JPH06211859A - 2−(2−置換ピロリジニルチオ)カルバペネム誘導体 - Google Patents

2−(2−置換ピロリジニルチオ)カルバペネム誘導体

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JPH06211859A
JPH06211859A JP5019279A JP1927993A JPH06211859A JP H06211859 A JPH06211859 A JP H06211859A JP 5019279 A JP5019279 A JP 5019279A JP 1927993 A JP1927993 A JP 1927993A JP H06211859 A JPH06211859 A JP H06211859A
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JP
Japan
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group
hydrogen atom
lower alkyl
compound
general formula
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Application number
JP5019279A
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English (en)
Inventor
Susumu Nakagawa
晋 中川
Kenichi Otake
憲一 大嶽
Shigemitsu Okada
茂満 岡田
Ryosuke Ushijima
良輔 牛嶋
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MSD KK
Original Assignee
Banyu Phamaceutical Co Ltd
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Publication date
Application filed by Banyu Phamaceutical Co Ltd filed Critical Banyu Phamaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、一般式 【化1】 [式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子
または陰電荷、R3は水素原子または低級アルキル基、
4、R5およびR6の群から選ばれる二種の置換基は、
窒素原子と共に互いに結合して、5員または6員の置換
されていてもよい複素環基を形成し(但し、該窒素原子
はアンモニオ基を形成していてもよい)、残りの置換基
は、水素原子または低級アルキル基、Yは低級アルキレ
ン基または単結合を示す]で表される化合物またはその
医薬として許容される塩またはエステル、その製造法お
よび抗菌剤としてのその用途に関する。 【効果】 本発明の化合物は、文献未記載の新規化合物
であり、感受性・耐性のグラム陽性菌およびグラム陰性
菌に対する強い抗菌力、β−ラクタマーゼおよびDHP
−Iに対する優れた安定性を有するので、抗菌剤として
有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なカルバペネム
(7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]へプタ
−2−エン−2−カルボン酸)化合物、該化合物を有効
成分として含有する抗菌剤および該化合物の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ペニシリン類およびセファロスポ
リン類と同じβ−ラクタム環を持ちながら、これらと基
本骨格の異なった新規なβ−ラクタム抗生物質が次々と
天然から発見されている。
【0003】例えば、ストレプトミセス カトレア(S
treptomyces cattleya)の醗酵よ
り単離されたチエナマイシン(thienamyci
n)[ジャ−ナル オブ ジ アメリカン ケミカル
ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、第10
0巻、6491頁(1978年)]のような天然由来の
カルバペネム化合物が挙げられる。チエナマイシンは、
グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して、広範囲にわ
たり優れた抗菌スペクトルと強い抗菌力を有し、有用性
の高いβ−ラクタム剤としての開発が期待された。しか
しながら、チエナマイシンそのものが化学的に不安定で
あり、またある種の生体内酵素、例えば腎デヒドロペプ
チダーゼI(以下、DHP−Iと略す)により分解され
て、その抗菌活性の効力を減じ、尿中回収率が低いこと
が報告されている[アンチミクロビアル アジェンツ
アンド ケモテラピィ(Antimicrob.Age
nts Chemother.)、第22巻、62頁
(1982年);同、第23巻、300頁(1983
年)]。
【0004】メルク(Merck)社では、チエナマイ
シンの優れた抗菌活性を維持し、かつ、その化学的安定
性の確保を狙って、数多くのチエナマイシン類縁体を合
成した。その結果、チエナマイシンのアミノ基をホルム
イミドイル化したイミペネム[Imipenem:(5
R,6S,8R)−3−[[2−(ホルムイミドイルア
ミノ)エチル]チオ]−6−(1−ヒドロキシエチル)
−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ
−2−エン−2−カルボン酸・1水和物;ジャーナル
オブ メディシナル ケミストリー(J.Med.Ch
em.)、第22巻、1435頁(1979年)]が医
薬品としての実用化に至った。
【0005】イミペネムは、種々の菌種に対してチエナ
マイシンと同程度以上の抗菌活性およびβ−ラクタマー
ゼ抵抗性を保持し、特に緑膿菌に対しては、その抗菌作
用が2〜4倍優れている。また、イミペネムの水溶液お
よび固体としての安定性は、チエナマイシンに較べ著し
く改善された。
【0006】しかしながら、イミペネムはチエナマイシ
ン同様、人の腎臓でDHP−Iにより分解されるため、
尿路感染症に使用できないだけでなく、分解産物による
腎毒性を示す。そのためにイミペネムは、単独で投与す
ることができず、シラスタチン(cilastati
n)のようなDHP−I阻害剤と併用しなければならな
い[ジャーナル オブ アンチミクロビアル ケモテラ
ピィ(J.Antimicrob.Chemothe
r.)、第12巻(Suppl D)、1頁(1983
年)]。また、近年、イミペネムは感染症の治療および
予防に頻繁に使用され、イミペネムに耐性なメチシリン
高度耐性黄色ブドウ球菌やイミペネム耐性緑膿菌が臨床
の場で増加しつつあり、これら耐性菌にイミペネムは充
分な治療効果を示していない。
【0007】本発明に最も類似する先行技術としては、
特開昭63−170379号公報が挙げられる。該公報
には、カルバペネム化合物として、カルバペネムの2位
に、適当な置換基を有していてもよい複素環基が置換し
たピロリジニルチオ基を有する化合物が記載されてい
る。また好ましい複素環基として50種以上の複素環基
が一般的に挙げられている。それらの複素環基群の1つ
に、ピロリニル基およびテトラヒドロピリジル基は挙げ
られている。
【0008】しかしながら、これらの記載は単なる一般
的な記載にすぎず、明細書の詳細な説明部分および実施
例・参考例等の記載から現実に当業者が製造可能と判断
される化合物群は、芳香族複素環基および酸素原子また
は硫黄原子のみを含有する脂肪族複素環基に限られてお
り、本発明に関するピロリニル基、テトラヒドロピリジ
ル基等の脂肪族複素環基については、何ら具体的に言及
されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】β−ラクタム抗生物質
は、細菌にのみ選択毒性を示し、動物細胞に対しては影
響を与えないことから、副作用の少ない抗生物質として
細菌による感染症の治療に広く使用され、有用性の高い
薬剤である。
【0010】しかしながら、近年、メチシリン高度耐性
黄色ブドウ球菌および耐性緑膿菌が免疫力の低下した患
者から難治性の感染症の起炎菌として、しばしば分離さ
れ、臨床上大きな問題になりつつある。従って、これら
の耐性菌に対する改善された抗菌力を有する抗菌剤の開
発、特にカルバペネム化合物においては、抗菌力の改
善、DHP−Iに対する安定性の改善、腎毒性の軽減、
中枢神経系に対する副作用の軽減等が強く望まれてい
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、優れた抗
菌力を有し、かつDHP−Iに耐性の新規なカルバペネ
ム化合物を提供することを目的とし、鋭意研究した。そ
の結果、カルバペネム骨格の2位に、一般式
【0012】
【化9】 [式中、R3は水素原子または低級アルキル基、R4、R
5およびR6の群から選ばれる二種の置換基は、窒素原子
と共に互いに結合して5員または6員の置換されていて
もよい複素環基を形成し(但し、該窒素原子はアンモニ
オ基を形成していてもよい)、残りの置換基は、水素原
子または低級アルキル基、Yは低級アルキレン基または
単結合を示す]で表される基を有する本発明のカルバペ
ネム化合物は文献未記載の新規な化合物であり、黄色ブ
ドウ球菌等のグラム陽性菌および緑膿菌を含むグラム陰
性菌に対して、強い抗菌力を有し、更にDHP−Iに対
しても優れた安定性を示すことを見出し、本発明を完成
した。
【0013】本発明は、一般式
【0014】
【化10】 [式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子
または陰電荷、R3は水素原子または低級アルキル基、
4、R5およびR6の群から選ばれる二種の置換基は、
窒素原子と共に互いに結合して、5員または6員の置換
されていてもよい複素環基を形成し(但し、該窒素原子
はアンモニオ基を形成していてもよい)、残りの置換基
は、水素原子または低級アルキル基、Yは低級アルキレ
ン基または単結合を示す]で表される化合物またはその
医薬として許容される塩またはエステル、その製造法お
よび抗菌剤としてのその用途に関する。
【0015】本明細書に記載された記号および用語につ
いて説明する。
【0016】本発明の化合物は基本構造
【0017】
【化11】 を有し、系統的に7−オキソ−1−アザビシクロ[3.
