JP4822207B2 - 化粧料 - Google Patents
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Description
(1)保湿剤としてのセラミド等の細胞間脂質は、高価な上に、水な
どの溶媒への溶解性が悪いために、有効な濃度まで化粧料に配
合することは困難な場合がある。
(2)吸湿剤は、使用感がベトベトしていてさっぱり感がない。
(3)吸湿剤、細胞間脂質系保湿剤をそれぞれ単独で配合する場合に
は、十分な水分の保持効果が得られず、使用感が悪く化粧持ち
の点でも問題があり、皮膚に理想的な吸湿、保湿作用を有する
化粧料を得ることができない。また、これらを組み合わせて使
用する場合は、相溶性の悪さや着色するなどの点で、化粧料の
剤型や配合濃度が限定される。
(4)一方、粉末を多く用いるメークアップ化粧料には化粧効果の持
続性を目的として、疎水化された粉体が汎用されるため、それ
ら粉体は皮脂を吸収するものの、水分を保持する能力に乏しい
ため、カサツキを生じ易い傾向にある。
従って、細胞間脂質作用(保湿作用)を有し、且つ、べたつき感のない、スキンケア化粧料のみならずメークアップ化粧料やボディ化粧料、頭髪化粧料等、広い範囲の剤型に適用可能な化粧料用の素材の開発が望まれており、例えば、特開平7−40845号公報には、α,α−トレハロースとα,α−トレハロース以外の粉体を含有する固型粉末化粧料が提案されている。また、これとは別に、本出願人は、特開平7−291987号公報及び特開平7−143876号公報において、α−マルトテトラオシルα−グルコシド(別名α−マルトトリオシルα,α−トレハロース)、或いは、α−マルトテトラオシルα−グルコシドをはじめとするα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有する糖質、及び、これらの糖質を含有する化粧料を開示した。しかしながら、α,α−トレハロースは、水溶性のため、発汗等により皮膚の水分が増加した場合には、化粧がくずれる場合がある。また、これらの特許文献には、α−マルトテトラオシルα−グルコシドを含有する固型粉末化粧料や、該固型粉末化粧料が皮膚をしっとりと水々しく保ち、しかも、べたつかない化粧料であること、さらには、該化粧料が、皮脂の変敗を抑制し、体臭や汗臭さを効果的に抑制できることについては、何ら記載されていない。また、α,α−トレハロースは水溶性なので、これを使用した化粧料の場合も、発汗などにより化粧崩れを起こす場合もあり、さらなる保水性を有する化粧料用の素材の開発が望まれている。
結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドの調製
純度98%のマルトペンタオース(株式会社林原生物化学研究所販売)50質量部を水200質量部に加熱溶解させた後、pH7.0、温度40℃に調整し、これに特開平7−291987号公報の実験A−2に開示された方法で調製した、リゾビウム・スピーシーズM−11由来の非還元性糖質生成酵素を、マルトペンタオースグラム当たり5単位になるように加え、24時間反応させた。100℃で20分加熱して、酵素を失活させた。本溶液は、α−マルトテトラオシルα−グルコシドを固形物当たり約90%含有し、その他はマルトペンタオースであった。この反応液に水酸化ナトリウムを0.1Nになるように加え、100℃で2時間加熱して還元性糖質を分解した。この溶液を活性炭にて脱色し、H型、OH型、イオン交換樹脂で脱塩し、α−マルトテトラオシルα−グルコシド純度98%の糖液を得た。この糖液を濃度60%に濃縮して助晶缶にとり、結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドを種晶として2%加え、ゆっくり撹拌しながら助晶した。得られるマスキットを分蜜し純度99.9%の含水結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドを原料当たり収率約50%で得た。このようにして得た結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドは、室内に放置しても吸湿性を示さなかった。本結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドは、本発明の化粧料の原料として有利に用いることができる。
結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドの調製
