JPH07278585A - エイコサペンタエン酸又はそのエステルの精製方法 - Google Patents

エイコサペンタエン酸又はそのエステルの精製方法

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JPH07278585A
JPH07278585A JP6090726A JP9072694A JPH07278585A JP H07278585 A JPH07278585 A JP H07278585A JP 6090726 A JP6090726 A JP 6090726A JP 9072694 A JP9072694 A JP 9072694A JP H07278585 A JPH07278585 A JP H07278585A
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勝利 穂苅
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紀一 今野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、尿素及び溶媒の回収が簡便
な、エイコサペンタエン酸(EPA)の尿素付加物法に
よる精製方法の改良法を提供することである。 【構成】本発明は、1)EPAを含有する脂肪酸混合物
を、尿素及び70〜95重量%の低級アルコール及び3
0〜5重量%の水からなる溶媒と混合する工程、2)工
程1)の混合液を加熱し尿素を溶解後、冷却し尿素結晶
を析出させ、次いで無極性溶媒を添加し、尿素結晶を濾
過する工程、3)工程2)の濾液をアルコール水溶液層
と無極性溶媒層に分離する工程、4)工程3)のアルコ
ール水溶液層と工程2)の尿素結晶を混合後、加熱溶解
し、脂肪酸混合物層と、尿素含有アルコール水溶液層と
に分離し、尿素含有アルコール水溶液を回収する工程、
5)工程3)の無極性溶媒層から無極性溶媒を回収し、
EPAを分離する工程、よりなる、EPAの精製方法で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエイコサペンタエン酸又
はそのエステルの尿素付化物法による精製方法の改良に
関するものであり、更に詳しくは、該方法で用いる尿素
及び溶媒を簡便に回収でき、工業的規模において低コス
トで、そして有機溶媒による環境汚染を低減することが
できる、エイコサペンタエン酸又はそのエステルの精製
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エイコサペンタエン酸及びそのエステ
ル、アミド等には血液中のコレステロ−ル値の低減、血
栓の形成抑制効果等が見い出だされており、心筋梗塞、
脳梗塞等の治療及び予防に有効であることがすでに知ら
れている。それ故、医薬品や健康食品への利用が現在盛
んに行われている。またエイコサペンタエン酸は、各種
魚の養殖において魚の成長に重要な役割を果たしてお
り、養殖に用いる飼料(ワムシ等)の培養液に添加され
ている。
【0003】エイコサペンタエン酸は、天然油脂、特に
イワシ、サバ、タラ等の水産生物油脂中に、それ自体あ
るいはその誘導体として含有されている。しかしなが
ら、水産生物の原油中には他の夾雑脂肪酸が圧倒的に多
く、医薬品や健康食品、或いは養殖用飼料の培養添加物
として利用するためには抽出・精製しなければならな
い。
【0004】従来、海産生物の油脂から高度不飽和脂肪
酸を分離・精製する一般的方法としては、尿素付加物
法、真空蒸留法、銀イオン・クロマトグラフィ−
法、薄層クロマトグラフィ−法、ガスクロマトグラ
フィ−法、及びこれらの方法を組み合わせた方法(特
開昭57−187397号公報、特開昭58−8037
号公報等)が知られていた。
【0005】これらの中では、尿素付加物法が最も簡便
であり、また安価であった。尿素付化物法は、不飽和結
合が少ない脂肪酸エステルほど尿素との付加物結晶(あ
るいは包摂結晶)を作りやすく、不飽和結合の多い高度
不飽和脂肪酸エステル類は尿素との付加物体を作りにく
い性質を利用するものである。典型的には、試料を、尿
