JPH07278328A - 薄膜形成方法 - Google Patents

薄膜形成方法

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JPH07278328A
JPH07278328A JP6076179A JP7617994A JPH07278328A JP H07278328 A JPH07278328 A JP H07278328A JP 6076179 A JP6076179 A JP 6076179A JP 7617994 A JP7617994 A JP 7617994A JP H07278328 A JPH07278328 A JP H07278328A
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Yoshifumi Kato
祥文 加藤
Yoshifumi Fujita
祥文 藤田
Atsushi Hozumi
篤 穂積
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Abstract

(57)【要約】 【目的】優れた耐摩耗性及び密着力を確実に発揮する耐
摩耗薄膜を簡易に樹脂基板上に形成する。 【構成・作用】アクリル系耐摩耗紫外線重合硬化塗料と
ポリシロキサン系耐摩耗熱重合硬化塗料とを有する耐摩
耗混合塗料を調製し、樹脂基板1上に耐摩耗混合塗料か
らなる未硬化層2を形成する。次いで、未硬化層2中の
溶剤を除去する。この後、紫外線を照射することにより
未硬化層2中のアクリル系耐摩耗紫外線重合硬化塗料を
重合させ、加熱処理することにより未硬化層2中のポリ
シロキサン系耐摩耗熱重合硬化塗料を重合させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂製品の表面に主と
して耐摩耗性を有する薄膜を形成する薄膜形成方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】自動車等の窓には一般に無機ガラス製品
を多く使用しているが、最近、無機ガラス製品に代え、
軽量でかつ加工性に優れた透明樹脂製品を使うことが提
案されている。また、歯車等の機械要素にも、金属製品
に代え、成形性に優れる樹脂製品を使うことが提案され
ている。しかし、樹脂製品は耐摩耗性において無機ガラ
ス製品や金属製品に劣るという欠点を有しており、その
使用には限界がある。そこで、樹脂製品の表面に耐摩耗
性を有する薄膜を形成する薄膜形成方法が種々検討され
ている。
【0003】例えば、図5に紫外線重合硬化塗料として
代表的なメタクリル系又はアクリル系紫外線重合硬化塗
料を用いた薄膜形成方法を示す。この薄膜形成方法で
は、まず、図5(A)に示すように、樹脂製品として洗
浄した樹脂基板90を用意し、図5(B)に示すよう
に、樹脂基板90上にメタクリル系又はアクリル系紫外
線重合硬化塗料からなる未硬化層91を形成する。そし
て、図5(C)に示すように、紫外線(UV)を照射す
る。こうして、樹脂基板90上には、未硬化層91のメ
タクリル系又はアクリル系紫外線重合硬化塗料が重合す
ることにより硬化した薄膜が形成される。この薄膜形成
方法は、樹脂基板とメタクリル系又はアクリル系紫外線
重合硬化塗料とが樹脂同士で強固に密着するため、種々
の樹脂基板に対してプライマー層を施すことなく薄膜を
形成することができ、簡易である。
【0004】また、図6に熱重合硬化塗料として代表的
なシリコン系熱重合硬化塗料を用いた薄膜形成方法を示
す。この薄膜形成方法では、まず、図6(A)に示すよ
うに、樹脂製品として洗浄した樹脂基板90を用意し、
図6(B)に示すように、密着性を良くするため樹脂基
板90上にプライマー層92を形成する。このプライマ
ー層92は、ディップ法、スプレー法、フローコート法
等により形成される。かかるプライマー層92を図6
(C)に示すように乾燥により硬化させた後、図6
