JPH07283015A - 希土類磁石およびその製造方法 - Google Patents

希土類磁石およびその製造方法

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JPH07283015A JP6090481A JP9048194A JPH07283015A JP H07283015 A JPH07283015 A JP H07283015A JP 6090481 A JP6090481 A JP 6090481A JP 9048194 A JP9048194 A JP 9048194A JP H07283015 A JPH07283015 A JP H07283015A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 R−T−B系焼結磁石(Rは希土類元素、T
は、Fe、またはFeおよびCo)の素体に耐食性付与
のための保護層を形成する際に、保護層形成時間を著し
く短くし、かつ、保護層形成による寸法変化を実質的に
生じさせないようにする。また、保護層形成工程と磁気
特性向上のための時効処理工程とを共通化することによ
って製造工程を短縮し、これにより、耐食性が良好でし
かも磁気特性の良好なR−T−B系焼結磁石を安価に提
供する。 【構成】 R、TおよびBを含有し、実質的に正方晶系
の主相を有する磁石素体を、M(Mは、第IVa族元素、
第Va族元素および第VIa族元素から選択される少なく
とも1種の元素)を含む金属および/または化合物と溶
融塩とを含む処理液に浸漬する溶融塩処理工程により、
磁石素体表面に、TおよびMを主成分とするか、R、T
およびMを主成分とする耐食相を含む保護層を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、希土類磁石およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高性能を有する希土類磁石としては、近
年Nd2 Fe14B系磁石等のR−T−B系磁石(TはF
e、またはFeおよびCo)が開発され、特開昭59−
46008号公報には焼結磁石が開示されている。R−
T−B系磁石は、Sm−Co系磁石に比べ原料が安価で
ある。
【0003】しかし、R−T−B系焼結磁石は耐食性が
低く、このため、磁石素体の表面に耐食性付与のための
保護層を設ける各種提案がなされている。保護層の形成
方法としては、例えば、アルミイオンプレーティング、
めっき、樹脂塗装などが主なものである。
【0004】しかし、これらの方法による保護層形成に
は、以下に挙げるような問題がある。
【0005】アルミイオンプレーティングは、真空系で
行なう必要があるため設備が高価となり、また、前処理
が複雑なので処理時間が長くなってしまう。
【0006】電気めっきでは、厚さの均一性に優れた保
護層を形成することが難しいため、寸法精度の良好な磁
石が得られにくい。また、保護層形成速度が遅く、湿式
処理であるため、処理中に磁石素体の腐食が生じるおそ
れがある。
【0007】樹脂塗装により形成された保護層は、強
度、硬度、耐熱性などに問題がある。また、樹脂塗装工
程では有機溶剤を使用するため、作業環境が悪い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、R−
T−B系焼結磁石の素体に耐食性付与のための保護層を
形成する際に、保護層形成時間を著しく短くし、かつ、
保護層形成による寸法変化を実質的に生じさせないこと
である。本発明の他の目的は、保護層形成工程と磁気特
性向上のための時効処理工程とを共通化することによっ
て製造工程を短縮し、これにより、耐食性が良好でしか
も磁気特性の良好なR−T−B系焼結磁石を安価に提供
することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(13)の本発明により達成される。 (1)R(Rは、Yを含む希土類元素の少なくとも1種
である)、T(Tは、Fe、またはFeおよびCoであ
る)およびBを含有し、実質的に正方晶系の主相を有す
る磁石素体の表面に、TおよびM(Mは、第IVa族元
素、第Va族元素および第VIa族元素から選択される少
なくとも1種の元素である)を主成分とするか、R、T
およびMを主成分とする耐食相を含む保護層を有するこ
とを特徴とする希土類磁石。 (2)Mが、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、MoおよびWから選択される少なくとも1種である
