JPH072883B2 - 加硫ゴム組成物 - Google Patents

加硫ゴム組成物

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JPH072883B2
JPH072883B2 JP60191293A JP19129385A JPH072883B2 JP H072883 B2 JPH072883 B2 JP H072883B2 JP 60191293 A JP60191293 A JP 60191293A JP 19129385 A JP19129385 A JP 19129385A JP H072883 B2 JPH072883 B2 JP H072883B2
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rubber
acrylate
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泰彦 竹村
信一郎 膳
義明 座間
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Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 a. 産業上の利用分野 本発明は、耐ガソリン性、耐ガソホール性、耐サワーガ
ソリン性、耐サワーガソホール性に優れ、さらに優れた
耐オゾン性、耐熱性を有するな加硫ゴム組成物に関す
る。
b. 従来の技術 近年、自動車において、排出ガス規制対策や性能向上を
目的としたエンジンなどの改良の結果、耐ガソリン性ゴ
ムが使用される雰囲気は、ますます高温となる傾向にあ
り、耐熱性、耐オゾン性に優れた耐ガソリン(油)性ゴ
ムが求められている。またガソリンが酸化されてサワー
ガソリン(ガソリンが酸化されて発生するパーオキサイ
ドを含むガソリンのことを言う。詳しくはA.Nersasian:
Rubber and Plastics News June26(1978)に記載され
ている)が発生し、ゴムを劣化させるという問題が生じ
ている。
さらに世界的な原油需給の逼迫により、ガソリンにアル
コールを混合することが試みられるようになってきた。
このアルコール混合ガソリン(ガソホール)も、通常の
ガソリン同様に酸化されて、サワーガソホールが発生
し、ゴムを劣化させるという問題がある。
従来、耐ガソリン性ゴムとして、ブタジエン−アクリロ
ニトリルゴムが、ホース、ガスケット、O−リング、パ
ッキン、オイルシールなどの用途に広く使用されてい
る。
c. 発明が解決しようとする問題点 しかしながら、ブタジエン−アクリロニトリルゴムは、
耐熱性が劣り、さらに耐サワーガソリン性も不充分であ
るため、前記のように高温でガソリンと接触する環境に
おいて充分な信頼性を有するゴム部品を得ることは困難
である。
これを改良する方法として、ブタジエン−アクリロニト
リルゴムとポリ塩化ビニルとのブレンド物を使用するこ
とによって、耐サワーガソリン性、耐オゾン性の改良を
行うことが知られているが、(特開昭55-89838号)、こ
れによると耐熱性が改良されず、さらに耐ガソホール性
も充分とはいえない。
従来、耐油性、耐熱性、耐オゾン性に優れた材料として
アクリル系ゴムが使用されているが、かかるゴムは、耐
ガソリン性、耐ガソホール性、耐サワーガソリン性にお
いて劣り、最近要求される自動車のエンジン周辺機器に
求められる性能を満足できないため不適当であり、この
改良が求められている。
例えばこのような改良手段として、アクリル系ゴムとフ
ッ化ビニリデン系ゴムの混合物からなるゴム組成物が提
案されているが、かかる組成物は未だ耐ガソリン性、耐
ガソホール性、耐サワーガソリン性が十分なレベルに達
していない。
d. 問題点を解決するための手段 本発明者らは、耐ガソリン性、耐ガソホール性、耐サワ
ーガソリン性、耐サワーガソホール性に優れ、さらに耐
オゾン性、耐熱性を有するゴム材料を得るべく鋭意検討
した結果、一定の重合組成を有するアクリル系ゴムと、
アクリル系ゴム、フッ素ゴム、ブタジエン−アクリロニ
トリルおよびその水素化物を除くその他のゴム群から選
ばれた少なくとも1種のゴムおよびフッ化ビニリデン樹
脂との混合物からなる加硫ゴム組成物が、耐オゾン性、
耐熱性、耐ガソリン性、耐サワーガソリン性に優れるの
みならず、新しい要求性能である耐ガソホール性、耐サ
ワーガソホール性にも優れ、さらに良好な引っ張り強
さ、伸びおよび耐ガソリン性と耐寒性のバランスを有す
ることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、(A)アクリル酸アルキルエステル
および/またはアクリル酸アルコキシ置換アルキルエス
テル化合物30〜99.9重量%、(B)架橋性モノマー0.1
〜10重量%、および(C)前記(A)、(B)と共重合