2.0]へプタ−2−エン−2−カルボン酸と呼ばれ
る。本明細書では、簡易化のために慣用的に広く使用さ
れているカルバペネムに基づく番号を付し、その基本構
造を1−カルバペン−2−エム−3−カルボン酸と記載
する。
【0018】
【化12】 本発明は、カルバペネム骨格の1位、5位、6位および
8位の不斉炭素原子に基づく光学異性体および立体異性
体を包含するが、これら異性体で好適な化合物は、チエ
ナマイシンのような立体配置を有する5R,6S配置
(5,6−トランス)で、かつ8位の炭素原子がR配置
の化合物である(5R,6S,8R)配置の化合物、ま
たは1位にメチル基を有する場合は(1R,5S,6
S,8R)配置の化合物を挙げることができる。
【0019】
【化13】 本発明は、2位側鎖の2−置換ピロリジン−4−イルチ
オ基についても、ピロリジン核の2位、4位および2位
側鎖の不斉炭素に基づく異性体を包含するが、これら異
性体で好適な化合物は(2’S,4’S)配置および
(2’R,4’R)配置の化合物を挙げることができ
る。
【0020】更には、ピロリジン核の2位に置換する側
鎖についても不斉炭素に基づく異性体が存在するが、本
発明は両異性体とも包含する。
【0021】低級アルキル基とは、炭素数1ないし6個
の直鎖状または分岐状のアルキル基を示し、例えばメチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基等が挙げられ、中でも、メチル基、エチ
ル基、tert−ブチル基等が好適である。
【0022】複素環基としては、例えばピロリニル基、
N−低級アルキルピロリニル基、N,N−ジ低級アルキ
ルピロリニウム基、テトラヒドロピリジル基、N−低級
アルキルテトラヒドロピリジル基、N,N−ジ低級アル
キルテトラヒドロピリジニウム基、ピロリジニリデン
基、N−低級アルキルピロリジニリデン基、N,N−ジ
低級アルキルピロリジニウムイリデン基、ピペリジリデ
ン基、N−低級アルキルピペリジリデン基およびN,N
−ジ低級アルキルピペリジニウムイリデン基等が挙げら
れ、中でもピロリニル基、N−低級アルキルピロリニル
基、N,N−ジ低級アルキルピロリニウム基が挙げら
れ、特にピロリニル基が好ましい。尚、該複素環基は複
素環上の置換可能な任意の位置に少なくとも1つの置換
基を有することができる。
【0023】複素環基の置換基としては、例えばカルバ
モイル基、シアノ基、メタンスルホニル基、アミノ基;
ホルミル基、アセチル基等の低級アルカノイル基;メチ
ルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカ
ルバモイル基、ジエチルカルバモイル基等の前記の低級
アルキル基がモノ置換またはジ置換した低級アルキルカ
ルバモイル基;N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ
基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミ
ノ基等の前記の低級アルキル基がモノ置換またはジ置換
したアミノ基;N−ホルミルアミノ基、N−アセチルア
ミノ基等の低級アルカノイルアミノ基および前記の置換
基を有していてもよい低級アルキル基等が挙げられる。
【0024】低級アルキレン基とは、炭素数1ないし6
個の直鎖状または分岐状のアルキレン基を示し、例えば
メチレン基、エチレン基、プロピレン基、1−メチルエ
チレン基、2−メチルエチレン基、メチルメチレン基、
ジメチルメチレン基、ブチレン基、1−メチルプロピレ
ン基、2−メチルプロピレン基、3−メチルプロピレン
基、1,1−ジメチルエチレン基、2,2−ジメチルエ
チレン基等が挙げられ、中でも、メチレン基、エチレン
基、プロピレン基等が好適である。
【0025】カルボキシル基の保護基としては、例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t
ert−ブチル基等の低級アルキル基;例えば2,2,
2−トリクロロエチル基、2,2,2−トリフルオロエ
チル基等のハロ置換低級アルキル基;例えばアセトキシ
メチル基、プロピオニルオキシメチル基、ピバロイルオ
キシメチル基、1−アセトキシエチル基、1−プロピオ
ニルオキシエチル基等の低級アルカノイルオキシアルキ
ル基;例えば1−(メトキシカルボニルオキシ)エチル
基、1−(エトキシカルボニルオキシ)エチル基、1−
(イソプロポキシカルボニルオキシ)エチル基等の低級
アルコキシカルボニルオキシアルキル基;例えば2−プ
ロペニル基、2−クロロ−2−プロペニル基、3−メト
キシカルボニル−2−プロペニル基、2−メチル−2−
プロペニル基、2−ブテニル基、シンナミル基等の低級
アルケニル基;例えばベンジル基、p−メトキシベンジ
ル基、3,4−ジメトキシベンジル基、o−ニトロベン
ジル基、p−ニトロベンジル基、ベンズヒドリル基、ビ
ス(p−メトキシフェニル)メチル基等のアラルキル
基;例えば(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキ
ソール−4−イル)メチル基等の(5−置換−2−オキ
ソ−1,3−ジオキソール−4−イル)メチル基;例え
ばトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリ
ル基等の低級アルキルシリル基;インダニル基、フタリ
ジル基、メトキシメチル基等が挙げられ、特に2−プロ
ペニル基、p−ニトロベンジル基、p−メトキシベンジ
ル基、ベンズヒドリル基、tert−ブチルジメチルシ
リル基等が好ましい。
【0026】ヒドロキシ基の保護基としては、例えばト
リメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基
等の低級アルキルシリル基;例えばメトキシメチル基、
2−メトキシエトキシメチル基等の低級アルコキシメチ
ル基;例えばテトラヒドロピラニル基;例えばベンジル
基、p−メトキシベンジル基、2,4−ジメトキシベン
ジル基、o−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル
基、トリチル基等のアラルキル基;例えばホルミル基、
アセチル基等のアシル基;例えばtert−ブトキシカ
ルボニル基、2−ヨードエトキシカルボニル基、2,
2,2−トリクロロエトキシカルボニル基等の低級アル
コキシカルボニル基;例えば2−プロペニルオキシカル
ボニル基、2−クロロ−2−プロペニルオキシカルボニ
ル基、3−メトキシカルボニル−2−プロペニルオキシ
カルボニル基、2−メチル−2−プロペニルオキシカル
ボニル基、2−ブテニルオキシカルボニル基、シンナミ
ルオキシカルボニル基等のアルケニルオキシカルボニル
基;例えばベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシ
ベンジルオキシカルボニル基、o−ニトロベンジルオキ
シカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル
基等のアラルキルオキシカルボニル基等が挙げられ、特
に2−プロペニルオキシカルボニル基、p−ニトロベン