炭酸カルシウム0.1%を含む濃度20%の馬鈴薯澱粉乳を、pH6.0に調整したのち、α−アミラーゼ(ノボ・ノルディスク・インダストリー社製造、商品名ターマミール60L)を澱粉固形物グラム当たり0.3%加え、95乃至100℃に加熱して、澱粉を糊化、分解したのち、酵素を加熱失活させてDE19.5の液化液を得た。本液をpH6.2、温度40℃に調整し、これに参考例1で使用したものと同じ非還元性糖質生成酵素を澱粉グラム当たり3単位、イソアミラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製造)を1,000単位の割合となるように加え、72時間反応させた。その反応液を95℃に加熱し10分間保って酵素を失活させた。本溶液は、α−マルトテトラオシルα−グルコシドを固形物当たり約30%含有していた。この反応液を活性炭で脱色し、イオン交換樹脂(H型及びOH型)にて脱塩し、濃度40%に濃縮した。この濃縮液を塩型強酸性カチオン交換樹脂(オルガノ株式会社製造、商品名XT−1016、Na型)を充填したジャケット付きステンレス製カラム(5.4cm×4mを4本直列に接続)に、60℃、SV0.4でチャージし、ついで、60℃温水で溶出してα−マルトテトラオシルα−グルコシド高含有画分を採取した。本液は、固形物当たり約75%のα−マルトテトラオシルα−グルコシドを含有していた。本液を常法にしたがって、活性炭にて脱色し、イオン交換樹脂(H型及びOH型)にて脱塩し、固形物濃度約80%に濃縮した。この濃縮液を助晶缶にとり、結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドを種晶として1%加え、ゆっくり撹拌しながら助晶し、次いで、バットに取り出し、ブロックを作製した。ブロックは約25℃で2日間静置し熟成させた後、切削型粉砕機で粉砕し、流動乾燥し、分級し、含水結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシド含有糖質粉末を原料当たり収率約30%で得た。本品は、実質的に吸湿性を示さず、取扱いが容易な組成物で、本発明の化粧料の原料として好適である。
結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドの調製
澱粉部分分解物(松谷化学工業株式会社製造、商品名パインデックス#4)を用いて、濃度20%、pH5.5、温度45℃に調整し、イソアミラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製造)を澱粉部分分解物グラム当たり500単位加え、24時間反応し、澱粉由来のα−1,6結合を分解した。反応液を100℃に加熱し10分間保ったのち、40℃に冷却し、pHを6.5に調整した。これに参考例1で使用したものと同じ非還元性糖質生成酵素を固形物グラム当たり5単位、α−アミラーゼ(ノボ・ノルディスク・インダストリー社製造、商品名ターマミール60L)を澱粉固形物グラム当たり0.3%加え、48時間反応させ、その反応液を加熱し酵素を失活させたのち、冷却した。本反応液は、α−マルトテトラオシルα−グルコシドを、固形物当たり約32%含有していた。これを参考例2と同様に精製、濃縮し、塩型強酸性カチオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィーにかけてα−マルトテトラオシルα−グルコシド高含有画分を採取した。本液は、固形物当たり約81%のα−マルトテトラオシルα−グルコシドを含有していた。本液を常法にしたがって、活性炭にて脱色し、イオン交換樹脂(H型及びOH型)にて脱塩し、濃度約70%に濃縮して助晶缶にとり、結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドを、種晶として2%添加し、ゆっくり撹拌しながら助晶し、晶出率約60%のマスキットを得た。本マスキットを乾燥塔上のノズルより150kg/cm2の高圧で噴霧した。これと同時に85℃の熱風を乾燥塔の上部より送風し、乾燥塔底部に設けた移送金網コンベア上に結晶粉末を捕集し、コンベアの下より45℃の温風を送りつつ、該粉末を乾燥塔外に徐々に移動させて、取り出した。この粉末結晶を熟成塔に充填し、温風を送りつつ、24時間熟成させ、結晶化と乾燥を完了し、含水結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシド含有糖質粉末を原料当たり収率約25%で得た。本品は、吸湿性を示さず、取扱いが容易な組成物で、本発明の化粧料の原料として好適である。
結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドの調製
参考例1の方法で得た含水結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドを100℃で一夜減圧乾燥して、水分約0.2%の無水結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドを得た。本品は、室内に放置すると吸湿し、水分約4%の含水結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドに容易に戻り安定化する。本無水結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドは、本発明の化粧料の原料として好適であるばかりでなく、吸湿剤、脱水剤、化学原料等として有利に利用できる。