上記(1)の希土類磁石。 (3)耐食相中において、M/(R+T+M)が0.1
〜10重量%である上記(1)または(2)の希土類磁
石。 (4)耐食相中において、R/(R+T+M)が10重
量%以下である上記(1)〜(3)のいずれかの希土類
磁石。 (5)保護層の平均厚さが2〜30μm である上記
(1)〜(4)のいずれかの希土類磁石。 (6)磁石素体と保護層との間に、R、T、BおよびO
を主成分とする境界層を有する上記(1)〜(5)のい
ずれかの希土類磁石。 (7)境界層の平均厚さが2〜20μm である上記
(6)の希土類磁石。 (8)R(Rは、Yを含む希土類元素の少なくとも1種
である)、T(Tは、Fe、またはFeおよびCoであ
る)およびBを含有し、実質的に正方晶系の主相を有す
る磁石素体を、M(Mは、第IVa族元素、第Va族元素
および第VIa族元素から選択される少なくとも1種の元
素である)を含む金属および/または化合物と溶融塩と
を含む処理液に浸漬する溶融塩処理工程を有することを
特徴とする希土類磁石の製造方法。 (9)Mを含む金属がFeとMとの合金である上記
(8)の希土類磁石の製造方法。 (10)Mを含む化合物が酸化物であり、この酸化物を
還元するための還元剤を処理液が含む上記(8)または
(9)の希土類磁石の製造方法。 (11)溶融塩として、硼酸塩を含む無機塩の加熱溶融
物を用いる上記(8)〜(10)のいずれかの希土類磁石
の製造方法。 (12)処理液の温度が700〜1000℃であり、処
理時間が3〜60分間である上記(8)〜(11)のいず
れかの希土類磁石の製造方法。 (13)上記(1)〜(7)のいずれかの希土類磁石を
製造する上記(8)〜(12)のいずれかの希土類磁石の
製造方法。
【0010】
【作用および効果】磁石素体の表面に設けられる上記保
護層は、磁石素体の耐食性向上効果が良好である。溶融
塩処理により形成した上記保護層は、磁石素体の一部が
変質したものなので、保護層形成による磁石寸法の変化
は実質的に認められない。このため、寸法精度の良好な
磁石が実現する。溶融塩処理は空気中で行なうことがで
き、しかも短時間で保護層形成が可能であるため、製造
工程の簡易化および短縮に極めて有効であり、このた
め、耐食性が良好で、しかも安価な希土類磁石を提供す
ることができる。
【0011】また、溶融塩処理を磁石素体の時効処理と
して利用することもできる。すなわち、磁石素体には、
通常、非酸化性雰囲気中で長時間の時効処理を施す必要
があるが、溶融塩処理では磁石素体の表面酸化の心配が
ないので空気中で行なうことができ、しかも溶融塩は熱
容量が大きいので短時間で時効処理の効果が得られる。
この点からも、著しいコスト低減が実現する。
【0012】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0013】本発明の希土類磁石は、磁石素体と、この
表面に耐食性向上のために設けられた保護層とを有す
る。磁石素体は、R(Rは、Yを含む希土類元素の少な
くとも1種である)、T(Tは、Fe、またはFeおよ
びCoである)およびBを含有し、実質的に正方晶系の
主相を有する。保護層は、TおよびM(Mは、周期律表
の第IVa族元素、第Va族元素および第VIa族元素から
選択される少なくとも1種の元素である)を主成分とす
るか、R、TおよびMを主成分とする耐食相を含む。
【0014】耐食相中に含まれるRおよびTは、磁石素
体に由来するものである。
【0015】Mは、好ましくはTi、Zr、Hf、V、
Nb、Ta、Cr、MoおよびWから選択される少なく
とも1種であり、より好ましくはV、Nb、Ta、Cr
およびWから選択される少なくとも1種である。
【0016】耐食相中におけるM/(R+T+M)は、
好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは1〜5
重量%である。Mの比率が低すぎると耐食性向上効果が
不十分であり、Mの比率が上記範囲を超えて高くなって
も耐食性は顕著には向上せず、しかも、Mの比率を高め
るためには、Mを含む金属や化合物の処理液中の濃度を
上げなければならないため、処理液の粘性が高くなって
磁石素体の浸漬が難しくなり、また、保護層を均一に形
成することが困難となる。
【0017】耐食相中には、Rが実質的に含まれていな
くてもよいが、例えばSEM−EDX(走査型電子顕微
鏡−エネルギー分散型X線分析装置)による測定では、
通常、Rが検出される。耐食相中におけるR/(R+T
+M)は、通常、10重量%以下である。
【0018】耐食相中には、R、TおよびMの他、B、