素を溶解したメタノ−ル溶液と混合・撹拌し、生成した
付加物結晶を濾過・洗浄するという簡便なものである。
しかし、海産生物の油脂中には大量の飽和又は低不飽和
脂肪酸エステルが含まれているので、それらに比べ非常
に含量の少ないエイコサペンタエン酸又はそのエステル
を分離精製するためには、大量の尿素及びメタノ−ルが
必要となる。例えば、イワシ原油100Kgに対し尿素
は200〜300Kg、メタノ−ルは600〜700リ
ットル程度が必要となる。更に、今まで用いられている
尿素付加物法による精製方法は、最終精製品中のエイコ
サペンタエン酸の純度がそれ程良くなくその改良が望ま
れていた。
【0006】これらの欠点を改良する方法が、先に引用
した特開昭58−8037号公報に記載されている。こ
の方法は、尿素付加物法による尿素及びアルコ−ルの大
量消費を解消し、併せて最終製品中のエイコサペンタエ
ン酸の純度を上げるべく、1)脂肪酸混合物を連続式蒸
留し主留を採取することにより、エイコサペンタエン酸
又はそのエステルを部分精製し、次いで2)尿素付加物
法により精製を行うものである。しかしながらこの方法
では、第一段階として連続蒸留を行うため操作が繁雑で
あり、また設備も大きく複雑となる。更に蒸留操作によ
るエイコサペンタエン酸の回収率も良くない(25〜5
0%)。次いで行う尿素付加物法は従来の方法と同様で
ある。即ち、尿素をアルコ−ル溶液に溶解し、これに脂
肪酸混合物を加え撹拌する。次いで、尿素処理液を冷却
し、尿素結晶を析出させ、低不飽和脂肪酸が付加した尿
素結晶を濾別する。この操作によりほとんどの尿素は除
かれる。濾液は濃縮して大部分の溶媒を留去する。この
操作により、大部分のアルコ−ルは除かれる。ついで、
水及びヘキサンを加え、残存する尿素を水層に、不飽和
度の高い脂肪酸を溶媒層に移行させそれぞれの層を分離
する。最後に、溶媒層より溶媒を留去し、エイコサペン
タエン酸を回収する。
【0007】また、尿素付加物法による瀘別によって生
じる低不飽和脂肪酸付加結晶から尿素を、容易に、効率
よく回収する方法は今までに報告されていない。
【0008】このように、現在までのところ、尿素不加
物法において尿素及び溶媒を簡便な方法において効率よ
く回収する方法は開発されておらず、又、回収した尿素
及び溶媒を簡便に再利用する方法も開発されていなかっ
た。それ故、それらの方法の開発が望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点を解決し、簡便な方法により、尿素及び溶媒の回
収が可能なエイコサペンタエン酸又はそのエステルの尿
素付加物法による精製方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決し、簡便で安価な尿素不加物法を工業的に利用
すべく鋭意努力した結果、尿素及び溶媒の回収が簡便で
あり、またそれらの再利用が可能なエイコサペンタエン
酸又はそのエステルの精製方法を発明するに至った。
【0011】即ち、本発明は、 1)エイコサペンタエン酸又はそのエステルを含有する
脂肪酸混合物を、尿素、及び70〜95重量%の炭素数
4以下のアルコ−ル及び30〜5重量%の水と混合し、
混合液を調製する工程、 2)下記の工程(a)及び(b)、(a)工程1)より
得られた混合液を、加熱して尿素を溶解した後、冷却し
尿素結晶を析出させる工程、(b)工程(a)より得ら
れた混合液から尿素結晶を瀘別する工程、ここで、工程
(a)の前又は後の混合液にもしくは工程(b)の後の
瀘液に無極性溶媒を添加すること、 3)工程2)より得られた瀘液又は混合液をアルコ−ル
水溶液層と無極性溶媒層に分離する工程、 4)工程3)より得られたアルコ−ル水溶液層の少なく
とも一部と工程2)(b)より得られた尿素結晶を混合
した後、加熱して尿素結晶を溶解し、脂肪酸混合物層
と、尿素を含有したアルコ−ル水溶液層とに分離し、次
いで尿素含有アルコ−ル水溶液を回収する工程、そし
て、 5)工程4)より得られた無極性溶媒層から無極性溶媒
を回収し、エイコサペンタエン酸又はそのエステルを分
離する工程、 よりなるエイコサペンタエン酸又はそのエステルの精製
方法に関するものである。