(D)に示すように、プライマー層92上にシリコン系
熱重合硬化塗料からなる未硬化層93を形成する。そし
て、図6(E)に示すように、加熱処理により熱硬化を
行なう。こうして、樹脂基板90上には、プライマー層
92を介し、未硬化層93のシリコン系熱重合硬化塗料
が重合することにより硬化した薄膜が形成される。この
薄膜形成方法は、薄膜がシリコン系熱重合硬化塗料によ
り形成され、表面に珪素酸化物を多くもつため、優れた
耐摩耗性を発揮する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図5に示すメ
タクリル系又はアクリル系紫外線重合硬化塗料を用いた
薄膜形成方法では、未だ十分な硬度の薄膜を形成しうる
組成物が市販されていないことから、形成された薄膜が
十分な耐摩耗性を発揮できない。一方、図6に示すシリ
コン系熱重合硬化塗料を用いた薄膜形成方法では、形成
された薄膜の耐摩耗性は優れるものの、薄膜の密着性を
良くするためにプライマー層を介在させなければならな
いため、工程が増加してしまう。特に、樹脂基板がポリ
カーボネート等のエンジニアリングプラスチックである
場合にはプライマー層がなければ薄膜を密着することが
できない。
【0006】本発明は、優れた耐摩耗性及び密着力を確
実に発揮する薄膜を簡易に樹脂基板上に形成することを
解決すべき課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の薄膜形成
方法は、上記課題を解決するため、有機系重合硬化組成
物とシリコン系重合硬化組成物とを有する混合組成物を
調製し、樹脂基板上に該混合組成物からなる未硬化層を
形成する未硬化層形成工程と、該未硬化層中の溶剤を除
去する溶剤除去工程と、該未硬化層中の該有機系重合硬
化組成物を重合させる第1重合硬化工程と、該未硬化層
中の該シリコン系重合硬化組成物を重合させる第2重合
硬化工程と、を有することを特徴とする。
【0008】樹脂基板としては、自動車等の窓に使用す
るのであれば透明樹脂基板を採用することができ、歯車
等に使用するのであれば不透明な樹脂基板を採用するこ
ともできる。例えば、メタクリル系樹脂基板、アクリル
系樹脂基板、ポリカーボネート基板等を採用することが
できる。有機系重合硬化組成物としては、有機系光重合
硬化組成物、有機系電子線重合硬化組成物又は有機系熱
重合硬化組成物からなる有機系ラジカル重合硬化組成物
を採用することができる。有機系光重合硬化組成物とし
ては、アクリル系紫外線重合硬化塗料(例えば、大日精
化:DPー10)、ホスファゼン系紫外線重合硬化塗料
(例えば、出光:PPZ)等を採用することができる。
有機系電子線重合硬化組成物としては、アクリル系電子
線重合硬化組成物等を採用することができる。有機系熱
重合硬化組成物としては、アクリル系熱重合硬化塗料、
メラミン系熱重合硬化塗料等を採用することができる。
【0009】シリコン系重合硬化組成物としては、シリ
コン系熱重合硬化組成物を採用することができる。シリ
コン系熱重合硬化組成物としては、シリコン系熱重合硬
化塗料(例えば、日本ダクロシャムロック:NP−73
0、東芝シリコーン:トスガード510、サークシステ
ム:ソルガードNPー730)等を採用することができ
る。
【0010】混合組成物は、これら有機系重合硬化組成
物とシリコン系重合硬化組成物とを有する。有機系重合
硬化組成物に対するシリコン系重合硬化組成物の割合
は、耐摩耗性と相溶性とにより決定され得る。この混合
組成物は、さらにメタクリル基、アクリル基、エポキシ
基、アミノ基及びビニル基の少なくとも一つの有機系官
能基を有するシランカップリング剤を含有することが好
ましい。有機系重合硬化組成物に対するシランカップリ
ング剤の割合も、耐摩耗性と相溶性とにより決定され得
る。シランカップリング剤としては、マクロモレキュラ
ーカップリング剤(例えば、日本ユニカ−:MMC
A)、エポキシ官能性シラン(例えば、信越化学工業:
