ができ、これらは一種又は二種以上より選択される。
【0013】第二の方法は、一分子中に二個以上のペル
オキシ結合を有するポリメリックペルオキシドをペルオ
キシ結合供与体として用いるものであり、該ポリメリッ
クペルオキシド中のペルオキシ結合の一部を開裂させて
ビニル系三次元共重合体を生成させ、該三次元共重合体
中に該ポリメリックペルオキシド中のペルオキシ結合を
残存させる形で導入するものである。ここで用いる該ポ
リメリックペルオキシドとしては、例えば次式(化1)
及び(化2)で示されるものが代表的であるが、その他
のポリメリックペルオキシドであっても良い。
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
【0016】上記ポリメリックペルオキシドは、ペルオ
キシ結合含有ビニル系三次元共重合体生成のための重合
時の重合温度等を考慮して、一種又は二種以上より選択
される。
【0017】第三の方法は、特開平5−194621号
公報及び特開平5−213863号公報に開示されたペ
ルオキシケタールをペルオキシ結合供与体として用いて
ビニル系三次元共重合体の重合を行うもので、該ペルオ
キシケタールの熱分解により新たに生成するペルオキシ
エステル結合を該三次元共重合体の分子末端に導入する
ものである。該ペルオキシケタールとしては、例えば、
1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−2−メチルシクロ
ヘキサン、1,1−ジ−t−アミルペルオキシ−2−メ
チルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ヘキシルペルオ
キシ−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−オ
クチルペルオキシ−2−メチルシクロヘキサン、1,1
−ジ−t−ブチルペルオキシ−2−プロピルシクロヘキ
サン、1,1−ジ−t−アミルペルオキシ−2−プロピ
ルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ヘキシルペルオキ
シ−2−プロピルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−オ
クチルペルオキシ−2−プロピルシクロヘキサン、1,
1−ジ−t−ブチルペルオキシ−2−イソプロピルシク
ロヘキサン、1,1−ジ−t−アミルペルオキシ−2−
イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ヘキシ
ルペルオキシ−2−イソプロピルシクロヘキサン、1,
1−ジ−t−オクチルペルオキシ−2−イソプロピルシ
クロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−2
−ブチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−アミルペル
オキシ−2−ブチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−
ヘキシルペルオキシ−2−ブチルシクロヘキサン、1,
1−ジ−t−オクチルペルオキシ−2−ブチルシクロヘ
キサン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−2−イソ
ブチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−アミルペルオ
キシ−2−イソブチルシクロヘキサン、、1,1−ジ−
t−ヘキシルペルオキシ−2−イソブチルシクロヘキサ
ン、1,1−ジ−t−オクチルペルオキシ−2−イソブ
チルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキ
シ−2−メチルシクロペンタン、1,1−ジ−t−ブチ
ルペルオキシ−2−プロピルシクロペンタン等が挙げら
れ、ペルオキシ結合含有ビニル系三次元共重合体の重合
時の重合温度等を考慮して、これらは一種又は二種以上
より選択される。
【0018】前記ペルオキシ結合含有ビニル系三次元共
重合体の全活性酸素量は0.01%〜1%である。全活
性酸素量が0.01%未満では、該三次元共重合体に反
応点が十分に存在しないため、人工大理石成形体を製造
した時に硬化後の樹脂と該三次元共重合体の間で界面剥
離が起こり、成形品の透明性が低下したり、機械強度が