O、Cなども、通常、含まれているが、R、TおよびM
の合計含有率は、好ましくは90重量%以上、より好ま
しくは95重量%以上である。
【0019】耐食性向上のためには、保護層が実質的に
耐食相だけから構成されることが好ましいが、図1に示
されるように、耐食相中に異相が分散した構造であって
もよい。図1は、保護層および磁石素体の断面の走査型
電子顕微鏡写真(組成像)である。図1に示す保護層
は、後述する溶融塩処理により形成したものである。図
1において保護層として表示してある領域では、灰色の
耐食相中に黒色の異相が分散した構造となっている。黒
色の異相中には、主として溶融塩構成成分が含まれてい
ると考えられる。保護層中におけるこのような異相の寸
法および体積比率は、溶融塩処理に用いる処理液の組成
や処理条件などによって異なるが、所望の耐食性が確保
できるのであれば、異相の寸法や体積比率に特に制限は
ない。
【0020】保護層の平均厚さは、好ましくは2〜30
μm 、より好ましくは5〜20μmである。保護層が薄
すぎると、層の連続性が不十分となりやすいため耐食性
が不十分となり、厚すぎると保護層にクラックが生じた
り、保護層が剥離したりしやすくなる。
【0021】後述する溶融塩処理により保護層を形成し
た場合、磁石素体と保護層との間には、通常、R、T、
BおよびOを主成分とする境界層が存在する。境界層中
のO/(R+T+B+O)は、通常、0.1〜10重量
%である。
【0022】境界層では、(R+T+B)に対するR、
TおよびBそれぞれの比率が、磁石素体中におけるR、
TおよびBそれぞれの含有率とほぼ同じとなる。すなわ
ち、磁石素体の表面付近の組織中にO濃度の高い領域が
形成されて境界層となっていると考えられる。図1にお
いて境界層として表示してある領域には、磁石素体と同
様に、結晶粒と白色の粒界相とが確認できるが、これら
の組成は、Oを除いては磁石素体のものとほぼ同じであ
る。
【0023】なお、図1では、磁石素体と境界層との間
にクラックが生じているが、これは境界層が約40μm
と厚いためであると考えられる。磁石素体と境界層とは
組成が異なるため、物理的性質の違いから境界層に応力
が発生し、これを切断したためクラックが発生したもの
と推定される。
【0024】保護層中や境界層中の各元素の定量は、S
EM−EDXやEPMA(電子線プローブマイクロアナ
ライザー)などにより行なうことができる。
【0025】境界層の平均厚さは、通常、2〜20μm
である。
【0026】後述する溶融塩処理により形成された保護
層および境界層は、磁石素体の一部が変質したものであ
るため、磁石素体の寸法は、保護層および境界層形成後
にも実質的に変化していない。
【0027】磁石素体は、Nd2 Fe14B相等のR2
14B相から実質的に構成される結晶粒と、R214Bよ
りもRリッチな粒界相とを含む通常のR−T−B系磁石
であればよく、具体的組成、形状、寸法等は特に限定さ
れない。このようなR−T−B系磁石は、一般にRを2
7〜36重量%、Bを0.9〜1.3重量%含み、残部
が実質的にTである。
【0028】上述した保護層は、以下に説明する溶融塩
処理により形成することが好ましい。
【0029】溶融塩処理では、Mを含む金属および/ま
たは化合物と溶融塩とを含む処理液に、磁石素体を浸漬
する。
【0030】Mを含む金属としては、M単体、Mを含む
少なくとも2種の金属元素の合金(金属間化合物を含
む)が挙げられる。合金としては、Mの少なくとも1種
とM以外の金属の少なくとも1種との合金であってもよ
く、Mから2種以上を選択してもよい。これらのうちで
は、入手が容易であることや、磁石素体構成元素である
Feを含むことなどから、FeとMとの合金が好まし
い。Mを含む金属は、溶融塩処理の際に処理液中におい
て溶融していることが必要なので、処理温度に応じた溶
融性を有するものを選択する。ただし、処理液温度は、
Mを含む金属の融点以上である必要はない。処理液中で
は、混合のエントロピーの効果および処理液中での酸化
還元反応により、融点未満であっても溶融するからであ
る。上記した溶融性とは、融点未満での溶融ないし溶解
を含む概念とする。Mを含む合金を用いる場合、合金中
におけるMと他の金属元素との比率は特に限定されず、
必要な溶融性が得られるように適宜決定すればよい。
【0031】Mを含む化合物としては、酸化物、塩化
物、フッ化物等が挙げられ、これらのうちでは酸化物が
好ましい。酸化物を使う場合、保護層形成を容易にする
ために、溶融塩中に前記酸化物を還元するための還元剤
を添加することが好ましい。還元剤としては、Al、N
a、Ca、MgおよびB4 Cの少なくとも1種が好まし
