JPH07291973A - 新規な2−ピロリジニルチオカルバペネム誘導体 - Google Patents

新規な2−ピロリジニルチオカルバペネム誘導体

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JPH07291973A
JPH07291973A JP6112013A JP11201394A JPH07291973A JP H07291973 A JPH07291973 A JP H07291973A JP 6112013 A JP6112013 A JP 6112013A JP 11201394 A JP11201394 A JP 11201394A JP H07291973 A JPH07291973 A JP H07291973A
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JP
Japan
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lower alkyl
hydrogen atom
compound
alkyl group
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JP6112013A
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English (en)
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Susumu Nakagawa
晋 中川
Hiroshi Fukatsu
弘 深津
Ryosuke Ushijima
良輔 牛嶋
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MSD KK
Original Assignee
Banyu Phamaceutical Co Ltd
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Publication date
Application filed by Banyu Phamaceutical Co Ltd filed Critical Banyu Phamaceutical Co Ltd
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/55Design of synthesis routes, e.g. reducing the use of auxiliary or protecting groups

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  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 一般式[I] [式中、R1は水素原子または水酸基の保護基、R2は水
素原子または低級アルキル基、R3は水素原子、陰電
荷、エステル残基またはアルカリ金属、R4は水素原
子、低級アルキル基またはイミノ基の保護基、R5、R6
およびR7は、水素原子、低級アルキル基、カルバモイ
ル低級アルキル基またはカルボキシ低級アルキル基、R
8は水素原子または水酸基の保護基、Aはチアゾリル
基、オキサゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリ
ミジニル基およびピラジニル基からなる群から選ばれる
複素環基、mおよびnは0または1の整数を示す]で表
される化合物、その医薬上許容される塩またはエステ
ル、その製造法および抗菌剤としてのその用途。 【効果】 上記化合物は、MRSAを含むグラム陽性菌
およびグラム陰性菌に対する強い抗菌力、β−ラクタマ
ーゼおよびDHP−Iに対する優れた安定性を有し、抗
菌剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なカルバペネム
(7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]へプタ
−2−エン−2−カルボン酸)化合物、該化合物を有効
成分として含有する抗菌剤および該化合物の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ペニシリン類およびセファロスポ
リン類と同じβ−ラクタム環を持ちながら、これらと基
本骨格の異なった新規なβ−ラクタム抗生物質が次々と
天然から発見されている。
【0003】例えば、ストレプトミセス カトレア(S
treptomyces cattleya)の醗酵よ
り単離されたチエナマイシン(thienamyci
n)[ジャ−ナル オブ ジ アメリカン ケミカル
ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、第10
0巻、6491頁(1978年)]のような天然由来の
カルバペネム化合物が挙げられる。チエナマイシンは、
グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して、広範囲にわ
たり優れた抗菌スペクトルと強い抗菌力を有し、有用性
の高いβ−ラクタム剤としての開発が期待された。しか
しながら、チエナマイシンそのものが化学的に不安定で
あり、またある種の生体内酵素、例えば腎デヒドロペプ
チダーゼI(以下、DHP−Iと略す)により分解され
て、その抗菌活性の効力を減じ、尿中回収率が低いこと
が報告されている[アンチミクロビアル アジェンツ
アンド ケモテラピィ(Antimicrob.Age
nts Chemother.)、第22巻、62頁
(1982年);同、第23巻、300頁(1983
年)]。
【0004】メルク(Merck)社では、チエナマイ
シンの優れた抗菌活性を維持し、かつ、その化学的安定
性の確保を狙って、数多くのチエナマイシン類縁体を合
成した。その結果、チエナマイシンのアミノ基をホルム
イミドイル化したイミペネム[Imipenem:(5
R,6S)−3−[[2−(ホルムイミドイルアミノ)
エチル]チオ]−6−[(R)−1−ヒドロキシエチ
ル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘ
プタ−2−エン−2−カルボン酸・1水和物;ジャーナ
ル オブ メディシナル ケミストリー(J.Med.
Chem.)、第22巻、1435頁(1979年)]
が医薬品としての実用化に至った。
【0005】イミペネムは、種々の菌種に対してチエナ
マイシンと同等以上の抗菌活性およびβ−ラクタマーゼ
抵抗性を保持し、特に緑膿菌に対しては、その抗菌作用
が2〜4倍優れている。また、イミペネムの水溶液およ
び固体としての安定性は、チエナマイシンに較べ著しく
改善された。
【0006】しかしながら、イミペネムはチエナマイシ
ン同様、人の腎臓でDHP−Iにより分解されるため、
尿路感染症に使用できないだけでなく、分解産物による
腎毒性を示す。そのためにイミペネムは、単独で投与す
ることができず、シラスタチン(cilastati
n)のようなDHP−I阻害剤と併用しなければならな
い[ジャーナル オブ アンチミクロビアル ケモテラ
ピィ(J.Antimicrob.Chemothe
r.)、第12巻(Suppl D)、1頁(1983
年)]。また、近年、イミペネムは感染症の治療および
予防に頻繁に使用され、イミペネムに耐性なメチシリン
高度耐性黄色ブドウ球菌やイミペネム耐性緑膿菌が臨床
の場で増加しつつあり、これら耐性菌にイミペネムは充
分な治療効果を示していない。
【0007】本発明に最も類似する先行技術としては、
特開昭63−179876号公報(以下、A公報とい
う。)および特開平2−204490号公報(以下、B
公報という。)が挙げられる。A公報には、カルバペネ
ム化合物として、カルバペネムの2位に、基:A−X−
4なる置換基が置換したピロリジニルチオ基を有する
化合物が記載されている。B公報には、カルバペネム化
合物として、カルバペネムの2位に、基:A−O−R4
なる置換基が置換したピロリジニルチオ基を有する化合
物が記載されている。
【0008】しかしながら、A公報の記載によれば、当
該置換基の置換部分R4の定義は、適当な置換基を有す
る低級アルキル基、適当な置換基によって置換されてい
てもよい複素環基または低級アルキルスルホニル基に限
定されている。またB公報の記載も同様に置換部分R4
の定義は、モノハロ(低級)アルキル基、モノ−または
ジ(低級)アルキルアミノ(低級)アルキル基、保護さ
れたモノ(低級)アルキルアミノ(低級)アルキル基、
モノ−またはジ(低級)アルキルカルバモイル(低級)
アルキル、もしくは保護されたまたは保護されていない
カルボキシ(低級)アルキル基の置換低級アルキル基に
限定されている。
【0009】さらには、上記の先行技術には、その発明
の有用性として、抗菌作用を有することが記載され、試
験菌として、黄色ブドウ球菌または緑膿菌のデータが示
されているにすぎない。
【0010】すなわち、これらの先行技術には、本発明
の特徴であるカルバペネム骨格の置換ピロリジニルチオ