ジルオキシカルボニル基、tert−ブチルジメチルシ
リル基等が好ましい。
【0027】イミノ基の保護基としては、例えばベンジ
リデン基、p−クロロベンジリデン基、p−ニトロベン
ジリデン基、サリチリデン基、α−ナフチリデン基、β
−ナフチリデン基等のアラルキリデン基;例えばベンジ
ル基、p−メトキシベンジル基、3,4−ジメトキシベ
ンジル基、o−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル
基、ベンズヒドリル基、ビス(p−メトキシフェニル)
メチル基、トリチル基等のアラルキル基;例えばホルミ
ル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、オキ
サリル基、スクシニル基、ピバロイル基等の低級アルカ
ノイル基;例えばクロロアセチル基、ジクロロアセチル
基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基等
のハロ置換低級アルカノイル基;例えばフェニルアセチ
ル基、フェノキシアセチル基等のアリールアルカノイル
基;例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル
基、プロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカル
ボニル基等の低級アルコキシカルボニル基;例えば2−
ヨードエトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロ
エトキシカルボニル基等のハロ置換低級アルコキシカル
ボニル基;例えば2−プロペニルオキシカルボニル基、
2−クロロ−2−プロペニルオキシカルボニル基、3−
メトキシカルボニル−2−プロペニルオキシカルボニル
基、2−メチル−2−プロペニルオキシカルボニル基、
2−ブテニルオキシカルボニル基、シンナミルオキシカ
ルボニル基等のアルケニルオキシカルボニル基;例えば
ベンジルオキシカルボニル基、o−ニトロベンジルオキ
シカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル
基、フェネチルオキシカルボニル基等のアラルキルオキ
シカルボニル基;例えばトリメチルシリル基、tert
−ブチルジメチルシリル基等の低級アルキルシリル基等
が挙げられ、特に、2−プロペニルオキシカルボニル
基、tert−ブトキシカルボニル基、p−ニトロベン
ジルオキシカルボニル基等が好ましい。
【0028】R4、R5およびR6は、R4、R5およびR6
の群から選ばれる二種の置換基が、窒素原子と共に互い
に結合して、5員または6員の置換されていてもよい複
素環基を形成する。残りの置換基は、水素原子または低
級アルキル基を示す。
【0029】R2は水素原子または陰電荷を示す。ピロ
リジン核の2位側鎖が、アンモニオ基を形成する場合、
2は陰電荷を示し、該アンモニウムイオンと対をなす
ことにより、一般式[I]の化合物は分子内塩を形成す
る。
【0030】Yは、低級アルキレン基または単結合を示
し、好ましくは、メチレン基または単結合であり、中で
も単結合がより好適である。
【0031】ここで、一般式[I]の化合物を具体的に
説明する。
【0032】一般式[I]の化合物は、一般式
【0033】
【化14】 [式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子
または陰電荷、R3は水素原子または低級アルキル基、
4aおよびR5aまたはR4aおよびR6aは窒素原子と共に
互いに結合して、5員または6員の置換されていてもよ
い複素環基を形成し(但し、該窒素原子はアンモニオ基
を形成していてもよい)、R4a、R5aおよびR6aの内互
いに結合しない置換基は、水素原子または低級アルキル
基、Yは低級アルキレン基または単結合を示す]で表さ
れる化合物またはその医薬として許容される塩またはエ
ステルおよび一般式
【0034】
【化15】 [式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子
または陰電荷、R3は水素原子または低級アルキル基、
4bは水素原子または低級アルキル基、R5bおよびR6b
は窒素原子と共に互いに結合して、5員または6員の置
換されていてもよい複素環基を形成し(但し、該窒素原
子はアンモニオ基を形成していてもよい)、Yは低級ア
ルキレン基または単結合を示す]で表される化合物また
はその医薬として許容される塩またはエステルに類別さ
れる。
【0035】一般式[I]の塩としては、医薬上許容さ
れる慣用的なものを意味し、カルバペネム骨格の3位の
カルボキシル基または2位側鎖のピロリジン塩基もしく
は該ピロリジン核に置換する側鎖上の塩基における塩類
を挙げることができる。
【0036】該カルボキシル基における塩基性付加塩と
しては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ
金属塩;例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等のアル
カリ土類金属塩;例えばアンモニウム塩;例えばトリメ
チルアミン塩、トリエチルアミン塩;ジシクロヘキシル
アミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン
塩、トリエタノールアミン塩、プロカイン塩等の脂肪族
アミン塩;例えばN,N’−ジベンジルエチレンジアミ
ン等のアラルキルアミン塩;例えばピリジン塩、ピコリ
ン塩、キノリン塩、イソキノリン塩等の複素環芳香族ア
ミン塩;例えばテトラメチルアンモニウム塩、テトラエ
チルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム
塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、ベンジルトリ
ブチルアンモニウム塩、メチルトリオクチルアンモニウ
ム塩、テトラブチルアンモニウム塩等の第4級アンモニ
ウム塩;アルギニン塩、リジン塩等の塩基性アミノ酸塩
等が挙げられる。
【0037】ピロリジン塩基または該ピロリジン核に置
換する側鎖上の塩基における酸付加塩としては、例えば
塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、りん酸塩、炭酸塩、炭酸水素
塩、過塩素酸塩等の無機酸塩;例えば酢酸塩、プロピオ
ン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、酒石酸
塩、りんご酸塩、くえん酸塩、アスコルビン酸塩等の有
機酸塩;例えばメタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、
ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の
スルホン酸塩;例えばアスパラギン酸塩、グルタミン酸
塩等の酸性アミノ酸塩等が挙げられる。
【0038】一般式[I]の無毒性エステルとしては、
カルバペネム骨格の3位のカルボキシル基における医薬