低下し、又1%を越えると硬化が不均一で進行し成形品
にクラックが入り易くなる。尚ここで言う全活性酸素量
とは、該三次元共重合体のペルオキシ結合が分解する際
に発生する遊離ラジカルの数量を示す指針となる値であ
る。
【0019】前記のペルオキシ結合含有ビニル系三次元
共重合体の製造に使用される単官能性ビニル系単量体と
しては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、t−ブ
チルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸
ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)ア
クリル酸、フマル酸(ジ)メチル、フマル酸(ジ)エチ
ル、フマル酸(ジ)イソプロピル、フマル酸(ジ)ブチ
ル、フマル酸(ジ)シクロヘキシル等のフマル酸モノエ
ステル又はフマル酸ジエステル類、酢酸ビニル、プロピ
オン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類を挙げ
ることができ、これらは一種又は二種以上より選択され
る。
【0020】前記ペルオキシ結合含有ビニル系三次元共
重合体の製造に使用される多官能性ビニル系単量体とし
ては、例えばジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の
ジビニルベンゼン誘導体、エチレングリコールジメタク
リレート、エチレングリコールジアクリレート等のアル
キレングリコールジ(メタ)アクリレート誘導体、トリ
メチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタク
リレート、フタル酸ジアリル、アクリル酸ビニル、クロ
トン酸ビニル等の一分子中に重合可能な二重結合が二つ
以上存在するものを挙げることができ、これらは一種又
は二種以上より選択される。
【0021】上記ペルオキシ結合含有ビニル系三次元共
重合体の製造に用いられる多官能性ビニル系単量体は、
該三次元共重合体の架橋密度が好ましくは0.01〜1
0%、更に好ましくは0.1〜5%になるように使用さ
れる。架橋密度が0.01%未満の場合には、不飽和ポ
リエステル樹脂の構成成分であるエチレン性不飽和単量
体に対するペルオキシ結合含有ビニル系三次元共重合体
の溶解度が増し膨潤し難くなるため、得られる成形品に
クラックが入り易くなる傾向がある。又架橋密度が10
%を越える場合には、該三次元共重合体がエチレン性不
飽和単量体で膨潤し難くなるため、収縮防止能が低下し
て成形品にクラックが入り易くなる傾向にある。尚ここ
で言う架橋密度とは、架橋剤として最も一般的に用いら
れているジビニルベンゼンの添加部数を基準にしてお
り、以下に示した(数1)より求めることができる。
【数1】 a:単官能性ビニル系単量体100重量部に対する多官
能性ビニル系単量体の添加部数 b:多官能性ビニル系単量体の分子量 c:多官能性ビニル系単量体中の単官能性ビニル系単量
体と共重合可能なエチレン性不飽和結合の数
【0022】ペルオキシ結合含有ビニル系三次元共重合
体を形成する単官能性ビニル系単量体、多官能性ビニル
系単量体及びペルオキシ結合供与体の種類と割合は、該
三次元共重合体の屈折率(nD )が1.50〜1.58
の範囲になるように選択される。屈折率が1.50未満
でも、1.58を越えて大きくなっても硬化後の樹脂成
分や充填材との屈折率の差が大きくなり、成形品の透明
性が低下する。
【0023】ペルオキシ結合含有ビニル系三次元重合体
の平均粒子径は好ましくは1〜100μmの範囲、より
好ましくは10〜75μmの範囲である。平均粒子径が
1μm未満の場合は、粉立ちのために作業性が悪くな
り、100μmより大きくなると、成形品の表面性が悪
くなる傾向にある。
【0024】ペルオキシ結合含有ビニル系三次元共重合
体の製造方法としては、ラジカル重合開始剤を用いる懸
濁重合法、乳化重合法、塊状重合法等の任意の重合法を
挙げることができるが、工業的には懸濁重合法が最も好
ましい。ペルオキシ結合含有ビニル系三次元共重合体を
得る方法としては既に三つの一般的方法について述べ
た。その第一の方法では、ラジカル重合開始剤としてベ
ンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−
ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t
−ブチルペルオキシド、アセチルペルオキシド、t−ブ
チルペルオキシベンゾエート、クメンヒドロペルオキシ
ド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、ア
ゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾビス化合物、過
硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウ
ム、過酸化水素等の無機過酸化物等を挙げることがで
き、これらは一種又は二種以上より選択される。ラジカ
ル重合開始剤の選択としては、例示したような10時間
半減期温度が50〜130℃のものが好ましく、その使
用量は三次元共重合体を構成する単量体の全成分に対し
て0.1〜5重量%であることが好ましい。更に前述の
ように第二の方法ではポリメリックペルオキシドを、第
三の方法ではペルオキシケタールを用いているが、これ
らの場合、第一方法で用いるラジカル重合開始剤を併用
しても良い。その使用量は三次元共重合体を構成する単
量体の全成分に対して0.1〜30重量%であることが
好ましい。尚ここで言う有機過酸化物の10時間半減期
温度とは、ラジカルに対して比較的不活性な溶媒(例え
ばベンゼン)中で該有機過酸化物の熱分解を行った場合
の、10時間で該有機過酸化物の活性酸素量が半分にな
る温度を意味し、所望する重合温度に適した重合開始剤
を選択するときの目安になるものである。
【0025】又重合に際して懸濁剤を用いてもよい。懸
濁剤としては、部分ケン化ポリビニルアルコール、ポリ
アクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、
カルボキシメチルセルロース等の親水性有機高分子、第
三リン酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等
の難溶性無機塩が一般に用いられているが、これらに限
定されるものではない。又難溶性無機塩を使用する場合
には、陰イオン界面活性剤を併用することが好ましい。
陰イオン界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼン
スルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウ
ム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルス
ルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの懸濁剤
及び陰イオン界面活性剤の種類と使用量は、目的とする
ペルオキシ結合含有ビニル系三次元共重合体の粒子径に
よって適宜選択できる。ペルオキシ結合含有ビニル系三
次元共重合体の平均粒子径の調整は、懸濁剤及び陰イオ
ン界面活性剤の種類と使用量の選択や生成した三次元共
重合体の機械的手段による粉砕等により行うことができ
る。
【0026】本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物を
製造する場合には、ペルオキシ結合含有ビニル系三次元
共重合体を該組成物中に均一に分散且つ膨潤させること
が必要である。このためには不飽和ポリエステル樹脂等
の組成物構成成分に該三次元共重合体を直接配合して充
分に混合攪拌しても良いし、予め該三次元共重合体をス
チレン等の不飽和ポリエステルと共重合可能なエチレン
性不飽和単量体で充分に膨潤させてゲル状にしたものを
配合しても良い。
【0027】本発明の組成物中のペルオキシ結合含有ビ
ニル系三次元共重合体(ニ)の配合量は、不飽和ポリエ
ステル樹脂(イ)100重量に対して3〜30重量部の
範囲であり、好ましくは5〜15重量部の範囲である。
配合量が3重量部未満の場合には、収縮防止能が低下し
て、成形品にクラックが入り易くなり、又30重量部を
越える場合には、該組成物の粘度が高くなり、作業性が
悪くなる。
【0028】次に本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成
物より人工大理石成形体を製造する方法について説明す
る。この方法においては、通常の注型法、圧縮成形法、
射出成形法、トランスファー成形法、インジェクション