結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドの調製
α,α−トレハロース(株式会社林原商事販売、商標『トレハ』)1質量部及び澱粉部分分解物(松谷化学工業株式会社製造、商品名パインデックス#4)1質量部を水3質量部に加熱溶解し、温度65℃、pH6.0に調整し、これにバチルス・ステアロサーモフィラス由来のシクロマルトデキストリン・グルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製造)を澱粉部分分解物グラム当たり10単位加えて24時間反応の後、酵素を加熱失活させた。次いで、温度55℃に調整し、これにプルラナーゼ(株式会社林原生物化学研究所製造)及びα−アミラーゼ(ノボ・ノルディスク・インダストリー社、商品名ターマミール60L)を澱粉部分分解物グラム当たりそれぞれ25単位、5単位加えて24時間反応させて、これら酵素を加熱失活させた。この反応液には、α−マルトテトラオシルα−グルコシドを固形物当たり約15%含有していた。これを参考例2と同様に精製し、塩型強酸性カチオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィーにかけてα−マルトテトラオシルα−グルコシド高含有画分を得、これを脱色、脱塩し、濃縮、助晶し、バットに取り出してブロックを作製した。本ブロックを切削、乾燥、分級して、含水結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシド含有糖質粉末を原料当たり収率約10%で得た。本品は、実質的に吸湿性を示さず、取扱いが容易な組成物で、本発明の化粧料の原料として好適である。
パウダーファンデーション
結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドを含有するパウダーファンデーションを調製し、肌への密着性、化粧仕上がり感、保湿性、化粧の持続性について評価を行った。なお、ファンデーションの調製は、表1に示す構成処方に基づき、そのA成分をヘンシェルミキサーで混合し、これに均一加熱溶解したB成分を加え、混合粉砕し、中皿に圧縮成型して行った。
サンスクリーンクリーム
結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドを含有するサンスクリーンクリームを調製し、肌への密着性、化粧仕上がり感、保湿性、化粧の持続性について評価を行った。なお、サンスクリーンクリームの調製は、表3に示す構成処方に基づき、その全量を仕込める容器にA成分を秤量し、加温し溶解させ、これに粉砕して均一混合したB成分を加え、均一に混合後、別の容器で均一に加熱溶解したC成分を加え、全体をホモジナイザーで均一にして、室温まで攪拌冷却して調製した。
洗顔フォーム
表5に示す構成処方に基づき、その全量を75〜85℃で加熱溶解した後、徐々に室温まで攪拌冷却し、目的の洗顔フォームを得た。本品は、結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドを含有しているので、クリーミィな泡立ちで、スクラブ感が適度に発揮されたすっきりした洗浄感を有し、洗い上がり時はシットリとした感じが持続する洗顔フォームである。
ピールオフパック
表6に示す構成処方に基づき、そのA成分を均一に加熱溶解し、別に均一溶解したB成分及びC成分を添加混合して均一とした後、室温まで攪拌冷却し、目的のピールオフパックを得た。本品は、結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドを含有しているので、塗布時ののびが良く、均質な被膜となり、スムーズに剥離出来、古くなった角質層や肌の汚れを取り除き、すっきりとして潤いのある使用後感が得られるピールオフパックである。
口紅
表7に示す構成処方に基づき、そのA成分を混合して、85℃で攪拌溶解したものに、B成分の各成分をヒマシ油の一部に加えローラーで処理したものを加えて均一に分散した。これを、モールド型に流し込み急冷し、スティック状とし、目的の口紅を得た。本品は、結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドを含有しているので滑らかなのびで、化粧仕上がりがよく、保湿性があり、潤った唇状態を保つことのできる口紅である。
歯磨き