【0012】また、本発明は、海産生物の油脂からのエ
イコサペンタエン酸又はそのエステルの精製方法に関す
るものである。
【0013】更に本発明は、上記の工程4)により回収
された尿素含有アルコ−ル水溶液、工程3)で得られか
つ工程4)で使用されなかった残部のアルコ−ル水溶液
及び工程6)により回収された無極性溶媒を再利用する
ことからなる上記のエイコサペンタエン酸又はそのエス
テルの精製方法に関するものである。
【0014】以下本発明を、詳細に説明する。エイコサ
ペンタエン酸を多く含む天然油脂としては、例えば、イ
ワシ、サバの油脂、タラの肝油、オキアミ等の水産物油
を挙げることができる。本発明においては、これらの天
然油脂を定法に従って処理して、トリグリセリドを遊離
脂肪酸又は脂肪酸エステル、好ましくはエチルエステル
(以下、両者を脂肪酸混合物とする)とする。本発明に
おいては、天然油脂の定法による処理に先立ち、天然油
脂を吸着処理しても良い。本吸着処理は、天然油脂の脱
色・脱臭のために行うものであり、吸着剤としては、活
性白土、ケイ酸、活性アルミナ、活性炭等を用いること
ができ、吸着方法は、バッチ方式でもカラム方式でも良
い。
【0015】本発明においては、まず脂肪酸混合物を尿
素により処理する。具体的には脂肪酸混合物に尿素及び
炭素数4以下のアルコ−ル及び水を加える。本発明でい
う炭素数4以下のアルコ−ルとは、例えばメタノ−ル、
エタノ−ル、プロパノ−ル、sec−ブタノ−ル、te
rt−ブタノ−ル等を挙げることができるが、特にメタ
ノ−ルが好ましい。尿素を、予めアルコ−ル及び水の混
合溶液に溶解して加えても良いし、結晶状態で加えても
良い。尿素は、脂肪酸混合物1重量部に対して、0.5
部以上、特に1部〜5部加えるのが好ましい。加える尿
素がこれ未満だと尿素に吸着されない脂肪酸エステル類
が多くなり、得られたエイコサペンタエン酸の純度が悪
くなる。尿素の量を上げると最終精製物中のエイコサペ
ンタエン酸の純度は上がるので、尿素の量はできる限り
高くするのが好ましい。しかし、上記上限より多くの尿
素を用いても格別の効果の向上はなく、不経済となる。
【0016】又、アルコ−ル及び水は、尿素濃度が10
〜40%、特に20〜30%となるような範囲の量を加
えるのが好ましい。アルコ−ル及び水の量が、この範囲
未満だと尿素の溶解が十分でなくなり、またこの範囲を
越えると尿素結晶の析出が十分でなくなるからである。
いずれにしろ、尿素、アルコ−ル及び水の割合は尿素の
溶解度が温度によって大きく変化し、更に尿素の脂肪酸
の包摂能力に影響するので適宜選択するのが望ましい
し、本発明の技術分野の当業者においてはその選択は容
易に行い得ることである。アルコ−ル及び水の割合は、
アルコ−ル70〜95重量%、水30〜5重量%、特に
アルコ−ル80〜95重量%、水20〜5重量%、更に
はアルコ−ル90〜95重量%、水10〜5重量%が好
ましい。水の割合が多すぎると冷却による尿素結晶の析
出が不十分となり、また尿素における飽和・低不飽和脂
肪酸の包摂能力が低下するからである。一方、水の割合
が少なすぎると、以下に述べる無極性溶媒による抽出の
際に、アルコ−ルが無極性溶媒側に移行してしまい好ま
しくないからである。
【0017】次いで、この尿素処理液を、加温しながら
撹拌し、尿素溶液を均一に混合する。その後、尿素溶液
を冷却し、尿素結晶を析出させる。このとき、脂肪酸混
合物中の飽和脂肪酸及び低不飽和脂肪酸は尿素に包摂さ
れる。冷却は、長時間かけてもまた短時間でも良いが、
好ましくは0.5〜4時間かけて冷却する。また、尿素
溶液の最終温度は、40℃以下、好ましくは10℃〜3
0℃が良い。
【0018】次いで、得られた尿素結晶含有混合液に、
無極性溶媒を加える。無極性溶媒としては、ヘキサン、
四塩化炭素、ヘプタン、石油エ−テル、ベンゼン、トル
エン等を挙げることができるが、特にn−ヘキサンが好
ましい。加える無極性溶媒の量は任意であるが、アルコ
−ル水溶液1重量部に対して、0.1部〜1.0部の範
囲が好ましい。無極性溶媒の添加により、エイコサペン
タエン酸を含む高度不飽和脂肪酸は無極性溶媒層へ移行
する。
【0019】次いで、尿素結晶を濾過し、飽和脂肪酸及