可能な他のエチレン性不飽和化合物0〜70重量%、の重
合組成を有するアクリル系ゴム(I)とアクリル系ゴ
ム、フッ素ゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴムお
よびその水素化物を除くその他のゴムの群から選ばれた
少なくとも1種のゴム(II)とを含有し、それら(I)
/(II)の重量比が99.9/0.1〜70/30である混合物
(α)と、フッ化ビニリデンを90モル%以上含有するフ
ッ化ビニリデン樹脂(III)とを含有し、混合物(α)
/フッ化ビニリデン樹脂(III)の重量比が95/5〜40/60
であることを特徴とする加硫ゴム組成物を提供するもの
である。
本発明に用いられるアクリル系ゴム(I)は、 (A)アクリル酸アルキルエステルおよび/またはアク
リル酸アルコキシ置換アルキルエステル化合物、 (B)架橋性モノマー、および (C)前記(A)、(B)と共重合可能な他のエチレン
性不飽和化合物、 各成分とからなる多元共重合体ゴムが使用される。
前記(A)成分のアクリル酸アルキルエステルは、下記
一般式(i) [式中、R1は炭素数1〜18のアルキル基を示す。] で表わされるものであり、例えばメチルアクリレート、
エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−
ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ペ
ンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘ
キシルアクリレート、2−メチルペンチルアクリレー
ト、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルア
クリレート、n−デシルアクリレート、n−ドデシルア
クリレート、n−アクタデシルアクリレートなどが挙げ
られ、好ましくはメチルアクリレート、エチルアクリレ
ート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレ
ートであり、とくに好ましくはメチルアクリレート、エ
チルアクリレートである。
前記(A)成分のアクリル酸アルコキシ置換アルキルエ
ステルとしては、下記一般式(ii) で表わされるものであり、例えば2−メトキシエチルア
クリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−
(n−プロポキシ)エチルアクリレート、2−(n−ブ
トキシ)エチルアクリレート、3−メトキシプロピルア
クリレート、3−エトキシプロピルアクリレート、2−
(n−プロポキシ)プロピルアクリレート、2−(n−
ブトキシ)プロピルアクリレートなどが挙げられ、好ま
しくは2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシ
エチルアクリレートであり、とくに好ましくは2−メト
キシエチルアクリレートである。
前記(B)成分である架橋性モノマーは、共重合するこ
とによって、得られる共重合体に架橋構造を導入するこ
とが可能な単量体であり、例えばジエン系化合物、ジヒ
ドロジシクロペンタジエニル基含有(メタ)アクリル酸
エステル、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、活
性ハロゲン含有エチレン性不飽和化合物およびカルボキ
シル基含有エチレン性不飽和化合物の群から選ばれた少
なくとも1種の化合物を挙げることができる。
かかる(B)成分の架橋性モノマーのうち、ジエン系化
合物として、例えばアルキリデンノルボルネン、アルケ
ニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、メチルシク
ロペンタジエンおよびそのダイマーなどの非共役ジエン
類、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類が挙げ
られるが、アルキリデンノルボルネン、アルケニルノル
ボルネン、ジシクロペンタジエン、メチルシクロペンタ
ジエンおよびそのダイマーよりなる群から選ばれた非共
役ジエンであることが望ましい。
また、前記(B)成分の架橋性モノマーのうち、ジヒド
ロジシクロペンタジエニル基含有(メタ)アクリル酸エ
ステルとしては、ジヒドロジシクロペンタジエニル(メ
タ)アクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルオ
キシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
さらにまた、前記(B)成分の化合物のうち、エポキシ
基含有エチレン性不飽和化合物としては、アリルグリシ
ジルエーテル、グリシジルメタクリレート、グリシジル