KBM−403、KBZー402、KBEー403)、
アクリル官能性シラン(例えば、信越化学工業:KBM
−5102、KBM−5103)、紫外線硬化型シリコ
ーンハードコート剤(例えば、信越化学工業:X−12
−2400)等を採用することができる。メタクリル基
又はアクリル基を有するシランカップリング剤として例
えば、信越化学工業:KBM−503、KBM−50
2、KBEー502等、ビニル基を有するシランカップ
リング剤として例えば信越化学工業:KBEー100
3、KBMー1003、KAー1003等を採用するこ
とが好ましい。
【0011】未硬化層の厚みは、2×104 Å以上、1
×104 Å未満であることが好ましい。この範囲外の厚
みでは、耐摩耗性及び密着性の効果が少ない。有機系重
合硬化組成物とシリコン系重合硬化組成物とが異なる手
段で重合する場合には、第1重合硬化工程により有機系
重合硬化組成物を重合させ、第2重合硬化工程によりシ
リコン系重合硬化組成物を重合させる。これらの手段を
同時期に行うことにより、第1重合硬化工程と第2重合
硬化工程とを同時期に行われることが形成時間の短縮化
を図る点で好ましい。また、有機系重合硬化組成物とシ
リコン系重合硬化組成物とが同一の手段で重合する場合
には、第1重合硬化工程と第2重合硬化工程とは一致す
る。
【0012】
【作用】
(1)請求項1の薄膜形成方法では、樹脂基板上に形成
された未硬化層が有機系重合硬化組成物とシリコン系重
合硬化組成物とを有する混合組成物からなる。有機系重
合硬化組成物は有機系のものであり、シリコン系重合硬
化組成物にはシラノール基を有するポリシロキサン組成
物が含有されている。
【0013】このため、未硬化層中の溶剤を除去してい
る間、未硬化層の樹脂基板側では有機系重合硬化組成物
が多くなる一方、未硬化層の表面側ではシリコン系重合
硬化組成物が多くなり、かつシリコン系重合硬化組成物
中のポリシロキサン組成物のシラノール基が表面側に配
向される。この状態で未硬化層を重合させれば、樹脂基
板と有機系重合硬化組成物とがプライマー層を介してい
なくても樹脂同士で強固に密着し、有機系重合硬化組成
物とシリコン系重合硬化組成物とが分子同士の絡み合い
で強固に結合し、シリコン系重合硬化組成物が表面に珪
素酸化物を多く形成するため、優れた耐摩耗性を発揮す
る。
【0014】(2)請求項2の薄膜形成方法では、シラ
ンカップリング剤の有機系官能基が未硬化層中の有機系
重合硬化組成物とシリコン系重合硬化組成物との好適な
相溶性を確保する。このため、薄膜の白濁を防止するこ
とができるとともに、分子同士のより一層の絡み合いで
より優れた密着性を発揮する。ここで、メタクリル基又
はアクリル基及びビニル基の少なくとも一つの有機系官
能基を有するシランカップリング剤を採用した場合に
は、有機系官能基が二重結合を有するため、第1、2重
合硬化工程時にメタクリル基等が未硬化層の内部でラジ
カル反応により結合し、より優れた密着性を発揮する。
【0015】
【実施例】
(実施例1)実施例1は請求項1、3の発明を具体化し
たものである。まず、図1(A)に示すように、樹脂基
板1として、射出成形により成形されたポリカーボネー
ト(三菱化成:平均分子量22000)からなるもの
(100×100×4(mm))を用意する。この樹脂
基板1をn−プロパノール中で3分間超音波洗浄し、乾
燥する。 「未硬化層形成工程」有機系重合硬化組成物として、ア
クリル系紫外線重合硬化塗料(大日精化:セイカビーム
DP−10)を用意するとともに、シリコン系重合硬化
組成物として、ポリシロキサン系熱重合硬化塗料(日本
ダクロシャムロック:NP−730)を用意する。
【0016】そして、アクリル系紫外線重合硬化塗料1
00重量部中に固形分換算で2〜30重量部のポリシロ
キサン系熱重合硬化塗料を添加し、混合塗料を調製す
る。この混合塗料をディップ槽に入れ、浴温15℃に恒
温保持する。ディップ槽中に乾燥後の樹脂基板1を30