び低不飽和脂肪酸を包摂した尿素結晶(これをアダクト
と呼ぶ)と濾液に分離する。濾過は定法に従って行えば
よく、その方法は、普通濾過、減圧濾過、加圧濾過、遠
心濾過、フィルタ−プレス等いかなる方法でもよい。
【0020】前記無極性溶媒の添加は、尿素結晶の析出
後に混合液に添加しても良く、また濾過後に瀘液に添加
しても良く、更には脂肪酸混合物に直接添加しても或い
は脂肪酸混合物に尿素・メタノ−ル・水を加えた後に添
加しても良い。
【0021】但し、前記無極性溶媒を尿素結晶析出後か
つ瀘過前に添加すれば、尿素結晶に包摂されないが、結
晶に付着している高度不飽和脂肪酸を尿素結晶から分離
でき、エイコサペンタエン酸の損失を抑え、回収率を上
げることができる。よって、冷却し尿素の析出した溶液
に無極性溶媒を加え、混合した後、濾過するのが好まし
い。
【0022】得られた混合液又は瀘液を静置分別し、無
極性溶媒層とアルコ−ル水溶液層に分離する。無極性溶
媒層にエイコサペンタエン酸又はそのエステルが含有さ
れている。それぞれの層を以下の操作に付す。
【0023】好ましくは、無極性溶媒層に水を加え、撹
拌し、水層を除去する操作を2〜5回程度繰り返す。こ
の操作は、無極性溶媒層中に残存している微量の尿素を
除去するために行うものであり、微量の尿素の混在が問
題にならない場合は、省くこともできる。次いで、無極
性溶媒層を真空下で加熱し、無極性溶媒を蒸発回収す
る。残部に、エイコサペンタエン酸を含む高度不飽和脂
肪酸エステルを高純度で含有する最終精製物が得られ
る。温度は、50℃以上であれば良いが、好ましくは1
00℃〜200℃である。余り温度を上げすぎること
は、高度不飽和脂肪酸は熱に不安定な物質故、好ましく
ない。また、高度不飽和脂肪酸は、高温下で、酸素によ
り容易に酸化されるので、本操作は真空下で行うのが好
ましい。本操作により蒸発回収した無極性溶媒は本発明
の精製方法において再利用できるので、コスト面から、
そして環境汚染という面からも工業的に有用である。
【0024】高度不飽和脂肪酸は、酸素、光等に不安定
であるので、前記の各操作は、遮光、窒素雰囲気下で行
うのが好ましい。
【0025】一方、アルコ−ル水溶液層の少なくとも一
部、好ましくは全てを以下の操作に供する。アルコ−ル
水溶液を先に回収したアダクトに添加し、加熱して尿素
結晶を溶解することにより、包摂尿素結晶を分解し、飽
和脂肪酸及び低不飽和脂肪酸と尿素とを分離する。次い
で溶液を静置し、2層に分離した後、例えば、デカンテ
−ションにより、尿素含有アルコ−ル水溶液と飽和脂肪
酸エステル・低不飽和脂肪酸エステルを分離する。回収
した尿素含有アルコ−ル水溶液は、ここで用いなかった
残部のアルコ−ル水溶液(もし、あれば)と一緒にし、
尿素濃度を調整した後、本発明の精製方法に再利用す
る。
【0026】上述のように、本発明においては、脂肪酸
混合物からエイコサペンタエン酸又はそのエステルを簡
便な尿素付加物法により精製でき、かつ該方法に用いる
尿素及び溶媒は簡便に回収できる。そしてまた、本発明
の方法において用いる尿素及び溶媒は本発明の方法に再
利用できる。それ故本発明の精製方法を用いれば、コス
トが低減でき、そして環境汚染等を防げるので、工業的
に大量に精製する方法として有用である。
【0027】以下、実施例において本発明を更に詳細に
説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はない。
【0028】
【実施例】
【0029】
【実施例1】断りがない限り、以下の操作(i)〜
(v)の撹拌、静置、抽出等の操作はすべて、遮光・窒
素雰囲気下で行った。
【0030】(i)イワシを煮て、浮上してきた油を回
収し、これをイワシ原油とした。イワシ原油100kg
(エイコサペンタエン酸 16.0%)に、10%水酸
化ナトリウム溶液2.3リットルを加え、90℃の温度
にて数秒間撹拌し、次いで遠心分離し、油部分を回収し
た。この操作により遊離脂肪酸が中和され除去(脱酸)
される。次いで、油液を、90℃の湯を用いて水洗し
た。水洗後、活性白土を1〜2%となるように油液へ添
加し、110℃の温度にて撹拌する。この吸着操作によ