基の置換基が、
【0011】
【化7】 [式中、R5、R6およびR7は同一または異なって、水
素原子、低級アルキル基、カルバモイル低級アルキル基
またはカルボキシ低級アルキル基、R8は水素原子また
は水酸基の保護基、Aはチアゾリル基、オキサゾリル
基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基および
ピラジニル基からなる群から選ばれる複素環基、mおよ
びnは同一または異なって、0または1の整数を示す]
である化合物のみならず、該化合物が、メチシリン耐性
黄色ブドウ球菌に顕著な効果を有することは、開示も示
唆もされていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】β−ラクタム抗生物質
は、細菌にのみ選択毒性を示し、動物細胞に対しては影
響を与えないことから、副作用の少ない抗生物質として
細菌による感染症の治療に広く使用され、有用性の高い
薬剤である。
【0013】しかしながら、近年、メチシリン耐性黄色
ブドウ球菌(Methicillin−resista
nt Staphylococcus aureus
以下、MRSAと略記する。)、メチシリン耐性コアグ
ラーゼ陰性ブドウ球菌(Methicillin−re
sistant coagulase negativ
Staphylococci;以下、MRCNSと
略記する。)および耐性緑膿菌が免疫力の低下した患者
から難治性感染症の起炎菌として、しばしば分離され、
大きな社会問題になっている。更に、最近、MRSAに
対して選択的に使用されているバンコマイシン(Van
comycin)は腎毒性が強く、またMRSAおよび
MRCNS病原菌による耐性が増加しつつあり、臨床上
大きな問題になりつつある。従って、これらの耐性菌に
対する優れた抗菌力を有する抗菌剤の開発が強く望まれ
ているが、このような要求に応えるβ−ラクタム抗菌剤
は未だ開発されていない。カルバペネム化合物において
は、難治性感染症の起炎菌、特にMRSAおよびMRC
NSに対する抗菌力の改善、DHP−Iに対する安定性
の向上、腎毒性の軽減、中枢神経系に対する副作用のな
い薬剤の開発が強く望まれている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、優れた抗
菌力を有し、かつDHP−Iに耐性の新規なカルバペネ
ム化合物を提供することを目的とし、鋭意研究した。そ
の結果、カルバペネム骨格の2位に、一般式
【0015】
【化8】 [式中、R4は水素原子、低級アルキル基またはイミノ
基の保護基、R5、R6、R7、R8、A、mおよびnは前
記の意味を有する]で表される基を有する本発明のカル
バペネム化合物は文献未記載の新規な化合物であり、M
RSAを含むグラム陽性菌および緑膿菌を含むグラム陰
性菌に対して、強い抗菌力を有し、更にDHP−Iに対
しても優れた安定性を示すことを見出した。
【0016】本発明は、一般式
【0017】
【化9】 [式中、R1は水素原子または水酸基の保護基、R2は水
素原子または低級アルキル基、R3は水素原子、陰電
荷、エステル残基またはアルカリ金属、R4は水素原
子、低級アルキル基またはイミノ基の保護基、R5、R6
およびR7は同一または異なって、水素原子、低級アル
キル基、カルバモイル低級アルキル基またはカルボキシ
低級アルキル基、R8は水素原子または水酸基の保護
基、Aはチアゾリル基、オキサゾリル基、ピラゾリル
基、ピリジル基、ピリミジニル基およびピラジニル基か
らなる群から選ばれる複素環基、mおよびnは同一また
は異なって、0または1の整数を示す]で表される化合
物、その製造法および抗菌剤としてのその用途に関す
る。
【0018】本明細書に記載された記号および用語につ
いて説明する。
【0019】本発明の化合物は基本構造
【0020】
【化10】 を有し、系統的に7−オキソ−1−アザビシクロ[3.
2.0]へプタ−2−エン−2−カルボン酸と呼ばれ
る。本明細書では、簡易化のために慣用的に広く使用さ
れているカルバペネムに基づく番号を付し、その基本構
造を1−カルバペン−2−エム−3−カルボン酸と記載
する。
【0021】
【化11】 本発明は、カルバペネム骨格の1位、5位、6位および
8位の不斉炭素原子に基づく光学異性体および立体異性
体を包含するが、これら異性体で好適な化合物は、チエ
ナマイシンのような立体配置を有する5R,6S配置
(5,6−トランス)で、かつ8位の炭素原子がR配置
の化合物である(5R,6S,8R)配置の化合物、ま
たは1位にメチル基を有する場合は(1R,5S,6
S,8R)配置の化合物を挙げることができる。
【0022】
【化12】 本発明は、カルバペネム核2位の置換ピロリジニルチオ
基についても、置換ピロリジン核の不斉炭素に基づく異
性体を包含する。該置換ピロリジン環の置換様式は、特
に限定されず、何れの位置にでも置換することができ
る。
【0023】好適な置換様式としては、
【0024】
【化13】 が挙げられ、特に
【0025】
【化14】 で示される置換様式が好適である。
【0026】低級アルキル基とは、炭素数1ないし6個
の直鎖状または分岐状のアルキル基を示し、例えばメチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基等が挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、
t−ブチル基等が好適である。
【0027】カルバモイル低級アルキル基とは、カルバ
モイル基が置換した上記の低級アルキル基を意味し、例
えばカルバモイルメチル基、1−カルバモイルエチル
基、2−カルバモイルエチル基、1−カルバモイルプロ
ピル基、2−カルバモイルプロピル基、3−カルバモイ
ルプロピル基、1−カルバモイル−1−メチルエチル
基、1−カルバモイルメチルエチル基、1−カルバモイ
ルブチル基、2−カルバモイルブチル基、3−カルバモ
イルブチル基、4−カルバモイルブチル基、1−カルバ
モイル−1,1−ジメチルエチル基、5−カルバモイル
ペンチル基、6−カルバモイルヘキシル基等が挙げら
れ、中でも、カルバモイルメチル基、2−カルバモイル
エチル基、1−カルバモイル−1,1−ジメチルエチル
基、等が好適である。
【0028】カルボキシル低級アルキル基とは、カルボ
キシル基が置換した上記の低級アルキル基を意味し、例
えばカルボキシルメチル基、1−カルボキシルエチル
基、2−カルボキシルエチル基、1−カルボキシルプロ
ピル基、2−カルボキシルプロピル基、3−カルボキシ
ルプロピル基、1−カルボキシル−1−メチルエチル
基、1−カルボキシルメチルエチル基、1−カルボキシ
ルブチル基、2−カルボキシルブチル基、3−カルボキ
シルブチル基、4−カルボキシルブチル基、1−カルボ
キシル−1,1−ジメチルエチル基、5−カルボキシル
ペンチル基、6−カルボキシルヘキシル基等が挙げら
れ、中でも、カルボキシルメチル基、2−カルボキシル
エチル基、1−カルボキシル−1,1−ジメチルエチル
基、等が好適である。
【0029】カルボキシル基の保護基とは、例えばメチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブ
チル基等の低級アルキル基;例えば2,2,2−トリク
ロロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基等の
ハロ置換低級アルキル基;例えばアセトキシメチル基、
プロピオニルオキシメチル基、ピバロイルオキシメチル
基、1−アセトキシエチル基、1−プロピオニルオキシ
エチル基等の低級アルカノイルオキシアルキル基;例え
ば1−(メトキシカルボニルオキシ)エチル基、1−
(エトキシカルボニルオキシ)エチル基、1−(イソプ
ロポキシカルボニルオキシ)エチル基等の低級アルコキ
シカルボニルオキシアルキル基;例えば2−プロペニル
基、2−クロロ−2−プロペニル基、3−メトキシカル
ボニル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニ
ル基、2−ブテニル基、シンナミル基等の低級アルケニ
ル基;例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基、
3,4−ジメトキシベンジル基、o−ニトロベンジル
基、p−ニトロベンジル基、ベンズヒドリル基、ビス
(p−メトキシフェニル)メチル基等のアラルキル基;
例えば(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソー
ル−4−イル)メチル基等の(5−置換−2−オキソ−
1,3−ジオキソール−4−イル)メチル基;例えばト
リメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等の低
級アルキルシリル基;インダニル基、フタリジル基、メ
トキシメチル基等が挙げられ、特に2−プロペニル基、
p−ニトロベンジル基、p−メトキシベンジル基、ベン
ズヒドリル基、t−ブチルジメチルシリル基等が好まし
い。
【0030】水酸基の保護基とは、例えばトリメチルシ