成形法、押出成形法等のいずれも使用できる。成形温度
は60〜150℃の範囲が好ましい。成形温度が60℃
未満の場合には、成形に長時間を要するため生産性が悪
化し、成形温度が150℃を越える場合には、成形品に
焼けやふくれ等の外観不良を起こす傾向にある。
【0029】本発明の樹脂組成物にナフテン酸コバル
ト、オクテン酸コバルト等の金属石鹸類、ジメチルベン
ジルアンモニウムクロライド等の四級アンモニウム塩、
アセチルアセトン等のβ−ジケトン類、ジメチルアニリ
ン、N−エチルメタトルイジン、トリエタノールアミン
等のアミン類を硬化促進剤として併用することができ
る。硬化剤及び硬化促進剤は一種又は二種以上より、所
望する成形温度や成形時間によって適宜選択される。本
発明の樹脂組成物を成形する際、硬化速度、最高発熱温
度或いは成形物の物性等を調節する目的で、通常使用さ
れている禁止剤及び調節剤を使用することができる。禁
止剤としては、例えばハイドロキノン、1,4−ベンゾ
キノン、1,4−ナフトキノン等のキノン類、ピロガノ
ール、4,6−ジフェニルピロガノール等のピロガノー
ル類、カテコール、4−t−ブチルカテコール等のカテ
コール類等を挙げることができる。又調節剤としては、
最高発熱温度を高くさせるアスコルビン酸、最高発熱温
度を低くさせるα−メチルスチレンダイマー等が挙げら
れる。この発明の成形方法に使用することのできる禁止
剤及び調節剤の使用量は、必要に応じて適宜選択される
が、通常不飽和ポリエステル樹脂(イ)100重量部に
対して0〜10重量部が好ましい。
【0030】この発明の成形方法において、成形圧力は
型の材質によって選択されるが、通常無加圧から140
kg/cm2 までの範囲が好ましい。不飽和ポリエステ
ル樹脂組成物に有機又は無機の染料もしくは顔料を添加
しておくと、この樹脂組成物を加熱成形して得られた人
工大理石は着色され、且つ表面に紋様を生じさせること
ができる。更に樹脂組成物中に増粘剤として酸化マグネ
シウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化
カルシウム等のアルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物
を配合することができ、内部離型剤としてステアリン
酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等を配
合することができ、強化材としてガラス繊維、炭素繊維
等の無機繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ビニ
ロン繊維等の有機繊維を配合することができる。
【0031】
【作用】この発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物の構
成成分であるペルオキシ結合含有ビニル系三次元共重合
体は、不飽和ポリエステル樹脂中のエチレン性不飽和単
量体を吸油して膨潤するため収縮防止効果を発揮してク
ラックの発生を抑えることができる。又成形中に該三次
元共重合体中のペルオキシ結合が熱分解を起こしてラジ
カルを発生し、そのラジカルが不飽和ポリエステル樹脂
と反応して化学的な結合を形成することで硬化樹脂と該
三次元共重合体の間の界面剥離を無くすることができ、
透明性に優れ、更に機械強度に優れた成形品が得られ
る。更に該三次元共重合体が硬化樹脂に近似した特定範
囲の屈折率を有しているため、成形品の光線透過性に優
れる。
【0032】
【発明の効果】本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物
からは、クラックの発生が無い、透明性と機械強度に優
れた人工大理石成形体を効率よく得ることができ、工業
上有用である。
【0033】
【実施例】次にこの発明を参考例、実施例、比較例によ
り更に具体的に説明する。尚これらの例において、部又
は%は特に断らない限り、夫々重量部及び重量%を表
す。又各例中の各測定項目は以下の方法に従って行っ
た。
【0034】(1)全活性酸素量 ペルオキシ結合含有ビニル系三次元共重合体(試料)を
0.2g精秤し、300ml容量の梨型フラスコに入れ
た。これにベンゼン20mlを加え、マグネチックスタ
ーラーを用いて30分攪拌した。これにイソプロピルア
ルコール20mlと氷酢酸2mlと飽和ヨウ化カリウム
2mlを加え、3分間煮沸した。これをN/100チオ
硫酸ナトリウム溶液にてヨードの色が消えるまで滴定