上許容される慣用的なものを意味する。例えばアセトキ
シメチル基、ピバロイルオキシメチル基等のアルカノイ
ルオキシメチル基とのエステル、1−(エトキシカルボ
ニルオキシ)エチル基等のアルコキシカルボニルオキシ
アルキル基とのエステル、フタリジル基とのエステル、
(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4
−イル)メチル基等の(5−置換−2−オキソ−1,3
−ジオキソール−4−イル)メチル基とのエステル等が
挙げられる。
【0039】次に本発明化合物の製造法について説明す
る。一般式
【0040】
【化16】 [式中、R1は水素原子またはメチル基、R9は水素原子
またはヒドロキシ基の保護基、R20は水素原子またはカ
ルボキシル基の保護基を示す]で表される化合物に、不
活性有機溶媒中、塩基の存在下で活性化試薬を反応させ
て、一般式
【0041】
【化17】 [式中、R1 、R9およびR20は前記の意味を有し、Zは
脱離基を示す]で表される反応性誘導体[II’]に誘
導する。
【0042】上記反応で使用される不活性有機溶媒とし
ては、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、
ジオキサン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、塩
化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタ
ン、トリクロロエチレン、アセトン、酢酸エチル、アセ
トニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメ
チルりん酸トリアミドまたは上記溶媒の混合物が挙げら
れ、特にアセトニトリル、ベンゼンが好ましい。
【0043】反応で使用される塩基としては、例えばト
リメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプ
ロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチ
ルピロリジン、N−メチルピペリジン、N,N−ジメチ
ルアニリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウ
ンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ
[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)等の第3級脂
肪族アミン;例えばピリジン、4−ジメチルアミノピリ
ジン、ピコリン、ルチジン、キノリン、イソキノリン等
の芳香族アミンが挙げられ、特にN,N−ジイソプロピ
ルエチルアミン、トリエチルアミンが好ましい。
【0044】反応で使用される活性化試薬としては、例
えばトリフルオロ酢酸無水物、メタンスルホン酸無水
物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、p−トルエ
ンスルホン酸無水物等の酸無水物;例えばメタンスルホ
ニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、ジフ
ェニルクロロホスファート等の酸クロリドが挙げられ、
特にジフェニルクロロホスファートが好ましい。
【0045】一般式[II’]の基Zは脱離基を意味
し、例えばトリフルオロアセトキシ基、メタンスルホニ
ルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、
p−トルエンスルホニルオキシ基、ジフェノキシホスホ
リルオキシ基等が挙げられ、特にジフェノキシホスホリ
ルオキシ基が好ましい。
【0046】反応は一般式[II]の化合物1モルに対
して、塩基1〜3モル、好ましくは1〜1.5モル、活
性化試薬1〜1.2モルが使用される。
【0047】反応は−40〜50℃、好ましくは−20
〜20℃の温度範囲で行い、通常0.5〜3時間で定量
的に完結する。
【0048】反応終了後、常法に従って処理して、一般
式[II]の反応性誘導体[II’]が定量的に得られ
る。
【0049】反応性誘導体[II’]と一般式
【0050】
【化18】 [式中、R30は水素原子、低級アルキル基またはイミノ
基の保護基、R40、R50およびR60の群から選ばれる二
種の置換基は、窒素原子と共に互いに結合して、5員ま
たは6員の置換されていてもよい複素環基を形成し(但
し、該窒素原子はアンモニオ基を形成していてもよ
い)、残りの置換基は、水素原子または低級アルキル
基、Yは低級アルキレン基または単結合を示す(但し、
複素環基の置換基および複素環上のイミノ基は必要に応
じ、保護されていてもよい)]で表される化合物との反
応は、前記記載の不活性有機溶媒および塩基を用いて行
われ、一般式
【0051】
【化19】 [式中、R1、R9、R20、R30、R40、R50、R60およ
びYは前記の意味を有する]で表される化合物とする。
【0052】反応は、反応性誘導体[II’]1モルに
対して、塩基1〜2モル、好ましくは1〜1.5モル、
一般式[III]の化合物1〜1.2モルが使用され、
−40〜50℃、好ましくは−20〜20℃の温度範囲
で行われ、通常0.5〜3時間で完結する。
【0053】また、一般式[IV]の化合物は、一般式
[II]の化合物から、一段階で製造することもでき
る。即ち、一般式[II]の化合物から誘導した反応性
誘導体[II’]を単離することなく、同一反応系で一
般式[III]の化合物を反応させて、一般式[IV]
の化合物を効率よく製造することができる。一段階で行
う場合には、一般式[II]の化合物1モルに対して、
塩基2〜4モル、好ましくは2.5〜3.5モルを用い
る。
【0054】反応終了後、通常の処理を行い、一般式
[IV]で表される化合物の粗生成物を得、精製するこ
となく脱保護反応に付すことができるが、該粗生成物は
結晶化またはシリカゲル等によるカラムクロマトグラフ
ィーに付し、精製することが好ましい。
【0055】このようにして得られた一般式[IV]の
化合物から、必要に応じて、ヒドロキシ基、イミノ基お
よびカルボキシル基の保護基の除去反応を適宜組み合せ
て行うことにより、一般式[I]の化合物を製造するこ
とができる。
【0056】保護基の除去はその種類により異なるが、
常法に従って、例えば加溶媒分解、化学的還元または水
素化により行われる。
【0057】前記一般式[IV]において、ヒドロキシ
基および/またはアミノ基もしくはイミノ基の保護基
が、例えばベンジルオキシカルボニル基、p−ニトロベ
ンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボ
ニル基であり、カルボキシル基の保護基が、例えばベン
ジル基、p−ニトロベンジル基、ベンズヒドリル基等の
アラルキル基である場合には、例えば酸化白金、白金
線、白金黒等の白金触媒;例えばパラジウム黒、酸化パ
ラジウム、パラジウム−炭素、水酸化パラジウム−炭素
等のパラジウム触媒を用いる接触水素化により保護基を
除去することができる。
