JPH0727960U - インシュレータダッシュにおける貫通孔のシール構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ハーネス等の貫通部材を貫通させるためにイ
ンシュレータダッシュに設ける貫通孔周囲のシール性を
向上させるとともに、貫通部材の組付け作業性を向上さ
せることを目的とする。 【構成】 ハーネス３０に挿通するアウターグロメット
４０によりダッシュパネル１０の貫通孔１１を嵌着シー
ルするとともに、インナーグロメット５０のスペーサ部
５２によりインシュレータダッシュ２０の貫通孔２３を
充填するとともに、スカート状のフランジ部５３により
インシュレータダッシュ２０の貫通孔２３周縁を気密に
押圧支持することにより、アウターグロメット４０とイ
ンナーグロメット５０とによる良好な２重シール構造を
達成するとともに、ハーネス３０の組付け作業性を向上
させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、ダッシュパネルに設置される自動車用インシュレータダッシュに 関するもので、特に、ハーネス等の貫通部材をインシュレータダッシュに貫通さ せるために開設した貫通孔周囲の遮音性を向上させるとともに、貫通部材の組付 け作業性を向上させたインシュレータダッシュにおける貫通孔のシール構造に関 する。

【０００２】

【従来の技術】

周知のように、車室内の静粛性を保つために、自動車室内には各種インシュレ ータが設定されている。

【０００３】 例えば、図７に示すように、自動車用インシュレータダッシュ１は、エンジン ルームＥからのエンジンの振動や騒音を車室Ｒ内に伝播させないように、フロン トシート前方のダッシュパネル２の室内側に添設固定されている。

【０００４】 また、エンジンルームＥと車室Ｒとの間には、図８に示すように、ハーネス類 やパイプ類等の貫通部材を貫通させるために、インシュレータダッシュ１並びに ダッシュパネル２には、貫通孔１ａ，２ａがそれぞれ開設されている。

【０００５】 ここでは、貫通部材としてハーネス３を例にとって説明する。

【０００６】 まず、図９に示すように、ハーネス３の挿入端部にはコネクタ４が取付けられ ており、ハーネス３に予めグロメット５が挿通されている。

【０００７】 一方、ハーネス３やコネクタ４を挿通させるために、ダッシュパネル２の貫通 孔２ａは、コネクタ４の外径よりも大きく設定されているとともに、図１０に示 すように、インシュレータダッシュ１には図示するように、貫通孔１ａと連通す るスリット１ｂが開設されており、図１１に示すように、スリット１ｂに沿って 、インシュレータダッシュ１をめくり上げて、コネクタ４並びにハーネス３を挿 入するとともに、ダッシュパネル２の貫通孔２ａにグロメット５を嵌着し、その 後、ハーネス３の外周にインシュレータダッシュ１の貫通孔１ａが位置するよう にインシュレータダッシュ１を元位置に戻すことにより、ハーネス３を取付ける ようにしている。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

このように、従来、ハーネス３の組付け作業としては、インシュレータダッシ ュ１の貫通孔１ａ回りのスリット１ｂを基にインシュレータダッシュ１をめくり 上げて、コネクタ４を通したのち、インシュレータダッシュ１の貫通孔１ａ内に ハーネス３が嵌まるように、インシュレータダッシュのめくり上げ部分を元位置 に戻すため、ハーネス３の組付け作業が非常に面倒であり、生産性の著しい低下 を招くという不具合が指摘されている。

【０００９】 さらに、ダッシュパネル２の貫通孔２ａに嵌着されるグロメット５による１重 シール構造であるため、インシュレータダッシュ１における貫通孔１ａやスリッ ト１ｂの隙間を通じて、室内側に音漏れが発生しやすく、遮音性能の低下を招く という欠点も同時に指摘されている。

【００１０】 この考案は、このような事情に鑑みてなされたもので、ハーネス類等の貫通部 材を貫通させるための貫通孔を設けたインシュレータダッシュにおいて、貫通部 材の組付け作業性を向上させるとともに、貫通孔周辺の音漏れをなくし、遮音性 能を高めたインシュレータダッシュにおける貫通孔のシール構造を提供すること を目的としている。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、エンジンルームと車室とを区画するダ ッシュパネルの室内側に設置されるインシュレータダッシュに、ハーネス等の貫 通部材を貫通させる貫通孔が開設されたインシュレータダッシュにおける貫通孔 のシール構造において、前記貫通部材にダッシュパネルの貫通孔に嵌着するアウ ターグロメットと、インシュレータダッシュの貫通孔に嵌着するインナーグロメ ットとが挿通されているとともに、上記インナーグロメットは、貫通部材の外周 面に気密に嵌着される取付部と、インシュレータダッシュの貫通孔内に嵌合する 円筒状のスペーサ部と、インシュレータダッシュの内面を押圧するスカート状の フランジ部とを備えていることを特徴とする。