し、(数2)により全活性酸素量を測定した。
【数2】 A:N/100チオ硫酸ナトリウム溶液の滴下量(m
l) F:N/100チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター S:試料(g) (2)屈折率 屈折率(nD )が1.4〜1.8までの液体を種々揃
え、これに試料を入れて顕微鏡で観察した。液体と試料
の屈折率が一致すると境界線が見えなくなるので、液体
の屈折率から試料の屈折率を求めた。 (3)平均粒子径 レーザー回折式粒度分析計(日機装(株)製マイクロト
ラックFRA)により試料の平均粒子径を測定した。
【0035】(4)成形収縮率 樹脂組成物を金型(200mm×200mm×8mm、
平板状)内で硬化させ、その成形品を用いて(数3)に
より成形収縮率を測定した。
【数3】 (5)成形クラック 成形品(150mm×80mm×200mm、厚さ10
mm、浴槽状)のクラックの発生の有無を目視で判定し
た。 (6)全光線透過率 JIS−K7105(プラスチックの光学的特性試験方
法)に準じて、東洋精機製作所(株)製の直読ヘイズメ
ーターを用いて成形品(厚さ8mm)の全光線透過率を
測定した。 (7)曲げ強さ JIS−K6911(熱硬化性プラスチック一般試験方
法)に準じて、成形品を別途作成し、曲げ強さを測定し
た。 (8)表面光沢 JIS−K7105(プラスチックの光学的特性試験方
法)に準じて、東洋精機製作所(株)製のグロスメータ
ーを用いて成形品の表面光沢(60度鏡面光沢度)を測
定した。
【0036】〔ペルオキシ結合含有ビニル系三次元共重
合体の製造〕 (参考例 1)温度計、窒素導入管、攪拌機及びコンデ
ンサーを備えたガラス製反応器に水400部、部分ケン
化ポリビニールアルコール(日本合成化学工業(株)
製、商品名:ゴーセノールGH−20)の1%水溶液1
00部、ヒドロキシアパタイト10%水溶液(日本化学
工業(株)製、商品名スーパータイト10)20部を仕
込んだ。次に純度75%のベンゾイルペルオキシド(日
本油脂(株)製、商品名:ナイパーBW、以下BPOと
略記する)0.4部をスチレン(以下Stと略記する)
60部、メタクリル酸メチル(以下MMAと略記する)
40部、t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチ
ルカーボネート(以下MECと略記する)5部、ジビニ
ルベンゼン(以下DVBと略記する)0.2部からなる
混合液に溶解し、これを前記反応器に仕込んだ。反応器
内に窒素を導入しながら、攪拌下80℃で5.5時間重
合を行い、続いて90℃で0.5時間重合を行った。重
合物を室温まで冷却した後、5%塩酸水溶液で洗浄し、
続いて水で洗浄を行い、濾別し、真空乾燥を行い、白色
粉末状のペルオキシ結合含有ビニル系三次元共重合体9
3部を得た。原材料組成、重合体収率、重合体特性を表
1に示した。
【0037】(参考例 2〜13)原材料であるSt、
MMA、メタクリル酸(以下MAAと略記する)、アク
リル酸ブチル(以下BAと略記する)、フマル酸ジイソ
プロピル(以下DIPFと略記する)、MEC、DVB
及びトリメチロールプロパントリメタクリレート(以下
TMPTMAと略記する)の仕込み量を変更した以外は
参考例1と同様にしてペルオキシ結合含有ビニル系三次
元共重合体を得た。原材料組成、重合体特性を表1に示
した。
【0038】
【表1】
【0039】(参考例 14)温度計、窒素導入管、攪
拌機及びコンデンサーを備えたガラス製反応器に水40
0部、部分ケン化ポリビニールアルコール(日本合成化
学工業(株)製、商品名:ゴーセノールGH−20)の
1%水溶液100部、ヒドロキシアパタイト10%水溶
液(日本化学工業(株)製、商品名:スーパータイト1
0)20部を仕込んだ。次に(化1)に記載したポリメ
リックペルオキシド(以下ATと略記する)7部を前記
水溶液中に投入して室温下で1時間攪拌し分散させた
後、St60部、MMA40部及びDVB0.2部から
なる混合液を前記反応器に仕込んだ。反応器内に窒素を
導入しながら、攪拌下70℃で4.2時間重合を行っ
た。重合物を室温まで冷却した後、5%塩酸水溶液で洗
浄し、続いて水で洗浄を行い、濾別し、真空乾燥を行
い、白色粉末状のペルオキシ結合含有ビニル系三次元共
重合体92部を得た。原材料組成、重合体特性を表2に
示した。
【0040】(参考例 15)ペルオキシ結合供与体と
