JPH0728027Y2 - 自動車のドレンパイプ取付け構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は自動車のドレンパイプ取付け構造に係り、特
に、ルーフに開口部を有する自動車の排水用のドレンパ
イプ取付け構造に関する。

［従来の技術］ 一般的に、所謂サンルーフやＴバールーフなどルーフに
開口部を有する自動車は、ハツチ等によって開口部を閉
鎖状態とした場合に、この開口部を介して車室内に水が
侵入しないようにウエザストリツプ等によってシールを
施している。

しかしながら、このウエザストリツプ等によるシールは
完全では無いため、それでもなおシール部から進入する
水は、ルーフ開口部に配設されたドレンホースによって
車外へ排出するようになっている。

このドレンホースは、その一端部が、ルーフ開口部回り
のルーフフレーム（ルーフパネル）に固着されたパイプ
に接続され、さらに、その中間部がピラー内部に挿通さ
れた後に、車体下部のサイドシルやカウルサイド等の排
水部まで延長されている。

この場合、ピラー内部に挿通されるドレンホースは、組
付作業性の向上や狭窄化されたピラーにも適用可能とす
る必要があり、このため、ピラー内部にドレンホースを
固着した構成のドレンホース配設構造が提案されてい
る。（実開昭60-160227号公報）。

このドレンホース配設構造では、ドレンホースのピラー
内部に配設される部分を剛体管（パイプ）により形成
し、この剛体管を予めピラー内部に組み込んでその内面
に固着しておく構成となっている。したがって、組付け
の都度ドレンホースをピラー内部に挿通させる必要が無
いため、組付時の作業効率を大幅に向上させることがで
きる。また、狭窄化されたピラーにも適用することがで
き、さらに、ピラーの剛性を強化する補強材としての効
果もあるという利点がある。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、このような従来のドレンホース配設構造
では、ドレンホースの中間部はピラー内部に確実に配置
されてその剛性も向上するものの、ルーフ開口部周りへ
の接続部においては、単にドレンホースの端部を、ルー
フフレーム（ルーフパネル）に固着されたパイプに接続
する構成であったため、この固着部の剛性が不十分であ
った。

すなわち、第５図に断面にて示す如く、ドレンホースの
端部を、ルーフパネル42の凸部42Aに固着されたドレン
パイプ40に接続するため、このドレンパイプ40とサイド
メンバ44との干渉を避ける必要がある。このため、サイ
ドメンバ44と補強パネル46と、あるいはサイドメンバ44
とルーフパネル42とで閉断面構造が形成できなくなり、
ドレンパイプ40接続部の剛性を充分に確保することが容
易でなかった。

この場合、サイドメンバ44との干渉を避けるため、ルー
フパネル42の凸部42Aや補強パネル46の凸部46A以外の部
分（第５図Ｐ部分）にドレンパイプ40を下向きに接続す
る構造もあるが、この場合には、車室内のヘツドクリア
ランスが少なくなってしまう。

本考案は上記事実を考慮し、ルーフに開口部を有する自
動車において、車室内のスペースを損なうことなく、ド
レンパイプ接続部の剛性を充分に確保することができる
ドレンパイプ取付け構造を得ることが目的である。

［課題を解決するための手段］ 本考案に係る自動車のドレンパイプ取付け構造は、ルー
フに開口部を有する自動車のドレンパイプ取付け構造で
あって、前記開口部が形成されたルーフパネルと、この
ルーフパネルの車室内側で前記開口部の周縁まで延長さ
れたサイドメンバと、このサイドメンバの車室内側に配
置された補強パネルとを有し、前記開口部近傍のルーフ
パネル端部を上向き凸状に形成し、前記サイドメンバの
端部をルーフパネルの上向き凸部に対応して上向き凸状
に形成すると共にこれらの凸部が対向するようにルーフ
パネルとサイドメンバとを固着して第１の閉断面を形成
し、前記補強パネルの端部をサイドメンバの上向き凸部
に対向して下向き凸状に形成すると共にこれらの凸部が
対向するようにサイドメンバと補強パネルとを固着して
第２の閉断面を形成し、ドレンパイプの先端部に前記ル
ーフパネルに対応するフランジを設け、かつ、前記第１
および第２の閉断面部に対応するルーフパネルおよびサ
イドメンバに貫通孔を穿設し、この貫通孔にドレンパイ
プを貫通させて前記フランジをルーフパネルの外側面に
固定した、ことを特徴としている。