【００１２】

【作用】

以上の構成から明らかなように、アウターグロメットとインナーグロメットと を予め挿通させた貫通部材をダッシュパネルの貫通孔ならびにインシュレータダ ッシュの貫通孔に挿通させて、ダッシュパネルの貫通孔にアウターグロメットを 、インシュレータダッシュの貫通孔内にインナーグロメットを嵌着すればよいた め、従来のように、インシュレータダッシュをめくり上げる等の面倒な取付作業 が廃止できる。

【００１３】 さらに、アウターグロメットとインナーグロメットとの２重シール構造が達成 できる。

【００１４】

【実施例】

以下、本考案によるインシュレータダッシュにおける貫通孔のシール構造の実 施例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。

【００１５】 図１ないし図４は本考案の第１実施例を示すもので、図１は貫通部材の組付け 作業後の状態を示す断面図、図２は本考案に使用するインナーグロメットを示す 斜視図、図３は同インナーグロメットの断面図、図４は本考案を適用して貫通部 材を挿通する作業を説明する断面図、図５は本考案に使用するグロメットの変形 例を示す断面図、図６は同グロメットを使用したシール構造を示す断面図である 。

【００１６】 図１において、エンジンルームＥと車室Ｒとを区画するダッシュパネル１０に は、貫通孔１１が開設されているとともに、このダッシュパネル１０の室内側に 、インシュレータダッシュ２０が添設設置されている。

【００１７】 上記インシュレータダッシュ２０は、ＰＶＣシート，ゴムシート等比較的面密 度の高い遮音材２１の裏面にフェルト，ポリウレタンフォーム等の多孔質基材か らなる吸音材２２を一体貼着して構成されており、ハーネス３０を挿通させるた めの貫通孔２３が開設されている。

【００１８】 そして、ハーネス３０は、通常、エンジンルームＥ側からダッシュパネル１０ ならびにインシュレータダッシュ２０の各貫通孔１１，２３を挿通させて、車室 Ｒ側に差し込まれるが、本考案の特徴は、各貫通孔１１，２３にそれぞれアウタ ーグロメット４０、インナーグロメット５０を配置して、２重シール構造を達成 し、遮音性能の大幅な向上を図るとともに、ハーネス３０の組付け作業を円滑に 進めることができるように、インナーグロメット５０の形状に工夫を加えた点に ある。

【００１９】 なお、本考案では、２つのグロメット４０，５０を使用することが特徴である が、説明の便宜上、ダッシュパネル１０の貫通孔１１に嵌着するグロメットをア ウターグロメット４０、インシュレータダッシュ２０の貫通孔２３に嵌着するグ ロメットをインナーグロメット５０と命名する。

【００２０】 すなわち、インナーグロメット５０は、図２，図３に示すように、ハーネス３ ０に嵌め込み保持される取付部５１と、この取付部５１と連接して、インシュレ ータダッシュ２０の貫通孔２３内に嵌まり込むスペーサ部５２と、さらにその外 周にスカート状に周設されたフランジ部５３とから構成され、ゴムや軟質樹脂等 の弾性材料のブロー成形あるいは加硫成形等により、図示する形状に成形する。 なお、取付部５１の先端には引き出し用舌片５４が設けられている。

【００２１】 次に、図４に基づいて、本考案によるインナーグロメット５０を使用して、ハ ーネス３０の貫通作業について説明すると、まず、ハーネス３０の外周にインナ ーグロメット５０ならびにアウターグロメット４０を挿通させる。

【００２２】 その後、ハーネス３０をエンジンルームＥ側からダッシュパネル１０の貫通孔 １１，インシュレータダッシュ２０の貫通孔２３内に挿通させて、ハーネス３０ の先端（先端にはコネクタが設置されている）を車室Ｒ内に導入する。

【００２３】 このとき、貫通孔１１，２３の径ｄ ₁に対して、インナーグロメット５０にお けるスペーサ部５２の外径ｄ ₂がやや小さく設定され、また、スカート状のフラ ンジ部５３の外径ｄ ₃は、貫通孔１１，２３の径ｄ₁ よりも大きく設定されてい る。

【００２４】 したがって、アウターグロメット４０，インナーグロメット５０を挿通させた ハーネス３０を貫通孔１１，２３に挿通させた場合、インナーグロメット５０の スペーサ部５２がダッシュパネル１０の貫通孔１１を通過し、その後、フランジ 部５３は弾性変形して、ダッシュパネル１０の貫通孔１１を通り抜けるが、イン シュレータダッシュ２０の貫通孔２３周縁において、インシュレータダッシュ２ ０の内面にフランジ部５３が気密に押圧する構成となり、このとき貫通孔２３に スペーサ部５２が嵌まり込む形となり、図１に示す取付構造が達成される。

【００２５】 したがって、ハーネス３０の取付作業において、従来のように、貫通孔周囲の インシュレータダッシュをめくり上げて、ハーネスを挿通させたのち再度インシ ュレータダッシュを元に戻すという面倒な作業が廃止でき、インナーグロメット ５０をインシュレータダッシュ２０の貫通孔２３内に内面側から嵌着するだけの 簡単な作業で済むため、ハーネス３０の組付け作業性が著しく向上するという利 点がある。