リル基、t−ブチルジメチルシリル基等の低級アルキル
シリル基;例えばメトキシメチル基、2−メトキシエト
キシメチル基等の低級アルコキシメチル基;例えばテト
ラヒドロピラニル基;例えばベンジル基、p−メトキシ
ベンジル基、2,4−ジメトキシベンジル基、o−ニト
ロベンジル基、p−ニトロベンジル基、トリチル基等の
アラルキル基;例えばホルミル基、アセチル基等のアシ
ル基;例えばt−ブトキシカルボニル基、2−ヨードエ
トキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシ
カルボニル基等の低級アルコキシカルボニル基;例えば
2−プロペニルオキシカルボニル基、2−クロロ−2−
プロペニルオキシカルボニル基、3−メトキシカルボニ
ル−2−プロペニルオキシカルボニル基、2−メチル−
2−プロペニルオキシカルボニル基、2−ブテニルオキ
シカルボニル基、シンナミルオキシカルボニル基等のア
ルケニルオキシカルボニル基;例えばベンジルオキシカ
ルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル
基、o−ニトロベンジルオキシカルボニル基、p−ニト
ロベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカ
ルボニル基等が挙げられ、特に2−プロペニルオキシカ
ルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基、
t−ブチルジメチルシリル基等が好ましい。
【0031】イミノ基の保護基とは、例えばベンジリデ
ン基、p−クロロベンジリデン基、p−ニトロベンジリ
デン基、サリチリデン基、α−ナフチリデン基、β−ナ
フチリデン基等のアラルキリデン基;例えばベンジル
基、p−メトキシベンジル基、3,4−ジメトキシベン
ジル基、o−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル
基、ベンズヒドリル基、ビス(p−メトキシフェニル)
メチル基、トリチル基等のアラルキル基;例えばホルミ
ル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、オキ
サリル基、スクシニル基、ピバロイル基等の低級アルカ
ノイル基;例えばクロロアセチル基、ジクロロアセチル
基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基等
のハロ置換低級アルカノイル基;例えばフェニルアセチ
ル基、フェノキシアセチル基等のアリールアルカノイル
基;例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル
基、プロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル
基等の低級アルコキシカルボニル基;例えば2−ヨード
エトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキ
シカルボニル基等のハロ置換低級アルコキシカルボニル
基;例えば2−プロペニルオキシカルボニル基、2−ク
ロロ−2−プロペニルオキシカルボニル基、3−メトキ
シカルボニル−2−プロペニルオキシカルボニル基、2
−メチル−2−プロペニルオキシカルボニル基、2−ブ
テニルオキシカルボニル基、シンナミルオキシカルボニ
ル基等のアルケニルオキシカルボニル基;例えばベンジ
ルオキシカルボニル基、o−ニトロベンジルオキシカル
ボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基、フ
ェネチルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカル
ボニル基;例えばトリメチルシリル基、t−ブチルジメ
チルシリル基等の低級アルキルシリル基等が挙げられ、
特に、2−プロペニルオキシカルボニル基、t−ブトキ
シカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル
基等が好ましい。
【0032】エステル残基とは、例えばアセトキシメチ
ル基、ピバロイルオキシメチル基等のアルカノイルオキ
シメチル基、1−(エトキシカルボニルオキシ)エチル
基等のアルコキシカルボニルオキシアルキル基、フタリ
ジル基、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソ
ール−4−イル)メチル基等の(5−置換−2−オキソ
−1,3−ジオキソール−4−イル)メチル基等が挙げ
られる。
【0033】アルカリ金属とは、ナトリウム、カリウム
等のアルカリ金属等が挙げられる。
【0034】R1は水素原子または水酸基の保護基を示
す。
【0035】R2は水素原子または低級アルキル基を示
す。
【0036】R3は水素原子、陰電荷、エステル残基ま
たはアルカリ金属を示し、R3が陰電荷の場合、Aなる
複素環基上のアンモニウム基とイオン対を形成する。
【0037】R4は水素原子、低級アルキル基またはイ
ミノ基の保護基を示す。
【0038】R5、R6およびR7は同一または異なっ
て、水素原子、低級アルキル基、カルバモイル低級アル
キル基またはカルボキシ低級アルキル基を示す。
【0039】R8は水素原子または水酸基の保護基を示
す。
【0040】Aはチアゾリル基、オキサゾリル基、ピラ
ゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基およびピラジニ
ル基からなる群から選ばれる複素環基を示し、当該複素
環基との窒素原子は、低級アルキル基等との置換基と共
にアンモニウムイオンを形成することができる。
【0041】mおよびnは同一または異なって、0また
は1の整数を示す。ここで、一般式[I]の化合物を具
体的に説明する。
【0042】一般式[I]の化合物の好適な化合物群
は、一般式
【0043】
【化15】 一般式
【0044】
【化16】 一般式
【0045】
【化17】 および一般式
【0046】
【化18】 [式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8
A、mおよびnは前記の意味を有する]で表される化合
物であり、特に一般式[I−d]の化合物が好適であ
る。
【0047】一般式[I]の化合物の医薬として許容さ
れる塩としては、医薬上許容される慣用的なものを意味
し、カルバペネム骨格の3位のカルボキシル基または2
位側鎖のピロリジン塩基もしくは該ピロリジン核に置換
する側鎖上の塩基における塩類を挙げることができる。
【0048】該カルボキシル基における塩基性付加塩と
しては、前記のR2がアルカリ金属である例えばナトリ
ウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩の他;例えばカ
ルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;
例えばアンモニウム塩;例えばトリメチルアミン塩、ト
リエチルアミン塩;ジシクロヘキシルアミン塩、エタノ
ールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノール
アミン塩、プロカイン塩等の脂肪族アミン塩;例えば
N,N’−ジベンジルエチレンジアミン等のアラルキル
アミン塩;例えばピリジン塩、ピコリン塩、キノリン
塩、イソキノリン塩等の複素環芳香族アミン塩;例えば
テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウ
ム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルト
リエチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニ
ウム塩、メチルトリオクチルアンモニウム塩、テトラブ
チルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩;アルギ
ニン塩、リジン塩等の塩基性アミノ酸塩等が挙げられ
る。
【0049】ピロリジン塩基または該ピロリジン核に置
換する側鎖上の塩基における酸付加塩としては、例えば
塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、りん酸塩、炭酸塩、炭酸水素
塩、過塩素酸塩等の無機酸塩;例えば酢酸塩、プロピオ
ン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、酒石酸
塩、りんご酸塩、くえん酸塩、アスコルビン酸塩等の有
機酸塩;例えばメタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、
ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の
スルホン酸塩;例えばアスパラギン酸塩、グルタミン酸
塩等の酸性アミノ酸塩等が挙げられる。
【0050】一般式[I]の化合物の医薬として許容さ
