JPH07291987A - 結晶マルトテトラオシルグルコシドとその製造方法並びに用途 - Google Patents

結晶マルトテトラオシルグルコシドとその製造方法並びに用途

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JPH07291987A
JPH07291987A JP7065268A JP6526895A JPH07291987A JP H07291987 A JPH07291987 A JP H07291987A JP 7065268 A JP7065268 A JP 7065268A JP 6526895 A JP6526895 A JP 6526895A JP H07291987 A JPH07291987 A JP H07291987A
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隆彦 万代
Takashi Shibuya
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Toshiyuki Sugimoto
利行 杉本
Toshio Miyake
俊雄 三宅
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規結晶糖質とその製造方法並びに用途を提
供する。 【構成】 結晶マルトテトラオシルグルコシド、及びマ
ルトテトラオシルグルコシド含有溶液から結晶マルトテ
トラオシルグルコシドを晶出、採取して製造する方法、
並びに結晶マルトテトラオシルグルコシドを含有せしめ
た組成物を主な構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規結晶糖質とその製
造方法並びに用途に関し、詳細には、結晶マルトテトラ
オシルグルコシドとその製造方法、並びに用途に関す
る。
【0002】
【従来の技術】マルトペンタオースは、式:O−α−D
−グルコピラノシル−(1→4)−O−α−D−グルコ
ピラノシル−(1→4)−O−α−D−グルコピラノシ
ル−(1→4)−O−α−D−グルコピラノシル−(1
→4)−D−グルコピラノースで示される五糖類で、水
飴、粉飴などに含まれる甘味糖質として古くから知られ
ている。この糖質は、低甘味、適度な粘度を特徴に、各
種飲料、加工食品、嗜好物などの組成物に利用されてい
る。しかしながら、マルトペンタオースは、還元性糖質
であるため、飲料、加工食品、嗜好物などに含まれる蛋
白質やアミノ酸などと反応して褐変し易く、変質、劣化
を起こし易い欠点がある。
【0003】本発明者等は、この欠点を解消すべく鋭意
研究し、先に、特願平5−349216号明細書で記載
したグルコース重合度3以上の還元性澱粉部分分解物か
ら末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成
する酵素(本明細書においては、本酵素を単に「非還元
性糖質生成酵素」と略称することがある。)を作用させ
ることにより、マルトペンタオースから非還元性のマル
トテトラオシルグルコシドを生成することを見いだし
た。しかしながら、この非還元性糖質マルトテトラオシ
ルグルコシドの粉末は、非晶質で物理的に不安定であっ
て、より安定な結晶の確立が望まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、結晶マルト
テトラオシルグルコシドの確立と、結晶マルトテトラオ
シルグルコシドの製造方法並びにその用途を提供しよう
とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために、鋭意研究を続けてきた。その結果、
高純度マルトペンタオースを比較的高濃度水溶液とし、
これに非還元性糖質生成酵素を加えてマルトペンタオー
スをマルトテトラオシルグルコシドに変換させる反応を
進めている間に、溶液が白濁し、沈澱物を生成する現象
を見いだし、更に、本沈澱物が、意外にも、結晶マルト
テトラオシルグルコシドであることを解明して、新規結
晶マルトテトラオシルグルコシドを確立するとともにそ
の製造方法並びに用途を確立して本発明を完成した。併
せて、結晶マルトテトラオシルグルコシドとして、含水
結晶と無水結晶の存在を解明し、その製造方法並びに用
途を確立して本発明を完成した。
【0006】結晶マルトテトラオシルグルコシドの製造
方法としては、本結晶が製造できる方法であればよく、
通常、マルトテトラオシルグルコシド含有溶液からこれ
を晶出、採取する。望ましくは、マルトテトラオシルグ
ルコシド含有溶液を過飽和溶液とし、このマルトテトラ
オシルグルコシドを晶出、採取するのが好都合である。
マルトテトラオシルグルコシドを調製するには、例えば
マルトペンタオース含有溶液に非還元性糖質生成酵素を
作用させる方法が適している。マルトペンタオース含有
溶液としては、高純度マルトペンタオース含有溶液を用
いることもできるが、一般的には、澱粉、糊化澱粉、液
化澱粉、溶性澱粉、アミロース、アミロペクチン、デキ
ストリンなどの澱粉質にα−アミラーゼ、又はα−アミ
ラーゼとともに澱粉枝切酵素を作用させて得られるマル
トペンタオース含有溶液が用いられる。
【0007】本発明に用いるα−アミラーゼとしては、
マルトペンタオース生成量の比較的高いα−アミラー
ゼ、例えば、バチルス・リケニフォルミス(Bacil
luslicheniformis)由来のα−アミラ
ーゼ(ノボ・ノルディスク・インダストリー社製造、商
品名ターマミール60L)が適している。
【0008】澱粉枝切酵素としては、澱粉質の分枝構造
を切断し、α−アミラーゼと併用して澱粉質からのマル
トペンタオース生成量を高めることのできるものであれ
ばよく、例えば、株式会社林原生物化学研究所が製造し
ている、アエロバクター・アエロゲネス(Aeroba
cter aerogenes)由来のプルラナーゼ
や、シュードモナス・アミロデラモサ(Pseudom
onas amyloderamosa)由来のイソア
ミラーゼなどが適しており、とりわけ、その作用特性か
らイソアミラーゼとの併用が適している。
【0009】澱粉質にα−アミラーゼ又はα−アミラー
ゼとともに澱粉枝切酵素を作用させて得られるマルトペ
ンタオース溶液は、通常、マルトペンタオースを固形物
当たり、20乃至40w/w%(以下、本明細書では、
特にことわらない限り、w/w%を%で示す。)程度含
有しており、必要ならば、夾雑糖質を公知の分離、精製
方法により除去して、この含量を更に高めて利用するこ
とも有利に実施できる。
【0010】本発明に用いる非還元性糖質生成酵素とし
ては、例えば、本発明者等が、先に、特願平5−349
216号明細書で記載したように、既に、茨城県つくば
市東1丁目1番3号にある通商産業省工業技術院生命工
学工業技術研究所、特許微生物寄託センターに寄託して
いるリゾビウム・スピーシーズ(Rhizobiums
p.)M−11(工業技術院微生物工業技術研究所、受
託番号 FERMBP−4130)やアルスロバクター
・スピーシーズ(Arthrobacter sp.)