【0058】接触水素化反応に用いる溶媒としては、例
えばメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジ
オキサン、酢酸等またはこれらの有機溶媒と水あるいは
りん酸塩等の緩衝液との混合溶媒が挙げられる。
【0059】反応は、1〜4気圧の水素ガス気流下に0
〜50℃の温度範囲で、0.5〜4時間で完結する。
【0060】前記一般式[IV]において、ヒドロキシ
基および/またはアミノ基もしくはイミノ基の保護基
が、例えばアリルオキシカルボニル基であり、カルボキ
シル基の保護基が、例えばアリル基である場合には、ア
リル基の捕捉剤を含有する不活性有機溶媒中、有機可溶
性のパラジウム錯体触媒を反応させて保護基を除去する
ことができる[W.マッコムビ(McCombie)等
の方法、ザ ジャーナルオブ オーガニック ケミスト
リー(J.Org.Chem.)、第47巻、587〜
590頁(1982年)およびF.グイベ(Guib▲
e▼)等の方法、同一文献、第52巻、4984〜49
93(1987年)参照]。
【0061】反応に用いる溶媒としては、例えば水、ア
セトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、酢酸エチル、アセトニトリル、塩化メチレン、
クロロホルム等あるいはこれらの混合溶媒が挙げられ
る。
【0062】この反応に使用される好適なパラジウム化
合物錯体としては、例えばパラジウム−炭素、水酸化パ
ラジウム−炭素、塩化パラジウム(II)、酢酸パラジ
ウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)
パラジウム(0)、テトラキス(トリフェノキシホスフ
ィン)パラジウム(0)、テトラキス(トリエトキシホ
スフィン)パラジウム(0)、ビス[エチレンビス(ジ
フェニルホスフィン)]パラジウム(0)、テトラキス
[トリ(2−フリル)ホスフィン]パラジウム(0)、
ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)
クロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
(II) アセタート等が挙げられる。
【0063】アリル基の捕捉剤としては、例えばジメド
ン、ぎ酸、酢酸、ぎ酸アンモニウム、ぎ酸ナトリウム、
2−エチルヘキサン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン
酸カリウム、ピロリジン、ピペリジン、水素化トリブチ
ルすず等を挙げることができる。
【0064】反応は、一般式[IV]の化合物1モルに
対して、触媒0.01〜0.5モル、求核剤1〜6モル
を使用し、−10〜50℃の温度範囲、好ましくは0〜
30℃の温度範囲で行われ、通常0.5〜3時間で完結
する。
【0065】また、前記一般式[IV]において、ヒド
ロキシ基および/またはイミノ基の保護基がo−ニトロ
ベンジルオキシカルボニル基で、カルボキシル基の保護
基がo−ニトロベンジル基である場合には、光反応によ
って保護基を除去することができる[アミット(Ami
t)等の方法、ザ ジャーナル オブ オーガニックケ
ミストリー(J.Org.Chem.)、第39巻、1
92〜196(1974年)参照]。
【0066】保護基の除去反応の終了後、通常の処理法
により、例えばシリカゲルまたは吸着樹脂等を用いるカ
ラムクロマトグラフィーに付し、または凍結乾燥または
結晶化等の操作により、一般式[I]の化合物を単離す
ることができる。
【0067】尚、一般式[IV]の化合物の3位のカル
ボキシル基の保護基が、例えばアセトキシメチル基、ピ
バロイルオキシメチル基等の低級アルカノイルオキシア
ルキル基;例えばメトキシメチル基、インダニル基、フ
タリジル基等である場合、このようなエステルは生体内
で生理的に加水分解されるので、保護基を除去すること
なく、直接、ヒトまたは動物に投与することができる。
【0068】一般式[I]の化合物は、常法により医薬
として許容される塩またはエステルとすることができ
る。
【0069】一般式[II]で表される出発原料は、例
えばR1が水素原子である場合、ザルツマン(Salz
mann)等の方法[ジャーナル オブ ジ アメリカ
ンケミカル ソサエティ(J.Am.Chem.So
c.)、第102巻、6161〜6163頁(1981
年)参照];R1がメチル基である場合、シー(Shi
h)等の方法[ヘテロサイクルズ(Heterocyc
les)、第21巻、29〜40頁(1984年)参
照]またはそれらに準ずる方法に従い製造することがで
きる。
【0070】一般式[III]で表される出発原料は、
例えば以下の方法により合成することができる。
【0071】化合物のヒドロキシ基を常法により活性
化した後、チオ酢酸カリウム等のチオ酢酸塩を反応させ
て、アセチルチオ誘導体とし、次いでアルカリ加水分
解または酸加水分解により一般式[III]で表される
チオール誘導体を得ることができる。
【0072】
【化20】 [式中、R10は水素原子またはヒドロキシ基の保護基、
*は塩素原子、臭素原子、よう素原子、トリフルオロ
アセトキシ基、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオ
ロメタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニル
オキシ基からなる群より選ばれる脱離基、Acはアセチ
ル基を示し、R30、R40、R50、R60およびYは前記の
意味を有する]化合物の構造式を有する化合物群は、
参考例に示した製造法に準じて各々製造することができ
る。
【0073】本発明の化合物は、各種のグラム陽性菌お
よびグラム陰性菌に対して強い抗菌活性を示す。
【0074】本発明の化合物の有用性を具体的に示すた
めに、本発明化合物の代表例として実施例で例示される
本発明の化合物の抗菌活性を、バウエル(Bauer)
等の方法[ジ アメリカン ジャーナル オブ クリニ
カル パソロジィ(Amer. J. Clin. P
athol.)、第45巻、493頁(1966年)]
によるディスク拡散検定によって測定を行った。チエナ
マイシンまたはイミペネムを内部標準として使用した。
【0075】試験化合物のMICは、試験化合物を含有
するディスクによって生じた阻止円径から、ハンフレー
(Humphrey)およびライトボウン(Light
bown)によって報告された計算式[ザ ジャーナル
オブ ジェネラル ミクロバイオロジィ(J. Ge
n. Microbiol.)、第7巻、129頁(1
952年)]を使用して計算された。各菌種毎にMIC
の幾何平均を求めチエナマイシンとの活性比を計算し
た。
【0076】抗菌効力は、チエナマイシン(=1.0)
との割合で示されるが数字が大きいほど活性が強い。
【0077】DHP−I感受性は、クロップ(Krop
p)等の方法[アンチミクロビアルアジェント アンド
ケモテラピィ(Antimicrob. Agent
sChemother.)、第22巻、62〜70頁
(1982年)]によって定量し、イミペネム(=1.