［作用］ 上記構成の自動車のドレンパイプ取付け構造では、上向
き凸部が形成されたルーフパネルと、このルーフパネル
の上向き凸部に対応する上向き凸部が形成されたサイド
メンバと、このサイドメンバの上向き凸部に対向して下
向き凸部が形成された補強パネルと、が互いに固着さ
れ、各凸部によって第１および第２の閉断面が形成され
る。さらに、この第１および第２の閉断面部に対応する
ルーフパネルおよびサイドメンバに貫通孔が穿設され、
この貫通孔にドレンパイプが挿通されてフランジがルー
フパネルの外側面にに固定される。

したがって、サイドメンバや補強パネルがドレンパイプ
と干渉することなく大きな閉断面が形成され、ドレンパ
イプ接続部の剛性を充分に確保することができる。さら
に、補強パネルとサイドメンバとルーフパネルとを接合
した後にドレンパイプを組付けることができる。

［実施例］ 第２図には本考案の実施例に係るドレンパイプ取付け構
造が適用された自動車の概略部分斜視図が示されてお
り、第１図にはこのドレンパイプ取付け構造（すなわ
ち、第２図Ａ部）の概略斜視図が示されている。また、
第３図には第１図III-III線に沿った断面図が示されて
おり、第４図には第１図IV-IV線に沿った断面図が示さ
れている。

この場合、自動車の車体はルーフパネル12に開口（第３
図および第４図紙面右側方向）を有する形式となってい
る。ルーフパネル12の車体開口部の周縁には、ウエザス
トリツプ14が取付けられており、図示しないハツチ等に
よって開口部を閉鎖状態とした場合にこの開口部を介し
て車室内に水が進入しないようになっている。

ウエザストリツプ14側方のルーフパネル12には、上向き
に凸部12Aが形成されている。また、ルーフパネル12の
下側には、凸部12Aの内面に対応して上向きに凸部16Aが
形成されたサイドメンバ16が固着されており、この凸部
16Aと凸部12Aとによって閉断面を形成している。

さらに、サイドメンバ16の下側には、凸部12Aおよび凸
部16Aの内面に対向して下向きに凸部18Aが形成された補
強パネル18が固着されており、この凸部18Aと凸部16Aと
によって閉断面を形成している。

ルーフパネル12の凸部12Aの開口部側の側壁には、透孔2
0が穿設されている。また、サイドメンバ16の凸部16Aの
開口部側の側壁には、透孔20に対向する位置に透孔22が
穿設されている。これらの透孔20、22には、ドレンパイ
プ23が挿通されるようになっている。

第１図に詳細に示す如く、ドレンパイプ23はホース24と
このホース24の先端に固着されたフランジ26によって構
成されている。

フランジ26は、合成樹脂によって矩形状に形成されてお
り、中央部には水抜き孔28が形成されている。また、フ
ランジ26の長手方向両端部にはそれぞれ透孔30が形成さ
れており、ルーフパネル12の凸部12Aに固着されたウエ
ルドナツト32に対応してボルト34の挿通用となってい
る。

フランジ26の水抜き孔28にはパイプ36が固着されてお
り、このパイプ36にホース24の先端が嵌入されて接続さ
れている。また、フランジ26のパイプ36およびホース24
側の面には、ゴム製のパツキン38が接着されている。