Q36(工業技術院生命工学工業技術研究所、受託番号
FERMBP−4316)などの微生物、更には、公
知の、例えば、ブレビバクテリウム・ヘロボルム(Br
evibacterium helovolum)AT
CC11822、フラボバクテリウム・アクアティレ
(Flavobacterium aquatile)
IFO3772、ミクロコッカス・ルテウス(Micr
ococcus luteus)IFO3064、ミク
ロコッカス・ロゼウス(Micrococcus ro
seus)ATCC186、クルトバクテリウム・シト
レウム(Curtobacterium citreu
m)IFO15231、マイコバクテリウム・スメグマ
チス(Mycobacterium smegmati
s)ATCC19420、テラバクター・ツメスセンス
(Terrabacter tumescens)IF
O12960などの非還元性糖質生成酵素産生能を有す
る微生物を栄養培地に培養し、この培養物を採取し利用
することもできるが、必要ならば、公知の方法で適宜精
製して利用してもよい。
【0011】このようにして得られる非還元性糖質生成
酵素は、グルコース重合度3以上から選ばれる1種又は
2種以上の還元性澱粉部分分解物から末端にトレハロー
ス構造を有する非還元性糖質を生成する作用を有する。
非還元性糖質生成酵素を作用させる時期は、該酵素がマ
ルトペンタオースに作用し、マルトテトラオシルグルコ
シドに変換できればよく、前述のα−アミラーゼ又はα
−アミラーゼとともに澱粉枝切酵素を作用させた後に作
用させることも、これら酵素とともに作用させることも
随意である。
【0012】これらの酵素反応条件は、目的の酵素反応
が進む限り採用することができるが、一般的には、基質
濃度約1乃至70%、反応温度約10乃至80℃、反応
pHは、約4乃至10、反応時間は、約1乃至100時
間から選ばれる条件から採用される。これら反応に利用
される酵素は、必要に応じて、例えば、担体結合法、架
橋法、包括法などの公知方法により、固定化して、連続
反応に利用することも回分反応で繰り返し利用すること
も随意である。
【0013】また、マルトテトラオシルグルコシドを調
製する上記以外の方法として、糖転移酵素を用いる方法
を採用することも有利に実施できる。例えば、トレハロ
ースと澱粉質との混合物を含有する溶液、又は末端にト
レハロース構造を有する非還元性糖質を含有する溶液に
シクロマルトデキストリン・グルカノトランスフェラー
ゼを作用させてマルトテトラオシルグルコシド含有溶液
を得るか、又は必要ならば、更に、そのシクロマルトデ
キストリン・グルカノトランスフェラーゼを作用させた
後にα−アミラーゼもしくはα−アミラーゼとともに澱
粉枝切酵素を作用させて、そのマルトテトラオシルグル
コシド含量を高めることも有利に実施できる。
【0014】以上述べたような酵素反応液には、通常、
固形物当たり、マルトテトラオシルグルコシドを1乃至
90%程度含有している。この反応液から結晶マルトテ
トラオシルグルコシドを製造するには、反応液を濃縮す
るだけで結晶が晶出し、これを採取することもできる
が、一般的には、夾雑糖質を公知の分離、精製方法によ
り除去して更に高純度のマルトテトラオシルグルコシド
含有液とし、これを濃縮し、晶出せしめた結晶マルトテ
トラオシルグルコシドを採取するのが有利である。
【0015】その分離、精製方法としては、例えば、酵
母発酵法、膜濾過法、分別沈澱法、アルカリ処理法、カ
ラムクロマトグラフィー法などが適宜採用できる。とり
わけ、特開昭58−23799号公報、特開昭59−1
48794号公報などに開示されている塩型強酸性カチ
オン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィーによ
り、夾雑糖質を除去して、マルトテトラオシルグルコシ
ド高含有液を採取する方法が有利に実施できる。この
際、公知の固定床方式、移動床方式、擬似移動床方式の
いずれの方法を採用することも随意である。
【0016】このようにして得られたマルトテトラオシ
ルグルコシド水溶液よりマルトテトラオシルグルコシド
を晶出させるには、結晶の種類によって、それぞれ適当
な条件が選ばれる。晶出条件としては、マルトテトラオ
シルグルコシドの過飽和溶液であって、マルトテトラオ
シルグルコシドが晶出すればよい。
【0017】具体的に述べれば、純度約10%以上のマ
ルトテトラオシルグルコシドを濃度約5乃至95%水溶
液とし、その溶液の温度は、溶液が凍結せず、また結晶
の融点以下でマルトテトラオシルグルコシドの褐変、分
解の懸念の少ない温度、例えば、含水結晶の場合、水分
約5%以上の溶液を約5乃至100℃で、無水結晶の場
合、水分約10%未満の溶液を約90℃乃至150℃で
晶出させればよい。また、無水結晶は、含水結晶を減圧
乾燥又は加熱乾燥することによっても容易に製造するこ
とができる。また、晶出させるに際して溶液の過飽和
度、粘度を調整するために、例えば、メタノール、エタ
ノール、アセトンなどを共存させることも随意である。
晶出方法は、通常、比較的高温の過飽和マルトテトラオ
シルグルコシド含有溶液を助晶缶にとり、必要ならば、
これに、種晶を約0.1乃至5.0%共存せしめて、ゆ
っくりと撹拌しつつ徐冷し、晶出を促してマスキットに
すればよい。また、結晶マルトテトラオシルグルコシド
はきわめて晶出し易い特徴を有していることから、濃縮
を連続的に行いながらその濃縮液から連続的に晶出させ
ることも有利に実施できる。晶出したマスキットから結
晶マルトテトラオシルグルコシドを製造する方法は、例
えば、分蜜方法、ブロック粉砕方法、流動造粒方法、噴
霧乾燥方法などの公知方法を利用すればよい。
【0018】例えば、分蜜方法は、通常マスキットをバ
スケット型遠心分離機にかけ、結晶マルトテトラオシル
グルコシドと蜜とを分離する方法で、必要により、該結
晶に少量の冷水又は冷アルコール溶液などをスプレーし
て洗浄することも容易であり、より高純度の結晶マルト
テトラオシルグルコシドを製造するのに好適である。他
の三つの方法は、蜜を分離しないで得られる結晶マルト
テトラオシルグルコシドを含有した粉末であり、マルト
テトラオシルグルコシドの純度の向上は見られないが、
製品収量が多い特徴を有している。したがって、このよ
うな場合には、マルトテトラオシルグルコシド以外に、
通常、マルトテトラオース、マルトペンタオースなどの
オリゴ糖が含まれる。
【0019】噴霧乾燥方法の場合には、通常、晶出率約
30乃至60%程度のマスキットを高圧ポンプでノズル
から噴霧し、結晶が溶融しない温度、例えば約60乃至
100℃の熱風で乾燥し、次いで60℃未満の温風で乾
燥、熟成すれば、結晶マルトテトラオシルグルコシドを
含有した粉末が容易に製造できる。
【0020】ブロック粉砕方法の場合には、通常、晶出
率約20乃至80%のマスキットをバットに採り、約
0.5乃至3日間静置して全体をブロック状に晶出固化
させ、これを粉砕又は切削などの方法によって微粉化
し、乾燥すれば、結晶マルトテトラオシルグルコシドを
含有した粉末が容易に製造できる。
【0021】このようにして得られる結晶マルトテトラ
オシルグルコシドは、そのマルトテトラオシルグルコシ
ドの純度によってその吸湿性が多少変動するが、実質的
に非吸湿性であり、流動性であり、粘着、固着の懸念も
ないので、取扱い容易であり、その包装、輸送、貯蔵な
どの管理に要する物的、人的経費が大幅に削減できる。
また、本発明の結晶マルトテトラオシルグルコシドは、
実質的に非吸湿性の粉末で、耐熱性が高く、安定性も良
いので、従来きわめて困難とされていた粉末混合甘味
料、チョコレート、チューインガム、即席ジュース、即
席スープ、顆粒、錠剤などの賦形剤、増量剤、粉末基剤
などとして、例えば、飲食物、化粧品、医薬品、成形物
などの各種組成物、更には、試薬、化学工業用原料など
