JPH0728663B2 - ソフトチョコレート用油脂及びソフトチョコレート - Google Patents

ソフトチョコレート用油脂及びソフトチョコレート

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JPH0728663B2
JPH0728663B2 JP1179688A JP17968889A JPH0728663B2 JP H0728663 B2 JPH0728663 B2 JP H0728663B2 JP 1179688 A JP1179688 A JP 1179688A JP 17968889 A JP17968889 A JP 17968889A JP H0728663 B2 JPH0728663 B2 JP H0728663B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ソフトチョコレート用油脂及びこれを用いた
ソフトチョコレートに関する。
[従来の技術と発明が解決しようとする課題] ソフトチョコレートは、通常ココア、粉乳、砂糖等を主
成分として含み、これら固形分の分散媒として油脂が使
用されている。一方、ソフトチョコレートには、種々の
特性が要求される。例えば、アイスクリームバー等のい
わゆるアイスコーティング用チョコレートとして使用す
る場合、次のような特性が要求される。すなわち、ソフ
トチョコレートの乾きが速いこと、コーティング層にク
ラックが発生しないこと、コーティング層が剥離しない
こと、水の混入による可塑化現象としての「ボテ」が生
成しないこと等の外に、食感、特に口溶けや冷感がよい
ことが要求される。これらの特性は、ソフトチョコレー
トに含まれる油脂の種類等により大きく左右される。
一方、上記アイスコーティング用チョコレートの油脂と
して、シャープな融解特性を示し、口溶けが良好で冷感
があるヤシ油等のラウリン酸系油脂が広く使用されてい
る。しかしながら、このヤシ油を含むチョコレートをコ
ーティングすると、バリバリした食感を与えるだけでな
く、クラックが生じ、コーティング層が剥離し易い。
上記の点に鑑み、液状油とラウリン系油脂とを含む上昇
融点30℃以下の混合油脂にソルビタン飽和脂肪酸エステ
ルを添加する方法が提案されている(特開昭57-181649
号公報)。この方法によると、上記ラウリン酸系油脂に
大豆油などの液体油を混合するので、クラックの生成等
を抑制できるものの、口溶け性や冷感が低下するだけで
なく、液状油に含有される不飽和脂肪酸に起因して酸化
安定性が低下し風味が悪くなる。
またココアパウダー、粉乳、食用油等を主原料とする組
成物において、特定のAOM値及び固形脂係数を有する食
用油を用いたフローズンデザート用コーティング組成物
が提案されている(特公昭61-56983号公報)。この組成
物によると特定のAOM値及び固形脂係数を有する食用油
を用いるので、酸化安定性等が比較的良好であるもの
の、油脂の融解特性のシャープさが十分でないため口溶
けや冷感が十分でない。
またソフトチョコレートは、通常風味成分としてのカカ
オ脂と、融点22〜23℃程度のパーム核油分別低融点部と
を添加混合したものが知られている。しかしながら、こ
のソフトチョコレートでは、口溶けが中程度であり、常
温流通のチョコレートとしては、流通過程で軟化変形し
たり、ブルーミング現象が生じ、白化する等の問題が生
じることがある。
従って、本発明の目的は、シャープな融解特性を示し、
口溶けや冷感が良好で、しかも低温で柔らかく、低温で
のバリバリ感やクラックの発生がなく、酸化安定性及び
風味に優れたソフトチョコレート用油脂を提供すること
にある。
また本発明の他の目的は、固形脂係数のシャープさを維
持しつつ、口溶けに優れ、しかも常温で軟化変形しにく
く、酸化安定性及び風味に優れるソフトチョコレートを
提供することにある。
さらに本発明の目的は、冷菓類に好適に使用でき、口溶
けや冷感に優れ、しかも低温で柔らかく、低温でのバリ
バリ感やクラックの発生がなく、かつ酸化安定性及び風
味に優れるソフトチョコレートを提供することにある。
[発明の構成] 本発明は、トリグリセリドの2−位に不飽和脂肪酸
(U)が結合し、1,3−位の少なくとも一方に飽和脂肪