して(化2)に記載したポリメリックペルオキシド(以
下AZと略記する)4部を用いた以外は参考例14と同
様にしてペルオキシ結合含有ビニル系三次元共重合体を
得た。原材料組成、重合体特性を表2に示した。
【0041】(参考例 16)温度計、窒素導入管、攪
拌機及びコンデンサーを備えたガラス製反応器に水40
0部、部分ケン化ポリビニールアルコール(日本合成化
学工業(株)製、商品名:ゴーセノールGH−20)の
1%水溶液100部、ヒドロキシアパタイト10%水溶
液(日本化学工業(株)製、商品名:スーパータイト1
0)20部を仕込んだ。次にSt60部、MMA40
部、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−2−メチルシ
クロヘキサン(日本油脂(株)製、商品名:パーへキサ
MC、以下MCと略記する)4部及びDVB0.2部か
らなる混合液を前記反応器に仕込んだ。反応器内に窒素
を導入しながら、攪拌下80℃で4.8時間重合を行
い、続いて90℃で0.5時間重合を行った。重合物を
室温まで冷却した後、5%塩酸水溶液で洗浄し、続いて
水で洗浄を行い、濾別し、真空乾燥を行い、白色粉末状
のペルオキシ結合含有ビニル系三次元共重合体93部を
得た。原材料組成、重合体特性を表2に示した。
【0042】(参考例 17及び18)St、MMA、
MAA、BA、DIPF、MEC、DVB及びTMPT
MAの仕込み量を表2に示したように変更した以外は参
考例1と同様にしてペルオキシ結合含有ビニル系三次元
共重合体を得た。原材料組成、重合体特性を表2に示し
た。尚この参考例17及び18は、全活性酸素量がこの
発明の請求範囲から逸脱しているものである。
【0043】(参考例 19及び20)St、MMA、
MAA、BA、DIPF、AT、DVB及びTMPTM
Aの仕込み量を表2に示したように変更した以外は参考
例14と同様にしてペルオキシ結合含有ビニル系三次元
共重合体を得た。原材料組成、重合体特性を表2に示し
た。尚この参考例19及び20は、全活性酸素量がこの
発明の請求範囲から逸脱しているものである。
【0044】(参考例 21及び22)St、MMA、
MAA、BA、DIPF、MC、DVB及びTMPTM
Aの仕込み量を表2に示したように変更した以外は参考
例16と同様にしてペルオキシ結合含有ビニル系三次元
共重合体を得た。原材料組成、重合体特性を表2に示し
た。尚この参考例21及び22は、全活性酸素量がこの
発明の請求範囲から逸脱しているものである。
【0045】(参考例 23及び24)St、MMA、
MAA、BA、DIPF、MEC、DVB及びTMPT
MAの仕込み量を表2に示したように変更した以外は参
考例1と同様にしてペルオキシ結合含有ビニル系三次元
共重合体を得た。原材料組成、重合体特性を表2に示し
た。尚この参考例23及び24は、屈折率がこの発明の
請求範囲から逸脱しているものである。
【0046】
【表2】
【0047】(参考例 25)ポリスチレン(三菱化成
(株)製、商品名:ダイヤレックスHF−77)を固形
分が30%になるようにStに溶解して、ポリスチレン
のスチレン溶液を得た。
【0048】(参考例 26)特公昭51−1276号
公報の実施例1記載の方法に従って、St100部、D
VB1部より平均粒子径が28μmの三次元スチレンポ
リマーを得た。
【0049】(実施例 1)不飽和ポリエステル樹脂
(武田薬品工業(株)製、商品名:ポリマール9305
Z、固形分52%、不飽和ポリエステル52重量%、エ
チレン性不飽和単量体48重量%、表3〜5中には不飽
和ポリエステル樹脂(A)と記載した)100部、無機
質充填材としてホウケイ酸ガラス粉末(日本フェロー
(株)製、商品名:フェローフィラーM−50S)25
0部、硬化剤としてt−ブチルペルオキシベンゾエート
(日本油脂(株)製、商品名:パーブチルZ、表3〜5
中には硬化剤(A)と記載した)1部、低収縮剤として
参考例1記載のペルオキシ結合含有ビニル系三次元共重
合体10部、増粘剤として酸化マグネシウム(協和化学
工業(株)製、商品名:キョーワマグ40)1部、内部
離型剤としてステアリン酸亜鉛(日本油脂(株)製、商
品名:ジンクステアレート)3部、強化材として3mm
長のガラス繊維(日本板硝子(株)製、商品名:チョッ
プドストランド)10部を混合機で充分混練した。これ
をポリエチレンフィルムで包み、40℃の雰囲気下に2
4時間放置し、表3に示す本発明の不飽和ポリエステル