の各種用途に有利に利用できる。また、結晶マルトテト
ラオシルグルコシドは、その純度の違いにより、融点、
比旋光度が変化する。このうち融点は、通常、その純度
の低下にともなって低下し、融解温度の幅も広くなる。
したがって、結晶マルトテトラオシルグルコシドは、必
要性に応じて、その純度を適宜選択して利用すればよ
い。
【0022】本発明の結晶マルトテトラオシルグルコシ
ドは、良質で低い甘味を有している。また、経口摂取に
より、消化吸収され、カロリー源として利用される。更
に、虫歯誘発菌などによって、発酵されにくいことよ
り、虫歯をおこしにくい甘味料、賦形剤としても利用で
きる。また、良質な甘味料、賦形剤であることより、プ
ルラン、ヒドロキシエチルスターチなどの結合剤と併用
して、錠剤の糖衣剤として利用することも有利に実施で
きる。また、賦形性、保湿性、他の糖の晶出防止性、難
発酵性、難溶解性などの性質を具備している。
【0023】結晶マルトテトラオシルグルコシドの持つ
これら諸性質は、飲食物、嗜好物、飼料、化粧品、医薬
品、成形物などの各種組成物に有利に利用できる。
【0024】結晶マルトテトラオシルグルコシドは、低
甘味ながらそのままで甘味付けのための調味料として使
用することが出来る。必要ならば、例えば、粉飴、ブド
ウ糖、マルトース、砂糖、異性化糖、蜂蜜、メープルシ
ュガー、ソルビトール、ジヒドロカルコン、ステビオシ
ド、α−グリコシルステビオシド、レバウディオシド、
グリチルリチン、L−アスパラチル L−フェニルアラ
ニンメチルエステル、サッカリン、グリシン、アラニン
などのような他の甘味料の1種又は2種以上の適量と混
合して使用してもよく、また、必要ならば、デキストリ
ン、澱粉、乳糖などのような増量剤と混合して使用する
ことも出来る。また、マルトテトラオース、マルトペン
タオースなどのオリゴ糖を共存させて、その溶解性を高
めて利用することも有利に実施できる。
【0025】また、結晶マルトテトラオシルグルコシド
は、そのままで、又は必要に応じて、他の増量剤、賦形
剤、結合剤などと混合して、顆粒、棒状、球状、板状、
錠剤など各種形状に成型して使用することも随意であ
る。
【0026】また、結晶マルトテトラオシルグルコシド
の呈味は、酸味、塩から味、渋味、旨味、苦味など他の
呈味を有する各種物質とよく調和するので、一般の飲食
物の甘味付け、呈味改良に、また、品質改良などに有利
に利用できる。例えば、醤油、味噌、食酢、ソース、マ
ヨネーズ、みりんなど各種調味料として有利に使用でき
る。また、各種和菓子、各種洋菓子、冷菓、シロップ
類、ペースト類、野菜の加工食品類、漬物類、畜肉製品
類、魚肉製品類、酒類、清涼飲料水など各種飲食物への
甘味付け、呈味改良、品質改良に有利に利用できる。
【0027】また、本発明の結晶マルトテトラオシルグ
ルコシドは、非吸湿性で流動性が良好なことより、例え
ば、チューインガム、酢コンブ、キャンディー、求肥な
どの場合に、これら表面を被覆するなどにより、例え
ば、内容物表面と包装紙との付着防止、すべり改良剤な
どとしても有利に利用できる。また、本結晶マルトテト
ラオシルグルコシドは、可食性でありながら水への溶解
性が比較的低く、耐熱性も高いので、餅のとり粉、調理
用パン粉、フライ粉、パン・ケーキ類のトッピング、ア
イシングなどのための代替材料として、更には、小麦
粉、コーングリッツ、澱粉など粉類の一部又は全量に置
き換えて、例えば、プリンミックス、ホットケーキミッ
クス、製菓材料、製パン材料などに利用することも有利
に利用できる。
【0028】また、家畜などの飼育動物のための飼料に
も使用できる。更に、口紅、練歯磨、タバコ、トロー
チ、内服液など化粧品、医薬品などの各種組成物への甘
味剤として、甘味付け、呈味改良に、また、品質改良な
どに有利に利用できる。
【0029】本発明の組成物は、結晶マルトテトラオシ
ルグルコシド単体であってもよいが、通常、結晶マルト
テトラオシルグルコシドとともに、目的に応じて他の物
質、例えば、蛋白質、アミノ酸、脂質、ビタミン、ミネ
ラルなどの栄養物質、又は抗菌物質、酵素、ホルモン、
サイトカインなどの薬効物質などから選ばれる1種又は
2種以上を含有せしめて製造される。必要ならば他の適
宜の物質、例えば、呈味料、着色料、着香料、安定剤、
増量剤、賦形剤などの1種又は2種以上を使用すること
も随意であり、得られる組成物を目的に応じて適宜の形
状にすることも随意である。組成物に結晶マルトテトラ
オシルグルコシドを含有せしめる方法は、その製品が完
成するまでの工程に含有せしめればよく、例えば、混
和、混捏、溶解、融解、浸漬、散布、塗布、被覆、噴
霧、注入、晶出、固化などの公知の方法が適宜選ばれ
る。
【0030】その含有せしめる量は、組成物によっても
異なるが、一般的には、マルトテトラオシルグルコシド
として、0.1%以上、望ましくは0.2%以上の量が
好適である。このようにして得られる組成物は、経口的
又は非経口的に利用する飲食物、化粧品、医薬品のみな
らず、それ以外にも、例えば、生活用品、農林水産用
品、試薬、化学工業用品など広範な用途を有する。
【0031】次に、実験により本発明を更に詳細に説明
する。
【0032】まず、実験Aで非還元性糖質生成酵素の一
例として、リゾビウム・スピーシーズ M−11からの
酵素の生産、精製及び性質について説明し、その後、該
酵素を用いた還元性澱粉部分分解物から末端にトレハロ
ース構造を有する非還元性糖質及びトレハロースについ
て説明する。次に、実験Bで本発明の結晶マルトテトラ
オシルグルコシドの調製例とその理化学的性質について
説明する。
【0033】
【実験A−1 リゾビウム・スピーシーズ M−11か
らの非還元性糖質生成酵素の生産】マルトース2.0w
/v%、ペプトン0.5w/v%、酵母エキス0.1w
/v%、リン酸二ナトリウム0.1w/v%、リン酸一
カリウム0.1w/v%及び水からなる液体培地をpH
7.0に調整した。500ml容三角フラスコにこの培
地を約100mlずつ入れ、オートクレーブで120℃
で20分間滅菌し、冷却して、リゾビウム・スピーシー
ズ M−11(FERM BP−4130)を接種し、
27℃、130rpmで24時間培養したものを種培養
液とした。
【0034】容量30lのファーメンターに種培養の場
合と同組成の培地約20lを入れて滅菌、冷却して温度
30℃とした後、種培養液1v/v%を接種し、温度3
0℃、pH6.0乃至8.0に保ちつつ、約24時間通
気撹拌培養した。培養液の本酵素活性は約1.5単位/
mlであった。培養液の一部を採り遠心分離して菌体と
培養液上清とに分離し、更に菌体を50mMリン酸緩衝
液(pH7.0)で元の培養液と同じ液量の懸濁液とし
た後、菌体懸濁液と培養液上清の酵素活性を測定したと
ころ、菌体懸濁液には約0.6単位/mlの酵素活性
が、また、培養液上清には約0.9単位/mlの酵素活
性が認められた。
【0035】非還元性糖質生成酵素の活性測定方法は、
基質としてマルトペンタオース1.25w/v%(50
mMリン酸緩衝液、pH7.0)4mlに酵素液を1m
l加え40℃で60分間反応させた後、100℃で10
分間加熱して反応を停止させ、その反応液を正確に脱イ
オン水で10倍に希釈し、その希釈液の還元力をソモギ
ー・ネルソン法にて測定する。対照として、あらかじめ
100℃で10分間加熱させることにより失活させた酵
素液を用いて同様に測定する。上記の測定方法を用い
て、1分間に1μmoleのマルトペンタオースに相当
する還元力を減少させる酵素量を1単位と定義した。
【0036】
【実験A−2 酵素の精製】実験A−1で得られた培養
液約18lを超高圧菌体破砕装置ミニラボ(大日本製薬
株式会社製)で処理し、含まれる菌体を破砕した。処理
液を遠心分離(10,000rpm、30分間)するこ
とにより、約16lの上清を得た。その液に飽和度0.