酸(S)が結合したトリグリセリド(SUX)(但し、X
は飽和又は不飽和脂肪酸を示す)を主成分として特定量
含有する融点28℃以下の油脂であって、該油脂中に、固
形脂係数(ディラトメトリーで測定するSolid Fat Inde
x:以下、SFIという)5%に対応する温度よりも7.5℃低
い温度(t)における固形脂係数[SFI(t)]が40%
以上であり、かつ融点が15〜28℃である特定の脂肪酸組
成を有するトリグリセリドを特定量以上含むソフトチョ
コレート用油脂により、上記課題を解決するものであ
る。
また本発明は、ココア、カカオマス及び粉乳のうち少な
くとも一種、粉糖、及びトリグリセリド(SUX)を主成
分として特定量含有する融点28℃以下の油脂を含み、該
トリグリセリド(SUX)のうち、固形脂係数[SFI
(t)]が40%以上であり、かつ融点が15〜28℃である
特定の脂肪酸組成を有するトリグリセリドを該油脂全量
に対して10重量%以上含むソフトチョコレートにより、
上記課題を解決するものである。
本発明のソフトチョコレート用油脂は、トリグリセリド
(SUX)を70重量%以上含有する融点28℃以下の油脂で
あって、該トリグリセリド(SUX)のうち、固形脂係数
[SFI(t)]が40%以上であり、かつ融点が15〜28℃
である下記(1)又は(2)の特定トリグリセリドを該
油脂全量に対して20重量%以上含む。
(1)SOS型トリグリセリド(但し、Sは1,3−位に結合
した飽和脂肪酸残基を示し、Sのうち少なくとも一方
は、炭素数14以下であり、Oは2−位に結合したオレイ
ン酸残基を示す)、又は (2)SLiS型トリグリセリド(但し、Sは1,3−位に結
合した飽和脂肪酸残基を示し、Liは2−位に結合したリ
ノール酸残基を示す) なお、本明細書において、特に断りがない限り、特定ト
リグリセリドの融点については、該特定トリグリセリド
の純度を70%以上に調製した油脂をDSCを用いて測定
し、該当ピーク温度により求めた値をいい、混合トリグ
リセリドを含む油脂の融点については上昇融点により測
定した値をいう。
トリグリセリド(SUX)を主成分とする油脂中に、固形
脂係数[SFI(t)]が40%以上であり、かつ融点が15
〜28℃である特定トリグリセリド(1)又は(2)を20
重量%以上含むと、狭い温度範囲で急速に融解するシャ
ープな融解特性を呈し、口溶け及び冷感が良好である。
一方、特定トリグリセリドのSFI(t)が40%未満であ
ると、ソフトチョコレートに用いた場合、口溶けなどが
十分でない。前記特定トリグリセリドの含量が20重量%
未満では、シャープな融解特性が損なわれ易く口溶けな
どが十分でない場合がある。特定トリグリセリドの融点
が15℃未満であると、常温流通時に軟化変形し易く、前
記融点が28℃を越えると、低温での柔かさを付与するこ
とができず、バリバリ感やクラックの発生を防止する効
果にも乏しい。
このように、本発明の油脂は、シャープな融解特性と特
定の融点を有する、特定の脂肪酸組成のトリグリセリド
を含有するので、口溶けや冷感に極めて優れ、食感がよ
い。また耐熱保形性に優れ、軟化変形するのを防止でき
ると共に、ソフトチョコレートに低温での柔らかさを付
与できる。
本発明のソフトチョコレート用油脂を、全油脂成分とす
るソフトチョコレートも得ることができるが、ソフトチ
ョコレート用油脂がトリグリセリド(SUX)を主成分と
する油脂であるため、カカオバターを従来のソフトチョ
コレートの場合より多量に併用しても、ブルームが生じ
ない。従って、良好な風味のソフトチョコレート又はそ
れを使用した良好な風味の冷菓、サンドクリーム、フィ
リングクリーム等を得ることができる。
トリグリセリド(CUX)の含量は、ソフトチョコレート
用油脂の全量に対して、70重量%以上、特定トリグリセ
リドの含量は、該油脂全量に対して、20重量%以上、好
ましくは30重量%以上である。
また、本発明のソフトチョコレート用油脂の融点は、28
℃以下である。このような油脂は、前記油脂と併用する
油脂が、カカオバター又はカカオバターよりもStOSt(S
tはトリグリセリドの1,3−位のステアリン酸残基、Oは
トリグリセリドの2−位のオレイン酸残基を示す)含量