すなわち、パイプ36に接続されてフランジ26と一体とな
ったホース24が、ルーフパネル12の凸部12Aおよびサイ
ドメンバ16の凸部16Aに穿設された透孔20、22内に挿通
された後に、ウエルドナツト32に螺合するボルト34によ
ってフランジ26がルーフパネル12の凸部12Aに固定され
る構成となっている。

透孔20、22内に挿通されたホース24は、サイドメンバ16
と補強パネル18とによって形成される閉断面部内に収容
されるようになっている。

次に本実施例の作用について説明する。

上記構成の自動車のドレンパイプ取付け構造では、ルー
フパネル12の凸部12Aと、この凸部12Aの内面に対向して
上向き凸状に形成されたサイドメンバ16の凸部16Aと、
このサイドメンバ16の下方に配置され下向き凸状に形成
された補強パネル18の凸部18Aとが互いに固着されて閉
断面を形成する。また、ドレンパイプ23は、ホース24と
一体となったフランジ26のパイプ36が閉断面部に対応す
る凸部12Aおよび凸部16Aに穿設された透孔20、22内に挿
通されてフランジ26が固定され、さらに、透孔20、22内
に挿通されたホース24は、サイドメンバ16と補強パネル
18とによって形成される閉断面部内に収容される。

したがって、サイドメンバ16や補強パネル18がドレンパ
イプ23（ホース24やフランジ26のパイプ36）と干渉する
ことなく大きな閉断面部が形成され、ドレンパイプ接続
部、すなわち、ホース24と一体となったフレーム26の固
定部の剛性を充分に確保することができる。

またこの場合、サイドメンバ16との干渉を避けるため、
ルーフパネル12の凸部12Aや補強パネル18の凸部18A以外
の部分（第３図Ｑ部分）にホース24やフランジ26を下向
きに接続する必要がなく、したがって車室内のヘツドク
リアランスが少なくなることも無い。

［考案の効果］ 以上説明した如く本考案に係る自動車のドレンパイプ取
付け構造は、ルーフに開口部を有する自動車において、
車室内のスペースを損なうことなく、ドレンパイプ接続
部の剛性を充分に確保することができるという効果を有
する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係るドレンパイプ取付け構造
の概略斜視図、第２図はドレンパイプ取付け構造が適用
された自動車の概略部分斜視図、第３図は第１図III-II
I線に沿った断面図、第４図は第１図IV-IV線に沿った断
面図、第５図は従来のドレンパイプ取付け構造の概略断
面図である。 12……ルーフパネル、12A……凸部、16……サイドメン
バ、16A……凸部、18……補強パネル、18A……凸部、20
……透孔、22……透孔、23……ドレンパイプ、24……ホ
ース、26……フランジ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 吉川 和宏 神奈川県相模原市大山町４番12号 セント ラル自動車株式会社内 (56)参考文献 実開 昭61−165821（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ルーフに開口部を有する自動車のドレンパ
   イプ取付け構造であって、 前記開口部が形成されたルーフパネルと、このルーフパ
   ネルの車室内側で前記開口部の周縁まで延長されたサイ
   ドメンバと、このサイドメンバの車室内側に配置された
   補強パネルとを有し、 前記開口部近傍のルーフパネル端部を上向き凸状に形成
   し、前記サイドメンバの端部をルーフパネルの上向き凸
   部に対応して上向き凸状に形成すると共にこれらの凸部
   が対向するルーフパネルとサイドメンバとを固着して第
   １の閉断面を形成し、前記補強パネルの端部をサイドメ
   ンバの上向き凸状に対向して下向き凸状に形成すると共
   にこれらの凸部が対向するようにサイドメンバと補強パ
   ネルとを固着して第２の閉断面を形成し、 ドレンパイプの先端部に前記ルーフパネルに対応するフ
   ランジを設け、 かつ、前記第１および第２の閉断面部に対応するルーフ
   パネルおよびサイドメンバに貫通孔を穿設し、この貫通
   孔にドレンパイプを貫通させて前記フランジをルーフパ
   ネルの外側面に固定した、 ことを特徴とする自動車のドレンパイプ取付け構造。