く、特に、AlおよびB4 Cの少なくとも1種が好まし
い。
【0032】なお、酸化物と還元剤とを用いる場合、処
理液の温度は酸化物の融点以上である必要はない。この
場合でも上述したMを含む金属と同様に、通常、酸化物
はその融点未満で溶融性を示す。
【0033】溶融塩として使用するための塩には、各種
無機塩から選択される少なくとも1種を用いることがで
き、例えば、硼酸塩、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ハロゲ
ン化物、酸化物、水酸化物等の少なくとも1種を用いる
ことができる。これらのうちでは、硼酸塩、硝酸塩、塩
化物が好ましく、特に、硼酸塩が好ましい。なお、この
場合の硼酸塩には、次硼酸塩や縮合硼酸塩も含まれる。
【0034】塩を構成する硼素以外の金属としては、N
a、Kが好ましく、特にNaが好ましい。具体的には、
硼酸ナトリウム、硼酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸
カリウム、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムの少なく
とも1種が好ましく、硼酸ナトリウムがより好ましく、
四硼酸ナトリウム(Na247 )がさらに好まし
い。なお、四硼酸ナトリウムとして硼砂を使うなど、上
記無機塩を含む天然物を使用してもよい。
【0035】溶融塩処理時の処理液の温度は、無機塩の
融点以上であって、かつ耐食性向上効果の高い保護層が
形成され得る温度であればよい。具体的には、無機塩の
種類、Mの種類等によって異なるが、好ましくは700
〜1000℃、より好ましくは800〜950℃であ
る。溶融塩処理の時間、すなわち、処理液中に磁石素体
を浸漬している時間は、好ましくは3〜60分間、より
好ましくは5〜30分間である。処理時間が短すぎると
保護層を十分な厚さに形成することが難しく、処理時間
が長すぎると保護層が厚くなりすぎる。
【0036】処理液中におけるMを含む金属または化合
物の比率は、好ましくは5〜50重量%、より好ましく
は10〜30重量%である。この比率が小さすぎると、
保護層の形成速度が遅くなって生産性が著しく低下して
しまい、この比率が大きすぎると、処理液の粘性が高く
なりすぎて磁石素体の浸漬が難しくなり、しかも保護層
を均一に形成することが困難となる。
【0037】Mを含む金属や化合物、還元剤を、無機塩
またはその溶融物と混合する際の形状や寸法は特に限定
されないが、反応性や溶融性を向上させるためには、粉
末状や薄片状とすることが好ましい。
【0038】処理液の加熱および温度維持方法は特に限
定されず、処理液の容器を加熱する方法を用いてもよ
く、処理液に交流電流を流して加熱してもよい。
【0039】溶融塩処理に際しては磁石素体表面の酸化
は実質的に生じず、また、処理液から引き上げる際には
既に保護層が形成されているため、溶融塩処理は空気中
で行なうことができる。
【0040】なお、溶融塩処理の前には、磁石素体の面
取りを行なうことが好ましい。磁石素体に鋭い角部が存
在すると、その領域にクラックや脱落等が生じたり、そ
の領域の保護層が剥離したりしやすいが、面取りを行な
うことによりこれらを防ぐことができる。面取りは、バ
レル研磨や、サンドブラスト、電解研磨等により行なえ
ばよい。
【0041】また、溶融塩処理の前には、脱脂のための
洗浄や、歪割れを防ぐための磁石素体の予熱を行なうこ
とが好ましい。
【0042】R−T−B系の磁石では、保磁力向上のた
めに、焼結後に2段階の時効処理を施すことが好ましい
が、本発明では、溶融塩処理を1段目の時効処理に替え
ることが可能である。非酸化性雰囲気中で行なう1段目
の時効処理の好ましい処理条件は、700〜900℃で
0.5〜10時間程度であるが、溶融塩は熱容量が大き
いため、上記したような短時間の溶融塩処理により磁石
素体は急速かつ均一に昇温され、十分な時効効果が生じ
る。しかも、空気中で行なうことができる。また、2段
目の時効処理の好ましい処理条件は、400〜700℃
で0.5〜10時間程度であるが、2段目の時効処理も
溶融塩浴中に磁石素体を浸漬することにより行なうこと
が好ましい。このときの溶融塩浴には、通常、Mを含む
金属または化合物を添加していない溶融塩、例えば、通
常の熱媒体用の溶融塩を用いることが好ましいが、保護
層形成のための溶融塩処理を2回に分けて2段時効処理
に替えてもよい。
【0043】磁石素体は、以下に述べるような焼結法に
より製造されることが好ましい。鋳造した母合金を、機
械的粉砕、水素吸蔵粉砕、ジェットミル等による気流式