り、脱臭・脱色が行われる。最後に、油液を濾過し、白
土を除いた。その結果、精製イワシ油95kgが得られ
た。
【0031】(ii)精製イワシ油95kgを、エタノ
−ル28リットル及び濃度99%の水酸化ナトリウムフ
レ−ク0.5kgの混合液中へ入れ、温度25℃〜30
℃で5時間撹拌し、エステル化反応を行った。反応終了
後、脱塩し、さらにその他の不溶性不純物を除去するた
め、50℃の温水20リットルを加え、反応液を5分間
撹拌し、水洗し、エタノ−ル層を回収した。この操作を
5回繰返した。その結果、イワシエチルエステル90k
gが得られた。
【0032】(iii)イワシエステル90kgを、尿
素245kgを92%メタノ−ル水溶液660リットル
に溶解した溶液中に入れ、70℃の温度にて、30分間
撹拌し、完全に溶解させた。溶解後、撹拌を続けなが
ら、2時間かけて、液温が20℃になるまで冷却した。
この操作により、溶液中の飽和脂肪酸及び低不飽和脂肪
酸は尿素結晶中に包摂される。次いで、n−ヘキサン2
00リットルを添加し、20℃の温度にて15分間撹拌
・抽出した。この操作により、目的物であるエイコサペ
ンタエン酸エチルエステルを含有する高度不飽和脂肪酸
はヘキサン層へ移行する。その後、包摂尿素結晶を減圧
瀘過し、アダクトと濾液に分離した。
【0033】濾液を静置分別した。この際、界面を明瞭
にし、分離効果を高めるため、2相溶液を、20℃の温
度にて、1時間静置した。静置終了後、上層のヘキサン
層と下層のメタノ−ル水溶液層を液液分離した。その
後、ヘキサン層とメタノ−ル水溶液層を以下の通り、別
々に処理した。
【0034】(iv)ヘキサン層は、水洗を行うため、
40℃の温水200リットルを加え、5分間、撹拌・抽
出をした。その後、40℃の温度にて1時間静置した。
静置後、水層を抜き出し、ヘキサン層と液液分離した。
この水洗操作は、残量する微量の尿素を完全に除去する
ために3回行った。水洗終了後、ヘキサン溶媒を除去、
回収するために、60℃の温度にて、真空下でヘキサン
を蒸発回収した。回収したヘキサンは実施例2において
前記操作(iii)に再利用した。ヘキサンの蒸発回収
後、エイコサペンタエン酸エステル含有高度不飽和脂肪
酸エチルエステルが25kg得られた。得られた脂肪酸
エステルを分析したところ、エイコサペンタエン酸エチ
ルエステルの純度は45.0%、収率は70%で、良好
であった。
【0035】(v)一方、メタノ−ル水溶液層に前記ア
ダクトを添加し、70℃の温度にて30分間撹拌し、加
熱溶解した。この操作により、アダクトは分解し、飽和
脂肪酸及び低不飽和脂肪酸は尿素と分離される。加熱溶
解後、溶液を60℃の温度にて1時間静置し、上層へ浮
かび上がった飽和脂肪酸エチルエステル及び低不飽和脂
肪酸エチルエステル65kgをデカンテ−ションした。
残った尿素含有アルコ−ル水溶液溶媒を回収し、尿素濃
度を測定し、若干の尿素濃度の調整を行った後、実施例
2において前記操作(iii)に再利用した。
【0036】
【実施例2】実施例1と同様にして、イワシ原油よりエ
イコサペンタエン酸エチルエステルの精製を行った。た
だし、操作(iii)において、尿素及び92%メタノ
−ル水溶液は別々に加えるのではなく、実施例1で回収
した尿素含有92%メタノ−ル水溶液を利用した。ま
た、ヘキサンも実施例1で回収したヘキサンを利用し
た。結果は、実施例1と同様の純度及び回収率にてエイ
コサペンタエン酸エチルエステルが精製できた。
【0037】
【発明の効果】以上から明らかなように、本発明の方法
により、エイコサペンタエン酸又はそのエステルが簡便
な尿素付加物法により精製でき、かつ該方法において用
いる尿素、アルコ−ル水溶液及び無極性溶媒は簡便に回
収できる。また、本発明の方法で用いる尿素、アルコ−
ル水溶液及び無極性溶媒は再利用できる。それ故、本発
明の精製方法は、コストが低く、また環境汚染の心配が
ないので工業的規模における精製方法として有用であ
る。
【手続補正書】
【提出日】平成6年6月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】即ち、本発明は、 1)エイコサペンタエン酸又はそのエステルを含有する