0)との割合で示されるが、数字が小さいほど安定性が
高い。
【0078】本発明化合物の抗菌効力およびDHP−I
感受性を、比較化合物としてイミペネム(imipen
em)を用いて測定した。その結果を表1に示す。
【0079】
【表1】 本発明の化合物は、R4、R5およびR6の群から選ばれ
る二種の置換基が互いに結合して、窒素原子と共に5員
または6員の置換されていてもよい複素環基を形成する
ことを特徴とし、種々のグラム陽性菌およびグラム陰性
菌に対して優れた抗菌活性を有し、これら病原菌を起炎
菌とするヒトの細菌感染症の治療および予防のための抗
菌剤として有用な化合物である。本発明の抗菌剤に感受
性のある代表的な病原体としては、例えばスタフィロコ
ッカス(Staphylococcus)属、エンテロ
コッカス(Enterococcus)属、エシェリキ
ア(Escherichia)属、エンテロバクター
(Enterobacter)属、クレブシェラ(Kl
ebsiella)属、セラチア(Serratia)
属、プロテウス(Proteus)属、シュードモナス
(Pseudomonas)属等の菌種を挙げることが
でき、特にメチシリン耐性スタフィロコッカスアウレウ
ス(Methicillin resistant S
taphylococcus aureus)およびチ
エナマイシン耐性シュードモナス アエルギノーサ(t
hienamycin resistant Pseu
domonas aeruginosa)に対して優れ
た抗菌活性を示した。
【0080】本発明の化合物は、各々の化合物によって
異なるが、DHP−Iに対して極めて安定であり、かつ
物理化学的安定性および水に対する溶解性にも優れてい
る。
【0081】本発明化合物は、当分野で公知の固体また
は液体の賦形剤の担体と混合し、非経口投与、経口投
与、外部投与に適した医薬製剤の形で使用することがで
きる。主なものは、局所的または注射による非経口的
(静注または筋注)な投与である。医薬製剤としては、
例えば注射剤、シロップ剤、乳剤等の液剤;錠剤、カプ
セル剤、粒剤等の固形剤;軟膏、坐剤等の外用剤が挙げ
られる。これらの製剤には、必要に応じて塩基、助剤、
安定化剤、湿潤剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤等
の通常使用される添加剤が含まれていてもよい。
【0082】添加剤としては、例えば注射用蒸留水、リ
ンゲル液、グルコース、しょ糖シロップ、ゼラチン、食
用油、カカオ脂、エチレングリコール、しょ糖、とうも
ろこし澱粉、ステアリン酸マグネシウム、タルク等が挙
げられる。
【0083】投与量は、患者の症状、体重、年齢、性
別、投与形態、投与回数等によって異なるが、通常、成
人に対する好ましい日用量は有効成分約5〜50mg/
kg、子供に対する好ましい日用量は約5〜25mg/
kgの範囲にあり、1日当り1回または数回に分けて投
与するのが好ましい。
【0084】本発明の化合物は、必要に応じてシラスタ
チン[(Z)−7−(L−アミノ−2−カルボキシエチ
ルチオ)−2−(2,2−ジメチルシクロプロパンカル
ボキサミド)−2−ヘプテノイン酸ナトリウム]等のD
HP−I阻害剤[特開昭56−81518号公報、欧州
特許第28,778号、ジャーナル オブ メディシナ
ル ケミストリー(J.Med.Chem.)、第30
巻、1074頁(1987年)]と組合せて投与するこ
ともできる。
【0085】
【実施例】実施例および参考例を挙げて本発明を更に具
体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定さ
れるものではない。
【0086】実施例および参考例の薄層クロマトグラフ
は、プレートとしてSilicagel 60F
245(Merck)を、検出法としてUV検出器を用い
た。カラム用シリカゲルとしては、WakogelTM
C−300(和光純薬)を、逆相カラム用シリカゲルと
しては、LC−SORBTM SP−B−ODS(Che
mco)またはYMC−GELTM ODS−AQ 12
0−S50(山村化学研究所)を用いた。高速液体クロ
マトグラフとしては、JASCO 800シリーズ(日
本分光)を用いた。NMRスペクトルは、重ジメチルス
ルホキシドまたは重クロロホルム溶液で測定する場合に
は、内部基準としてテトラメチルシラン(TMS)を用
い、重水溶液で測定する場合には、内部基準として2,
2−ジメチル−2−シラペンタン−5−スルホナート
(DSS)を用い、XL−200(200MHz;Va
rian)型スペクトロメータを用いて測定し、全δ値
をppmで示した。
【0087】NMR測定における略号の意味を以下に示
す。 s:シングレット d:ダブレット dd:ダブル ダブレット m:マルチプレット br:ブロード J:カップリング定数 Hz:ヘルツ CDCl3:重クロロホルム D2O:重水 反応式における略号の意味を以下に示す。 Ac:アセチル基 All:アリル基 Alloc:アリルオキシカルボニル基 Boc:tert−ブトキシカルボニル基 Ph:フェニル基 TBS:tert−ブチルジメチルシリル基 実施例1(1R,5S,6S)−6−[(R)−1−ヒドロキシ
エチル]−1−メチル−2−[(2S,4S)−2−
(3−ピロリン−3−イル)ピロリジン−4−イルチ
オ]−1−カルバペン−2−エム−3−カルボン酸 1)
【0088】
【化21】 アリル (1R,5S,6S)−2−ジフェノキシホス
ホリルオキシ−6−[(R)−1−ヒドロキシエチル]
−1−メチル−1−カルバペン−2−エム−3−カルボ
キシラート(456mg,0.91mmol)および
(2S,4S)−N−アリルオキシカルボニル−2−
(N−アリルオキシカルボニル−3−ピロリン−3−イ
ル)−4−メルカプトピロリジン(310mg,0.9
2mmol,参考例1の化合物)をアセトニトリル(2
5ml)に溶解し、窒素気流中、−10℃でN,N−ジ
イソプロピルエチルアミン(0.16ml,0.92m
mol)を滴下後、5℃で一夜撹拌した。反応溶液を減
圧下に濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー[WakogelTM C−300,ヘキサン−酢酸
エチル(1:4)]に付し、アリル (1R,5S,6
S)−2−[(2S,4S)−N−アリルオキシカルボ
ニル−2−(N−アリルオキシカルボニル−3−ピロリ
ン−3−イル)ピロリジン−4−イルチオ]−6−
[(R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−1−
カルバペン−2−エム−3−カルボキシラート(205
mg,収率:38.2%)を得た。
【0089】IR(KBr)cm-1:1780,171
0,1410,1330 NMR(CDCl3)δ:1.27(3H,d,J=7
Hz),1.36(3H,d,J=6Hz),1.88
(1H,m),2.62(1H,m),3.18〜3.
48(3H,m),3.64(1H,m),5.12〜
5.53(6H,m),5.64(1H,m),5.7
8〜6.10(3H,m) 2)
【0090】
【化22】 前記反応で得た化合物(205mg,0.35mmo
l)の塩化メチレン溶液(7.5ml)に、窒素気流
中、氷冷下で水(31μl)、ビス(トリフェニルホス
フィン)パラジウム(II)クロリド(12.3mg,
0.017mmol)および水素化トリブチルすず
(0.375ml,1.39mmol)を加え、この反
応溶液を同温で20分間、室温で20分間撹拌した。反
応混合物を水(70ml)で抽出し、水層をクロロホル
ムで2回洗浄後、不溶物を濾別した。濾液を減圧下、約
15mlまで濃縮後、逆層カラムクロマトグラフィー
(YMC−GELTM ODS−AQ 120−S50,
50ml,20%メタノール水溶液)に付し、標記化合
物(54mg,収率:40.8%)を得た。
【0091】IR(KBr)cm-1:1760,159
0,1390 NMR(D2O)δ:1.21(3H,d,J=8H
z),1.29(3H,d,J=7Hz),1.54
(1H,m),2.60(1H,m),2.99(1
H,dd,J=12,3Hz),3.18〜3.43
(3H,m),3.82(2H,m),4.13(4
H,s),4.23(2H,m),5.83(1H,b
r s) HPLC;カラム:YMCTM−Pack ODS−A
Q,5μ,4.6φ×150mm、移動相:0.01M
りん酸緩衝液(pH6.5)−メタノール(80:2
0)、流速:1.0ml/min、温度:40℃、検
出:290nm、保持時間:3.17min 参考例1(2S,4S)−N−アリルオキシカルボニル−2−
(N−アリルオキシカルボニル−3−ピロリン−3−イ
ル)−4−メルカプトピロリジン 1)
【0092】
【化23】 ヘキサメチルジシラザン(1.73ml,8.2mmo
l)のテトラヒドロフラン溶液(40ml)に、窒素気
流中、−78℃で1.6M n−ブチルリチウム(4.