粉砕などにより、0.5〜5μm 程度の粒径にまで粉砕
する。次いで、好ましくは磁場中にて成形し、成形体を
1000〜1200℃で0.5〜5時間焼結した後、急
冷し、磁石素体を得る。
【0044】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0045】<実施例1>29.5Nd−3.0Dy−
1.0B−bal.Fe(数字は重量百分率)の組成の
母合金を、Arガス雰囲気中で高周波溶解して鋳造し、
さらに、機械的粉砕および窒素ガス気流粉砕機(ジェッ
トミル)により粉砕して、平均粒径4μmの粉末とし
た。この粉末を1.5t/cm2 の圧力で圧縮成形した。加
圧時には、15 kOeの磁場を加圧方向に印加した。得ら
れた成形体を、真空中において1070℃で4時間焼成
した後、急冷した。得られた焼結体を円盤状に加工し
て、磁石素体とした。この磁石素体は、直径23mm、厚
さ1.5mmであった。
【0046】20個の磁石素体をステンレス製の網篭に
入れ、この網篭を処理液中に浸漬して磁石素体に溶融塩
処理を施し、本発明の磁石サンプルとした。処理液の組
成、処理時の処理液温度、処理時間(浸漬時間)を、表
1に示す。サンプルを処理液から引き上げた後、沸騰水
で洗浄して塩成分を除去した。次いで、Arガス雰囲気
中において、サンプルに600℃で1時間の時効処理を
施した。
【0047】このようにして得られた20個のサンプル
の厚さを測定して平均値を求めた。サンプルの中央部平
均厚さおよび端部平均厚さと、これらの差の絶対値(最
大寸法差)とを、表1に示す。また、サンプルの厚さ
を、溶融塩処理前の磁石素体の厚さと比較した。磁石素
体は、中央部平均厚さが1.504mm、端部平均厚さが
1.502mm、これらの平均値(t0 )が1.503mm
であった。サンプルの中央部平均厚さからt0 を減じた
値と、サンプルの端部平均厚さからt0 を減じた値との
うち、絶対値の大きいほうを最大寸法変化として表1に
示した。
【0048】これらのサンプルについてプレッシャーク
ッカー試験(120℃、100%RH)を行ない、40
時間経過後および100時間経過後の外観を調べて耐湿
性を評価した。結果を表1に示す。
【0049】これらのサンプルを切断し、断面を研磨し
た後、SEM−EDXにより磁石表面付近の元素分析を
行なった。この結果、磁石表面付近に、図1に示すよう
な耐食相を含む保護層と境界相とが認められた。保護層
の平均厚さおよび耐食相の組成を表1に示す。ただし、
耐食相の組成は、Nd+Fe+Mを100重量%として
表わしてある。
【0050】<実施例2〜18>溶融塩処理に用いた処
理液の組成を表1に示されるものとした他は実施例1と
同様にしてサンプルを作製し、実施例1と同様な測定お
よび評価を行なった。結果を表1に示す。
【0051】<比較例1>溶融塩処理を施さない磁石素
体について、耐湿性を評価した。
【0052】<比較例2>Mを含む金属および化合物を
添加しない処理液を用いた他は実施例1と同様にしてサ
ンプルを作製し、実施例1と同様な測定および評価を行
なった。結果を表1に示す。
【0053】<比較例3〜6>スルファミン酸Niめっ
き、ワット2層Niめっき、エポキシ系樹脂のカチオン
電着塗装またはアルミイオンプレーティングにより、磁
石素体表面にそれぞれ保護層を形成した。これらについ
ても実施例1と同様な測定および評価を行なった。結果
を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】表1に示されるように、実施例サンプルで
は耐湿性が良好であり、しかも保護層形成による寸法変
化が著しく小さい。これに対し、比較例サンプルでは、
耐湿性が低いか、保護層形成による寸法変化が大きい
か、あるいはその両方であり、本発明の効果が明らかで
ある。
【0056】なお、上記各実施例のサンプルの保護層
は、すべてが図1に示されるような組織構造をもってい
た。また、各実施例のサンプルでは、耐食相中において
Nd+Fe+Mが90重量%以上を占めていた。
【0057】上記各実施例のサンプルでは、SEM−E
DXおよびEPMAにより、保護層と磁石素体との間に
O濃度の高い境界層が確認された。実施例5および実施
例15の各サンプルについて、境界層の平均厚さおよび
組成を表2に示す。また、比較例2のサンプルでも、磁
石素体表面に酸素濃度の高い領域が認められた。比較例
2のサンプルについても、酸素濃度の高い領域の平均厚
さおよび組成を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】表2から、境界層中のNd、Dy、Fe、