が高いハードバターである場合であっても、ソフトチョ
コレートに低温での柔らかさを付与できるとともに、チ
ョコレート自体の融点を高くできるので、常温流通時の
軟化変形を抑制できる。
上記特定トリグリセリドは、(1)少なくともSのうち
一方は炭素数14以下のSOS型トリグリセリド又は(2)S
LiS型トリグリセリドであって、前記特定の固形脂係数
[SFI(t)]及び融点を有するものであれば、特に限
定されない。なお、カカオバターの主成分であるPOSt
(P、O、Stは、トリグリセリドの構成脂肪酸残基がそ
れぞれ1−位のパルミチン酸、2−位のオレイン酸、3
−位のステアリン酸であることを示す。以下、Pはパル
ミチン酸、Oはオレイン酸、Stはステアリン酸を示
す)、StOSt、POPは、融点が高過ぎるので、低温での柔
らかさを付与することができない。
前記特定の固形脂係数[SFI(t)]及び融点を有する
トリグリセリドとしては、C2OC2(C2は炭素数2の飽和
脂肪酸を示す。なお、以下Cnは炭素数nの飽和脂肪酸を
意味する)、C12OC12(融点15℃)、C14OC14(融点26
℃)、POC2(融点16℃)、POC12(融点16℃)、POC
14(融点22℃)、StOC2(融点15℃)、StOC4(融点15
℃)、StOC12(融点21℃)、StOC14(融点23℃)、C20O
C6、C22OC6等の、少なくとも一方のSが炭素数14以下の
SOS型トリグリセリド;PLiP(融点26℃)(式中、Liは、
構成脂肪酸残基がリノール酸であることを示す)等のSL
iS型トリグリセリドが例示され、これらトリグリセリド
の一種又は二種以上を好適に使用することができる。
またソフトチョコレート用油脂の主成分であるトリグリ
セリド(SUX)は、上記SOS型トリグリセリド、SLiS型ト
リグリセリドをも包含するものであり、これらのトリグ
リセリドのように、分子中の二重結合数が2以下のトリ
グリセリド(SUX)分子種を選択することにより、酸化
安定性に優れたソフトチョコレート用油脂、ソフトチョ
コレート及びその利用食品を得ることができる。
上記特性を有するトリグリセリドは、従来慣用の種々の
方法で製造できるが、トリグリセリドの1,3−位の脂肪
酸を選択特異的にエステル交換する酵素、例えばリパー
ゼを用いてエステル交換することにより製造するのが好
ましい。このような酵素反応を利用すると、温和な反応
条件下で迅速かつ収率よく上記特性を有する油脂を製造
できる。なお、酵素を用いるエステル交換反応は、従来
公知の方法で行なうことができる。上記エステル交換反
応の後、必要に応じて反応油を慣用の分別手段、例えば
溶剤分別法等により分別することにより、前記融解特性
がシャープで所定の融点を示すトリグリセリドの含有量
を大きくすることができる。
第2の発明のソフトチョコレートは、上記ソフトチョコ
レート用油脂を、油脂成分の一部又は全部として含む。
すなわち、ココア、カカオマス及び粉乳のうち少なくと
も一種、粉糖、及びトリグリセリド(SUX)を主成分と
して70重量%以上含有する融点20℃以下の油脂を含み、
該トリグリセリド(SUX)のうち、固形脂係数[SFI
(t)]が40%以上であり、かつ融点が15〜28℃である
特定トリグリセリド(1)又は(2)を該油脂全量に対
して10重量%以上含む。
ソフトチョコレート中に占めるココア、カカオマス及び
粉乳のうち少なくとも一種、粉糖、及びトリグリセリド
(SUX)を主成分とする油脂の割合は、一般に、ココ
ア、カカオマス及び粉乳のうち少なくとも一種:粉糖:
トリグリセリド(SUX)を主成分とする油脂=5〜60重
量%:10〜50重量%:10〜80重量%の範囲であるが、目的
とするソフトチョコレートの種類により好ましい範囲が
多少異なる。例えば、常温流通タイプのソフトチョコレ
ートでは、ココア、カカオマス及び粉乳のうち少なくと
も一種:粉糖:トリグリセリド(SUX)を主成分とする
油脂=30〜50重量%:30〜50重量%:10〜50重量%、アイ
スコーティング用チョコレートでは、5〜30重量%:15
〜35重量%:38〜80重量%、サンドクリーム乃至フィリ
ング用チョコレートでは、5〜40重量%(但し、ナッツ
類を含む場合がある):30〜45重量%:30〜50重量%が通