93ml,7.89mmol)を滴下し、反応溶液を0
℃で10分間、更に−78℃で25分間撹拌した。この
溶液に(2S,4R)−N−tert−ブトキシカルボ
ニル−4−tert−ブチルジメチルシロキシ−2−
(N−tert−ブトキシカルボニル−2−ピロリドン
−4−イル)ピロリジン[2.94g,6.07mmo
l;特願平3−87628 参考例5−1)の化合物]
のテトラヒドロフラン溶液(10ml)を滴下し、−7
8℃で30分間撹拌後、塩化フェニルセレニル(1.7
5g,9.14mmol)のテトラヒドロフラン溶液
(10ml)を滴下し、同温で50分間撹拌した。反応
溶液に−78℃で飽和塩化アンモニウム水溶液(10m
l)を加えた後、酢酸エチル(100ml)で抽出し
た。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー[WakogelTMC−30
0,ヘキサン−酢酸エチル(8:1)]に付し、(2
S,4R)−N−tert−ブトキシカルボニル−4−
tert−ブチルジメチルシロキシ−2−(N−ter
t−ブトキシカルボニル−3−フェニルセレニル−2−
ピロリドン−4−イル)ピロリジン(1.5g,収率:
38.6%)を得た。
【0093】NMR(CDCl3)δ:0.03(6
H,s),0.84(9H,s),1.46(9H,
s),1.50(9H,s),1.88(1H,m),
2.78(1H,m),4.02〜4.28(2H,
m),7.28(3H,m),7.70(2H,m) 2)
【0094】
【化24】 前記反応で得られた化合物(1.5g,2.35mmo
l)のテトラヒドロフラン溶液(15ml)に、窒素気
流中、室温でボラン−ジメチルスルフィド錯体(0.7
ml,7.0mmol)を滴下後、50〜60℃で1.
5時間撹拌した。反応溶液に、氷冷下、メタノール(5
ml)を加え、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー[WakogelTM C−30
0,ヘキサン−酢酸エチル(8:1)]に付し、(2
S,4R)−N−tert−ブトキシカルボニル−4−
tert−ブチルジメチルシロキシ−2−(N−ter
t−ブトキシカルボニル−3−フェニルセレニルピロリ
ジン−4−イル)ピロリジン(883mg,収率:6
0.2%)を得た。
【0095】NMR(CDCl3)δ:0.02(3
H,s),0.03(3H,s),0.86(9H,
s),1.43(9H,s),1.46(9H,s),
1.56〜1.98(2H,m),4.21(2H,
m),7.31(3H,m),7.58(2H,m) 3)
【0096】
【化25】 前記反応で得られた化合物(883mg,1.41mm
ol)の塩化メチレン溶液(20ml)に、室温でm−
クロロ過安息香酸(305mg,1.77mmol)を
加え、同温で一夜撹拌した。反応溶液を酢酸エチル(1
00ml)で抽出し、有機層を飽和重曹水で3回、水、
飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[Wako
gelTMC−300,ヘキサン−酢酸エチル(10:
1)]に付し、(2S,4R)−N−tert−ブトキ
シカルボニル−4−tert−ブチルジメチルシロキシ
−2−(N−tert−ブトキシカルボニル−3−ピロ
リン−3−イル)ピロリジン(588mg,収率:8
8.9%)を得た。
【0097】NMR(CDCl3)δ:0.04(6
H,s),0.85(9H,s),1.42(9H,
s),1.45(9H,s),1.72〜2.10(2
H,m),3.44(2H,m),3.94〜4.18
(4H,m),4.34(1H,m),4.53(1
H,m),5.60(1H,br s) 4)
【0098】
【化26】 前記反応で得られた化合物(588mg,1.26mm
ol)の塩化メチレン溶液(10ml)に、窒素気流
中、氷冷下で2,6−ルチジン(0.59ml,5.0
6mmol)およびトリメチルシリルトリフルオロメタ
ンスルホナート(0.76ml,3.8mmol)を滴
下し、同温で1.5時間撹拌した。反応溶液に、メタノ
ール(3ml)を加え、減圧下に濃縮した。残渣を塩化
メチレン(10ml)に溶解し、氷冷下、トリエチルア
ミン(0.44ml,3.16mmol)およびクロロ
ギ酸アリル(0.32ml,0.30mmol)を加
え、同温で1時間撹拌した。反応溶液を減圧下に濃縮
し、残渣を酢酸エチル(70ml)で抽出した。有機層
を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥
後、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー[WakogelTM C−300,ヘキサ
ン−酢酸エチル(4:1)]に付し、(2S,4R)−
N−アリルオキシカルボニル−2−(N−アリルオキシ
カルボニル−3−ピロリン−3−イル)−4−tert
−ブチルジメチルシロキシピロリジン(485mg,収
率:88.5%)を得た。 5)
【0099】
【化27】 前記反応で得られた化合物(485mg,1.11mm
ol)のアセトニトリル溶液(10ml)に、室温で4
6%フッ化水素酸(0.5ml)を加え、同温で1時間
撹拌した。反応溶液を酢酸エチル(70ml)で抽出
し、有機層を飽和重曹水、水、飽和食塩水の順に洗浄
し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。
残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[Wako
gelTM C−300,ヘキサン−酢酸エチル(1:
2)]に付し、(2S,4R)−N−アリルオキシカル
ボニル−2−(N−アリルオキシカルボニル−3−ピロ
リン−3−イル)−4−ヒドロキシピロリジン(320
mg,収率:89.3%)を得た。
【0100】NMR(CDCl3)δ:1.98(1
H,m),2.16(1H,m),3.45〜3.74
(2H,m),4.04〜4.26(4H,m),4.
