JP2003257768A - 希土類焼結磁石の製造方法 - Google Patents

希土類焼結磁石の製造方法

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JP2003257768A JP2002373630A JP2002373630A JP2003257768A JP 2003257768 A JP2003257768 A JP 2003257768A JP 2002373630 A JP2002373630 A JP 2002373630A JP 2002373630 A JP2002373630 A JP 2002373630A JP 2003257768 A JP2003257768 A JP 2003257768A
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 R(Rは、Nd、Pr、Dy、Tb及び
Hoから選択される1種又は2種以上の希土類元素)を
20〜35重量%、Coを15重量%以下、Bを0.2
〜8重量%、添加物としてNi、Nb、Al、Ti、Z
r、Cr、V、Mn、Mo、Si、Sn、Ga、Cu及
びZnから選ばれる少なくとも1種の元素を8重量%以
下、残部Fe及び不可避的不純物からなる合金を溶解、
鋳造し、粉砕、微粉砕、磁場中成形、焼結、熱処理を順
次行って焼結磁石とし、更に該焼結磁石を切断及び/又
は研磨して表面を加工後、金属メッキを施し、その後、
80〜700℃で10分〜50時間熱処理することを特
徴とする希土類焼結磁石の製造方法。 【効果】 本発明のR2Fe14B系焼結磁石の製造方法
により、水素雰囲気中においても、水素脆性を引き起こ
さない、モーター等に使用できる希土類焼結磁石を得る
ことが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素雰囲気に長時
間晒されるモーター等に用いられるR2Fe14B系焼結
磁石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】希土類元素と遷移金属の金属間化合物に
おいては、水素が結晶格子間に侵入する、即ち、合金中
に水素を吸蔵、放出する特性を持っており、その特性は
いろいろな分野で利用されている。その例としては、L
aNi5に代表とされる水素吸蔵合金による水素電池が
挙げられ、また、希土類焼結磁石においても、R2Fe1
4B系合金の粉砕方法として、更にR2Fe14B系ボンド
磁石の製造方法(HDDR 特開平3−129702号
公報)として利用されている。
【0003】しかしながら、合金中又は磁石中に水素を
吸蔵、放出させた場合、水素脆性を引き起こしてしま
う。そのため、水素雰囲気中において、希土類焼結磁石
を用いたモーター等を使用した場合、希土類焼結磁石が
水素脆化を引き起こし、素材にワレ、クラックもしくは
粉化が起こるという問題が生じている。
【0004】現在、希土類焼結磁石には、R2Fe14
系、SmCo5系、Sm2Co17系等の種類がある。一般
に、水素に対しては、2−17型結晶構造よりも1−5
型結晶構造、1−5型結晶構造よりも2−7型結晶構造
の方がプラトー圧は低い、即ち、レアアースリッチ(以
下、Rリッチと称す)な合金のほうが水素吸蔵されやす
い傾向にあり、水素脆化しやすい。
【0005】R2Fe14B系磁石は、磁石中にRリッチ
相を有するため、0.1MPa以下の圧力の水素雰囲気
下で、容易に水素脆性を引き起こし、磁石素材にワレ、
クラックもしくは粉化が生じる。通常、R2Fe14B系
磁石は、耐食性向上のためメッキ、樹脂コーティングな
どの表面処理がなされているが、水素脆化を防止する手
段とはなっていない。この問題を解決する方法として、
2Fe14B系磁石の表面処理膜に水素吸蔵合金を含有
させる方法を提案した(特開2000−285415号
公報)。この方法により作製されたR2Fe14B系磁石
は、0.1MPa以下の圧力の水素雰囲気下において
は、水素脆性を引き起こさないものの、それを超える圧