れる無毒性エステルとしては、カルバペネム骨格の3位
のカルボキシル基における医薬上許容される慣用的なも
のを意味し、前記のR2のエステル残基とのエステルを
挙げることができる。
【0051】次に本発明化合物の製造法について説明す
る。
【0052】一般式
【0053】
【化19】 [式中、R1は水素原子または水酸基の保護基、R2は水
素原子または低級アルキル基、R30は水素原子またはカ
ルボキシル基の保護基を示す]で表される化合物に、不
活性有機溶媒中、塩基の存在下で活性化試薬を反応させ
て、一般式
【0054】
【化20】 [式中、Lは脱離基を示し、R1 、R2およびR30は前記
の意味を有する]で表される反応性誘導体[II’]に
誘導する。
【0055】上記反応で使用される不活性有機溶媒とし
ては、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、
ジオキサン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、塩
化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタ
ン、トリクロロエチレン、アセトン、酢酸エチル、アセ
トニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメ
チルりん酸トリアミドまたは上記溶媒の混合物が挙げら
れ、特にアセトニトリル、ベンゼンが好ましい。
【0056】反応で使用される塩基としては、例えばト
リメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプ
ロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチ
ルピロリジン、N−メチルピペリジン、N,N−ジメチ
ルアニリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウ
ンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ
[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)等の第3級脂
肪族アミン;例えばピリジン、4−ジメチルアミノピリ
ジン、ピコリン、ルチジン、キノリン、イソキノリン等
の芳香族アミンが挙げられ、特にN,N−ジイソプロピ
ルエチルアミン、トリエチルアミンが好ましい。
【0057】反応で使用される活性化試薬としては、例
えばトリフルオロ酢酸無水物、メタンスルホン酸無水
物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、p−トルエ
ンスルホン酸無水物等の酸無水物;例えばメタンスルホ
ニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、ジフ
ェニルクロロホスファート等の酸クロリドが挙げられ、
特にジフェニルクロロホスファートが好ましい。
【0058】一般式[II’]の基Lは脱離基を意味
し、例えばトリフルオロアセトキシ基、メタンスルホニ
ルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、
p−トルエンスルホニルオキシ基、ジフェノキシホスホ
リルオキシ基等が挙げられ、特にジフェノキシホスホリ
ルオキシ基が好ましい。
【0059】反応は一般式[II]の化合物1モルに対
して、塩基1〜3モル、好ましくは1〜1.5モル、活
性化試薬1〜1.2モルが使用される。
【0060】反応は−40〜50℃、好ましくは−20
〜20℃の温度範囲で行い、通常0.5〜3時間で定量
的に完結する。
【0061】反応終了後、常法に従って処理して、一般
式[II]の反応性誘導体[II’]が定量的に得られ
る。
【0062】反応性誘導体[II’]と一般式
【0063】
【化21】 [式中、R4は水素原子、低級アルキル基またはイミノ
基の保護基、R8は水素原子または水酸基の保護基、R
50、R60およびR70は同一または異なって、水素原子、
低級アルキル基、カルバモイル低級アルキル基または保
護されていてもよいカルボキシ低級アルキル基、Aはチ
アゾリル基、オキサゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル
基、ピリミジニル基およびピラジニル基からなる群から
選ばれる複素環基、mおよびnは同一または異なって、
0または1の整数を示す]で表される化合物との反応
は、前記記載の不活性有機溶媒および塩基を用いて行わ
れ、一般式
【0064】
【化22】 [式中、R1、R2、R4、R8、R30、R50、R60
70、A、mおよびnは前記の意味を有する]で表され
る化合物とする。
【0065】反応は、反応性誘導体[II’]1モルに
対して、塩基1〜2モル、好ましくは1〜1.5モル、
一般式[III]の化合物1〜1.2モルが使用され、
−40〜50℃、好ましくは−20〜20℃の温度範囲
で行われ、通常0.5〜3時間で完結する。
【0066】また、一般式[IV]の化合物は、一般式
[II]の化合物から、一段階で製造することもでき
る。即ち、一般式[II]の化合物から誘導した反応性
誘導体[II’]を単離することなく、同一反応系で一
般式[III]の化合物を反応させて、一般式[IV]
の化合物を効率よく製造することができる。一段階で行
う場合には、一般式[II]の化合物1モルに対して、
塩基2〜4モル、好ましくは2.5〜3.5モルを用い
る。
【0067】反応終了後、通常の処理を行い、一般式
[IV]で表される化合物の粗生成物を得、精製するこ
となく脱保護反応に付すことができるが、該粗生成物は
結晶化またはシリカゲル等によるカラムクロマトグラフ
ィーに付し、精製することが好ましい。
【0068】このようにして得られた一般式[IV]の
化合物から、必要に応じて、水酸基、イミノ基およびカ
ルボキシル基の保護基の除去反応を適宜組み合せて行
い、更に必要に応じて、このようにして得られた化合物
をその医薬として許容される塩または無毒性エステルに
変換することにより、一般式[I]の化合物を製造する
ことができる。
【0069】保護基の除去はその種類により異なるが、
常法に従って、例えば加溶媒分解、化学的還元または水
素化により行われる。
【0070】前記一般式[IV]において、水酸基およ
び/またはアミノ基もしくはイミノ基の保護基が、例え
ばベンジルオキシカルボニル基、p−ニトロベンジルオ
キシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基で
あり、カルボキシル基の保護基が、例えばベンジル基、
p−ニトロベンジル基、ベンズヒドリル基等のアラルキ
ル基である場合には、例えば酸化白金、白金線、白金黒
等の白金触媒;例えばパラジウム黒、酸化パラジウム、
パラジウム−炭素、水酸化パラジウム−炭素等のパラジ
ウム触媒を用いる接触水素化により保護基を除去するこ
とができる。
【0071】接触水素化反応に用いる溶媒としては、例
えばメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジ
オキサン、酢酸等またはこれらの有機溶媒と水あるいは
りん酸塩等の緩衝液との混合溶媒が挙げられる。
【0072】反応は、1〜4気圧の水素ガス気流下に0
〜50℃の温度範囲で、0.5〜4時間で完結する。
【0073】前記一般式[IV]において、水酸基およ
び/またはアミノ基もしくはイミノ基の保護基が、例え
ばアリルオキシカルボニル基であり、カルボキシル基の
保護基が、例えばアリル基である場合には、アリル基の
捕捉剤を含有する不活性有機溶媒中、有機可溶性のパラ
ジウム錯体触媒を反応させて保護基を除去することがで
きる[W.マッコムビ(McCombie)等の方法、
ザ ジャーナル オブオーガニック ケミストリー
(J.Org.Chem.)、第47巻、587〜59
0頁(1982年)およびF.グイベ(Guib▲e
▼)等の方法、同一文献、第52巻、4984〜499
3(1987年)参照]。
【0074】反応に用いる溶媒としては、例えば水、ア
セトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、酢酸エチル、アセトニトリル、塩化メチレン、
クロロホルム等あるいはこれらの混合溶媒が挙げられ
る。
【0075】この反応に使用される好適なパラジウム化
合物錯体としては、例えばパラジウム−炭素、水酸化パ
ラジウム−炭素、塩化パラジウム(II)、酢酸パラジ
ウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)
パラジウム(0)、テトラキス(トリフェノキシホスフ
ィン)パラジウム(0)、テトラキス(トリエトキシホ
スフィン)パラジウム(0)、ビス[エチレンビス(ジ
フェニルホスフィン)]パラジウム(0)、テトラキス
[トリ(2−フリル)ホスフィン]パラジウム(0)、
ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)
クロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
(II) アセタート等が挙げられる。
【0076】アリル基の捕捉剤としては、例えばジメド
ン、ぎ酸、酢酸、ぎ酸アンモニウム、ぎ酸ナトリウム、
2−エチルヘキサン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン
酸カリウム、ピロリジン、ピペリジン、水素化トリブチ
ルすず等を挙げることができる。
【0077】反応は、一般式[IV]の化合物1モルに
対して、触媒0.01〜0.5モル、求核剤1〜6モル
を使用し、−10〜50℃の温度範囲、好ましくは0〜
30℃の温度範囲で行われ、通常0.5〜3時間で完結
する。
【0078】また、前記一般式[IV]において、水酸
基および/またはイミノ基の保護基がo−ニトロベンジ
ルオキシカルボニル基で、カルボキシル基の保護基がo
−ニトロベンジル基である場合には、光反応によって保
護基を除去することができる[アミット(Amit)等
の方法、ザ ジャーナル オブ オーガニック ケミス
トリー(J.Org.Chem.)、第39巻、192
〜196(1974年)参照]。
【0079】保護基の除去反応の終了後、通常の処理法
により、例えばシリカゲルまたは吸着樹脂等を用いるカ
ラムクロマトグラフィーに付し、または凍結乾燥または
結晶化等の操作により、一般式[I]の化合物を単離す
ることができる。
【0080】尚、一般式[IV]の化合物の3位のカル
ボキシル基の保護基が、例えばアセトキシメチル基、ピ
バロイルオキシメチル基等の低級アルカノイルオキシア
ルキル基;例えばメトキシメチル基、インダニル基、フ
タリジル基等である場合、このようなエステルは生体内
で生理的に加水分解されるので、保護基を除去すること
なく、直接、ヒトまたは動物に投与することができる。
【0081】一般式[I]の化合物は、常法により医薬
として許容される塩またはエステルとすることができ
る。
【0082】一般式[II]で表される出発原料は、例
えばR2が水素原子である場合、ザルツマン(Salz
mann)等の方法[ジャーナル オブ ジ アメリカ
ンケミカル ソサエティ(J.Am.Chem.So
c.)、第102巻、6161〜6163頁(1981
年)参照];R2がメチル基である場合、シー(Shi
h)等の方法[ヘテロサイクルズ(Heterocyc
les)、第21巻、29〜40頁(1984年)参
照]またはそれらに準ずる方法に従い製造することがで
きる。
【0083】一般式[III]で表される出発原料は、
参考例に示した製造法に準じて各々製造することができ
る。
【0084】本発明の化合物は、MRSAを含む各種の
グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して強い抗菌活性
を示す。
【0085】本発明の化合物の有用性を具体的に示すた
めに、細菌に対する試験管内抗菌活性を下記の寒天平板
希釈法により測定した[日本化学療法学会標準法:ケモ
テラピー(Chemotherapy)、第29巻、7
6〜79頁(1981年)]。ミューラー ヒントン
ブロス(Mueller Hinton broth)
中で一夜培養した各試験菌株の一白金耳(接種菌量:1
6CFU/ml)をミューラー ヒントン アガー
(MH agar)に接種した。この培地には抗菌剤が
各濃度で含まれており、37℃で16時間培養した後、
最小発育阻止濃度(MIC:μg/ml)を測定した。
本発明化合物の最小発育阻止濃度を、比較化合物として
イミペネム(imipenem)を用いて測定した。そ
の結果を表1に示す。
【0086】
【表1】 また、DHP−I感受性は、クロップ(Kropp)等
の方法[アンチミクロビアル アジェント アンド ケ
モテラピィ(Antimicrob. Agents
Chemother.)、第22巻、62〜70頁(1
982年)]によって定量し、イミペネム(=1.0)
との割合で示されるが、数字が小さいほど安定性が高
い。
【0087】本発明化合物のDHP−I感受性を、比較
化合物としてイミペネムを用いて測定した。その結果を
表2に示す。
【0088】
【表2】 本発明の化合物は、特にMRSAを含むグラム陽性菌に
対して優れた抗菌活性を有し、これら病原菌を起炎菌と
するヒトの細菌感染症の治療および予防のための抗菌剤
として有用な化合物である。本発明の抗菌剤に感受性の
ある代表的な病原体としては、例えばスタフィロコッカ
ス(Staphylococcus)属、エンテロコッ
カス(Enterococcus)属、エシェリキア
(Escherichia)属、エンテロバクター(E
nterobacter)属、クレブシェラ(Kleb
siella)属、セラチア(Serratia)属、
プロテウス(Proteus)属、シュードモナス(P
seudomonas)属等の菌種を挙げることができ
る。
【0089】さらには、本発明化合物は、イミペネムに
比べて、中枢神経症状及び腎毒性が顕著に改善された化
合物である。
【0090】本発明の化合物は、各々の化合物によって
異なるが、DHP−Iに対して極めて安定であり、かつ
物理化学的安定性および水に対する溶解性にも優れてい
る。
【0091】本発明化合物は、当分野で公知の固体また
は液体の賦形剤の担体と混合し、非経口投与、経口投
与、外部投与に適した医薬製剤の形で使用することがで
きる。主なものは、局所的または注射による非経口的
(静注または筋注)な投与である。医薬製剤としては、
例えば注射剤、シロップ剤、乳剤等の液剤;錠剤、カプ
セル剤、粒剤等の固形剤;軟膏、坐剤等の外用剤が挙げ
られる。これらの製剤には、必要に応じて塩基、助剤、
安定化剤、湿潤剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤等
の通常使用される添加剤が含まれていてもよい。
【0092】添加剤としては、例えば注射用蒸留水、リ
ンゲル液、グルコース、しょ糖シロップ、ゼラチン、食
用油、カカオ脂、エチレングリコール、しょ糖、とうも
ろこし澱粉、ステアリン酸マグネシウム、タルク等が挙
げられる。
【0093】投与量は、患者の症状、体重、年齢、性
別、投与形態、投与回数等によって異なるが、通常、成
人に対する好ましい日用量は有効成分約5〜50mg/
kg、子供に対する好ましい日用量は約5〜25mg/
kgの範囲にあり、1日当り1回または数回に分けて投
与するのが好ましい。
【0094】本発明の化合物は、必要に応じてシラスタ
チン[(Z)−7−(L−アミノ−2−カルボキシエチ
ルチオ)−2−(2,2−ジメチルシクロプロパンカル
ボキサミド)−2−ヘプテノイン酸ナトリウム]等のD
HP−I阻害剤[特開昭56−81518号公報、欧州
特許第28,778号、ジャーナル オブ メディシナ
ル ケミストリー(J.Med.Chem.)、第30
巻、1074頁(1987年)]と組合せて投与するこ
ともできる。
【0095】
【実施例】実施例および参考例を挙げて本発明を更に具
体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定さ
れるものではない。
【0096】実施例および参考例の薄層クロマトグラフ
は、プレートとしてSilicagel 60F
245(Merck)を、検出法としてUV検出器を用い
た。カラム用シリカゲルとしては、WakogelTM
C−300(和光純薬)を、逆相カラム用シリカゲルと
しては、LC−SORBTM SP−B−ODS(Che
mco)またはYMC−GELTM ODS−AQ 12
0−S50(山村化学研究所)を用いた。高速液体クロ
マトグラフとしては、JASCO 800シリーズ(日
本分光)を用いた。NMRスペクトルは、重ジメチルス
ルホキシドまたは重クロロホルム溶液で測定する場合に
は、内部基準としてテトラメチルシラン(TMS)を用
い、重水溶液で測定する場合には、内部基準として2,
2−ジメチル−2−シラペンタン−5−スルホナート
(DSS)を用い、XL−200(200MHz;Va
rian)型スペクトロメータを用いて測定し、全δ値
をppmで示した。
【0097】NMR測定における略号の意味を以下に示
す。 s:シングレット d:ダブレット dd:ダブル ダブレット m:マルチプレット br:ブロード J:カップリング定数 Hz:ヘルツ CDCl3:重クロロホルム D2O:重水 反応式における略号の意味を以下に示す。 Ac:アセチル基 All:アリル基 Alloc:アリルオキシカルボニル基 Boc:t−ブトキシカルボニル基 MOM:メトキシメチル基 Ph:フェニル基 TBDPS:t−ブチルジフェニルシリル基 TBS:t−ブチルジメチルシリル基 THP:テトラヒドロピラニル基 製造例1a(2S,4S)−4−アセチルチオ−2−[ヒドロキシ
(3−ピリジル)メチル]−N−(p−ニトロベンジル
オキシカルボニル)ピロリジン
【0098】
【化23】 (工程1)窒素気流中、−78℃で、3−ブロモピリジ
ン(1.17ml,12.16mmol)のテトラヒド
ロフラン溶液(10ml)を50分間かけて、1.6M
ブチルリチウム−ヘキサン溶液(8.36ml,13.