2になるように硫安を溶解させ、4℃、1時間放置した
後、遠心分離(10,000rpm、30分間)するこ
とにより上清を回収した。
【0037】更に、その液に飽和度0.6になるように
硫安を溶解させ、4℃、24時間放置した後、遠心分離
(10,000rpm、30分間)して硫安塩析物を回
収した。得られた硫安塩析物を10mMリン酸緩衝液
(pH7.0)に溶解させた後、同じ緩衝液に対して2
4時間透析し、遠心分離(10,000rpm、30分
間)して不溶物を除いた。その透析液(360ml)を
2回に分けて、DEAE−トヨパールゲル(東ソー株式
会社製造)を用いたイオン交換カラムクロマトグラフィ
ー(ゲル量300ml)を行った。
【0038】本酵素はDEAE−トヨパールゲルに吸着
し、食塩を含む同緩衝液でカラムから溶出した。得られ
る酵素活性画分を、2M硫安を含む同緩衝液に対して透
析し、その透析液を遠心分離(10,000rpm、3
0分間)して不溶物を除き、得られる上清をブチルトヨ
パール650ゲル(東ソー株式会社製造)を用いた疎水
カラムクロマトグラフィー(ゲル量300ml)を行っ
た。吸着した本酵素を硫安2Mから0Mのリニアグラジ
エントによりカラムから溶出させ、酵素活性画分を回収
した。続いて、トヨパールHW−55樹脂(東ソー株式
会社製造)を用いたゲル濾過クロマトグラフィー(ゲル
量300ml)を行い、酵素活性画分を回収した。精製
の各工程における酵素活性量、比活性、収率を表1に示
す。
【0039】
【表1】
【0040】表1の工程でゲル濾過溶出液として得られ
た精製酵素標品をポリアクリルアミドゲル(ゲル濃度
7.5w/v%)を用いる電気泳動法で純度を検定した
ところ、蛋白バンドは単一であることが示され、得られ
た酵素標品は電気泳動的に単一な純度の高い標品であっ
た。
【0041】
【実験A−3 酵素の性質】実験A−2で得られた精製
酵素標品をSDS−ポリアクリルアミドゲル(ゲル濃度
10w/v%)を用いる電気泳動法に供し、同時に泳動
した分子量マーカー(日本バイオ・ラド・ラボラトリー
ズ株式会社製)と比較して本酵素の分子量を測定したと
ころ、分子量約77,000乃至87,000ダルトン
であった。
【0042】精製酵素標品をポリアクリルアミドゲル
(2w/v%アンフォライン含有、スウエーデン国、フ
ァルマシア・エルケイビー社製)を用いる等電点電気泳
動法に供し、泳動後、ゲルのpHを測定して本酵素の等
電点を求めたところ、等電点は約3.6乃至4.6であ
った。
【0043】本酵素活性に対する温度の影響、pHの影
響は活性測定方法に準じて調べた。結果を図1(温度の
影響)、図2(pHの影響)に示した。酵素の至適温度
は、pH7.0、60分間反応で、40℃付近、至適p
Hは、40℃、60分間反応で、約7.0であった。本
酵素の温度安定性は、酵素溶液(50mMリン酸緩衝液
を含む、pH7.0)を各温度に60分間保持し、水冷
した後、残存する酵素活性を測定することにより求め
た。また、pH安定性は、本酵素を各pHの50mM緩
衝液中で25℃、16時間保持した後、pHを7に調整
し、残存する酵素活性を測定することにより求めた。そ
れぞれの結果を図3(温度安定性)、図4(pH安定
性)に示した。本酵素の温度安定性は40℃付近まで安
定であり、pH安定性は約6乃至9であった。
【0044】
【実験A−4 非還元性糖質の調製】基質として、グル
コース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラ
オース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、又
はマルトヘプタオースの20%水溶液を調製し、それぞ
れに実験A−2で得られた精製酵素標品を基質固形物グ
ラム当たり2単位の割合で加え、40℃、pH7.0で
48時間作用させた後、脱塩し、ワコービーズ WB−
T−330カラム(和光純薬工業株式会社製)を用いた
高速液体クロマトグラフィーで反応生成物を分析した。
高速液体クロマトグラフィーは、室温下で行い、溶離液
として水を流速0.5ml/分で流し、示差屈折計RI
−8012(東ソー株式会社製造)で分析した。その結
果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】表2の結果から明らかなように、反応物中
には残存するそれぞれの基質と新たに生成したそれぞれ
の糖質PI、PII、PIII、PIV、PVからな
り、それ以外の糖質はほとんど検出されない。それぞれ
の生成率はグルコース重合度3のPIが比較的低いもの
の、グルコース重合度4以上のPII、PIII、PI
V、PVは85%以上の高い生成率であることが判明し
た。なお、グルコース、マルトースからは、新たな糖質
を生成しないことが判明した。
【0047】それぞれの反応物から新たに生成した糖質
を精製するため、脱色、脱塩、濃縮後、アルカリ金属型
強酸性カチオン交換樹脂(XT−1016、Na+型、
架橋度4%、オルガノ株式会社製造)を用いたカラム分
画を行った。樹脂を内径2.0cm、長さ1mのジャケ
ット付きステンレス製カラム3本に充填し、直列につな
ぎ、カラム内温度を55℃に維持しつつ、反応糖液を樹
脂に対して5v/v%加え、これに55℃の温水をSV
0.13で流して分画し、新たに生成した糖質含量97
%以上の高純度画分を採取した。得られた高純度画分を
真空乾燥し、それぞれ高純度糖質標品を調製した。基質
原料に対する収率は、固形物換算で、それぞれPIで約
9%、PIIで約65%、PIIIで約82%、PIV
で約80%、PVで約77%であった。その純度は、そ
れぞれPIで97.5%、PIIで98.6%、PII
Iで99.5%、PIVで98.4%、PVで98.4
%であった。
【0048】またこれらの新たに生成した高純度糖質標
品の還元力をソモギー・ネルソン法で測定し、DEで表
した。結果は表3にまとめた。
【0049】
【表3】
【0050】表3の結果から明らかなように、いずれの
標品にも僅かな還元力しか認めらなかった。その僅かな
還元力は、その標品中に微量に混入、残存している基質
由来の還元性マルトオリゴ糖に起因するものと推定さ
れ、新たに生成した糖質はいずれも実質的に非還元性で
あると判断される。
【0051】
【実験A−5 グルコアミラーゼによる酵素分解】実験
A−4において調製した非還元性糖質標品、PI、PI
I、PIII、PIV又は、PVのそれぞれ50mg
を、50mM酢酸緩衝液(pH4.5)1mlに溶解
し、1単位のグルコアミラーゼ(生化学工業株式会社製
造)を加え、40℃で6時間保ち、酵素分解した後、高
速液体クロマトグラフィーで分解物を分析したところ、
いずれの標品からも分解物としてグルコースとトレハロ
ースのみが検出された。検出されたグルコース含量、ト
レハロース含量、その組成モル比の結果を表4に示す。
【0052】
【表4】
【0053】表4の結果から明らかなように、グルコア
ミラーゼにより、非還元性糖質PIはグルコース1分子
とトレハロース1分子に分解され、非還元性糖質PII
はグルコース2分子とトレハロース1分子に分解され、
非還元性糖質PIIIはグルコース3分子とトレハロー
ス1分子に分解され、非還元性糖質PIVはグルコース
4分子とトレハロース1分子に分解され、非還元性糖質
PVはグルコース5分子とトレハロース1分子に分解さ
れることが判明した。
【0054】また、グルコアミラーゼの反応特性を考慮