秒間浸漬し、27cm/分の引き上げ速度で引き上げ
る。こうして、図1(B)に示すように、樹脂基板1上
に混合塗料からなる未硬化層2を形成する。 「溶剤除去工程」未硬化層2を形成した樹脂基板1を8
0℃の乾燥機に3分間入れ、未硬化層2中の溶剤を除去
する。このとき、アクリル系紫外線重合硬化塗料は有機
系のものであり、ポリシロキサン系熱重合硬化塗料には
シラノール基を有するポリシロキサン組成物が含有され
ているため、未硬化層2の樹脂基板1側ではアクリル系
紫外線重合硬化塗料が多くなる一方、未硬化層2の表面
側ではポリシロキサン系熱重合硬化塗料が多くなり、か
つポリシロキサン系熱重合硬化塗料中のシラノール基が
表面側に配向される。 「第1重合硬化工程」この後、図1(C)に示すよう
に、80W/cm×2灯(対面)の高圧水銀灯中におい
て、溶剤を除去した未硬化層2をもつ樹脂基板1に2m
/分×2passの条件でUVを照射する。これによ
り、未硬化層2中のアクリル系紫外線重合硬化塗料の重
合硬化成分がラジカル重合し、未硬化層2はある程度硬
化する。 「第2重合硬化工程」次に、図1(D)に示すように、
第1重合硬化工程後の樹脂基板1を120℃の乾燥機中
に60分間保持する。これにより、未硬化層2中のポリ
シロキサン系熱重合硬化塗料が縮重合し、未硬化層2は
ほぼ完全に硬化する。こうして、図2に示すように、樹
脂基板1上に形成されたアクリル系紫外線重合硬化塗料
及びポリシロキサン系熱重合硬化塗料の混合塗料からな
る薄膜3が得られる。図2において、白丸同士の結合は
アクリル系紫外線重合硬化塗料のネットワークを示し、
黒丸同士の結合はポリシロキサン系熱重合硬化塗料のネ
ットワークを示す。この薄膜3の膜厚は4.6μmであ
った。
【0017】この薄膜3では、樹脂基板1とアクリル系
紫外線重合硬化塗料とがプライマー層を介していなくて
も樹脂同士で強固に密着し、アクリル系紫外線重合硬化
塗料とポリシロキサン系熱重合硬化塗料とが分子同士の
絡み合いで強固に結合し、ポリシロキサン系熱重合硬化
塗料が表面に珪素酸化物を多く形成するため、優れた耐
摩耗性を発揮する。
【0018】したがって、この薄膜3は、プライマー層
を介在させなくても樹脂基板1と薄膜3とが十分に密着
し、優れた耐摩耗性を発揮する。 (実施例2)実施例2は請求項1、2、3の発明を具体
化したものである。この実施例2では、アクリル系紫外
線重合硬化塗料100重量部中に固形分換算で2〜30
重量部のポリシロキサン系熱重合硬化塗料を添加すると
ともに、固形分換算で1〜10重量部のシランカップリ
ング剤(信越化学工業:KBM−403)をさらに添加
し、混合塗料を調製する。他の構成は実施例1と同一で
ある。 (実施例3)実施例3も請求項1、2、3の発明を具体
化したものである。
【0019】この実施例3では、シリコン系重合硬化組
成物として、ポリシロキサン骨格を有する分子量200
0〜10000のシランカップリング剤(日本ユニカ
ー:MAC−2101)を採用した。すなわち、アクリ
ル系紫外線重合硬化塗料100重量部中に固形分換算で
2〜30重量部のシランカップリング剤(日本ユニカ
ー:MAC2101)を添加し、混合塗料を調製する。
他の構成は実施例1と同一である。 (比較例1)この比較例1は、樹脂基板1上にアクリル
系紫外線重合硬化塗料のみで薄膜を形成した。他の構成
は実施例1と同一である。 (比較例2)この比較例2は、樹脂基板1上にポリシロ
キサン系熱重合硬化塗料のみで薄膜を形成した。他の構
成は実施例1と同一である。 (試験1)実施例1〜3の薄膜及び比較例1、2の薄膜
の密着性を評価した。密着性の評価は、JISに規定さ
れる塗膜密着試験法である碁盤目テープ剥離試験法によ
った。結果を表1に示す。
【0020】
【表1】 表1より、実施例1〜3の薄膜及び比較例1の薄膜では
優れた密着性を発揮するのに対し、比較例2の薄膜では
プライマー層がないことにより密着性に劣ることがわか
る。 (試験2)実施例1において、アクリル系紫外線重合硬