38mmol)のテトラヒドロフラン溶液(30ml)
に滴下した。反応溶液を−78℃で30分間撹拌した
後、(2S,4R)−N−t−ブトキシカルボニル−4
−(t−ブチルジメチルシロキシ)プロリナール(4.
0g,12.16mmol)のテトラヒドロフラン溶液
(10ml)を30分間かけて滴下した。−78℃で3
0分間撹拌した後、反応溶液を徐々に昇温し、室温で3
時間撹拌した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液
を加え、この溶液を減圧下に濃縮した。得られた残渣を
酢酸エチルおよび水の混液にあけ、有機層を飽和食塩水
で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮
した。得られた油状残渣をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(WakogelTM C−300 ヘプタン−
酢酸エチル 1:1→1:3)に付し、(2S,4R)
−N−t−ブトキシカルボニル−4−t−ブチルジメチ
ルシロキシ−2−[ヒドロキシ(3−ピリジル)メチ
ル]ピロリジン(1.58g,収率:31.8%)の黄
色油状物を得た。
【0099】1H−NMR(CDCl3)δ:0.01
(6H,s),0.85(9H,s),1.51(9
H,s),1.74−2.17(2H,m),3.28
−6.31(5H,m),7.29−7.32(1H,
m),7.61−7.79(1H,m),8.55−
8.62(2H,m) (工程2)工程1で得られた化合物(1.3g,3.1
9mmol)の3.7N塩化水素−メタノール溶液(1
0ml)を室温で1時間50分撹拌した。反応溶液を減
圧下に濃縮した。得られた残渣にメタノールを加え、揮
発成分を減圧下に留去し、(2S,4R)−4−ヒドロ
キシ−2−[ヒドロキシ(3−ピリジル)メチル]ピロ
リジン 2塩酸塩を含む赤色油状残渣(900mg)を
得た。
【0100】1H−NMR(D2 )δ:1.69−2.
29(2H,m),3.36−3.62(3H,m),
4.20−4.41(1H,m),4.70−4.73
(2H,m),5.25−5.64(1H,m),8.
12−8.19(1H,m),8.69−8.86(2
H,m),8.93−8.98(1H,m) (工程3)工程2で得られた残渣(900mg)のジオ
キサン−水(2:1,30ml)溶液を1N水酸化ナト
リウム水溶液でpH10.5とした。この溶液に氷冷下
で1N水酸化ナトリウム水溶液でpH9.6〜10.5
を維持しながら、p−ニトロベンジルオキシカルボニル
クロリド(900mg,4.14mmol)のジオキサ
ン溶液(5ml)を滴下した。反応溶液を酢酸エチル−
水の混液に注ぎ、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫
酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。得られた残
渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Wakog
elTM C−300 クロロホルム−メタノール 3
0:1→10:2)に付し、(2S,4R)−4−ヒド
ロキシ−2−[ヒドロキシ(3−ピリジル)メチル]−
N−(p−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジ
ン(790mg,収率:66.5%)の淡黄色油状物を
得た。
【0101】1H−NMR(CDCl3)δ:1.72−
2.03(2H,m),3.09−5.31(7H,
m),7.21−7.36(1H,m),7.54(2
H,d,J=8.3Hz),7.61−7.79(1
H,m),8.53(2H,d,J=8.3Hz),
8.50−8.68(2H,m) (工程4)工程3で得られた化合物(790mg,2.
12mmol)のジクロロメタン溶液(30ml)に窒
素気流中、氷冷下で、トリエチルアミン(325μl,
2.33mmol)およびメシルクロリド(180μ
l,2.33mmol)を順次加え、反応溶液を同温度
で10分間撹拌した。反応溶液に水を加えた後、有機層
を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、
減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(WakogelTM C−300 ク
ロロホルム−アセトン 4:1)に付し、(2S,4
R)−2−[ヒドロキシ(3−ピリジル)メチル]−4
−メシルオキシ−N−(p−ニトロベンジルオキシカル
ボニル)ピロリジン(440mg,収率:46.1%)
の黄色固体を得た。
【0102】1H−NMR(CDCl3)δ:1.76−
2.38(2H,m),2.99(3H,a pair
of singlet),3.42−3.59(1
H,m),4.01−4.19(1H,m),4.24
−4.46(1H,m),4.77−5.04(1H,
m),5.30(2H,m),5.18−5.47(1
H,m),7.29(1H,m),7.43(2H,
d,J=8.3Hz),7.61−7.76(1H,
m),8.13(2H,d,J=8.3Hz),8.4
3−8.62(2H,m) (工程5)工程4で得られた化合物(440mg,0.
80mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液
(20ml)にチオ酢酸カリウム(335mg,2.9
3mmol)を加えた。反応溶液を窒素気流中、70℃
で3時間加熱した後、反応溶液を酢酸エチルと水の混液
に注いだ。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナト
リウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(WakogelTM C−3
00 クロロホルム−アセトン 4:1→3:1)に付
し、(2S,4S)−4−アセチルチオ−2−[ヒドロ
キシ(3−ピリジル)メチル]−N−(p−ニトロベン
ジルオキシカルボニル)ピロリジン(350mg,収
率:83.2%)の淡黄色油状物を得た。
【0103】1H−NMR(CDCl3)δ:1.80−
2.39(5H,m),3.11−5.92(7H,
m),7.26(1H,m),7.50(2H,m),
7.50−7.74(1H,m),8.10−8.28
(2H,m),8.41−8.62(2H,m) 製造例1b〜1c 製造法1aと同様の反応を行い下記化合物を製造した。
【0104】
【表3】 製造例2a(2S,4S)−4−アセチルチオ−2−[1−ヒドロ
キシ−2−(2−ピリジル)エチル]−N−(p−ニト
ロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン
【0105】
【化24】 (工程1)窒素気流中、−78℃で、α−ピコリン(6
ml,60.8mmol)のテトラヒドロフラン溶液
(50ml)を40分間かけて、1.6Mブチルリチウ
ム−ヘキサン溶液(38ml,60.8mmol)のテ
トラヒドロフラン溶液(150ml)に滴下した。反応
溶液を徐々に昇温し、室温で30分間撹拌した後、氷浴
下で(2S,4R)−N−t−ブトキシカルボニル−4
−(t−ブチルジメチルシロキシ)プロリナール(20
g,60.8mmol)のテトラヒドロフラン(150
ml)を40分間かけて滴下した。反応溶液を同温度に
て30分間撹拌した。反応溶液に水を加え、この溶液を
減圧下に濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルおよび水
の混液にあけ、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸
ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。得られた油状
残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Wako
gelTM C−300 ヘプタン−酢酸エチル 2:1
→1:1)に付し、(2S,4R)−N−t−ブトキシ
カルボニル−4−t−ブチルジメチルシロキシ−2−
[1−ヒドロキシ−2−(2−ピリジル)エチル]ピロ
リジン(3.34g,収率:13.0%)の黄色油状物
を得た。
【0106】1H−NMR(CDCl3)δ:0.05
(6H,s),0.85(9H,s),1.35(9
H,s),1.44−2.15(2H,m),2.76
−4.80(7H,m),7.13−7.24(2H,
m),7.55−7.64(1H,m),8.02−
8.52(1H,m) (工程2,3)製造例1aと同様の反応を行い、(2
S,4S)−4−アセチルチオ−2−[1−ヒドロキシ
−2−(2−ピリジル)エチル]−N−(p−ニトロベ
ンジルオキシカルボニル)ピロリジンを製造した。
【0107】1H−NMR(CDCl3)δ:1.56−
4.91(12H,m),5.21(2H,m),7.