脂肪酸混合物を、尿素、及び70〜95重量%の炭素数
4以下のアルコール及び30〜5重量%の水からなる溶
媒と混合し、混合液を調製する工程、 2)下記の工程(a)及び(b)、(a)工程1)より
得られた混合液を、加熱して尿素を溶解した後、冷却し
尿素結晶を析出させる工程、(b)工程(a)より得ら
れた混合液から尿素結晶を瀘別する工程、ここで、工程
(a)の前又は後の混合液にもしくは工程(b)の後の
瀘液に無極性溶媒を添加すること、 3)工程2)より得られた瀘液又は混合液をアルコール
水溶液層と無極性溶媒層に分離する工程、 4)工程3)より得られたアルコール水溶液層の少なく
とも一部と工程2)(b)より得られた尿素結晶とを混
合した後、加熱して尿素結晶を溶解し、脂肪酸混合物層
と、尿素を含有したアルコール水溶液層とに分離し、次
いで尿素含有アルコール水溶液を回収する工程、そし
て、 5)工程3)より得られた無極性溶媒層から無極性溶媒
を回収し、エイコサペンタエン酸又はそのエステルを分
離する工程、 よりなるエイコサペンタエン酸又はそのエステルの精製
方法に関するものである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の工程よりなることを特徴とするエイ
    コサペンタエン酸又はそのエステルの精製方法 1)エイコサペンタエン酸又はそのエステルを含有する
    脂肪酸混合物を、尿素、及び70〜95重量%の炭素数
    4以下のアルコ−ル及び30〜5重量%の水と混合し、
    混合液を調製する工程、 2)下記の工程(a)及び(b)、 (a)工程1)より得られた混合液を、加熱して尿素を
    溶解した後、冷却し尿素結晶を析出させる工程、(b)
    工程(a)より得られた混合液から尿素結晶を瀘別する
    工程、ここで、工程(a)の前又は後の混合液にもしく
    は工程(b)の後の瀘液に無極性溶媒を添加すること、 3)工程2)より得られた瀘液又は混合液をアルコ−ル
    水溶液層と無極性溶媒層に分離する工程、 4)工程3)より得られたアルコ−ル水溶液層の少なく
    とも一部と工程2)(b)より得られた尿素結晶を混合
    した後、加熱して尿素結晶を溶解し、脂肪酸混合物層
    と、尿素を含有したアルコ−ル水溶液層とに分離し、次
    いで尿素含有アルコ−ル水溶液を回収する工程、そし
    て、 5)工程4)より得られた無極性溶媒層から無極性溶媒
    を回収し、エイコサペンタエン酸又はそのエステルを分
    離する工程。
  2. 【請求項2】前記工程1)のアルコ−ル及び水の割合
    が、アルコ−ル80〜95重量%、水20〜5重量%で
    ある、請求項1記載のエイコサペンタエン酸又はそのエ
    ステルの精製方法。
  3. 【請求項3】エイコサペンタエン酸又はそのエステルが
    海産生物の油脂から得られたものあることを特徴とする
    請求項1又は2記載のエイコサペンタエン酸又はそのエ
    ステルの精製方法。
  4. 【請求項4】請求項1記載の工程4)により回収された
    尿素含有アルコ−ル水溶液、工程3)で得られかつ工程
    4)で使用されなかった残部のアルコ−ル水溶液及び工
    程5)により回収された無極性溶媒を再利用することを
    特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のエイ
    コサペンタエン酸又はそのエステルの精製方法。
  5. 【請求項5】炭素数4以下のアルコ−ルがメタノ−ル又
    はエタノ−ルであることを特徴とする請求項1乃至4の
    いずれか一つに記載のエイコサペンタエン酸又はそのエ
    ステルの精製方法。
  6. 【請求項6】無極性溶媒がn−ヘキサンであることを特
    徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載のエイコ
    サペンタエン酸又はそのエステルの精製方法。
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