力の水素雰囲気下においては、水素脆性を引き起こし、
磁石素材にワレ、クラックもしくは粉化が生じると考え
られる。
【0006】SmCo5系磁石も、R2Fe14B系磁石と
同様に、Rリッチ相を有すると共に、主相であるSmC
5相のプラトー圧が約0.3MPaである。このこと
から、0.3MPaを超える圧力の水素雰囲気中では、
水素脆性を引き起こし、磁石素材にワレ、クラックもし
くは粉化が生じる。
【0007】Sm2Co17系磁石は、主相が2−17相
であり、R2Fe14B系、SmCo5系に比べRリッチで
はないことと、Rリッチ相を含有しないため、水素脆性
を引き起こしにくい。しかしながら、1MPaを超える
圧力の水素雰囲気中では、他の希土類焼結磁石と同様
に、水素脆性を引き起こし、磁石素材にワレ、クラック
もしくは粉化が生じることがわかっている。
【0008】耐水素脆性を向上させるためには、Sm2
Co17系磁石を焼結磁石とし、切断及び/又は研磨して
表面を加工後、酸素分圧10-6〜152torrの雰囲
気において熱処理すればよいことが分かっている(特開
2002−118009号公報)。そうすることによ
り、磁石表面にCo及び/又はCo、Fe中にSm23
が微細に分散している層を存在させていれば、3MPa
を超える高圧水素雰囲気下においても水素脆性は起こさ
ない。しかし、Sm2Co17系磁石及びCo及び/又は
Co、Fe中にSm23が微細に分散している層は、硬
く、欠け易いため、製品組み立て等、取扱いの際、チッ
ピング等を引き起こす場合がある。チッピング等を引き
起こした希土類焼結磁石は、磁気特性には、ほとんど影
響はないものの、耐水素性皮膜が欠け落ちた部分が存在
するため、耐水素脆性は大きく低下し、表面層のない場
合と同等になってしまう。従って、1MPaを超える圧
力の水素雰囲気中では、水素脆性を引き起こし、磁石素
材にワレ、クラックもしくは粉化が起こるため、そのよ
うな雰囲気中では、使用することができない。
【0009】上記問題は、Sm2Co17系磁石の機械的
強度の脆さに起因するものである。つまり、素材とし
て、機械的強度が強いものがよいことは明らかであり、
Sm2Co17系磁石よりR2Fe14B系磁石の方が機械的
強度は強く、更に通常、耐酸化性皮膜を有しているた
め、チッピング等の可能性は低く、R2Fe14B系磁石
に耐水素性皮膜を被覆できれば有効であると考えられ
る。
【0010】また、R2Fe14B系磁石は、Sm2Co17
系磁石に比べ、耐食性が劣っている及び温度特性に劣っ
ている等の欠点があるものの、主要元素が、高価なS
m、Coではなく、安価なNd、Feであることから、
原材料費が安価なだけでなく、現在量産されている最高
磁気特性においても、Sm2Co17系磁石の32MGO
eに対し、R2Fe14B系磁石の50MGOeの最大エ
ネルギー積のように優れているという利点がある。即
ち、R2Fe14B系磁石は、耐食性向上のための表面処
理が施されていれば、常温において、極めて優れた永久
磁石材料であり、そのため、優れた温度特性を必要とし
ない場合又は150℃以上の温度がかからない場合であ
れば、通常、磁気回路の小型化、高効率化のためには、
Sm2Co17系磁石ではなく、R2Fe14B系磁石が使わ
れることが多い。つまり、磁気特性においても、Sm2
Co17系磁石よりもR2Fe14B系磁石が耐水素性を有
すれば、非常に有効であることは明らかである。
【0011】
【特許文献1】特開2000−285415号公報
【特許文献2】特開2002−118009号公報
【特許文献3】特開平3−129702号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題を解決したR2Fe14B系焼結磁石の製造方法を提
供するものである。即ち、従来の希土類焼結磁石の様
に、水素雰囲気下で、水素脆性を引き起こし、磁石素材
にワレ、クラックもしくは粉化が生じるという問題を解
決するR2Fe14B系焼結磁石の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結