Bの割合は、磁石素体中のNd、Dy、Fe、Bの割合
とほぼ同じであることがわかる。
【0060】表2に示される実施例以外の実施例のサン
プルの境界層の厚さは5〜20μmであり、その組成
は、表2に示される実施例のサンプルと同様に、磁石素
体の組成にOがプラスされたものに近かった。
【0061】<時効処理>Arガス雰囲気中において磁
石素体に900℃で1時間の熱処理を施して1段目の時
効処理とし、さらに、600℃で1時間の熱処理を施し
て2段目の時効処理とした。この磁石素体の磁気特性
は、残留磁束密度が11.5kG、保磁力が18.6 kO
e、最大エネルギー積が32.4MGOeであった。
【0062】一方、実施例1のサンプルでは、溶融塩処
理後に600℃で1時間の時効処理を施しただけである
が、残留磁束密度、保磁力、最大エネルギー積のいずれ
もが、2段の時効処理を行なった磁石素体と同じであっ
た。
【0063】また、実施例1と同様な溶融塩処理を行な
った後、さらに、600℃の溶融塩(HTS:40重量
%NaNO2 −7重量%NaNO3 −53重量%KNO
3 )中に10分間浸漬したサンプルでも、実施例1と同
等の磁気特性が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】結晶構造を示す図面代用写真であって、磁石素
体、境界層および保護層の断面を表わす走査型電子顕微
鏡写真(組成像)である。
【手続補正書】
【提出日】平成6年8月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 R(Rは、Yを含む希土類元素の少なく
    とも1種である)、T(Tは、Fe、またはFeおよび
    Coである)およびBを含有し、実質的に正方晶系の主
    相を有する磁石素体の表面に、TおよびM(Mは、第IV
    a族元素、第Va族元素および第VIa族元素から選択さ
    れる少なくとも1種の元素である)を主成分とするか、
    R、TおよびMを主成分とする耐食相を含む保護層を有
    することを特徴とする希土類磁石。
  2. 【請求項2】 Mが、Ti、Zr、Hf、V、Nb、T
    a、Cr、MoおよびWから選択される少なくとも1種
    である請求項1の希土類磁石。
  3. 【請求項3】 耐食相中において、M/(R+T+M)
    が0.1〜10重量%である請求項1または2の希土類
    磁石。
  4. 【請求項4】 耐食相中において、R/(R+T+M)
    が10重量%以下である請求項1〜3のいずれかの希土
    類磁石。
  5. 【請求項5】 保護層の平均厚さが2〜30μm である
    請求項1〜4のいずれかの希土類磁石。
  6. 【請求項6】 磁石素体と保護層との間に、R、T、B
    およびOを主成分とする境界層を有する請求項1〜5の
    いずれかの希土類磁石。
  7. 【請求項7】 境界層の平均厚さが2〜20μm である
    請求項6の希土類磁石。
  8. 【請求項8】 R(Rは、Yを含む希土類元素の少なく
    とも1種である)、T(Tは、Fe、またはFeおよび
    Coである)およびBを含有し、実質的に正方晶系の主
    相を有する磁石素体を、M(Mは、第IVa族元素、第V
    a族元素および第VIa族元素から選択される少なくとも
    1種の元素である)を含む金属および/または化合物と
    溶融塩とを含む処理液に浸漬する溶融塩処理工程を有す
    ることを特徴とする希土類磁石の製造方法。
  9. 【請求項9】 Mを含む金属がFeとMとの合金である
    請求項8の希土類磁石の製造方法。
  10. 【請求項10】 Mを含む化合物が酸化物であり、この
    酸化物を還元するための還元剤を処理液が含む請求項8
    または9の希土類磁石の製造方法。
  11. 【請求項11】 溶融塩として、硼酸塩を含む無機塩の
    加熱溶融物を用いる請求項8〜10のいずれかの希土類
    磁石の製造方法。
  12. 【請求項12】 処理液の温度が700〜1000℃で
    あり、処理時間が3〜60分間である請求項8〜11の
    いずれかの希土類磁石の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1〜7のいずれかの希土類磁石
    を製造する請求項8〜12のいずれかの希土類磁石の製
    造方法。
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