表8に示す構成処方に基づき、そのA成分を加熱混合して均一にした後、B成分、C成分を順次添加、攪拌して均一にし、攪拌冷却して、目的の歯磨きを得た。本品は、結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドを含有しているので、泡立ちがよく、すっきりした洗浄後感で、歯垢もきれいに除去することのできる歯磨きである。
アイシャドウ
表9に示す構成処方に基づき、そのA成分をヘンシェルミキサーで混合し、これに均一加熱溶解したB成分を加え、混合粉砕し、中皿に圧縮成型し、アイシャドウを得た。本品は、結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドを含有しているので、密着性と化粧仕上がり感が良く、塗布した瞼から目尻は保湿感が得られる、使用感の良いアイシャドウである。
マスカラ
表10に示す構成処方に基づき、そのA成分を加熱溶解させ、混合粉砕したB成分を加えて均一に分散させ、これに、別の容器で均一溶解したC成分を添加して乳化し、均一にした後、攪拌冷却し、40℃付近でD成分を加えて均一にし、室温まで冷却攪拌して、目的のマスカラを得た。本品は、結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドを含有しているので、のびが良く、睫毛に均質に付着し、しっとりとして、ボリューム感がアップした仕上がり感が得られるマスカラである。
化粧下地
表11に示す配合処方に基づき、そのB成分を加熱溶解したものの中にC成分を添加・分散後、別の容器で加熱・溶解したA成分を添加・乳化して充分に均一混合して、室温まで攪拌冷却し、目的の化粧下地を得た。本品は、結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドを含有しているので、ファンデーションとの密着性がよく、化粧崩れしにくく、更に、シットリとした感触が持続し、良好な使用感触を有する化粧下地である。
化粧下地
表12に示す配合処方に基づき、そのB成分を加熱溶解したものの中にC成分を添加・分散後、別の容器で加熱・溶解したA成分を添加・乳化して充分に均一混合して、室温まで攪拌冷却し、目的の化粧下地を得た。本品は、結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドを含有しているので、ファンデーションとの密着性がよく、化粧崩れしにくく、更に、シットリとした感触が持続し、良好な使用感を有する化粧下地である。
Claims (7)
- 結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシドを含有することを特徴とする固型粉末化粧料。
- さらに、結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシド以外の粉末を含有することを特徴とする請求項1に記載の固型粉末化粧料。
- 結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシド以外の粉末が、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、カオリン、マイカ、雲母、ベントナイト、チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、群青、紺青、酸化クロム、水酸化クロム、カラミン、ゼオライト、カーボンブラック、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッソ樹脂、ケイ素樹脂、アクリル酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、セルロイド、アセチルセルロース、セルロース、澱粉、キチン、キトサン、シルクから選ばれる1種又は2種以上の粉末であることを特徴とする請求項2に記載の固型粉末化粧料。
- 結晶α−マルトテトラオシルα−グルコシド以外の粉末が、ルチン、糖転移ルチン、ヘスペリジン、糖転移ヘスペリジン、ナリンジン、糖転移ナリンジン、エスクリン、糖転移エスクリン、エスクレチン、糖転移エスクレチン、アスコルビン酸2−グルコシド、天然着色料から選ばれる何れか1種又は2種以上の成分を有機粉体に担持せしめた粉体であることを特徴とする請求項2に記載の固型粉末化粧料。
- 天然着色料がアントラキノン系色素、アントシアニン系色素、カルコン系色素、カルテノイド系色素から選ばれる何れか1種又は2種以上の成分であることを特徴とする請求項4に記載の固型粉末化粧料。
- 有機粉体が、アセチルセルロース、セルロース、キチン、キトサン、タンパク質、硬タンパク質から選ばれる何れか1種又は2種以上の粉体であることを特徴とする請求項4に記載の固型粉末化粧料。
- スキンケア化粧料、メークアップ化粧料、ボディ化粧料の何れかである請求項1乃至6の何れかに記載の化粧料。
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