化塗料100重量部中へ添加するポリシロキサン系熱重
合硬化塗料の量を種々変える。また、実施例2におい
て、アクリル系紫外線重合硬化塗料100重量部中へ添
加するポリシロキサン系熱重合硬化塗料及びシランカッ
プリング剤の量を種々変える。さらに、実施例3におい
てアクリル系紫外線重合硬化塗料100重量部中へ添加
するポリシロキサン骨格のシランカップリング剤の量を
種々変える。そして、それぞれの相溶性を評価した。実
施例1についての結果を表2に、実施例2についての結
果を図3に、実施例3についての結果を表3に示す。
【0021】なお、表2、3において、○印は相溶性が
良好であることにより混合塗料が透明であることを示
し、△は相溶性が悪いことにより混合塗料が白濁したこ
とを示す。
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】 表2に示されるように、実施例1においては、ポリシロ
キサン系熱重合硬化塗料が20重量部添加されれば相溶
性が悪化することにより混合塗料に白濁を生じ、30重
量部以上の添加で硬化後の薄膜の透明性が不良となっ
た。
【0024】図3に示されるように、実施例2において
は、ポリシロキサン系熱重合硬化塗料が30重量部添加
された場合でも、シランカップリング剤が5重量部添加
されているならば、良好な相溶性を示す。このため、実
施例2では、シランカップリング剤の有機系官能基が未
硬化層2中のアクリル系紫外線重合硬化塗料とポリシロ
キサン系熱重合硬化塗料との好適な相溶性を確保し、薄
膜3の白濁を防止することができるとともに、分子同士
のより一層の絡み合いでより優れた密着性を発揮するこ
とがわかる。但し、ポリシロキサン系熱重合硬化塗料が
30重量部を超えて添加された場合は薄膜に相分離によ
ると考えられる球状の分離物が認められた。
【0025】表3に示されるように、実施例3において
は、ポリシロキサン骨格のシランカップリング剤は30
重量部添加されても、良好な相溶性を示す。このため、
実施例3においても、シランカップリング剤の有機系官
能基が未硬化層2中のアクリル系紫外線重合硬化塗料と
ポリシロキサン成分との好適な相溶性を確保し、薄膜3
の白濁を防止することができるとともに、分子同士のよ
り一層の絡み合いでより優れた密着性を発揮することが
わかる。 (試験3)実施例1、3の薄膜及び比較例1の薄膜につ
いて、耐摩耗性を調べるため、テーバー摩耗試験を行っ
た。テーバー摩耗試験とは、回転テーブルに試験試料を
載せ、この上に荷重をかけた砥粒入りゴム製の摩耗輪を
2個接触させて転動させるものである。ここでは、摩耗
試験後において薄膜の表面に形成された摩耗痕による曇
り値(ヘイズ値(H))の増加量を求め、評価した。つ
まり、所定の荷重で所定の回数だけ転動させたあと、薄
膜のヘイズ値を測定する。なお、ヘイズ値とは、白色光
を用いて薄膜の表面の傷による光散乱の率を次式で算出
したものである。
【0026】 H(%)=(T4 /T2 −T3 /T1 )×100 但し、T1 は薄膜への入射光線量、T2 は薄膜の透過光
線量、T3 は測定器における拡散光量、T4 は薄膜の拡
散透過光量である。この試験では、摩耗輪によりできた
摩耗傷が少ないほどヘイズ値は低くなる。すなわち、試
験前の薄膜のヘイズ値に比較し、試験後の薄膜のヘイズ
値の増加量(%)が低いほど耐摩耗性が良好ということ
ができる。結果を図4に示す。
【0027】図4より、実施例1、3において、アクリ
ル系紫外線重合硬化塗料中へ添加するポリシロキサン系
熱重合硬化塗料又はポリシロキサン骨格のシランカップ
リング剤が増加させた薄膜では、比較例1の薄膜と比較
して、優れた耐摩耗性を発揮することがわかる。 (試験4)実施例2において、アクリル系紫外線重合硬
化塗料100重量部中に固形分換算で10重量部のポリ
シロキサン系熱重合硬化塗料と、固形分換算で10重量
部のシランカップリング剤とを添加した混合塗料から得