すると、これら非還元性糖質の構造はトレハロース分子
にグルコース分子がα−1,4結合、もしくはα−1,
6結合で結合した糖質で、それぞれ、PIはトレハロー
ス1分子にグルコース1分子が結合したグルコース重合
度3の非還元性糖質で、PIIはトレハロース1分子に
グルコース2分子が結合したグルコース重合度4の非還
元性糖質で、PIIIはトレハロース1分子にグルコー
ス3分子が結合したグルコース重合度5の非還元性糖質
で、PIVはトレハロース1分子にグルコース4分子が
結合したグルコース重合度6の非還元性糖質で、PVは
トレハロース1分子にグルコース5分子が結合したグル
コース重合度7の非還元性糖質であると判断される。な
お、同様に、非還元性糖質標品、PI、PII、PII
I、PIV、又はPVにβ−アミラーゼを作用させたと
ころ、非還元性糖質PI、PIIは分解されず、PII
Iはマルトースの1分子とPIの1分子に分解され、P
IVはマルトースの1分子とPIIの1分子に分解さ
れ、PVはマルトースの2分子とPIの1分子に分解さ
れることが判明した。
【0055】以上の結果から、本発明の非還元性糖質生
成酵素による反応は、基質の低分子化及び高分子化を伴
わない、換言すれば、グルコース重合度の変化を伴わな
い、分子内変換反応と判断され、また、この非還元性糖
質生成酵素によって生成した非還元性糖質、PI、PI
I、PIII、PIV及びPVは、それぞれ、α−グル
コシルトレハロース(別名、α−マルトシルグルコシ
ド)、α−マルトシルトレハロース(別名、α−マルト
トリオシルグルコシド)、α−マルトトリオシルトレハ
ロース(別名、α−マルトテトラオシルグルコシド)、
α−マルトテトラオシルトレハロース(別名、α−マル
トペンタオシルグルコシド)及びα−マルトペンタオシ
ルトレハロース(別名、α−マルトヘキサオシルグルコ
シド)で示されるα−グリコシルトレハロース(Gn
T:但し、Gはグルコース残基を意味し、nは1以上の
整数を意味し、Tはα,α−トレハロースを意味す
る。)であると判断される。
【0056】
【実験A−6 末端にトレハロース構造を有する非還元
性オリゴ糖とトレハロースの調製】澱粉部分分解物(松
谷化学工業株式会社製造、商品名パインデックス#4)
40重量部を水60重量部に加熱溶解し、この溶液を4
5℃、pH6.5に調整した後、実験A−2の方法で調
製した非還元性糖質生成酵素を還元性澱粉部分分解物g
当たり1単位の割合になるように加えて96時間反応さ
せ、末端にトレハロース構造を有する非還元性オリゴ糖
を生成させ、次いで100℃で10分間加熱して、酵素
を失活させた。本反応液を濃度約20%まで希釈し、グ
ルコアミラーゼ(ナガセ生化学工業株式会社製造、商品
名グルコチーム)を澱粉部分分解物g当たり10単位加
えて40時間反応させ、次いで加熱して、酵素を失活さ
せた。本溶液を、常法にしたがって、活性炭にて脱色
し、イオン交換樹脂にて脱塩し、濃度約60%に濃縮し
た。本糖液中には固形物当たり29.5%のトレハロー
スを含有していた。この濃縮液を塩型強酸性カチオン交
換樹脂(オルガノ株式会社販売、商品名CG6000、
Na型)が充填されたジャケット付きステンレス製カラ
ムに、60℃、SV 0.4でチャージし、トレハロー
ス高含有画分を採取した。本高含有液は、固形物当たり
約90%のトレハロースを含有していた。本溶液を濃度
約75%に濃縮した後、助晶缶にとり、種晶としてトレ
ハロース含水結晶を約2%加えて徐冷し、晶出率約45
%のマスキットを得た。本マスキットを乾燥塔上のノズ
ルより150kg/cm2の高圧にて噴霧した。これと
同時に85℃の熱風を乾燥塔の上部より送風し、底部に
設けた移送金網コンベア上に結晶粉末を補集し、コンベ
アの下より45℃の温風を送りつつ、該粉末を乾燥塔外
に徐々に移動させて、取り出した。この結晶粉末を熟成
塔に充填して温風を送りつつ、10時間熟成させ、結晶
化と乾燥を完了し、トレハロース含水結晶粉末を得た。
【0057】
【実験B−1 結晶マルトテトラオシルグルコシドの調
製】純度98%のマルトペンタオース(株式会社林原生
物化学研究所製造)5重量部を水100重量部に加熱溶
解し、pH7.0、温度40℃に調整し、これに実験A
−2の方法で調製した非還元性糖質生成酵素をマルトペ
ンタオースグラム当たり2単位になるように加えた。4
8時間作用させた後、100℃で20分間加熱して、酵
素を失活させた。本溶液を4℃に一夜放置したところ、
沈澱が生成した。この沈澱懸濁液に0.1Nとなるよう
水酸化ナトリウムを加え100℃で2時間煮沸して還元
性糖質を分解した。この溶液を活性炭で脱色した後、H
型、OH型イオン交換樹脂を用い精製したところ、純度
97.5%のマルトテトラオシルグルコシド溶液を得る
ことができた。これを濃度50%まで濃縮し、ガラスビ
ーカーに入れ、25℃で1時間放置したところ、その内
壁に結晶が析出した。得られた結晶は遠心分離により回
収し、少量の水を用いて洗浄し、純度99.9%のマル
トテトラオシルグルコシドの含水結晶を得た。また、本
品を100℃で一夜減圧乾燥して無水結晶を得た。
【0058】これら結晶の理化学的性質を調べたとこ
ろ、次の通りであった。 (1) 元素分析(無水物として) 含水結晶 C=43.13% H=6.37% 無水結晶 C=43.20% H=6.35% 理論値 C=43.48% H=6.32% (2) 質量分析(無水物として) MW=828 (分子式C305226) (3) 水分 カールフィッシャー法にて測定 含水結晶 4.2%(マルトテトラオシルグルコシド1
モルに水2モル) 無水結晶 0.2% (4) 融点 マルトテトラオシルグルコシドの含水結晶又は無水結晶
1mgをそれぞれ専用アルミ容器に入れ、示差走査熱量
計DSC−8230(株式会社リガク販売)で測定した
ところ、含水結晶の場合、170乃至172℃と230
乃至233℃の2つの吸熱ピークが、無水結晶の場合、
230乃至233℃に吸熱ピークが検出された。含水結
晶の融点測定時に検出される230乃至233℃の吸熱
ピークは温度上昇中に含水結晶が無水結晶に移行したた
め出現したものと判断される。したがって、含水結晶の
融点は170乃至172℃、無水結晶の融点は230乃
至233℃と判断される。 (5) 比旋光度(無水物として) 含水結晶、無水結晶とも、 [α]D 20 +208.8゜(c=1.0,H20) (6) 紫外線吸収スペクトル 含水結晶、無水結晶とも、水溶液にして測定すると特徴
ある吸収は示さない。 (7) 赤外線吸収スペクトル 含水結晶又は無水結晶の粉末2mgをそれぞれ乾燥KB
r 200mgと撹拌、混合して透明なタブレットを作
製し、赤外線吸収スペクトルを測定した。結果はそれぞ
れ図5、図6に示す。 (8) 溶解度(無水物として) 含水結晶、無水結晶とも、比較的溶解度が低く、25℃
で水100mlに対し約1g溶解する。 (9) 呈味 結晶マルトテトラオシルグルコシドの飽和水溶液は、わ
ずかに味わえる程の低い甘味を呈する。 (10) 呈色反応 含水結晶、無水結晶とも、アントロン−硫酸反応で緑色
を呈し、フェーリング氏液還元反応、よう素反応は陰
性。 (11) 構造(無水物として) (a) 1N−硫酸で加水分解するとD−グルコースの
みを生成する。 (b) グルコアミラーゼの作用により、グルコース3
モルとトレハロース1モルを生成した。 (c) 炭素核磁気共鳴分析(13C−NMR)の結果を