アクリレートが好ましい。
さらにまた、前記(B)成分の化合物のうち、活性ハロ
ゲン含有エチレン性不飽和化合物と具体例としては、ビ
ニルベンジルクロリド、ビニルベンジルブロミド、2−
クロルエチルビニルエーテル、ビニルクロルアセテー
ト、ビニルクロルプロピオネート、アリルクロルアセテ
ート、アリルクロルプロピオネート、2−クロルエチル
アクリレート、2−クロルエチルメタクリレート、クロ
ルメチルビニルケトン、2−クロルアセトキシメチル−
5−ノルボルネンなどが挙げられるが、このうち、ビニ
ルクロルアセテート、2−クロルエチルビニルエーテ
ル、ビニルベンジルクロリド、2−クロルエチルメタク
リレート、2−クロルエチルアクリレートが好ましい。
さらにまた、前記(B)成分の化合物のうち、カルボキ
シル基含有エチレン性不飽和化合物の具体例としては、
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−ペンテン
酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられ
る。
前記(C)成分の他のエチレン性不飽和化合物として
は、必要に応じ種々の化合物を使用することができる
が、その例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロ
トン酸、2−ペンテン酸、マレイン酸、フマル酸、イタ
コン酸などのカルボキシル基含有化合物、2−シアノエ
チルアクリレート、3−シアノプロピルアクリレート、
4−シアノブチルアクリレートなどのシアノ置換アルキ
ル(メタ)アクリレート、メチルメタクリレート、オク
チルメタクリレートなどのメタクリレート、メチルビニ
ルケトンのようなアルキルビニルケトン、ビニルエチル
エーテル、アリルメチルエーテルなどのビニルおよびア
リルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、クロロ
スチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物、
アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのビニル
ニトリル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−
メチロールアクリルアミドなどのビニルアミド、1,1−
ジヒドロペルフルオロエチル(メタ)アクリレート、1,
1−ジヒドロペルフルオロプロピル(メタ)アクリレー
ト、1,1,5−トリヒドロペルフルオロヘキシル(メタ)
アクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロプ
ロピル(メタ)アクリレート、1,1,7−トリヒドロペル
フルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1,1−ジヒド
ロペルフルオロオクチル(メタ)アクリレート、1,1−
ジヒドロペルフルオロデシル(メタ)アクリレートなど
の含フッ素アクリル酸エステル、ジエチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)
アクリレートなどの三級アミノ基含有単量体、1−ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレートなどの水酸基含有化合物およびエチレ
ン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化
ビニル、フッ化ビニリデン、酢酸ビニル、アルキルフマ
レートなどが挙げられる。
この中で2−シアノエチルアクリレート、アクリロニト
リル、エチレン、酢酸ビニルが好ましく、とくに2−シ
アノエチルアクリレート、アクリロニトリルが好まし
い。
なお、(A)成分と(C)成分との好ましい組み合わせ
は、(A)成分のアクリル酸アルキルエステルおよび/
またはアクリル酸アルコキシ置換アルキルエステル化合
物が、メチルアクリレート、エチルアクリレートおよび
メトキシエチルアクリレートの群から選ばれた少なくと
も1種の化合物であり、(C)成分の他のエチレン性不
飽和化合物がアクリロニトリルである。
本発明のアクリル系ゴム(I)における(A)、(B)
および(C)成分の組成比率は、(A)成分30〜99.9重
量%、(B)成分0.1〜10重量%および(C)成分0〜7
0重量%である。
前記(A)成分が30重量%未満では、アクリル系ゴムの
引っ張り強さ、伸びなどの常態物性が劣り好ましくな
い。好ましくは50重量%以上であり、特に好ましくは70
重量%以上である。
また、前記(B)成分が約0.1重量%未満では、アクリ
ル系ゴムの架橋に長時間を要し、一方10重量%を越える