樹脂組成物を得た。次に該組成物を夫々予熱された金型
にチャージし、成形温度140℃、成形圧力100kg
/cm2 で5分間加熱加圧成形し、200mm×200
mm×8mmの平板状と、200mm×200mm×4
mmの平板状と、150mm×80mm×200mm、
厚さ10mmの浴槽状の人工大理石の成形品を得た。次
いでこの成形品について各種評価を行い、その結果を表
3に示した。
【0050】(実施例 2〜23)参考例1〜16で得
たペルオキシ結合含有ビニル系三次元共重合体を用い
て、参考例1に準じて表3及び4に記載した配合組成の
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物を調製した。次
に該組成物を用いて人工大理石成形品を得た。この成形
品について各種評価を行い、その結果を表3及び4に示
した。尚実施例11は、無機質充填材として水酸化アル
ミニウム(昭和電工(株)製、商品名:ハイジライトH
−320)を用いたものである。
【0051】(実施例 24)不飽和ポリエステル樹脂
(日本ユピカ(株)製、商品名:ユピカ6424、固形
分54%、不飽和ポリエステル54重量%、エチレン製
不飽和単量体46重量%、表3〜5中には不飽和ポリエ
ステル樹脂(B)と記載した)100部、無機質充填材
としてホウケイ酸ガラス粉末(日本フェロー(株)製、
商品名:フェローフィラーM−50S)200部、硬化
剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオ
キシジカーボネート(日本油脂(株)製、商品名:パー
ロイルTCP)0.5部と、t−ヘキシルペルオキシ−
2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製、商品
名:パーヘキシルO)0.5部(この二種類の硬化剤の
組み合わせを表3〜5中には硬化剤(B)と記載し、そ
の配合量は0.5部と0.5部の和を採り1部と記し
た)、参考例14記載のペルオキシ結合含有ビニル系三
次元共重合体5部を混合機で充分混練し、本発明の不飽
和ポリエステル樹脂組成物を得た。次に該組成物を夫々
予熱された金型に注入し、成形温度80℃、無加圧で加
熱成形を行い、200mm×200mm×8mmの平板
状と、200mm×200mm×4mmの平板状と、1
50mm×80mm×200mm、厚さ10mmの浴槽
状の人工大理石の成形品を得た。次いでこの成形品につ
いて各種評価を行い、その結果を表4に示した。
【0052】(実施例 25〜27)低収縮剤として参
考例14及び15で得られたこの発明におけるペルオキ
シ結合含有ビニル系三次元共重合体を用いて、実施例2
4に準じて表4に記載した配合組成の本発明の不飽和ポ
リエステル樹脂組成物を調整した。次に該組成物を用い
て人工大理石成形品を得た。この成形品について各種評
価を行い、その結果を表4に示した。
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】(実施例 28)実施例1〜23で用いら
れている不飽和ポリエステル樹脂(A)の固形分を20
%(不飽和ポリエステル20重量%、エチレン製不飽和
単量体80重量%)としたものに、参考例1で得られた
ペルオキシ結合含有ビニル系三次元共重合体を低収縮剤
として用いて、実施例1に準じて本発明の不飽和ポリエ
ステル樹脂組成物を調整した。次に該組成物を用いて人
工大理石成形品を製造した。この成形品について各種評
価を行った結果は、実施例1で得られた人工大理石と同
等の、成形クラックが無く、透明性が高く、更に機械強
度が高い成形品が得られた。
【0056】(実施例 29)不飽和ポリエステル樹脂
(A)の固形分を70%(不飽和ポリエステル70重量
%、エチレン製不飽和単量体30重量%)としたもの
に、参考例1で得られたペルオキシ結合含有ビニル系三
次元共重合体を低収縮剤として用いて、実施例1に準じ
て本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物を調整した。
次に該組成物を用いて人工大理石成形品を製造した。こ
の成形品について各種評価を行った結果は、実施例1で
得られた人工大理石と同等の、成形クラックが無く、透
明性が高く、更に機械強度が高い成形品が得られた。
【0057】(比較例 1〜10)参考例17〜24で
得られた物性が本発明外であるペルオキシ結合含有ビニ