図7に示す。クラウス・ボック(KLAUS BOC
K)等が、『アドバンシス・イン・カーボハイドレート
・ケミストリー・アンド・バイオケミストリー(Adv
ances in Carbohydorate Ch
emistry and Biochemistr
y)』、第42巻、第193乃至225頁(1984
年)で報告している標準物質、α−D−グルコピラノー
ス、α,α−トレハロース及びマルトテトラオースの化
学シフトより、各炭素を帰属し、本物質はO−α−D−
グルコピラノシル−(1→4)−O−α−D−グルコピ
ラノシル−(1→4)−O−α−D−グルコピラノシル
−(1→4)−α−D−グルコピラノシルα−D−グル
コピラノシドすなわちマルトテトラオシルグルコシドの
構造を有していると判断される。 (12) 粉末X線回折 エフ・エイチ・ストドーラ(F.H.Stodola)
等が、『ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル
・ソサイエティー(Jounal of the Am
erican Chemical Societ
y)』、第78巻、第2514乃至2518頁(195
6年)に報告されている方法に準じて、結晶マルトテト
ラオシルグルコシドのCuKα線を使用した粉末X線回
折図形を測定した。含水結晶の結果を図8に、無水結晶
の結果を図9に示した。図8、図9の結果より明らかな
ように、含水結晶は粉末X線回折法における主な回折角
(2θ)として12.6°、21.3゜、22.1°及
び22.8°を有し、また、無水結晶は12.7゜、1
3.7゜、18.8゜及び23.2゜を有する。 以上の事実より本発明の結晶は、従来全く知られていな
いマルトテトラオシルグルコシドの結晶であると判断さ
れる。
【0059】
【実験B−2 急性毒性試験】マウスを使用して、実験
B−1の方法で調製したマルトテトラオシルグルコシド
の含水結晶及び無水結晶をそれぞれに経口投与して急性
毒性テストを行なった。その結果、これら結晶マルトテ
トラオシルグルコシドは低毒性の物質で、投与可能な最
大投与量においても死亡例は認められなかった。したが
って、正確な値はいえないが、そのLD50値は、いず
れも50g/kg以上であった。
【0060】以下、本発明の結晶マルトテトラオシルグ
ルコシドの製造方法を実施例Aで、その用途を実施例B
で示す。
【0061】
【実施例A−1】純度98%のマルトペンタオース(株
式会社林原生物化学研究所製)50重量部を水200重
量部に加熱溶解させた後、pH7.0、温度40℃に調
整し、これに実験A−2の方法で調製した非還元性糖質
生成酵素をマルトペンタオースグラム当たり5単位にな
るように加え、24時間反応させた。100℃で20分
加熱して、酵素を失活させた。本溶液には、マルトテト
ラオシルグルコシドを固形物当たり約90%を含有し、
その他はマルトペンタオースであった。この反応液に水
酸化ナトリウムを0.1Nになるように加え、100℃
で2時間加熱して還元性糖質を分解した。この溶液を活
性炭にて脱色し、H型、OH型、イオン交換樹脂で脱塩
し、マルトテトラオシルグルコシド純度98%の糖液を
得た。この糖液を濃度60%に濃縮して助晶缶にとり、
結晶マルトテトラオシルグルコシドを種晶として2%加
え、ゆっくり撹拌しながら助晶した。得られるマスキッ
トを分蜜し純度99.9%の含水結晶マルトテトラオシ
ルグルコシドを原料当たり収率約50%で得た。このよ
うにして得た結晶マルトテトラオシルグルコシドは、室
内に放置しても吸湿性を示さなかった。
【0062】本結晶マルトテトラオシルグルコシドは、
種晶として有利に用いることができるほか、試薬、血清
アミラーゼ定量用基質、化学原料などとしても好都合で
ある。更に、飲食物、化粧品、医薬品、成形物などの各
種組成物に有利に利用できる。
【0063】
【実施例A−2】炭酸カルシウム0.1%を含む濃度2
0%の馬鈴薯澱粉乳を、pH6.0に調整したのち、α
−アミラーゼ(ノボ・ノルディスク・インダストリー社
製造、商品名ターマミール60L)を澱粉固形物グラム
当たり0.3%加え、95乃至100℃に加熱して、澱
粉を糊化、分解したのち、酵素を加熱失活させてDE1
9.5の液化液を得た。本液をpH6.2、温度40℃
に調整し、これに実験A−2の方法で調製した非還元性
糖質生成酵素を澱粉グラム当たり3単位、イソアミラー
ゼ(株式会社林原生物化学研究所製造)を1,000単
位の割合となるように加え、72時間反応させた。その
反応液を95℃に加熱し10分間保って酵素を失活させ
た。本溶液には、マルトテトラオシルグルコシドを固形
物当たり約30%を含有していた。この反応液を活性炭
で脱色し、イオン交換樹脂(H型及びOH型)にて脱塩
し、濃度40%に濃縮した。この濃縮液を塩型強酸性カ
チオン交換樹脂(オルガノ株式会社製造、商品名XT−
1016、Na型)を充填したジャケット付きステンレ
ス製カラム(5.4cm×4mを4本直列に接続)に、
60℃、SV0.4でチャージし、ついで、60℃温水
で溶出してマルトテトラオシルグルコシド高含有画分を
採取した。本液は、固形物当たり約75%のマルトテト
ラオシルグルコシドを含有していた。本液を常法にした
がって、活性炭にて脱色し、イオン交換樹脂(H型及び
OH型)にて脱塩し、固形物濃度約80%に濃縮した。
この濃縮液を助晶缶にとり、結晶マルトテトラオシルシ
ルグルコシドを種晶として1%加え、ゆっくり撹拌しな
がら助晶し、次いで、バットに取り出し、ブロックを作
製した。ブロックは約25℃で2日間静置し熟成させた
のち、切削型粉砕機で粉砕し、流動乾燥し、分級し、含
水結晶マルトテトラオシルグルコシド含有粉末を原料当
たり収率約30%で得た。
【0064】本品は、実質的に吸湿性を示さず、取扱い
が容易であり、甘味料、呈味改良剤、品質改良剤、安定
剤、賦形剤などとして飲食物、化粧品、医薬品、成形物
などの各種組成物に有利に利用できる。
【0065】
【実施例A−3】澱粉部分分解物(松谷化学工業株式会
社製造、商品名パインデックス#4)を用いて、濃度2
0%、pH5.5、温度45℃に調整し、イソアミラー
ゼ(株式会社林原生物化学研究所製造)を澱粉部分分解
物グラム当たり500単位加え、24時間反応し、澱粉
由来のα−1,6結合を分解した。反応液を100℃に
加熱し10分間保ったのち、40℃に冷却し、pHを
6.5に調整した。これに実験A−2の方法で調製した
非還元性糖質生成酵素を固形物グラム当たり5単位、α
−アミラーゼ(ノボ・ノルディスク・インダストリー社
製造、商品名ターマミール60L)を澱粉固形物グラム
当たり0.3%加え、48時間反応させ、その反応液を
加熱し酵素を失活させたのち、冷却した。本反応液には
マルトテトラオシルグルコシドとして、固形物当たり約
32%含有していた。これを実施例A−2と同様に精
製、濃縮し、塩型強酸性カチオン交換樹脂を用いるカラ
ムクロマトグラフィーにかけてマルトテトラオシルグル
コシド高含有画分を採取した。本液は、固形物当たり約
81%のマルトテトラオシルグルコシドを含有してい
た。本液を常法にしたがって、活性炭にて脱色し、イオ
ン交換樹脂(H型及びOH型)にて脱塩し、濃度約70
%に濃縮して助晶缶にとり、結晶マルトテトラオシルグ
ルコシドを、種晶として2%添加し、ゆっくり撹拌しな
がら助晶し、晶出率約60%のマスキットを得た。本マ
スキットを乾燥塔上のノズルより150kg/cm2
高圧で噴霧した。これと同時に85℃の熱風を乾燥塔の