果、焼結、時効後の焼結磁石を表面加工後、金属メッキ
を施し、更に最適な熱処理をすることで、磁石体表面に
耐水素性に優れた層を形成するという、高圧の水素雰囲
気中でも水素脆性を引き起こさない希土類焼結磁石の製
造方法を見い出した。このことから、水素雰囲気に長時
間晒されるモーター等に好適に用いられるR2Fe14
系焼結磁石が得られることを知見し、本発明をなすに至
った。
【0014】即ち、本発明は、前記問題を解決する方法
として下記(1)〜(3)の希土類焼結磁石の製造方法
を提供するものである。 (1)R(Rは、Nd、Pr、Dy、Tb及びHoから
選択される1種又は2種以上の希土類元素)を20〜3
5重量%、Coを15重量%以下、Bを0.2〜8重量
%、添加物としてNi、Nb、Al、Ti、Zr、C
r、V、Mn、Mo、Si、Sn、Ga、Cu及びZn
から選ばれる少なくとも1種の元素を8重量%以下、残
部Fe及び不可避的不純物からなる合金を溶解、鋳造
し、粉砕、微粉砕、磁場中成形、焼結、熱処理を順次行
って焼結磁石とし、更に該焼結磁石を切断及び/又は研
磨して表面を加工後、金属メッキを施し、その後、80
〜700℃で10分〜50時間熱処理することを特徴と
する希土類焼結磁石の製造方法、 (2)金属メッキの金属が、Cu、Ni、Co、Sn及
びそれらの合金の少なくとも1種であることを特徴とす
る(1)記載の希土類焼結磁石の製造方法、 (3)金属メッキ後の熱処理が、酸素分圧が10-4Pa
〜50kPaである、アルゴン、窒素、空気又は低圧真
空雰囲気下において行われることを特徴とする(1)又
は(2)記載の希土類焼結磁石の製造方法。
【0015】以下に、本発明の詳細を説明する。本発明
におけるR2Fe14B系焼結磁石合金組成の主成分は、
R(Rは、Nd、Pr、Dy、Tb又はHoから選択さ
れる1種又は2種以上の希土類元素)を20〜35重量
%、Coを0重量%を超え15重量%以下、Bを0.2
〜8重量%、添加物としてNi、Nb、Al、Ti、Z
r、Cr、V、Mn、Mo、Si、Sn、Ga、Cu及
びZnから選ばれる少なくとも1種の元素を0重量%を
超え8重量%以下、残部Fe及び不可避的不純物からな
る。前記Rの含有量が、20重量%未満であると保磁力
が著しく減少し、また、35重量%を超えると残留磁束
密度が著しく減少する。
【0016】本発明のR2Fe14B系磁石合金は、上記
組成範囲の原料をアルゴン等の非酸化性雰囲気中におい
て、高周波溶解により溶解、鋳造する。
【0017】次に、前記R2Fe14B系磁石合金を粗粉
砕し、次いで特に限定はしないが、好ましくは平均粒径
1〜10μmに微粉砕する。この粗粉砕は、例えば、不
活性ガス雰囲気中で、ジョークラッシャー、ブラウンミ
ル、ピンミル及び水素吸蔵等により行うことができる。
また、前記微粉砕は、アルコール、ヘキサン等を溶媒に
用いた湿式ボールミルやアトライター、不活性ガス雰囲
気中による乾式ボールミル、不活性ガス気流によるジェ
ットミル等により行うことができる。
【0018】次に、前記微粉砕粉を、好ましくは10k
Oe以上、特に15kOe以上の磁場を印可することが
可能な磁場中プレス機等により、好ましくは200kg
/cm2以上2000kg/cm2未満の圧力により圧縮
成形する。続いて、得られた圧縮成形体を、熱処理炉に
より、高真空中又はアルゴンなどの非酸化性雰囲気ガス
中で、1000〜1200℃において、1〜2時間、焼
結を行う。
【0019】続いて、真空中又はアルゴンなどの非酸化
性雰囲気ガス中で、焼結温度よりも低い温度で、好まし
くは400〜700℃の温度で熱処理を施し、切断及び
/又は研磨して表面の加工仕上げを行う。この際、特に
限定されるものではないが、希土類焼結磁石体に面取り
がなされていることが望ましい。
【0020】この表面加工後、前記希土類焼結磁石体に
金属メッキ層を形成する。ここで、金属メッキ層は、多
層になればなる程耐食性が向上するが、製造上のコスト