とゴムが固くなり、架橋ゴムの伸びが低下して好ましく
ない。好ましくは1〜7重量%であり、さらに好ましく
は2〜5重量%である。
さらに、前記(C)成分は、約70重量%を越えると
(A)成分が少なくなりすぎ好ましくない。
前記アクリル系ゴム(I)は、通常のラジカル重合触媒
を用いた乳化重合により製造することができる。
本発明に使用されるアクリル系ゴム、フッ素ゴム、ブタ
ジエン−アクリロニトリルゴムおよびその水素化物を除
くその他のゴムの群から選ばれた少なくとも1種のゴム
(II)は、クロロプレンゴム、ヒドリンゴム、クロロス
ルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、シリコー
ンゴム、エチレン−プロピレン−(ジエン)ゴム、スチ
レン−ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ブチルゴ
ム、イソプレンゴム、天然ゴムなどが挙げられ、このう
ち例えばヒドリンゴム、シリコーンゴムを用いた場合
は、耐寒性改良効果があり、特に好ましくはヒドリンゴ
ムである。
次に、本発明に使用されるフッ化ビニリデン樹脂(II
I)は、ポリフッ化ビニリデンおよびフッ化ビニリデン
とヘキサフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、
トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、
テトラフルオロエチレン、ビニルフルオライド、パーフ
ルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロ
ピルビニルエーテル)、酢酸ビニル、エチレン、プロピ
レン、ブタジエン、スチレンもしくはアクリル酸エステ
ルなどの1種または2種以上の共重合体であり、かつフ
ッ化ビニリデン含量は、90%以上、好ましくは95モル%
以上である。フッ化ビニリデン含量が90モル%未満のフ
ッ化ビニリデンの共重合体では、耐ガソリン性、耐ガソ
ホール性、耐サワーガソリン性、耐サワーガソホール性
の点から好ましくない。なおフッ化ビニリデン樹脂は、
特に制限されないが、好ましくは重合度100〜100,000の
ものが用いられる。
このように本発明の加硫ゴム組成物は、アクリル系ゴム
(I)と、アクリル系ゴム、フッ素ゴム、ブタジエン−
アクリロニトリルゴムおよびその水素化物を除くその他
のゴムの群から選ばれた少なくとも1種のゴム(II)と
を含有し、それら(I)/(II)の重量比が99.9/0.1〜
70/30である混合物(α)およびフッ化ビニリデンを90
モル%以上含有するフッ化ビニリデン樹脂(III)を含
有するものであるが、両者の使用割合は、混合物(α)
/フッ化ビニリデン樹脂の重量比が95/5〜40/60であ
る。
すなわち、ゴム(II)の使用量は、混合物(α)100重
量部中多くとも30重量部未満であり、30重量部以上では
耐サワーガソリン性などが悪化する。好ましくは20重量
部以下である。
またフッ化ビニリデン樹脂(III)の使用量は混合物
(α)とフッ化ビニリデン樹脂(III)との混合物100重
量部中少なくとも5重量部であり、約5重量部未満では
耐ガソホール性改良の効果が見られず、好ましくは10重
量部以上である。混合物中のフッ化ビニリデン樹脂(II
I)の量が増えるにしたがって、加工性が悪くなり、ま
たコストが上昇するので使用量の上限はおのずと決ま
り、通常60重量部以下、好ましくは50重量部以下であ
る。
本発明の組成物中の混合物(α)とフッ化ビニリデン樹
脂(III)との使用割合は、使用目的、要求性能に応じ
て前記の範囲内で適宜決定することができる。
本発明の組成物の混合方法は特に制限はないが、例えば
次のような方法を用いることができる。
(イ)アクリル系ゴムと、アクリル系ゴム、フッ素ゴ
ム、ブタジエン−アクリロニトリルゴムおよびその水素
化物を除くその他のゴムの群から選ばれた少なくとも1
種のゴムとを、ロール、バンバリーミキサー、インター
ミキサーなどの混合機を用いて混合したのち、次にフッ
化ビニリデン樹脂を添加してロール、バンバリーミキサ
ー、インターミキサーなどの混合機を用いて混合する方
法。
(ロ)アクリル系ゴムと、アクリル系ゴム、フッ素ゴ
ム、ブタジエン−アクリロニトリルおよびその水素化物
を除くその他のゴムの群から選ばれた少なくとも1種の
ゴムとフッ化ビニリデン樹脂とを、一度にロール、バン
バリーミキサー、インターミキサーなどの混合機を用い
て混合する方法。
(ハ)アクリル系ゴムと、アクリル系ゴム、フッ素ゴ
ム、ブタジエン−アクリロニトリルゴムおよびその水素
化物を除くその他のゴムの群から選ばれた少なくとも1
種のゴムと、フッ化ビニリデン樹脂とを、それぞれラテ
ックス状または懸濁状のままで混合したのち、凝固処理