上部より送風し、乾燥塔底部に設けた移送金網コンベア
上に結晶粉末を捕集し、コンベアの下より45℃の温風
を送りつつ、該粉末を乾燥塔外に徐々に移動させて、取
り出した。この粉末結晶を熟成塔に充填し、温風を送り
つつ、24時間熟成させ、結晶化と乾燥を完了し、含水
結晶マルトテトラオシルグルコシド含有粉末を原料当た
り収率約25%で得た。
【0066】本品は、吸湿性を示さず、取扱いが容易で
あり、甘味料、呈味改良剤、品質改良剤、安定剤、賦形
剤などとして飲食物、化粧品、医薬品、成形物などの各
種組成物に有利に利用できる。
【0067】
【実施例A−4】実施例A−1の方法で得た含水結晶マ
ルトテトラオシルグルコシドを100℃で一夜減圧乾燥
して、水分約0.2%の無水結晶マルトテトラオシルグ
ルコシドを得た。
【0068】本品は、室内に放置すると吸湿し、水分約
4%の含水結晶マルトテトラオシルグルコシドに容易に
戻り安定化する。本無水結晶マルトテトラオシルグルコ
シドは、吸湿剤、脱水剤、化学原料などとして有利に利
用できる。更に、実施例A−1の含水結晶マルトテトラ
オシルグルコシドの場合と同様に飲食物、化粧品、医薬
品、成形物などの各種組成物に有利に利用できる。
【0069】
【実施例A−5】トレハロース1重量部及び澱粉部分分
解物(松谷化学工業株式会社製造、商品名パインデック
ス#4)1重量部を水3重量部に加熱溶解し、温度65
℃、pH6.0に調整し、これにバチルス・ステアロサ
ーモフィラス由来のシクロマルトデキストリン・グルカ
ノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製
造)を澱粉部分分解物グラム当たり10単位加えて24
時間反応の後、酵素を加熱失活させた。次いで、温度5
5℃に調整し、これにプルラナーゼ(株式会社林原生物
化学研究所製造)及びα−アミラーゼ(ノボ・ノルディ
スク・インダストリー社、商品名ターマミール60L)
を澱粉部分分解物グラム当たりそれぞれ25単位、5単
位加えて24時間反応させて、これら酵素を加熱失活さ
せた。この反応液には、マルトテトラオシルグルコシド
を固形物当たり約15%含有していた。これを実施例A
−2と同様に精製し、塩型強酸性カチオン交換樹脂を用
いるカラムクロマトグラフィーにかけてマルトテトラオ
シルグルコシド高含有画分を得、これを脱色、脱塩し、
濃縮、助晶し、バットに取り出してブロックを作製し
た。本ブロックを切削、乾燥、分級して、含水結晶マル
トテトラオシルグルコシド含有粉末を原料当たり収率約
10%で得た。
【0070】本品は、実質的に吸湿性を示さず、取扱い
が容易であり、甘味料、呈味改良剤、品質改良剤、安定
剤、賦形剤などとして飲食物、化粧品、医薬品、成形物
などの各種組成物に有利に利用できる。
【0071】
【実施例B−1 甘味料】実施例A−2の方法で得た含
水結晶マルトテトラオシルグルコシド含有粉末0.5重
量部及び結晶マルトース(株式会社林原商事販売、登録
商標サンマルト)1.5重量部に、α−グリコシルステ
ビオシド(東洋精糖株式会社販売、商品名αGスイー
ト)0.1重量部を均一に混合し、顆粒成形機にかけ
て、顆粒状甘味料を得た。
【0072】本品は、甘味の質が優れ、蔗糖の約2倍の
甘味度を有し、甘味度当たりカロリーは、蔗糖の約1/
2に低下している。本甘味料は、低カロリー甘味料とし
て、カロリー摂取を制限している肥満者、糖尿病者など
のための低カロリー飲食物などに対する甘味付けに好適
である。また、本甘味料は、虫歯誘発菌による酸の生成
が少なく、不溶性グルカンの生成も少ないことより、虫
歯を抑制する飲食物などに対する甘味付けに好適であ
る。
【0073】
【実施例B−2 乳酸飲料】脱脂乳10重量部を80℃
で20分間加熱殺菌した後、40℃に冷却し、これにス
ターター0.3重量部を加えて約37℃で10時間醗酵
させた。次いで、これをホモジナイズした後、実施例A
−3の方法で得た含水結晶マルトテトラオシルグルコシ
ド含有粉末0.4重量部、マルトテトラオースシラップ
(株式会社林原商事販売、登録商標テトラップ)1.6
重量部、蔗糖1重量部及び異性化糖シラップ3重量部を
加えて70℃に保って殺菌した。これを冷却し、適量の
香料を加え、ビン詰めして製品を得た。
【0074】本品は、風味、甘味が酸味とよく調和した
高品質の乳酸飲料である。
【0075】
【実施例B−3 粉末ジュース】噴霧乾燥により製造し
たオレンジ果汁粉末33重量部に対し、実施例A−5の
方法で得た含水結晶マルトテトラオシルグルコシド含有
粉末5重量部、結晶マルトース35重量部、蔗糖20重
量部、無水クエン酸0.65重量部、リンゴ酸0.1重
量部、L−アスコルビン酸0.1重量部、クエン酸ソー
ダ0.1重量部、プルラン0.5重量部及び粉末香料適
量をよく混合撹拌し、粉砕し微粉末にしてこれを流動層
造粒機に仕込み、排風温度40℃とし、これに水飴をバ
インダーとしてスプレーし、30分間造粒し、計量、包
装して製品を得た。
【0076】本品は、果汁含有率約30%の粉末ジュー
スである。また、本品は異味、異臭がなく、吸湿固結も
起こさず長期に安定であった。
【0077】
【実施例B−4 チョコレート】カカオペースト40重
量部、カカオバター10重量部、実施例A−1の方法で
得た含水結晶マルトテトラオシルグルコシド5重量部、
結晶マルトース10重量部及び蔗糖35重量部を混合し
てレファイナーに通して粒度を下げた後、コンチェに入
れて50℃で2昼夜練り上げる。この間に、レシチン
0.5重量部を加え充分に混和分散させた。次いで、温
度調節機で31℃に調節し、バターの固まる直前に型に
流し込み、振動機でアワ抜きを行ない、10℃の冷却ト
ンネルを20分間くぐらせて固化させた。これを型抜き
して包装し製品を得た。
【0078】本品は、吸湿性がなく、色、光沢共によ
く、内部組織も良好で、口中でなめらかに溶け、上品な
甘味とまろやかな風味を有する。
【0079】
【実施例B−5 チューインガム】ガムベース3重量部
を柔らかくなる程度に加熱溶融し、これに結晶マルチト
ール(株式会社林原商事販売、登録商標マビット)3重
量部、蔗糖3重量部及び実施例A−2の方法で得た含水
結晶マルトテトラオシルグルコシド含有粉末1重量部と
を加え、更に適量の香料と着色料とを混合し、常法にし
たがって、ロールにより練り合わせ、成形、包装して製
品を得た。
【0080】本品は、テクスチャー、風味とも良好なチ
ューインガムである。
【0081】
【実施例B−6 ういろうの素】米粉90重量部に、コ
ーンスターチ20重量部、実施例A−3の方法で得た結
晶マルトテトラオシルグルコシド含有粉末10重量部、
粉末マルトテトラオース60重量部、蔗糖50重量部及
びプルラン4重量部を均一に混合してういろうの素を製
造した。ういろうの素と適量の抹茶と水とを混練し、こ
れを容器に入れて60分間蒸し上げて抹茶ういろうを製
造した。
【0082】本品は、照り、口当たりも良好で、風味も
良い。また、澱粉の老化も抑制され、日持ちもよい。
【0083】
【実施例B−7 流動食用固体製剤】実施例A−4の方
法で得た無水結晶マルトテトラオシルグルコシド100
重量部、結晶マルトース100重量部、粉末マルトテト
ラオース350重量部、粉末卵黄270重量部、脱脂粉
乳209重量部、塩化ナトリウム4.4重量部、塩化カ
リウム1.85重量部、硫酸マグネシウム4重量部、チ
アミン0.01重量部、アスコルビン酸ナトリウム0.