がかかること、効率性が悪くなること、磁気特性の低下
などから1〜5層、特に2〜5層の金属メッキ層とする
ことができる。ただ、これは、用途が要求する耐食性や
その他の条件により選択することが好ましい。前記金属
メッキの金属は、Cu、Ni、Co、Sn及びそれらの
合金の少なくとも1種からなり、メッキ厚さは、1〜1
00μm、特に1〜50μmが好ましい。好ましい具体
例としては、下層にCuが形成され、更にNiを形成し
た多層メッキがよく、Cu−Ni、Cu−Ni−Ni、
Ni−Cu−Ni等が挙げられる。この金属メッキを施
す前処理として、特に限定されるものではないが、前記
希土類焼結磁石体をアルカリ脱脂、酸洗浄、水洗するこ
とが望ましい。メッキの成膜方法としては、特に限定さ
れるものではないが、電解メッキ法が望ましい。また、
前記希土類焼結磁石体をメッキ液に浸漬する方法は、バ
レル法又は引っ掛け治具法のいずれでもよく、希土類焼
結磁石体の寸法及び形状によって適当に選択される。
【0021】なお、電解メッキ液としては、公知の組成
のメッキ液を使用し、そのメッキ液に応じた公知の条件
でメッキすることができるが、特にpH2〜12のメッ
キ液が好適である。また、組成の異なる金属を2層以上
積層する場合は、最上層に対して直下層の腐食電位が貴
となるようにすればよいが、Niを2層メッキする場合
のように、皮膜中の硫黄含有量を変えることで電位を制
御する方法では、上層の硫黄含有量は約0.03%以下
とし、下層には硫黄を含まないようにするとよい。その
他の組み合わせでは、特に限定されるものではないが、
例えば、最上層にNi、直下層にCuを組み合わせるな
どの例が挙げられる。
【0022】上記方法により金属メッキを施した後、酸
素分圧が10-4Pa〜50kPa、好ましくは10-4
a〜30kPaである、アルゴン、窒素、空気又は低圧
真空雰囲気下において、10分〜50時間、80〜70
0℃、好ましくは200〜600℃で熱処理する。前記
熱処理時間は、10分未満では、耐水素性に優れた層の
形成が十分でない、あるいは、ばらつきが多くなるため
適当ではなく、また、50時間を超える熱処理は、効率
的ではないことと、耐水素性に優れた層が厚くなること
により磁気特性を劣化させる原因となることがあるため
適当ではない。前記熱処理温度は、80℃未満では、耐
水素性に優れた希土類焼結磁石を得るために長時間の処
理が必要となり、効率的ではなく、また、700℃を超
える温度では、耐水素性に優れた層の形成は成されるも
のの、希土類焼結磁石と金属メッキが反応し、磁気特性
の劣化が生じる。ちなみに、上記耐水素性に優れた層
は、メッキ金属の酸化物層であり、0.1〜100μm
の厚さがあることが好ましく、更に好ましくは0.1〜
20μmである。
【0023】次いで、希土類焼結磁石体表面に樹脂塗装
(吹き付け塗装、電着塗装、粉体塗装あるいはディッピ
ング塗装等のいわゆる樹脂塗装)を施すこともできる。
樹脂塗装による皮膜は、耐水素性を有していないが、希
土類焼結磁石が用いられたモーターなどが使用される雰
囲気により耐酸性を有する必要があることや、モーター
などに希土類焼結磁石が組み込まれる際、表面層に傷を
つけないため成されることとなる。なお、樹脂塗装の樹
脂は、特に限定されるものではないが、アクリル系、エ
ポキシ系、フェノール系、シリコーン系、ポリエステル
系及びポリウレタン系樹脂等が望ましい。
【0024】
【実施例】次に本発明の実施例を挙げて具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】[実施例1]R2Fe14B系磁石合金は、
Nd:28.0重量%、Dy:4.0重量%、Co:
3.5重量%、B:1.0重量%、Cu:0.2重量
%、Al:0.4重量%、残部Feの組成になるように
配合し、アルゴンガス雰囲気中で、アルミナルツボを使
用して高周波溶解炉で溶解し、鋳型鋳造することにより
作製した。
【0026】次に、前記R2Fe14B系磁石合金を、ジ
ョークラッシャー、ブラウンミルで約500μm以下に