して共沈澱させる方法、または (ニ)前記(イ)と(ハ)とを併用する方法、あるいは
前記(ロ)と(ハ)とを併用する方法などが挙げられ
る。
本発明の加硫ゴム組成物には、通常の配合薬品、例えば
補強剤、充填剤、可塑剤、離型剤、軟化剤、安定剤など
が配合されるが、これらの添加剤は予めゴム混合物
(α)に配合したのち、フッ化ビニリデン樹脂と前記
(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)の何れかの方法で混合
することもでき、また混合物(α)とフッ化ビニリデン
樹脂(III)とを混合したのち、配合することもでき
る。
ロール、バンバリーミキサー、インターミキサーなどを
用いて混合物(α)とフッ化ビニリデン樹脂(III)を
混合する場合、具体的には150〜250℃、好ましくは150
〜200℃にて行なう。混合温度が250℃をこえると、ゴム
が劣化して好ましくなく、150℃未満だとブレンド状態
が不十分で物性が低下する。
本発明の加硫ゴム組成物は、通常の架橋方法によって容
易に架橋物が得られる。
架橋方法に用いる架橋剤としては、前記アクリル系ゴム
中に導入された架橋に利用される官能基の種類に応じ
て、好適な化合物を選択することができる。
例えばジエン系化合物や、ジヒドロジシクロペンタジエ
ニル基含有(メタ)アクリル酸エステルを共重合して、
炭素−炭素二重結合を導入した場合は、硫黄、チウラム
系などのいわゆる加硫剤や、有機過酸化物などの一般の
ジエン系ゴム(スチレン−ブタジエンゴム、イソプレン
ゴムなど)に使用される架橋剤を好適に使用することが
できる。
また、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物を共重合
してエポキシ基をアクリル系ゴム中に導入した場合に
は、ポリアミンカーバメイト類、有機カルボン酸アンモ
ニウム類、ジチオカルバミン酸塩類、有機カルボン酸ア
ルカリ金属塩類と硫黄化合物を組み合わせたものなどを
架橋剤として使用することができる。
さらに、活性ハロゲン含有エチレン性不飽和化合物をア
クリル系ゴムに共重合して活性ハロゲン基を導入した場
合には、ポリアミンカーバメイト類、有機カルボン酸ア
ンモニウム類、有機カルボン酸アルカリ金属塩類と硫黄
化合物を組み合わせたものなどを好適に使用することが
できる。
また本発明に利用されるアクリル系ゴム、フッ素ゴム、
共役ジエン−α,β不飽和ニトリル系共重合体ゴムおよ
びその水素化物を除くその他のゴムの群から選ばれた少
なくとも1種のゴムにおいて、通常の架橋に利用されて
いる架橋剤も好適に添加、利用することができる。
耐寒性改良の面から可塑剤の配合が好ましいが、可塑剤
としてはジエチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシ
ル)フタレート、ジブチルフタレート、ジ−n−オクチ
ルフタレート、ジメチルシクロヘキシルフタレートなど
のフタル酸誘導体化合物、ジイソオクチルイソフタレー
トなどのイソフタル酸誘導体化合物、ジ−(2−エチル
ヘキシル)テトラヒドロフタレートなどのテトラヒドロ
フタル酸誘導体化合物、ジ−(2−エチルヘキシル)ア
ジペート、ジ−(ブトキシ・エトキシ・エチル)アジペ
ート、ブチルジグリコールアジペートなどのアジピン酸
誘導体化合物、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート
などのアゼライン酸誘導体化合物、ジ−(2−エチルヘ
キシル)セバケート、ジ−n−ブチルセバケートなどの
セバシン酸誘導体化合物、ジエチレングリコール・モノ
ラウレートなどの脂肪酸誘導体化合物、トリブトキシエ
チルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホス
フェート、トリフェニル・ホスフェートなどのリン酸誘
導体化合物、ジブチルメチレンビス・チオグリコレート
などのグリコール誘導体化合物、グリセリン誘導体化合
物、エポキシ誘導体化合物などの他重合系可塑剤として
ポリエステル系化合物、ポリエーテル系化合物、ポリエ
ーテル・エステル系化合物などが例示される。
このうち、アジピン酸誘導体化合物、リン酸誘導体化合
物、重合系可塑剤のポリエステル系化合物、ポリエーテ
ル系化合物、ポリエーテル・エステル系化合物が好まし
く、ジ−(ブトキシ・エトキシ・エチル)アジペート、
トリブトキシエチルホスフェート、ポリエーテル・エス
テル系化合物が好ましい。
本発明の加硫ゴム組成物は、耐ガソリン性、耐サワーガ
ソリン性、耐オゾン性、耐熱性に優れ、さらに新しい要
求性能である耐ガソホール性、耐サワーガソホール性に
も優れ、また良好な引っ張り強さ、伸び、耐寒性を有し
ているため、自動車の燃料系ホースをはじめとして、燃
料油、作動油、潤滑油などに接触する各種ホース類、ダ
イヤフラム類、ガスケット、O−リング、オイルシール
