JPH0728707B2 - 低水分活性物質の殺菌方法 - Google Patents

低水分活性物質の殺菌方法

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JPH0728707B2
JPH0728707B2 JP62196093A JP19609387A JPH0728707B2 JP H0728707 B2 JPH0728707 B2 JP H0728707B2 JP 62196093 A JP62196093 A JP 62196093A JP 19609387 A JP19609387 A JP 19609387A JP H0728707 B2 JPH0728707 B2 JP H0728707B2
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俊雄 中山
宣彦 粕谷
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  • Food Preservation Except Freezing, Refrigeration, And Drying (AREA)
  • Non-Alcoholic Beverages (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は水分活性の比較的低い液状乃至ペースト状の物
質の殺菌に有効な殺菌方法に関し、更に詳細には超音波
処理と加熱殺菌処理とを組み合わせた殺菌方法に関す
る。
(従来技術およびその問題点) 従来より殺菌手段として加熱殺菌方法が極めて一般的に
使用されているが、例えば胞子を形成するような菌に対
しては加熱殺菌処理だけでは充分でない場合がある。そ
こで、加熱殺菌と他の殺菌処理とを併用する方法がいく
つか開発されている。その中に、超音波処理と加熱殺菌
処理とを併用する方法があり、その効果も確認されてい
る(防菌防黴 VOL.14,No6,P35〜46)。しかし、ここに
開示されているものは水分活性(Aw)が1の場合につい
てのものである。一方、加熱殺菌効果とAwとの関係につ
いては、Awが低くなってくる程、加熱による殺菌効果は
低下してくるということが一般的になっている。例え
ば、バチルス メガトリウム(Bacillus megaterium)
の場合についてみると、加熱温度100℃においてAw1の場
合D値=1.4分、Aw0.8の場合D値=22分、Aw0.6の場合
D値=316分、Aw0.4の場合D値=4446分となっている
(APPLID MICROBIOLOGY VOL.19,No3)。
以上の公知技術から判断すると、加熱殺菌処理と超音波
処理を併用してもAwが低くなってくれば、Aw1の場合に
比しその殺菌効果が低下してくるものと予測するのが一
般的である。
(問題点を解決するための手段) そこで本発明者等は、Aw1以下の物質について超音波処
理と加熱殺菌処理との併用効果について確認したとこ
ろ、粉末系のものについては上記予測のとおり殺菌効果
の向上は認められなかったが、液状乃至ペースト状のも
のについてはAwが低くなるほど、顕著な殺菌効果の向上
が認められるという上記予測とは全く反対の傾向がある
ことを見出した。
本発明は上記知見を基に完成されたもので、その要旨
は、液状乃至ペースト状の低水分活性物質を殺菌するに
当り、該低水分活性物質に超音波処理を施すと同時に又
は施した後加熱殺菌処理することを特徴とする低水分活
性物質の殺菌方法である。
以下、本発明の内容について詳しく述べる。
本発明における被殺菌物は液状乃至ペースト状の物質で
且つ比較的Awの低い物質、具体的にはAwが0.95以下の物
質で濃縮ジュース、ジャム、コーンシロップ、チョコレ
ート、蜂密等の液状乃至ペースト状の物質が例示でき
る。
これら物質を殺菌するに当っては、まず超音波処理を施
す。この超音波処理の条件としては特に限定されない
が、該超音波処理が加熱殺菌処理と併用されることによ
って有効に効果を発揮するのは、該超音波処理条件が周
波数20KHz、出力400Wで処理時間1分間以上に相当する
処理条件の場合であり、この内最も効果を発揮するの
は、該超音波処理条件が周波数20KHz、出力400Wで処理
時間10分間以上に相当する処理条件の場合である。この
条件を下回ると殺菌効果が低下し、反対に該条件が上回
っても殺菌効果の著しい向上は認められない。従って、
上記超音波処理条件としては周波数20KHz、出力400Wで
処理時間1分間以上、好ましくは10分間程度に相当する
条件以上で実施するのが好ましい。加熱殺菌処理は、上
記超音波処理と同時に又は超音波処理後に施す。超音波
処理と加熱殺菌処理とを同時に実施する場合は、超音波
処理時に発生する発熱(必ず発生するものではない)と
別途熱源とを利用すればよいが、温度管理が必要な物質
に対しては超音波処理と加熱殺菌処理とを別個に実施す
る方が好ましい。この場合、上記超音波処理による発熱
は、冷却水等によって冷却しながら実施すればよい。加
熱殺菌処理は常法に則って実施すればよいが、温度とし
ては100℃以上であることが殺菌効果という点から好ま
しい。
次に、単純系による実施例を示す。使用菌は以下の性質
を有するバチルス セレウス(Bacillus cereus)であ
る。
菌体 1.0×2.4〜5.2μ 芽胞 + グラム染色 陽性 運動性 + レシチナーゼ活性 + VPテスト + ゼラチン液化性 + 硝酸塩還元性テスト + マンニット分解性 − その他の性質 サッカーロース分解性 + スターチ分解性 − サリシン分解性 − エスクリン分解性 − マンノース分解性 − セロビオース分解性 − ウレアーゼ活性 − 上記その他の性質はde Barjacら(1973)の生物性状試
験法に準じて行なった。
実験方法は以下のとおりである。バチルスセレウス(B.