粗粉砕後、窒素気流によるジェットミルにより平均粒径
約3μmに微粉砕を行った。得られた微粉砕粉を、磁場
中プレス機により10kOeの磁場中にて1.2t/c
2の圧力で成形した。得られた成形体は熱処理炉を用
い、アルゴン雰囲気中で、1070℃、2時間焼結した
後、冷却し、更に600℃、1時間、アルゴン雰囲気中
で熱処理を行い、焼結磁石を作製した。得られた焼結磁
石から、5×5×5mmに磁石を切り出した。
【0027】次に、前記焼結磁石に電解Cuメッキ(5
μm)、電解Niメッキ(5μm)、電解Niメッキ
(10μm)を順次施した。この場合、ピロリン酸銅6
0g/L、ピロリン酸カリウム240g/L、シュウ酸
カリウム30g/Lで調整したメッキ浴を用い、浴温度
40℃、電流密度1.5A/dm2の条件で電解Cuメ
ッキを行い、次いで、塩化Ni40g/L、硫酸Ni2
70g/L、ホウ酸30g/Lで調整したメッキ浴を用
い、浴温度50℃、電流密度2.0A/dm2の条件
で、電解Niメッキを施し、更に前記Niメッキと同様
な条件で電解Niを施した。その後、300℃、50時
間、空気中(酸素分圧20kPa)の熱処理を施し、室
温まで冷却し、更にエポキシ系樹脂を吹き付けにより塗
装し、水素ガス試験用試料を得た。ここで得られた水素
ガス試験用試料は、Vibrating Sample
Magnetometer(以下、VSMと称す)に
より磁気特性の測定を行った。
【0028】前記水素ガス試験用試料をそれぞれ耐圧容
器に入れ、水素、10MPa、25℃、1日の条件で水
素ガス試験を施し、その後取り出した。取り出した磁石
は、外観を目視で観察し、更にVSMにより磁気特性の
測定を行った。
【0029】[実施例2]実施例1と同様な組成、方法
で焼結磁石を作製した。次に、得られた焼結磁石から実
施例1と同様に5×5×5mmに磁石を切り出した。前
記磁石に対し、実施例1と同様な条件で電解Cuメッキ
(5μm)、電解Niメッキ(5μm)、電解Niメッ
キ(10μm)を順次施し、その後、250℃、3時
間、真空中(酸素分圧10-2Pa)の熱処理を施し、室
温まで徐冷し、更にエポキシ系樹脂を吹き付けにより塗
装し、水素ガス試験用試料を得、VSMにより磁気特性
の測定を行った。前記水素ガス試験用試料に対し、実施
例1と同様な条件で水素ガス試験を施し、その後取り出
した。取り出した磁石は、外観を目視で観察し、更にV
SMにより磁気特性の測定を行った。
【0030】[比較例1]実施例1と同様な組成、方法
で焼結磁石を作製した。次に、得られた焼結磁石から実
施例1と同様に5×5×5mmに磁石を切り出し、更に
エポキシ系樹脂を吹き付けにより塗装し、水素ガス試験
用試料を得、VSMにより磁気特性の測定を行った。前
記水素ガス試験用試料に対し、実施例1と同様な条件で
水素ガス試験を施し、その後取り出した。取り出した磁
石は、外観を目視で観察した。
【0031】[比較例2]実施例1と同様な組成、方法
で焼結磁石を作製した。次に、得られた焼結磁石から実
施例1と同様に5×5×5mmに磁石を切り出した。前
記磁石に対し、実施例1と同様な条件で、電解Cuメッ
キ(5μm)、電解Niメッキ(5μm)、電解Niメ
ッキ(10μm)を順次施し、更にエポキシ系樹脂を吹
き付けにより塗装し、水素ガス試験用試料を得、VSM
により磁気特性の測定を行った。前記水素ガス試験用試
料に対し、実施例1と同様な条件で水素ガス試験を施
し、その後取り出した。取り出した磁石は、外観を目視
で観察した。
【0032】[比較例3,4]実施例1と同様な組成、
方法で焼結磁石を作製した。次に、得られた焼結磁石か
ら実施例1と同様に5×5×5mmに磁石を切り出し
た。前記磁石に対し、実施例1と同様な条件で電解Cu
メッキ(5μm)、電解Niメッキ(5μm)、電解N
iメッキ(10μm)を順次施し、その後、50℃、1
2時間、空気中(酸素分圧20kPa)[比較例3]、
及び、800℃、12時間、空気中(酸素分圧20kP
a)[比較例4]の熱処理を施し、室温まで徐冷し、更
にエポキシ系樹脂を吹き付けにより塗装し、水素ガス試