08−7.22(2H,m),7.51(2H,d,J
=7.7Hz),7.58−7.66(1H,m),
8.21(2H,d,J=7.7Hz),8.42−
8.53(1H,m) 製造例2b〜2d 製造例5aと同様の反応を行い下記化合物を製造した。
【0108】
【表4】 製造例3(2S,4S)−4−アセチルチオ−2−[ヒドロキシ
(2−チアゾリル)メチル]−N−(p−ニトロベンジ
ルオキシカルボニル)ピロリジン
【0109】
【化25】 (工程1)氷冷下で、2−トリメチルシリルチアゾール
(5.1ml,31.9mmol)のジクロロメタン溶
液(65ml)を40分間かけて、(2S,4R)−N
−t−ブトキシカルボニル−4−(t−ブチルジメチル
シロキシ)プロリナール(7.0g,21.3mmo
l)のジクロロメタン(100ml)溶液に滴下した。
反応溶液を徐々に昇温し、室温で19時間撹拌した。反
応溶液を減圧下に濃縮した後、氷冷下で、1.0Mテト
ラブチルアンモニウム−テトラヒドロフラン溶液(3
1.9ml,31.9mmol)を50分間かけて滴下
した。反応溶液を減圧下に濃縮し、得られた残渣を酢酸
エチルおよび水の混液にあけ、有機層を飽和食塩水で洗
浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮し
た。得られた油状残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(WakogelTM C−300 ヘプタン−酢
酸エチル 4:1→1:1)に付し、(2S,4R)−
N−t−ブトキシカルボニル−4−t−ブチルジメチル
シロキシ−2−[ヒドロキシ(2−チアゾリル)メチ
ル]ピロリジン(3.07g,収率:34.9%)の黄
色油状物を得た。
【0110】1H−NMR(CDCl3)δ:0.01
(6H,s),0.82(9H,s),1.21(1
H,m),1.51(9H,s),2.01(1H,
m),2.89−3.62(2H,m),3.92−
4.68(2H,m),4.91−5.12(1H,
m),6.41(1H,m),7.73(1H,m),
8.88(1H,m) (工程2,3)製造例1aと同様の反応を行い(2S,
4S)−4−アセチルチオ−2−[ヒドロキシ(2−チ
アゾリル)メチル]−N−(p−ニトロベンジルオキシ
カルボニル)ピロリジンを製造した。
【0111】1H−NMR(CDCl3)δ:2.32
(3H,s),3.21(1H,m),3.80(1
H,m),4.13−4.42(2H,m),4.96
−5.78(5H,m),7.56(2H,d,J=
8.6Hz),7.79(1H,m),8.26(2
H,d,J=8.6Hz),8.88(1H,m) 実施例1(1R,5S,6S)−6−[(R)−1−ヒドロキシ
エチル]−2−[(3S,5S)−5−[ヒドロキシ
(3−ピリジル)メチル]ピロリジン−3−イルチオ]
−1−メチル−1−カルバペン−2−エム−3−カルボ
ン酸
【0112】
【化26】 (工程1)窒素気流中、氷冷下で、(2S,4S)−4
−アセチルチオ−2−[ヒドロキシ(3−ピリジル)メ
チル]−N−(p−ニトロベンジルオキシカルボニル)
ピロリジン(750mg,1.74mmol)のメタノ
ール(10ml)溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液
(2ml,2mmol)を加えた。反応溶液を10分間
撹拌した後、1N塩酸水溶液(2ml,2mmol)を
加え、この溶液を減圧下に濃縮した。得られた残渣を酢
酸エチルおよび水の混液にあけ、有機層を飽和食塩水で
洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮
し、(2S,4S)−2−[ヒドロキシ(3−ピリジ
ル)メチル]−4−メルカプト−N−(p−ニトロベン
ジルオキシカルボニル)ピロリジンの粗生成物を得た。
【0113】窒素気流中、氷冷下、p−ニトロベンジル
(1R,5S,6S)−2−ジフェノキシホスホリル
オキシ−6−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−1−
メチル−1−カルバペン−2−エム−3−カルボキシラ
ート(945mg,1.59mmol)のアセトニトリ
ル溶液(10ml)に、前記粗生成物のアセトニトリル
溶液(8ml)を滴下し、次いでN,N−ジイソプロピ
ルアミン(291μl,1.67mmol)を滴下し
た。反応溶液を同温度で20時間撹拌後、反応溶液を減
圧下に濃縮し、得られた残渣を酢酸エチルおよび水の混
液にあけ、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナト
リウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(WakogelTM
C−300 クロロホルム−アセトン 10:1)に
付し、p−ニトロベンジル (1R,5S,6S)−6
−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−2−[(3S,
5S)−5−[ヒドロキシ(3−ピリジル)メチル]−
N−(p−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジ
ン−3−イルチオ]−1−メチル−1−カルバペン−2
−エム−3−カルボキシラート(618mg,収率:5
3.0%)を得た。
【0114】1H−NMR(CDCl3)δ:1.19−
1.30(3H,m),1.34(3H,d,J=6.
2Hz),1.96−2.17(2H,m),3.24
−3.56(3H,m),4.06−4.33(3H,
m),5.19−5.60(3H,m),7.29(1
H,m),7.67−7.78(3H,m),8.18
−8.25(3H,m),8.44−8.60(2H,
m) (工程2)工程1で得られた化合物(290mg,0.
40mmol)のテトラヒドロフラン溶液(25ml)
に、0.1M 3−モルホリノプロパンスルホン酸ナト
リウム 緩衝液(20ml,pH7.0)および10%
パラジウム−炭素触媒(290mg)を加え、反応溶液
を水素気流中、室温で、3時間激しく撹拌した。反応混
合物から触媒を濾別し、濾液を減圧下濃縮し、水溶液を
得た。不溶物を濾別した後、濾液を1N水酸化ナトリウ
ム水溶液を用いてpH6.4とし、逆相カラムクロマト
グラフィー(YMC・GELTM ODS−AQ−120
−S50 14ml;メタノール−水 2:8)に付
し、目的物を含む分画を濃縮、凍結乾燥して、標記化合
物(93.6mg 収率:56.5%)を得た。
【0115】 IR(KBr)cm-1:3420,1755,16001 H−NMR(D2O)δ:1.22(3H,m),1.