られた薄膜について、XPS(PHI−5500MC、
Monochromated−AlKα)による表面の
元素組成分析を行った。結果を表4に示す。
【0028】
【表4】 実施例2の混合塗料中に含まれるポリシロキサン系熱重
合硬化塗料及びシランカップリング剤にはSiが十数a
t%(Hを除く。)含まれているはずである。ここで、
表4より、実施例2の薄膜では表面にSiが約16.0
at%含まれており、表面にポリシロキサン系熱重合硬
化塗料及びシランカップリング剤の脱水結合物からなる
珪素酸化物が多く形成されていることがわかる。
【0029】なお、実施例2の薄膜について、Clsス
ペクトルを分析したところ、混合塗料には含まれていな
い−O−C=O−の炭素に由来するピークも認められ、
アクリル成分も表面に一部露出していると思われる。し
たがって、実施例2の薄膜は、樹脂基板1側ではアクリ
ル成分がリッチ、表面側ではポリシロキサン成分がリッ
チな構造となっていることがわかる。これにより、樹脂
基板1側ではポリカーボネートとアクリル成分とが強固
に密着し、内部ではアクリル成分とポリシロキサン成分
とが強固に密着し、表面ではポリシロキサン成分の珪素
酸化物により優れた耐摩耗性を発揮することがわかる。
【0030】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1の薄膜形
成方法では、請求項1記載の構成を採用しているため、
プライマー層を介在させなくても樹脂基板と薄膜とが十
分に密着し、かつ優れた耐摩耗性を発揮する薄膜を形成
することがでいる。したがって、この方法により樹脂基
板に薄膜を形成すれば、簡易な方法であるとともに、薄
膜が優れた耐摩耗性及び密着性を発揮できることから、
軽量性、優れた加工性及び優れた成形性の目的で自動車
等の窓に透明樹脂ガラスを使用したり、歯車等の機械要
素に樹脂製品を使用すること等も容易に行ない得る。
【0031】また、請求項2の薄膜形成方法では、好適
な相溶性が確保されるため、薄膜の白濁を防止すること
ができるとともに、より優れた密着性を発揮することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の方法を示す模式工程図である。
【図2】実施例1により得られた薄膜の模式断面図であ
る。
【図3】試験2において実施例2の特性を示すグラフで
ある。
【図4】試験3において実施例1、3の特性を示すグラ
フである。
【図5】一般的な薄膜形成方法を示す模式工程図であ
る。
【図6】一般的な薄膜形成方法を示す模式工程図であ
る。
【符号の説明】
1…樹脂基板 2…未硬化層 3…薄

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機系重合硬化組成物とシリコン系重合硬
    化組成物とを有する混合組成物を調製し、樹脂基板上に
    該混合組成物からなる未硬化層を形成する未硬化層形成
    工程と、 該未硬化層中の溶剤を除去する溶剤除去工程と、 該未硬化層中の該有機系重合硬化組成物を重合させる第
    1重合硬化工程と、 該未硬化層中の該シリコン系重合硬化組成物を重合させ
    る第2重合硬化工程と、を有することを特徴とする薄膜
    形成方法。
  2. 【請求項2】混合組成物は、さらにメタクリル基、アク
    リル基、エポキシ基、アミノ基及びビニル基の少なくと
    も一つの有機系官能基を有するシランカップリング剤を
    含有することを特徴とする請求項1記載の薄膜形成方
    法。
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WO2013175910A1 (ja) * 2012-05-21 2013-11-28 リンテック株式会社 ガスバリア積層体、およびガスバリア積層体の製造方法

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