常適当である。
なお、上記ソフトチョコレートには、レシチン、ショ糖
脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、プロピレング
リコールやソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤;バニ
リン等の香料等、種々の添加剤が添加されていてもよ
い。なお、上記乳化剤は、通常0.1〜5重量%程度使用
できる。
チョコレート油脂中の上記特定トリグリセリド含有量
は、油脂の全量に対して10%重量以上、好ましくは15重
量%以上である。特定トリグリセリドの量が不足する
と、口溶け及び冷感が良好なソフトチョコレートを得る
のが困難であり、常温流通過程で、軟化変形し易いか、
又は低温で硬くなり、バリバリ感やクラックの発生を防
止する効果に乏しい。チョコレート油脂中には、カカオ
バターを含むことができ、前記のように、従来のソフト
チョコレートの場合よりカカオバターを多量に併用して
もブルームが生じないので、良好な風味のソフトチョコ
レート又はそれを使用した冷菓、サンドクリーム、フィ
リングクリーム等を得ることができる。全油脂中のカカ
オバターの使用量は、風味の点から25重量%以上、好ま
しくは35重量%以上であるが、多すぎると、低温での柔
らかさが付与しにくくなるなど、ソフトチョコレートと
しての物性が損われる。このことは、カカオバターと同
様の融点領域を示す他の従来のSUS型ハードバターでも
同様である。従って、カカオバター等は、通常75重量%
以下であり、製品温度が低い冷菓用にあっては60重量%
以下で使用するのが好ましい。
また大豆油のような液体油又はその硬化油、ヤシ油等の
ラウリン系油脂、エライジン化油脂等も用いることがで
きるが、前記シヤープな融解特性を損わないよう、すな
わち、チョコレート用油脂中、全体としてはトリグリセ
リド(SUX)が主成分となるよう、少量に止めるべきで
ある。
本発明のソフトチョコレートは、油脂成分として前記特
性を示す油脂を含有しているため、固形脂係数のシャー
プさを維持している。従って、口溶けに優れる。しかも
低融点であって、かつシャープな融解特性を示す油脂を
含有するため、ソフトチョコレート自体の融点を高くで
き、常温流通過程で軟化変形したり白化しにくい。また
酸化安定性及び風味にも優れている。
このようなソフトチョコレートは、従来慣用の方法、例
えば、前記カカオ等と粉糖と油脂等をロール掛けし、コ
ンチングし、ブルーミングを抑制するため、テンパリン
グした後、成形することにより作製できる。
また上記ソフトチョコレートのうちアイスコーティング
用ソフトチョコレートでアイスクリームバー等をコーテ
イングすると、前記特性を有する油脂に起因して、クラ
ックが発生せず、低温でも柔らかくてバリバリ感がな
く、口溶け、冷感、酸化安定性及び風味に優れる冷菓類
が得られる。
なお、上記アイスコーティンク用ソフトチョコレートで
コーティングした冷菓類は、通常、適宜の温度、例えば
40℃程度に加温した溶融状態のソフトチョコレートにア
イスクリームバーを浸漬し、引上げることにより製造で
きる。なお、アイスコーティング用ソフトチョコレート
の場合、テンパリングは必要ではない。
[発明の効果] 以上のように、本発明のソフトチョコレート用油脂によ
れば、トリグリセリド(SUX)を主成分とする油脂中
に、固形脂係数[SFI(t)]が40%以上であり、かつ
融点が15〜28℃である特定トリグリセリドを特定量以上
含むので、シャープな融解特性を示し、口溶けや冷感が
良好で、低温でのバリバリ感やクラックの発生がなく、
酸化安定性及び風味に優れている。
また本発明のソフトチョコレートによれば、ココア、カ
カオマス及び粉乳のうち少なくとも一種、粉糖、及びト
リグリセリド(SUX)を主成分とする油脂を含み、該油
脂中に、固形脂係数[SFI(t)]が40%以上であり、
かつ融点が15〜28℃である特定トリグリセリドを10重量
%以上含むので、固形脂係数のシャープさを維持しつ
つ、口溶けに優れ、しかも常温で軟化変形しにくく、酸
化安定性及び風味に優れている。このソフトチョコレー
トは、冷菓類に好適に使用でき、口溶けや冷感に優れ、