cereus)を普通寒天培地に画線し、35℃で5日間培養し
た後、該バチルスセレウス(B.cereus)を白金耳で第1
表に示す各試験溶液に懸濁させる。その後瀘過処理を施
し、よって得られた瀘液を沸騰水中で1分間加熱処理し
て栄養菌体を殺した後流水で急冷する。その後、瀘液5m
lに対して出力20Wで1時間の条件で超音波処理を施し、
更にTDTチューブ法によって菌数の低下を経時的に測定
し、その結果を第2図に示す。また、第2図の結果から
D値を求め、それを第2表に示す。一方、超音波処理を
施さないこと以外は全て上記と同一の条件で処理して菌
数の低下を経時的に測定すると共にD値を求め、それぞ
れの結果を第1図および第2表に示す。第1および2図
中、横軸は加熱時間(分)、縦軸は生菌数の対数値を表
わす。また、図中AおよびaはAwが1.00の場合、Bおよ
びbはAwが0.95の場合、CおよびcはAwが0.72の場合、
DおよびdはAwが0.53の場合、EおよびeはAwが0.31の
場合を表わす。尚、上記各試験溶液は予めオートクレー
ブで完全に滅菌した。
第2表中、イは超音波処理と加熱殺菌処理とを併用した
場合のD値、ロは加熱殺菌処理のみの場合のD値であ
る。
第1図および第2図との比較から明らかなように、超音
波処理と加熱殺菌処理とを併用した場合は、加熱殺菌処
理のみの場合に比し殺菌効果が向上しており、この傾向
はAwが低くなる程相乗的に顕著になっている。そして、
このことは第2表のD値の比較からも明らかである。
(実施例) 市販の果肉飲料とブドウ糖加藤液糖を1:1の割合で混合
してAw0.93の果肉飲料とした後、これにバチルス セレ
ウスの胞子を上記果肉飲料に懸濁させ、出力400Wで10分
間超音波処理を施した。その後、該果肉飲料を耐熱性容
器に充填・密封して沸騰水中で20分間加熱殺菌処理を施
した。その結果、処理前の果肉飲料中の菌数1.8×107/g
が処理後2.0×102/gと減少していた。
一方、上記Awが0.93の果肉飲料に超音波処理を施すこと
なく加熱殺菌処理を施した場合は、処理前の菌数1.5×1
07/gが処理後2.0×103/gに減少していたが、菌数の減少
率は超音波処理と加熱殺菌処理とを併用した方がより優
れていた。
(効果) 本発明の方法によると、超音波処理と加熱殺菌処理とを
組み合わせて水分活性の比較的低い液状物やペースト状
物を殺菌処理することにより、当該物質の殺菌効率を向
上させることができ、殊に水分活性が低い程より顕著に
殺菌効率を向上させることができる。従って、従来殺菌
処理だけでは充分に殺菌することができなかった低水分
活性食品等の殺菌に有効に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
第2図は超音波処理と加熱殺菌処理とを併用した場合に
おける菌数の経時的変化を表わし、第1図は加熱殺菌処
理のみの場合における菌数の経時的変化を表わす。図
中、横軸は加熱時間(分)、縦軸は生菌数の対数値を表
わす。また、図中AおよびaはAwが1.00の場合、Bおよ
びbはAwが0.95の場合、CおよびcはAwが0.72の場合、
DおよびdはAwが0.53の場合、EおよびeはAwが0.31の
場合を表わす。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅川 雅世 大阪府東大阪市御厨栄町1丁目5番7号 ハウス食品工業株式会社内 審査官 鈴木 恵理子 (56)参考文献 特開 昭54−154540(JP,A) 特公 昭40−3460(JP,B1)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液状乃至ペースト状の低水分活性物質を殺
    菌するに当り、該低水分活性物質に超音波処理を施すと
    同時に又は施した後に加圧殺菌処理することを特徴とす
    る低水分活性物質の殺菌方法。
  2. 【請求項2】低水分活性物質の水分活性が0.95以下であ
    ることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の低水分
    活性物質の殺菌方法。
  3. 【請求項3】超音波処理が周波数20KHz、出力400Wで処
    理時間1分間以上に相当する条件であることを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項記載の低水分活性物質の殺菌方
    法。
  4. 【請求項4】加熱殺菌温度が100℃以上であることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項記載の低水分活性物質の
    殺菌方法。
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