験用試料を得、VSMにより磁気特性の測定を行った。
前記水素ガス試験用試料に対し、実施例1と同様な条件
で水素ガス試験を施し、その後取り出した。取り出した
磁石は、外観を目視で観察し、更にVSMにより磁気特
性の測定を行った。
【0033】
【表1】
【0034】表1に、熱処理条件、水素ガス試験条件、
水素ガス試験後の外観を示した。実施例1,2及び比較
例4は、水素ガス試験において変化がなかったことに対
し、比較例1,2及び3は、粉々に粉砕されていた。こ
のことから、実施例1,2及び比較例4は、水素脆性を
引き起こさなかったことは明らかである。
【0035】
【表2】
【0036】表2に、表面処理前及び水素ガス試験前後
の磁石の磁気特性を示した。表面処理前及び水素ガス試
験前後で、実施例1,2は、ほとんど磁気特性の変化は
なかったことに対し、比較例4は、表面処理前と水素ガ
ス試験前で大きく磁気特性が変化していることが分か
る。このことは、実施例1,2において、表面処理によ
る磁気特性の劣化及び水素脆性がなかったことと、比較
例4が表面処理において磁気特性の劣化を招いてしまっ
たことを示している。比較例1,2及び3は、水素処理
により粉砕されてしまったため、水素処理後の磁気特性
は、測定不能であった。
【0037】以上、表1,2は、比較例1〜4では、表
面処理により磁気特性が明らかに劣化した又は耐水素性
の向上が見られなかったのに対し、実施例1,2では、
表面処理により磁気特性が劣化することなく、耐水素性
が向上したことを示している。
【0038】
【発明の効果】本発明のR2Fe14B系焼結磁石の製造
方法により、水素雰囲気中においても、水素脆性を引き
起こさない、モーター等に使用できる希土類焼結磁石を
得ることが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 1/08 C22C 38/00 303D // C22C 38/00 303 H01F 1/04 H (72)発明者 浜田 隆二 福井県武生市北府2−1−5 信越化学工 業株式会社磁性材料研究所内 (72)発明者 美濃輪 武久 福井県武生市北府2−1−5 信越化学工 業株式会社磁性材料研究所内 Fターム(参考) 4K018 AA27 CA04 FA08 FA23 KA45 5E040 AA04 BD01 CA01 HB11 NN01 NN18 5E062 CD04 CE01 CG02 CG03 CG07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 R(Rは、Nd、Pr、Dy、Tb及び
    Hoから選択される1種又は2種以上の希土類元素)を
    20〜35重量%、Coを15重量%以下、Bを0.2
    〜8重量%、添加物としてNi、Nb、Al、Ti、Z
    r、Cr、V、Mn、Mo、Si、Sn、Ga、Cu及
    びZnから選ばれる少なくとも1種の元素を8重量%以
    下、残部Fe及び不可避的不純物からなる合金を溶解、
    鋳造し、粉砕、微粉砕、磁場中成形、焼結、熱処理を順
    次行って焼結磁石とし、更に該焼結磁石を切断及び/又
    は研磨して表面を加工後、金属メッキを施し、その後、
    80〜700℃で10分〜50時間熱処理することを特
    徴とする希土類焼結磁石の製造方法。
  2. 【請求項2】 金属メッキの金属が、Cu、Ni、C
    o、Sn及びそれらの合金の少なくとも1種であること
    を特徴とする請求項1記載の希土類焼結磁石の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 金属メッキ後の熱処理が、酸素分圧が1
    -4Pa〜50kPaである、アルゴン、窒素、空気又
    は低圧真空雰囲気下において行われることを特徴とする
    請求項1又は2記載の希土類焼結磁石の製造方法。
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