31(3H,d,J=9.2Hz),1.64−2.0
3(1H,m),2.38−2.59(1H,m),
3.24−4.36(8H,m),5.03−5.17
(1H,m),7.53−7.59(1H,m),7.
77−8.03(1H,m),8.58−8.64(2
H,m) 実施例2〜12 実施例1と同様の反応を行い、下記化合物を製造した。
【0116】
【表5】
【0117】
【表6】 実施例9(1R,5S,6S)−6−[(R)−1−ヒドロキシ
エチル]−2−[(3S,5S)−5−[ヒドロキシ
(1−メチル−3−ピリジニオ)メチル]ピロリジン−
3−イルチオ]−1−メチル−1−カルバペン−2−エ
ム−3−カルボキシラート ジアステレオマーAおよび
【0118】
【化27】 (工程1)p−ニトロベンジル (1R,5S,6S)
−6−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−2−[(3
S,5S)−5−[ヒドロキシ(3−ピリジル)メチ
ル]−N−(p−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピ
ロリジン−3−イルチオ]−1−メチル−1−カルバペ
ン−2−エム−3−カルボキシラート(400mg,
0.55mmol)のアセトン溶液(10ml)によう
化メチル(2ml,32.1mmol)を加えた。室温
で6時間撹拌した後、反応溶液を減圧下に濃縮し、p−
ニトロベンジル (1R,5S,6S)−6−[(R)
−1−ヒドロキシエチル]−2−[(3S,5S)−5
−[ヒドロキシ(1−メチル−3−ピリジニオ)メチ
ル]−N−(p−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピ
ロリジン−3−イルチオ]−1−メチル−1−カルバペ
ン−2−エム−3−カルボキシラートの粗生成物を得
た。 (工程2)工程1で得た粗生成物を用いて、実施例1−
2と同様に反応を行い、標記化合物のジアステレオマー
A(高極性化合物:39.7mg,収率:16.8%)
およびジアステレオマーB(低極性化合物:71.2m
g,収率:30.1%)を得た。
【0119】ジアステレオマーA IR(KBr)cm-1:3400,1745,15951 H−NMR(CDCl3)δ:1.22(3H,d,J
=6.9Hz),1.32(3H,d,J=6.3H
z),1.56(1H,m),2.25−3.78(9
H,m),4.21−4.44(2H,m),4.45
(3H,s),5.08−5.10(1H,m),8.
06−8.11(1H,m),8.58−8.61(1
H,m),8.76−8.78(1H,m),8.92
(1H,br s) ジアステレオマーB IR(KBr)cm-1:3400,1745,15901 H−NMR(CDCl3)δ:1.22(3H,d,J
=6.0Hz),1.30(3H,d,J=5.7H
z),1.62−1.66(1H,m),2.40−
2.45(1H,m),2.90−2.95(1H,
m),3.22(1H,m),3.36−3.50(3
H,m),3.78(1H,m),4.19−4.25
(2H,m),4.43(3H,s),5.02(1
H,d,J=5.9Hz),8.08−8.10(1
H,m),8.56−8.59(1H,m),8.76
−8.79(1H,m),8.88(1H,br s) 実施例10〜17B 実施例9と同様の反応により、下記化合物を製造した。
【0120】
【表7】
【0121】
【表8】
【0122】
【表9】
【0123】
【発明の効果】本発明の化合物は、文献未記載の新規化
合物であり、MRSAを含むグラム陽性菌およびグラム
陰性菌に対する強い抗菌力、β−ラクタマーゼおよびD
HP−Iに対する優れた安定性を有するので、抗菌剤と
して有用であり、特にMRSAによる難治性感染症の治
療に多大な貢献が期待される。
【0124】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/425 31/44 31/495 31/505

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 【化1】 [式中、R1は水素原子または水酸基の保護基、R2は水
    素原子または低級アルキル基、R3は水素原子、陰電
    荷、エステル残基またはアルカリ金属、R4は水素原
    子、低級アルキル基またはイミノ基の保護基、R5、R6
    およびR7は同一または異なって、水素原子、低級アル
    キル基、カルバモイル低級アルキル基またはカルボキシ
    低級アルキル基、R8は水素原子または水酸基の保護
    基、Aはチアゾリル基、オキサゾリル基、ピラゾリル
    基、ピリジル基、ピリミジニル基およびピラジニル基か
    らなる群から選ばれる複素環基、mおよびnは同一また
    は異なって、0または1の整数を示す]で表される化合
    物。
  2. 【請求項2】一般式 【化2】 [式中、R1は水素原子または水酸基の保護基、R2は水
    素原子または低級アルキル基、R30は水素原子またはカ
    ルボキシル基の保護基を示す]で表される化合物または
    その反応性誘導体と一般式 【化3】 [式中、R4は水素原子、低級アルキル基またはイミノ
    基の保護基、R8は水素原子または水酸基の保護基、R
    50、R60およびR70は同一または異なって、水素原子、
    低級アルキル基、カルバモイル低級アルキル基または保
    護されていてもよいカルボキシ低級アルキル基、Aはチ
    アゾリル基、オキサゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル
    基、ピリミジニル基およびピラジニル基からなる群から
    選ばれる複素環基、mおよびnは同一または異なって、
    0または1の整数を示す]で表される化合物とを反応さ
    せて、一般式 【化4】 [式中、R1、R2、R4、R8、R30、R50、R60
    70、A、mおよびnは前記の意味を有する]で表され
    る化合物とし、要すれば、一般式[IV]の化合物の保
    護基を除去し、更に要すれば、このようにして得られた
    化合物をその医薬として許容される塩または無毒性エス
    テルに変換することを特徴とする、一般式 【化5】 [式中、R3は水素原子、陰電荷、エステル残基または
    アルカリ金属、R5、R6およびR7は同一または異なっ
    て、水素原子、低級アルキル基、カルバモイル低級アル
    キル基またはカルボキシ低級アルキル基、R1、R2、R
    4、R8、A、mおよびnは前記の意味を有する]で表さ
    れる化合物の製造法。
  3. 【請求項3】一般式 【化6】 [式中、R1は水素原子または水酸基の保護基、R2は水
    素原子または低級アルキル基、R3は水素原子、陰電
    荷、エステル残基またはアルカリ金属、R4は水素原
    子、低級アルキル基またはイミノ基の保護基、R5、R6
    およびR7は同一または異なって、水素原子、低級アル
    キル基、カルバモイル低級アルキル基またはカルボキシ
    低級アルキル基、R8は水素原子または水酸基の保護
    基、Aはチアゾリル基、オキサゾリル基、ピラゾリル
    基、ピリジル基、ピリミジニル基およびピラジニル基か
    らなる群から選ばれる複素環基、mおよびnは同一また
    は異なって、0または1の整数を示す]で表される化合
    物を有効成分とする抗菌剤。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5733648A (en) * 1993-10-27 1998-03-31 Minnesota Mining And Manufacturing Company Organic compounds suitable as reactive diluents, and binder precursor compositions including same
EP0887352A4 (en) * 1996-11-25 1999-12-29 Meiji Seika Kaisha CARBAPEN DERIVATIVES AND ANTIMICROBIAL AGENT
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US7041660B2 (en) 1999-07-06 2006-05-09 Sankyo Company, Limited Crystalline 1-methylcarbapenem derivatives

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