ル系三次元共重合体、参考例25で得られたポリスチレ
ンのスチレン溶液と、参考例26で得られた三次元スチ
レンポリマーを比較用低収縮剤として用い、実施例1に
準じて表5に記載した配合組成に従って人工大理石用不
飽和ポリエステル樹脂組成物を調整し、該組成物を用い
て人工大理石成形品を製造した。これを用いて各種評価
を行い、その結果を表5に示した。
【0058】(比較例 11〜14)参考例19及び2
0で得られた物性が本発明外であるペルオキシ結合含有
ビニル系三次元共重合体、参考例25で得られたポリス
チレンのスチレン溶液と、参考例26で得られた三次元
スチレンポリマーを比較用低収縮剤として用い、実施例
24に準じて表5に記載した配合組成に従って人工大理
石用不飽和ポリエステル樹脂組成物を調整し、該組成物
を用いて人工大理石成形品を製造した。これを用いて各
種評価を行い、その結果を表5に示した。
【0059】
【表5】
【0060】(比較例 15)無機質充填材であるホウ
ケイ酸ガラス粉末(M−50S)の配合量を30部とし
た以外は実施例1と同様にして不飽和ポリエステル樹脂
組成物の調整を行い、該組成物を用いて人工大理石成形
品を製造したところ、得られた三種類の成形品にはいず
れも大きな成形クラックの発生が確認された。 (比較例 16)無機質充填材であるホウケイ酸ガラス
粉末(M−50S)の配合量を500部とした以外は実
施例1と同様にして不飽和ポリエステル樹脂組成物の調
整を行ったところ、該組成物の粘度が高すぎるため作業
性が悪く、該組成物から得られる成形品の曲げ強さも
6.1kgf/mm2 と低かった。 (比較例 17)硬化剤であるt−ブチルペルオキシベ
ンゾエートの配合量を0.1部とした以外は実施例1と
同様にして不飽和ポリエステル樹脂組成物の調整を行
い、該組成物を用いて人工大理石の成形を試みたが、該
組成物が完全硬化するまでに至らなかった。 (比較例 18)硬化剤であるt−ブチルペルオキシベ
ンゾエートの配合量を5.0部とした以外は実施例1と
同様にして不飽和ポリエステル樹脂組成物の調整を行
い、該組成物を用いて人工大理石の成形を試みたが、硬
化速度が速過ぎて成形品にクラックが入った。 (比較例 19)低収縮剤である参考例1記載のペルオ
キシ結合含有ビニル系三次元共重合体の配合量を1部と
した以外は、実施例1と同様にして人工大理石用不飽和
ポリエステル樹脂組成物の調整を行い、該組成物を用い
て人工大理石の成形を試みたが、樹脂の硬化収縮を抑え
ることができず成形品にクラックが入った。 (比較例 20)低収縮剤である参考例1記載のペルオ
キシ結合含有ビニル系三次元共重合体の配合量を40部
とした以外は、実施例1と同様にして不飽和ポリエステ
ル樹脂組成物の調整を試みたが、該組成物の粘度が極め
て高くなり、該組成物の調整ができなかった。
【0061】以上の実施例と比較例と対比すれば、この
発明における単官能性ビニル系単量体と多官能性ビニル
系単量体とペルオキシ結合供与体より形成され、0.0
1〜1%の全活性酸素量を有し、1.50〜1.58の
屈折率を有するペルオキシ結合含有ビニル系三次元共重
合体を配合して得られるこの発明の不飽和ポリエステル
樹脂組成物を用いて加熱成形を行うことにより、成形時
にクラックが発生することなく、透明性が高く、更に機
械強度が高い人工大理石の成形品を得ることができるこ
とは明らかである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 3/00 // C04B 111:54

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和ポリエステル樹脂(イ)100重
    量部、無機質充填材(ロ)50〜400重量部、硬化剤
    (ハ)0.5〜3重量部、低収縮剤である単官能性ビニ
    ル系単量体と多官能性ビニル系単量体とペルオキシ結合
    供与体より形成され、0.01〜1%の全活性酸素量を
    有し、1.50〜1.58の屈折率を有するペルオキシ
    結合含有ビニル系三次元共重合体(ニ)3〜30重量部
    を主成分とする不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の不飽和ポリエステル樹脂
    組成物を加熱成形して人工大理石成形体を製造する方
    法。
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