40〜4.78(6H,m),5.14〜5.40(4
H,m),5.61(1H,br s),5.80〜
6.07(2H,m) 6)
【0101】
【化28】 前記反応で得られた化合物(320mg,0.99mm
ol)のテトラヒドロフラン溶液(10ml)に、窒素
気流中、氷冷下でトリフェニルホスフィン(433m
g,1.69mmol)およびアゾジカルボン酸ジエチ
ルエステル(0.266ml,1.69mmol)を加
え、同温で30分間撹拌後、チオ酢酸(0.121m
l,1.69mmol)を加え、更に2時間撹拌した。
反応溶液を酢酸エチル(50ml)で抽出し、有機層を
水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥
後、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー[WakogelTM C−300,ヘキサ
ン−酢酸エチル(4:1)]に付し、(2S,4S)−
4−アセチルチオ−N−アリルオキシカルボニル−2−
(N−アリルオキシカルボニル−3−ピロリン−3−イ
ル)ピロリジン(351mg,収率:92.9%)を得
た。
【0102】NMR(CDCl3)δ:1.86(1
H,m),2.34(3H,s),2.58(1H,
m),3.26(1H,dd,J=12,8Hz),
3.98(1H,m),4.06〜4.30(5H,
m),4.63(4H,m),5.14〜5.40(4
H,m),5.62(1H,m),5.76〜6.08
(2H,m) 7)
【0103】
【化29】 前記反応で得られた化合物(351mg,0.92mm
ol)のメタノール溶液(10ml)に、窒素気流中、
氷冷下で1N 水酸化ナトリウム水溶液(0.92m
l)を滴下し、同温で15分間撹拌した。反応溶液に1
N 塩酸(0.97ml)を加え、減圧下に濃縮し、残
渣を酢酸エチル(70ml)で抽出した。有機層を水、
飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減
圧下に濃縮することにより、標記化合物(310mg,
収率:99.3%)を得た。
【0104】
【発明の効果】本発明の化合物は、文献未記載の新規化
合物であり、感受性・耐性のグラム陽性菌およびグラム
陰性菌に対する強い抗菌力、β−ラクタマーゼおよびD
HP−Iに対する優れた安定性を有するので、抗菌剤と
して有用である。
フロントページの続き (72)発明者 牛嶋 良輔 茨城県つくば市大久保3番 萬有製薬株式 会社つくば研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 【化1】 [式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子
    または陰電荷、R3は水素原子または低級アルキル基、
    4、R5およびR6の群から選ばれる二種の置換基は、
    窒素原子と共に互いに結合して、5員または6員の置換
    されていてもよい複素環基を形成し(但し、該窒素原子
    はアンモニオ基を形成していてもよい)、残りの置換基
    は、水素原子または低級アルキル基、Yは低級アルキレ
    ン基または単結合を示す]で表される化合物またはその
    医薬として許容される塩またはエステル。
  2. 【請求項2】一般式 【化2】 [式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子
    または陰電荷、R3は水素原子または低級アルキル基、
    4aおよびR5aまたはR4aおよびR6aは窒素原子と共に
    互いに結合して、5員または6員の置換されていてもよ
    い複素環基を形成し(但し、該窒素原子はアンモニオ基
    を形成していてもよい)、R4a、R5aおよびR6aの内互
    いに結合しない置換基は、水素原子または低級アルキル
    基、Yは低級アルキレン基または単結合を示す]で表さ
    れる請求項1記載の化合物またはその医薬として許容さ
    れる塩またはエステル。
  3. 【請求項3】一般式 【化3】 [式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子
    または陰電荷、R3は水素原子または低級アルキル基、
    4bは水素原子または低級アルキル基、R5bおよびR6b
    は窒素原子と共に互いに結合して、5員または6員の置
    換されていてもよい複素環基を形成し(但し、該窒素原
    子はアンモニオ基を形成していてもよい)、Yは低級ア
    ルキレン基または単結合を示す]で表される請求項1記
    載の化合物またはその医薬として許容される塩またはエ
    ステル。
  4. 【請求項4】該複素環基が、ピロリニル基、N−低級ア
    ルキルピロリニル基、N,N−ジ低級アルキルピロリニ
    ウム基、テトラヒドロピリジル基、N−低級アルキルテ
    トラヒドロピリジル基、N,N−ジ低級アルキルテトラ
    ヒドロピリジニウム基、ピロリジニリデン基、N−低級
    アルキルピロリジニリデン基、N,N−ジ低級アルキル
    ピロリジニウムイリデン基、ピペリジリデン基、N−低
    級アルキルピペリジリデン基またはN,N−ジ低級アル
    キルピペリジニウムイリデン基である請求項1記載の化
    合物。
  5. 【請求項5】該複素環基が、ピロリニル基である請求項
    1記載の化合物。
  6. 【請求項6】(5R,6S)−6−[(R)−1−ヒド
    ロキシエチル]−2−[(2S,4S)−2−(3−ピ
    ロリン−3−イル)ピロリジン−4−イルチオ]−1−
    カルバペン−2−エム−3−カルボン酸または(1R,
    5S,6S)−6−[(R)−1−ヒドロキシエチル]
    −1−メチル−2−[(2S,4S)−2−(3−ピロ
    リン−3−イル)ピロリジン−4−イルチオ]−1−カ
    ルバペン−2−エム−3−カルボン酸である請求項1記
    載の化合物。
  7. 【請求項7】(1R,5S,6S)−6−[(R)−1
    −ヒドロキシエチル]−1−メチル−2−[(2S,4
    S)−2−(3−ピロリン−3−イル)ピロリジン−4
    −イルチオ]−1−カルバペン−2−エム−3−カルボ
    ン酸である請求項1記載の化合物。
  8. 【請求項8】一般式[I]で表される化合物の立体配置
    が、(5R,6S,8R)または(1R,5S,6S,
    8R)である請求項1記載の化合物。
  9. 【請求項9】一般式 【化4】 [式中、R1は水素原子またはメチル基、R9は水素原子
    またはヒドロキシ基の保護基、R20は水素原子またはカ
    ルボキシル基の保護基を示す]で表される化合物または
    その反応性誘導体と一般式 【化5】 [式中、R30は水素原子、低級アルキル基またはイミノ
    基の保護基、R40、R50およびR60の群から選ばれる二
    種の置換基は、窒素原子と共に互いに結合して、5員ま
    たは6員の置換されていてもよい複素環基を形成し(但
    し、該窒素原子はアンモニオ基を形成していてもよ
    い)、残りの置換基は、水素原子または低級アルキル
    基、Yは低級アルキレン基または単結合を示す(但し、
    複素環基の置換基および複素環上のイミノ基は必要に応
    じ、保護されていてもよい)]で表される化合物とを反
    応させて、一般式 【化6】 [式中、R1、R9、R20、R30、R40、R50およびR60
    は前記の意味を有する]で表される化合物とし、要すれ
    ば、一般式[IV]の化合物の保護基を除去することを
    特徴とする、一般式 【化7】 [式中、R2は水素原子または陰電荷、R3は水素原子ま
    たは低級アルキル基、R4、R5およびR6の群から選ば
    れる二種の置換基は、窒素原子と共に互いに結合して、
    5員または6員の置換されていてもよい複素環基を形成
    し(但し、該窒素原子はアンモニオ基を形成していても
    よい)、残りの置換基は、水素原子または低級アルキル
    基、Yは低級アルキレン基または単結合を示し、R1
    前記の意味を有する]で表される化合物またはその医薬
    として許容される塩またはエステルの製造法。
  10. 【請求項10】一般式 【化8】 [式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子
    または陰電荷、R3は水素原子または低級アルキル基、
    4、R5およびR6の群から選ばれる二種の置換基は、
    窒素原子と共に互いに結合して、5員または6員の置換
    されていてもよい複素環基を形成し(但し、該窒素原子
    はアンモニオ基を形成していてもよい)、残りの置換基
    は、水素原子または低級アルキル基、Yは低級アルキレ
    ン基または単結合を示す]で表される化合物またはその
    医薬として許容される塩またはエステルを有効成分とす
    る抗菌剤。
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