低温でのバリバリ感やクラックの発生がなく、かつ酸化
安定性及び風味に優れている。
[実施例] 以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明す
る。
合成例1 ヤシ油極度硬化油の脂肪酸を慣用の方法でエチルエステ
ル化した後、精留して炭素数14の飽和脂肪酸残基、すな
わちミリスチン酸残基を98重量%含有する脂肪酸エチル
エステルを得た。次いで、オレイン酸含有量の多いハイ
オレイックヒマワリ油30重量%と上記脂肪酸エチルエス
テル70重量%を混合し、トリグリセリドの1,3−位の脂
肪酸を選択的にエステル交換するリパーゼを用いてエス
テル交換した。生成物からエチルエステルを除去してC
14OC14を51.6重量%含有する反応油を得、さらに低融点
物をアセトン1段分別法により除去し、油脂中、C14OC
14を71.1重量%含有する油脂組成物を40重量%の収率で
得た後、精製した。得られた油脂組成物を油脂No.1とし
た。
合成例2 StOSt含有量の高いトリグリセリド70重量%とラウリン
酸エチルエステル30重量%とを上記合成例1と同様に、
リパーゼを用いてエステル交換し、StOC12を34.8重量%
含有する反応油を得た。次いで、アセトン2段分別法に
より低融点物と高融点物とを除去し、油脂中、StOC12
52.6重量%含有する油脂組成物を収率50.5%で得た後、
精製した。得られた油脂組成物を油脂No.2とした。
合成例3 StOSt含有量の高いトリグリセリド50重量%と、ラウリ
ン酸エチルエステル50重量%とを上記合成例1と同様に
リパーゼを用いてエステル交換し、合成例2と同じくSt
OC12を33.3重量%含有する反応油を得、これを分別する
ことなく精製した油脂を油脂No.3とした。
合成例4 合成例1のリパーゼに変えて、従来慣用の金属触媒を用
いてエステル交換し、脂肪酸配列がランダムなC14OC14
/C14C14Oを35.3重量%含有する油脂組成物を得た。次
いで、合成例2と同様にしてアセトン2段分別法により
低融点物と高融点物とを除去し、脂肪酸配列がランダム
なC14OC14/C14C14O混合物を70.1重量%含有する油脂組
成物を収率38.0%で得た後、精製した。得られた油脂組
成物を油脂No.4とした。
上記合成例1〜4で得られた油脂組成物の組成、上昇融
点、各温度における固形脂係数(SFI)、SF15%に対応
する温度、及び該温度よりも7.5℃低い温度tでのSFI
(t)を下表に示す。
なお、表中、油脂組成物の組成に関し、その他の項には
ジグリセリド(DG)やU3等が含まれ、U0〜U3はそれぞれ
トリグリセリドにおける二重結合の数を示す。
油脂No.3の油脂は、油脂No.2の油脂と同じくSFI(t)4
0%以上のStOC12を含有する。
また他の油脂として、パーム核油分別低融点部(油脂N
o.5)、ヤシ油(油脂No.6)、ヤシ油/大豆油=1/1の混
合油脂(油脂No.7)、カカオ脂(油脂No.8)についても
同様にSFI等を調べた。その結果を表2に示す。
実施例1 上記油脂No.1〜8の油脂組成物を用いて、下記の配合組
成でソフトチョコレートを調製した。
カカオマス 38.9重量% 粉糖 40.0重量% カカオ脂 4.6重量% 供試油脂 16.5重量% なお、ソフトチョコレートの調製に際しては、上記配合
組成物をロール掛け、コンチングし、テンパリングした
後、所定形状に成型した。なお、油脂No.6を用いた組成
物ではテンパリングできず、試験に供さなかった。
そして、得られたソフトチョコレートの食感に関する口
溶け及び噛み出しの程度を、官能検査により優、良、
可、不可の基準で評価した。なお、油脂No.5の油脂を用
いたソフトチョコレートを可とし、これを基準とした。
但し、口溶けについては、噛み出し後、すぐに溶ける食
感を重視して評価した。また耐熱保形性は、得られたソ
フトチョコレートを温度28℃の雰囲気下で2時間放置
後、レオメータで測定し、硬さが20〜30を可、それを越
えるものを優として評価した。
結果を表3に示す。なお、表中、「−」は、評価しなか
ったことを示す。
表3から明らかなように、SFI(t)が40%以上であ
り、特定の上昇融点を有する油脂No.1〜3の油脂組成物