などの各種シール材、また製鉄用、紡績用、印刷用、製
紙用、染色用などの耐油性、耐溶剤性を必要とする各種
ロールあるいは伝動ベルト、コンベアベルト、タイミン
グベルト、チェーンテンショナー、オイルダンパーなど
に使用することができる。
とくに耐サワーガソリン性、耐サワーガソホール性に優
れるという特徴を活かし自動車の燃料系ホース用ゴムと
して好適に使用することができる。
e. 実施例 以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明する
が、本発明はその要旨を越えない限り、これら実施例に
制約されるものではない。
実施例1〜5、比較例1〜2 表−2に示したアクリル系ゴム(I)とアクリル系ゴ
ム、フッ素ゴム、共役ジエン−α,β不飽和ニトリル系
共重合体ゴムおよびその水素化物を除くその他のゴムの
群から選ばれた少なくとも1種のゴム(II)およびポリ
フッ化ビニリデン(以下「PVDF」という)のブレンド組
成物の各試料について、表−1に示した配合処方にした
がい、バンバリーミキサーにて配合を行った。得られた
配合物を、表−1下段に示した条件にしたがいプレスキ
ュアーした。
得られた架橋ゴムの特性をJIS K 6301にしたがって測定
した。また、耐サワーガソリン性、耐サワーガソホール
性を下記の方法にて評価した。
耐サワーガソリン性 ラウロイルパーオキサイド2.5gを、Fuel C(イソオクタ
ン:トルエン=1:1(容積比)の混合溶剤)97.5gに溶か
した液に、試験片を40℃で72時間浸漬することを1サイ
クルとし、各サイクル毎に試験片を取り出した。100℃
で15時間減圧乾燥したのち、試験片を180度折り曲げ、
亀裂の発生状態を観察した。
耐サワーガソホール性 Fuel Cの代わりに、Fuel Cとエタノールの混合溶剤(容
積比で、Fuel C:エタノール=80:20)を用いた以外は、
耐サワーガソリン性の評価法と同様にして評価した。
評価結果を表−3に示した。
表−3の結果から、本発明の加硫ゴム組成物は、耐ガソ
リン性、耐ガソホール性、耐サワーガソリン性、耐サワ
ーガソホール性に優れ、さらに耐オゾン性、耐熱性に優
れ、さらに引っ張り強さ、伸び、耐ガソリン性−耐寒性
のバランスに優れた加硫ゴム組成物を提供し得ることが
分かる。
表−1において *1) ハイアブレーションファーネスブラック *2) ファーストエクスクルーディングファーネスブ
ラック *3) セミレインフォースィングファーネスブラック *4) 脂肪酸の金属塩:テクニカルプロセッシッグ社
製 *5) ポリエーテルエステル系可塑剤:アデカアーガ
ス化学(株)製 *6) トリブトキシエチルホスフェート *7) ジオクチルフタレート *8) トリアリルイソシアヌレート *9) テトラメチルチウラムジスルフィド *10) ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド *11) 1,3−ジエチルチオウレア *12) 2−メルカプトイミダゾリン f. 発明の効果 本発明の加硫ゴム組成物は、耐ガソリン性、耐サワーガ
ソリン性、耐ガソホール性、耐サワーガソホール性、耐
オゾン性、耐熱性に優れ、さらに引っ張り強さ、伸び、
耐ガソリン性−耐寒性のバランスに優れた加硫ゴム組成
物である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 延与 弘次 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内 (56)参考文献 特開 昭52−40558(JP,A) 特開 昭54−154446(JP,A) 特開 昭58−63740(JP,A) 特開 昭60−65048(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)アクリル酸アルキルエステルおよび
    /またはアクリル酸アルコキシ置換アルキルエステル化
    合物30〜99.9重量%、(B)架橋性モノマー0.1〜10重
    量%、および(C)前記(A)、(B)と共重合可能な
    他のエチレン性不飽和化合物0〜70重量%、の重合組成
    を有するアクリル系ゴム(I)、その他のゴム(ただ
    し、フッ素ゴム、共役ジエン−α,β不飽和ニトリル系
    共重合ゴムおよびその水素化物を除く)(II)、および
    フッ化ビニリデンを90モル%以上含有するフッ化ビニリ
    デン樹脂(III)を含有し、(I)/(II)の重量比が9
    9.9/0.1〜70/30、かつ(I)+(II)/(III)の重量
    比が95/5〜40/60であることを特徴とする加硫ゴム組成
    物。
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