【００２６】 また、図１に示すように、ダッシュパネル１０の貫通孔１１はアウターグロメ ット４０によりシールされ、インシュレータダッシュ２０の貫通孔２３はインナ ーグロメット５０によりシールされる２重構造が達成されるため、遮音性能を著 しく向上できるという利点もある。

【００２７】 なお、本実施例ではハーネス３０の貫通作業について説明したが、ハーネス３ ０に代えて、パイプ類等の貫通作業にも同様に適用できる。

【００２８】 次いで、図５，図６は本考案によるシール構造の別実施例を示すもので、図５ に示すように、アウターグロメット４０とインナーグロメット５０とを一体化し た一体グロメット６０であり、ダッシュパネル１０の貫通孔１１に嵌着する嵌着 部６１と、インシュレータダッシュ２０の貫通孔２３周辺の内面側を押圧するフ ランジ部６２を備えており、一体グロメット６０の利点は、廉価に成形できると ともに、一体グロメット６０の寸法を調整すれば、嵌着部６１をダッシュパネル １０の貫通孔１１に嵌着するだけで、インシュレータダッシュ２０の貫通孔２３ 内に一体グロメット６０を嵌着することができ、上述実施例の引き出し用舌片５ ４が廃止できるという利点がある。

【００２９】

【考案の効果】

以上説明した通り、本考案によれば、以下に記載する格別の作用効果を有する 。

【００３０】 （１）本考案によるシール構造によれば、予めアウターグロメットとインナーグ ロメットとを貫通部材に挿通させておき、ダッシュパネルおよびインシュレータ ダッシュの各貫通孔内にハーネスを挿通させるだけで、各貫通孔内にアウターグ ロメットおよびインナーグロメットを嵌着でき、従来のように、インシュレータ ダッシュをめくり上げ貫通部材を挿通させたのち、インシュレータダッシュを元 位置に戻すという面倒な作業が廃止でき、貫通部材の取付作業性を著しく向上さ せることができるという効果を有する。

【００３１】 （２）本考案によれば、ダッシュパネルの貫通孔をアウターグロメットによりシ ールするとともに、インナーグロメットにおけるスペーサ部でインシュレータダ ッシュの貫通孔を埋めるとともに、スペーサ部外周に設置されたフランジ部によ りインシュレータダッシュ内面を押圧シールするという構成であるため、アウタ ーグロメットとインナーグロメットとによる良好な２重シール構造が達成でき、 遮音性能を大幅に向上させることができ、車室内の静粛性を高めることができる という効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるシール構造の一実施例を示す断面
図。

【図２】本考案に使用するインナーグロメットを示す斜
視図。

【図３】本考案に使用するインナーグロメットの断面
図。

【図４】本考案によるシール構造を適用する貫通部材の
貫通作業を説明する断面図。

【図５】本考案に使用する一体グロメットの構成を示す
断面図。

【図６】図５に示す一体グロメットを使用したシール構
造を示す断面図。

【図７】インシュレータダッシュの設置箇所を示す断面
図。

【図８】従来のインシュレータダッシュにおける貫通孔
の周囲のシール構造を示す断面図。

【図９】ハーネスの一般図。

【図１０】ハーネスを挿通させるためにインシュレータ
ダッシュに設けられた貫通孔周辺を示す説明図。

【図１１】従来のハーネスの組付け作業を説明する断面
図。

【符号の説明】

１０ ダッシュパネル １１ 貫通孔 ２０ インシュレータダッシュ ２３ 貫通孔 ３０ ハーネス ４０ アウターグロメット ５０ インナーグロメット ５１ 取付部 ５２ スペーサ部 ５３ フランジ部 ５４ 引張り用舌片 ６０ 一体グロメット ６１ 嵌着部 ６２ フランジ部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジンルーム（Ｅ）と車室（Ｒ）とを
   区画するダッシュパネル（１０）の室内側に設置される
   インシュレータダッシュ（２０）に、ハーネス等の貫通
   部材（３０）を貫通させる貫通孔（２３）が開設された
   インシュレータダッシュにおける貫通孔のシール構造に
   おいて、 前記貫通部材（３０）にダッシュパネル（１０）の貫通
   孔（１１）に嵌着するアウターグロメット（４０）と、
   インシュレータダッシュ（２０）の貫通孔（２３）に嵌
   着するインナーグロメット（５０）とが挿通されるとと
   もに、上記インナーグロメット（３０）は、貫通部材
   （３０）の外周面に気密に嵌着される取付部（５１）
   と、インシュレータダッシュ（２０）の貫通孔（２３）
   内に嵌合する円筒状のスペーサ部（５２）と、インシュ
   レータダッシュ（２０）の内面を押圧するスカート状の
   フランジ部（５３）とを備えていることを特徴とするイ
   ンシュレータダッシュにおける貫通孔のシール構造。