を用いると、口溶けがよく、噛む時にパリっと割れ、噛
み出しが硬く良好である。また油脂No.1〜3の油脂組成
物を用いると、耐熱保形性が大きく、常温流通タイプの
ソフトチョコレートとしても軟化したり変形することが
ないことが判明した。
一方、油脂No.1、2,3,及び8の油脂を用いて調製した前
記チョコレートを溶かして、スポンジケーキ上にコーテ
ィングした。油脂No.8の油脂を用いたチョコレートはコ
ーティング層が保存時に収縮してクラックが発生した
が、油脂No.1〜3の油脂を用いたチョコレートは、いず
れもクラックの発生がなく、口溶けも良好であった。
実施例2 上記油脂No.1〜3及び油脂No.7の油脂組成物を用いて、
下記の配合組成からなるアイスコーティング用ソフトチ
ョコレートを調製した。
カカオパウダー 9.0重量% 粉糖 26.0重量% レシチン 0.3重量% バニリン 0.03重量% 供試油脂 65.0重量% ロール掛け及びコンチング後、約40℃の上記配合組成物
に、アイスクリームバーを浸漬し、引上げることによ
り、アイスコーティングチョコレートを作製した。
そして、得られたアイスコーティングチョコレートのコ
ーティング層にクラックが生じているか否か、コーティ
ング層が剥離しているか否かを目視にて判断し、以下の
基準で評価した。
優:クラックや剥離なし 良:クラックや剥離が僅にある 不可:著しいクラックや剥離がある また口溶けを前記実施例1と同様にして評価した。
さらには、酸化安定性は、アイスコーティング用チョコ
レートを温度60℃で5週間放置した後、過酸化物価を測
定することにより評価した。
結果を第4表に示す。
表4から明らかなように、SFI(t)が40%以上であ
り、特定の融点を有する油脂No.1〜3の油脂組成物を用
いると、クラックや剥離がなく、口溶け及び風味がよ
く、酸化安定性に優れたアイスコーティング用チョコレ
ートが得られることが判明した。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トリグリセリドの2−位に不飽和脂肪酸
    (U)が結合し、1,3−位の少なくとも一方に飽和脂肪
    酸(S)が結合したトリグリセリド(SUX)(但し、X
    は飽和又は不飽和脂肪酸を示す)を70重量%以上含有す
    る融点28℃以下の油脂であって、該トリグリセリド(SU
    X)のうち、固形脂係数(SFI)5%に対応する温度より
    も7.5℃低い温度(t)における固形脂係数[SFI
    (t)]が40%以上であり、かつ融点が15〜28℃である
    下記(1)又は(2)の特定トリグリセリドを該油脂全
    量に対して20重量%以上含むことを特徴とするソフトチ
    ョコレート用油脂。 (1)SOS型トリグリセリド(但し、Sは1,3−位に結合
    した飽和脂肪酸残基を示し、Sのうち少なくとも一方
    は、炭素数14以下であり、Oは2−位に結合したオレイ
    ン酸残基を示す)、又は (2)SLiS型トリグリセリド(但し、Sは1,3−位に結
    合した飽和脂肪酸残基を示し、Liは2−位に結合したリ
    ノール酸残基を示す)
  2. 【請求項2】ココア、カカオマス及び粉乳のうち少なく
    とも一種、粉糖、及びトリグリセリド(SUX)を70重量
    %以上含有する融点28℃以下の油脂を含み、該トリグリ
    セリド(SUX)のうち、固形脂係数[SFI(t)]が40%
    以上であり、かつ融点が15〜28℃である下記(1)又は
    (2)の特定トリグリセリドを該油脂全量に対して10重
    量%以上含むことを特徴とするソフトチョコレート。 (1)SOS型トリグリセリド(但し、Sは1,3−位に結合
    した飽和脂肪酸残基を示し、Sのうち少なくとも一方
    は、炭素数14以下であり、Oは2−位に結合したオレイ
    ン酸残基を示す)、又は (2)SLiS型トリグリセリド(但し、Sは1,3−位に結
    合した飽和脂肪酸残基を示し、Liは2−位に結合したリ
    ノール酸残基を示す)
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