1重量部、ビタミンEアセテート0.6重量部及びニコ
チン酸アミド0.04重量部からなる配合物を調製し、
この配合物25グラムずつ防湿性ラミネート小袋に充填
し、ヒートシールして製品を得た。
【0084】本品は、1袋分を約150乃至300ml
の水に溶解して流動食とし、経口的、又は鼻腔、胃、腸
などへ経管的使用方法により利用される。
【0085】
【実施例B−8 外傷治療用膏薬】実施例A−1の方法
で得た含水結晶マルトテトラオシルグルコシド20重量
部、結晶マルトース280重量部及び粉末マルトテトラ
オース200重量部に、ヨウ素3重量部を溶解したメタ
ノール50重量部を加え混合し、更に10%プルラン水
溶液200重量部を加えて混合し、適度の延び、付着性
を示す外傷治療用膏薬を得た。
【0086】本品は、治癒期間が短縮され、創面もきれ
いに治る。
【0087】
【実施例B−9 糖衣錠】重量150mgの素錠を芯剤
とし、これに実施例A−2の方法で得た含水結晶マルト
テトラオシルグルコシド含有粉末5重量部、結晶マルチ
トール40重量部、プルラン(平均分子量20万)2重
量部、水30重量部、タルク25重量部及び酸化チタン
3重量部からなる下掛け液を用いて錠剤重量が約230
mgになるまで糖衣し、次いで、同じ結晶マルトテトラ
オシルグルコシド含有粉末10重量部、結晶マルチトー
ル55重量部、プルラン1重量部及び水34重量部から
なる上掛け液を用いて糖衣し、更に、ロウ液で艶出しし
て光沢のある外観の優れた糖衣錠を得た。
【0088】本品は、糖衣掛け時の作業性が優れている
だけでなく、耐衝撃性にも優れており、高品質を長期間
維持する。
【0089】
【実施例B−10 乳液】ポリオキシエチレンベヘニル
エーテル0.5重量部、テトラオレイン酸ポリオキシエ
チレンソルビトール1重量部、親油型モノステアリン酸
グリセリン1重量部、ベヘニールアルコール0.5重量
部、アボガド油1重量部、実施例A−2の方法で得た含
水結晶マルトテトラオシルグルコシド含有粉末1重量
部、マルチトール2.5重量部、α−グリコシルルチン
1重量部、ビタミンE及び防腐剤の適量を、常法にした
がって加熱溶解し、これに1,3−ブチレングリコール
5重量部、カルボキシビニルポリマー0.1重量部及び
精製水85.3重量部を加え、ホモゲナイザーにかけ、
乳化し、乳液を製造した。
【0090】本品は、保湿性ある乳液で、日焼け止め、
色白剤などとして有利に利用できる。
【0091】
【実施例B−11 スキンクリーム】モノステアリン酸
ポリオキシエチレングリコール2重量部、自己乳化型モ
ノステアリン酸グリセリン5重量部、α−グリコシルル
チン2重量部、流動パラフィン1重量部、トリオクタン
酸グリセリル10重量部、実施例A−1の方法で得た含
水結晶マルトテトラオシルグルコシド1重量部、マルチ
トール3重量部及び防腐剤の適量を、常法にしたがって
加熱溶解し、これに1,3−ブチレングリコール5重量
部及び精製水66重量部を加え、ホモゲナイザーにかけ
て乳化し、更に、香料の適量を加えて撹拌混合し、クリ
ームを製造した。
【0092】本品は、伸びの良いクリームで、日焼け止
め、美肌剤、色白剤などとして有利に利用できる。
【0093】
【実施例B−12 練歯磨】第二リン酸カルシウム45
重量部、ラウリル硫酸ナトリウム1.5重量部、グリセ
リン25重量部、ポリオキシエチレンソルビタンラウレ
ート0.5重量部、実施例A−3の方法で得た含水結晶
マルトテトラオシルグルコシド含有粉末2重量部、プル
ラン3重量部、マルチトール10重量部、サッカリン
0.02重量部及び防腐剤0.05重量部を水13重量
部と混合して練歯磨を得た。
【0094】本品は、光沢、洗浄力も良好で、練歯磨と
して好適である。
【0095】
【実施例B−13 肥料杭】配合肥料(N=14%、P
25=8%、K2O=12%)、プルラン、実施例A−
3の方法で得た含水結晶マルトテトラオシルグルコシド
含有粉末、硫酸カルシウム及び水の割合を重量でそれぞ
れ70、5、5、15及び5として充分混合した後、押
出機(L/D=20、圧縮比=1.8、ダイスの口径=
30mm)で80℃に加熱して肥料杭を製造した。
【0096】本品は、肥料用容器が不要で取扱い容易で
あり、全層施肥に適した強度を有し、更に配合割合を変
えることにより肥料成分の溶出速度を調節できる。必要
ならば、この肥料杭に植物ホルモン、農業用薬剤及び土
壌改良剤等の混合も容易である。
【0097】
【発明の効果】上記したことから明らかなように、本発
明の結晶マルトテトラオシルグルコシドは、従来全く知
られておらず、また、還元性のマルトペンタオースとは
違って、非還元性で吸湿性も低く、より安定で取扱い容
易である。更に結晶マルトテトラオシルグルコシド結晶
は、容易に単離、精製できることから、安価に製造が可
能である。
【0098】本発明の結晶マルトテトラオシルグルコシ
ドは、試薬、血清アミラーゼ定量用基質、化学原料など
として有利に利用できるのみならず、飲食物、化粧品、
医薬品、成形物などの各種組成物に有利に利用できる。
したがって、関係業界に与える影響はきわめて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】リゾビウム・スピーシーズ M−11由来の非
還元性糖質生成酵素の活性に及ぼす温度の影響を示す図
である。
【図2】リゾビウム・スピーシーズ M−11由来の非
還元性糖質生成酵素の活性に及ぼすpHの影響を示す図
である。
【図3】リゾビウム・スピーシーズ M−11由来の非
還元性糖質生成酵素の温度安定性を示す図である。
【図4】リゾビウム・スピーシーズ M−11由来の非
還元性糖質生成酵素のpH安定性を示す図である。
【図5】含水結晶マルトテトラオシルグルコシドの赤外
線吸収スペクトルを示す図である。
【図6】無水結晶マルトテトラオシルグルコシドの赤外
線吸収スペクトルを示す図である。
【図7】マルトテトラオシルグルコシドの炭素核磁気共
鳴分析結果を示す図である。
【図8】含水結晶マルトテトラオシルグルコシドの粉末
X線回折図形を示す図である。
【図9】無水結晶マルトテトラオシルグルコシドの粉末
X線回折図形を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A23L 1/236 A 2/39 2/02 B 2/38 P A61K 7/00 F 31/715 ADD 47/26 B C12P 19/14 Z 7432−4B 19/16 7432−4B 19/18 7432−4B

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶マルトテトラオシルグルコシド。
  2. 【請求項2】 結晶が、含水結晶又は無水結晶である請
    求項1記載の結晶マルトテトラオシルグルコシド。
  3. 【請求項3】 結晶が粉末X線回折法における主な回折
    角(2θ)として、12.6°、21.3°、22.1
    °及び22.8°を有するか、又は12.7°、13.
    7°、18.8°及び23.2°を有する請求項1又は
    2記載の結晶マルトテトラオシルグルコシド。
  4. 【請求項4】 マルトテトラオシルグルコシド含有溶液
    から、結晶マルトテトラオシルグルコシドを晶出せし
    め、これを採取することを特徴とする結晶マルトテトラ
    オシルグルコシドの製造方法。
  5. 【請求項5】 マルトテトラオシルグルコシドが、マル
    トペンタオース含有溶液に非還元性糖質生成酵素を作用
    させて生成されたものであるか、又は、トレハロースと
    澱粉質との含有溶液若しくは末端にトレハロース構造を
    有する非還元性糖質の含有溶液にシクロマルトデキスト
    リン・グルカノトランスフェラーゼを作用させて生成さ
    れたものであることを特徴とする請求項4記載の結晶マ
    ルトテトラオシルグルコシドの製造方法。
  6. 【請求項6】 マルトペンタオース含有溶液が、澱粉質
    にα−アミラーゼ又はα−アミラーゼとともに澱粉枝切
    酵素を作用させて生成されたものであることを特徴とす
    る請求項5記載の結晶マルトテトラオシルグルコシドの
    製造方法。
  7. 【請求項7】 非還元性糖質生成酵素が、グルコース重
    合度3以上の還元性澱粉部分分解物から末端にトレハロ
    ース構造を有する非還元性糖質を生成する酵素であるこ
    とを特徴とする請求項5又は6記載の結晶マルトテトラ
    オシルグルコシドの製造方法。
  8. 【請求項8】 マルトペンタオース含有溶液に非還元性
    糖質生成酵素を作用させて得られるマルトテトラオシル
    グルコシドを含有する水溶液、又は、トレハロースと澱
    粉質との含有溶液若しくは末端にトレハロース構造を有
    する非還元性糖質含有溶液にシクロマルトデキストリン
    ・グルカノトランスフェラーゼを作用させて得られるマ
    ルトテトラオシルグルコシドを含有する水溶液を、アル
    カリ処理するか又はクロマトグラフィーにかけてマルト
    テトラオシルグルコシド高含有液とし、これを濃縮し、
    晶出、採取することを特徴とする結晶マルトテトラオシ
    ルグルコシドの製造方法。
  9. 【請求項9】 結晶マルトテトラオシルグルコシドを含
    有せしめてなる組成物。
  10. 【請求項10】 結晶マルトテトラオシルグルコシドを
    0.1w/w%以上含有せしめることを特徴とする請求
    項9記載の結晶マルトテトラオシルグルコシドを含有せ
    しめてなる組成物。
  11. 【請求項11】 組成物が、飲食物、化粧品、医薬品、
    又は成形物であることを特徴とする請求項9又は10記
    載の結晶マルトテトラオシルグルコシドを含有せしめて
    なる組成物。
  12. 【請求項12】 結晶マルトテトラシルグルコシドを含
    有せしめることを特徴とする組成物の製造方法。
  13. 【請求項13】 結晶マルトテトラオシルグルコシドを
    0.1w/w%以上含有せしめることを特徴とする請求
    項12記載の組成物の製造方法。
  14. 【請求項14】 組成物が、飲食物、化粧品、医薬品又
    は成形物であることを特徴とする請求項12又は13記
    載の組成物の製造方法。
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